(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平坦な端面を有する金属端子を保持する第1の金型と、前記金属端子の前記端面の外縁を除く内側部分と当接する当接部が設けられるとともに、前記外縁から離間した非当接部が前記当接部の周囲に設けられた第2の金型とにより形成される成形空間に溶融樹脂を射出してケースを成形するとともに、前記金属端子の前記端面の外縁がケースを構成する樹脂の一部で覆われた状態とする第1のステップと、
前記金属端子の前記端面にそれぞれ固定される導電性を有する接点板によって前記金属端子の前記端面の外縁を覆っていた樹脂の一部を押し潰し、前記接点板が前記金属端子の前記端面、および、前記端面と隣接する前記樹脂の一部の双方を覆った状態で、前記端面および前記樹脂の一部の双方と前記接点板とを密着固定する第2のステップと、
前記ケースの内部空間に前記接点板、前記接点板と接続可能に設けられた導電性を有するスイッチ素子、および、前記接点板と前記スイッチ素子との接続または切断を切り換える切換機構を収納した状態で当該ケースの開口をカバーにより閉塞する第3のステップと
を有することを特徴とするスイッチ装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図15は、マイクロスイッチの内部構造の一部を示す。マイクロスイッチのケース110には金属端子100が一体成形され、その金属端子100と導電性の接点板120とが機械的および電気的に接続されている。
【0006】
金属端子100の上端部の平坦な端面100aは、ケース110から露出しており、その端面100aに円柱形状の突起部101が形成されている。この金属端子100の端面100aは、接点板120の下面120uと密着した状態で、金属端子100と接点板120とが機械的および電気的に接続されている。この場合、金属端子100の突起部101が潰されて接点板120にかしめられるが、
図15においては、金属端子100の突起部101がかしめられる前の状態が示されている。
【0007】
ここで、一般的に射出成形時の樹脂の熱収縮によりケース110の樹脂部分110aにはヒケ(射出成形時の樹脂の熱収縮により生じる凹みや窪み)が生じる。このため、金属端子100の端面100aよりも樹脂部分110aの表面が凹んで、金属端子100の外周面とケース110の樹脂部分110aとの間の境界112の近傍に凹部111が形成されてしまう場合がある。
【0008】
このような凹部111が形成されたケース110の内部で爆発が生じた場合、この凹部111が流路となり、金属端子100の外周面と樹脂部分110aとの間の境界112から、その爆発による火炎が矢印に沿ってケース110の外部へ漏洩するおそれがあるという問題があった。
【0009】
本発明はこのような問題を解決するためのものであり、スイッチの密封性および耐圧性能を向上させることのできるスイッチ装置およびスイッチ装置製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明にかかるスイッチ装置は、平坦な端面(30d)を有する金属端子(30)が一体成形され、内部空間(10a)の底面に前記金属端子(30)の前記端面(30d)が露出した樹脂製のケース(10)と、
前記金属端子(30)の前記端面(30d)、および、前記端面(30d)と隣接する前記ケース(10)を構成する樹脂の一部の双方を覆う大きさを有し、前記金属端子(30)の前記端面(30d)に固定される導電性を有する接点板(40)と、前記接点板(40)と接続可能に設けられた導電性を有するスイッチ素子(20)と、前記接点板(40)と前記スイッチ素子(20)との接続または切断を切り換える切換機構(12、23、24、25)とを備え
たスイッチ装置の製造方法であって、前記金属端子(30)
の前記端面(30d)の外縁(30de)が前記ケース(10)を構成する樹脂の一部で覆われた状態とする
工程と、
前記接点板(40)によって前記金属端子(30)の前記端面(30d)の外縁(30de)を覆っていた樹脂の一部を押し潰し、前記接点板(40)
を、前記端面(30d)および前記樹脂の一部の双方と密着した状態で固定
