特許第6371546号(P6371546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371546
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】物品検査装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/08 20060101AFI20180730BHJP
   B07C 5/00 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   B65G43/08 C
   B07C5/00
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-57946(P2014-57946)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-182822(P2015-182822A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】302046001
【氏名又は名称】アンリツインフィビス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】朝井 英治
(72)【発明者】
【氏名】上萬 直哉
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−057211(JP,A)
【文献】 特開2006−081972(JP,A)
【文献】 特開2000−329594(JP,A)
【文献】 特開2007−168949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00−43/10
B07C 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠搬送される被検査物の搬送経路上に設けられ、前記被検査物を検査して検出信号を出力する検査部と、
予め設定されたしきい値と前記検出信号に基づく検査データとを比較して前記被検査物の良否を判定する判定部と、
前記判定部が判定した検査結果を表示部に表示する物品検査装置において、
前記検査部の搬送経路上の検査位置及び前記被検査物が間欠搬送の間欠動作によって停止する前記検査位置より下流の所定範囲の1つ以上の停止位置に対し、各位置に残存する前記被検査物の検査結果を前記各位置に対応づけて記憶する記憶部と、
前記表示部に、前記記憶部に記憶された前記各位置における前記被検査物の検査結果を識別可能に前記各位置に対応させて搬送順に表示させ、停止状態から次の停止位置へ移動するタイミングで位置情報を更新する表示制御部とを有することを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記搬送経路が複数並列した構成となっており、前記表示部は、複数の搬送経路に対応した複数列の検査結果を前記搬送経路順に並べて表示することを特徴とする請求項1に記載された物品検査装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記検査結果に対応する検査データを記憶し、前記表示部は、前記各位置の検査データとともに検査結果を識別可能に表示することを特徴とする請求項1または2に記載された物品検査装置。
【請求項4】
前記停止位置に続いて設けられ、前記判定部の検査結果に基づいて前記被検査物を良品と不良品とに振分け選別する選別装置を備え、
前記記憶部は、前記選別装置の選別位置における前記判定部の検査結果および対応する検査データを最後尾位置として対応付けて記憶し、前記表示部は、前記選別装置が選別した被検査物の検査データを表示することを特徴とする請求項1乃至3に記載された物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、生肉、魚、加工食品、医薬などの被検査物の品質を検査する物品検査装置に関し、特に検査結果を所定区間表示する物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査物の品質を検査する物品検査装置として、重量測定装置、X線異物検出装置、金属検出装置などの検査装置が知られている。このような従来の重量測定装置は、搬送される被検査物の質量を測定し、得られた測定値が基準範囲内にあるか否かを判定し、基準範囲内の良品とそれ以外の不良品とを選別している。また、従来のX線異物検出装置は、搬送される被検査物にX線を照射し、この照射したX線の透過量から被検査物中に異物が混入しているか否かを検出している。また、従来の金属検出装置は、搬送ラインに交番磁界を発生させておき、交番磁界中に被検査物を通過させ、磁界を通過しているときの検波出力から金属が混入しているか否かを検出している。
