(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371661
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 24/46 20110101AFI20180730BHJP
【FI】
H01R24/46
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-205382(P2014-205382)
(22)【出願日】2014年10月6日
(65)【公開番号】特開2016-76360(P2016-76360A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2016年5月17日
【審判番号】不服2017-7807(P2017-7807/J1)
【審判請求日】2017年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】澤井 隆志
【合議体】
【審判長】
平田 信勝
【審判官】
中村 達之
【審判官】
尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−32307(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0084739(US,A1)
【文献】
特開2011−198627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R24/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性により同軸プラグの挿入方向に沿って動く可動部を有する可動端子と、
前記可動端子の弾性により前記可動部と弾性接触するための接続板と、
前記可動端子及び前記接続板を内部に保持し、同軸プラグの少なくとも中心端子を受け入れるための挿入口を有する絶縁座と、
前記絶縁座を内側に保持し、前記挿入口を露出した嵌合部を有するシェルと
を含み、
前記可動端子の前記可動部は、前記同軸プラグの差込時に前記挿入口から差し込まれた前記中心端子により押し下げられることで、前記接続板との接触を解消するように構成され、
前記絶縁座は、前記同軸プラグの差込時に押し下げられた前記可動部の傾斜面に沿って、該可動部の下面を支持するように構成された傾斜受け部を備え、前記絶縁座は、前記接続板を保持する第1の絶縁座部品と前記可動端子を保持する第2の絶縁座部品とが、組み合わされて構成され、
前記第2の絶縁座部品は、前記可動端子を実装面に対して実質的に水平に保持し、
前記第1の絶縁座部品を、前記第2の絶縁座部品の上に組み合わせたことで、実質的に水平に保持された前記可動端子は、前記第2の絶縁座部品と組み合わされた前記第1の絶縁座部品に保持された前記接続板に接触して前記傾斜受け部の傾斜面に沿うように押し下げられ、
前記接続板及び前記シェルは、前記第1の絶縁座部品と一体成型され、前記可動端子は、前記第2の絶縁座部品と一体成型されており、
前記シェルは、前記第2の絶縁座部品を抱え込むように折り曲げて加締められたことで、前記第1の絶縁座部品と前記第2の絶縁座部品とを固着保持したことを特徴とする同軸コネクタ。
【請求項2】
前記シェルは、前記嵌合部の内縁の小径部分を上下で覆い一体化するように成型されていることを特徴とする請求項1に記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
前記可動部は、前記接続板との接触部分に突起状の接点を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の同軸コネクタ。
【請求項4】
前記可動部は、前記接続板との接触部分が複数の接触片に分かれ、前記突起状の接点は、前記接触片のそれぞれに備えられていることを特徴とする請求項3に記載の同軸コネクタ。
【請求項5】
前記接続板は、前記可動部と接触する部分に突起状の接点を有することを特徴とする請求項1に記載の同軸コネクタ。
【請求項6】
前記接続板は、前記可動部との接触部分が複数の接触片に分かれ、前記突起状の接点は、前記接触片のそれぞれに備えられていることを特徴とする請求項5に記載の同軸コネクタ。
【請求項7】
前記傾斜受け部は、前記可動部の下面を支持するための傾斜面を有し、該傾斜面の傾きは、前記同軸プラグの差込時に押し下げられた前記可動部の傾きと一致し、
前記挿入口の内壁よりも内側の位置から前記傾斜受け部が開始されることを特徴とする請求項1から6いずれか1項に記載の同軸コネクタ。
【請求項8】
前記傾斜受け部は、前記中心端子が前記可動部に接触する部分を反対側から少なくとも支持するように構成されていることを特徴とする請求項1から7いずれか1項に記載の同軸コネクタ。
