【実施例】
【0157】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.硬化処理工程の有無、穴開け処理工程の有無の検討
1−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液1)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.1wt%および0.001wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液1を調製した。なお、この酵素処理液1のpHは、6であった。
【0158】
1−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例および各比較例において、酵素処理液1を用いて軟質化動物性食材を製造した。
【0159】
(実施例1A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてエビ(平均重量約8〜10g)を用意し、このエビを5分、75℃、100%RHの条件で蒸すことで、芯温が70℃となるまで加熱して、エビを硬化させた。
【0160】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いて穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、エビに対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
【0161】
<3>加水分解処理工程
次に、エビを予め調製した酵素処理液1中に浸漬することで、エビに含まれるたん白質を加水分解させることにより、エビを軟質化させた。なお、この酵素処理液1中へのエビの浸漬は、4℃で20時間行った。
【0162】
<4>加熱処理工程
次に、エビを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
【0163】
<5>冷凍処理工程
次に、エビ(軟質化されたエビ)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0164】
(実施例1B)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの酵素処理液1中への浸漬を、4℃、減圧下(95%以上(大気圧を1013hPaとしたとき、50.65hPa以下まで減圧すること))の条件で、5分間行ったこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0165】
(実施例1C)
前記硬化処理工程<1>を、エビをpH3の酸溶液中に、4℃、1時間の条件で酸処理して、エビを硬化させたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0166】
(実施例1D)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの酵素処理液1中への浸漬を、4℃、減圧下(95%以上)の条件で、5分間行ったこと以外は、前記実施例1Cと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0167】
(実施例1E)
前記硬化処理工程<1>を、エビをpH10のアルカリ溶液中に、4℃、1時間の条件でアルカリ処理して、エビを硬化させたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0168】
(実施例1F)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの酵素処理液1中への浸漬を、4℃、減圧下(95%以上)の条件で、5分間行ったこと以外は、前記実施例1Eと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0169】
(比較例1A)
前記硬化処理工程<1>を、省略したこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0170】
(比較例1B)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの酵素処理液1中への浸漬を、4℃、減圧下(95%以上)の条件で、5分間行ったこと以外は、前記比較例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0171】
(比較例1C)
前記穴開け工程<2>を、省略したこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0172】
(比較例1D)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの酵素処理液1中への浸漬を、4℃、減圧下(95%以上)の条件で、5分間行ったこと以外は、前記比較例1Cと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0173】
1−3.評価
各実施例および各比較例の冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を以下に示す1−3−1〜1−3−3の各種項目について評価した。
【0174】
1−3−1.かたさ
解凍したエビ(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられたかたさを、「5:舌で容易に潰せる、4:舌で崩せる、3:やや力は要るが舌で崩せる、2:食べるのに歯が必要、1:常食並み」の5段階の基準にしたがって評価した。かかる食感の評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
【0175】
1−3−2.外観
解凍したエビ(軟質化動物性食材;試料)の外観を、「5:常食と同じ、4:やや変化があるがほぼ常食、3:変化があるがほぼ常食、2:許容できない変化がある、1:形がない、溶けている」の5段階の基準にしたがって評価した。なお、エビの外観は、色、形、大きさ(高さ)、穴の目立ちの5項目について評価した。かかる外観の評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
【0176】
1−3−3.なめらかさ
解凍したエビ(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられたなめらかさを、「5:非常になめらか、4:なめらか、3:ややざらつくが概ねなめらか、2:ざらつきが目立つ、1:ざらつく、粉っぽい」の5段階の基準にしたがって評価した。かかるなめらかさの評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
【0177】
1−3−4.総合評価
1−3−1〜1−3−3で評価したかたさ、外観およびなめらかさの各々の評価結果の平均値について、全て4点以上である場合を「◎製品として非常に適している」、全て2.5点以上である場合を「○製品として適する」、1つが2.5未満である場合を「△製品としてやや不適」、2つ以上2.5未満である場合を「×製品として不適」として、総合的に評価した。
これらの結果を表1に示す。
【0178】
【表1】
【0179】
