特許第6371506号(P6371506)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6371506筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベルおよびその連続体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371506
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベルおよびその連続体
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/04 20060101AFI20180730BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20180730BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20180730BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20180730BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20180730BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20180730BHJP
   B65D 23/00 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   G09F3/04 C
   B32B1/08 Z
   B32B27/00 E
   G09F3/10 J
   G09F3/00 Q
   B65D65/40 D
   B65D23/00 T
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-189718(P2013-189718)
(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公開番号】特開2015-55791(P2015-55791A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】特許業務法人河崎・橋本特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100117972
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 眞一
(74)【代理人】
【識別番号】100156030
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 孝臣
(74)【代理人】
【識別番号】100190713
【弁理士】
【氏名又は名称】津村 祐子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 豊
【審査官】 古屋野 浩志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−066225(JP,U)
【文献】 特開平03−137689(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/096274(WO,A1)
【文献】 特開2006−215245(JP,A)
【文献】 特開2004−029463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/04
B32B 1/08
B32B 27/00
B65D 23/00
B65D 65/40
G09F 3/00
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性フィルムと、前記熱収縮性フィルムの一方の面を被覆する装飾層と、前記熱収縮性フィルムと前記装飾層との間に介在する第一粘着層とを有し、互いに対向する第一端部および第二端部を有する形状の積層シートと、
前記熱収縮フィルムの前記第一端部に対応する部分に設けられた第一接合代と、前記装飾層の前記第二端部に対応する部分に設けられた第二接合代との間に介在し、前記装飾層が外側になるように前記第一接合代と前記第二接合代とを接合する第二粘着層と、を具備し、
前記装飾層が、レーヨン紙(雲龍紙を除く)の層を含み、
前記レーヨン紙の坪量は、8〜40g/m2 であり、
前記第一端部と前記第二端部との重なりの幅Wは、5〜20mmである、筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベル。
【請求項2】
前記装飾層は、前記レーヨン紙の前記第一粘着層側とは反対側の表面に形成された印刷層を含む、請求項1に記載の筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベル。
【請求項3】