【請求項9】
前記傾斜受け部は、複数に分かれて設けられ、それぞれ前記可動部の底面を支持するように構成されていることを特徴とする請求項1から8いずれか1項に記載の同軸コネクタ。
【請求項10】
前記絶縁座は、前記接続板と接触した状態の前記可動部の上面に近接する位置まで、前記挿入口の内壁を延出させて形成した防護壁を有し、前記防護壁の下面の傾きの大小は、前記接続板と接触した状態の前記可動部の傾きの大小に一致することを特徴とする請求項1から9いずれか1項に記載の同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信機器の高周波特性の測定・検査等に使用される同軸コネクタ(レセプタクル)に関する。具体的には、同軸コネクタのシェル内に、接続板と可動部を含む可動端子とを備え、接続板に接触した可動部を、同軸プラグを差し込むことで、押し下げて接続板から離すように構成された同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォンのような携帯通信機器等の電子機器には、アンテナ特性や高周波特性等を測定するために使用する小さな同軸コネクタが備えられているものがある。このような同軸コネクタの従来例の1つとして、特開平9−245907号公報(特許文献1)には、絶縁ケース内に可動端子と固定端子を備え、相手方同軸コネクタの着脱に伴って可動端子と固定端子が接触・解離する同軸コネクタ(レセプタクル)が開示されている。
【0003】
上記従来例の同軸コネクタは、同軸プラグが装着されていないときには、板状の可動端子が自らのばね性によって、その上面が板状の固定端子の下面にある接点に確実に当接することで、可動端子が固定端子と電気的に接続する。一方、同軸プラグが装着されているときには、同軸プラグの中心コンタクト(中心端子)により、可動端子が下方へ押し下げられて、可動端子と固定端子との電気的接続が断たれ、可動端子が同軸プラグの中心端子と電気的に接続するように構成されている。
【0004】
このように構成された同軸コネクタに、高周波特性の測定用の同軸プラグを差し込むことで、可動端子から入力されて固定端子に出力される電気信号の出力先を、同軸プラグの中心端子に出力されるように切換えることができ、同軸プラグに接続された計測機器によって電子機器における高周波回路の高周波特性等を測定することができる。
【0005】
また、電子機器の小型化、薄型化に伴って、その電子機器に使用される同軸コネクタも、当該電子機器の内部基板において実装スペースを確保するために小型化すること、及び、小型化した同軸コネクタ内において端子間の電気的絶縁(アイソレーション)を確保することが、従来からの課題の1つとされている。この課題に対して、特許文献1に開示された同軸コネクタでは、同軸プラグの中心端子で、同軸コネクタの可動端子を同軸プラグの挿入方向(以下、「上下方向」又は「縦方向」ともいう。)に沿って押し下げて、固定端子から離す構成を採用したことにより、同軸コネクタの横方向の寸法を縮小しつつ、同軸プラグ装着時に可動端子を固定端子から十分に離して電気的絶縁を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−245907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
同軸プラグの中心端子によって可動端子を押し下げて、電気的接続の切換を行う従来の同軸コネクタでは、中心端子を必要以上に強く、或いは深く差し込んだ場合、可動端子に上下方向の過負荷が加わることによって生じた、可動端子の変形や破損が原因で、接続不良を引き起こしてしまう。例えば、特許文献1に開示された同軸コネクタのように、絶縁体(絶縁ケース)の内側の底面を水平に形成すると、同軸プラグの中心端子により強く押し下げられた可動端子の下面全体を水平の底面で受けることができず、可動端子の先端部分だけが当該底面に当接し、さらに、可動端子を押し下げようとする力が加わると、可動端子が、中心端子との接触点を支点に折れ曲がってしまい、接続不良を引き起こす原因となる。
【0008】
さらに、電子機器の製造時や高周波特性の測定時等に、同軸コネクタの嵌合部(挿入口)から内部に混入した粉じん、ほこり等の異物が原因で、接続不良を引き起こすこともある。例えば、同軸コネクタ内に混入した異物が、同軸プラグの着脱等によって可動端子の上面を移動して、可動端子と固定端子との接触点で挟み込まれてしまい、両端子の十分な電気的接続を確保することができない場合がある。
【0009】