する工程とを有する。
【0011】
本発明において、前記金属端子(30)は、前記ケース(10)と一体成形されて露出することのない前記金属端子(30)の外面に複数のフランジ部(30c)が形成されているようにする。
【0012】
本発明において、平坦な端面(30d)を有する金属端子(30)を保持する第1の金型(60)と、前記金属端子(30)の前記端面(30d)の外縁(30de)を除く内側部分と当接する当接部(75)が設けられるとともに、前記外縁(30de)から離間した非当接部(76)が前記当接部(75)の周囲に設けられた第2の金型(70)とにより形成される成形空間(61)に溶融樹脂を射出してケース(10)を成形する
とともに、前記金属端子(30)の前記端面(30d)の外縁(30de)がケース(10)を構成する樹脂の一部で覆われた状態とする第1のステップと、前記金属端子(30)の前記端面(30d)にそれぞれ固定される導電性を有する接点板(40)
によって前記金属端子の前記端面の外縁を覆っていた樹脂の一部を押し潰し、前記接点板(40)が前記金属端子(30)の前記端面(30d)、および、前記端面(30d)と隣接する前記樹脂の一部の双方を覆った状態で、前記端面(30d)および前記樹脂の一部の双方と前記
接点板(40)とを密着固定する第2のステップと、前記ケース(10)の内部空間(10a)に前記接点板(40)、前記接点板(40)と接続可能に設けられた導電性を有するスイッチ素子(20)、および、前記接点板(40)と前記スイッチ素子(20)との接続または切断を切り換える切換機構(12、23、24、25)を収納した状態で当該ケース(10)の開口をカバーにより閉塞する第3のステップとを有するようにする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属端子が一体成形されたケースにおいて、金属端子の端面の外縁がケースを構成する樹脂の一部で覆われ
た状態で、金属端子の端面、および、当該端面と隣接する樹脂の一部の双方を覆う大きさを有する接点板
によって金属端子の端面の外縁を覆っていた樹脂の一部を押し潰し、接点板を金属端子の端面に密着固定
すると、金属端子とケースとの境界が樹脂の一部および接点板の双方によって閉塞されるので、当該ケースの密封性および耐圧性能を向上させることができる。
【0014】
また、本発明によれば、第1のステップにより金属端子の端面の外縁を、ケースを構成する樹脂の一部で覆うように一体成形し、第2のステップにより金属端子の端面および樹脂の一部の双方に接点板を密着固定した後、第3のステップによりケースの内部空間に接点板、スイッチ素子、および、切換機構を収納した状態で当該ケースの開口をカバーで閉塞することにより、金属端子とケースとの境界が樹脂の一部および接点板の双方によって閉塞された密封性および耐圧性能の高いケースを有するスイッチ装置を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施の形態>
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
<リミットスイッチの構成>
本発明の実施の形態にかかるスイッチ装置は、リミットスイッチの内部に格納されたマイクロスイッチからなる内蔵スイッチである。
【0018】
図1は、耐圧防爆型のリミットスイッチ1の外観構成を示し、
図2は、リミットスイッチ1のカバー2bが取り外された状態で内部の内蔵スイッチ3が目視可能な外観構成を示す。
【0019】
この耐圧防爆型のリミットスイッチ1は、アルミダイカスト製のハウジング2を有し、このハウジング2の内側空間(以下、これを「収納室」と呼ぶ。)2aに内蔵スイッチ3が収納されている。
【0020】
ハウジング2には、カバー2bが4つのネジ9により着脱自在に取り付けられている。ハウジング2の上端にはヘッド4が一体に固定され、このヘッド4に対して棒状部材からなる操作レバー5が回動自在に支持されている。
【0021】
ここで、ハウジング2のカバー2bが取り付けられる方向の面を正面側とし、ハウジング2のカバー2bが取り付けられていない反対方向の面を背面側とする。同様に、内蔵スイッチ3においてハウジング2のカバー2bと対向する方向の面を正面側とし、内蔵スイッチ3がハウジング2の収納室2aの底面に固定される方向の面を背面側とする。