前記積層シートが、前記第一端部と平行であり、かつ前記第二端部よりも前記第一端部に近い位置に形成された第一折り目と、前記第二端部と平行であり、かつ前記第一端部よりも前記第二端部に近い位置に形成された第二折り目とを有し、
前記積層シートが、前記第一折り目において、前記装飾層が外側になるように2つ折りにされ、かつ前記第二折り目において、前記装飾層が外側になるように2つ折りにされることにより、前記第一接合代と前記第二接合代との重なりが形成される、請求項1または2に記載の筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベル。
【請求項4】
前記第二端部と前記第二折り目との間のみに形成された、相対的強度の小さい破断予定部を有する、請求項3に記載の筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベル。
【請求項5】
長尺の帯状形状を有し、
前記第一端部および前記第二端部が、前記帯状形状の長手方向に平行である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベルの連続体。
【請求項6】
前記帯状形状の長手方向が、捲回方向と平行になるようにロール状に捲回された、請求項5に記載の筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベルの連続体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酒類などの液体を収容するのに適した筒状容器を装飾するシュリンクラベルに関し、詳しくは、和風の高級感を観者に与える、和紙調シュリンクラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の社会的な環境意識の高まりに伴い、焼却処理や再利用を容易かつ安価に行える紙パックを液体用容器として用いることが多くなってきている。そこで、酒類用容器としても、紙パックを用いることが検討されている。しかし、紙パックの装飾は、紙パックの外面にオフセット印刷法やグラビア印刷法などで文字や絵柄を施したものであり、和紙調の視覚感や触感が得られず、容器の外観が高級感に欠けるものとなる。そこで、熱収縮性フィルムと和紙調レーヨン紙との積層シートで、紙パックの底部から側部を覆い、加熱により熱収縮性フィルムを収縮させて、容器に密着させることが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、ガラス瓶を化粧装飾する方法としても、熱収縮性フィルムと和紙調レーヨン紙からなる一枚の積層シートを、ガラス瓶の側面に押し付けながら捲きつけ、その後、加熱により熱収縮性フィルムを収縮させて、ガラス瓶に密着させることが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−345132号公報
【特許文献2】特開平3−14432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2のように、熱収縮性フィルムと和紙調レーヨン紙との積層シートを用いて容器を包装する場合、熱収縮性フィルムを収縮させて容器に密着させる前の、積層シートの容器への装着状態が重要である。装着状態が適切でない場合には、積層シートに歪みが生じたり、和紙調レーヨン紙に印刷された模様が正規位置から外れたりして、装飾の効果が低減することになる。そして、特許文献1、2の場合、積層シートの容器への適切な装着状態を得るためには、積層シートを容器の特定の位置に位置合わせして捲き付けるとともに、積層シートの両端部を固定する作業が必要である。
【0006】
また、特許文献1、2は、紙パックやガラス瓶のような容器の全体を被覆するための包装材料を提案するものである。包装材料で被覆された商品の購入者は、通常、購入した商品を使用もしくは消費する際には、包装材料を剥ぎ取ってしまい、包装材料で覆われていた容器を取り出してしまうことが多い。その場合、容器を修飾するものは、容器に直接印刷されている装飾か、あるいは容器に貼り付けられている紙ラベルだけとなる。従って、包装材料を剥ぎ取った時点で、高級感が失われてしまう。一方、酒類を提供する飲食店などでは、包装材料を剥ぎ取った状態で、商品を顧客に見える状態で陳列することも多い。従って、紙パックやガラス瓶のような容器の全体を被覆するための包装材料を使用しても、筒状容器が高級感を継続的に維持することは困難である。
【0007】
更に、安価な酒類などは、そのまま飲用者の口と接触させるのに適したカップ状の筒状容器で販売されることも多い。このような商品は、安価で提供することが前提となっており、コスト面の制約が大きいため、包装材料で被覆されることなく提供されるのが通常である。従って、包装材料によって商品に高級感を付与することはできない。
【0008】