これらの課題を解決するために、可動部を有する可動端子と、接続板と、可動端子及び接続板を支持する絶縁座を含む同軸コネクタにおいて、同軸プラグの差込時に、押し下げられた可動端子の可動部の傾きに沿うように、可動部の下面を全体的に支持する傾斜受け部を絶縁座に形成した同軸コネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る同軸コネクタの1つの実施形態として、同軸コネクタは、
弾性により同軸プラグの挿入方向に沿って動く可動部を有する可動端子と、
前記可動端子の弾性により前記可動部と弾性接触するための接続板と、
前記可動端子及び前記接続板を内部に保持し、同軸プラグの少なくとも中心端子を受け入れるための挿入口を有する絶縁座と、
前記絶縁座を内側に保持し、前記挿入口を露出した嵌合部を有するシェルと
を含み、
前記可動端子の前記可動部は、前記同軸プラグの差込時に前記挿入口から差し込まれた前記中心端子により押し下げられることで、前記接続板との接触を解消するように構成され、
前記絶縁座は、前記同軸プラグの差込時に押し下げられた前記可動部の傾斜面に沿って、該可動部の下面を支持するように構成された傾斜受け部を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る同軸コネクタの好ましい実施形態として、前記可動部は、前記接続板との接触部分に突起状の接点を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る同軸コネクタの好ましい実施形態として、前記可動部は、前記接続板との接触部分が複数の接触片に分かれ、前記突起状の接点は、前記接触片のそれぞれに備えられていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る同軸コネクタの好ましい実施形態として、前記接続板は、前記可動部と接触する部分に突起状の接点を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る同軸コネクタの好ましい実施形態として、前記接続板は、前記可動部との接触部分が複数の接触片に分かれ、前記突起状の接点は、前記接触片のそれぞれに備えられていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る同軸コネクタの好ましい実施形態として、前記傾斜受け部は、前記可動部の下面を支持するための傾斜面を有し、該傾斜面の傾きは、前記同軸プラグの差込時に押し下げられた前記可動部の傾きと一致することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る同軸コネクタの好ましい実施形態として、前記傾斜受け部は、前記中心端子が前記可動部に接触する部分を反対側から少なくとも支持するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る同軸コネクタの好ましい実施形態として、前記傾斜受け部は、複数に分かれて設けられ、それぞれ前記可動部の底面を支持するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る同軸コネクタの好ましい実施形態として、前記絶縁座は、前記接続板と接触した状態の前記可動部の上面に近接する位置まで、前記挿入口の内壁を延出させて形成した防護壁を有し、前記防護壁の下面の傾きの大小は、前記接続板と接触した状態の前記可動部の傾きの大小に一致することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る同軸コネクタは、同軸プラグの中心端子を同軸コネクタに必要以上に強く差し込んだ場合でも、絶縁座内に備えられた傾斜受け部によって、可動端子の可動部が支持されるので、該可動部に接触する中心端子から加わる力に対して耐久性が向上することができる。また、同軸プラグの差込時に押し下げられた可動部の傾斜面に沿って、該可動部の下面を支持するように構成された傾斜受け部を絶縁座内に備えることによって、可動部の可動域が制限されるので、該可動部を有する可動端子の弾性力の弱まりが原因で生じるばねのへたりを抑制することができる。その結果として、同軸コネクタ内の接続板と可動部を有する可動端子との接触不良を防止することができる。
【0020】
さらに、本発明に係る同軸コネクタは、可動部が接続板と接触する部分又は接続板が可動部と接触する部分に、突起状の接点を設けたことによって、接触を面ではなくて点で行うことできるので、同軸コネクタの嵌合部から混入した粉じん、ほこり等の異物を、接触点において挟み込む可能性を低減することができる。また、挿入口の内壁を延出させて形成した防護壁を絶縁座内に備えることによって、同軸コネクタの嵌合部から粉じん、ほこり等の異物が内部に混入した場合でも、防護壁が異物を可動部と接続板との接触点に移動させないようにブロックし、接触点における異物の挟み込みを防止することができる。その結果として、上記と同様に、同軸コネクタ内の接続板と可動部を有する可動端子との接触不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】同軸コネクタの上側(嵌合部側)の部品構成を示す図である。
