特許第6371472号(P6371472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6371472セキュアなメディアベース会議における多要素認証のための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371472
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】セキュアなメディアベース会議における多要素認証のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/15 20060101AFI20180730BHJP
   H04M 3/56 20060101ALI20180730BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20180730BHJP
   G06F 21/31 20130101ALI20180730BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20180730BHJP
【FI】
   H04N7/15 150
   H04M3/56 C
   H04L9/00 673B
   H04L9/00 673D
   G06F21/31
   G06F21/32
【請求項の数】28
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-512941(P2017-512941)
(86)(22)【出願日】2015年9月8日
(65)【公表番号】特表2017-535986(P2017-535986A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】US2015049011
(87)【国際公開番号】WO2016040366
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2017年3月30日
(31)【優先権主張番号】14/480,091
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515266360
【氏名又は名称】エディファイアー・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Edifire LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ゲップ、ダニエル ピー.
【審査官】 久保 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−90379(JP,A)
【文献】 特開2010−198536(JP,A)
【文献】 特開2002−157203(JP,A)
【文献】 特開2004−254280(JP,A)
【文献】 特開2009−20829(JP,A)
【文献】 特開2014−127948(JP,A)
【文献】 中尾康二(外3名),「OSIセキュリティ通信用SCSEの実装と評価」,電子情報通信学会論文誌,日本,社団法人電子情報通信学会,1993年 8月25日,Vol.J76-D-I, No.8,第440〜451頁,ISSN:0915-1915
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N7/14−7/15
H04M3/56
H04M3/42
G06F21/30−21/46
H04L9/32
CSDB(日本国特許庁)
IEEEXplore(IEEE)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアベース会議通話に参加する末端装置を認証するためのコンピュータ化された方法であって、
サーバコンピューティング装置の呼処理モジュールが、複数の末端装置間の会議通話に加入する要求であって、第1末端装置のユーザに関連する認証証明、前記第1末端装置に関連する属性、および、前記第1末端装置に関連するメディアストリームを含む前記要求を受信し、
前記呼処理モジュールが、前記第1末端装置のユーザに関連する前記認証証明に基づき前記第1末端装置のユーザの身元を判断し、
前記呼処理モジュールが、前記第1末端装置に関連する前記属性に基づき会議通話アクセスのレベルを判断し、
前記呼処理モジュールが、前記ユーザの身元に基づき、前記会議通話に参加する認証に関連する許可のセットを含むユーザプロファイルを取得し、
前記呼処理モジュールが、前記要求に関連する指紋であって、前記第1末端装置の前記ユーザに関連する属性と、前記第1末端装置に関連する前記属性と、要求された前記会議通話のパラメータに関連する属性を含む属性行例を備える前記指紋を生成し、
前記呼処理モジュールが、ユーザ固有の顔認識属性、ユーザ固有の音声認識属性、音響環境属性、視覚環境属性、ユーザジェスチャ属性、末端装置の技術的属性、およびメディアストリームの技術的属性のうちの少なくとも2つを含む認証要素の行列を使用して前記メディアストリームを分析し、
前記呼処理モジュールが、前記メディアストリームの分析に基づいて前記第1末端装置の認証スコアを決定し、
前記呼処理モジュールが、前記認証スコアおよび前記指紋に基づいて、前記第1末端装置を前記会議通話、別のメディアリソース、あるいはネットワークまたは通信システムの別のユーザに接続するかどうかを判断することを備える方法。
【請求項2】
前記音響環境属性は、(i)ユーザからの1つ以上の事前に記録されたオーディオファイルと、(ii)前記第1末端装置が位置する部屋の音響属性とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記視覚環境属性は、(i)ユーザが提供したまたはシステムが捕捉した静止画像および複数の映像フレームと、(ii)前記第1末端装置が位置する部屋の照明属性とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1末端装置の前記技術的属性は、前記第1末端装置に結合されたカメラの画像解像度、装置識別子、場所、および発信元アドレスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記メディアストリームの前記技術的属性が、メディアフォーマットおよびメディア品質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記呼処理モジュールが、前記第1末端装置に関連する前記メディアストリームを、前記会議通話に接続された1つ以上の他の末端装置に送信し、
前記呼処理モジュールが、前記1つ以上の他の末端装置からの確認信号を受信して前記第1末端装置のユーザの身元を確認し、
前記呼処理モジュールが、受信した確認信号を前記認証要素の行列に追加することを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記メディアストリームの分析は、前記メディアストリームについての前記認証要素の行列を、前記第1末端装置に関連する以前のメディアストリームについての認証要素の行列と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記メディアストリームの分析は、前記メディアストリームについての前記認証要素の行列を、ユーザ指定のプリファレンスおよびシステム指定のプリファレンスの一方または両方に基づいて分析することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記呼処理モジュールが、前記メディアストリームの分析と、前記メディアストリームについての認証スコアをデータベースに格納することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記メディアストリームの分析および認証スコアの決定を前記会議通話中に定期的に行う、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記認証スコアは所定の閾値より低いものであり、前記呼処理モジュールが、ユーザ認証証明の要求を前記第1末端装置に送信することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記呼処理モジュールが、前記第1末端装置についての前記認証スコアを、前記会議通話に接続された1つまたは複数の他の末端装置に表示するために送信することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記認証スコアが所定の閾値より低い場合、前記会議通話に加入する要求を前記呼処理モジュールが拒否し、
前記呼処理モジュールが、前記第1末端装置を切断することを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記認証スコアが所定の閾値以上である場合、前記会議通話に加入する要求を前記呼処理モジュールが許可し、
前記呼処理モジュールが、前記第1末端装置を前記会議通話に接続することを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項15】
メディアベース会議通話に参加する末端装置を認証するためのシステムであって、
複数の末端装置間の会議通話に加入する要求であって、第1末端装置のユーザに関連する認証証明、前記第1末端装置に関連する属性、および、前記第1末端装置に関連するメディアストリームを含む前記要求を受信し、
前記第1末端装置のユーザに関連する前記認証証明に基づき前記第1末端装置のユーザの身元を判断し、
前記第1末端装置に関連する前記属性に基づき会議通話アクセスのレベルを判断し、
前記ユーザの身元に基づき、前記会議通話に参加する認証に関連する許可のセットを含むユーザプロファイルを取得し、
前記要求に関連する指紋であって、前記第1末端装置の前記ユーザに関連する属性と、前記第1末端装置に関連する前記属性と、要求された前記会議通話のパラメータに関連する属性を含む属性行例を備える前記指紋を生成し、
ユーザ固有の顔認識属性、ユーザ固有の音声認識属性、音響環境属性、視覚環境属性、ユーザジェスチャ属性、末端装置の技術的属性、およびメディアストリームの技術的属性のうちの少なくとも2つを含む認証要素の行列を使用して前記メディアストリームを分析し