本発明は、上記に鑑み、包装材料を用いることなく、酒類などを収容する筒状容器に和風の高級感を与えるとともに、容器の内容物がなくなるまで高級感を継続的に維持することができるような、和紙調シュリンクラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面は、熱収縮性フィルムと、前記熱収縮性フィルムの一方の面を被覆する装飾層と、前記熱収縮性フィルムと前記装飾層との間に介在する第一粘着層とを有し、互いに対向する第一端部および第二端部を有する形状の積層シートと、前記熱収縮フィルムの前記第一端部に対応する部分に設けられた第一接合代と、前記装飾層の前記第二端部に対応する部分に設けられた第二接合代との間に介在し、前記装飾層が外側になるように前記第一接合代と前記第二接合代とを接合する第二粘着層と、を具備し、前記装飾層が、レーヨン紙(雲龍紙を除く)の層を含み、前記レーヨン紙の坪量は、8〜40g/m2 であり、前記第一端部と前記第二端部との重なりの幅Wは、5〜20mmである、筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベルに関する。
【0010】
本発明の好ましい形態において、積層シートは、第一端部と平行であり、かつ第二端部よりも第一端部に近い位置に形成された第一折り目と、第二端部と平行であり、かつ第一端部よりも第二端部に近い位置に形成された第二折り目とを有する。そして、積層シートが、第一折り目において、装飾層が外側になるように2つ折りにされ、かつ第二折り目において、装飾層が外側になるように2つ折りにされることにより、第一接合代と第二接合代との重なりが形成される。
【0011】
本発明のより好ましい形態において、積層シートは、第二端部と第二折り目との間のみに形成された、相対的強度の小さい破断予定部を有する。
【0012】
本発明の他の局面は、長尺の帯状形状を有し、前記第一端部および前記第二端部が、前記帯状形状の長手方向に平行である、上記のいずれかに記載の筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベルの連続体に関する。
【0013】
本発明の好ましい形態において、上記筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベルの連続体は、前記帯状形状の長手方向が、捲回方向と平行になるように、ロール状に捲回されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の和紙調シュリンクラベルを用いることにより、包装材料を用いることなく、酒類などを収容する筒状容器に和風の高級感を与えるとともに、容器の内容物がなくなるまで高級感を継続的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態に係る和紙調シュリンクラベルを構成する積層シートの断面図である。
図2】第一実施形態に係る展開された和紙調シュリンクラベルの上面図である。
図3】略四角形の積層シートの形状を概念的に例示する上面図である。
図4A】第一接合代と第二接合代とを第二粘着層により接合する前の和紙調シュリンクラベルを概念的に示す断面図である。
図4B】第一接合代と第二接合代とを第二粘着層により接合した後の和紙調シュリンクラベルの要部断面図である。
図5】第一実施形態に係る和紙調シュリンクラベルを、第一接合代と第二接合代との接合部側から見た上面図である。
図6】第二実施形態に係る展開された和紙調シュリンクラベルの上面図である。
図7】第一折り目と第二折り目で折り曲げ、かつ第一接合代と第二接合代とを第二粘着層により接合する前の和紙調シュリンクラベルを概念的に示す断面図である。
図8】第二実施形態に係る和紙調シュリンクラベルを、第一接合代と第二接合代との接合部側から見た上面図である。
図9】瓶形状の筒状容器に、和紙調シュリンクラベルを装着し、その後、加熱により和紙調シュリンクラベルを収縮させて筒状容器に密着させた状態を示す図である。
図10】カップ状の筒状容器に、和紙調シュリンクラベルを装着し、その後、加熱により和紙調シュリンクラベルを収縮させて筒状容器に密着させた状態を示す図である。
図11】第三実施形態に係る和紙調シュリンクラベルの連続体を、第一接合代と第二接合代との接合部側から見た上面図である。
図12】ロール状に捲回された連続体を、個別に切り出して、筒状容器に装着する工程を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベルは、熱収縮性フィルムと、熱収縮性フィルムの一方の面を被覆する装飾層と、熱収縮性フィルムと装飾層との間に介在する第一粘着層と、を有する積層シートにより形成されている。装飾層は、高級感を付与する観点から、レーヨン紙の層を含んでいる。
【0017】
和紙調シュリンクラベルが展開された状態では、積層シートの形状は、互いに対向する第一端部と第二端部とを有する形状(例えば長方形)である。熱収縮フィルムの第一端部に対応する部分には第一接合代が設けられており、装飾層の第二端部に対応する部分には第二接合代が設けられている。第一接合代と第二接合代とは、第二粘着層により接合されている。
【0018】