【
図2】同軸コネクタの下側(実装面側)の部品構成を示す図である。
【
図3】上下の部品を組み合わせて構成される同軸コネクタの外観を示す図である。
【
図4】
図3中のA−Aの線に沿って垂直方向に同軸コネクタを切断した断面図である。
【
図5】同軸コネクタの別の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る同軸コネクタ(レセプタクル)の上側、すなわち、同軸プラグと嵌合或いは当接する側(以下、単に「嵌合部側」という。)の部品構成を示す。同軸コネクタ内に固定端子として備えられる接続板10が
図1(a)に示される。接続板10は同軸コネクタの側面から露出する接続部12を有する。同軸コネクタのシェル20は
図1(b)に示される。シェル20は、同軸プラグの外部導体と嵌合或いは当接する筒状の嵌合部22と、同軸コネクタの嵌合部側の部品と実装面側の部品を組み合わせた際に固着保持させるためのカシメ部24を有する。
【0024】
接続板10及びシェル20は、絶縁座30aと共に一体成型されて、
図1(c)及び(d)に示すように、同軸コネクタの嵌合部側の部品が形成される。絶縁材料からなる絶縁座30aは、シェル20の内側の形状に合わせて嵌合部22の内縁の小径部分を上下で覆い一体化するように成型され、挿入口32を嵌合部22から露出した部分に備える。接続板10の接続部12は、絶縁座30aの実装面側に延びる側壁から側面に露出して実装面側に伸び、絶縁座30aの裏面から接続板10が露出する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係る同軸コネクタの下側、すなわち、基板に実装する側(実装面側)の部品構成を示す。
図2(a)には、同軸コネクタ内に備えられる可動端子40が示される。可動端子40は、弾性変位する可動部42と、接続部44とを含む。可動端子40の可動部42は、接続板10との接触部分に突起状の接点46を備える。
【0026】
図2(a)に示す実施形態では、可動部42の先端にスリットを入れて、接続板10との接触部分(すなわち、先端部分)を2つの接触片に分けて、それぞれの接触片の先端を突起状にするために斜めに切断し、該先端を上方に折り曲げて形成することで、可動部42に2つの接点46が設けられている。別の実施形態では、このような接点の構成を、後述する
図5に示すように、可動部ではなく接続板に設けることもできる。また、突状の接点は、2つに限定されることなく、1以上あれば良い。
【0027】
可動端子40は、絶縁座30bと一体成型され、
図2(b)に示すように、同軸コネクタの実装面側の部品が形成される。可動端子40の可動部42が実装面に対して自然状態で実質的に水平になるように、可動部42の根元部分が絶縁座30bから嵌合部側に延びる側壁に固定される。接続部44は、絶縁座30bの側面から露出し、実装面側に伸びる。
【0028】
図3は、
図1及び2に示された、嵌合部側の部品と実装面側の部品を組み合わせて構成される同軸コネクタの外観を示す。嵌合部側の部品の絶縁座30aと実装面側の部品の絶縁座30bとは、その形状において補完関係にあり、絶縁座30aを絶縁座30bに隙間なく組み合わせることができる。絶縁座30aと絶縁座30bを組み合わせた後、シェル20のカシメ部24を、絶縁座30bを抱え込むように折り曲げて加締めることで、嵌合部側の部品と実装面側の部品が固着保持される。
【0029】
図4は、
図3中のA−Aの線に沿って垂直方向に同軸コネクタを切断した断面図を示す。
図4(a)に示すように、絶縁座30aと絶縁座30bを組み合わせて構成された絶縁座30の内部には、同軸プラグ差込時に、可動端子40の可動部42の可動域を確保するための空間が可動部42の実装面側に存在する。絶縁座30bにおいて実質的に水平に(同軸プラグの挿入方向に対して垂直に)固定された可動端子40の可動部42は、上方から絶縁座30aを組み合わせたことで、絶縁座30aの裏面に固定された接続板10に可動部42の突状の接点46が接触して、ばね性(弾性)を有する可動部42が押し下げられた傾斜状態となる。この傾斜状態において、可動部42は、自らのばね性によって、可動部42の接点46は一定の弾性力が加わり、接続板10との電気的接続を常に保つことができる。
【0030】
可動部42の下方には、同軸プラグ差込時に、前記傾斜状態から更に押し下げられた可動部42を支持するための傾斜受け部34が可動部42の裏面と対向するように絶縁座30内に設けられている。