前記メディアストリームの分析に基づいて前記第1末端装置の認証スコアを決定し、
前記認証スコアおよび前記指紋に基づいて、前記第1末端装置を前記会議通話、別のメディアリソース、あるいはネットワークまたは通信システムの別のユーザに接続するかどうかを判断するように構成される呼処理モジュールを有するサーバコンピューティング装置を備える、システム。
【請求項16】
前記音響環境属性は、(i)ユーザからの1つ以上の事前に記録されたオーディオファイルと、(ii)前記第1末端装置が位置する部屋の音響属性とを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記視覚環境属性は、(i)ユーザが提供したまたはシステムが捕捉した静止画像および複数の映像フレームと、(ii)前記第1末端装置が位置する部屋の照明属性とを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1末端装置の前記技術的属性は、前記第1末端装置に結合されたカメラの画像解像度、装置識別子、場所、および発信元アドレスを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記メディアストリームの前記技術的属性が、メディアフォーマットおよびメディア品質を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記呼処理モジュールは、
前記第1末端装置に関連する前記メディアストリームを、前記会議通話に接続された1つ以上の他の末端装置に送信し、
前記1つ以上の他の末端装置からの確認信号を受信して前記第1末端装置のユーザの身元を確認し、
受信した確認信号を前記認証要素の行列に追加する
ように更に構成される請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記メディアストリームの分析は、前記メディアストリームについての前記認証要素の行列を、前記第1末端装置に関連する以前のメディアストリームについての認証要素の行列と比較することを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記メディアストリームの分析は、前記メディアストリームについての前記認証要素の行列を、ユーザ指定のプリファレンスおよびシステム指定のプリファレンスの一方または両方に基づいて分析することを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記呼処理モジュールは、前記メディアストリームの分析と、前記メディアストリームについての認証スコアをデータベースに格納するように更に構成される請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記メディアストリームの分析および認証スコアの決定は、前記会議通話中に定期的に行われる請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記認証スコアが所定の閾値より低く、前記呼処理モジュールは、ユーザ認証証明の要求を前記第1末端装置に送信するように更に構成される請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記呼処理モジュールは、
前記認証スコアが所定の閾値より低い場合、前記会議通話に加入する要求を拒否し、前記第1末端装置を切断するように更に構成される請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記呼処理モジュールは、
前記認証スコアが所定の閾値以上である場合、前記会議通話に加入する要求を許可し、前記第1末端装置を前記会議通話に接続するように更に構成される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
メディアベース会議通話に参加する末端装置を認証するために非一時的コンピュータ可読記憶装置に有形に具体化されたコンピュータプログラム製品であって、サーバコンピューティング装置の呼処理モジュールに、
複数の末端装置間の会議通話に加入する要求であって、第1末端装置のユーザに関連する認証証明、前記第1末端装置に関連する属性、および、前記第1末端装置に関連するメディアストリームを含む前記要求を受信すること、
前記第1末端装置のユーザに関連する前記認証証明に基づき前記第1末端装置のユーザの身元を判断すること、
前記第1末端装置に関連する前記属性に基づき会議通話アクセスのレベルを判断すること、
前記ユーザの身元に基づき、前記会議通話に参加する認証に関連する許可のセットを含むユーザプロファイルを取得すること、
前記要求に関連する指紋であって、前記第1末端装置の前記ユーザに関連する属性と、前記第1末端装置に関連する前記属性と、要求された前記会議通話のパラメータに関連する属性を含む属性行例を備える前記指紋を生成すること、
ユーザ固有の顔認識属性、ユーザ固有の音声認識属性、音響環境属性、視覚環境属性、ユーザジェスチャ属性、末端装置の技術的属性、およびメディアストリームの技術的属性のうちの少なくとも2つを含む認証要素の行列を使用して前記メディアストリームを分析すること、
前記メディアストリームの分析に基づいて前記第1末端装置の認証スコアを決定すること、
前記認証スコアおよび前記指紋に基づいて、前記第1末端装置を前記会議通話、別のメディアリソース、あるいはネットワークまたは通信システムの別のユーザに接続するかどうかを判断することを実施させる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、セキュアなメディアベース会議における多要素認証のための方法および装置に関し、それにはコンピュータプログラム製品も含まれる。
【背景技術】
【0002】
メディアベースの(すなわち映像および/または音声)会議は、従来、セキュリティ、通話強化、および相互運用性の機能を欠いていた。通常、会議通話は、ネットワークおよび会議通話システムに認識されるとともにすでに認証されている末端間のプライベートネットワーク上で発生する。場合によっては、プライベートネットワークが特定のベンダーの独自のソフトウェアおよび/またはハードウェアプラットフォーム上で動作するため、専用テクノロジの範囲外の末端が会議通話プラットフォームにアクセスすることは困難である。さらに、典型的な会議通話シグナリングは末端間で直接交換されるが、このことが当該シグナリングのセキュリティを達成するのを困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、必要とされているのは、対話型音声応答(IVR)機能および自動応答などの通話強化機能、パスワード管理などの通話セキュリティ機能、および、(フィルタリング機能と許可/拒否機能といった)末端の多要素認証および認可、記録オプション、規制ルール、その他の保持/監視機能などの通話コンプライアンス機能を提供する堅牢な機能セットを提供しながら、安全なメディアベース会議を実施する方法およびシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で説明するシステムおよび方法は、メディアベース会議通話に関連するシグナリングを中断してルーティング、許可、認証などに関して動的に判断するという利点を提供する。本明細書で説明するシステムおよび方法は、会議通話システムに接続する末端の安全な多要素認証の利点を提供する。本明細書で説明するシステムおよび方法は、様々なタイプのソフトウェアおよびハードウェアプラットフォーム上で動作する末端間のシームレスな相互運用性を有するメディアベース会議の利点を提供する。
【0005】
本明細書で説明するシステムおよび方法は、システムのハードウェアリソースおよびソフトウェアリソースを動的に割り当ててメディアベース会議通話の可用性および効率的なルーティングを保証するという利点を提供する。例えば、本明細書で説明するシステムおよび方法によって割り当てられるハードウェアリソースおよびソフトウェアリソースは、メッシュベースのフレームワークを介して通信する、地理的に分散されるとともに独立している複数のノード(例えば同じ物理的エリアにない)に常駐し得る。この属性により、システムが、一般的に使用される伝統的なシングルボックスシステムではなく、コンポーネント化された通話システムの利点を提供できるようになる。さらに、システムを構成するプロセスおよびモジュールは、所与の会議通話、末端装置またはユーザに関してどのアクションを取るべきかについて判断を下す際に、当該システムの他のノードまたはモジュールに依存せずに、互いに独立して動作し得る。本明細書に記載のシステムおよび方法は、あらゆる特定の物理的インフラストラクチャから「会議通話」を分離するという利点を達成する。
【0006】
本明細書で説明するシステムおよび方法は、上記の認証、強化および規制機能のそれぞれを適用しながら、メイン会議通話の参加者間でのプライベートなサブ会議を可能にするというさらなる利点を提供する。
【0007】
本発明は、その一態様において、メディアベース会議通話に参加する末端装置を認証するためのコンピュータ化された方法を特色とする。サーバコンピューティング装置の呼処理モジュールが、複数の末端装置間の会議通話に加入する要求であって、第1末端装置に関連するメディアストリームを含む要求を受信する。呼処理モジュールが、ユーザ固有の顔認識属性、ユーザ固有の音声認識属性、音響環境属性、視覚環境属性、ユーザジェスチャ属性、末端装置の技術的属性、およびメディアストリームの技術的属性のうちの少なくとも2つを含む認証要素の行列を使用してメディアストリームを分析する。呼処理モジュールが、メディアストリームの分析に基づいて第1末端装置の認証スコアを決定し、認証スコアに基づいて、第1末端装置を会議通話、別のメディアリソース、あるいはネットワークまたは通信システムの別のユーザに接続するかどうかを判断する。
【0008】
