(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気分解に必要な触媒を有し水及び気体が通過可能な陽極層と、電気分解に必要な触媒を有し水及び気体が通過可能な陰極層と、前記陽極層及び前記陰極層間に互いに密着して挟設された固体高分子膜と、前記陽極層に接する陽極室と、前記陰極層に接する陰極室とを備えており、前記陰極室に所定圧力以上の飲料水が供給されている第1の状態において、前記陽極室の水若しくは気体の単独圧力又は水及び気体の混合圧力を前記陰極室の圧力未満に制御して電気分解することにより前記陰極層に発生した水素ガスを前記飲料水に溶解させて水素水を生成するように構成されており、前記陰極室に飲料水が供給されていない第2の状態において、前記陰極室の水及び気体の混合圧力が前記陽極室の水若しくは気体の単独圧力又は水及び気体の混合圧力未満に制御するように構成されていることを特徴とする水素水の製造装置。
前記第1の状態において、前記陽極室の水若しくは気体の単独圧力又は水及び気体の混合圧力が、0.03MPaから0.1MPaの範囲の圧力であることを特徴とする請求項1に記載の水素水の製造装置。
前記第1の状態において、前記陰極室に供給される飲料水の圧力が0.1MPaから0.3MPaの範囲の圧力であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素水の製造装置。
前記陽極室に圧力計が接続されていると共に前記陽極室と大気との間に電磁弁が接続されており、前記圧力計の計測値に基づいて前記電磁弁が制御されるように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の水素水の製造装置。
前記固体高分子膜の前記含水率が、飽和含水膜に対する含水率で27.6%以上の陽イオン交換膜であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の水素水の製造装置。
前記陽極層及び/又は前記陰極層が、チタンのラス網又はパンチメタルで形成されたチタン製白金電極であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の水素水の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された水素水製造装置は、多量の飽和ガス下で水素イオンと水酸基イオンとを中和させるものであるため、pH中和に数分の時間を要するという欠点があり、固体高分子膜と陰極触媒間の隙間では水は多少アルカリ性になり、水中のカルシウムやマグネシウム等の溶解陽イオン物質は水が電気分解で減少するに従って濃縮し、若干のアルカリ性と溶解陽イオンの高濃度化によってカルシウムスケール(堆積物)やマグネシウムスケール(堆積物)が生成・付着する現象が生じていた。その結果、陰陽極間の通電障害が生じ、電流値が低下し、水素ガス発生量も低下することとなり所望の溶存水素水濃度が得られない問題が発生していた。
【0008】
特許文献2では、スケール防止対策として、同文献の
図2に示すような電解槽の構造で被処理水の電導度が10mS/m(100μS/cm)以下であることが望ましいとされており、原水をイオン交換樹脂や逆浸透膜で脱塩処理した1mS/m以下程度の被処理水を陰極室に供給する構成とされている。しかしながら、一般的な水道水は、電導度が15mS/m程度であることから、前処理が必要であった。
【0009】
本発明は、従来技術のこのような問題点を解消するものであり、その目的は、一般的な日本の水道水をそのまま被処理水として陰極室のみに供給しても、電解槽において直接短時間で水素水を生成でき、固体高分子膜と陰極触媒間の隙間間でカルシウムスケールやマグネシウムスケールが生成・付着する現象を防止できる水素水の製造装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、製造コストが安価で、長期間の使用にあっても水素ガス発生量の低下がなく安定した水素水が得られ、効率の良い水素ガス発生機能を長時間にわたって維持することができる水素水の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、水素水の製造装置は、電気分解に必要な触媒を有し水及び気体が通過可能な陽極層と、電気分解に必要な触媒を有し水及び気体が通過可能な陰極層と、陽極層及び陰極層間に互いに密着して挟設された隔膜と、陽極層に接する陽極室と、陰極層に接する陰極室とを備えている。陰極室に所定圧力以上の飲料水が供給されている第1の状態において、陽極室の水若しくは気体の単独圧力又は水及び気体の混合圧力を陰極室の圧力未満に制御して電気分解することにより陰極層に発生した水素ガスを飲料水に溶解させて水素水を生成するように構成されており、陰極室に飲料水が供給されていない第2の状態において、陰極室の水及び気体の混合圧力が陽極室の水若しくは気体の単独圧力又は水及び気体の混合圧力未満に制御するように構成されている。
【0012】
このように、本発明では、固体高分子膜からなる隔膜が陰極層を介して接触する陰極室に所定圧力以上の飲料水が供給されている第1の状態(取水時、電解時)において、陽極室より高い圧力を持った飲料水(加圧水)によって隔膜内及び隔膜と陰極層との隙間に水が供給され、この水が電気分解されることによって陰極層の表面で発生した水素ガスが飲料水に溶解して水素水が生成される。その際に、隔膜と陰極層との隙間に、溜まった水のカルシウムやマグネシウム等の溶解固形物が濃縮されることとなるが、陰極層側に飲料水が供給されない第2の状態(取水休止時、電解休止時)において、陽極室の圧力を陰極室の圧力より高くすることによって隔膜が陰極層に押し付けられることとなり、隔膜と陰極層との隙間に溜まった、カルシウムやマグネシウム等の溶解固形物が濃縮された水は陰極室に押し出される結果となり、次に陰極室に陽極室側より高い圧力を持った飲料水が供給されて電解するときには、隔膜内及び膜と陰極層との隙間に濃縮度が低減された水が供給されることとなる。即ち、陰極室の圧力と陽極室の圧力とを変化させることによって、陰極層と陽極層との間で隔膜をピストン運動させることにより隔膜と陰極層との隙間に存在する水を入れ替えてカルシウムやマグネシウム等のスケールを除去しているのである。
【0013】
また、本発明は固体高分子形電解を利用しており、無機物溶解で電導性を有する飲料水を陰極室に加圧供給し、陰極表面上に発生する水素ガスを飲料水に溶解させ水素水を生成している。固体高分子形電解では、前述したように、陽極側では、H
2O→1/2O
2↑+2H
++2e
−の反応が、陰極側では、2H
++2e
−→H
2↑の反応が起きる。このような固体高分子形電解を利用しているため、直接飲料水の電解でありながらアルカリ水電解のようにpH9以上のアルカリ性とはならず、また、次亜塩素酸イオンの混入も制限された水素水の製造が可能となる。さらに、飲料水を使用しているため原水からRO水や純水を作る装置が不要であり、また、この飲料水が無機固形物を含有し電導性を有して電圧値が下がることで電気分解時の発熱が少なく、さらに飲料水が外部から供給されていることから、電解槽の冷却装置が不要となり、装置の製造コストを低減化することができる。
【0014】