表1から明らかなように、各実施例では、硬化処理工程<1>、穴開け工程<2>および加水分解処理工程<3>を施すことで、外観およびなめらかさを維持しつつ、動物性素材を軟質化し得ることが判った。さらに、複数の動物性素材において、ムラなく軟質化することができた。これに対して、各比較例では、硬化処理工程<1>および穴開け工程<2>のうちいずれか一方を省略することで、十分に動物性素材の軟質化がなされない結果となった。
【0180】
2.硬化処理(加熱処理)工程における加熱温度の検討
2−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液2)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.2wt%および0.002wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液2を調製した。なお、この酵素処理液2のpHは、6であった。
【0181】
2−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酵素処理液2を用いて軟質化動物性食材を製造した。
【0182】
(実施例2A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてエビ(平均重量約8〜10g)を用意し、このエビを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が50℃となるまで加熱して、エビを硬化させた。
【0183】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いて穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、エビに対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
【0184】
<3>加水分解処理工程
次に、エビを予め調製した酵素処理液2(浸漬液)中に浸漬することで、エビに含まれるたん白質を加水分解させることにより、エビを軟質化させた。なお、この酵素処理液2中へのエビの浸漬は、4℃で20時間行った。
【0185】
<4>加熱処理工程
次に、エビを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
【0186】
<5>冷凍処理工程
次に、エビ(軟質化されたエビ)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0187】
(実施例2B〜2F)
前記硬化処理工程<1>における、エビを蒸すことによる加熱を、芯温が表2に示す温度となるまで実施したこと以外は、前記実施例2Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0188】
(実施例2G)
前記硬化処理工程<1>における、エビの加熱を、飽和蒸気圧調理器(三浦工業社製、「スチームマイスターCK−20EL」)を用いて飽和蒸気圧下でエビをホテルパン上で加熱し、その芯温が130℃となるまで実施したこと以外は、前記実施例2Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0189】
2−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているエビの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表2に示す。
【0190】
【表2】
【0191】
表2から明らかなように、前記硬化(加熱)処理工程<1>において、エビの芯温が60〜90℃になるまで加熱すること(実施例2B〜2E)で、他の実施例と比較して、エビの軟質化が良好になされることが判った。
【0192】
3.硬化処理(加熱処理)工程における加熱手段の検討
3−1.酵素処理液の調整
(酵素処理液3)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.2wt%および0.002wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液3を調製した。なお、この酵素処理液3のpHは、6であった。
【0193】
3−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酵素処理液3を用いて軟質化動物性食材を製造した。
【0194】
(実施例3A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてとり皮(平均重量約20g)を用意し、このとり皮を100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、とり皮を硬化させた。
【0195】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてとり皮の穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、とり皮に対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
【0196】
<3>加水分解処理工程
次に、とり皮を予め調製した酵素処理液3(浸漬液)中に浸漬することで、とり皮に含まれるたん白質を加水分解させることにより、とり皮を軟質化させた。なお、この酵素処理液3中へのとり皮の浸漬は、4℃で15時間行った。
【0197】
<4>加熱処理工程
次に、とり皮を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
【0198】
<5>冷凍処理工程
次に、とり皮(軟質化されたとり皮)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0199】
(実施例3B〜3H)
前記硬化処理工程<1>における、とり皮を加熱する手段を、表3に示す方法に変更したこと以外は、前記実施例3Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0200】
3−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているとり皮の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表3に示す。
【0201】
【表3】
【0202】
表3から明らかなように、前記硬化(加熱)処理工程<1>における加熱手段によらず、とり皮の軟質化がなされることが判ったが、特に加熱手段として蒸す方法を選択すること(実施例3A、3B)で、他の実施例と比較して、とり皮の軟質化がより良好になされることが判った。
【0203】
4.加水分解処理工程における加水分解処理の種類の検討
4−1.処理液の調整
(酵素処理液4A)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.05wt%および0.001wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液4Aを調製した。なお、この酵素処理液4AのpHは、6であった。
【0204】
(アルカリ溶液4B)
pH調整剤としてグリシンおよび水酸化ナトリウムを用意し、グリシンの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解してアルカリ溶液4Bを調製した。なお、この際、アルカリ溶液4BのpHを10.5に調製した。
【0205】
(アルカリ溶液4C)
pH調整剤として炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解してアルカリ溶液4Cを調製した。なお、この際、アルカリ溶液4CのpHを10.5に調製した。