【0003】
このような物品検査装置では、検査結果(判定結果)に応じて、振り分け装置などの選別部で良品と不良品を選別し、良品が搬送される通常の製造ラインから不良品を排除するようにしている。そして、例えば、不良品が続出した場合のような異常時には、搬送停止させるような例が特許文献1に開示されている。
【0004】
また、このような物品検査装置では、振り分け装置で振り分けると被検査物が損傷するおそれがある場合、被検査物が重量物である場合、あるいは、不良品が滅多に発生しない場合などでは、検査結果が不良と判定されると、搬送制御手段から停止信号が出力され、搬送コンベアの搬送動作が停止し、被検査物(不良品)を判定位置に停止させて作業者などがこれを製造ラインから取り除くような例が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008―297119号公報
【特許文献2】特開2007―168949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したような、予め指定された異常時で搬送コンベアを停止させる物品検査装置では、良品と不良品とを振り分ける振り分け装置が検査装置のすぐ後ろに配置している場合、物品検査装置によって不良品と判定された最後の被検査物が振り分け装置によって振り分け選別されず、停止した搬送コンベア上に1つだけ残り、それが不良品であることが分かる。
【0007】
しかしながら、振り分け装置が検査装置から離れた位置に配置されていて、検査装置から振り分け装置までの間で搬送コンベアが停止する場合では、搬送コンベア上に複数の検査済みの被検査物が残ってしまい、それらが良品か不良品の区別が簡単にできず、それらを全て不良品として排除していた。
【0008】
特に、充填機や包装機などに組み込まれて検査する場合、カプセル等を復列で検査する場合などの間欠搬送される被検査物を物品検査装置で検査するときは、検査後の個々の停止位置が間欠搬送により固定されるにもかかわらず、良品が含まれているかわからないため、搬送経路上に残った検査済の被検査物全てを不良品としてして排除していた。
【0009】
本発明は上記状況を鑑みてなされたもので、その目的は、間欠搬送される被検査物の検査位置から下流側の搬送経路上に残存する検査済みの被検査物に対し、作業者が良品と不良品との区別が容易にできる物品検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る物品検査装置は、間欠搬送される被検査物の搬送経路上に設けられ、前記被検査物を検査して検出信号を出力する検査部と、予め設定されたしきい値と前記検出信号に基づく検査データとを比較して前記被検査物の良否を判定する判定部と、前記判定部が判定した検査結果を表示部に表示する物品検査装置において、前記検査部の搬送経路上の検査位置及び前記被検査物が間欠搬送の間欠動作によって停止する前記検査位置より下流の所定範囲の1つ以上の停止位置に対し、各位置に残存する前記被検査物の検査結果を前記各位置に対応づけて記憶する記憶部と、前記表示部に、前記記憶部に記憶された前記各位置における前記被検査物の検査結果を識別可能に前記各位置に対応させて搬送順に表示させ、停止状態から次の停止位置へ移動するタイミングで位置情報を更新する表示制御部とを有することを特徴とする。
【0011】
この構成により、検査位置から下流の個々の停止位置における良否判定結果が識別可能に表示されるので、例えば、検査ラインが停止して、搬送経路上に残った検査済の被検査物について、表示部に検査結果が識別可能に搬送順に表示されるため、作業者は、表示を確認することで、それらの被検査物を容易に良品と不良品と区別して搬送経路上から取り出すことができる。
【0012】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記搬送経路が複数並列した構成となっており、前記表示部は、複数の搬送経路に対応した複数列の検査結果を前記搬送経路順に並べて表示することを特徴とする。
【0013】
この構成により、複数列の検査位置から下流の個々の停止位置における良否判定結果が搬送経路順にそれぞれの列毎に識別可能に表示されるので、作業者が異常停止時に搬送経路上に残った検査済の被検査物を良品と不良品とをそれぞれの列で区別して搬送経路から取り出すことができる。
【0014】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記記憶部は、前記判定部が判定したときの前記検査結果に対応する検査データを記憶し、前記表示部は、前記各位置の検査データとともに検査結果を識別可能に表示することを特徴とする。
【0015】
この構成により、良否判定結果の根拠となる被検査物の検査データがそれぞれの列毎に表示されるので、作業者が正しく測定されていることを表示画面上で目視で確認することができる。
