【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
[実施例1]
トリュフの抽出物を以下のとおり製造した。
(製造例1)トリュフの熱水抽出物の調製
トリュフ(子実体)の粉砕物100gに精製水1Lを加え、90〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してトリュフの熱水抽出物5.1gを得た。
【0031】
(製造例2)トリュフの50%エタノール抽出物の調製
トリュフ(子実体)の粉砕物100gに50%エタノール水溶液を500mLを加え、室温で1週間抽出した後、濾過し、その濾液を減圧濃縮し、凍結乾燥してトリュフの50%エタノール抽出物9.5gを得た。
【0032】
(製造例3)トリュフのエタノール抽出物の調製
トリュフ(子実体)の粉砕物100gにエタノールを1L加え、室温で1週間抽出した後、濾過し、その濾液を減圧濃縮し、凍結乾燥してトリュフのエタノール抽出物2.4gを得た。
【0033】
[実施例2]
トリュフの抽出物の効果の評価実験を次のとおり行った。
(試験例1)皮脂腺未分化細胞から皮脂腺細胞への分化促進効果の評価
実施例1で製造したトリュフの抽出物(製造例1〜3)の皮脂腺未分化細胞から皮脂腺細胞への分化効率に及ぼす影響を、皮脂腺細胞の特異的マーカーであるPparg(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ)、Plin1(Perilipin1)、Fabp4(Fatty Acid Binding Protein 4)の発現を指標に評価した。具体的方法について以下に記載する。
【0034】
ハムスター皮脂腺細胞増殖培地(KURABO社製)を用いて培養したハムスター皮脂腺未分化細胞(KURABO社製)を24ウェルディッシュに5x10
4個ずつ播種し、その後、培地を皮脂腺細胞分化誘導培地(KURABO社製)に置換することにより、分化誘導を行った。その際、実施例1で製造したトリュフの抽出物(製造例1〜3)を最終濃度が0.001%になるように添加し、6日間培養を続けた。
【0035】
分化誘導後6日目の細胞を、PBS(-)にて2回洗浄し、RNA iso Plus (Takara社製)によって細胞からRNAを抽出した。2-STEPリアルタイムPCRキット(Applied Biosystems社製)を用いて、RNAをcDNAに逆転写後、ABI7300(Applied Biosystems)により、上記マーカー遺伝子(Pparg、Plin1、Fabp4)増幅用プライマーセットを用いてリアルタイムPCR(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40サイクル)を実施し、各遺伝子の遺伝子発現を確認した。その他の操作は定められた方法に従って実施した。
【0036】
(Pparg遺伝子用プライマーセット)
フォワードプライマー:5'-ATGTCTCACAATGCCATCAGGTT-3'(配列番号1)
リバースプライマー:5'-CCGCCAACAGCTTCTCCTT-3'(配列番号2)
(Plin1遺伝子用プライマーセット)
フォワードプライマー:5'-TCTGAGCTGAAAGGCACCATCT-3'(配列番号3)
リバースプライマー:5'-GATGGGCACACTGATGCTGTT-3'(配列番号4)
(Fabp4遺伝子用プライマーセット)
フォワードプライマー:5'-TGGCCAAACCCATCATGAT-3'(配列番号5)
リバースプライマー:5'-TGTGCTCTCTGTTCGGATGGT-3'(配列番号6)
(内部標準グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(Gapdh)遺伝子用プライマーセット)
フォワードプライマー:5'-TCACATGTCGCCTGGAGAAAG-3'(配列番号7)
リバースプライマー:5'-GCCTTCGGATGCCTGCTT-3'(配列番号8)
【0037】
各細胞の皮脂腺細胞への分化誘導効率については、トリュフの抽出物を添加せずに分化誘導した細胞における各遺伝子mRNAの発現量を内部標準であるGapdh mRNAの発現量に対する割合として算出した各遺伝子の相対発現量(各遺伝子発現量/ Gapdh遺伝子の発現量)の値を1.0とし、これに対し、トリュフの抽出物を添加して培養した細胞における各遺伝子の相対発現量の値を算出し、評価した。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示すとおり、トリュフの抽出物(製造例1〜3)の全てに、顕著な皮脂腺未分化細胞から皮脂腺細胞への分化誘導促進効果が認められた。
【0040】
(試験例2)皮脂合成促進効果の評価
ハムスター皮脂腺細胞増殖培地を用いて培養したハムスター皮脂腺未分化細胞を24ウェルディッシュに5x10
4個ずつ播種し、その後、培地を皮脂腺細胞分化誘導培地に置換することにより、分化誘導を行った。その際、実施例1で製造したトリュフの抽出物(製造例1〜3)を最終濃度が0.001%になるように添加し、12日間培養を続けた。培養12日後に細胞を回収し、PBS(-)にて2回洗浄し、脂質合成測定キット(KURABO社製)を用いて皮脂腺細胞で合成された脂質の測定を定められた方法に従って実施した。
【0041】
皮脂合成促進効果は、試料を添加せずに培養した細胞における脂質の合成量をコントロール(1.0)とし、試料を添加して培養した細胞における脂質の合成量のコントロールの脂質の合成量に対する割合(コントロール比)を算出した。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2に示すとおり、トリュフの抽出物(製造例1〜3)の全てに、顕著な皮脂腺細胞における皮脂合成促進効果が認められた。
【0044】
[実施例3]製品の処方例
製造例1〜3で製造したトリュフの抽出物を配合した製品の処方例を以下に示す。
