特許第6371552号(P6371552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリバーラボ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6371552-携帯機器用保持具 図000002
  • 特許6371552-携帯機器用保持具 図000003
  • 特許6371552-携帯機器用保持具 図000004
  • 特許6371552-携帯機器用保持具 図000005
  • 特許6371552-携帯機器用保持具 図000006
  • 特許6371552-携帯機器用保持具 図000007
  • 特許6371552-携帯機器用保持具 図000008
  • 特許6371552-携帯機器用保持具 図000009
  • 特許6371552-携帯機器用保持具 図000010
  • 特許6371552-携帯機器用保持具 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371552
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】携帯機器用保持具
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/11 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   H04M1/11 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-65569(P2014-65569)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-192154(P2015-192154A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年3月17日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年10月16日、下記ウェブサイトにて発表、http://sumaho−oliver.jimdo.com/ 平成25年10月16日、下記ウェブサイトにて発表、http://www.youtube.com/watch?v=YA_0xcTEYjE
(73)【特許権者】
【識別番号】514076308
【氏名又は名称】オリバーラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】皆川 裕二
【審査官】 松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3053704(JP,U)
【文献】 特開2003−111610(JP,A)
【文献】 特開2013−192122(JP,A)
【文献】 特開2001−292215(JP,A)
【文献】 特開2005−198799(JP,A)
【文献】 特開2002−165616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B1/00−7/12
A41D1/02−1/04
3/00−3/08
27/00−29/00
A44B1/00−9/20
13/00−18/00
99/00
A45C1/00−15/08
A45F3/00
3/02
3/04
3/12
H04M1/02−1/23
H05K5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器の底面を支持する底面支持部と前記携帯機器の両側面を支持する側面支持部と前記携帯機器の前面を支持する前面支持部と前記携帯機器の背面を支持する背面支持部とを有し上部開口部から前記携帯機器を挿入可能な保持具本体と、
前記保持具本体に設けられ衣服の布地に着脱自在に取付可能な取付機構と、
前記保持具本体の内面の少なくとも一部に設けられ、前記保持具本体よりも高い摩擦抵抗を発生させる材料で形成された摩擦抵抗部とを備え
前記摩擦抵抗部と前記保持具本体との間に、厚さ調整用シートが少なくとも一枚挿入されていることを特徴とする携帯機器用保持具。
【請求項2】