第1の状態において、陽極室の水若しくは気体の単独圧力又は水及び気体の混合圧力が、0.03MPaから0.1MPaの範囲の圧力であることも好ましい。なお、本明細書において、圧力は、大気圧が0MPaである大気圧基準(ゲージ圧)で表わしている。
【0015】
第1の状態において、陰極室に供給される飲料水の圧力が0.1MPaから0.3MPaの範囲の圧力であることも好ましい。
【0016】
第2の状態において、陰極室の圧力が大気圧であることも好ましい。
【0017】
陽極室と大気との間にリリーフ弁が接続されていることも好ましい。
【0018】
陽極室に圧力計が接続されていると共に陽極室と大気との間に電磁弁が接続されており、圧力計の計測値に基づいて電磁弁が制御されるように構成されていることも好ましい。
【0019】
固体高分子膜の前記含水率が、飽和含水膜に対する含水率で27.6%以上(乾燥隔膜に対して38.2%以上)の陽イオン交換膜であることも好ましい。隔膜の含水率がこの範囲であれば、隔膜内に残留する固形物が水で希釈されて増量することはある程度抑止される。即ち、隔膜内の固形物濃度が陰極室内の飲料水の固形物濃度と同程度に保持されるので隔膜内においてなされる隔膜内固形物の酸化反応・還元反応が高濃度状態で過激に反応することはなく、2e
−イオン分による酸化還元電子相殺も大きくならず、水素ガス発生量の低下が抑止される。さらに、酸化・還元を受ける塩化物イオン等の膜内物質が、陽極層で酸化され、膜内から陰極室に流出しようとするとき陰極層で還元されて陰極室に放出されることとなり、飲料水への酸化物の混入はほとんど無い。
【0020】
陽極層及び陰極層の触媒が、白金触媒であることも好ましい。陽極層及び陰極層を白金触媒入りとすることにより、電気分解が促進され水素ガスの発生が効率化し、さらに、陰極層の部分で、NaClO+2H
++2e
−→NaCl+H
2Oの反応を起こし、次亜塩素酸イオンの中和を行うことができる。
【0021】
陽極層及び/又は陰極層が、チタンのラス網又はパンチメタルで形成されたチタン製白金電極であることも好ましい。
【発明の効果】
【0022】
固体高分子形電解を利用しているため、直接飲料水の電解でありながらアルカリ水電解のように、pH9以上のアルカリ性とはならず、また、次亜塩素酸イオンの混入も制限された水素水の製造が可能となる。さらに、飲料水を用いているため原水からRO水や純水を作る装置が不要であり、この飲料水が無機固形物を含有し電気伝導性を有して電圧値が下がることで電気分解時の発熱が少なく、さらに飲料水が外部から供給されていることから、電解槽の冷却装置が不要となり、装置の製造コストを低減化することができる。
【0023】
特に、本発明によれば、陰極室の圧力と陽極室の圧力とを変化させることによって、陰極層と陽極層との間で隔膜をピストン運動させることにより陰極層と隔膜との隙間に存在する水を入れ替えてカルシウムやマグネシウム等のスケールを除去しているので、隔膜内に残留する固形物量が増量することはなく、固形物濃度は陰極室内の飲料水の固形物濃度と同程度に保持される。その結果、隔膜内においてなされる隔膜内固形物の酸化反応・還元反応が高濃度状態で過激に反応することはなく、2e
−イオン分による酸化還元電子相殺も大きくならず、水素ガス発生量の低下が抑止される。さらに、酸化・還元を受ける塩化物イオン等の膜内物質が、陽極層で酸化され、膜内から陰極室に流出しようとするとき陰極層で還元されて陰極室に放出されることとなり、飲料水への酸化物の混入が皆無に近くなる。さらに、加圧された飲料水を陰極室に供給してもその飲料水が陽極室に漏水することがなく、陽極室側での水処理が不要であり、効率の良い水素ガス発生機能を長時間にわたって維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図2及び
図3は本発明の一実施形態として、水素水の製造装置における電解槽の全体構成を概略的に示しており、
図4は本実施形態の水素水の製造装置における電解槽の陽極側筐体の構成を平面及び断面で概略的に示しており、
図5は本実施形態の水素水の製造装置における電解槽の陰極側筐体の構成を平面及び断面で概略的に示している。
【0026】
本実施形態における
図4の陽極側筐体と
図5の陰極側筐体との構成上の差異はO−リング溝の有無の差であり、
図4が陰極側筐体の構成となり、
図5が陽極側筐体の構成となっても良い。陰極側筐体の構成及び陽極側筐体との構成がO−リング溝の有無によって限定されるものでは無い。
【0027】
図2及び
図3において、10は固体高分子形の電解槽を示しており、この電解槽10は陽極側の筐体11及び陰極側の筐体12の当接面を互いに当接させた状態でボルト止めすることにより、一体化された筐体が形成される。筐体内には、陽極層13、陰極層14、陽極層13及び陰極層14間に互いに加圧密着して挟設された隔膜15、及び筐体を密封するためのパッキン16が収容されている。陽極層13にはリード線用接続端子17が接続されており、リード線(図示無し)を介し電源装置の陽極と電気的に接続され、陰極層14にはリード線用接続端子18が接続されており、リード線(図示無し)を介し電源装置の陰極と電気的に接続される。
【0028】
電解槽10の筐体の外形寸法は、単なる一例であるが、約146mm(縦)×約96mm(横)×約60mm(高さ)であり、本実施形態では透明のアクリル樹脂を成型して作製されている。もちろん、筐体を不透明の種々の色の樹脂を用いて作製しても良いし、他の種類の樹脂又は他の材料によって作製しても良い。
【0029】
図4に示すように、陽極側の筐体11には、この筐体11を貫通する2つの気体(ガス)出口11bが形成されており、筐体内側には、2つのガス出口11bを結ぶガス路(陽極室)11cが形成されている。このガス路(陽極室)11cは交互に噛み合うように櫛歯状に形成されたリブ11dによって蛇行するように構成されている。筐体内側には、さらに、パッキン16を収容する周溝11eが設けられている。
【0030】
図5に示すように、陰極側の筐体12は、この筐体12を貫通する水入口12a及び水出口12bが形成されており、筐体内側には、水入口12a及び水出口12bを結ぶ水路(陰極室)12cが形成されている。この水路(陰極室)12cは交互に噛み合うように櫛歯状に形成されたリブ12dによって蛇行するように構成されている。これにより、蛇行して流れる加圧水内に水素ガスが素早くかつ効率良く溶解される。
【0031】
陽極層13は、ガスを通過可能に、チタンのラス網若しくはパンチメタルで形成されたチタン製白金電極、又は導電性カーボン上に白金系ナノ粒子を担持させた触媒担持カーボン電極層で構成されている。
【0032】
この陽極層13は、ガスを陽極室11c、さらには大気に開放するための多数の貫通孔が設けられている必要があり、また、一方の面が隔膜15と接触している必要がある。そのため、電極素材としてはカーボン布、カーボン不織布、若しくはカーボン多孔質膜等のカーボン材、又はチタンのラス網若しくはパンチングメタルが用いられる。触媒としては、白金若しくはイリジウムを用いることができるが、本実施形態では白金を用いている。陽極層13に白金触媒を用いることにより、NaCl+H
2O→NaClO+2H
++2e
−の反応も起こる。触媒と電極素材との結合には、コーティング、焼結、又はメッキ等の方法があり、いずれの方法を採用しても良い。陽極層13の寸法は、単なる一例であるが、約100mm(縦)×約50mm(横)である。
