(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371551
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】かつら用毛髪及びそのかつら用毛髪を用いるかつら
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
A41G3/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-64313(P2014-64313)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-187315(P2015-187315A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2017年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000126218
【氏名又は名称】株式会社アートネイチャー
(74)【代理人】
【識別番号】100180264
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 貴大
(72)【発明者】
【氏名】松田 秀夫
【審査官】
石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭55−152806(JP,A)
【文献】
特開2013−036134(JP,A)
【文献】
特開2008−057078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 3/00
A41G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かつらベースに取付けられる幹毛と、該幹毛に取付けられる複数本の枝毛と、を有し、前記幹毛に対する前記枝毛の取付方向が一方向であり、前記幹毛及び前記枝毛が、それぞれ太さの異なる擬毛で形成されていることを特徴とするかつら用毛髪。
【請求項2】
前記枝毛は、前記幹毛のかつらベースとの取付け位置から30mm以内の範囲に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載のかつら用毛髪。
【請求項3】
テグス状線状部材からなるかつらベースと、該かつらベースに取付けられる幹毛と該幹毛に取付けられる複数本の枝毛とからなるかつら用毛髪と、を有し、前記幹毛に対する前記枝毛の取付け方向が一方向であって、前記枝毛の流れが所望の向きになるように前記幹毛が前記かつらベースに取付けられていることを特徴とするかつら。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かつらベースに取付けて使用するかつら用毛髪及びそのかつら用毛髪を用いるかつらに関する。
【背景技術】
【0002】
増毛用毛髪には、ボリューム感を出すために、1本の幹毛に複数本の枝毛を備えたものがある。このような増毛用毛髪は、幹毛と枝毛及び幹毛と自毛を接着剤によって取付けたもの(特許文献1参照)や、結着によって取付けたもの(特許文献2参照)がある。
図4は、従来の増毛用毛髪を示す図であって、(a)は接着剤を使用したもの、(b)は結着したものである。接着剤を使用したもの(特許文献1)の場合は、幹毛の周りに複数本の枝毛の一端を接着剤で接着することで、毛髪の本数を実質的に増加させ、頭髪全体にボリューム感を与える効果が得られるとされ、また、結着したもの(特許文献2)の場合は、増毛の作業効率を向上せしめ、かつ少ない毛量でボリューム感を出すとともに自然な感じを与える効果が得られるとされている。
【0003】
これらの増毛用毛髪は、自毛に取付けて用いられている。しかし、複数本の枝毛を備えている場合には、自毛への負担が大きくなって自毛が抜けやすくなり、それによって自毛が抜けると増毛用毛髪が自毛と共に失われてしまう。
【0004】
また、自毛一本毎に増毛用毛髪を取付けるのではなく、毛髪を取付けたかつらベースや線状体を複数の自毛に結着等して装着する増毛具もある(特許文献3参照)。しかし、この増毛具は、かつらベースや線状体に対して直角方向に増毛用毛髪を結着する構成になっているので、つむじや分け目といった髪の流れを作るのは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−264005号公報
【特許文献2】特開2001−295121号公報
【特許文献3】特開2013−124420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの実情に鑑み、本発明では、かつらベースに取付けることで自毛への負担を減らしつつボリューム感を出し、かつ、髪の流れを容易に作り出すことができるかつら用毛髪及びそのようなかつら用毛髪を用いるかつらを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明のかつら用毛髪は、かつらベースに取付けられる幹毛と、その幹毛に取付けられる複数本の枝毛と、を有し、幹毛に対する枝毛の取付方向が一方向であることを特徴とするものである。また、枝毛が、幹毛のかつらベースとの取付け位置から30mm以内の範囲に取付けられていることにしたり、幹毛及び枝毛が、それぞれ太さの異なる擬毛で形成されていることにしたりするとよい。