携帯機器の底面を支持する底面支持部と前記携帯機器の両側面を支持する側面支持部と前記携帯機器の前面を支持する前面支持部と前記携帯機器の背面を支持する背面支持部とを有し上部開口部から前記携帯機器を挿入可能な保持具本体と、
前記保持具本体に設けられ衣服の布地に着脱自在に取付可能な取付機構と、
前記保持具本体の内面の少なくとも一部に設けられ、前記保持具本体よりも高い摩擦抵抗を発生させる材料で形成された摩擦抵抗部とを備え、
前記摩擦抵抗部の少なくとも一部が、前記保持具本体の一部に巻回された状態で面ファスナーにより着脱可能に固定されていることを特徴とする携帯機器用保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服の胸ポケット等の内側に取り付けられて挿入された携帯電話機等の落下を防止可能な携帯機器用保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機や携帯情報端末(PDA)等の携帯機器は、ワイシャツ等の上着の胸ポケットに入れて携行されることがある。この場合、身体を屈めたりした際に胸ポケットから携帯機器が滑り落ちて携帯機器が破損してしまうことがあった。特に、近年、いわゆるスマートフォン等の携帯電話機では、薄型化が図られ、薄板状とされたものが多く、胸ポケットから落ち易い。
【0003】
従来、携帯電話機の落下防止のため、例えば特許文献1では、衣服に安全ピンで固定した部材を、携帯電話機に取り付けられたストラップ(ループ状体)に繋いで携帯機器の落下を防ぐ携帯機器用繋止具が記載されている。また、特許文献2では、携帯電話機に取り付けた状態でポケットに挿入した際にクリップでポケットを挟むクリップ及びクリップケースが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−5033号公報
【特許文献2】特開2006−95261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記特許文献1では、携帯電話機のストラップに繋いでポケットに取り付けるため、携帯電話機にストラップを取り付けるが必要であると共に、ストラップが取り付けられないスマートフォン等には適用ができないという問題があった。また、ポケットから携帯電話機を取り出す際には、繋止具からストラップを外す作業が必要であり、取り付け取り外しが面倒であるという不都合があった。さらに、特許文献2では、携帯電話機に予めホルダーを取り付けておく必要があり、携帯電話機自体が厚くなると共に携帯電話機の外観も変わってしまいデザイン性が悪くなってしまう問題があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、携帯機器にストラップやホルダーを取り付ける必要がなく、落下を防止することができると共に容易に取り出しが可能である携帯機器用保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る携帯機器用保持具は、携帯機器の底面を支持する底面支持部と前記携帯機器の両側面を支持する側面支持部と前記携帯機器の前面を支持する前面支持部と前記携帯機器の背面を支持する背面支持部とを有し上部開口部から前記携帯機器を挿入可能な保持具本体と、前記保持具本体に設けられ衣服の布地に着脱自在に取付可能な取付機構と、前記保持具本体の内面の少なくとも一部に設けられ、前記保持具本体よりも高い摩擦抵抗を発生させる材料で形成された摩擦抵抗部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この携帯機器用保持具では、保持具本体の内面の少なくとも一部に設けられ、保持具本体よりも高い摩擦抵抗を発生させる材料で形成された摩擦抵抗部を備えているので、胸ポケット等に取り付けた保持具本体に携帯機器が挿入された状態で身体を屈めたとき、摩擦抵抗部の摩擦抵抗により落下が防止される。
すなわち、摩擦抵抗部が保持具本体と携帯機器との間を埋め、身体を屈めたときに保持具本体の上部から斜め下方に重力で落ちようとする携帯機器が、当接している摩擦抵抗部の摩擦抵抗により滑らず、落下が防止される。また、底面支持部で携帯機器の下部が支持されることで、胸ポケットの底に携帯機器が落ちず、胸ポケットの形状が崩れ難くなると共に、携帯機器の上部を摘んで取り出し易くなる。