【0033】
陰極層14は、ガス及び水を通過可能に、チタンのラス網若しくはパンチメタルで形成されたチタン製白金電極、又は導電性カーボン上に白金系ナノ粒子を担持させた触媒担持カーボン電極層で構成されている。
【0034】
この陰極層14は、ガス及び水を陰極室12cに開放するための多数の貫通孔が設けられている必要があり、また、一方の面が隔膜15と接触している必要がある。そのため、電極素材としてはカーボン布、カーボン不織布、カーボン多孔質膜、などのカーボン材や、チタンのラス網やパンチングメタルが用いられる。触媒としては、白金やイリジウムを用いることができるが、本実施形態では白金を用いている。陰極層14に白金触媒を用いることにより、NaClO+2H
++2e
−→NaCl+H
2Oの反応を起こし、次亜塩素酸イオンの中和を行うことができる。触媒と電極素材との結合には、コーティング、焼結、メッキ等の方法があり、いずれの方法を採用しても良い。陰極層14の寸法は、単なる一例であるが、約100mm(縦)×約50mm(横)である。
【0035】
隔膜15は、有機高分子多孔質体の陽イオン交換膜であり、本実施形態では、スチレン系重合型陽イオン交換膜を使用している。この陽イオン交換膜は、交換機能を有する樹脂材としてスチレン・ジビニルベンゼン系重合物のスルホン酸ナトリウム塩40〜60wt%と、補強材としてポリオレフィン混合物40〜60wt%とを含有している。隔膜15の寸法は、単なる一例であるが、約119mm(縦)×約69mm(横)である。
【0036】
隔膜15は、特に、陰極層側の陰極面に接触した加圧水によって膜内の水溶性固形物を希釈可能である含水率を有している。この隔膜15の含水率は、後述する実施例で述べるように、飽和含水隔膜に対する含水率で27.6%以上(乾燥隔膜に対して38.2%以上)である。これにより、隔膜15内に残留する固形物が水で希釈されるので増量することはある程度抑止され、隔膜15内に含水した水中の固形物濃度は陰極室12c内の飲料水の固形物濃度と同程度に保持される。その結果、隔膜15内においてなされる隔膜内固形物の酸化反応・還元反応が高濃度状態で過激に反応することはなく、2e
−イオン分による酸化還元電子相殺が大きくならず、水素ガス発生量の低下が抑止される。また、酸化・還元を受ける塩化物イオン等の隔膜15内物質は、陽極層13で酸化され、隔膜15内から陰極室12cに流出しようとするとき陰極層14で還元されて陰極室12cに放出されることとなり、飲料水への酸化物の混入はほとんど無い。
【0037】
隔膜15は、さらに、加圧水が陽極層側の陽極室11cに流出しない透水性を有している。具体的には、隔膜15は、陰極室12cに通水される加圧水の圧力が0.1〜0.3MPaの範囲にある際に、陽極室11cに水が漏水しない状態で、隔膜15内に水が保水される透水性を有している。これにより、加圧された飲料水を陰極室12cに供給してもその飲料水が陽極室11cに漏水することがなく、効率の良い水素ガス発生機能を長時間にわたって維持することができる。また、隔膜15は、当然に、0.3MPaまでの圧力に対して耐圧性能を有している。前述したように、本明細書において、圧力は、絶対圧基準ではなく、大気圧が0MPaである大気圧基準(ゲージ圧)で表わしている。
【0038】
陽極層13、隔膜15及び陰極層14を圧着させるためには、陽極層13及び陰極層14はチタン鋼板に白金を担持させたものを用いることが最も望ましい。陽極側の筐体11及び陰極側の筐体12をボルト止めする際に、これら陽極層13及び陰極層14を押さえ付けることにより、隔膜15は陽極層13及び陰極層14と加圧密着されることとなる。陽極層13及び陰極層14の素材としてカーボン材を選択した場合には、チタンのラス網やパンチングメタルなどの電極押さえ板を準備することが望ましい。
【0039】
図には示されていないが、陽極室11cから水が出ていないことを目視で確認できる水量レベル表示部を陽極室11cに連通させて設置することにより、電解槽10の隔膜15の破損を確認することができ、これは電解槽10を交換する目安ともなる。水量レベル表示部は、水漏れを利用者に容易に確認できるものであれば、透明円柱管によって水位表示させても良いし、電気的水位計を用いてLEDによるバー表示させても良い。
【0040】
図6は本実施形態の水素水の製造装置の電気的な構成を概略的に示している。
【0041】
同図に示すように、電解槽10の陽極層13は電流計60を介して定電流の電源装置61の正の出力端子に電気的に接続されており、陰極層14は電源装置61の負の出力端子に電気的に接続されている。電源装置61から直流電流が供給されることにより、電解槽10内で電気分解が行われ、陰極室12c内に水素が生成されて飲料水内に溶解され、水素水が得られる。一方、陽極室11c内には酸素が気化されて、大気中に放散される。
【0042】
電源装置61から電解槽10に流れる電流を電流計60によって測定すれば、水素ガス発生に使用される電解電流値のみを計測することができ、発生する水素ガス量を把握することができる。この水素ガス発生量と飲料水の流量(一定値であれば定数とすることができる)とから水素ガス濃度を容易に知ることができる。計測した電解電流値から水素ガス発生量が把握できる理由は、加電により4H
++4e
−→2H
2↑の水素発生が初期に行われても、陽極層13ではH
2O→1/2O
2↑+2H
++2e
−の反応及びNaCl+H
2O→NaClO+2H
++2e
−の反応が起こり、隔膜15内の陰極面側ではNaClO+2H
++2e
−→NaCl+H
2Oの反応が起これば、実際には、H
2O→1/2O
2↑+2H
++2e
−の反応と2H
++2e
−→H
2↑の反応しか起きていない結果となる。即ち、電流計60には、次亜塩素酸イオンによる2e
−の相殺された電解電流値は計測されないので、実際に水素発生にのみ利用された電解電流値を知ることができるのである。
【0043】
水素ガス濃度の表示は、利用者が濃度を容易に解るものであれば、アナログ電流計のようなアナログ表示であっても良いし、デジタル数値表示であっても良いし、LEDによるバー表示であっても良い。利用者が水素ガス濃度を容易に認知できれば、利用者は水素ガス濃度がより高く出る飲料元水を捜すことができ、低塩分かつ低固形分の水を選択し、より安全な飲料水の利用を行うことができる。また、飲料水としての安全性をさらに確保するため、電源装置61において、電解電流値や電解電圧値を制限することで、飲用に適した水にのみ電気分解をすることが可能となる。制限とする数値は、電解槽10の仕様によって異なる。
【0044】
図7は本実施形態の水素水の製造装置における電解槽10の構成を模式的に示しており、以下、この電解槽10内における水素水の生成動作を詳細に説明する。
【0045】
陰極室12c内には、加圧された飲料水が水入口12aを介して供給される。その場合の水圧は、電気分解によって生成された水素ガスが溶解するのに適した0.1〜0.3MPaの範囲に設定されている。水素ガスの水中への溶解にあたっては、加圧下で行うのが良く、これはヘンリーの法則に従う。即ち、25℃大気開放時の水中の溶存酸素濃度は8.09mg/Lであり、溶存酸素の分圧比は8.09/40.44×100=20%となり、窒素が80%ということになる。この水が2気圧(0.1MPa)となったとき、酸素の分圧比は10%となり、窒素の分圧比は40%となり、水素の溶解する分圧枠が生じ、最大50%の溶解が可能となる。つまり、1.57mg/L×(1/2)×2気圧=1.57mg/Lが最大溶解度となり、大気圧においての最大溶解度1.6mg/Lに近似した溶解濃度となり、この理論最大濃度ではNaClO+2H