本発明は、別の態様において、メディアベース会議通話に参加する末端装置を認証するためのシステムを特色とする。そのシステムは、複数の末端装置間の会議通話に加入する要求であって、第1末端装置に関連するメディアストリームを含む要求を受信するように構成される呼処理モジュールを有するサーバコンピューティング装置を備える。呼処理モジュールは、ユーザ固有の顔認識属性、ユーザ固有の音声認識属性、音響環境属性、視覚環境属性、ユーザジェスチャ属性、末端装置の技術的属性、およびメディアストリームの技術的属性のうちの少なくとも2つを含む認証要素の行列を使用してメディアストリームを分析するように更に構成される。呼処理モジュールは、メディアストリームの分析に基づいて第1末端装置の認証スコアを決定し、認証スコアに基づいて、第1末端装置を会議通話、別のメディアリソース、あるいはネットワークまたは通信システムの別のユーザに接続するかどうかを判断するように更に構成される。
【0009】
本発明は、別の態様において、メディアベース会議通話に参加する末端装置を認証するために非一時的コンピュータ可読記憶装置に有形に具体化されたコンピュータプログラム製品を特色とする。コンピュータプログラム製品は、サーバコンピューティング装置の呼処理モジュールに、複数の末端装置間の会議通話に加入する要求であって、第1末端装置に関連するメディアストリームを含む要求を受信することを実施させる更なる命令を含む。コンピュータプログラム製品は、呼処理モジュールに、ユーザ固有の顔認識属性、ユーザ固有の音声認識属性、音響環境属性、視覚環境属性、ユーザジェスチャ属性、末端装置の技術的属性、およびメディアストリームの技術的属性のうちの少なくとも2つを含む認証要素の行列を使用してメディアストリームを分析することを実施させる更なる命令を含む。コンピュータプログラム製品は、呼処理モジュールに、メディアストリームの分析に基づいて第1末端装置の認証スコアを決定し、認証スコアに基づいて、第1末端装置を会議通話、別のメディアリソース、あるいはネットワークまたは通信システムの別のユーザに接続するかどうかを判断することを実施させる更なる命令を含む。
【0010】
上記態様のいずれも以下の特徴の内の一つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、呼処理モジュールは、メディアストリームの分析に基づき、第1末端装置のユーザの身元を判断し、処理モジュールが、ユーザの身元に基づき、会議通話機能性に関連する許可のセットを含むユーザプロファイルを取得する。いくつかの実施形態では、音響環境属性は、(i)ユーザからの1つ以上の事前に記録されたオーディオファイルと、(ii)第1末端装置が位置する部屋の音響属性とを含む。いくつかの実施形態では、視覚環境属性は、(i)ユーザが提供したまたはシステムが捕捉した静止画像および複数の映像フレームと、(ii)第1末端装置が位置する部屋の照明属性とを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1末端装置の技術的属性は第1末端装置に結合されたカメラの画像解像度、装置識別子、場所、および発信元アドレスを含む。いくつかの実施形態では、メディアストリームの技術的属性はメディアフォーマットおよびメディア品質を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、呼処理モジュールは、第1末端装置に関連するメディアストリームを、会議通話に接続された1つ以上の他の末端装置に送信し、1つ以上の他の末端装置からの確認信号を受信して第1末端装置のユーザの身元を確認し、受信した確認信号を認証要素の行列に追加する。いくつかの実施形態では、メディアストリームの分析は、メディアストリームについての認証要素の行列を、第1末端装置に関連する以前のメディアストリームについての認証要素の行列と比較することを含む。いくつかの実施形態では、メディアストリームの分析は、メディアストリームについての認証要素の行列を、ユーザ指定のプリファレンスおよびシステム指定のプリファレンスの一方または両方に基づいて分析することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、呼処理モジュールは、メディアストリームの分析と、メディアストリームについての認証スコアをデータベースに格納する。いくつかの実施形態では、メディアストリームの分析および認証スコアの決定を会議通話中に定期的に行う。いくつかの実施形態では、認証スコアが所定の閾値より低い場合、呼処理モジュールはユーザ認証証明(credentials)の要求を第1末端装置に送信する。いくつかの実施形態では、呼処理モジュールが、第1末端装置についての認証スコアを、会議通話に接続された1つまたは複数の他の末端装置に表示するために送信する。
【0014】
いくつかの実施形態では、認証スコアが所定の閾値より低い場合、呼処理モジュールは会議通話に加入する要求を拒否し、第1末端装置を切断する。いくつかの実施形態では、認証スコアが所定の閾値以上である場合、呼処理モジュールは会議通話に加入する要求を許可し、第1末端装置を会議通話に接続する。
【0015】
本発明の他の態様および利点は、例示のみを目的として本発明の原理を示す添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
上述の本発明の利点は、さらなる利点とともに、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによってよりよく理解されるであろう。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を強調して例示することに置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による、複数の末端装置間のメディアベース会議のためのシステムのブロック図。
図2】本発明の一実施形態による、複数の末端装置間のメディアベース会議のための方法のフロー図。
図3】本発明の一実施形態による、複数の末端間のメディアベース会議のためのシステムのブロック図。
図4】本発明の一実施形態による、会議通話に参加する末端装置を認証するための方法のフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態による、会議通話に参加する複数の末端装置間のサブ会議を確立するためのシステムのブロック図である。
図6】本発明の一実施形態による、会議通話に参加する複数の末端装置間のサブ会議を確立するための方法のフロー図。
図7】本発明の一実施形態による、複数の末端間のメディアベース会議のためのネットワークシステムのブロック図。
図8】本発明の一実施形態による、会議通話に参加する末端装置の多要素認証プロセスのフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による、複数の末端装置間のメディアベース会議のためのシステム100のブロック図である。システム100は、複数の末端装置102a〜102bと、通信ネットワーク104と、サーバコンピューティング装置106と、データベース110とを含み、サーバコンピューティング装置106は、シグナリングプロキシ107、呼処理モジュール108a、メディアモジュール108b、および会議セッションモジュール108cを含む。
【0018】
複数の末端装置102a〜102bは、会議通話および会議を開始し参加するために、および、他の末端との他のメディア通信セッションを開始し参加するために、通信ネットワーク104を介してサーバコンピューティング装置106に接続する。例示的な末端装置は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、モバイル装置、スマートフォン、およびインターネット機器を含む。本発明の範囲から逸脱することなく、サーバコンピューティング装置106に接続することができる他のタイプのコンピューティング装置を使用することができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、末端装置102a〜102bは、会議通話クライアントソフトウェアをローカルで実行して、および/または、別のタイプのユーザインターフェース(たとえば、ウェブブラウザ)を使用して、サーバコンピューティング装置106に接続することができる。会議通話クライアントソフトウェアは、ワシントン州レドモンドのマイクロソフト社から入手可能なスカイプ(商標)やカリフォルニア州マウンテンビューのグーグル社から入手可能なグーグル(商標)ハングアウトのような無料または試用のオープンネットワークソフトウェア、および、カリフォルニア州サンノゼのポリコム社から入手可能なリアルプレゼンス(登録商標)プラットフォームなどのクローズドネットワークソフトウェアであり得る。いくつかの実施形態では、会議通話クライアントソフトウェアは、例えば内部で使用するために企業によって開発された専用プラットフォームであり得る。図1は、2つの末端装置102a〜102bを示しているが、システム100は任意の数の末端装置を含むことができると理解されたい。
【0019】
通信ネットワーク104は、メディアベース会議通話を開始し会議に参加するために、末端装置102a〜102bがサーバコンピューティング装置106と通信することを可能にする。ネットワーク104は、LANなどのローカルネットワークであってよく、またはインターネットおよび/またはセルラーネットワークなどの広域ネットワークであってもよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク104は、末端装置102a〜102bがサーバコンピューティング装置106と通信することを可能にする、いくつかの個別ネットワークおよび/または個別サブネットワーク(例えば、セルラー→インターネット)で構成されてよい。
【0020】