【0206】
(酸溶液4D)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液4Dを調製した。なお、この際、酸溶液4DのpHを2.5に調製した。
【0207】
(酸溶液4E)
pH調整剤として塩酸、酢酸および酢酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液4Eを調製した。なお、この際、酸溶液4EのpHを2.5に調製した。
【0208】
(酸溶液4F)
pH調整剤としてグリシンおよび塩酸を用意し、グリシンの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液4Fを調製した。なお、この際、酸溶液4FのpHを2.5に調製した。
【0209】
(酵素処理液4G)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.05wt%および0.001wt%となるように、また、pH調整剤としてグリシンおよび水酸化ナトリウムを用意し、グリシンの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液4Gを調製した。なお、この酵素処理液4GのpHは、10.5に調製した。
【0210】
(アルカリ溶液4H)
pH調整剤としてグリシンおよび水酸化ナトリウムを用意し、グリシンの含有量が0.3Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解してアルカリ溶液4Hを調製した。なお、この際、アルカリ溶液4HのpHを10.5に調製した。
【0211】
(酸溶液4I)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、クエン酸の含有量が0.3Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液4Iを調製した。なお、この際、酸溶液4IのpHを2.5に調製した。
【0212】
4−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、各種処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
【0213】
(実施例4A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてエビ(平均重量約8〜10g)を用意し、このエビを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が75℃となるまで加熱して、エビを硬化させた。
【0214】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いて穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、エビに対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
【0215】
<3>加水分解処理工程
次に、エビを予め調製した酵素処理液4A(浸漬液)中に浸漬することで、エビに含まれるたん白質を加水分解させることにより、エビを軟質化させた。なお、この酵素処理液4A中へのエビの浸漬は、4℃で20時間行った。
【0216】
<4>加熱処理工程
次に、エビを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
【0217】
<5>冷凍処理工程
次に、エビ(軟質化されたエビ)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0218】
(実施例4B)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、アルカリ溶液4B(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0219】
(実施例4C)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、アルカリ溶液4C(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0220】
(実施例4D)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、酸溶液4D(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0221】
(実施例4E)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、酸溶液4E(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0222】
(実施例4F)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、酸溶液4F(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0223】
(実施例4G)
前記加水分解処理工程<3>における、エビの加水分解を、酵素処理液4G(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例4Aと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0224】
(実施例4H)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてエビ(平均重量約8〜10g)を用意し、このエビを予め調製したアルカリ溶液4H(浸漬液)中に浸漬することで硬化させた。なお、このアルカリ溶液4H中へのエビの浸漬は、4℃で60分行った。
【0225】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いて穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、エビに対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
【0226】
<3>加水分解処理工程
次に、エビを、再度、アルカリ溶液4H(浸漬液)中に浸漬することで、エビに含まれるたん白質を加水分解させることにより、エビを軟質化させた。なお、このアルカリ溶液4H中へのエビの浸漬は、4℃で20時間行った。
【0227】
<4>加熱処理工程
次に、エビを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
【0228】
実施例4Hは相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間120分の条件で加熱した。
【0229】
(実施例4I)
アルカリ溶液4Hの代わりに酸溶液4Iを使用した以外は、前記実施例4Hと同様にして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0230】
<5>冷凍処理工程
次に、エビ(軟質化されたエビ)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0231】
4−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているエビの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表4に示す。