【0009】
第2の発明に係る携帯機器用保持具は、第1の発明において、前記摩擦抵抗部が、布地で形成されていることを特徴とする。
すなわち、この携帯機器用保持具では、布地で形成されているので、手による携帯機器の取り出しを妨げるほど強い摩擦抵抗を有していないため、保持具本体の上部開口部から携帯機器を容易に取り出すことができる。さらに、携帯機器のディスプレイ面を摩擦抵抗部側に向けて挿入した場合、柔らかな布地でディスプレイ面を保護すると共に、携帯機器の取り出し時に摩擦抵抗部とディスプレイ面とが擦れ合うことで、ディスプレイ面の汚れや埃を拭き取ることもできる。
【0010】
第3の発明に係る携帯機器用保持具は、第1又は第2の発明において、前記摩擦抵抗部と前記保持具本体との間に、厚さ調整用シートが少なくとも一枚挿入されていることを特徴とする。
すなわち、この携帯機器用保持具では、摩擦抵抗部と保持具本体との間に、厚さ調整用シートを少なくとも一枚挿入することで、携帯機器の厚さに応じて摩擦抵抗部と携帯機器との間に隙間が生じる場合、厚さ調整用シートを挿入することで上部開口部の幅を調整し、前記隙間を無くして摩擦抵抗部を安定して携帯機器に接触させることができる。また、厚さ調整用シートの挿入枚数を調整することで、挿入時の携帯機器に対する摩擦抵抗部の押圧力を厚さで調整して摩擦抵抗による保持力を調整することができると共に、摩擦抵抗部の弾力調整も行うことができる。
【0011】
第4の発明に係る携帯機器用保持具は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記摩擦抵抗部の少なくとも一部が、前記保持具本体の一部に巻回された状態で面ファスナーにより着脱可能に固定されていることを特徴とする。
すなわち、この携帯機器用保持具では、摩擦抵抗部の少なくとも一部が、保持具本体の一部に巻回された状態で面ファスナーにより着脱可能に固定されているので、摩擦抵抗部を容易に着脱でき、汚れた摩擦抵抗部の交換や洗濯を行うことができる。
【0012】
第5の発明に係る携帯機器用保持具は、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記背面支持部が、中央部から上方に突出したガイド板部を有していることを特徴とする。
すなわち、この携帯機器用保持具では、背面支持部が、中央部から上方に突出したガイド板部を有しているので、ガイド板部に携帯機器の下部を当てながら保持具本体に挿入することでガイド板部に携帯機器がガイドされてスムーズに保持具本体内への挿入を行うことができる。
【0013】
第6の発明に係る携帯機器用保持具は、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記底面支持部上に、前記保持具本体よりも柔軟な材料で形成された高さ調整用のクッション部材が設置されていることを特徴とする。
すなわち、この携帯機器用保持具では、底面支持部上に、保持具本体よりも柔軟な材料で形成された高さ調整用のクッション部材が設置されているので、携帯機器の縦サイズが小さい場合でもクッション部材を設置することで、底面支持部が底上げされ、挿入状態の携帯機器の上部が適度に保持具本体から突出するように設定可能である。これにより、縦サイズの小さい携帯機器でも携帯機器の上部を容易に摘んで取り出すことができる。
【0014】
第7の発明に係る携帯機器用保持具は、第1から第6の発明のいずれかにおいて、前記取付機構が、前記背面支持部の外面に設けられた突条部と、前記衣服の布地を挟んだ状態で前記突条部に取り付けられるクリップ部材とを備えていることを特徴とする。