【0022】
<内蔵スイッチの構成>
図3(A)は、内蔵スイッチ3の背面側においてケース10の本体部14にカバー15が取り付けられていない状態を示し、
図3(B)は、内蔵スイッチ3の背面側においてケース10の本体部14にカバー15が取り付けられている状態を示す。
【0023】
この内蔵スイッチ3は、樹脂を射出成形することにより形成した略立方体形状のケース10を備え、そのケース10の正面側(
図2参照。)において、外部との間で電気信号をやりとりする4個の端子17が取り付けられている。
【0024】
ケース10は、略有底円筒形状の本体部14と、本体部14の開口を閉塞する平面視円形状のカバー15と、本体部14の開口外縁に一体形成された平面視矩形状のフランジ16とを備えている。フランジ16の四隅には、ネジ止め用の貫通孔16a〜16dが形成されている。
【0025】
ケース10は、内蔵スイッチ3の正面側からハウジング16の貫通孔16a〜16dに挿通されたネジ(図示せず)によりハウジング2の収納室2aの底面に固定されている。
【0026】
図4に示すように、本体部14は内部空間14aを有し、その内部空間14aの底面には、内蔵スイッチ3のオンオフを切り換えるスイッチング部11を収納するための平面視略十字状のスイッチング部収納空間21が凹設されている。
【0027】
スイッチング部11は、上述した操作突起12、スイッチ素子としての可動片20、操作突起保持部23、アンカー24、および、圧縮コイルバネ25により構成されている。
【0028】
可動片20は、平面視W字状の可動バネと一体化された板状部材であり(
図3参照。)、この可動片20がスイッチング部収納空間21を矢印CD方向に沿って収納されている。可動片20は、板状部材の両側端部にそれぞれ接点20a、20bを有している。この可動片20の中央部は、金属製の略直方体形状でなるアンカー24(
図3参照。)の中央部と一体に固定されている。
【0029】
アンカー24は、スイッチング部収納空間21のほぼ中心に矢印AB方向に沿って収納されている。アンカー24の上端部は、操作突起保持部23(
図3参照。)の下端部と一体に固定されている。
【0030】
操作突起保持部23は、操作突起12を保持するものであり、アンカー24よりも大きい略直方体形状を有する絶縁材である。操作突起保持部23は、スイッチング部収納空間21の矢印A方向の上方空間に配置されている。
【0031】
操作突起保持部23の上端部には、導電性を有する金属製の棒状の操作突起12の下端部が一体に固定されている。操作突起12の上端部は、本体部14の外周側面から矢印A方向に突出した状態で、本体部14の軸受(図示せず)を介して矢印AB方向に沿って進退自在に支持されている。すなわち、操作突起12、操作突起保持部23、アンカー24および可動片20は一体化されている。なお、操作突起12において、その上端部が本体部14の外周側面から突出した位置を操作レバー5が回動操作されていない場合の初期位置とする。
【0032】
この操作突起12は、リミットスイッチ5の操作レバー5の回動操作と連動し、操作レバー5が回動操作されていないときには本体部14の外周側面から矢印A方向に突出し、操作レバー5が回動操作されたときには、矢印B方向に押し下げられる。
【0033】
さらに、スイッチング部収納空間21において、アンカー24の下端には圧縮コイルバネ25(
図3参照。)が配置されている。この圧縮コイルバネ25は、操作突起12の自己復帰バネであり、操作突起12が操作レバー5の回動操作に応じて矢印B方向へ押し下げられた後に、アンカー24を押し上げて操作突起12を矢印A方向の初期位置に自己復帰させる機能を有している。
【0034】
ケース10の本体部14には、4つの金属端子30−1〜30−4(
図4参照。)が当該本体部14の樹脂部分14bと一体成形されている。この4つの金属端子30−1〜30−4では、その突起部30aが本体部14の底面から内部空間14aに向かって突出した状態で本体部14と一体成形されている。これら4つの金属端子30−1〜30−4は、本体部14の内部空間14aにおいて、スイッチング部収納空間21の周囲に配置されている。
