特許第6371517号(P6371517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371517
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】シート加圧装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20180730BHJP
   B31B 70/26 20170101ALI20180730BHJP
   B31B 70/64 20170101ALI20180730BHJP
【FI】
   B65H5/06 H
   B31B70/26
   B31B70/64
   B65H5/06 D
   B65H5/06 F
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-256863(P2013-256863)
(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公開番号】特開2015-113204(P2015-113204A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】片田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】内藤 拓
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−268549(JP,A)
【文献】 実開昭54−166307(JP,U)
【文献】 特開昭53−96729(JP,A)
【文献】 特開2012−91376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H5/06、29/20−29/22
B31B50/00−70/99
B31C1/00−99/00
B31D1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート幅方向の左右の側端部に感圧性接着剤が塗布されたシートを一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送するシート搬送路中に設置されており、前記シートに対して前記シート搬送ローラ対のニップ圧よりも大きなニップ圧で加圧処理するシート加圧装置であって、
前記シート搬送路中でシート搬送方向の下流側に設けた揺動支点に支持されており、且つ、前記揺動支点側から前記シート搬送路の上流側に向かって前記シートの幅方向の左右をアーム状に形成されて前記揺動支点を中心にして揺動する左右一対のアームと、
前記シート搬送路中でシート搬送方向の上流側に設置され、前記一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送された前記シートを下流側に向けて案内する一方の第1ローラ及び他方の第1ローラを有し、且つ、前記一方の第1ローラに対して前記シート搬送路を挟んで対向する他方の第1ローラを前記左右一対のアームに取り付けたシート案内ローラ対と、
前記シート搬送路中で前記シート案内ローラ対よりも下流側に設置され、前記一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送された前記シートに塗布された前記感圧性接着剤を加圧するための一方の第2ローラ及び他方の第2ローラを有し、且つ、前記一方の第2ローラに対して前記シート搬送路を挟んで対向する前記他方の第2ローラを前記左右一対のアームに取り付けた加圧ローラ対と、
前記シート案内ローラ対をニップするように付勢すると共に、前記加圧ローラ対を前記シート搬送ローラ対のニップ圧よりも大きなニップ圧で付勢して前記シートを加圧する付勢手段と、を備え、
前記加圧ローラ対は、前記感圧性接着剤が塗布されたシートの前記側端部に対応する位置に設けられており、前記一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送された前記シートが前記シート案内ローラ対にニップされたときに、前記左右一対のアームに取り付けられた前記シート案内ローラ対の前記他方の第1ローラが前記シートの厚みにより前記揺動支点を中心にして前記一方の第1ローラから遠ざかる方向に揺動し、前記加圧ローラ対の前記一方の第2ローラと前記他方の第2ローラとの間のギャップを広げることを特徴とするシート加圧装置。