【0045】
(処方例1)ローション
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 0.1
2.1,3−ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 0.1
11.精製水 残量
【0046】
成分1〜6及び11と、成分7〜10をそれぞれ均一に溶解した後、両者を混合し濾過しローションを調製する。
【0047】
(処方例2) クリーム
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 0.1
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
13.1,3−ブチレングリコール 8.5
14.精製水 残量
【0048】
成分2〜9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。次いで、油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0049】
(処方例3)乳液
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 0.1
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタン
モノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水 残量
【0050】
成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0051】
(処方例4)ゲル剤
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 0.1
2.エタノール 5.0
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.1
5.香料 適量
6.1,3−ブチレングリコール 5.0
7.グリセリン 5.0
8.キサンタンガム 0.1
9.カルボキシビニルポリマー 0.2
10.水酸化カリウム 0.2
11.精製水 残量
【0052】
成分2〜5と、成分1及び6〜11をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
【0053】
(処方例5)軟膏
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 2.0
2.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
3.モノステアリン酸グリセリン 10.0
4.流動パラフィン 5.0
5.セタノール 6.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
7.プロピレングリコール 10.0
8.精製水 残量
【0054】
成分2〜5を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び6〜8を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化し、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0055】
(処方例6)パック
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 0.1
2.ポリビニルアルコール 12.0
3.エタノール 5.0
4.1,3−ブチレングリコール 8.0
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
6.パラオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
7.クエン酸 0.1
8.クエン酸ナトリウム 0.3
9.香料 適量
10.精製水 残量
成分1〜10を均一に溶解し製品とする。
【0056】
(処方例7)ファンデーション
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 1.0
2.ステアリン酸 2.4
3.ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 1.0
4.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.0
5.セタノール 1.0
6.液状ラノリン 2.0
7.流動パラフィン 3.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 6.5
9.パラオキシ安息香酸ブチル 0.1
10.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
11.ベントナイト 0.5
12.プロピレングリコール 4.0
13.トリエタノールアミン 1.1
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
15.二酸化チタン 8.0
16.タルク 4.0
17.ベンガラ 1.0
18.黄酸化鉄 2.0
19.香料 適量
20.精製水 残量
【0057】
成分2〜9を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分20に成分10をよく膨潤させ、続いて、成分1及び11〜14を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分15〜18を加え、水相とする。水相を80℃に昇温し、油相に水相を徐々に加え乳化する。その後、撹拌しながら冷却し、45℃で成分19を加え、30℃まで冷却して製品とする。
【0058】
(処方例8)ハンドクリーム