【0016】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記停止位置に続いて設けられ、前記判定部の検査結果に基づいて前記被検査物を良品と不良品とに振分け選別する選別装置を備え、前記記憶部は、前記選別装置の選別位置における前記判定部の検査結果および対応する検査データを最後尾位置として対応付けて記憶し、前記表示部は、前記選別装置が選別した被検査物の検査データを表示することを特徴とする。
【0017】
このような構成により、選別位置の被検査物の検査データが表示されるので、選別装置によって不良品として振り分けられた被検査物について、作業者が他の測定装置(例えば、台秤)で測定したも値と比較することができ、物品検査装置の性能を確認することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、作業者が搬送経路上に残った検査済の被検査物を良品と不良品とを区別して搬送経路上から取り出すことができ、良品を不良品として排除するような無駄がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る物品検査装置の構成の概略を示す構成図である
図2】第1実施形態における検査結果データの記憶領域の構成例を示す図である
図3】第1実施形態における表示操作部に表示される検査結果を示す図である
図4】第1実施形態における制御部での概略の流れを示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る物品検査装置の主要部の構成を示す斜視図である。
図6】第2実施形態に係る物品検査装置の主要部の構成を示す側面図である。
図7】第2実施形態における表示操作部に表示される検査結果を示す図である。
図8】第2実施形態における表示操作部に表示される他の検査結果を示す図である。
図9】第2実施形態における表示操作部に表示される他の検査結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
本発明に係る物品検査装置は、例えば生肉、魚、加工食品、医薬品などの被検査物Wが搬送される製造ライン(不図示)に組み込まれ、被検査物W中に混入した異物の検査、または、被検査物Wの重量が規定範囲名内であるか否かの検査を行うものである。
【0022】
1.第1実施形態(図1図4
本実施の形態では、図1に示すように、搬送コンベア20によって間欠搬送される被検査物Wの搬送経路21の所定位置に物品検査装置1と選別装置22が配置されるような構成をとっており、物品検査装置1は検査部2と、判定部3と、総合制御部4と、表示部としての表示操作部5を備えている。
【0023】
物品検査装置1の検査部2の検査位置P0より下流側の選別位置P6には選別装置22が配置されている。検査位置P0と選別位置P6の間には、間欠搬送によって被検査物Wが搬送経路21上で静止する搬送コンベア20の停止位置が、順に停止位置P1から停止位置P5の5カ所存在する。検査部2で検査された被検査物Wは、搬送コンベア20の動作に従い、搬送経路21上の停止位置P1から停止位置P5へと移動、静止を行って選別装置22の選別位置P6に到着する。選別位置P6では、選別位置P6にある被検査物の検査結果に応じて、選別装置22により良品方向または不良品方向へと振り分けられる。
【0024】
検査部2は、被検査物Wに含まれる異物の種類やサイズに応じた検出信号、または被検査物Wの重量に応じた検出信号を出力するようになっている。検査部2の検査位置P0における検査タイミングは、被検査物Wが移動中であっても静止中であってもよく、移動中である場合は、被検査物Wが静止する停止位置に近い位置で行うのが好ましい。
【0025】
物品検査装置1が金属検出装置として構成される場合の検査部2は、被検査物Wに所定周波数の交番磁界を発生し、交番磁界中を通過する物体による磁界の変化に対応した信号を出力するようになっている。なお、被検査物Wに含まれる金属を磁石等の磁化器で着磁し、磁化された金属の残留磁気を磁気センサで検出するような構成としてもよい。
【0026】
また、物品検査装置1がX線異物検出装置として構成される場合の検査部2は、X線発生源とX線検出器から構成され、X線発生源からX線が照射されたときの被検査物Wを透過したX線をX線検出器が検出し、その透過量に応じた検出信号を出力するようになっている。X線検出器は、例えば搬送コンベア20によって搬送される被検査物Wの搬送方向と直交する方向にライン状に配列された複数のフォトダイオードと、フォトダイオード上に設けられたシンチレータとを備えたアレイ状のラインセンサが用いられ、被検査物Wを透過したX線をシンチレータで受けて光に変換し、その光をその下部に配置されるフォトダイオードによって電気信号に変換して出力するようになっている。