++2e
−→NaCl+H
2Oの反応消費分をカバーした上で大気圧時の飽和水素濃度1.6mg/Lを満足する溶解濃度には至らないことより、3気圧(0.2MPa)における1.57mg/L×(2/3)×3気圧=3.14mg/Lなる大気圧2倍量の最大溶解濃度となる溶解量を得ることが望ましく、加圧は0.1MPa以上で隔膜の耐圧強度(0.4MPa程度)を考慮すると、0.2MPa付近を中心に0.1〜0.3MPaの範囲内で行われることが望ましく、特に0.2〜0.3MPaの範囲内がさらに望ましいこととなる。
【0046】
隔膜15は、前述の如く加圧された飲料水によるセル透過水圧を受けても破壊されない耐圧を有している。また、隔膜15は、加圧水が陽極層13側の陽極室に流出しない透水性を有している。このため、加圧された飲料水を陰極室12cに供給してもその飲料水が陽極室11cに漏水することがなく、陽極室11c側での水処理が不要であり、効率の良い水素ガス発生機能を長時間にわたって維持することができる。
【0047】
さらに、隔膜15は、膜内にできるだけ塩分の溜まらない薄膜である。即ち、隔膜15は、陰極層14側の陰極面に接触した加圧水によって膜内の水溶性固形物を希釈可能である含水率を有している。これにより、隔膜15内においてなされる隔膜内固形物の酸化反応・還元反応が高濃度状態で過激に反応することはなく、2e
−イオン分による酸化還元電子相殺が大きくならず、水素ガス発生量の低下が抑止される。
【0048】
固体高分子形電解では、陽極側に陰極室12cから固体高分子膜である隔膜15の含水を通して水が供給されると、
図7のbの付近で、H
2O→1/2O
2↑+2H
++2e
−の反応が起きてaの付近から酸素ガスが放出され、bの付近から隔膜15を通じて水素イオンが陰極側に引き寄せられ、cの付近で2H
++2e
−→H
2↑の反応が起き、dの付近で水素ガスが陰極室12c内の水に溶解することで水素水の生成が行われる。
【0049】
陰極室12cに供給される飲料水としては代表的には水道水があり、この水道水にはカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の金属イオンが含まれている。水道水が電気分解によって水素ガスや酸素ガスに分解されればカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の溶解金属イオンの濃度は濃縮されて高くなる。このように、隔膜15及び陰極層14間並びにその近傍がアルカリ性となり、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの溶解濃度が高くなれば隔膜15及び陰極層14間並びにその近傍においてカルシウムスケールやマグネシウムスケールが生じるのは必然の現象であり、飲料水を流水することでこのようなスケール発生を防止しようとしても、陰極室12cが0.2MPa程度に常時加圧された加圧通水下では、隔膜15及び陰極層14間の隙間まではスケール発生を防止することが難しく、結局、長期使用においては陰極層14の表面にカルシウムスケールやマグネシウムスケールが早期に付着する結果となり、電気分解能力が大きく低下して水素水濃度が低下することとなる。
【0050】
また、隔膜15が陽極層13に常時押し付けられ、電極板の窪みの中に隔膜15が押し付けられている状態であるため、電極板の角部で隔膜15に亀裂が生じたり、隔膜15の応力劣化が発生することとなる。その結果、陽極室11cへの漏水が多くなり、漏水中には飲料水への酸化による不純物質が混入される危険性が出てくることから、この漏水は飲用できないものとなる。
【0051】
そこで本発明では、電気分解を行う第1の状態(水素水取水時、電解時)においては、陰極室12cに陽極室11c内の圧力(陽極室11cの水若しくは気体の単独圧力又は水及び気体の混合圧力、例えば0.03〜0.1MPa)より高い所定圧力以上(例えば、0.1〜0.3MPa)の加圧水を供給するように構成することにより、電極板の窪みの中に隔膜15が押しつけられるのを弱め、電極板の角部で隔膜15に亀裂が生じたり、隔膜15の応力劣化が生じることを防止している。さらに、新しい加圧水が隔膜15内と隔膜15及び陰極層14の隙間とに供給される。一方、陰極室12cに飲料水が供給されていない第2の状態(水素水取水休止時、電解休止時)においては、陽極室11cの圧力(陽極室11cの水若しくは気体の単独圧力又は水及び気体の混合圧力)が、陰極室12cの圧力(陰極室12cの水及び気体の混合圧力)より高くなるように構成することにより、隔膜15が陰極層12cに押し付けられて、隔膜15及び陰極層12c間の隙間に溜まった濃縮水は陰極室12c内に押し戻されることとなる。次いで、第1の状態において陰極室12cに陽極室11C内の圧力より高い圧力を持った加圧水が供給されたときに、隔膜15及び陰極層14の隙間に濃縮が希釈された新しい加圧水が供給される。この第1の状態と第2の状態とで、隔膜15はピストン運動、即ち微小な鼓動による水のポンプ現象を繰り返すこととなる。このように構成することにより、本発明によれば、水道水などの溶解固形分の多い水であっても事前に脱塩処理することが不要となり、電極層に多量のスケールが付着することがなく、長期に渡って使用することが可能となる。
【0052】
第1の状態(水素水取水時、電解時)において、陰極室12cに加圧供給される飲料水の水圧は、電気分解によって生成された水素ガスが溶解するのに適した0.2〜0.3MPaの範囲に設定する理由は前述した通りである。
【0053】
第1の状態(水素水取水時、電解時)及び第2の状態(水素水取水休止時、電解休止時)において、陽極室11cの圧力は、望ましくは0.03〜0.1MPaの範囲の圧力で設定するのが良い。この下限圧力の0.03MPaは、第2の状態時に陰極室12cに供給されていた加圧水を停止してこの陰極室12cが大気開放されると、陰極室12cの圧力は0MPaとなるので、陽極室11cの圧力はこれより高い圧力、即ち0.01MPaとすることが望まれ、さらに、隔膜15のピストン移動による圧力減少が0.02MPa見込まれるので、陽極室11cの圧力を、0.01MPa+0.02MPa=0.03MPa以上が望ましいとした。また、上限圧力0.1MPaは、陰極層14及び陽極層13の隙間を隔膜15の膜厚の93.7%の厚みに調整し、陰極室12cに0.2MPaの加圧水を印加して電気分解するとき、陽極室11cの圧力を0.1MPaより大きくすると、隔膜15が0.3MPaの圧力で押圧されて薄くなり、電極層との接触が弱くなって一定の電流を得るために電圧を(1V以上)上げる必要があることから、不要な電力消費を抑えるために、0.1MPa以下が望ましいとした。
【0054】
図8は本実施形態の水素水の製造装置のシステム構成を概略的に示している。
【0055】