サーバコンピューティング装置106は、複数の末端装置102a〜102b間のメディアベース会議通話を確立、許可、促進および管理する、ハードウェアモジュール類およびソフトウェアモジュール類の組み合わせである。サーバコンピューティング装置106は、シグナリングプロキシ107、呼処理モジュール108a、メディアモジュール108b、および会議セッションモジュール108cを含む。プロキシ107およびモジュール108a〜108cは、サーバコンピューティング装置106上に常駐してメディアベース会議通話の確立、許可、促進および管理に関連する機能を実行するハードウェアモジュールおよび/またはソフトウェアモジュールである。いくつかの実施形態では、プロキシ107およびモジュール108a〜108cの機能は、複数のコンピューティング装置に分散される。本発明の範囲から逸脱することなく、様々なアーキテクチャ、リソース、および構成(例えば、クラスタコンピューティング、仮想コンピューティング、クラウドコンピューティング)に配置された任意の数のコンピューティング装置を使用できると理解されたい。いくつかの実施形態では、本発明の範囲から逸脱することなく、プロキシ107およびモジュール108a〜108cのうちの任意のものが本明細書で説明した機能のうちの任意のものを実施できるようにプロキシ107およびモジュール108a〜108cの機能を分散できることも理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、プロキシ107および/またはモジュール108a〜108cの機能を単一のモジュールにまとめることができ、または、いくつかの実施形態では、プロキシ107に結合された単一のモジュールにモジュール108a〜108cをまとめることができる。
【0021】
シグナリングプロキシ107は、末端装置102a〜102bとモジュール108a〜108cとの間に結合される。プロキシ107は、メディアベース会議通話セッションの確立および維持に関連する、末端装置102a〜102bからの様々なプロトコル(例えば、セッション開始プロトコル(SIP)、h.323)におけるシグナリング通信を受信する。本発明の範囲から逸脱することなく、他のシグナリングプロトコルを使用できると理解されたい。プロキシ107は、末端装置102a〜102bからシグナリング通信を受信し、さらなる処理のためにシグナリングをモジュール108a〜108cに送信する。
【0022】
いくつかの実施形態では、プロキシ107は、シグナリングを、モジュール108a〜108cによって処理し得る別のフォーマットに変換する。例えば、プロキシ107は、通話の詳細(例えば、ドメインから、ドメインへの)、末端装置に固有の詳細、ユーザに固有の詳細、および他のタイプの情報などの項目を含むXMLフォーマットにシグナリングを変換することができ、それによりシグナリングの追加のカスタマイズがもたらされ、モジュール108a〜108cが各末端装置102a〜102bに対して通話を動的な方法で処理できるようになる。
【0023】
プロキシ107からシグナリングを受信すると、呼処理モジュール108aは多数の異なる動作を実施してその通話を処理し得る。いくつかの実施形態では、呼処理モジュール108aは、シグナリングを分析し、その通話をシステム100内のさらなる処理のための他のリソースにリダイレクトする。例えば、呼処理モジュール108aは、入ってきた通話シグナリングが、特定の会議通話ハードウェアプラットフォームおよび/またはソフトウェアプラットフォームを動作させている一末端装置から送信されたものであると判断し得る。このプラットフォーム判断に基づいて、呼処理モジュール108aは、末端装置102aのプラットフォームと通信可能であるシステム内のリソースにそのシグナリングをリダイレクトし得る。いくつかの実施形態では、呼処理モジュール108aは、シグナリングを発信した末端装置102aへ応答を返すが、ここで、その応答は、当該末端装置がそのシグナリングを再ルーティングするための通話ルーティングデータ(例えば、URI)を含む。いくつかの実施形態では、呼処理モジュール108はプロキシ107(例えば、XML)に応答を返し、プロキシ107は宛先末端装置への当該シグナリングセッションのルーティングを取り扱う。
【0024】
いくつかの実施形態では、呼処理モジュール108aは、そのシグナリングを使用して送信元末端装置102aのユーザをおよび/またはそのシグナリングを発信した末端装置102aのタイプを識別する。例えば、呼処理モジュール108aは、「to」アドレス、「from」アドレス、装置識別子、ユーザIDなどのような当該シグナリング内のデータを利用して送信元末端装置または宛先末端装置に関連するユーザの身元(identity)を割り出す。呼処理モジュール108aは、データベース110にアクセスし、上記のデータポイントのいずれかに基づいてユーザの詳細を調べることができる。例えば、シグナリングが「to」アドレスを含む場合、呼処理モジュール108aは、その「to」アドレスに関連するユーザプロファイルを求めてデータベース110を検索し得る。このようにして、呼処理モジュール108aは、シグナリングをユーザにマッピングし、そしてそのユーザの身元に基づいて会議体験をカスタマイズするようにその性能を活用し得る。
【0025】
別の例では、呼処理モジュール108aは、シグナリングを使用して末端装置102aの技術的性能を判断し、当該末端装置に利用可能な会議機能およびオプションを調整し得る。シグナリングは、送信元末端装置102aのデータ送受信用ネットワーク帯域幅が制限されていることを示すデータポイントを含み得る。呼処理モジュール108aは、その装置102aの利用可能帯域幅性能に基づいて、送信元末端装置102aに送信されるメディアの忠実度をアップグレードまたはダウングレードし得る。
【0026】
別の例では、呼処理モジュール108aは、そのシグナリングを使用して末端装置に関連するユーザを(上述のように)判断し、次に、その末端装置のまたはそのユーザの認証を行って、当該システム100に対するそのユーザのアクセスレベルを判断し得る。例えば、呼処理モジュール108aは、特定の宛先リスト(例えば、人、装置、物理的位置)を用いて、そのユーザがメディアベース会議通話を確立することが制限されていると判断し得る。こうした制限の判断に基づいて、呼処理モジュール108aは、送信元末端装置102aとそのシグナリングで指定された宛先末端装置との間の会議通話を確立するかどうかを評価し得る。
【0027】
上述のように、サーバコンピューティング装置106は、メディアモジュール108bも含む。このメディアモジュールは、プロキシ107および他のモジュール108a、108cに結合される。メディアモジュール108bは、通話の終了およびストリーミングポイントとして動作することを含む、メディアシグナリングおよびストリーミング機能を実行する。いくつかの実施形態では、メディアモジュール108bは、参加している末端装置間の中間ポイント(例えば、サーバ装置)を特定してメディアに固定するように機能を実行し、メディアフローを処理しないことがある。いくつかの実施形態では、呼処理モジュール108aがシグナリングに基づいて複数の末端装置間の会議通話を確立すると、呼処理モジュール108aは、それら末端装置間のメディアセッションの取り扱いのために、その通話に関連するメディアをメディアモジュール108bに転送し得る。メディアモジュール108bは、対話型音声応答(IVR)メニューおよびプロンプト、自動応答、および高度PIN管理といった追加の会議通話強化機能も提供する。
【0028】
いくつかの実施形態では、メディアモジュール108bは、メディアシグナリングと、サーバコンピューティング装置106によって処理される会議通話フローとを管理するための構内交換機(PBX)ソフトウェアを含む。当該メディアモジュールに組み込むことができるPBXソフトウェアプラットフォームの例は、アラバマ州ハンツビルのデジアム社から入手可能なアスタリスク(登録商標)である。
【0029】
サーバコンピューティング装置106は会議セッションモジュール108cも含む。会議セッションモジュール108cはプロキシ107および他のモジュール108a、108bに結合される。会議セッションモジュール108cは、メディアベース会議通話に参加する複数の末端装置を単一のセッションにブリッジする機能を実行する。いくつかの実施形態では、会議セッションモジュール108cは、多地点制御ユニット(MCU)である。会議セッションモジュール108cに組み込むことができる例示的なMCUは、カリフォルニア州サンノゼのシスコシステム社から入手可能なCodianである。このMCUは、カリフォルニア州サニーベールのVidtel社から入手可能なVidtelゲートウェイと統合して、追加機能を提供し得る。
【0030】
システム100はデータベース110も含む。データベース110は、サーバコンピューティング装置106に結合され、メディアコンピューティング装置106がメディアベース会議機能を実行するために使用するデータを記憶する。データベース110は、サーバコンピューティング装置106と一体化されてよく、または別個のコンピューティング装置に設けられてよい。システム100と共に使用できる例示的なデータベースは、カリフォルニア州レッドウッドシティーのオラクル社から入手可能なMySQL(登録商標)である。
【0031】
図2図1のシステム100を使用する、複数の末端装置間のメディアベース会議のための方法200のフロー図である。サーバコンピューティング装置106の呼処理モジュール108aは、複数の末端装置(例えば、102a〜102b)間で会議通話を確立する要求を受信する(202)。この要求は、それら末端装置のうちの1つ(例えば、102a)から発信される。例えば、SIPコンテキストにおいて、送信元末端装置102aは、SIP INVITEメッセージをネットワーク104を介してサーバコンピューティング装置106に送信する。プロキシ107は、そのSIP INVITEメッセージを受信し、いくつかの実施形態では、そのSIP INVITEメッセージをXMLに変換する。その後、そのXMLは呼処理モジュール108aに渡される。
【0032】
呼処理モジュール108aは、受信したXML要求に基づいて、送信元末端装置102aに会議通話リソース識別子を割り当てる(204)。以下でさらに詳細に説明するように、呼処理モジュール108aは、当該会議通話用のリソースの可用性を判断し、指定されたリソースおよび/または必要なリソースが利用可能である場合にのみ、会議通話リソース識別子を送信元末端装置102aに送信する。
【0033】