【0027】
また、物品検査装置1が重量測定装置として構成される場合の検査部2は、搬送経路21の一部を秤量台にし、その秤量台の下方に配置された、電磁平衡機構などのはかり機構で構成された荷重センサによって、秤量台に載った被検査物Wの荷重を計量するようになっている。なお、荷重センサは、重量を測定できるはかり機構であればよく、例えば、差動トランス機構や歪ゲージ機構などのはかり機構で構成してもよい。
【0028】
判定部3は、検査部2からの検出信号に基づいて、被検査物Wの中に異物が含まれているか否か、または被検査物Wの重量が所定範囲内であるか否か等の良否判定を行うとともに、検査結果(判定結果)を表示操作部5に表示させるようになっている。
【0029】
総合制御部4は、物品検査装置1の全体の制御を行うものであり、記憶部6、制御部7および表示制御部8を備えている。
【0030】
記憶部6は、制御部7が物品検査装置1を制御するための各種プログラム、判定部3が被検査物Wについて良否判定を行うための各種パラメータ等を記憶するようになっている。
また、記憶部6は、被検査物が間欠搬送されて静止する各停止位置に対応付けて、判定部3の良否判定結果(検査結果のOKまたはNG)、判定に用いた検査部の検出信号に基づく検査データ(重量測定値、検出信号の被検査物内での最大値、検出信号を信号処理した被検査物内での最大値等)、検査時刻(検査データ取得時刻、判定時刻等)等を検査結果データとして記憶するようになっている。
【0031】
制御部7は、記憶部6に記憶されたプログラムを実行して、判定部3のパラメータの変更、物品検査装置1の各種制御等を行うようになっている。
【0032】
表示制御部8は、記憶部6に記憶された検査結果データを、搬送コンベア20の間欠動作により停止状態から次の停止位置へ移動したタイミングを取得したときに、被検査物Wが次の停止位置に静止したかのように新たな対応付けを行って、各停止位置に対応する検査結果データを更新するようになっている。
【0033】
具体的には、図2に示すように、記憶部6に記憶される検査結果データは、リングバッファで構成された記憶領域に記憶するようになっている。リングバッファは、所定数のIDを持ち、最終IDの次に先頭IDとなるようにリングバッファが構成される。そして、このIDに対し、検査位置P0のポインタを移動させるこで、記憶される検査結果データの位置情報を更新するようにしている。
【0034】
例えば、検査位置P0から選別位置P6までの7個の位置に対してIDを持つようにするため、先頭IDが1、最終IDが7となっている。リングバッファのIDに対し、検査位置P0のポインタ(白抜き矢印)をポインタの進行方向に1つ移動し、その移動したポインタのID位置に新たな検査結果データを書き込むようにしている。また、移動前のID位置は、被検査物が間欠搬送によって検査位置P0から次の停止位置である停止位置P1に移動したように、停止位置P1の検査結果データとして残る、そして、これをID数繰り返すと、検査位置P0のポインタが次に移動するID位置には、検査位置P0から一番離れた選別位置P6のデータが存在することになる。
【0035】
なお、位置情報を更新するタイミングは、停止状態から次の停止位置へ移動するタイミングであって、例えば、移動開始タイミング、移動開始から所定距離または所定時間移動した移動中のタイミング、次の停止位置に到着した移動終了タイミング等を用いることができる。また、移動中の検査や次の停止位置到着後に行う検査の検査終了タイミングを用いて、記憶部6に記憶された検査結果データを更新するようにすれば、位置情報を更新と同時に新たな検査結果データも記憶部6に記憶させることができる。
【0036】
表示操作部5は、入力操作機能および表示機能を兼用するタッチパネルから構成されており、入力操作としては、搬送コンベア20によって搬送させる被検査物Wの品種の設定操作や、被検査物Wの異物検出、計量に関する各種設定操作や指示操作を行うようになっている。
【0037】
また、表示操作部5は、表示動作としては、被検査物Wの品種の設定操作が行われるときの設定値、指示操作が行われるときの指示値、各種判定結果等、種々の表示を行うようになっている。
【0038】
なお、表示操作部5は、入力操作機能と表示機能とが独立した構成としてもよく、この場合、入力操作機能のために、設定や指示のために入力操作する複数のキーやスイッチ等を設けるとともに、表示機能のために、液晶表示器等を設けた構成とすることができる。
【0039】
また、表示操作部5は、表示制御部8が行う記憶部への位置情報更新タイミングや検査結果が更新されるタイミングで、記憶部6に記憶された各検査位置の検査結果データを搬送方向順に並べて表示するようになっている。すなわち、検査位置P0を含む下流側の搬送コンベア20の停止位置P1〜P5に静止する被検査物の検査結果、及び選別位置P6において選別装置22によって排出される被検査物Wの検査結果を表示するなっている。