【請求項2】
前記一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送される前記シートが前記シート案内ローラ対に進入する前の待機時に、前記シート案内ローラ対の前記一方の第1ローラと前記他方の第1ローラとの間のギャップ及び前記加圧ローラ対の前記一方の第2ローラと前記他方の第2ローラとの間のギャップを前記シートの厚みよりも小さい値に保持するギャップ保持手段を更に備えたことを特徴する請求項1記載のシート加圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送するシート搬送路中に設置されており、このシートに対してシート搬送ローラ対のニップ圧よりも大きなニップ圧で加圧処理するシート加圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、シートを一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送するシート搬送路中に設置されており、このシートに対してシート搬送ローラ対のニップ圧よりも大きなニップ圧で加圧処理するシート加圧装置は、折り畳まれたシートを加圧ローラ対により加圧して接着する折り畳み接着装置(例えば、特許文献1参照)や、シート上に坦持されたトナー画像を加圧ローラと加熱ローラとで加圧加熱する周知の定着装置などに適用されている。
【0003】
上記した特許文献1に開示された折り畳み接着装置では、ここでの図示を省略するものの、シートを折り畳み装置で折り畳み、且つ、折り畳まれたシートの所定箇所に予め付着されている感熱性接着剤又は感圧性接着剤などを複数の強圧ローラ対で加圧して接着している。
【0004】
この際、折り畳み接着するシートのシート厚によって、折り畳まれたシートに接着条件を付与する間隔として強圧ローラ対の駆動ローラと従動ローラとの間のローラ間隔を調整する間隔調整機構部が設けられている。
【0005】
これにより、シートの厚みや二つ折り、三つ折り、及び折り寸法等の折り条件により強圧ローラ対のローラ間隔を間隔調整機構部により調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−207245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、シートを一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送するシート搬送路中で、このシートに対してシート搬送ローラ対のニップ圧よりも大きなニップ圧で加圧する加圧ローラ対により加圧処理を必要とする場合に、シートが加圧ローラ対の駆動ローラと従動ローラとの間に進入するときに、加圧ローラ対のニップ圧が大きく且つシートの厚みが厚いと、加圧ローラ対の駆動ローラを回転駆動する回転駆動源となるモータに大きな負荷がかかり、これによりモータが停止してしまうなどの問題が生じる場合がある。
【0008】
そこで、特許文献1に開示された折り畳み接着装置では、折り畳まれたシートのシート厚に応じて間隔調整機構部により強圧ローラ対のローラ間隔を調整することで、各強圧ローラ対の駆動ローラを回転駆動するモータへの負荷を軽減している。
【0009】
しかしながら、上記した間隔調整機構部は、同号公報中には詳細な構造についての説明が記載されていないが、推測するとモータ及び減速機構などの回転駆動源を用いて複数の強圧ローラ対のローラ間隔を適宜な値に調整するものと考えられるが、間隔調整機構部を動作させるに必要な時間がかかり、このためにシートを高速に搬送しながら強圧ローラで折り畳まれたシートを加圧接着する場合に高速化に対応できないという新たな問題が生じてしまう。
【0010】
そこで、シートを一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送するシート搬送路中で、このシートに対してシート搬送ローラ対のニップ圧よりも大きなニップ圧で加圧する加圧ローラ対により加圧処理をする際に、シートが加圧ローラ対に進入するときにこの加圧ローラ対の駆動ローラを回転駆動する回転駆動源への負荷を軽減でき、且つ、シートの高速搬送にも対応できるシート加圧装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、シートを一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送するシート搬送路中に設置されており、前記シートに対して前記シート搬送ローラ対のニップ圧よりも大きなニップ圧で加圧処理するシート加圧装置であって、