【0232】
【表4】
【0233】
表4から明らかなように、前記加水分解処理工程<3>における加水分解処理の種類によらず、エビの軟質化がなされることが判ったが、特に、加水分解処理としてたん白質分解酵素存在下でアルカリ処理を施す方法を選択すること(実施例4G)、または、硬化処理工程および加水分解処理工程をともにアルカリ処理を選択すること(実施例4H)で、他の実施例と比較して、エビの軟質化がより良好になされることが判った。
【0234】
5.加水分解処理工程における各種処理液の濃度の検討
5−1.処理液の調整
(酵素処理液5A)
たん白質分解酵素としてパパインを用意し、その含有量が、0.001wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液5Aを調製した。なお、この酵素処理液5AのpHは、6であった。
【0235】
(酵素処理液5B)
たん白質分解酵素としてパパインを用意し、その含有量が、0.5wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液5Bを調製した。なお、この酵素処理液5BのpHは、6であった。
【0236】
(アルカリ溶液5C)
pH調整剤としてグリシンおよび水酸化ナトリウムを用意し、グリシンの含有量が0.01Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解してアルカリ溶液5Cを調製した。なお、この際、アルカリ溶液5CのpHを10.5に調製した。
【0237】
(アルカリ溶液5D)
pH調整剤としてグリシンおよび水酸化ナトリウムを用意し、グリシンの含有量が1.0Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解してアルカリ溶液5Dを調製した。なお、この際、アルカリ溶液5DのpHを10.5に調製した。
【0238】
(酸溶液5E)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.01Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液5Eを調製した。なお、この際、酸溶液5EのpHを2.5に調製した。
【0239】
(酸溶液5F)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が1.0Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液5Fを調製した。なお、この際、酸溶液5FのpHを2.5に調製した。
【0240】
5−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、各種処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
【0241】
(実施例5A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてタコスライス(平均重量約5g、厚さ5mm)を用意し、このタコスライスを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が75℃となるまで加熱して、タコスライスを硬化させた。
【0242】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてタコスライスの穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、タコスライスに対して1穴/3.2mm×3.2mmのピッチで行った。
【0243】
<3>加水分解処理工程
次に、タコスライスを予め調製した酵素処理液5A(浸漬液)中に浸漬することで、タコスライスに含まれるたん白質を加水分解させることにより、タコスライスを軟質化させた。なお、この酵素処理液5A中へのタコスライスの浸漬は、4℃で20時間行った。
【0244】
<4>加熱処理工程
次に、タコスライスを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間30分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
【0245】
<5>冷凍処理工程
次に、タコスライス(軟質化されたタコスライス)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0246】
(実施例5B)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酵素処理液5B(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例5Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0247】
(実施例5C)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、アルカリ溶液5C(浸漬液)中に浸漬することで行い、加熱を飽和蒸気圧調理器(三浦工業社製、「スチームマイスター CK−20EL」)を用いて飽和蒸気圧下で庫内120℃、30分加熱処理したこと以外は、前記実施例5Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0248】
(実施例5D)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、アルカリ溶液5D(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例5Cと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0249】
(実施例5E)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酸溶液5E(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例5Cと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0250】
(実施例5F)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酸溶液5F(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例5Cと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0251】
5−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているタコスライスの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表5に示す。
【0252】
【表5】
【0253】
表5から明らかなように、前記加水分解処理工程<3>における加水分解処理に用いる処理液(浸漬液)の濃度を適切な範囲に設定すること(実施例5B、5D、5F)で、タコスライスの軟質化が良好になされることが判った。
【0254】
6.加水分解処理工程における各種処理液の接触方法の検討
6−1.処理液の調整
(酵素処理液6)
たん白質分解酵素としてパパインを用意し、その含有量が、0.3wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液6を調製した。なお、この酵素処理液6のpHは、6であった。