【0035】
ただし、金属端子30dが配置された本体部14の内部空間14aの底面は、スイッチング部収納空間21が凹設された本体部14の内部空間14aの底面と同一面ではなく、金属端子30が配置された本体部14の底面の方が、スイッチング部収納空間21が凹設された本体部14の底面よりも低くなっている。
【0036】
ここで、金属端子30−1、30−2は常開端子として機能し、金属端子30−3、30−4は常閉端子として機能し、可動片20の接点20a、20bは共通端子として機能する。なお、これら金属端子30−1〜30−4は全て同一の構成を有しており、特に区別しない場合には金属端子30と呼ぶ。
【0037】
金属端子30は、
図5に示すように、円柱形状に形成されており、その一端には円柱形状の突起部30aが設けられている。また、金属端子30の他端30uには、その他端30uから軸方向に沿って所定の深さの凹部30bが設けられている。この凹部30bには、雌ネジが形成されている。
【0038】
この凹部30bは、金属端子30の外径Rよりも小さな直径rの非貫通孔であり、金属端子30を本体部14と一体成形する際の固定側金型60(
図10参照。)に固定するために用いられる。なお、金属端子30の下端面30uは、本体部14と一体成形された状態で当該本体部14の正面側に僅かに突出され、その下端面30uが正面側の端子17と機械的および電気的に接続されている。
【0039】
金属端子30は、その外周面30mに対して複数のフランジ部30cが一定間隔ごとに形成されている。複数のフランジ部30cは、金属端子30の外周面30mからそれぞれ同じ高さに形成されており、それぞれの外径Rは同じである。ただし、複数のフランジ部30cのうち突起部30aに最も近いフランジ部30csについては、外周面30mよりも低く形成されている。
【0040】
図6に示すように、金属端子30のフランジ部30csの端面30dは、平坦に形成されている。この金属端子30が一体成形された本体部14の内部空間14aにおいては、そのフランジ部30csの平坦な端面30dおよび突起部30aがスイッチング部収納空間21の周囲の底面に露出している。
【0041】
ここで、金属端子30のフランジ部30csの端面30dの外縁30deは、ケース10の本体部14zを構成している樹脂の一部14bで覆われている。
【0042】
金属端子30のフランジ部30csの端面30dには、
図7に示すような接点板40がそれぞれ密着固定されている。接点板40は、ほぼ中央で略L字状に折り曲げられた構成を有し、一端側の平面視略円形状の第1接点部40a、他端側の平面視矩形状の第2接点部40b、第1接点部40aおよび第2接点部40b間の湾曲部40cが一体化されている。
【0043】
第1接点部40aは、金属端子30のフランジ部30csの端面30dを上から全て覆うことが可能な大きさに形成されている。すなわち、第1接点部40aの外径D(
図7参照。)は、金属端子30のフランジ部30csの端面30dの外径d(
図8参照。)よりも大きく形成されている。また、第1接点部40aには、金属端子30の突起部30aの外径よりも大きな内径の貫通孔40ahが形成されている。突起部30aの高さは、第1接点部30aの厚さよりも大きく形成されている。
【0044】
第2接点部40bには、可動片20の可動接点20a、20bと機械的および電気的に接続される凸状の接点40btが形成されている。この第2接点部40bの接点40btは、接点板40の第2接点部40bがスイッチング部収納空間21に収納されたとき、可動片20の接点20a、20bと対向配置される。
【0045】
図8に示すように、このような構成の接点板40の第1接点部40aの貫通孔40ahに金属端子30の突起部30aが挿通された状態で突起部30aがかしめられると、第1接点部40aの下端面40auと金属端子30の段部30csの端面30dとが当接された状態で密着固定される。
【0046】
図9に示すように、金属端子30の段部30csの端面30dに接点板40の第1接点部40aが密着固定されると、第2接点部40bがスイッチング部収納空間21に配置される。このとき、第2接点部40bは可動片20の可動接点20a、20b(