呼処理モジュール108aは、送信元末端装置102aの技術仕様、送信元末端装置102aに関連するユーザの身元、送信元末端装置の地理的位置、および会議通話を確立する要求のうちの1つ以上に基づいて会議通話属性を判断する(206)。上述したように、呼処理モジュール108aは、プロキシ107からXML形式の要求を受信し、その要求に埋め込まれたデータを評価して、会議通話要求に対する処理を決定する。例えば、呼処理モジュール108aは、認証、グループ許可、機能アクセスなどの機能を実行するために、発信元アドレス(例えば、「from」アドレス)を評価して末端装置102aのユーザを識別し得る。別の例では、呼処理モジュール108aは、要求を評価して送信元末端装置および/または宛先末端装置の特定の技術的属性を判断し得る。例えば、通話要求がモバイル装置で発生したものであるかおよび/またはセルラーネットワークを介して発生したものである場合、呼処理モジュール108aは、追加のおよび/または別の通話セキュリティオプション(例えば、暗号化)を決定し得る。別の例では、呼処理モジュール108aは、送信元末端装置102aの地理的位置を評価して、適切なルーティング規則、セキュリティ認証、および/またはハードウェア/ソフトウェアリソースを決定し、送信元末端装置102aにまたは当該会議通話自体に割り当て得る。なお、呼処理モジュール108aは、会議通話を確立する要求を分析して、通話に関連する属性をおよび/または要求が届いたときにモジュール108aが通話に割り当てるべき属性を決定し得ると理解されたい。
【0034】
上述したように、呼処理モジュール108aは、会議通話属性に基づいてリソースの利用可能性を判断する(208)。例えば、呼処理モジュール108aは、要求された会議通話に利用可能なリソース(例えば、ゲートウェイ、URI)を決定し、送信元末端装置102aに割り当てるべき会議通話リソース識別子を生成する。例えば、送信元末端装置102aが特定のソフトウェアプラットフォーム(例えば、スカイプ(商標))を使用してメディアベース会議通話を開始しようとしている場合、呼処理モジュール108aは、その末端装置102aに関連付けるべきスカイプ(商標)URIを生成する。いくつかの実施形態では、特定のリソースが利用できない場合(例えば、スカイプ(登録商標)URIのすべてが使用中である場合)、呼処理モジュール108aは、送信元末端装置102aに通知し、リソースが利用可能になるまで待機するか、会議通話の確立を拒否する。
【0035】
次に、呼処理モジュール108aは、そのソフトウェアプラットフォームに関連するサーバへの当該通話シグナリングのリダイレクトのためにその会議通話識別子(例えば、URI)を末端装置102aに送信(210)し得る。いくつかの実施形態では、会議通話リソース識別子は、その通話シグナリングを取扱い処理できる、システム100の内部にあるリソースに関連付けられる(例えば、内部ゲートウェイ、トランスコーダ)。
【0036】
呼処理モジュール108aは、判断した会議通話属性をメディアモジュール108bに送信する(212)。例えば、呼処理モジュール108aは、通話強化機能、通話ルーティング機能、メディアストリーミング機能、および通話終了機能などの機能を提供するために、判断した会議通話属性を(例えばXMLを介して)メディアモジュール108bに送信し得る。
【0037】
メディアモジュール108bは、会議メディアフローの開始のために、送信元末端装置102aと会議セッションモジュール108cの間の会議メディア接続を確立する(214)。いくつかの実施形態では、呼処理モジュール108aがシグナリング接続を確立し、様々な機能(例えば、認証、許可、ルーティング)を実行すると、メディアモジュール108bは、送信元末端装置102aと、サーバコンピューティング装置106にある会議セッションモジュール108cとの間のメディアフローを開始する。会議セッションモジュール108cが会議通話に参加する様々な末端装置をその会議通話セッションに接続するときに、メディアモジュール108bは依然として通話状態およびメディアストリーミングを管理し得る(216)。いくつかの実施形態では、会議セッションモジュール108cは、判断した会議通話属性を使用して、特定の末端装置が会議通話に接続できるかどうかを判断する。
【0038】
図3は、図1のシステム100に基づく、複数の末端間のメディアベース会議のためのシステム300のブロック図である。システム300は、末端装置102a、サーバコンピューティング装置106、データベース110、第三者会議通話サーバコンピューティング装置302、会議通話トランスコーダ304、メディアベース通信サーバ(MCS)コンピューティング装置306、およびMCU308を含む。
【0039】
図3は、複数の末端装置間のメディアベース会議通話を確立するための例示的なワークフローを示す。
ステップ1:末端装置102aがメディアベース会議通話を確立する要求をメディアコンピューティング装置106に送信する。その要求は会議IDを含む。例えば、末端装置102aがスカイプ(登録商標)クライアントソフトウェアを介して動作している場合、その装置102aのユーザは、スカイプ(登録商標)ユーザインターフェース内のボタンをクリックして会議通話を開始する。そのソフトウェアは、そのユーザのスカイプ(商標)IDおよび会議IDをサーバコンピューティング装置106に送信して、サーバ106とのシグナリングセッションを確立する。
【0040】
ステップ2:サーバコンピューティング装置106は、その要求を処理し、その要求に関連するユーザの身元を判断する。例えば、サーバ106は、その要求からユーザIDを取り出し、データベース110を使用して、ユーザの身元および任意の関連情報(例えば、許可、装置固有情報、および認証の詳細)を割り出し得る。そのサーバは、そのユーザIDに関連するユーザが要求された会議に加入することを許可されているかどうかを確認し得る(会議IDを介して)。次に、サーバコンピューティング装置106は、スカイプ(登録商標)URIを末端装置102aに返す。
【0041】
ステップ3:末端装置102aは、受信したURIを使用して、スカイプ(登録商標)サーバ(例えば、第三者会議通話サーバ302)との会議通話のためのシグナリングセッションを開始する。このURIは、会議通話トランスコーダ(例えば、装置304)、メディアベース通信サーバ(例えば、装置306)、および/またはMCU308に関連するアドレスや識別子を含むことができる。いくつかの実施形態では、このURIはMCS末端に対応し、サーバコンピューティング装置106/データベース110は第三者URIとMCS末端との間の対応関係を維持する。
【0042】
ステップ4:第三者会議通話サーバ302は、この会議通話シグナリングを会議通話トランスコーダ304(例えば、Vidtelモジュール)に転送する。
ステップ5:会議通話トランスコーダ304は、受信したスカイプ(商標)URIをMCS末端アドレスにマッピングする。例えば、トランスコーダ304は、ユーザのスカイプ(登録商標)IDにMCS末端アドレスを追加するように修正することができる(例えば、<ユーザのスカイプ(登録商標)ID>@skype.vidtel.com)。次に、トランスコーダ304は、MCS306と通信する。
【0043】
ステップ6:MCS306は、サーバコンピューティング装置106と通信する。例えば、MCS306は、MCS末端アドレスを含む修正後のスカイプ(商標)IDをサーバコンピューティング装置106に送信する。
【0044】
ステップ7:サーバ106は、この修正後のIDを使用して、末端装置102によって以前にサーバ106に送信されたことのある会議IDを特定する(ステップ1を参照)。サーバ106は、この会議IDをMCS306に送信する。
【0045】
ステップ8:次に、MCS306は、末端装置102aの会議通話シグナリングをMCU308に転送し、ユーザが要求通りにメディアベース会議通話または会議に加入できるようにする。
【0046】
図3は複数の末端装置間でメディアベース会議通話を確立するための例示的な実施形態を表すものと理解されたい。本発明の範囲から逸脱せずに複数の末端装置間のメディアベース会議通話を確立するための他の技術とワークフローが企図され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、システム100は、同じメディアベース会議通話への加入を要求する異なるタイプの末端装置間の相互運用性を提供することができる。例えば、末端装置102aはスカイプ(登録商標)ユーザインターフェースを介してセルラーネットワークからシステム100にアクセスしてよく、一方、別の末端装置102bは、例えば企業内でVoIPアーキテクチャの背後に設置された会議通話端末にアクセスしてよい。サーバコンピューティング装置106はそれら末端装置間のトランスコードを実行してシームレス通信セッションできるようにし得る。いくつかの実施形態では、サーバコンピューティング装置106は、要求のタイプによっておよび/またはシステムにアクセスしている末端装置のタイプによってシステムリソースを確保する。サーバコンピューティング装置106は、メディアベース会議通話の開始および終了に基づいて、システムリソースが適切に確保され解放されるようにアクセスプールを維持することができる。
【0048】
図4は、図1のシステム100を使用してメディアベース会議通話に参加する末端装置を認証する方法のフロー図である。サーバコンピューティング装置106の呼処理モジュール108aは、複数の末端装置(例えば、末端装置102a〜102b)間の会議通話を確立する要求を受信する(402)。その要求は、ある末端装置(例えば、102a)のユーザに関連する認証証明と、その末端装置102aに関連する属性とを含む。呼処理モジュール108aは、この認証証明に基づいてこの末端装置のユーザの身元を判断する(404)。呼処理モジュール108aは、この末端装置に関連する属性に基づいて会議通話アクセスのレベルを判断する(406)。呼処理モジュール108aは、ユーザの身元に基づいてユーザプロファイルを取得する(408)。このユーザプロファイルは、会議通話機能性に関連する許可のセットを含む。呼処理モジュール108aは、このユーザプロファイルおよび会議通話アクセスのレベルに基づいて、この末端装置を会議通話に接続するかどうかを判断する(410)。
【0049】