すなわち、この携帯機器用保持具では、取付機構が、背面支持部の外面に設けられた突条部と、衣服の布地を挟んだ状態で突条部に取り付けられるクリップ部材とを備えているので、例えば胸ポケットの身体側の生地を挟んだ状態で突条部にクリップ部材を取り付けることで容易に携帯機器用保持具を胸ポケット内に固定することができる。また、クリップ部材を外すだけで容易に携帯機器用保持具を胸ポケットから取り出すことができる。さらに、胸ポケットの身体側の生地に固定されることで、携帯機器を携帯機器用保持具に挿入した状態でも、胸ポケットが携帯機器の重さによって垂れ下がって、だらしなく見えることを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る携帯機器用保持具によれば、保持具本体の内面の少なくとも一部に設けられ、保持具本体よりも高い摩擦抵抗を発生させる材料で形成された摩擦抵抗部を備えているので、保持具本体に携帯機器が挿入された状態で身体を屈めたとき、摩擦抵抗部の摩擦抵抗により落下が防止される。したがって、携帯機器にストラップやホルダーを取り付ける必要がなく、落下を防止することができると共に容易に取り出しが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る携帯機器用保持具の一実施形態を示す正面図である。
図2】本実施形態において、胸ポケット内に携帯機器用保持具を固定し携帯機器を挿入させた状態を示す図である。
図3】本実施形態において、保持具本体の正面支持部を示す正面図である。
図4】本実施形態において、保持具本体の背面支持部を示す背面図である。
図5】本実施形態において、保持具本体を示す背面側から見た斜視図である。
図6】本実施形態において、摩擦抵抗部を示す表面図(a)及び裏面図(b)である。
図7】本実施形態において、摩擦抵抗部を折り畳んだ状態を示す正面図(a)及び背面図(b)である。
図8】本実施形態において、摩擦抵抗部を背面支持部に装着した状態を示す要部の断面図である。
図9】本実施形態において、クリップ部材で胸ポケットの身体側の生地に携帯機器用保持具を固定した際の要部の断面図である。
図10】本実施形態において、クッション部材を設置した際の携帯機器用保持具を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る携帯機器用保持具の一実施形態を、図1から図10を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態の携帯機器用保持具1は、図1及び図2に示すように、ワイシャツや上着等の衣服Yの胸ポケットP内に挿入されて取り付けられるものであって、携帯機器PHの底面を支持する底面支持部2aと携帯機器PHの両側面を支持する側面支持部2bと携帯機器PHの前面を支持する前面支持部2cと携帯機器PHの背面を支持する背面支持部2dとを有し上部開口部から携帯機器PHを挿入可能な保持具本体2と、保持具本体2に設けられ衣服Yの布地に着脱自在に取付可能な取付機構3と、保持具本体2の内面の少なくとも一部に設けられ、保持具本体2よりも高い摩擦抵抗を発生させる材料で形成された摩擦抵抗部4とを備えている。
【0019】
上記携帯機器PHは、例えば表面側に液晶ディスプレイ等のディスプレイ面Dが設けられたスマートフォンと呼ばれる板状の携帯電話機である。
上記正面支持部2cは、図3に示すように、横方向に延在した正面横支持部12aと、正面横支持部12aの中央から下方に延在し途中から2股に分かれた正面縦支持部12bとで構成されている。
上記背面支持部2dは、図4に示すように、横方向に延在した背面横支持部13aと、背面横支持部13aの中央から下方に延在し途中から2股に分かれた背面縦支持部13bとで構成されている。
【0020】
正面横支持部12aと背面横支持部13aとは、図5に示すように、互いの端部が側面支持部2bを介して固定されている。正面横支持部12aと背面横支持部13aと側面支持部2bとにより長方形状に囲まれた上部は、保持具本体2の上部開口部を形成している。また、正面縦支持部12bと背面縦支持部13bとは、互いの端部が底面支持部2aを介して固定されている。したがって、正面支持部2cと背面支持部2dとは、側面支持部2b及び底面支持部2aを介して固定され、全体として携帯機器PHを囲む枠状に形成されている。なお、上記各支持部を個別に作製して連結し固定することで、保持具本体2を作製しても良いが、保持具本体2の全体又は主要部分を一体成形で形成しても構わない。また、保持具本体2は、軽量化の観点から枠状に形成することが好ましいが、携帯機器PHの上部を除いた周囲を覆うような箱状又は筒状に形成しても構わない。
【0021】