【0040】
本実施の形態では、図3に示すように、検査位置P0から選別位置P6に対応するP0〜P6表示の下に検査結果として、検査結果に対応する検査データ(この例では重量)を表示し、さらに、検査結果がOKの時は検査データの背景色を白色とし、検査結果がNGの時は検査データの背景色を他の色(例えば、赤色)として、被検査物の検査結果を識別可能にして一覧表示している。また、検査位置における最新の検査結果を、一覧表示とは別に拡大(強調)して、検査データと検査結果(OKまたはNG)を並べた形態で表示するようにしている。
【0041】
ここで、重量の規定範囲(しきい値)として、例えば、「100.0g+0.3g」が予め定められている場合、図3に示すように、検査位置P0位置にある被検査物の検査結果が100.0、停止位置P1と停止位置P5位置にある被検査物の検査結果が100.1、停止位置P2位置と停止位置P4にある被検査物の検査結果が100.2であり、規定範囲内となるので、検査結果がOKを示す検査データの背景色が白色となっている。
【0042】
また、停止位置P3位置ある被検査物の検査結果が100.5、選別位置P6では被検査物の検査結果が100.4であり、規定範囲外となるので、検査結果がNGを示す検査データの背景色が白以外の色(ここでは、灰色)となっている。
【0043】
さらに、一覧表示とは別に表示しているの最新の検査結果は、検査位置P0位置にある被検査物の検査結果と同じ値となり、測定値100.0gでOKを表示している。
なお、本実施の形態では、検査位置の検査データを一覧表に含むようしたが、検査位置P0を含まない検査位置より下流の停止位置P1から選別位置P6に対応する検査結果データの一覧表と、一覧表とは別に検査位置P0における最新の検査結果を表示するような形態としてもよい。また、検査結果としてOKまたはNGの良否判定結果だけを一覧表示するようにしてもよい。
【0044】
次に、物品検査装置1 の動作について説明する。
【0045】
図4は、物品検査装置1の制御部7において実行される検査結果表示の表示制御プログラムの概略処理手順を示している。なお、ここでは、記憶部6における位置情報を更新するタイミングは、検査が行われて判定結果が出された検査終了タイミングを用いて更新する場合を例にして説明する。
【0046】
図4に示すように、制御部7は、検査部2が検査開始タイミングであるかどうかを判断し(ステップS1)、検査開始タイミングでなければ(ステップS1でNOの場合)、検査開始タイミングになるまで、この判断処理が短周期で繰り返される。
【0047】
そして、検査開始タイミングになると、判定部3は検査部2から検出信号を取得し( ステップS2)、取得した検出信号に基づく検査データと予め設定された基準値とを比較して良否の判定処理を行う( ステップS3)。
【0048】
次いで、制御部7は、記憶部6に記憶される検査結果データの記憶領域における検査位置P0のポインタをポインタの進行方向に1つ移動して更新し、( ステップS4 )、更新したポインタに対応するIDの領域に検査結果データとして、判定部3が判定した検査結果、その時の判定に用いた検査データ、検査時刻 を書き込む( ステップS5 )。
【0049】
次いで、制御部7は、記憶部6に記憶される検査結果データの記憶領域における検査位置P0のポインタを基準にそのIDから順に搬送方向の停止位置及び別位置に対応する検査結果データを取得し、検査位置P0から選別位置P6に対応する検査結果を識別可能にして一覧表示する( ステップS6 )。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る物品検査装置1は、検査部2の検査位置P0、及び被検査物Wが間欠搬送の間欠動作によって停止する検査位置P0より下流の所定範囲の停止位置P0…P5に対し、被検査物Wの検査結果を各位置に対応づけて記憶する記憶部6を有し、表示操作部5は、記憶部6に基づいて、各位置の検査結果を識別可能に搬送方向の位置順に表示することを特徴とする。
【0051】
このような構成により、検査位置から下流の個々の停止位置における良否判定結果が識別可能に表示されるので、例えば、検査ラインが停止して、搬送経路上に残った検査済の被検査物について、表示操作部5に検査結果が識別可能に搬送順に表示されるため、作業者は、表示を確認することで、それらの被検査物を容易に良品と不良品と区別して搬送経路21上から取り出すことができる。
【0052】
また、記憶部6は、検査結果に対応する検査データを記憶し、表示操作部5は、各位置の検査データを表示することを特徴とする。
【0053】
このような構成により、重量等の検査データがそれぞれの停止位置P0…P5に対応して表示されるので、作業者が正しく測定されていることを表示画面上で目視で確認することもできる。