図4(b)には、挿入口32から差込まれた同軸プラグの中心端子50によって、押し下げられた可動部42の状態を示す。可動部42は押し下げられたことによって接点46が接続板10から離れ、電気的接続を接続板10から中心端子50に切換えることができ、可動部42は、その傾きに沿って、少なくとも中心端子50との接触領域を含む全体を傾斜受け部34によって支持される。
【0031】
図4(a)及び(b)に示される傾斜受け部34は、絶縁座30b内側の底面を可動部42が
図4(b)に示される適切な傾きと等しくなるように、
図4(a)に示される可動部42の傾斜状態よりも僅かに傾斜角度を大きく形成することで、可動部42を全体的に支持することができる。可動端子40は、接続板10が設けられた側壁と対向する絶縁座30bの側壁の上部に固定される。当該側壁において、可動端子40が埋め込まれている部分から下方に間隔を空けた位置から、絶縁座30bの水平の底部(以下、単に「水平部」という)は、挿入口32の内壁を越えた位置まで延出し、更にその位置から傾斜受け部34を構成する傾斜面が可動部42の先端にある突起状の接点46の下方まで延出している。なお、絶縁座30bの水平部の範囲は、同軸プラグ差込時に押し下げられた可動部42を支持する傾斜受け部34の傾きに応じて定めることができる。別の実施形態では、絶縁座30b内側の底面を水平に形成し、中心端子50が可動部42に接触する部分(接触領域の上面)を反対側(接触領域の裏面)から支持できる位置に、突起状の傾斜受け部を備えるように底面を構成することができる。当該実施形態に基づく傾斜受け部は、中心端子50との接点で可動部42を、可動部42の傾きに沿って部分的に支持することができる。さらに、別の実施形態では、中心端子50が可動部42に接触する部分(上面)を反対側(裏面)から支持できる位置に備えられた上記突起状の傾斜受け部の他にも、可動部42の傾きに沿って、可動部42を部分的に支持する突起状の傾斜受け部を、絶縁座30b内側の底面に、1以上設けることができる。
【0032】
絶縁座30内に傾斜受け部を備えることによって、可動部42の可動域が制限されるので、可動部42を有する可動端子40の弾性力の弱まりが原因で生じるばねのへたりを抑止することができる。また、同軸プラグの中心端子50を同軸コネクタに必要以上に差し込んだ場合でも、絶縁座30内に備えられた傾斜受け部34によって、可動端子40の可動部42が支持されるので、可動部42に接触する中心端子50から加わる力に対して耐久性が向上することができる。その結果として、同軸コネクタ内の接続板10と可動部42を有する可動端子40との接触不良を防止することができる。
【0033】
また、
図4(a)に示すように、絶縁座30内には、挿入口32の内壁を可動部42に近接する位置まで延出させて形成した防護壁36が設けられている。防護壁36の下面は、可動部42の傾斜面に沿って形成され、防護壁36の下面の傾きの大小は、接続板10と接触した状態の可動部42の傾きの大小に一致する。好ましくは、防護壁36の下面の傾きは、接続板10と接触した状態の可動部42の傾きに一致する。
【0034】
このような防護壁36によって、同軸コネクタの嵌合部22(挿入口32)から粉じん、ほこり等の異物が内部に混入した場合でも、防護壁36が異物を可動部42と接続板10との接触点に移動させないようにブロックし、接触点における異物の挟み込みを防止することができる。
【0035】
図5は、本発明に係る同軸コネクタの別の実施形態を示す断面図である。当該実施形態では、可動部42の先端を上方に折り曲げずに平面のままとし、接続板10の先端部分(可動部42との接触部分)にスリットを入れて下方に折り曲げて、突起状の接点48を形成している。
【0036】
図2,4及び
図5に示される突状の接点46又は48を設けたことによって、端子の接触を面ではなくて点で行うことできるので、同軸コネクタの嵌合部22から混入した粉じん、ほこり等の異物を、接触点において挟み込む可能性を低減することができる。また、
図2(a)に示されるように、可動部42の先端にスリットを入れて、それぞれ独立した接触片に接点46を形成した場合には、仮に、一方の接点46で異物を挟み込んだとしても、もう一方の接点46で接触して電気的接続を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る同軸コネクタは、携帯電話、スマートフォンのような携帯通信機器等の電子機器のアンテナ特性や高周波特性等を測定・検査する分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 接続板
12 接続部
20 シェル
22 嵌合部
24 カシメ部
30、30a、30b 絶縁座
32 挿入口
34 傾斜受け部
36 防護壁
40 可動端子
42 可動部
44 接続部
46、48 接点
50 中心端子