前記シート搬送路中でシート搬送方向の下流側に設けた揺動支点に支持されており、且つ、前記揺動支点側から前記シート搬送路の上流側に向かって前記シートの幅方向の左右をアーム状に形成されて前記揺動支点を中心にして揺動する左右一対のアームと、
前記シート搬送路中でシート搬送方向の上流側に設置され、前記一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送された前記シートを下流側に向けて案内する一方の第1ローラ及び他方の第1ローラを有し、且つ、前記一方の第1ローラに対して前記シート搬送路を挟んで対向する他方の第1ローラを前記左右一対のアームに取り付けたシート案内ローラ対と、
前記シート搬送路中で前記シート案内ローラ対よりも下流側に設置され、前記一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送された前記シートを加圧するための一方の第2ローラ及び他方の第2ローラを有し、且つ、前記一方の第2ローラに対して前記シート搬送路を挟んで対向する前記他方の第2ローラを前記左右一対のアームに取り付けた加圧ローラ対と、
前記シート案内ローラ対をニップするように付勢すると共に、前記加圧ローラ対を前記シート搬送ローラ対のニップ圧よりも大きなニップ圧で付勢して前記シートを加圧する付勢手段と、を備え、
前記一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送された前記シートが前記シート案内ローラ対にニップされたときに、前記左右一対のアームに取り付けられた前記シート案内ローラ対の前記他方の第1ローラが前記シートの厚みにより前記揺動支点を中心にして前記一方の第1ローラから遠ざかる方向に揺動し、前記加圧ローラ対の前記一方の第2ローラと前記他方の第2ローラとの間のギャップを広げることを特徴とするシート加圧装置である。
【0012】
また、第2の発明は、上記した第1の発明のシート加圧装置において、
前記一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送される前記シートが前記シート案内ローラ対に進入する前の待機時に、前記シート案内ローラ対の前記一方の第1ローラと前記他方の第1ローラとの間のギャップ及び前記加圧ローラ対の前記一方の第2ローラと前記他方の第2ローラとの間のギャップを前記シートの厚みよりも小さい値に保持するギャップ保持手段を更に備えたことを特徴するシート加圧装置である。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明のシート加圧装置によると、シート搬送路中でシート搬送方向の下流側に設けた揺動支点に支持されて揺動する左右一対のアームと、シート搬送路中でシート搬送方向の上流側に設置され、一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送されたシートを下流側に向けて案内する一方の第1ローラ及び他方の第1ローラを有し、且つ、一方の第1ローラに対してシート搬送路を挟んで対向する他方の第1ローラを左右一対のアーム間に取り付けたシート案内ローラ対と、シート搬送路中でシート案内ローラ対よりも下流側に一方の第2ローラ及び他方の第2ローラを有して設置され、一方の第2ローラに対してシート搬送路を挟んで対向する他方の第2ローラを左右一対のアーム間に取り付けた加圧ローラ対と、シート案内ローラ対をニップするように付勢すると共に、加圧ローラ対をシート搬送ローラ対のニップ圧よりも大きなニップ圧で付勢してシートを加圧する付勢手段とを備えた際に、一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送されたシートがシート案内ローラ対にニップされたときに、左右一対のアーム間に取り付けたシート案内ローラ対の他方の第1ローラがシートの厚みにより揺動支点を中心にして一方の第1ローラから遠ざかる方向に揺動する動作に伴って、加圧ローラ対の一方の第2ローラと他方の第2ローラとの間のギャップを揺動支点からの距離に応じて広げているので、一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送されたシートが加圧ローラ対の一方の第2ローラと他方の第2ローラとの間に容易に進入できる。