同図において、10は前述した電解槽、80は飲料水を貯留しているタンク、81はタンク80に接続されているポンプ、82はポンプ81と電解槽10の陰極室12cとに接続されている減圧弁、83は電解槽10の陽極室11cの出口に接続されているリリーフ弁、84は電解槽10の陰極室12cに接続されている流量調整弁、85は流量調整弁84に接続されている電磁弁、86は電解槽10の電気分解を制御すると共にポンプ81及び電磁弁85の作動を制御する制御装置をそれぞれ示している。
【0056】
飲料水はタンク80に貯められ、タンク80からポンプ81により、減圧弁82から電解槽10の陰極室12cに送られて水素水が生成され、生成された水素水は電解槽10の陰極室12c、流量調整弁84、及び電磁弁85の順に送水されて水素水の取出し(取水)が行われる。
【0057】
制御装置86はプログラム制御可能なコンピュータを有しており、ポンプ81の作動、電解槽10の電気分解、及び電磁弁85の作動がコンピュータによって制御されることにより、水素水の生成が行われるように構成されている。減圧弁82は、ポンプ81によって加圧される飲料水の圧力を0.2〜0.3MPaの範囲で調整するように構成されている。また、リリーフ弁83は、その放出圧が0.03〜0.1MPaの範囲となるように構成されている。これにより、電解槽10の陽極室11c内の圧力はリリーフ弁83によって調整された圧力以下に維持される。取水速度は流量調整弁84によって調整される。
【0058】
図9は本実施形態の水素水の製造装置における制御装置86の制御の流れを概略的に示している。
【0059】
同図に示すように、水素水の取水を行う場合は、まず、電磁弁85の開成を行う(ステップS1)。次に、ポンプ81の運転開始を行い、電解槽10に電源供給を行って電気分解を開始させる(ステップS2)。なお、ポンプ81の運転開始と同時に電解槽10に電源供給を行って電気分解の開始を行っても良い(ステップS2)。この電気分解の際の飲料水の圧力、換言すれば、電解槽10の陰極室12cの飲料水の圧力は、減圧弁82によって0.2〜0.3MPaの範囲の圧力に調整される。一方、電解槽10の陽極室11cの圧力は、電気分解により発生する酸素ガスを貯めることにより昇圧し、リリーフ弁83によって0.03〜0.1MPaの圧力に調整される。このような構成により、ポンプ81の運転時(第1の状態時)には、電解槽10の陽極室11cの圧力は電解槽10の陰極室12cの圧力未満に制御される。
【0060】
その後、水素水の取水終了か否かを判別し続け(ステップS3)、水素水の取水終了の場合は、ポンプ81の運転を停止する(ステップS4)。次いで、電解槽10の電気分解を終了する(ステップS5)。その後、電磁弁85を閉成させる(ステップS6)。ポンプ81の運転停止を先に行うのは、電解槽10の陰極室12c内の圧力を大気圧(0MPa)と同等にしてから電磁弁85を閉成する必要があるためである。このように、電解槽10の陰極室12cの圧力は大気圧(0MPa)に制御され、一方、電解槽10の陽極室11cの圧力は、リリーフ弁83によって0.03〜0.1MPaの圧力に調整される。このような構成により、取水休止時(第2の状態時)には、電解槽10の陰極室12cの圧力は電解槽10の陽極室11cの圧力未満に制御される。なお、この場合、陽極室11c内の高い圧力の気体が隔膜15を抜けて陰極室12c内へ抜けることはない。これは、隔膜15及び陽極層14の間には水膜が張られている状態でありこの水膜が気体の透過を効果的に防止するためである。
【0061】
図10は本発明の他の実施形態として、水素水の製造装置のシステム構成を概略的に示している。
【0062】
同図において、10は前述した電解槽、80は飲料水を貯留しているタンク、81はタンク80に接続されているポンプ、82はポンプ81と電解槽10の陰極室12cとに接続されている減圧弁、84は電解槽10の陰極室12cに接続されている流量調整弁、85は流量調整弁84に接続されている電磁弁、87は電解槽10の陽極室11cの出口に接続されている電磁弁、88は電磁弁87に接続されている流量調整弁、89は電解槽10の陽極室11cの出口に接続されている圧力計、90は電解槽10の電気分解、並びにポンプ81及び電磁弁85の作動を制御すると共に、圧力計89の検出値を受け取り、電磁弁87の作動を制御する制御装置をそれぞれ示している。
【0063】
飲料水はタンク80に貯められ、タンク80からポンプ81により、減圧弁82から電解槽10の陰極室12cに送られて水素水が生成され、生成された水素水は電解槽10の陰極室12c、流量調整弁84、及び電磁弁85の順に送水されて水素水の取出し(取水)が行われる。
【0064】
制御装置90はプログラム制御可能なコンピュータを有しており、ポンプ81の作動、電解槽10の電気分解、圧力計89の検出値を受け取り、並びに電磁弁85及び87の作動がコンピュータによって制御されることにより、水素水の生成が行われるように構成されている。減圧弁82は、ポンプ81によって加圧される飲料水の圧力を0.2〜0.3MPaの範囲で調整するように構成されている。また、圧力計89の検出値に応じて電磁弁87が制御されることにより、電解槽10の陽極室11cの発生酸素ガスによる圧力が0.03〜0.1MPaの範囲となるように構成されている。取水速度は流量調整弁84によって調整される。
【0065】
図11は本実施形態の水素水の製造装置における制御装置90の制御の流れを概略的に示している。
【0066】
同図に示すように、水素水の取水を行う場合は、まず、電磁弁85の開成を行う(ステップS11)。次に、ポンプ81の運転開始を行い、電解槽10に電源供給を行って電気分解を開始させる(ステップS12)。なお、ポンプ81の運転開始と同時に電解槽10に電源供給を行って電気分解を開始しても良い(ステップS12)。この電気分解の際の飲料水の圧力、換言すれば、電解槽10の陰極室12cの飲料水の圧力は、減圧弁82によって0.2〜0.3MPaの範囲の圧力に調整される。一方、電解槽10の陽極室11cの発生酸素ガスによる圧力は、圧力計89及び電磁弁の作動、並びに制御装置90の制御によって0.03〜0.1MPaの圧力に調整される。この陰極室12cの圧力調整は、圧力計89の検出値を受け取り(ステップS13)、その受け取った検出値、即ち、電解槽10の陽極室11cの測定した圧力値が所定圧力(0.03〜0.1MPaの圧力範囲)以内(境界を含む)であるか否か判別し(ステップS14)、測定した圧力値が所定圧力(0.03〜0.1MPaの圧力範囲)以内であると判別した場合(YESの場合)は、電磁弁87を閉成するか、閉を維持する(ステップS16)。ステップS14において、測定した圧力値が所定圧力(0.03〜0.1MPaの圧力範囲)以内ではないと判別した場合(NOの場合)は、電磁弁87を開成させ(ステップS15)、ステップS13において圧力計89の検出値を受け取り、ステップS14の判別を再度行う。電磁弁87の開閉を行う場合、流量調整弁88の作用により一定減圧速度となるように開閉が行われて圧力が低下せしめられ、陽極室11cの圧力値が所望の範囲内に調整される。これにより、電解槽10の陽極室11cの圧力は0.03〜0.1MPaの圧力に制御される。このような構成により、電気分解時(第1の状態時)には、電解槽10の陽極室11cの圧力は電解槽10の陰極室12cの圧力未満に制御される。
【0067】