【0054】
また、搬送コンベア20の後段に選別装置22を備え、記憶部6は、選別装置22の選別位置P6における検査部2の検査結果および対応する検査データを最後段位置として対応付けて記憶し、表示操作部5は、選別装置22が選別した被検査物Wの検査データを表示することを特徴とする。
【0055】
この構成により、選別位置P6の被検査物Wの測定値が表示されるので、選別装置22よって不良品として排除された被検査物Wについて、作業者が他の測定装置で測定したも値と比較することができ、物品検査装置1の性能を確認することもできる。
【0056】
2.第2実施形態(図5図9
本実施の形態の物品検査装置は、図5に示すように、薬品等が充填されたカプセルの重量を測定する多連構造の重量測定装置30であり、図6に示す一列の搬送経路31が複数並列した構成となっている。被検査物WであるカプセルWcの搬送経路31は、列毎にカプセルWcを間欠搬送する間欠搬送部34と、搬送経路31上に配置されるカプセルWcの重量を測定してカプセルWcの重量を検出信号として出力する検査部32と、選別装置としての振り分け部50とを有している。第1実施形態の構成とは、物品検査装置としての重量測定装置30が搬送経路31と選別装部50を備えていること、さらに、この一列の搬送経路の構造が異なっているものであり、検査部32からの検出信号に基づく検査データを処理する不図示の処理部(判定部3、総合制御部4、表示操作部5、記憶部6、制御部7)は同様なので、第1実施形態の説明を矛盾のない範囲で適宜援用して再度の説明を省略するものとする。
【0057】
図6は一列の搬送経路31を示すものである。搬送経路31は、検査部32の主要部となる図示しないはかり機構に接続される秤量台33と、この秤量台33にカプセルWcを搬入させるための供給部40と、この秤量台33で重量測定されたカプセルWcを搬出して、後段の排出先まで間欠搬送する間欠搬送部34から略構成される。検査部32は、秤量台33に載置されたカプセルWcをはかり機構で重量測定し、測定した重量を検出信号として出力する。
【0058】
供給部40は、搬送経路31としてのマガジン41と、ストッパ42と、プッシャ43と、搬送経路32の一部を構成する湾曲凹部44及び搬送溝部45を備える。マガジン41は周期的な上下方向の往復動作に伴ってカプセルWcを落下させ、下端位置から上方に移動した際に、ストッパ42がマガジン41下端部の供給路を閉鎖することにより、湾曲凹部44にカプセルWcを一個づつ供給する。そして、湾曲凹部44に斜めに収まったカプセルWcは、スライドするプッシャ43によってカプセルWcの軸方向の向きを変更しながらを搬送溝部45に移動し、秤量台33へとカプセルWcを送り出す。なお、搬送溝部45は、搬送方向に直交する断面形状がV字形状の溝であり、V字形の最下端には、このプッシャ43がスライドできるようにスリットが形成されている。
【0059】
秤量台33は、上記の搬送溝部45と同様に断面形状がV字形の溝が形成されており、搬送溝部45からカプセルWcを連続して搬入できるようになってる。搬送溝部45から送り出されたカプセルWcは、この秤量台33に1個ずつ載せられて1個ずつ重量が測定される。
【0060】
間欠搬送部34は、前述した供給部40及び検査部32の各動作と同期して、カプセルWcを間欠的に搬送する機能を備えている。この間欠搬送部34は、カプセルWcの搬送手段として爪状の搬送体35と階段状搬送機構36を備えている。
【0061】
搬送体35は、例えばE字状の下向きの空間を備えた爪状の構造であり、秤量台33のカプセルWcを上から被せるように保持し、次段の階段状搬送機構36に送る。搬送体35は、カプセルWcを搬送した後、上昇し、カプセルWcの搬送軌跡から外れた搬送方向の初期位置に戻される。この循環動作が繰り返されることにより、供給部40の動きに同期してカプセルWcを間欠搬送することができる。この間欠搬送動作が停止しでいる時間は、検査部32の秤量タイミングと略一致する。
【0062】
階段状搬送機構36は、カプセルWcの搬送方向に治って段階的に低くなるように構成された固定段部材37と、これと同様に段階的に低くなるように構成された段状プッシャ38を有する。固定段部材37の各段部において、カプセルWcが搬送される経路は上記同様のV溝状に形成されており、さらに上記同様にプッシャ用スリットが形成されている。段状プッシャ38は、固定段部材37と略同形状の階段状に形成された一体の板材からなり、搬送方向前後にスライドすることにより、固定段部材37の各段のV溝に載置されているカプセルWcは、段状プッシャ38に押されて順次下段へと送られ、問欠的に搬送されていく。なお、間欠搬送部34において、階段状搬送機構36の上方には、規制部材39が設けられており、階段状搬送機構36によるカプセルWcの搬送中にカプセルWcが規定の方向以外に飛び出すのを防止する。
【0063】