例えば、サーバコンピューティング装置106は多要素認証を行って、(i)ユーザおよび、会議通話を確立する要求を開始した末端装置の両方の身元と、(ii)どのようにサーバ106が要求を取扱うべきか(例えば、呼を接続し、さらなる処理のために呼をシステム内の別のリソースにルーティングし、追加手段を介してユーザを認証する)を判断し得る。ある例では、サーバコンピューティング装置106は、その末端装置のユーザ、その末端装置自体、および/または要求された通話のパラメータに関連する属性を評価することによって着信要求に指紋を付けて指紋を構成する属性行列を生成する。サーバ106は、その指紋を例えばデータベース110に格納し、その指紋を将来、すなわち、同じユーザまたは末端装置からの要求と異なるユーザまたは末端装置からの要求とを比較する際に、参照できるようにする。サーバコンピューティング装置106はまたその指紋を会議通話が確立の後へと進んだものとして再評価し得る。例えば、末端装置が、通話要求を送信する際に、ただし通話の間にその末端装置属性が変更される後に、一時的な偽のエイリアスをサーバ106に提供することによって許可されていない方法で会議通話システムにアクセスしようとしている場合、サーバ106は、再度指紋を動的かつ自動的に評価し、必要であれば、是正措置を講じ得る(例えば、通話を切断し、その通話を監視用の別のリソースにルーティングする)。
【0050】
いくつかの実施形態では、多要素認証は2つの側面すなわち(1)技術的側面(すなわち、どのように/なぜ末端装置が発呼しているのか)、および(2)個人的側面(すなわちその末端装置のユーザは誰か)に従って実装される。サーバコンピューティング装置106は、ある末端装置からメディアベース会議の要求を受信し、その発呼側装置の技術的特徴(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、場所、発信ネットワーク、プロトコル)およびその発呼側装置のおよび/またはその装置に関連するユーザの個人的特徴(例えば、ユーザ名、ID、PIN、顔認識)等の項目を判断する。サーバコンピューティング装置106は、両方の情報セットを評価して、適切なアクセスおよびアクセスポイントがその末端装置に対して許可されることを保証する堅牢な認証プロセスを提供し得る。
【0051】
システム100は、ユーザ固有の認証要素のマトリクスに基づいて多要素認証を実行することができ、それには、限定ではないが、顔認識属性、音声認識(例えば、発声パターン/波長)属性、音響環境属性、視覚環境属性、ユーザジェスチャ属性、ユーザによって操作される末端装置の技術的属性、その末端装置から受信したメディアストリームの技術的属性が含まれる。例示的な音響環境属性は、会議通話中にユーザが位置する部屋/環境の音響、および会議通話中に音声を取り込むために使用される機器(例えば、マイクロフォン)または装置の音響属性を含む。例示的な視覚環境属性は、ユーザの周囲にある物体(例えば、壁、窓、絵画、家具)、その環境の色、環境の照明色相などを含む。
【0052】
例示的なユーザジェスチャ属性は、会議通話中のユーザ身体の配置および/または動作(例えば、話している間のユーザの手の動き)、会議通話の開始時にユーザが行う所定のジェスチャパターン、および他の同様のタイプのジェスチャ認識属性を含む。ユーザによって操作される末端装置の例示的な技術的属性は、ユーザがそれを介して会議通話に接続するハードウェアおよび/またはソフトウェアプラットフォーム、画像キャプチャ装置の属性、および、ユーザによって操作されている装置のアドレス/ID属性(例えば、IPアドレス、MACアドレス、地理学的位置/GPS特徴など)を含む。末端装置から受信されるメディアストリームの例示的な技術的属性は、ビットレート、ジッタ、遅延、使用する圧縮プロトコル/メディアフォーマット/コーデック、トランスポートプロトコル、暗号化標準などを含む。
【0053】
システム100は、上記認証要素のうちの任意のものを分析して会議通話に接続する末端装置の認証スコアを決定し得る。認証スコアは、会議通話への加入を要求している末端装置および/またはユーザがそれを行うことが実際に許可されている信頼性のレベル表す。いくつかの実施形態では、本システムが末端を会議通話に接続するか否かを判断するために、認証スコアは認証ポイントの現在のマトリックスを、その末端装置に関連する過去の認証要素(例えば、データベースに格納)と比較することによって決定される。場合によっては、システム100は、過去の認証要素に基づいて閾値を生成し得る。例えば、認証スコアがその閾値を下回った場合、システム100は、その末端装置が認証されていないと判断し、その装置が会議通話に接続することを防止(および/またはその装置をシステム100から切断)することができる。
【0054】
別の例では、認証スコアが閾値を下回った場合、システム100は、その末端装置が会議通話に接続することを可能にするとともに、当該会議通話をしている他のユーザに、その末端装置/ユーザが認証されていないことを通知する。他のユーザは、そのユーザの身元を(例えば、確認信号を使用して)確認し、システム100に(i)そのユーザが参加する権限があることを通知しおよび/または(ii)そのユーザの身元をシステム100に指示することによってその末端装置/ユーザを認証し得る。後者の場合、システム100は現在の認証要素をそのユーザのプロファイルに(例えば、認証要素の第2セットとして)格納し、そのユーザ/末端装置が将来の会議通話に参加することを要求した場合、システム100が自己学習プロセスの一部として認証要素の第2セットに基づきそのユーザ/末端装置を認識できるようにする。場合により、システム100は、認証要素の第2セットと、ユーザ/末端装置のために既に格納されている認証要素とを併合して更新ユーザプロファイルとすることができる。
【0055】
システム100は、他人のスコアが誰にでも判るように、他のユーザへの会議通話画面上にユーザの/末端装置の認証スコアを表示し得る。一実施形態では、スコアは百分率の数字(例えば、75%)として表示され、色分け表示され得る。たとえば、75%を超える認証スコアは緑色に、50〜75%の認証スコアはオレンジ色に、50%未満の認証スコアは赤色に色分けされる。
【0056】
いくつかの実施形態では、上記多要素認証技術は、会議通話の開始時(または会議通話への加入の要求時)に実行されるとともに会議通話中に定期的に実行される。会議通話中に起こる認証は、予めスケジュールされてもよく(例えば、15分ごと)、または認証要素の行列(matrix of authentication factors)に対する変更に基づいて動的に実施されてもよい。例えば、会議通話に参加している一末端装置がそのIPアドレス/場所を変更する場合(例えば、携帯電話機の地理的移動のため)、システム100はその末端装置にリアルタイム認証のフラグを立てることができる。別の例では、ユーザが眩しさ減らすために部屋のシェードを引き下げることがあり、それによってそのユーザ映像における照明色相が変化する。システム100は、その末端装置のリアルタイム認証を実行して、その装置が依然として会議通話に参加する権限を有するかどうかを判断することができる。
【0057】
図8は、会議通話に参加する一末端装置の多要素認証プロセスのフロー図である。図8で説明するプロセス機能802、804、806、808、810のうちのいずれもが図1のシステム100について説明したモジュール107、108a〜108cのうちの1つ以上によって実行され得ると理解されたい。
【0058】
あるユーザによって操作される末端装置102aが、進行中のビデオ会議へ加入するための要求をサーバコンピューティング装置106に送信する。その末端装置102aからの呼は、サーバコンピューティング装置106によってコア呼制御機能802で受信される。コア呼制御機能802は、決定エンジン804と通信してその末端装置が加入したいビデオ会議が多要素認証を必要とする呼であることを判断する。コア呼制御機能802は、末端装置102aのユーザに認証が実行されている間待機するように依頼するインタラクティブ音声応答(IVR)機能806と通信する。末端装置102aに関する認証要素の行列は(前述の如く)、多要素認証サービス808に送信され、この多要素認証サービス808は、上述した分析を実行してこの末端装置102aの認証スコアを生成する。この末端装置102aがビデオ会議に加入することが認可されていると多要素認証サービス808が判断した場合、コア呼制御機能802は、ビデオ会議通話が行われている多人数会議ユニット(すなわち、MCU810)に末端装置102aのメディアストリームを送信する。いくつかの実施形態では、コア呼制御機能802は、末端装置102aを待機部屋に移してもよい(例えば、パスコードなどのさらなる認証が必要な場合や、主催者がまだ参加していない場合など)。末端装置102aがビデオ会議に加入すると、MCU810は、定期的な/動的な認証手順および前述の自己学習手順を実行するために、末端装置102aに関連するデータおよびそのメディアストリームを多要素認証サービス808に送信し得る。このデータは、将来の使用のためにデータベース110に格納され得る。
【0059】
システム100はまた、個人許可レベルと通話/会議許可レベルとの両方で認証を実行することも可能である。例えば、サーバコンピューティング装置106は、例えば軽量ディレクトリアクセスプロトコル(LDAP)またはアクティブディレクトリ(AD)サービスに基づいて、データベース110から個人許可を取り出すことができる。サーバコンピューティング装置106は、ユーザ情報を会議通話許可管理に使用するように、組織内ユーザプロファイルおよびディレクトリサービスと結びつけ得る。また、サーバコンピューティング装置106は、例えばユーザ識別子、職位、アクセスレベル、または、ユーザに関連して規定される他のパラメータに基づいて、特定の会議通話または会議に加入する資格のある参加者のリストを生成または保存することといった、通話/ユーザ許可を維持および管理することもできる。
【0060】
システム100は、機能レベルで、個人レベルで、グループレベルで、および/または装置レベルで認証および許可をカスタマイズ可能にする強固な許可スキームを有する。機能的許可については、システム100は、特定のユーザまたは末端装置または会議通話が特定の機能を、例えばサブ会議を設定すること、会議通話を確立すること、参加者を招待すること、セキュリティ属性を実装することなどを実行できることを判断し得る。個人許可については、システム100は、特定のユーザに対するアクセス制御の粒度(granularity)を可能にする。例えば、システム100は、あるユーザが特定の場所(例えば、自宅ではない仕事場)から、特定の人に、特定のタイプの会議通話を招待することについて許可されているなどを判断し得る。
【0061】