その後、水素水の取水終了か否かを判別し続け(ステップS17)、水素水の取水終了の場合は、ポンプ81の運転を停止する(ステップS18)。次いで、電解槽10の電気分解を終了する(ステップS19)。その後、電磁弁85を閉成させる(ステップS20)。ポンプ81の運転停止を先に行うのは、電解槽10の陰極室12c内の圧力を大気圧(約0.1MPa)と同等にしてから電磁弁85を閉成する必要があるためである。そのようにして電解槽10の陰極室12cの圧力は大気開放によって大気圧(0MPa)に制御される。このような構成により、取水休止時(第2の状態時)には、電解槽10の陰極室12cの圧力は電解槽10の陽極室11cの圧力未満に制御される。流量調整弁88に代えて、固定流量のオリフィスを用いても良い。なお、この場合、陽極室11c内の高い圧力の気体が隔膜15を抜けて陰極室12c内へ抜けることはない。これは、隔膜15及び陽極層14の間には水膜が張られている状態でありこの水膜が気体の透過を効果的に防止するためである。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば、隔膜15が陰極層14を介して接触する陰極室12cに所定圧力以上の飲料水が供給されている取水(電解)時には、陽極室11cより高い圧力を持った飲料水(加圧水)によって隔膜15内と隔膜15及び陰極層14間の隙間とに水が供給され、この水が電気分解されることによって陰極層14の表面で発生した水素ガスが飲料水に溶解して水素水が生成される。その際に、隔膜15及び陰極層14間の隙間に、溜まった水のカルシウムやマグネシウム等の溶解固形物が濃縮されることとなるが、陰極室12cに飲料水が供給されない取水休止(電解休止)時には、陽極室11cの圧力を陰極室12cの圧力より高くすることによって隔膜15が陰極層14に押し付けられることとなり、隔膜15及び陰極層14間の隙間に溜まった、カルシウムやマグネシウム等の溶解固形物が濃縮された水は陰極室12c内に押し出される結果となり、次の取水(電解)時に、陰極室12cに陽極室11cより高い圧力を持った飲料水が供給されたときには、隔膜15内並びに隔膜15及び陰極層14間の隙間に濃縮度が低減された水が供給されて溶解固形物が押し出されることとなる。即ち、陰極室12cの圧力と陽極室11cの圧力と交互に変化させることによって、陰極層14と陽極層13との間で隔膜15をピストン運動させることにより陰極層14及び隔膜15間の隙間に存在する水を入れ替えてカルシウムやマグネシウム等のスケールを除去している。
【0069】
また、本実施形態によれば、固体高分子形電解を利用しており、無機物溶解で電導性を有する飲料水を陰極室12cに加圧供給し、陰極表面上に発生する水素ガスを飲料水に溶解させ水素水を生成している。固体高分子形電解では、陽極側では、H
2O→1/2O
2↑+2H
++2e
−の反応が、陰極側では、2H
++2e
−→H
2↑の反応が起きるので、直接飲料水の電解でありながらアルカリ水電解のようにpH9以上のアルカリ性とはならず、また、次亜塩素酸イオンの混入も制限された水素水の製造が可能となる。さらに、飲料水を使用しているため原水からRO水や純水を作る装置が不要であり、また、この飲料水が無機固形物を含有し電導性を有して電解電圧値が下がることで電気分解時の発熱が少なく、さらに飲料水が外部から供給されていることから、電解槽の冷却装置が不要となり、装置の製造コストを低減化することができる。
【実施例】
【0070】
以下、一定の試験水をそれぞれ用いた比較例1及び2並びに実施例1及び2について、試験結果を説明する。
【0071】
比較例1及び2は
図12に示すシステム構成を有する水素水の製造装置で行われた。同図における、電解槽10、タンク80′、ポンプ81、減圧弁82、リリーフ弁83、流量調整弁84、電磁弁85、及び制御装置86は、
図8に示した実施形態における各要素とほぼ同じ構成を有している。ただし、タンク80′には試験水が貯留されており、電解槽10の陽極室11cにはリリーフ弁が接続されておらず、この陽極室11cは大気開放されている。また、
図12において、91は電気分解のための電源装置、92は電源装置91からの電解電流の切換スイッチ、93は電解電流を計測する電流計、94は試験水流量を計測する流量カウンタをそれぞれ示している。なお、電源装置91に付属している電圧計によって電解電圧が計測された。
【0072】
試験水はタンク80′に貯められ、タンク80′からポンプ81により、減圧弁82及び流量カウンタ94を介して電解槽10の陰極室12cの順に送られて水素水が生成され、生成された水素水は電解槽10の陰極室12cから流量調整弁84及び電磁弁85を介して送水されて水素水が取水された。
【0073】
制御装置86はプログラム制御可能なコンピュータを有しており、ポンプ81の作動、電解槽10の電気分解、及び電磁弁85の作動がコンピュータによって制御されることにより、水素水の生成が行われるように構成された。流量カウンタ94の計測値は制御装置に取り込まれた。減圧弁82は、ポンプ81によって加圧される飲料水の圧力を0.2〜0.3MPaの範囲で調整するように構成されていた。電解槽10の陽極室11c内の圧力は大気圧に維持された。
【0074】
実施例1及び2は
図13に示すシステム構成を有する水素水の製造装置で行われた。同図における、電解槽10、タンク80′、ポンプ81、減圧弁82、流量調整弁84、電磁弁85、及び制御装置86は、
図8に示した実施形態における各要素とほぼ同じ構成を有している。ただし、タンク80′には試験水が貯留されている。また、
図12において、91は電気分解のための電源装置、92は電源装置91からの電解電流の切換スイッチ、93は電解電流を計測する電流計、94は試験水流量を計測する流量カウンタをそれぞれ示している。
【0075】
試験水はタンク80′に貯められ、タンク80′からポンプ81により、減圧弁82及び流量カウンタ94を介して電解槽10の陰極室12cの順に送られて水素水が生成され、生成された水素水は電解槽10の陰極室12cから流量調整弁84及び電磁弁85を介して送水されて水素水が取水された。
【0076】
制御装置86はプログラム制御可能なコンピュータを有しており、ポンプ81の作動、電解槽10の電気分解、及び電磁弁85の作動がコンピュータによって制御されることにより、水素水の生成が行われるように構成された。流量カウンタ94の計測値は制御装置に取り込まれた。減圧弁82は、ポンプ81によって加圧される飲料水の圧力を0.2〜0.3MPaの範囲で調整するように構成された。また、リリーフ弁83は、その放出圧が0.03〜0.1MPaの範囲となるように構成された。
【0077】
即ち、比較例1及び2においては、電解槽10の陽極室11cは大気圧(0MPa)に維持され、実施例1及び2においては、電解槽10の陽極室11cにはリリーフ弁83が設けられて0.03〜0.1MPaの範囲の加圧状態に維持された。
【0078】
比較例1及び2並びに実施例1及び2共に試験水としては、竜王町上水道水を直接使用した(脱塩素処理は行わなかった)。また、水温を15℃に調整した。試験水質は、表1に示す通りであった。
【表1】
【0079】
比較例1及び2並びに実施例1及び2共に運転条件は以下の通りであった。
a)陰極室通水圧 : 0.2MPa
b)取 水 量 : 1,200mL/min