【0255】
6−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酵素処理液6を用いて軟質化動物性食材を製造した。
【0256】
(実施例6A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてタコスライス(平均重量約5g、厚さ5mm)を用意し、このタコスライスを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が75℃となるまで加熱して、タコスライスを硬化させた。
【0257】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてタコスライスの穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、タコスライスに対して1穴/3.2mm×3.2mmのピッチで行った。
【0258】
<3>加水分解処理工程
次に、タコスライスに予め調製した酵素処理液6(塗布液)を塗布することで、タコスライスに含まれるたん白質を加水分解させることにより、タコスライスを軟質化させた。なお、この酵素処理液6によるタコスライスの塗布は塗布後20時間4℃で静置した。
【0259】
<4>加熱処理工程
次に、タコスライスを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間30分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
【0260】
<5>冷凍処理工程
次に、タコスライス(軟質化されたタコスライス)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0261】
(実施例6B)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酵素処理液6(浸漬液)中に浸漬することで行ったこと以外は、前記実施例6Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0262】
(実施例6C)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、タコスライスに酵素処理液6(塗布液)を塗布した後、4℃、減圧(95%以上)の条件で、5分間減圧下としたことで行い、20時間4℃で静置したこと以外は、前記実施例6Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0263】
(実施例6D)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酵素処理液6(噴霧液)を噴霧し、その後20時間4℃で静置したこと以外は、前記実施例6Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0264】
(実施例6E)
前記加水分解処理工程<3>における、タコスライスの加水分解を、酵素を粉まぶしし、その後20時間4℃で静置したこと以外は、前記実施例6Aと同様にして、冷凍状態のタコスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0265】
6−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているタコスライスの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表6に示す。
【0266】
【表6】
【0267】
表6から明らかなように、前記加水分解処理工程<3>における酵素処理液の接触方法(供給方法)によらず、タコスライスの軟質化がなされることが判ったが、特に、接触方法として浸漬法を選択すること(実施例6B)で、他の実施例と比較して、タコスライスの軟質化がより良好になされることが判った。
【0268】
7.加水分解処理工程における浸漬液中への浸漬時間の検討
7−1.処理液の調整
(酵素処理液7)
たん白質分解酵素としてパパインを用意し、その含有量が、0.30wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液7を調製した。なお、この酵素処理液7のpHは、6であった。
【0269】
7−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酵素処理液7を用いて軟質化動物性食材を製造した。
【0270】
(実施例7A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてトリムネスライス(平均重量約10g、厚さ2mm)を用意し、このトリムネスライスを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、トリムネスライスを硬化させた。
【0271】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてトリムネスライスの穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、トリムネスライスに対して1穴/3.7mm×3.7mmのピッチで行った。
【0272】
<3>加水分解処理工程
次に、トリムネスライスを予め調製した酵素処理液7(浸漬液)中に浸漬することで、トリムネスライスに含まれるたん白質を加水分解させることにより、トリムネスライスを軟質化させた。なお、この酵素処理液7によるトリムネスライスの浸漬は、4℃で5時間行った。
【0273】
<4>加熱処理工程
次に、トリムネスライスを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
【0274】
<5>冷凍処理工程
次に、トリムネスライス(軟質化されたトリムネスライス)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のトリムネスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0275】
(実施例7B〜7D)
前記加水分解処理工程<3>における、トリムネスライスの酵素処理液7(浸漬液)中への浸漬時間を、表7のように変更したこと以外は、前記実施例7Aと同様にして、冷凍状態のトリムネスライスの軟質化動物性食材を得た。
【0276】
7−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているトリムネスライスの軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表7に示す。
【0277】
【表7】
【0278】
表7から明らかなように、前記加水分解処理工程<3>において、トリムネスライスの酵素処理液中への浸漬時間を15〜30時間に設定すること(実施例7B、7C)で、他の実施例と比較して、トリムネスライスの軟質化が、その外観およびなめらかさが維持されつつ、良好になされることが判った。
【0279】
8.加熱処理工程における加熱条件の検討
8−1.処理液の調整
(酸溶液8A)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.1Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液8Aを調製した。なお、この際、酸溶液8AのpHを2.5に調製した。
【0280】
(酵素処理液8C)