【0014】
これにより、付勢手段の付勢力により加圧ローラ対にシート搬送ローラ対のニップ圧よりも例えば5倍以上大きなニップ圧がかかっていても、シートの加圧ローラ対への進入時に一方の第2ローラを回転駆動する回転駆動源への負荷を軽減できるので、回転駆動源が停止することなく加圧ローラ対でシートを確実に加圧処理できる。
【0015】
更に、加圧ローラ対に対して特許文献1に記載したようなシートの厚み検出結果に応じてローラ間隔を調整するための間隔調整駆動部を持たずに済むために、シートを高速に搬送しながら加圧ローラ対でシートを確実に加圧処理できる。
【0016】
また、請求項2記載のシート加圧装置によると、一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送されるシートがシート案内ローラ対に進入する前の待機時に、シート案内ローラ対の一方の第1ローラと他方の第1ローラとの間のギャップ及び加圧ローラ対の一方の第2ローラと他方の第2ローラとの間のギャップをシートの厚みよりも小さい値に保持するギャップ保持手段を更に備えているために、一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送されたシートがシート案内ローラ対にニップされたときに、このシートが加圧ローラ対の一方の第2ローラと他方の第2ローラとの間により一層容易に進入できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a),(b)は本発明に係るシート加圧装置の構成を示した平面図,矢視断面図である。
図2】(a),(b)は本発明に係るシート加圧装置で加圧接着される折り畳みシートを示した斜視図である。
図3】本発明に係るシート加圧装置の第1動作を示した断面図である。
図4】本発明に係るシート加圧装置の第2動作を示した断面図である。
図5】本発明に係るシート加圧装置の第3動作を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係るシート加圧装置の一実施形態について、図1図5を参照して詳細に説明する。
【0019】
本発明に係るシート加圧装置は、シートを一つ以上のシート搬送ローラ対により搬送するシート搬送路中に、このシートに対してシート搬送ローラ対のニップ圧よりも大きなニップ圧で加圧する加圧ローラ対により加圧処理を必要とする場所に設置されている。
【0020】
このシート加圧装置は、先に背景技術で説明したと同様に、折り畳みシートを加圧ローラ対により加圧して接着する折り畳み接着装置や、シート上に坦持されたトナー画像を定着させる周知の定着装置などに適用可能とされているが、以下の実施形態では、本発明に係るシート加圧装置を例えば折り畳み接着装置に適用した場合について説明する。
【0021】
図1(a),(b)は本発明に係るシート加圧装置の構成を示している。また、図2(a),(b)は本発明に係るシート加圧装置で加圧接着される折り畳みシートを斜視的に示している。
【0022】
図1(a),(b)に示した本発明に係るシート加圧装置10は、例えば、封筒状に折り畳んだ折り畳みシート1内に各種の書類やダイレクトメールなどの内容物7(図2)を封入して、この折り畳みシート1の搬送方向と直交するシート幅方向の左右の側端部に付着させた感圧性接着剤(又は糊)6を後述する加圧ローラ対18により加圧して接着するように構成されている。
【0023】
ここで、本発明に係るシート加圧装置10に用いられる折り畳みシート1は、図2(a)に示す如く、封筒上紙片2と封筒中紙片3と封筒下紙片4とが連接されており、封筒上紙片2と封筒中紙片3と封筒下紙片4とを折り線5A,5Bを介して封筒状に三つ折り可能になっている。
【0024】
また、封筒上紙片2,封筒中紙片3,封筒下紙片4の左右の各側端部には、感圧性接着剤(又は糊)6が所定の間隔を隔ててそれぞれ帯状に付着されている。
【0025】
また、不図示の印刷装置内で封筒上紙片2の表面に宛て名が印刷され、且つ、封筒中紙片3の表面に差し出し名が必要に応じて印刷されるようになっていると共に、封筒中紙片3の裏面に印刷済みの内容物7を必要に応じて添付するか、又は、封筒中紙片3の裏面に情報を直接印刷可能になっている。
【0026】
そして、折り畳みシート1及び内容物7に対して印刷が終了した後に、図1(b)に示す如く、不図示の折り装置により折り畳みシート1を三つ折りして内容物7を封入した後に、本発明に係るシート加圧装置10に送られている。