上記和紙調シュリンクラベルは、構造が簡易であるため、一枚の長方形の積層シートから容易に製造することができる。よって、製造コストが小さいため、安価で高級感のある装飾を筒状容器に付与することができる。
【0019】
また、上記和紙調シュリンクラベルは、積層シートの第一端部に設けられた第一接合代と第二端部に設けられた第二接合代とが、第二粘着層により接合されていることから、筒状容器を和紙調シュリンクラベルに貫挿するだけで、容易に、筒状容器に和紙調シュリンクラベルを装着することができる。そのため、和紙調シュリンクラベルの筒状容器への位置合わせが容易で、装飾が斜めに歪んだりすることもない。
【0020】
更に、第一接合代が熱収縮フィルムの表面であり、第二接合代が網目構造を有するレーヨン紙で構成された装飾層の表面であることから、熱収縮フィルムの装飾層に対する密着性が適度なものとなる。よって、第一接合代と第二接合代との接合部を剥がして、筒状容器と和紙調シュリンクラベルとを分離することが容易である。そのため、容器に粘着剤を介して貼り付ける紙ラベルなどに比べて、筒状容器だけを回収したり、和紙調シュリンクラベルを廃棄したりする際の分別が容易となる。
【0021】
本発明の好ましい形態において、積層シートは、第一端部と平行であり、かつ第二端部よりも第一端部に近い位置に形成された第一折り目と、第二端部と平行であり、かつ第一端部よりも第二端部に近い位置に形成された第二折り目とを有する。そして、積層シートが、第一折り目において、装飾層が外側になるように2つ折りにされ、かつ第二折り目において、装飾層が外側になるように2つ折りにされることにより、第一接合代と第二接合代との重なりが形成されている。
【0022】
上記構成によれば、筒状の和紙調シュリンクラベルを、事実上、一枚のシート状物として扱うことができる。従って、複数の和紙調シュリンクラベルを重ねて保存したり、重ねて輸送したりすることができ、取り扱いの利便性が向上する。
【0023】
また、上記構成によれば、和紙調シュリンクラベルの形状が安定化するため、第二粘着層による第一接合代と第二接合代との接合部には、余計な応力が印加されにくくなる。よって、被装飾物である筒状容器に和紙調シュリンクラベルを装着する前に、第一接合代と第二接合代との接合部が剥がれたり、筒状容器に和紙調シュリンクラベルを密着させるときに、接合部が剥がれたりする可能性が低減する。
【0024】
本発明のより好ましい形態において、積層シートは、第二端部と第二折り目との間に形成された、相対的強度の小さい破断予定部を有する。
【0025】
上記構成によれば、第一接合代と第二接合代との接合部の強度が、高くなり過ぎた場合でも、筒状容器を回収したり、和紙調シュリンクラベルを廃棄したりする際には、破断予定部が容易に破断する。よって、筒状容器と和紙調シュリンクラベルとを分離する作業が更に容易になる。
【0026】
また、第二端部は第一端部に覆われた状態であるため、破断予定部を、第一端部と第一折り目との間に形成するよりも、第二端部と第二折り目との間に形成する方が、接合部における面方向の摩擦力が働きやすい。よって、破断予定部を第二端部と第二折り目との間に形成することで、外力を付与したときの破断予定部の破断が促進される。
【0027】
本発明の和紙調シュリンクラベルは、長尺の帯状形状を有する連続体とすることもできる。このとき、和紙調シュリンクラベルの第一端部および第二端部は、帯状形状の連続体の長手方向と平行となる。
【0028】
上記構成によれば、和紙調シュリンクラベルを連続体から、順次、切り出して使用することができる。よって、多数の和紙調シュリンクラベルを使用する際の作業効率が向上する。また、和紙調シュリンクラベルを連続体とすることで、和紙調シュリンクラベルの製造コストを低減することができる。
【0029】
和紙調シュリンクラベルの連続体は、事実上、一枚のシート状物として取り扱うことができる。よって、連続体は、その長手方向が、捲回方向と平行になるように、ロール状に捲回することができる。これにより、和紙調シュリンクラベルの輸送、管理、保存および取り扱いが容易となる。
【0030】
以下、本発明の筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベルの実施形態について、より具体的に説明するが、以下の実施形態は本発明を限定するものではない。
【0031】
(第一実施形態)
図1に、本実施形態に係る筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベルを構成する積層シート10の断面図を示す。積層シート10は、展開されたときの形状が長方形であり、熱収縮性フィルム11と、熱収縮性フィルム11の一方の面を被覆する装飾層12と、熱収縮性フィルム11と装飾層12との間に介在する第一粘着層13とを具備する。なお、展開されたときの形状とは、積層シート10を平坦に引き延ばし、積層シート10を、その主面に対して垂直な方向からみたときの外形である。
【0032】