グループ許可については、システム100は、任意の数の異なる要件または分類に基づいて、複数のユーザに属性を割り当てることができる。たとえば、一企業のすべての従業員が一グループに割り当てられ得る。システム100は、ユーザ達を、企業内の複数のビジネスユニットまたはビジネスユニット内の複数の製品チームといった、複数のグループおよび/または複数のサブグループに割り当て得る。ユーザは任意の数のユーザを含む、例えば2人のまたはそれ以上のユーザからなる、独自のアドホックグループ(例えば、友人、ビジネスコンタクト)を形成することもできる。なお、ユーザは、あるグループに入るために(例えば、雇用主によって)提携する必要はない装置許可については、システム100は、特定の通話環境(例えば、ある末端装置のハードウェアおよび/またはソフトウェアプラットフォーム(または他の技術的属性)、ある末端装置の場所など)に対してあるレベルのアクセスおよび機能を決定することができる。
【0062】
本明細書で説明する許可構造の別の態様は、階層的性質の許可である。たとえば、ある企業はそのすべての従業員を特定のグループに割り当てることがある。そのグループ内の特定の一部の従業員はサブグループを形成して企業全体の許可構造とは異なる許可レベルを望むことがある。システム100は、企業全体の許可構造がサブグループ許可レベルを無視するが、そのサブグループ許可レベルが企業全体の許可構造の範囲を超えないようにまたは競合しないように制限することができる。
【0063】
いくつかの状況では、メイン会議通話の一部の参加者はプライベートな問題について話し合うために当該参加者自身をメイン会議通話から短時間だけ切り離したい場合がある。例えば、メイン会議通話が複数の当事者間でのビジネス交渉または訴訟手続に関わるものである場合、ある当事者は、メイン会議通話から切断せずにプライベート会話で機密問題または秘匿権的問題について意見交換したいことがある。したがって、本システムは、複数の末端装置間でサブ会議を確立する機能を提供し、そのサブ会議に上記の機能をすべて(例えば、認証、ルーティング、および許可)を適用し得る。
【0064】
図5は、図1のシステムに基づいて、メディアベース会議通話に参加する複数の末端装置(例えば、末端装置102a、102b、602a、602b)間のサブ会議を確立するためのシステム500のブロック図である。システム500は、末端装置102a、102b、502a、502b、およびサーバコンピューティング装置106を含む。末端装置102a、102b、502a、502bは、上述の技術を使用してメイン会議通話504に接続する。メイン会議通話504が確立されると、一部の参加者がある期間だけメイン会議通話504から自分自身を分離したいと望むことがある。
【0065】
図6は、図1のシステム100および図5のシステム500を使用してメディアベース会議通話に参加する複数の末端装置間でサブ会議を確立する方法600のフロー図である。サーバコンピューティング装置106は、メイン会議通話に参加中の第1末端装置(例えば、末端装置102a)からサブ会議を確立する要求を受信する(602)。この要求は、メイン会議通話に参加中の第2末端装置(例えば、末端装置102b)に関連する識別子を含む。例えば、末端装置102aのユーザは、末端装置102bのユーザとのサブ会議を開始すべく末端装置102bのユーザに関連するアイコンをクリックすると、その装置102aは、サーバコンピューティング装置106に要求を送信する。
【0066】
サーバコンピューティング装置106は、サブ会議確立の要求に基づいてメイン会議通話504とは別の通話インスタンス(例えば、別の通話インスタンス506)を開始する(604)。例えば、サーバコンピューティング装置106は、サーバ106によって管理されるがメイン会議通話504とは分離したメディアフローの別の会議を割り当てることによって、別の会議通話インスタンス506を開始することができる。いくつかの実施形態では、メディアフローの一部のみが別の会議通話インスタンス506に転送される。例えば、メイン会議通話の参加者はサブ会議に関与しているユーザに関連する映像を引き続き見ることができるが、サブ会議に関与しているユーザ間で交換される音声通信は、メイン会議通話504から除外される。別の例では、メイン会議通話の参加者は、一部のユーザがサブ会議を開始したことを示す発信音を聞くことができる。いくつかの実施形態では、サブ会議は、サブ会議の参加者間のテキスト情報交換(例えば、チャット)を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、サーバコンピューティング装置106は、サブ会議に加入したユーザおよび/または末端装置に関連する臨席情報を変更する。例えば、サーバコンピューティング装置106は、メイン会議のすべての参加者に対し、ビデオ会議におけるユーザの名前または画像にそのユーザがサブ会議にいることを示すステータスインジケータを追加することができる。別の例では、サーバコンピューティング装置106は、メイン会議通話の参加者に対し、あるユーザがサブ会議に入っているという音声メッセージを定期的に再生し、そのユーザを名前で識別することができる。
【0068】
サーバコンピューティング装置106は、第1末端装置102aと第2末端装置102bとをメイン会議通話504から分離することなく、第1末端装置102aと第2末端装置102bとを別の会議通話インスタンス506に繋ぐ(606)。サーバコンピューティング装置106は、第1末端装置102aと第2末端装置102bとの間のメディアフローを確立するが(608)、メイン会議通話504が第1末端装置102aと第2末端装置102bとの間のメディアフローへアクセスすることは禁止される。
【0069】
サーバコンピューティング装置106は、通話ルーティング、強化機能、許可、認証などに関して上述した概念のどれでもサブ会議通話インスタンス506に適用し得る。例えば、メイン会議通話のある参加者が別の参加者とのサブ会議を確立しようとする場合、サーバ106は、第1参加者が第2参加者と個人的に通信することが許可されているかどうかを、例えばデータベース110に格納されているルールの組を介して、判断し得る。当該ルールは、メイン会議通話に先立って予め決められてよく、または、発呼時に参加者が同意することによって決めされてもよい。このルールは、通話中に、例えば参加者がメイン会議通話から来たり入ったりするときに、変更されてよい。許可および関連機能は、メイン会議通話およびサブ会議にまたがって階層的であってよく、その結果、あるユーザが各通話インスタンスにおいて同じ許可範囲を有するようになり、またはいくつかの実施形態では、あるユーザは、サブ会議での許可範囲がメイン会議通話での許可範囲に比べて制限されたものとなることがある。
【0070】
なお、いくつかの実施形態では、サーバコンピューティング装置106は、会議通話中の各参加者の状態を追跡する。例えば、サーバ106は、ユーザがサブ会議に入った状況についての特定のデータを記録する(例えば、サブ会議が開始された時刻、サブ会議のユーザの身元、サブ会議の継続時間等)。この機能により、会議通話の構造とタイミングについての詳細なレポートが可能になり、監査とコンプライアンスの目的に役立つ。
【0071】
特定の状況では、このルールは、サブ会議に適用すべき特定の監視機能とレポート機能を提供する。たとえば、ある業界では、特定のガイドラインに従ってすべての通信を記録し文書化するように規制されることがある。サーバコンピューティング装置106は、サブ会議を記録するかどうか、サブ会議の参加者を識別するかどうかおよび他の同様の要件をルールに基づいて判断することができる。場合によっては、メイン会議通話に適用されるルールが自動的にサブ会議に伝達される。また、本システムは、監視や、サブ会議と共に使用される報告などの追加機能を提供し得る。
【0072】
さらに、本明細書に記載の方法およびシステムによって提供される利点は、各末端装置(例えば、図1の装置102a)が、会議通話に参加するときに、当該末端装置独自のメディアストリームを有することである。したがって、サーバコンピューティング装置106および/または他の仲介サーバおよび装置は、特定の末端装置のユーザに対して個人化されたかまたは当該ユーザに固有のアーチファクト(例えば、通知、アラート、メッセージ、グラフィックス)を、他の末端装置のメディアストリームに挿入することなく挿入できる。この技術により、システム100が個々のユーザに対し動的かつ個人化されたユーザインターフェース、記録および表示動作を実行できるようになる。
【0073】
図7に示すように、これらの技術は異なる場所に分散された複数のコンピューティング装置を含むネットワーク化されたシステム700で実施してもよい。場所A702、場所B704および場所C706はいずれも、図1のコンポーネント107、108a〜108c、110を有するサーバコンピューティング装置106を含み、場所702、704、706にあるサーバはネットワーク104を介して互いに接続されている。図7のネットワーク化システムは、本明細書に記載した処理機能をいくつかのコンピューティング装置に分散することを可能にし、ある場所のコンピューティング装置がオフラインであるかまたは動作不能である場合に冗長性を提供する。いくつかの実施形態では、特定の場所(例えば、場所A702)の近傍にある末端装置(例えば、装置102a)は、その場所にあるサーバ106を介してネットワークシステムにアクセスする。いくつかの実施形態では、各場所702、704、706のサーバコンピューティング装置106は、ネットワークに接続された中央コンピューティング装置712(例えば、サーバ)と通信する。中央コンピューティング装置712は、コンピューティング装置106のネットワークに対し、データおよび/または処理リソースを提供し得る(例えば、コンピューティング装置を横断する機能/データの同期化)。
【0074】
なお、上記の方法、システム、および技術のいずれも、本発明の範囲から逸脱することなく、ビデオ会議の文脈で(すなわち、ビデオおよびオーディオメディアからなる会議通話)およびオーディオのみの会議の文脈で実装することができる。
【0075】