また、背面支持部2dは、中央部から上方に突出したガイド板部7を有している。このガイド板部7は、楕円板状に形成されている。すなわち、背面支持部2dは、人型を模した大の字状に形成されている。
なお、保持具本体2は、ポリカーボネイト等のプラスチック製である。なお、保持具本体2をアルミニウム等の他の材料で形成しても構わない。
【0022】
また、摩擦抵抗部4と保持具本体2との間には、図6から図8に示すように、厚さ調整用シート5が少なくとも一枚挿入されている。
さらに、摩擦抵抗部4の少なくとも一部が、保持具本体2の一部に巻回された状態で面ファスナー5により着脱可能に固定されている。
【0023】
上記摩擦抵抗部4は、布地で形成することが好ましく、本実施形態の摩擦抵抗部4は、マイクロファイバーで形成されている。摩擦抵抗部4は、図6に示すように、展開すると上部がV字状にカットされており、四隅に面ファスナー6が取り付けられている。また、摩擦抵抗部4の中央部に厚さ調整用シート5が貼り付けられている。
上記厚さ調整用シート5は、綿等の布地又は紙で背面横支持部13aの形状に対応して形成された短冊状のシートであり、摩擦抵抗部4の裏面側に両面テープ5aで接着されている。なお、複数枚を重ねて設置する際は、厚さ調整用シート5同士を両面テープ5aで接着する。また、本実施形態では、両面テープ5aを中央部に1つ貼り付けて厚さ調整用シート5を接着しているが、中央部に限らないと共に、厚さ調整用シート5に対して全体又複数個所に両面テープ5aを貼り付けても構わない。また、複数枚を重ねて設置する際は、両面テープ5aが重なって部分的に厚くなってしまうことを防ぐために、両面テープ5a同士を少しずつずらして貼り付けることが好ましい。
【0024】
摩擦抵抗部4は、保持具本体2に取り付ける際は、図7に示すように、V字状にカットされた上部を折り返し、背面横支持部13aを挟んだ状態で背面横支持部13aの下方において対向させた面ファスナー6を貼り合わせて固定する。この際、V字状の上部はガイド板部7の両側で背面横支持部13aの内側から外側に折り返す。また、厚さ調整用シート5は、図8に示すように、背面横支持部13aの内側で、背面横支持部13aと摩擦抵抗部4とに挟まれた状態で配される。
【0025】
上記取付機構3は、図9に示すように、背面支持部2dの外面に設けられた突条部2eと、衣服Yの布地Kを挟んだ状態で突条部2eに取り付けられるクリップ部材8とを備えている。このクリップ部材8は、例えばダブルクリップであり、2個又は3個で布地Kを挟んだ状態で突条部2eに取り付けられる。
上記突条部2eは、背面支持部2dから背面方向に突出し背面支持部2dの延在方向に沿った直線状に形成されている。
【0026】
なお、携帯機器PHの縦サイズが小さく、携帯機器用保持具1に入れた状態でも胸ポケットPから上部が突出せずに、摘んで取り出し難い場合、図10に示すように、底面支持部2a上に、保持具本体2よりも柔軟な材料で形成された高さ調整用のクッション部材11を設置する。
このクッション部材11は、スポンジ材等の柔軟な材料で直方体状に形成され、正面縦支持部12bと背面縦支持部13bと底面支持部2aの間に両面テープ等を用いて設置される。
【0027】
このように本実施形態の携帯機器用保持具1は、保持具本体2の内面の少なくとも一部に設けられ、保持具本体2よりも高い摩擦抵抗を発生させる布地で形成された摩擦抵抗部4を備えているので、胸ポケットP等に取り付けた保持具本体2に携帯機器PHが挿入された状態で身体を屈めたとき、摩擦抵抗部4の摩擦抵抗により落下が防止される。
すなわち、摩擦抵抗部4が保持具本体2と携帯機器PHとの間を埋め、身体を屈めたときに保持具本体2の上部から斜め下方に重力で落ちようとする携帯機器PHが、当接している摩擦抵抗部4の摩擦抵抗により滑らず、落下が防止される。
【0028】
また、摩擦抵抗部4は布地で形成されているので、手による携帯機器PHの取り出しを妨げるほど強い摩擦抵抗を有していないため、保持具本体2の上部開口部から携帯機器PHを容易に取り出すことができる。さらに、摩擦抵抗部4が布地で形成されているので、携帯機器PHのディスプレイ面Dを摩擦抵抗部4側に向けて挿入した場合、柔らかな布地でディスプレイ面Dを保護すると共に、携帯機器PHの取り出し時に摩擦抵抗部4とディスプレイ面Dとが擦れ合うことで、ディスプレイ面Dの汚れや埃を拭き取ることもできる。