熱収縮性フィルム11は、加熱することによって収縮し、容器に密着するフィルムである。熱収縮性フィルムの材質は、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどを用いることができる。
【0033】
装飾層12は、和風の高級感を表現するのに適することから、レーヨン紙14(特に和紙調レーヨン紙)の層を含んでいる。装飾層12は、例えば、レーヨン紙14と、その表面に形成された印刷層15とで構成されている。
【0034】
印刷層15は、筒状容器を装飾するための様々な図形、文字、模様等を含んでいる。印刷層15は、図1のように、レーヨン紙等14の第一粘着層13側とは反対側の面に設けることが好ましいが、レーヨン紙等14と第一粘着層13との間に設けてもよいし、レーヨン紙等14の両面に設けてもよい。また、印刷層15は、必ずしも、装飾層12に設ける必要はなく、熱収縮性フィルム11の一方の面に形成してもよい。印刷層15は、その被形成面に対して、例えば、オフセット印刷法やグラビア印刷法などにより形成することができる。
【0035】
レーヨン紙は、熱収縮性フィルム11が収縮しても、大きな皺を形成することがなく、網目構造の網目がより詰った状態になるため、シュリンクラベルの材料として特に適している。和紙調レーヨン紙は、表面に和紙のような繊維状の起伏を有する。和紙調レーヨン紙は、再生セルロースの人造繊維により形成することができる。和紙調レーヨン紙の坪量は、特に限定されないが、例えば8〜40g/m2 が好ましい。なお、レーヨン紙とは、溶解パルプを原料とするレーヨン(rayon)繊維を用いた不織布である。
【0036】
第一粘着層13を形成する粘着剤としては、所望の接着強度を発現する材料を用いればよく、特に限定されない。例えば、デンプンなどの糊剤、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂を主成分とする粘着剤などを用いることができる。
【0037】
装飾層12および第一粘着層13は、いずれも熱収縮性フィルム11の全面に形成されていることが好ましいが、装飾層12および第一粘着層13が形成されていない領域を有してもよい。ただし、筒状容器に十分な高級感を付与する観点から、例えば、熱収縮性フィルム11の一方の面の面積の90%以上に、装飾層12および第一粘着層13が形成されていることが好ましい。
【0038】
積層シート10は、ドライラミネーション法、無溶剤型ラミネーション法、ウエットラミネーション法などの積層法によって作製することができる。上記のように、本発明の和紙調シュリンクラベルは、一枚の積層シート10から容易に製造することができる。よって、安価でありながら、高級感のある装飾を筒状容器に付与することが可能である。
【0039】
次に、図2に、展開された状態の和紙調シュリンクラベル20の上面図を示す。和紙調シュリンクラベル20の形状は長方形であり、互いに対向する第一端部16および第二端部17を有するとともに、第一端部16および第二端部17に対して垂直かつ互いに平行な第三端部18および第四端部19を有する。
【0040】
図2の一点鎖線は、第一端部16に設けられる第一接合代16aの境界および第二端部に設けられる第二接合代17aの境界を示している。装飾層12の表面からなる第二接合代17aには、第二粘着層21が設けられている。なお、第二粘着層21は、第一接合代16aに設けてもよく、第一接合代16aと第二接合代17aの両方に設けてもよい。
【0041】
積層シート10の形状は、完全な四角形である必要はなく、略四角形であればよい。従って、長方形の四隅は鋭角であってもよく、丸みを帯びていてもよい。また、長方形の各辺は、曲線部を含んでもよく、長方形は、非対称な形状であってもよい。なお、長方形には、正方形も含まれる。
【0042】
図3に、略四角形の積層シート10A〜10Cの形状を上面図により例示する。図3(a)は、四隅が面取りされた略四角形であり、図3(b)は、四隅が丸みを帯びている略四角形であり、図3(c)は、四隅が丸みを帯びるとともに、第三端部18および第四端部19が曲線からなる略四角形である。なお、略四角形は、上記に限定されるものではない。
【0043】
和紙調シュリンクラベル20を形成する際には、装飾層12が外側に配置されるように、かつ、互いに対向する第一端部16と第二端部17とが互いに重なり合うように、積層シート10が折り曲げられ、または屈曲される。そして、第一端部16に設けられた第一接合代16aと、第二端部17に設けられた第二接合代17aとが、これらの間に介在する第二粘着層により接合される。
【0044】
ここで、第一接合代16aは、熱収縮フィルム11の表面であり、第二接合代17aは網目構造を有するレーヨン紙で構成された装飾層の表面である。従って、熱収縮フィルム11の装飾層12に対する密着性は適度なものとなる。そのため、筒状容器を廃棄等する際には、第一接合代16aと第二接合代17aとの接合部を剥がして、筒状容器と和紙調シュリンクラベルを分離することが容易となる。
【0045】