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 0.5
2.セタノール 4.0
3.ワセリン 2.0
4.流動パラフィン 10.0
5.酢酸トコフェロール 0.1
6.ビタミンD 0.1
7.尿素 2.0
8.グリセリン 20.0
9.ポリオキシエチレン(60)イソステアリン酸グリセリン 2.5
10.モノステアリン酸グリセリン 1.5
11.防腐剤 0.1
12.香料 適量
13.精製水 残量
【0059】
成分2〜6を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1、7〜11及び13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。次いで、油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分12を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
【0060】
(処方例9)固形石鹸
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 0.1
2.石鹸素地(*) 80.0
3.グリセリン 10.0
4.ソルビトール 1.0
5.エデト酸 0.1
6.酸化チタン 0.1
7、香料 適量
8.精製水 残量
(*)ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムを含む高級脂肪酸ナトリウム混合物
【0061】
全成分を混合して、ミキサー及びローラーで混練し、プロッダーで圧縮することによって棒状の成型物に型打ちし、次いで、成形物を冷却し、乾燥することによって、製品を得る。
【0062】
(処方例10)ボディ用洗浄料
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 0.2
2.ステアリン酸 10.0
3.パルミチン酸 8.0
4.ミリスチン酸 12.0
5.ラウリン酸 4.0
6.オレイルアルコール 1.5
7.精製ラノリン 1.0
8.ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 1.0
9.グリセリン 10.0
10.水酸化カリウム 6.0
11.香料 適量
12.防腐剤 適量
13.金属イオン封鎖剤 適量
14.精製水 残量
【0063】
成分2〜5を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分14の適量に成分10を溶解し、油相に添加しケン化を行う。続いて、成分6〜9をケン化物に添加し、室温でさらに成分1、11〜13及び残りの成分14を添加する。
【0064】
(処方例11)ヘアローション
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 0.2
2.ステアリン酸 5.0
3.セチルアルコール 5.0
4.流動パラフィン 2.0
5.グリセリンモノステアレート 1.3
6.ソルビタンモノオレート 1.5
7.ポリオキシエチレン(10)ソルビタンモノオレート 0.8
8.グリセリン 6.0
9.防腐剤 適量
10.精製水 残量
【0065】
成分2〜7を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とした。成分1および8〜10を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とした。油相に水相を加えて乳化し、かき混ぜながら冷却して製品とした。
【0066】
(処方例12)ヘアトニック
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 2.0
2.95%エタノール 60.0
3.グリセリン 2.0
4.精製水 残量
【0067】
成分1を2に溶解し、成分3及び4を加え、十分撹拌混合し、製品とする。
【0068】
(処方例13)シャンプー
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 0.1
2.アルキル硫酸トリエタノールアミン 18.0
3.ラウリン酸ジエタノールアミド 3.0
4.メチルセルロース 0.5
5.香料 適量
6.精製水 残量
【0069】
成分6に成分4を均一に溶解した後、成分1及び2を加え、70〜75℃で加熱溶解した後、成分3を加え、冷却途中に成分5を加え30℃まで冷却し製品とした。
【0070】
(処方例14)浴用剤
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 5.0
2.炭酸水素ナトリウム 50.0
3.黄色202号 適量
4.香料 適量
5.無水硫酸ナトリウム 残量
【0071】
成分1〜5を均一に混合し製品とする。
【0072】
(処方例15)錠剤
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 1.0
2.乾燥コーンスターチ 25.0
3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 20.0
4.微結晶セルロース 40.0
5.ポリビニルピロリドン 7.0
6.タルク 3.0
【0073】
成分1〜5を混合し、次いで10%の水を結合剤として加えて、押出し造粒後乾燥する。成形した顆粒に成分6を加えて混合し打錠する。1錠0.52gとする。
【0074】
(処方例16)飲料
処方 配合量(重量%)
1.トリュフの抽出物 0.1
2.ステビア 0.05
3.リンゴ酸 5.0
4.香料 0.1
5.精製水 残量
【0075】
成分1〜4を成分5の一部の精製水に撹拌溶解する。次いで、成分5の残りの精製水を加えて混合し、90℃に加熱して50mLのガラス瓶に充填する。