図3参照。)と対向配置される。ただし、
図9は、接点板40が金属端子30に固定されただけの状態であり、スイッチング部11を構成するその他の操作突起12、操作突起保持部23、可動片20、アンカー24、および、圧縮コイルバネ25についてはスイッチング部収納空間21に収納されていない状態である。
【0047】
以上の構成において、金属端子30の端面30dの外縁30deがケース10の本体部14を構成する樹脂の一部14bで覆われているため、複数の金属端子30と本体部14との境界45が樹脂の一部14bで塞がれたまま(
図6参照。)、接点板40の第1接点部40aの下端面40auと金属端子30の段部30csの端面30dとが密着固定される(
図8参照。)。
【0048】
このとき、段部30csの端面30dの外縁30deに覆われた樹脂の一部14bと、接点板40の第1接点部40aとの双方によって、金属端子30と本体部14との境界45が塞がれることになる。
【0049】
これにより、内蔵スイッチ3は、ケース10の本体部14の密封性が一段と高められ、かつ、耐圧性能が向上されるので、当該ケース10の内部におけるスイッチング部11の爆発の火炎が金属端子30と本体部14との境界45からケース10の外部へ漏洩することを未然に防止することができる。
【0050】
<水圧試験>
このような構成の内蔵スイッチ3について、ケース10の密封性および耐圧性能を測るための水圧試験を行った。
【0051】
実際には、リミットスイッチ1の使用環境に即した所定温度および所定湿度の高温多湿環境下に内蔵スイッチ3を一定時間晒した状態で、当該内蔵スイッチ3の劣化等を確認する熱安定試験を行い、その後、当該内蔵スイッチ3のケース10に対してJIS(Japanese Industrial Standards)やIEC(International Electrotechnical Commission)等の所定の規格に基づいて1[MPa]の水圧試験を行った。なお、IECとJISの規格番号は、IEC60079-0=JISC60079-0(爆発性雰囲気-第0部:電気機器-一般要件)、および、IEC60079-1=JISC60079-1(爆発性雰囲気で使用する電気機械器具-第1部:耐圧防爆構造”d”)である。
【0052】
その結果、内蔵スイッチ3のケース10は、本体部14の内部空間14aに生じさせた2.5[MPa]の水圧に対しても、金属端子30と本体部14との境界45から外部へ水が漏れないという高い密封性および耐圧性能を有していることが判明した。
【0053】
<スイッチの製造方法>
次に、このような構成の内蔵スイッチ3の製造方法について説明する。この製造方法においては、以下のような構成の金型を使用する。
【0054】
図10乃至
図14に示すように、金属端子30と一体成形したケース10の本体部14を生成する金型50は、固定側金型60および可動側金型70によって構成されている。固定側金型60は、図示ない固定盤に取り付けられるとともに、可動側金型70は固定側金型60に対して矢印PQで示す開閉方向に駆動される可動盤に取り付けられている。
【0055】
固定側金型60には、ケース10の本体部14の正面側の形状に対応した全体凹状に形成されるとともに、金属端子30の凹部30bの形状および大きさに対応した4個の凸状保持部62が形成されている。
【0056】
可動側金型70には、ケース10の本体部14の背面側の内部空間14aの形状に対応した全体凸状に形成されるとともに、固定側金型60の凸状保持部62に保持される4個の金属端子30と対向する位置に4個の駒受け部71が形成されている。なお、駒受け部71には、突出しピン用孔72が合計4個形成されている。
【0057】
ここで、
図13および
図14に示すように、可動側金型70の駒受け部71には、固定側金型60の凸状保持部62に保持された金属端子30の段部30csの端面30dの外縁30deを除く内側部分と当接される円形凸状の当接部75が形成されている。すなわち当接部75の直径d2は、段部30csの直径dよりも小さく形成されている。なお、当接部75には、その中央に、突出しピン用孔72の開口72aが形成されている。