【0027】
図1(a),(b)に戻り、本発明に係るシート加圧装置10では、折り畳みシート1を搬送するシート搬送路SRに沿ってシート搬送ガイド板11が設けられている。
【0028】
また、シート搬送路SRに沿って折り畳みシート1を搬送するための複数のシート搬送ローラ対12が折り畳みシート1の搬送方向の長さ寸法Lよりも短い間隔で設置されており、且つ、これら複数のシート搬送ローラ対12は折り畳みシート1の幅方向の中心線に対して左右対称に短尺に形成されている。
【0029】
ここでは図示の都合上、複数のシート搬送ローラ対12としてシートの搬送方向の上流側と下流側とに2箇所設置した場合を図示しているが、上流側に設置した第1シート搬送ローラ対12Aにより送られた折り畳みシート1は、下流側に設置した第2シート搬送ローラ対12Bにより後述する加圧ローラ対18に搬送されるようになっている。
【0030】
上記した複数のシート搬送ローラ対12(12A,12B)それぞれは、第1回転駆動源となる第1ギアードモータ13によって第1搬送速度V1で反時計方向に回転駆動する駆動ローラ12aと、この駆動ローラ12aに従動して回転する従動ローラ12bとで対をなして構成されている。
【0031】
そして、シート搬送ローラ対12の駆動ローラ12aは、短尺な金属性ローラ軸12cにゴム材を用いたゴム性ローラ部が一体的に固着された状態でシート搬送ガイド板11の下面11a側から上面11b側に向かってこのシート搬送ガイド板11に形成した逃げ孔内に臨んでいる。
【0032】
一方、シート搬送ローラ対12の従動ローラ12bも、短尺な金属性ローラ軸12cにゴム材を用いたゴム性ローラ部が一体的に固着された状態でシート搬送ガイド板11の上方から圧縮バネ14の付勢力により第1ニップ圧で駆動ローラ12aを押圧している。
【0033】
また、シート搬送ガイド板11の上面11b上でシート搬送方向の下流側には、左右一対の切りお越し片11c,11dが上方に向かって折り畳みシート1の幅寸法Wよりも外側で左右対称に切りお越し形成されている。
【0034】
尚、折り畳みシート1の搬送方向の長さ寸法Lが100mm程度のときに、折り畳みシート1の幅寸法Wは長さ寸法Lよりも幅広く240mm程度に形成されているが、図示の都合上、幅寸法Wを長さ寸法Lよりも幅狭く図示している。
【0035】
また、シート搬送ガイド板11に形成した左右一対の切りお越し片11c,11dの各内側には、左右一対のアーム15L,15Rの下流端15a,15a側が揺動支点となる長尺なシャフト16を中心にして揺動可能に支持されており、これら左右一対のアーム15L,15Rはシート搬送路SRの上流側と下流側との間で左右対称に長尺に形成されている。
【0036】
従って、左右一対のアーム15L,15Rは、シート搬送路SR中でシート搬送方向の下流側に設けた揺動支点(16)に支持されており、且つ、揺動支点(16)側からシート搬送路SRの上流側に向かって折り畳みシート1の幅方向の左右をアーム状に形成されて揺動支点(16)を中心にして揺動可能になっている。
【0037】
また、本発明の要部を構成するシート案内ローラ対17と、加圧ローラ対18とがシート搬送路SRの上流側と下流側とに分かれて設置されており、且つ、両ローラ対17,18は左右一対のアーム15L,15Rの長手方向の範囲内で間隔を隔てて設けられている。
【0038】
この際、シート搬送路SRの上流側に設置されたシート案内ローラ対17と、シート搬送路SRの下流側に設置された加圧ローラ対18との間の間隔寸法Kは、折り畳みシート1の搬送方向の長さ寸法Lよりも若干短い寸法(K<L)に設定されている。
【0039】
また、この実施形態では、シート搬送路SRの上流側から下流側に向かって、第1シート搬送ローラ対12A,シート案内ローラ対17,第2シート搬送ローラ対12B,加圧ローラ対18がこの順で設置されている。
【0040】
上記したシート案内ローラ対17は、回転駆動源と連結されてなく、複数のシート搬送ローラ対12(12A,12B)によって搬送される折り畳みシート1の搬送に伴って連れ回り回転するようになっており、一方の第1ローラ17aと他方の第1ローラ17bとで対をなして構成されている。
【0041】
そして、シート案内ローラ対17は、複数のシート搬送ローラ対12(12A,12B)によって搬送される折り畳みシート1を下流側の加圧ローラ対18に案内する機能を備えている。