上述の技術は、デジタルおよび/またはアナログ電子回路に実装することができ、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアに、またはそれらの組み合わせに実装することができる。当該実装は、コンピュータプログラム製品、すなわち、例えばプログラム可能プロセッサ、コンピュータ、および/または複数のコンピュータ等のデータ処理装置による実行のために、またはデータ処理装置の動作を制御するために、機械読み取り可能記憶装置に有形に組み込まれたコンピュータプログラムとしてもよい。コンピュータプログラムは、ソースコード、コンパイルされたコード、解釈されたコードおよび/または機械コードを含む任意の形態のコンピュータ言語またはプログラミング言語で書かれたものであってよく、コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムとしてあるいはサブルーチン、要素、またはコンピューティング環境での使用に適した他の単位を含め、任意の形式で展開可能なものであってよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または1つ以上のサイトにある複数のコンピュータ上で実行されるように展開されてよい。
【0076】
方法ステップは、入力データに対して動作することおよび/または出力データを生成することによって本発明の機能を実行するコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプロセッサによって実行することができる。FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、FPAA(フィールドプログラマブルアナログアレイ)、CPLD(複合プログラマブルロジックデバイス)、PSoC(プログラマブルシステムオンチップ)、ASIP(特定用途向け命令セットプロセッサ)、またはASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路によって方法ステップが実行されてよく、当該専用論理回路として装置が実施されてよい。サブルーチンは、格納したコンピュータプログラムの一部および/またはプロセッサの一部および/または1つまたは複数の機能を実装する特殊回路の一部を参照することができる。
【0077】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサの両方、および、任意の種類のデジタルまたはアナログコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリ、あるいはその両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサおよび命令および/またはデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。キャッシュなどのメモリデバイスは、データを一時的に格納するために使用できる。メモリデバイスは、長期間のデータ保存にも使用できる。一般に、コンピュータは、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスク等のデータ格納用の1つまたは複数の大容量記憶装置を含んでよく、データを受信するように当該大容量記憶装置と動作可能に結合されてよく、または当該大容量記憶装置にデータを転送するように動作可能に結合されてよく、またはデータを送受信するように当該大容量記憶装置と動作可能に結合されてよい。コンピュータは、ネットワークから命令および/またはデータを受信し、および/または命令および/またはデータをネットワークに転送するために、通信ネットワークに動作可能に結合されてよい。コンピュータプログラム命令およびデータを具体化するのに適したコンピュータ可読記憶媒体には、あらゆる形態の揮発性および不揮発性メモリが含まれ、例として、DRAM、SRAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、例えば内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、CD、DVD、HD−DVD、Blu−ray(登録商標)ディスクなどの光ディスクが含まれる。プロセッサおよびメモリは専用論理回路によって補完されてよく、専用論理回路に組み込まれてよい。
【0078】
ユーザとの対話を提供するために、上述の技術は、例えばCRT(ブラウン管)、プラズマ、またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ、モバイル装置ディスプレイまたは画面、ホログラフィックデバイスおよび/またはプロジェクタなどのユーザに情報を表示するためのディスプレイ装置、ならびに、ユーザがコンピュータに入力(例えば、ユーザインタフェース要素と対話)できるようにする、キーボード、および、マウス、トラックボール、タッチパッドまたはモーションセンサなどのポインティングデバイスを含み得る。ユーザとのやりとりを提供するために他の種類の装置を使用してもよい。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚的フィードバックなどの任意の形態の感覚フィードバックであってよく、ユーザからの入力は、音響、音声、および/または触覚入力を含む任意の形態で受信されてよい。
【0079】
上述した技術は、バックエンドコンポーネントを含む分散コンピューティングシステムに実装することができる。バックエンドコンポーネントは、例えば、データサーバ、ミドルウェアコンポーネント、および/またはアプリケーションサーバとすることができる。上述した技術は、フロントエンドコンポーネントを含む分散コンピューティングシステムに実装することができる。フロントエンドコンポーネントは、例えば、グラフィカルユーザインタフェースを有するクライアントコンピュータ、ユーザが例示した実装と対話できるようにするウェブブラウザ、および/または送信装置用の他のグラフィカルユーザインタフェースとすることができる。上述した技術は、このようなバックエンド、ミドルウェア、またはフロントエンドのコンポーネントの任意の組み合わせを含む分散コンピューティングシステムに実装することができる。
【0080】
コンピューティングシステムのコンポーネントは伝送媒体によって相互接続されてよく、当該伝送媒体には、デジタルまたはアナログのデータ通信(例えば、通信ネットワーク)の任意の形式または媒体を含むことができる。伝送媒体は、任意の構成において、1つまたは複数のパケットベースネットワークおよび/または1つまたは複数の回路ベースネットワークを含むことができる。パケットベースネットワークは、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ホームエリアネットワーク(HAN)などのキャリアインターネットプロトコル(IP)ネットワーク、プライベートIPネットワーク、IP構内交換機(IPBX)、無線ネットワーク(例えば、無線アクセスネットワーク(RAN)、ブルートゥース(登録商標)、Wi−Fi、WiMAX、汎用パケット無線サービス(GPRS)ネットワーク、HiperLAN)、および/または他のパケットベースのネットワークとすることができる。回路ベースネットワークには、例えば公衆交換電話網(PSTN)、レガシー構内交換機(PBX)、無線ネットワーク(例えばRAN、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーション(GSM(登録商標)ネットワーク))、および/または他の回路ベースネットワークを含むことができる。
【0081】
伝送媒体を介する情報転送は、1つまたは複数の通信プロトコルに基づくことができる。通信プロトコルは、例えば、イーサネット(登録商標)プロトコル、インターネットプロトコル(IP)、ボイスオーバーIP(VOIP)、ピアツーピア(P2P)プロトコル、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、セッション開始プロトコル(SIP)、H.323、メディアゲートウェイコントロールプロトコル(MGCP)、シグナリングシステム#7(SS7)、グローバル移動体通信システム(GSM(登録商標))プロトコル、プッシュツートーク(PTT)プロトコル、POC(PTToverCellular)プロトコル、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)、3GPPロングタームエボリューション(LTE)および/または他の通信プロトコルを含む。
【0082】
コンピューティングシステムの装置は、例えば、コンピュータ、ブラウザ装置を有するコンピュータ、電話機、IP電話機、モバイル機器(例えば、携帯電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)デバイス、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、電子メール装置)、および/または他の通信装置を含むことができる。ブラウザ装置は、例えば、WorldWideWebブラウザ(例えば、グーグル社のクローム(登録商標)、マイクロソフト社から入手可能なマイクロソフト(登録商標)インターネットエクスプローラ(登録商標)および/またはモジラ社から入手可能なモジラ(登録商標)ファイヤーフォックス)を備えたコンピュータ(デスクトップコンピュータおよび/またはラップトップコンピュータ)を含む。モバイルコンピューティング装置は、例えば、リサーチインモーション社のブラックベリー(登録商標)、アップル社のアイフォン(登録商標)、および/またはアンドロイド(登録商標)ベースの機器が含まれる。IP電話機は、から入手可能なシスコ(登録商標)ユニファイドIPフォン7985Gおよび/またはシスコ(登録商標)ユニファイドワイヤレスフォン7920を含む。「備える」、「含む」、および/または、「各の複数の形」は、オープンエンドであり、列挙された部分を含み、列挙されていない追加の部分を含むことができる。「および/または」はオープンエンドであり、記載された部品の1つまたは複数と、リストされた部品の組み合わせを含む。当業者であれば、本発明の思想または本質的な特徴から逸脱することなく、本発明を他の特定の形態に具体化できると理解するであろう。したがって、前述の実施形態は本発明を本明細書に記載されたものに限定するのではなく例示的なものであるとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8