【0058】
また、可動側金型70の当接部75の周囲には、固定側金型60と可動側金型70とが当接された場合でも、金属端子30の端面30dの外縁30deと当接することなく、当該外縁30deから対向した状態で離間される凸状の非当接部76が形成されている。
【0059】
この非当接部76と金属端子30の端面30dの外縁30deとの間の矢印PQ方向の間隔h1は、射出成形時の樹脂の熱収縮により本体部14を構成する樹脂にヒケが生じても、
図6に示したように、外縁30deよりも本体部14の内部空間14aの底面の方が高くなるように設定されている。
【0060】
このような構成の固定側金型60と可動側金型70とが互いに当接されたとき、固定側金型60と可動側金型70との間には、本体部14の形状に対応した成形空間61が形成される。
【0061】
したがって、金型50の成形空間61に溶融樹脂を流し込んで射出成形した後に、固定側金型60から可動側金型70を離し、突出しピン用孔72を介して突出ピンを金属端子30の突起部30aに突き当てて押し出す。これにより、成形空間61に成形したケース10の本体部14を可動側金型70から取り出すことができる(第1のステップ)。
【0062】
このとき、可動側金型70の当接部75および非当接部76の存在により、金属端子30の端面30dの外縁30deは当該本体部14を構成する樹脂の一部14bにより覆われる。
【0063】
本体部14の金属端子30の突起部30aが、
図8に示したように、接点板40の第1接点部40aの貫通孔40ahに挿通され、プレスマシン(図示せず)により金属端子30の突起部30aがかしめられる。
【0064】
このとき、金属端子30の端面30dの外縁30deを覆っている本体部14の樹脂の一部14bは、第1接点部40aの下端面40auにより押し潰される。これにより、金属端子30の端面30d、および、樹脂の一部14bの双方が当該第1接点部40aにより上方から覆われた状態で、かつ、当該第1接点部40aと密着した状態で固定される(第2のステップ)。
【0065】
その後、本体部14の凹部空間14aにおけるスイッチング部収納空間21に圧縮コイルバネ25を挿入し、可動片20、操作突起12、操作突起保持部23およびアンカー24をスイッチング部収納空間21に嵌合させることによりスイッチング部11を本体部14に組み込んだ後、カバー15を取り付けることにより本体部14の凹部空間14aを閉塞する(第3のステップ)。これにより、内蔵スイッチ3を製造することができる。なお、この内蔵スイッチ3をリミットスイッチ1のハウジング2に収納して固定することにより当該リミットスイッチ1を完成させることができる。
【0066】
<他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態においては、外周面30mに対して同一の高さのフランジ部30cが軸方向に沿って複数設けられた金属端子30を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、高さの異なる複数のフランジ部が軸方向に沿って交互に設けられた金属端子を用いたり、螺旋状のフランジ部が設けられた金属端子を用いてもよい。または、外周面30mよりも凹んだ溝部が設けられた金属端子を用いてもよい。さらにフランジ部や溝部の形状も任意でよい。要は、金属端子30と本体部14との境界45の距離が従来の金属端子100のようなフランジ部が存在しないときよりも長くなり、内部爆発の火炎が境界45からケース10の外部へ漏れないようにすればよい。
【0067】
また、上述した実施の形態においては、接点板40および金属端子30を平面視円形状にした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、平面視矩形状であってもよい。
【0068】
さらに、上述した実施の形態においては、本発明のスイッチ装置としての内蔵スイッチ3を耐圧防爆型のリミットスイッチ1に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、本発明のスイッチ装置を高い密封性が要求されるその他種々のスイッチに適用するようにしてもよい。