たん白質分解酵素としてブロメラインを用意し、その含有量が、0.10wt%となるようにイオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液8Cを調製した。なお、この酵素処理液8CのpHは、6であった。
【0281】
8−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、各種処理液を用いて軟質化動物性食材を製造した。
【0282】
(実施例8A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてとり皮(平均重量約20g)を用意し、このとり皮を100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、とり皮を硬化させた。
【0283】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてとり皮の穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、とり皮に対して1穴/3.7mm×3.7mmのピッチで行った。
【0284】
<3>加水分解処理工程
次に、とり皮を予め調製した酸溶液8A(浸漬液)中に浸漬することで、とり皮に含まれるたん白質を加水分解させることにより、とり皮を軟質化させた。なお、この酸溶液8Aによるとり皮の浸漬は、4℃で20時間行った。
【0285】
<4>加熱処理工程
次に、とり皮を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間120分の条件で加熱した。
【0286】
<5>冷凍処理工程
次に、とり皮(軟質化されたとり皮)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0287】
(実施例8B)
前記加熱処理工程<4>におけるとり皮の加熱を、ビーカー中に水とサンプルを入れ、飽和蒸気圧調理器(三浦工業社製、「スチームマイスターCK−20EL」)を用いて飽和蒸気圧下で芯温130℃となり、さらにその1分後まで茹でて加熱処理したこと以外は、前記実施例8Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0288】
(実施例8C)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてとり皮(平均重量約20g)を用意し、このとり皮を100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、とり皮を硬化させた。
【0289】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてとり皮の穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、とり皮に対して1穴/3.7mm×3.7mmのピッチで行った。
【0290】
<3>加水分解処理工程
次に、とり皮を予め調製した酵素処理液8C(浸漬液)中に浸漬することで、とり皮に含まれるたん白質を加水分解させることにより、とり皮を軟質化させた。なお、この酵素処理液8Cによるとり皮の浸漬は、4℃で20時間行った。
【0291】
<4>加熱処理工程
次に、とり皮を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度50℃、加熱時間30分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度100℃の条件で芯温100℃となり、さらにその1分後まで加熱した。
【0292】
<5>冷凍処理工程
次に、とり皮(軟質化されたとり皮)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0293】
(実施例8D)
前記加熱処理工程<4>におけるとり皮の加熱を、ビーカー中に水とサンプルを入れ、飽和蒸気圧調理器(三浦工業社製、「スチームマイスター CK−20EL」)を用いて飽和蒸気圧下で芯温130℃となり、さらにその1分後まで茹でて加熱処理したこと以外は、前記実施例8Cと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0294】
8−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているとり皮の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表8に示す。
【0295】
【表8】
【0296】
表8から明らかなように、前記加熱処理工程<4>において、とり皮の加熱を適切な条件で実施すること(実施例8A)で、他の実施例と比較して、とり皮の軟質化が、その外観およびなめらかさが維持されつつ、良好になされることが判った。
【0297】
9.軟質化する食材の種類の検討
9−1.処理液の調整
(酵素処理液9)
たん白質分解酵素としてパパインおよびブロメラインを用意し、これらの含有量が、それぞれ、0.01wt%および0.001wt%となるように、また、pH調整剤として炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.5Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酵素処理液9を調製した。なお、この酵素処理液9のpHは、9.5に調製した。
【0298】
9−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酵素処理液9を用いて軟質化動物性食材を製造した。
【0299】
(実施例9A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてエビ(平均重量約8〜10g)を用意し、このエビを100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、エビを硬化させた。
【0300】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてエビの穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、エビに対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行った。
【0301】
<3>加水分解処理工程
次に、エビを予め調製した酵素処理液9(浸漬液)中に浸漬することで、エビに含まれるたん白質を加水分解させることにより、エビを軟質化させた。なお、この酵素処理液9によるエビの浸漬は、4℃で20時間行った。
【0302】
<4>加熱処理工程
次に、エビを、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度60℃、加熱時間40分の条件で加熱した後、さらに相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間10分の条件で加熱した。
【0303】
<5>冷凍処理工程
次に、エビ(軟質化されたエビ)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のエビの軟質化動物性食材を得た。
【0304】
(実施例9B〜9E)
軟質化する動物性素材として、表9に示すものを用いたこと以外は、前記実施例9Aと同様にして、冷凍状態の軟質化動物性食材を得た。
【0305】
9−3.評価