振り分け部50は、間欠搬送部34の下流側に設けられており、間欠搬送部34からカプセルWcが搬送されるときに、検査部32からの判定結果に基づき、カプセルWcの搬送先を切り普えることができる。振り分け部50は、落下口51と開閉蓋52を備えており、間欠搬送部34の動作に同期して開閉蓋52の開閉を制御することにより、上流側の第1搬送先Aと下流側の第2搬送先Bの何れかにカプセルWcを選択的に落下させて重量による仕分けを行うことができる。本実施形態では、第1搬送先Aは不良品のカプセルWcを搬送する場所となり、第2搬送先Bは良品のカプセルWcを搬送する場所となる。
【0064】
本実施の形態における検査部32は、各搬送経路ごとに設けられており、判定部3も検査部32に対応して各搬送経路ごとに設けられている。総合制御部4は、重量測定装置30の全体の制御を行うものであり、記憶部6及び制御部7は、第1実施形態と同様な動作を搬送経路毎に行うようになっている。
【0065】
また、本実施の形態における表示操作部5における検査結果の表示は、図7に示すように、複数の搬送経路31を丸1〜丸10列とし、検査位置P0から選別位置P6をP0〜P6行とした一覧表で表示される。一覧表の各セルには、各搬送経路の各位置の検査結果と検査データとしての重量測定値を表示している。検査結果は、判定部3の判定結果がOKの時はセルの背景色を白色とし、判定結果がNGの時はセルの背景色を例えば赤色などの他の色(図7ではハッチングで表す)として、カプセルWcの検査結果を識別可能にして一覧表示している。さらに、供給不良等の何らかの要因で検査が行われなかった箇所は空欄となって、検査結果が無いことを示すようにしている。
【0066】
また、他の表示例として、図8に示すように、図7と同様な一覧表形式の表示であるが、一覧表の各セルには、重量測定値の代わりに検査済みであることを示すカプセルマークを表示し、選別位置P6の行のみに重量測定値(各個値)を表示するようにしている。このようにすることで、作業者が、各列の検査状況をより視覚的に把握できるようになり、振り分けられたカプセルWcの重量をチェックする時の重量測定値の比較もより容易となる。
【0067】
また、複数の列を一覧表示するようにしたが、図9に示すように、実施形態1と同様な一列のみの表示とし、表示操作部5に表示列を切り替えるためのCH切替ボタンを設け、CH切替ボタンが押下されるごとに順に列が切り替えられるよういにしてもよい。
【0068】
以上のように、本発明の第2実施形態に係る重量測定装置30は、複数の並列した搬送経路31で構成され、表示操作部5は、複数の搬送経路31に対応した複数列の検査結果を並べて表示することを特徴とする。
【0069】
この構成により、複数列の検査位置P0から下流の個々の停止位置P1…P5における良否判定の検査結果がそれぞれの列毎に識別可能に表示されるので、作業者が搬送経路31上に残った検査済のカプセルWcを良品と不良品とそれぞれの列で区別して搬送経路31から取り出すことができる。
【0070】
前記記憶部6は、前記検査結果に対応する重量測定値を記憶し、前記表示操作部5は、前記各位置の重量測定値を表示することを特徴とする。
【0071】
この構成により、重量測定値がそれぞれの列毎に表示されるので、作業者が正しく測定されていることを表示画面上で目視で確認することもできる。
【0072】
前記間欠搬送部34の後端には前記判定部3の検査結果に基づいて良品と不良品とに振り分ける振り分け部50を備え、記憶部6は、振り分け部50が振り分け選別する選別位置P6における判定部3の検査結果および対応する重量測定値を最後段位置として対応付けて記憶し、表示操作部5は、振り分け部50が振り分けるカプセルWcの重量測定値を表示することを特徴とする。
【0073】
この構成により、選別位置P6のカプセルWcの重量測定値が表示されるので、振り分け部50によって不良品として振り分けられたカプセルWcについて、作業者が他の測定装置で測定した値と比較することができ、重量測定装置30の性能を確認することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように本発明の物品検査装置は、搬送経路上に残存する検査済みの被検査物の検査結果を表示するので、間欠搬送される搬送経路上に検査部が配置される物品検査装置に有用である。
【符号の説明】
【0075】
1…物品検査装置
2…検査部
3…判定部
5…表示操作部(表示部)
6…記憶部
7…制御部
8…表示制御部
20…搬送コンベア
21…搬送経路
22…選別装置
30…物品検査装置としでの重量測定装置
33…搬送経路としての秤量台
34…搬送経路としての間欠搬送部
40…搬送経路としての供給部
W…被検査物
Wc…被検査物としてのカプセル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9