【0042】
この際、シート案内ローラ対17の一方の第1ローラ17a及び他方の第1ローラ17bは、先に図2で説明した折り畳みシート1の幅方向の左右の側端部に付着した感圧性接着剤(又は糊)6の部位に対応できるローラ幅Bを有して長尺な金属性ローラ軸17c上で左右に間隔を離して左右対称に形成されている。
【0043】
そして、シート案内ローラ対17の一方の第1ローラ17aは、金属材を用いて長尺な金属性ローラ軸17cと一体に形成された状態でシート搬送ガイド板11の下面11a側から上面11b側に向かってこのシート搬送ガイド板11に形成した逃げ孔内に臨んでいる。
【0044】
一方、シート案内ローラ対17の他方の第1ローラ17bは、金属材を用いて長尺な金属性ローラ軸17cと一体に形成されており、一方の第1ローラ17aに対してシート搬送路SRを挟んで対向しながら左右一対のアーム15L,15R間でシート搬送方向の上流側に回転可能に取り付けられている。
【0045】
また、上記した加圧ローラ対18は、第2回転駆動源となる第2ギアードモータ19によって第1ギアードモータ13の第1搬送速度V1よりも僅かに速い第2搬送速度V2で反時計方向に回転駆動する一方の第2ローラ(駆動ローラ)18aと、この一方の第2ローラ(駆動ローラ)18aに従動して回転する他方の第2ローラ(従動ローラ)18bとで対をなして構成されている。
【0046】
この際、加圧ローラ対18の一方の第2ローラ18a及び他方の第2ローラ18bも、折り畳みシート1の幅方向の左右の側端部に付着した感圧性接着剤(又は糊)6の部位に対して加圧接着できるローラ幅Bを有して長尺な金属性ローラ軸18c上で左右に間隔を離して左右対称に形成されている。
【0047】
そして、加圧ローラ対18の一方の第2ローラ(駆動ローラ)18aは、金属材を用いて長尺な金属性ローラ軸18cと一体に形成された状態でシート搬送ガイド板11の下面11a側から上面11b側に向かってこのシート搬送ガイド板11に形成した逃げ孔内に臨んでいる。
【0048】
一方、加圧ローラ対18の他方の第2ローラ(従動ローラ)18bは、金属材を用いて長尺な金属性ローラ軸18cと一体に形成されており、一方の第2ローラ18aに対してシート搬送路SRを挟んで対向しながら左右一対のアーム15L,15R間でシート案内ローラ対17よりも下流側に回転可能に取り付けられている。
【0049】
上記したように、左右一対のアーム15L,15R間でシート搬送方向の上流側と下流側とに、シート案内ローラ対17の他方の第1ローラ17bと加圧ローラ対18の他方の第2ローラ18bとを回転可能に取り付けたときに、左右一対のアーム15L,15Rの上流端15b,15b側と、シート搬送ガイド板11の下面11aの下方に設置した左右一対のバネ掛止部材(20…図示せず),20との間に強力な左右一対の引張バネ(21…図示せず),21が懸架されている。
【0050】
そして、付勢手段となる左右一対の引張バネ(21),21は、シート案内ローラ対17をニップするように付勢すると共に、加圧ローラ対18をシート搬送ローラ対12の第1ニップ圧よりも大きな第2ニップ圧で付勢して折り畳みシート1を加圧する機能備えている。
【0051】
この際、引張バネ21の付勢力により加圧ローラ対18をニップするときの第2ニップ圧は、シート搬送ローラ対12の第1ニップ圧よりも例えば5倍以上大きな値に設定されている。
【0052】
一方、引張バネ21の付勢力によりシート案内ローラ対17をニップするときの第3ニップ圧は、左右一対のアーム15L,15Rの揺動支点となるシャフト16からこのシート案内ローラ対17の他方の第1ローラ17bまでの距離の関係から加圧ローラ対18の第2ニップ圧よりも小さい。
【0053】
更に、折り畳みシート1が複数のシート搬送ローラ対12によってシート案内ローラ対17に搬送される前の待機時(又は初期時)には、シート案内ローラ対17の一方の第1ローラ17aと他方の第1ローラ17bとの間、及び、加圧ローラ対18の一方の第2ローラ18aと他方の第2ローラ18bとの間にそれぞれギャップGが予め設定されており、このギャップGによって両ローラ対17,18はニップが開放されている。
【0054】
上記したギャップGは、複数のシート搬送ローラ対12により搬送される折り畳みシート1がシート案内ローラ対17に進入する前の待機時(又は初期時)に、折り畳みシート1の厚みTよりも小さな値(G<T)に予め設定されている。
【0055】