【0029】
また、保持具本体2が枠状であるため、軽量であり、胸ポケットP内に固定しても重さによる負担や上着の弛み等が少ない。さらに、底面支持部2aで携帯機器PHの下部が支持されることで、胸ポケットPの底に携帯機器PHが落ちず、胸ポケットPの形状が崩れ難くなると共に、携帯機器PHの上部を摘んで取り出し易くなる。
【0030】
また、摩擦抵抗部4と保持具本体2との間に、厚さ調整用シート5が少なくとも一枚挿入されているので、携帯機器PHの厚さに応じて摩擦抵抗部4と携帯機器PHとの間に隙間が生じる場合、厚さ調整用シート5を挿入することで上部開口部の幅を調整し、前記隙間を無くして摩擦抵抗部4を安定して携帯機器PHに接触させることができる。また、厚さ調整用シート5の挿入枚数を調整することで、挿入時の携帯機器PHに対する摩擦抵抗部4の押圧力を厚さで調整して摩擦抵抗による保持力を調整することができると共に、摩擦抵抗部4の弾力調整も行うことができる。なお、厚さ調整用シート5を挿入しなくても摩擦抵抗部4と携帯機器PHとの間に隙間が生じず、十分な摩擦抵抗が生じる場合は、厚さ調整用シート5は不要である。
【0031】
さらに、摩擦抵抗部4の少なくとも一部が、保持具本体2の一部に巻回された状態で面ファスナー6により着脱可能に固定されているので、摩擦抵抗部4を容易に着脱でき、汚れた摩擦抵抗部4の交換や洗濯を行うことができる。
また、背面支持部2dが、中央部から上方に突出したガイド板部7を有しているので、ガイド板部7に携帯機器PHの下部を当てながら保持具本体2に挿入することでガイド板部7に携帯機器PHがガイドされてスムーズに保持具本体2内への挿入を行うことができる。
【0032】
また、取付機構3が、背面支持部2dの外面に設けられた突条部2eと、衣服Yの布地Kを挟んだ状態で突条部2eに取り付けられるクリップ部材8とを備えているので、例えば胸ポケットPの身体側の生地を挟んだ状態で突条部2eにクリップ部材8を取り付けることで容易に携帯機器用保持具1を胸ポケットP内に固定することができる。また、クリップ部材8を外すだけで容易に携帯機器用保持具1を胸ポケットPから取り出すことができる。さらに、胸ポケットPの身体側の生地に固定されることで、携帯機器PHを携帯機器用保持具1に挿入した状態でも、胸ポケットPが携帯機器PHの重さによって垂れ下がって、だらしなく見えることを防止できる。
【0033】
なお、底面支持部2a上に、保持具本体2よりも柔軟な材料で形成された高さ調整用のクッション部材11を設置することで、携帯機器PHの縦サイズが小さい場合でも、底面支持部2aが底上げされ、挿入状態の携帯機器PHの上部が適度に保持具本体2から突出するように設定可能である。これにより、縦サイズの小さい携帯機器PHでも携帯機器PHの上部を容易に摘んで取り出すことができる。
【0034】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0035】
例えば、上記実施形態では、取付機構のクリップ部材及び突条部を用いて背面支持部側で衣服に固定したが、正面支持部側に取付機構を設けて胸ポケットの前面の生地に固定しても構わない。この場合、携帯機器の重みが胸ポケットの前面に加わってしまうために、胸ポケットが弛んでしまうが、胸ポケットの裏に手を回してクリップ部材を外す必要が無く、さらに容易に携帯機器用保持具を着脱可能になる。また、取付機構として、ペン等の上部に設けられているクリップ構造を、前面支持部側に設けて胸ポケットの前面の生地に取り付けても構わない。
また、摩擦抵抗部を背面横支持部に取り付けたが、他の部分に設置して構わない。例えば、正面横支持部等の内側に摩擦抵抗部を設けても構わない。
【符号の説明】
【0036】
1…携帯機器用保持具、2…保持具本体、2a…底面支持部、2b…側面支持部、2c…前面支持部、2d…背面支持部、2e…突条部、3…取付機構、4…摩擦抵抗部、5…厚さ調整用シート、6…面ファスナー、7…ガイド板部、8…クリップ部材、11…クッション部材、K…衣服の布地、PH…携帯機器、Y…衣服
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10