各実施例の冷凍状態となっている軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表9に示す。
【0306】
【表9】
【0307】
表9から明らかなように、各種の動物性素材について、その軟質化が、外観およびなめらかさが維持されつつ、良好になされることが判った。
【0308】
10.調味工程の検討
10−1.処理液の調整
(酸溶液10)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.05Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液10を調製した。なお、この際、酸溶液10のpHを2.5に調製した。
【0309】
10−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酸溶液10を用いて軟質化動物性食材を製造した。
【0310】
(実施例10A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてとり皮(平均重量約20g)を用意し、このとり皮を100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、とり皮を硬化させた。
【0311】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてとり皮の穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、とり皮に対して1穴/3.7mm×3.7mmのピッチで行った。
【0312】
<3>加水分解処理工程
次に、とり皮を予め調製した酸溶液10(浸漬液)中に浸漬することで、とり皮に含まれるたん白質を加水分解させることにより、とり皮を軟質化させた。なお、この酸溶液10によるとり皮の浸漬は、4℃で20時間行った。
【0313】
<4−1>加熱処理工程
次に、とり皮を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間60分の条件で加熱した。
【0314】
<4−2>調味工程
次に、とり皮に、調味液として、めんつゆ(2倍濃縮 ヤマキ)を3倍希釈し調味剤として塗布することで、味付けを施した。
【0315】
<5>冷凍処理工程
次に、とり皮(軟質化されたとり皮)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0316】
(実施例10B)
前記工程<4−2>を省略し、前記加熱処理工程<4−1>を、めんつゆ(2倍濃縮 ヤマキ)を3倍希釈したものを調味剤として添加されたゆで汁中で、90℃、60分の条件でゆでることに変更したこと以外は、前記実施例10Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0317】
(実施例10C)
前記工程<4−2>を省略し、前記加水分解処理工程<3>で用いる酸溶液10中に、めんつゆ(2倍濃縮 ヤマキ)を調味剤として添加し、さらに前記加熱処理工程<4−1>をゆで汁中で、40℃、60分の条件でゆでることに変更したこと以外は、前記実施例10Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0318】
10−3.評価
各実施例の冷凍状態となっている軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価し、さらに、以下に示す10−3−1のおいしさについて評価した。
【0319】
10−3−1.おいしさ
解凍したとり皮(軟質化動物性食材;試料)を食し、その際に感じられた味を、「5:素材の味が強くする、4:素材の味がする、3:素材以外の味があるが許容できる、2:やや苦み、異味がある、1:苦み、異味がある」の5段階の基準にしたがって評価した。かかるおいしさの評価を、10名のパネラーについて実施し、各パネラーから得られた評価結果の平均値を求めた。
これらの結果を表10に示す。
【0320】
【表10】
【0321】
表10から明らかなように、調味剤の添加時期によらず、とり皮の軟質化がなされることが判ったが、特に調味剤の添加を加水分解処理<3>の後に実施すること(実施例10A、10B)で、実施例10Cと比較して、とり皮の軟質化がより良好になされることが判った。
【0322】
11.穴開け処理工程における穴開け(テンダライズ)するピッチの検討
(酸溶液11A)
pH調整剤としてクエン酸およびクエン酸ナトリウムを用意し、これらの含有量が0.1Mとなるように、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水に溶解して酸溶液11Aを調製した。なお、この際、酸溶液11AのpHを2.7に調製した。
【0323】
11−2.軟質化動物性食材の製造
以下の各実施例において、酸溶液11Aを用いて軟質化動物性食材を製造した。
【0324】
(実施例11A)
<1>硬化処理工程
まず、動物性素材としてとり皮(平均重量約20g)を用意し、このとり皮を100%RHの条件で蒸すことで、芯温が60℃となるまで加熱して、とり皮を硬化させた。
【0325】
<2>穴開け工程
次に、テンダライズ装置を用いてとり皮の穴開けを行った。なお、この穴開けは、横断面積1.0mm×3.0mmの大きさの刃を用いて、とり皮に対して1穴/6.0mm×6.0mmのピッチで行った。
【0326】
<3>加水分解処理工程
次に、とり皮を予め調製した酸溶液11A(浸漬液)中に浸漬することで、とり皮に含まれるたん白質を加水分解させることにより、とり皮を軟質化させた。なお、この酸溶液11Aによるとり皮の浸漬は、4℃で20時間行った。
【0327】
<4>加熱処理工程
次に、とり皮を、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度90℃、加熱時間60分の条件で加熱した。
【0328】
<5>冷凍処理工程
次に、とり皮(軟質化されたとり皮)を、急速冷凍装置(福島工業社製、「ブラストチラー QXF−006S5」)を用いて、芯温−20℃以下となるまで急速冷凍させた。
以上のようにして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0329】
(実施例11B)
前記穴開け工程<2>における、テンダライズ装置を用いたとり皮の穴開けを、とり皮に対して1穴/5.2mm×5.2mmのピッチで行ったこと以外は、前記実施例11Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0330】
(実施例11C)
前記穴開け工程<2>における、テンダライズ装置を用いたとり皮の穴開けを、とり皮に対して1穴/4.5mm×4.5mmのピッチで行ったこと以外は、前記実施例11Aと同様にして、冷凍状態のとり皮の軟質化動物性食材を得た。
【0331】
11−3.評価
各実施例の冷凍状態となっているとり皮の軟質化動物性食材を、それぞれ、スチームコンベクション(ラショナル社製、「セルフクッキングセンター61型」)を用いて、相対湿度100%RH、庫内温度70℃、加熱時間30分の条件で加熱することにより解凍した後、解凍された軟質化動物性食材を、前述した実施例1A等と同様にして前記1−3−1〜1−3−4の各種項目について評価した。
これらの結果を表11に示す。
【0332】
【表11】
【0333】
表11から明らかなように、前記穴開け工程<2>において、とり皮に対する穴開けを適切な大きさで実施すること(実施例11B、C)で、他の実施例と比較して、とり皮の軟質化が、その外観およびなめらかさが維持されつつ、良好になされることが判った。