【0008】
さらに、本発明のかつらは、テグス状線状部材からなるかつらベースと、そのかつらベースに取付けられる幹毛とその幹毛に取付けられる複数本の枝毛とからなるかつら用毛髪と、を有し、幹毛に対する枝毛の取付け方向が一方向であって、枝毛の流れが所望の向きになるように幹毛がかつらベースに取付けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のかつら用毛髪及びそのかつら用毛髪を用いるかつらは、かつらベースを介してボリューム感のある毛髪を装着することができ、かつ、つむじや分け目といった髪の流れを容易に作り出すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】つむじを再現する部分かつらの概略図である。
【
図4】従来の増毛用毛髪を示す図であって、(a)は接着剤を使用したもの、(b)は結着したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明のかつら用毛髪の説明図である。本発明に係るかつら用毛髪10は、幹毛11と複数の枝毛12によって構成することで、ボリューム感を出すものとする。ここで、幹毛11や枝毛12の取付方法は、結着によることを基本とするが、接着剤を用いた結着以外の取付方法でもよい。
【0013】
図1のように、結着により1本の幹毛11や枝毛12を結着した場合、毛髪の中間位置付近が結び目になって2本の毛先ができることになるので、より毛髪のボリュームを感じることができる。よって、以降、1本の幹毛11又は枝毛12を取付けると記載した場合は、結着により2本の毛髪が増毛されたように見える状態のことをいうものとする。
【0014】
幹毛11はかつらベース20に取付けられ、枝毛12は幹毛11に取付けられる。枝毛12の取付位置の範囲Lは、幹毛11とかつらベース20との取付位置から幹毛11に沿って30mm以内とし、好ましくは15mm以内とするのが良い。これは、あまり幹毛11の毛先側に枝毛12を取付けるのは不自然だからであり、また根本に近ければ、結び目が目立たないからである。そして
図1では簡略化しているが、実際の枝毛12は約1〜3mm間隔で取付けられるため、取付位置の範囲Lには、およそ10〜15本程度の枝毛12が設けられることになる。
【0015】
枝毛12は、幹毛11に対して取付方向が一方向となるように取付けられる。ここで、幹毛11に対する枝毛12の取付方向が一方向であるというのは、例えば取付け方法が結着の場合は、結び目から枝毛12が突出する向きが幹毛11に対してすべての枝毛12が一方向になるということであり、取付け方法が接着剤によるものの場合は、接着位置付近の幹毛11と枝毛12との間の角度がすべて一方向になることと考えればよい。なお、幹毛11や枝毛12は柔らかいので、毛先の向きではなく、結び目や接着位置付近での向きということになる。
【0016】
図2は、髪の流れを説明する図である。幹毛11に複数本の枝毛12を備えたかつら用毛髪10をかつらベース20に複数箇所結着したものを実施例として示した。ここでは、幹毛11の向きと枝毛12の向きが一定の角度で、それぞれが髪の流れを作っている。このようにかつら用毛髪10を設ければ、髪の流れを作って、分け目などを容易に表現することができる。
【0017】
図3は、つむじを再現する部分かつらの概略図である。ここでのかつらベース21は、目立たないように、テグス等の線状部材にするのが適している。また、枠材21は、かつらベース20の形状を保持しつつ、かつらベース20を自毛に固定する際に、頭部の所定の位置にピンなどで仮止めすることに使用される。そして、かつらベース20を複数の自毛によって固定した後は、枠材21は取り除かれる。なお、
図3は説明のために簡略化した図であるため、かつら用毛髪10(幹毛11及び枝毛12)の設置数を減じて示している。
【0018】
つむじを再現する場合は、
図3のようにかつらベース20を放射状に設け、それぞれのかつらベース20に本発明に係るかつら用毛髪10を取付ける。このとき、かつら用毛髪10の幹毛11に対する枝毛12の取付方向が一方向であることから、幹毛11は円形状を形成し、その円形状の内側を枝毛12が渦を巻いて埋めるような構成にすることができるので、つむじを再現することができる。
【0019】
幹毛11及び枝毛12は、主に擬毛によって形成される。そして、擬毛であれば、ある程度太さを自由に選択することができる。例えば、幹毛を枝毛よりも太くすれば、幹毛を強くして、枝毛はボリューム感を出して髪の流れを作るというそれぞれの役割を果たすことができる。また、逆に幹毛を細くして枝毛を太くすれば、幹毛を目立たなくしつつ、太い枝毛によって髪の流れを強調することができる。つまり、幹毛と枝毛の太さを異なる太さにすることで、目的に合わせたかつらを形成することができる。
【0020】
以上により、本発明のかつら用毛髪及びそのかつら用毛髪を用いるかつらは、かつらベースにかつら用毛髪を取付けることで自毛への負担を減らしつつ、ボリューム感を出すことができ、さらに、つむじや分け目といった髪の流れを容易に作り出すことを可能にする。
【符号の説明】
【0021】
10 かつら用毛髪
11 幹毛
12 枝毛
20 かつらベース
21 枠材