図4Aは、第一接合代16aと第二接合代17aとを第二粘着層(図示せず)により接合する前の和紙調シュリンクラベルを、概念的に断面で示している。図4Bは、第一接合代16aと第二接合代17aとを第二粘着層21により接合した後の和紙調シュリンクラベルの要部断面図を示している。第一接合代16aは、熱収縮フィルム11の第一端部16に対応する部分に設けられる。また、第二接合代17aは、装飾層12の第二端17部に対応する部分に設けられる。
【0046】
図5は、和紙調シュリンクラベル20を、第一接合代16aと第二接合代17aとの接合部側から見た上面図である。第一端部16と第二端部17との重なりの幅Wは、特に限定されないが、積層シート10を有効に利用するとともに、十分な面積の接合代を確保する観点から、例えば5〜20mmであることが好ましい。第一接合代16aと第二接合代17aの幅は同じでも異なってもよく、例えば、第一端部16と第二端部17との重なりの幅W以下であればよい。
【0047】
このように、積層シート10の第一端部16に設けられた第一接合代16aと第二端部17に設けられた第二接合代17aとが、予め第二粘着層21で接合されていることから、和紙調シュリンクラベル20自体が筒状であり、筒状容器に容易に装着することができる。そして、和紙調シュリンクラベル20を筒状容器に装着するだけで、和紙調シュリンクラベル20の筒状容器への位置合わせがほぼ完了する。
【0048】
第二粘着層21を形成する粘着剤としても、所望の接着強度を発現する材料を用いればよく、特に限定されない。例えば、第一粘着層13としても使用可能な糊剤や粘着剤を用いることができる。
【0049】
(第二実施形態)
図6は、本実施形態に係る和紙調シュリンクラベル20Aを展開した状態の上面図である。本実施形態では、第一実施形態と同じ構成要素には、同じ符号を用いる。和紙調シュリンクラベル20Aを構成する積層シート10には、第一端部16と平行であり、かつ第二端部17よりも第一端部16に近い位置に形成された第一折り目22と、第二端部17と平行であり、かつ第一端部16よりも第二端部17に近い位置に形成された第二折り目23とを有する。
【0050】
和紙調シュリンクラベル20Aを形成する際には、図7に示すように、積層シート10が、第一折り目22において、装飾層12が外側になるように2つ折りにされ、かつ第二折り目23において、装飾層12が外側になるように2つ折りにされる。これにより、第一接合代16aと第二接合代17aとの重なりが形成される。そして、第一接合代16aと第二接合代17aとが、第二粘着層21により接合される。
【0051】
図8は、完成した和紙調シュリンクラベル20Aを、第一接合代16aと第二接合代17aとの接合部側から見た上面図である。このように、積層シート10を明確な折り目22、23により完全に折り畳むことで、筒状の和紙調シュリンクラベル20Aを、事実上、一枚のシート状物として扱うことができ、和紙調シュリンクラベル20Aの保存や輸送の利便性が向上する。また、上記のように折り畳むことで、和紙調シュリンクラベル20Aの形状が安定化するため、第二粘着層21による第一接合代16aと第二接合代17aとの接合部に余計な応力が印加されにくくなる。よって、第一接合代と第二接合代との接合部の剥がれが低減される。
【0052】
図6および図8に示すように、積層シート10の第二端部と第二折り目との間には、破断予定部24を形成してもよい。これにより、第一接合代16aと第二接合代17aとの接合部の強度が高い場合でも、必要時には、破断予定部24を破断させて、筒状容器と和紙調シュリンクラベルとを分離することができる。
【0053】
破断予定部24の構成は、特に限定されないが、例えば、積層シート10を貫通する貫通孔によるミシン目を設けることにより、和紙調シュリンクラベル20Aに、破断予定部24を付与することができる。また、熱収縮性フィルム11に、周囲よりも厚みの小さい溝部を設けてもよく、破断の契機となる切れ込みを積層シート10の第三端部18および第四端部19の少なくとも一方に設けてもよい。
【0054】
次に、和紙調シュリンクラベルの具体的な用途の例について説明する。
まず、筒状容器の具体的形状としては、横断面が円形もしくは楕円形である胴部を有する形状が好ましいが、横断面が多角形(例えば略矩形)である胴部を有する形状でもよい。円筒型の胴部の直径は一定であってもよく、軸方向に沿って変化してもよい。筒状容器は、注ぎ口の横断面の直径が胴部よりも小さくなる瓶形状でもよい。このような形状は、清酒、焼酎、ワインなどを収容するのに適している。また、筒状容器は、直径がほぼ一定であるカップ状でもよい。カップ状の容器は、清酒を収容するのに適している。ここで、カップ状とは、横断面がほぼ一定の直径D1を有する円形である円筒型の胴部を有し、開口の直径D2が胴部の直径D1とほぼ同じである形状をいう(例えば0.8×D1≦D2≦D1)。カップ状の容器は、筒状容器の開口を、液体を飲用する者の口と直に接触させるのに適している。
【0055】