c)電 極 板 : 50×99×5tチタンラス板に白金コート(エキスパンド仕様:LW6 SW3 W1)
d)隔膜(固体高分子膜): 78×113 陽イオン交換膜
組成: スチレン系共重合物のスルフォン酸ナトリウム塩 ポリオレフィン混合物
膜厚: 0.16mm
破裂強度: 0.53MPa
e)陰陽電極板間隙間 : 0.15mm (実施例2は除く)
f)取水・洗浄サイクル :
[取水サイクル]
取水運転 : 30秒間 (600mL水素水取水)
休止(静置) : 30秒間
[電荷逆転洗浄サイクル]
サイクル : 取水40回サイクル毎に一回
洗浄運転 : 20秒間(400mL酸性水排水)
休止(静置) : 40秒間
g)電解電源 : 定電流・定電圧装置使用。定電流3.5A優先で、電解電圧値が17.8V以下では3.5Aで通電し、電解電圧値が17.8Vになった時点から電解電流値を低下させて17.8Vを維持した。なお、3.5Aで通電した時の水素発生量は30NmL/分であり、15℃で得られた水素水の溶存水素濃度は1.1mg/Lであった。
h)目標取水量 : 最終目標水素水取水量は12,000L(12トン)とした。その理由は「家庭で3L/日の取水をするとして、一年では1,095L、装置としては10年使用可能とし10,950Lであり、目標は12トンとしたものである。
【0080】
(比較例1)
従来より一般的に行われている方法であり、ポンプ81の停止と同時に電磁弁85を閉める方法である。システム構成は
図12に示した通りであり、制御フローは
図9に示した流れにおいて、ステップS4〜S6の処理を同時に行ったものである。取水時及び取水休止時の陰極室12c及び陽極室11cの圧力は表2に示すごとくであった。
【表2】
【0081】
表2に示すように、この比較例1では、陽極室11cは、大気開放されているため、取水時(電解時)も取水休止時(電解休止時)も圧力が大気圧に維持されており、従って、陽極室11cの圧力は、陰極室12cの圧力未満に維持されている。このような比較例1において、取水水量(L)に対する電解電流値(A)及び電解電圧値(V)を測定した。その結果が
図14に示されている。同図において、横軸は流量カウンタ94によって計測した水素水の取水水量(L)、縦軸は電解電流値(A)及び電解電圧値(V)をそれぞれ示している。
【0082】
同図から分かるように、この比較例1の試験では、電気分解開始から1トン(1000L)の水素水を取水した際に電流低下が始まった。電解電流値が3Aを切ったところから陰極層14に急激にスケール付着が進んだものと考える。
【0083】
実際、試験終了後の陰極層14の隔膜15側の面に付着したスケールを観察すると、
図15(A)に示すように、多量のスケールが溜まっていた(同図の白い部分が溜まったスケールを示している)。なお、図示していないが、陰極層14の隔膜15とは反対側の面には、さほど多くのスケールは溜まっていなかった。
【0084】
(比較例2)
ポンプ81の停止の後に遅れて電磁弁85を閉める方法である。システム構成は
図12に示した通りであり、制御フローは
図9に示したものと同じである。取水時及び取水休止時の陰極室12c及び陽極室11cの圧力は表3に示すごとくであった。
【表3】
【0085】
表3に示すように、この比較例2では、陽極室11cは、大気開放されているため、取水時(電解時)も取水休止時(電解休止時)も圧力が大気圧に維持されている。一方、陰極室12cは、取水時(電解時)は加圧されているが、取水を停止する際にポンプ81の停止に遅れて(1秒後に)電磁弁85が閉成されるため、陰極室12cがその間に開放され、取水休止時(電解休止時)は大気圧に維持される。このような比較例2において、取水水量(L)に対する電解電流値(A)及び電解電圧値(V)を測定した。その結果が
図16に示されている。同図において、横軸は流量カウンタ94によって計測した水素水の取水水量(L)、縦軸は電解電流値(A)及び電解電圧値(V)をそれぞれ示している。
【0086】
同図から分かるように、この比較例2の試験では、電気分解開始から8トン(8000L)の水素水を取水した際に電流低下が始まった。比較例1の試験に比して、陰極層14へのスケール付着は遅れて始まるが、やはり生じたものと考える。
【0087】
実際、試験終了後の陰極層14の隔膜15側の面に付着したスケールを観察すると、
図15(B)に示すように、かなりの量のスケールが溜まっていた(同図の白い部分が溜まったスケールを示している)。なお、図示していないが、陰極層14の隔膜15とは反対側の面には、さほど多くのスケールは溜まっていなかった。
【0088】
(実施例1)
比較例2の場合と同様に、ポンプ81の停止の後に遅れて電磁弁85を閉める方法である。システム構成は
図13に示した通りであり、制御フローは
図9に示したものと同じである。隔膜15の膜厚は0.16mmであり、陰極層14及び陽極層13間の隙間は0.15mmに設定した。従って、隔膜15は、陰極層14及び陽極層13によって0.15mmの膜厚となるまで押圧されている。取水時及び取水休止時の陰極室12c及び陽極室11cの圧力は表4に示すごとくであった。
【表4】
【0089】
表4に示すように、この実施例1では、陽極室11cは、リリーフ弁83が接続されているため、取水時(電解時)も取水休止時(電解休止時)も圧力がリリーフ弁83の設定する所定圧力(この場合、0.04MPa)以下に維持されている。陰極室12cは、取水時(電解時)は、加圧水の圧力(この場合、0.2MPa)に維持されている。従って、取水時においては、陽極室11cの圧力は、陰極室12cの圧力未満に維持されている。一方、取水を停止する際にポンプ81の停止に遅れて(1秒後に)電磁弁85が閉成されるため、陰極室12cは、その間に開放されるので取水休止時(電解休止時)は大気圧(0MPa)に維持される。従って、取水休止時(電解休止時)は、陽極室11cの圧力が陰極室12cの圧力より高くなるので、隔膜15が陰極層14に押し付けられて移動することにより、圧力減少が0.02MPa生じ、その結果、取水休止時の陽極室11cの圧力は表4に示すように0.02MPaとなる。この取水休止時(電解休止時)に隔膜15が陰極層14に押し付けられるので、隔膜15及び陰極層14の水分が陰極室12c内に押し出されるのである。
【0090】
取水時(電解時)における陽極室11cの圧力と電解電流値及び電解電圧値との関係を調べた。即ち、前述したように隔膜15の膜厚を0.16mm、陰極層14及び陽極層13間の隙間を0.15mmに設定して陰極室12cの圧力を0.2MPaの一定圧、陽極室11cの圧力を変化させた場合の電解電流値及び電解電圧値を調べた。その結果を表5に示す。
【表5】
【0091】
この取水時においては、隔膜15は、陰極室12c及び陽極室11cの両面側から圧迫されることとなり、その膜厚は0.14mm以下となる。この場合、陰極室12cの圧力が陽極室12cの圧力より高いため、隔膜15と陰極層14とは密着せず、多少離れた状態となる。このため、H
+イオン移動を維持し、同一の電解電流値を得るための電解電圧値が高くなる。表5より、陽極室11cの圧力が0.10MPaとなると、電解電流値は同じであるが電解電圧値が高くなった。また、陽極室11cの圧力が0.10MPaより大きくなると、電解電流値が低下した。従って、陽極室11cの圧力は0.10MPa以下であることが望ましい。