そして、シート案内ローラ対17の一方の第1ローラ17aと他方の第1ローラ17bとの間、及び、加圧ローラ対18の一方の第2ローラ18aと他方の第2ローラ18bとの間に設定されたギャップGを保持するためのギャップ保持手段として、左右一対のアーム15L,15Rの上流端15b,15b側にストッパ片(15c…図示せず),15cがシート搬送ガイド板11の上面11bに当接するように形成されている。
【0056】
尚、左右一対のアーム15L,15Rのストッパ片(15c),15cにより上記したギャップGを保持せずに、これに代えて、ギャップ保持手段として、シート案内ローラ対17の一方の第1ローラ17a及び他方の第1ローラ17bと、加圧ローラ対18の一方の第2ローラ(駆動ローラ)18a及び他方の第2ローラ(従動ローラ)18bとをそれぞれ大径部と小径部とを有する段付きローラ形状に形成して、互いに対向する小径部間でギャップGを得ると共に、互いに対向する大径部同士をニップさせて、各小径部間に形成されたギャップG内に折り畳みシート1を進入できるようにしても良い。
【0057】
ここで、上記のように構成した本発明に係るシート加圧装置10の動作について、図3図5を用いて説明する。
【0058】
図3図5は本発明に係るシート加圧装置10の第1〜第3動作を示している。
【0059】
まず、図3に示した第1動作は、折り畳みシート1がシート加圧装置10に搬送される前の待機状態である。
【0060】
この第1動作では、複数のシート搬送ローラ対12(12A,12B)の各駆動ローラ12a及び加圧ローラ対18の一方の第2ローラ(駆動ローラ)18aは第1ギアードモ−タ13及び第2ギアードモ−タ19によりそれぞれ反時計方向に回転していると共に、複数のシート搬送ローラ対12は各圧縮バネ14の付勢力によりニップされている。
【0061】
この際、加圧ローラ対18の第2搬送速度V2は、前述したようにシート搬送ローラ対12の第1搬送速度V1よりも速い速度に設定されているので、複数のシート搬送ローラ対12によって搬送された折り畳みシート1が加圧ローラ対18にニップされたときに、この加圧ローラ対18で折り畳みシート1が引っ張られるために、折り畳みシート1に皺が発生するのを抑制できる。
【0062】
また、不図示の折り装置によって折り畳まれた折り畳みシート1は、シート搬送路SRに沿いながら複数のシート搬送ローラ対12のうちで第1シート搬送ローラ対12Aによりニップされながら下流に向かって搬送されるが、この第1シート搬送ローラ対12Aよりも下流に設置したシート加圧装置10に搬送される直前である。
【0063】
このとき、シート加圧装置10内では、先に説明したように、シート搬送ガイド板11の上面11b上でシート搬送路SRの下流側に形成した左右一対の切りお越し片(11c),11dにシャフト16を介して揺動自在に支持した左右一対のアーム15L,15Rは、各上流端15b側に形成した各ストッパ15cがシート搬送ガイド板11の上面11b上に当接している。
【0064】
これにより、左右一対のアーム15L,15R間でシート搬送方向の上流側と下流側とに取り付けられたシート案内ローラ対17の他方の第1ローラ17bと加圧ローラ対18の他方の第2ローラ18bは、共にシート案内ローラ対17の一方の第1ローラ17aと加圧ローラ対18の一方の第2ローラ18aとに対して折り畳みシート1の厚みTよりも小さな値(G<T)に設定されたギャップG分だけ離間している。
【0065】
次に、図4に示した第2動作は、折り畳みシート1がシート加圧装置10内に設けたシート案内ローラ対17に搬送されてニップされた状態である。
【0066】
この第2動作では、第1シート搬送ローラ対12Aにより搬送された折り畳みシート1が、左右一対のアーム15L,15Rの上流側に取り付けられたシート案内ローラ対17の他方の第1ローラ17bと、これと対向した一方の第1ローラ17aとの間に進入するので、シート案内ローラ対17が折り畳みシート1の搬送に伴って連れ回り回転して、引張バネ21の付勢力によりシート案内ローラ対17で折り畳みシート1をニップする。
【0067】
このとき、折り畳みシート1がシート案内ローラ対17にニップされると、左右一対のアーム15L,15R間に取り付けられたシート案内ローラ対17の他方の第1ローラ17bが折り畳みシート1の厚みTにより揺動支点となるシャフト16を中心にして一方の第1ローラ17aから遠ざかる方向に揺動する。
【0068】