図9は、注ぎ口の横断面の直径が胴部よりも小さくなる瓶形状の筒状容器25に、和紙調シュリンクラベル20を装着し、その後、加熱により和紙調シュリンクラベル20を収縮させて筒状容器25に密着させた状態を示している。このような瓶形状の容器を修飾するラベルとしては、従来、紙ラベルを、粘着剤を介して容器に貼り付けることが常法となっている。しかし、紙ラベルを容器に貼り付ける際には、ラベルが歪まないように位置合わせしたり、ラベルに皺がよらないように配慮したりする必要があり、作業には、ある程度の熟練を要する。しかも、内容物が空になった容器を廃棄する際には、ラベルを取り外すことが困難である。一方、和紙調シュリンクラベル20は、容器に対する位置合わせが容易であり、かつ容器を廃棄する際には、容易に容器から取り外すことができる。
【0056】
図10は、カップ状の筒状容器26に、和紙調シュリンクラベル20を装着し、その後、加熱により和紙調シュリンクラベル20を収縮させて筒状容器26に密着させた状態を示している。カップ状の筒状容器26は、包装材料で包装されることは稀であり、粘着剤を介して紙ラベルを容器に貼り付けることが常法となっている。しかし、このような商品は安価で販売されるものであり、紙ラベルに高級な和紙を使用することはできない。一方、和紙調シュリンクラベル20を用いることにより、安価なコストで高級感を商品に付与することが可能となる。
【0057】
また、このような商品は、図10に示すように、上下方向に重ねて陳列されることも多い。従って、全ての商品のラベルの位置が揃わないと、見栄えが低下し、商品の高級感が損なわれることとなる。一方、和紙調シュリンクラベル20を用いる場合には、ラベルの位置合わせが容易であり、ラベルが斜めに歪むこともないため、商品の陳列状態に関わらず、高級感を維持しやすい。
【0058】
(第三実施形態)
図11は、本実施形態に係る和紙調シュリンクラベルの連続体20Bを、第一接合代16aと第二接合代17aとの接合部側から見た上面図である。本実施形態でも、第一実施形態と同じ構成要素には、同じ符号を用いる。
【0059】
連続体20Bは、第二実施形態に係る和紙調シュリンクラベル20Aの連続体に相当する。すなわち、連続体20Bを構成する積層シート10には、第一端部16と平行であり、かつ第二端部17よりも第一端部16に近い位置に形成された第一折り目22と、第二端部17と平行であり、かつ第一端部16よりも第二端部17に近い位置に形成された第二折り目23とを有する。長尺で帯状の積層シート10が、その長手方向と平行な第一折り目22において、装飾層12が外側になるように2つ折りにされ、かつその長手方向と平行な第二折り目23において、装飾層12が外側になるように2つ折りにされる。これにより、第一接合代16aと第二接合代17aとの重なりが形成される。そして、第一接合代16aと第二接合代17aとが、第二粘着層21により接合される。
【0060】
和紙調シュリンクラベルの連続体は、長尺で帯状の積層シート10を原料として、容易に製造することができる。また、連続体によれば、多数の筒状容器に必要な和紙調シュリンクラベルを同時に供給することができる。よって、和紙調シュリンクラベルの製造コストを低減することができる。更に、和紙調シュリンクラベルを連続体とすることにより、必要時に必要な数(または長さ)の和紙調シュリンクラベルを連続体から順次切り出して使用することができる。
【0061】
図12に示すように、和紙調シュリンクラベルの連続体20Bは、ロール状に捲回することができるため、輸送、管理、保存および取り扱いに便利である。また、取り扱いが容易であることから、連続して多数の筒状容器に和紙調シュリンクラベルを装着する際の作業効率も向上する。
【0062】
図12では、ロール状に捲回された連続体20Bから、和紙調シュリンクラベルが一枚のシート状物として捲き出され、所定の長さで切り出される((a))。次に、和紙調シュリンクラベルが一枚のシート状から筒状に形成され((b))、筒状容器に装着される((c))。その後、和紙調シュリンクラベルに含まれる熱収縮性フィルムを収縮させることで、筒状容器に和紙調の装飾が施される((d))。このような一連の工程は、ライン状の装置を用いて、連続的に、筒状容器に和紙調シュリンクラベルの装飾を施すのに適している。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の筒状容器装飾用の和紙調シュリンクラベルは、筒状容器の内容物に関わらず、様々な筒状容器に適用することができるが、特に、日本酒(清酒)、焼酎などの酒類を収容する筒状容器を装飾するのに適している。
【符号の説明】
【0064】
10:積層シート、11:熱収縮性フィルム、12:装飾層、13:第一粘着層、14:レーヨン紙等、15:印刷層、16:第一端部、16a:第一接合代、17:第二端部、17a:第二接合代、18:第三端部、19:第四端部、20,20A:和紙調シュリンクラベル、20B:和紙調シュリンクラベルの連続体、21:第二粘着層、22:第一折り目、23:第二折り目、24:破断予定部、25,26:筒状容器
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12