【0092】
このような実施例1において、取水水量(L)に対する電解電流値(A)及び電解電圧値(V)を測定した。その結果が
図17に示されている。同図において、横軸は流量カウンタ94によって計測した水素水の取水水量(L)、縦軸は電解電流値(A)及び電解電圧値(V)をそれぞれ示している。
【0093】
同図から分かるように、この実施例1の試験では、電気分解開始から12トン(12000L)の水素水を取水しても電解電流値は3.5Aの一定値に維持できた。即ち、取水休止時に、陽極室11cの圧力を陰極室12cの圧力より大きくすることで、スケール障害を防止できることが分かった。なお、同図においては、電解電圧値にバラツキが認められるが、このバラツキは脈動の強弱や洗浄効率の差によって生じたものと考察される。
【0094】
実際、試験終了後の陰極層の隔膜側の面に付着したスケールを観察すると、
図15(C)に示すように、わずかな量のスケールしか溜まっていなかった(同図の白い部分が溜まったスケールを示している)。なお、図示していないが、陰極層の隔膜とは反対側の面には、スケールがほとんど溜まっていなかった。
【0095】
(実施例2)
実施例1の場合と同様に、ポンプ81の停止の後に遅れて電磁弁85を閉める方法である。システム構成は
図13に示した通りであり、制御フローは
図9に示したものと同じである。隔膜15の膜厚は0.16mmであり、陰極層14及び陽極層13間の隙間は0.10mmに設定した。従って、隔膜15は、陰極層14及び陽極層13によって0.10mmの膜厚となるまでかなり押圧されている。この実施例2では、陰極層14及び陽極層13間の隙間を、実施例1の場合よりかなり狭く設定した。取水時及び取水休止時の陰極室12c及び陽極室11cの圧力は表6に示すごとくであった。
【表6】
【0096】
表6に示すように、この実施例1では、陽極室11cは、リリーフ弁83が接続されているため、取水時(電解時)も取水休止時(電解休止時)も圧力がリリーフ弁83の設定する所定圧力(この場合、0.05MPa)以下に維持されている。陰極室12cは、取水時(電解時)は、加圧水の圧力(この場合、0.2MPa)に維持されている。従って、取水時においては、陽極室11cの圧力は、陰極室12cの圧力未満に維持されている。一方、取水を停止する際にポンプ81の停止に遅れて(1秒後に)電磁弁85が閉成されるため、陰極室12cは、その間に開放されるので取水休止時(電解休止時)は大気圧(0MPa)に維持される。従って、取水休止時(電解休止時)は、陽極室11cの圧力が陰極室12cの圧力より高くなるので、隔膜15が陰極層14に押し付けられて移動することにより、圧力減少が0.02MPa生じ、その結果、取水休止時の陽極室11cの圧力は表6に示すように0.03MPaとなる。この取水休止時(電解休止時)に隔膜15が陰極層14に押し付けられるので、隔膜15及び陰極層14の水分が陰極室12c内に押し出されるのである。
【0097】
取水時(電解時)における陽極室11cの圧力と電解電流値及び電解電圧値との関係を調べた。即ち、前述したように隔膜15の膜厚を0.16mm、陰極層14及び陽極層13間の隙間を0.10mmに設定して陰極室12cの圧力を0.2MPaの一定圧、陽極室11cの圧力を変化させた場合の電解電流値及び電解電圧値を調べた。その結果を表7に示す。
【表7】
【0098】
この取水時においては、隔膜15は、陰極室12c及び陽極室11cの両面側からかなり圧迫されて密着度が高くなり、その膜厚は0.10mm以下となる。この場合、陰極室12cの圧力が陽極室12cの圧力より高くなるが、密着度が高いため隔膜15と陰極層14とは密着した状態を維持することとなった。表7より、陽極室11cの圧力が0.10MPa以上となっても、電解電流値は同じ値を維持し、また、電解電圧値も同じ値を維持する結果となった。
【0099】
このような実施例2において、取水水量(L)に対する電解電流値(A)及び電解電圧値(V)を測定した。その結果が
図18に示されている。同図において、横軸は流量カウンタ94によって計測した水素水の取水水量(L)、縦軸は電解電流値(A)及び電解電圧値(V)をそれぞれ示している。
【0100】
同図から分かるように、この実施例2の試験では、電気分解開始から12トン(12000L)の水素水を取水しても電解電流値は3.5Aの一定値に維持できた。また、隔膜15及び陰極層14間の隙間と隔膜15及び陽極層13間の隙間とを極端に狭くしても、換言すれば、隔膜15を陰極層14及び陽極層13できつく圧迫しても電解電流値は変わらなかった。逆に、より低い電解電圧値で実施例1の場合と同様の電解電流値を得ることができた。即ち、取水休止時に、陽極室11cの圧力を陰極室12cの圧力より大きくすることで、隔膜15及び陰極層14間の隙間量並びに隔膜15及び陽極層13間の隙間量に関係なく、スケール障害を防止できることが分かった。
【0101】
実際、試験終了後の陰極層の隔膜側の面に付着したスケールを観察すると、
図15(D)に示すように、わずかな量のスケールしか溜まっていなかった(同図の白い部分が溜まったスケールを示している)。なお、図示していないが、陰極層の隔膜とは反対側の面には、スケールがほとんど溜まっていなかった。
【0102】
図19は以上説明した比較例1及び2並びに実施例1における取水水量に対する電解電流値及び電解電圧値を同一の図上に示したものである。ただし、隔膜15の膜厚は0.16mmであり、陰極層14及び陽極層13間の隙間は0.15mmに設定した試験データを比較したものである。
【0103】
同図及び
図15から分かるように、陽極室11cにリリーフ弁83を付け、陽極室11cの圧力変動を利用して隔膜15の圧縮状態をピストン的に移動させてやることで、隔膜15と陰極層14間に水の吸引及び排出を行わせることができ、これにより、特に、陰極層14へのスケール付着を防止することができた。
【0104】
以上述べた実施形態及び実施例は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【課題】一般的な日本の水道水をそのまま被処理水として陰極室のみに供給しても、電解槽において直接短時間で水素水を生成でき、固体高分子膜と陰極触媒間の隙間間でカルシウムスケールやマグネシウムスケールが生成・付着する現象を防止でき、さらに、製造コストが安価で、長期間の使用にあっても水素ガス発生量の低下がなく安定した水素水が得られ、効率の良い水素ガス発生機能を長時間にわたって維持することができる水素水の製造装置を提供する。
【解決手段】水素水の製造装置は、電気分解に必要な触媒を有し水及び気体が通過可能な陽極層と、電気分解に必要な触媒を有し水及び気体が通過可能な陰極層と、陽極層及び陰極層間に互いに密着して挟設された隔膜と、陽極層に接する陽極室と、陰極層に接する陰極室とを備えている。陰極室に所定圧力以上の飲料水が供給されている第1の状態において、陽極室の水若しくは気体の単独圧力又は水及び気体の混合圧力を陰極室の圧力未満に制御して電気分解することにより陰極層に発生した水素ガスを飲料水に溶解させて水素水を生成するように構成されており、陰極室に飲料水が供給されていない第2の状態において、陰極室の水及び気体の混合圧力が陽極室の水若しくは気体の単独圧力又は水及び気体の混合圧力未満に制御するように構成されている。