即ち、シート案内ローラ対17の一方の第1ローラ17aと他方の第1ローラ17bとの間で折り畳みシート1の厚みTよりも小さな値に予め設定されていたギャップGは、折り畳みシート1の厚みTによって広がる。これにより、左右一対のアーム15L,15Rが揺動支点となるシャフト16を中心にして反時計方向に揺動して上方に持ち上げられるので、左右一対のアーム15L,15Rの各上流端15b側に形成した各ストッパ15cがシート搬送ガイド板11の上面11b上から離間する。
【0069】
これに伴って、左右一対のアーム15L,15Rの下流側に取り付けられた加圧ローラ対18の他方の第2ローラ18bと、これと対向した一方の第2ローラ18aとの間で折り畳みシート1の厚みTよりも小さな値に予め設定されていたギャップGも揺動支点となるシャフト16からの距離に応じて広がるので、加圧ローラ対18の一方の第2ローラ18aと他方の第2ローラ18bとの間に折り畳みシート1が進入し易くなる。
【0070】
次に、図5に示した第3動作は、シート案内ローラ対17にニップされた折り畳みシート1が、第1シート搬送ローラ対12Aよりも下流に設置した第2シート搬送ローラ対12Bにより加圧ローラ対18に搬送されて、引張バネ21の付勢力に折り畳みシート1が加圧ローラ対18にニップされながらこの折り畳みシート1のシート幅方向の左右の側端部に付着させた感圧性接着剤(又は糊)6を加圧して接着する状態である。
【0071】
この第3動作では、前述したように第2動作で折り畳みシート1がシート案内ローラ対17にニップされたときに加圧ローラ対18のギャップGが広がるために、第2シート搬送ローラ対12Bにより搬送された折り畳みシート1が加圧ローラ対18の一方の第2ローラ18aと他方の第2ローラ18bとの間に容易に進入できる。
【0072】
これにより、引張バネ21の付勢力により加圧ローラ対18にシート搬送ローラ対12の第1ニップ圧よりも例えば5倍以上大きな第2ニップ圧がかかっていても、折り畳みシート1の加圧ローラ対18への進入時に一方の第2ローラ(駆動ローラ)18aを回転駆動する第2ギアードモータ19への負荷を軽減できるので、第2ギアードモータ19が停止することなく加圧ローラ対18で折り畳みシート1を確実に加圧処理できる。
【0073】
更に、この実施形態では、加圧ローラ対18に対して特許文献1に記載したような折り畳みシート1の厚み検出結果に応じてローラ間隔を調整するための間隔調整駆動部を持たずに済むために、折り畳みシート1を高速に搬送しながら加圧ローラ対18で折り畳みシート1を確実に加圧処理できる。
【0074】
尚、以上詳述したシート加圧装置10では、折り畳みシート1のシート幅方向の左右の側端部に付着させた感圧性接着剤(又は糊)6を加圧して接着するために、シート案内ローラ対17及び加圧ローラ対18の左右のローラ幅Bを幅狭く形成したが、シート加圧装置10を周知の定着装置などに適用する場合には、シートの幅方向全域に亘って加圧するためにシート案内ローラ対17及び加圧ローラ対18のローラ幅をシートの幅に合わせて長尺に形成すれば良いものである。
【符号の説明】
【0075】
1…折り畳みシート、2…封筒上紙片、3…封筒中紙片、4…封筒下紙片、
5A,5B…折り線、6…感圧性接着剤(又は糊)、7…内容物、
10…シート加圧装置、
11…シート搬送ガイド板、11a…下面、11b…上面、
11c,11d…左右一対の切りお越し片、
12(12A,12B)…シート搬送ローラ対、
12a…駆動ローラ、12b…従動ローラ、12c…金属性ローラ軸、
13…第1回転駆動源(第1ギアードモータ)、14…圧縮バネ、
15L,15R…左右一対のアーム、15a…下流端、15b…上流端、
15c…ギャップ保持手段(ストッパ片)、16…揺動支点(シャフト)、
17…シート案内ローラ対、17a…一方の第1ローラ、17b…他方の第1ローラ、
17c…金属性ローラ軸、
18…加圧ローラ対、18a…一方の第2ローラ(駆動ローラ)、
18b…他方の第2ローラ(従動ローラ)、18c…金属性ローラ軸、
19…第2回転駆動源(第2ギアードモータ)、20…バネ掛止部材、21…引張バネ、
SR…シート搬送路、
G…シート案内ローラ対のギャップ及び加圧ローラ対のギャップ
T…折り畳みシートの厚み、
K…シート案内ローラ対と加圧ローラ対との間の間隔寸法、
L…折り畳みシートの搬送方向の長さ寸法、W…折り畳みシートの幅寸法、
V1…シート搬送ローラ対の第1搬送速度、V2…加圧ローラ対の第2搬送速度。
図1
図2
図3
図4
図5