(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2配管部の前記第1配管部側の端部は、前記第2配管部の外縁から前記第2配管部の中心部へ近づくに従って重力方向へ傾斜している、請求項1に記載の成膜装置。
前記第2配管部における前記反応副生成物の移動速度は、前記第1配管部における前記反応副生成物の移動速度よりも速い、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の成膜装置。
前記第2配管部と前記排液部との間に設けられ、前記第2配管部における前記反応副生成物の移動方向に対向する第1面を有する第1部材をさらに備えた、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の成膜装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に従った成膜装置100の構成の一例を示す概略図である。成膜装置100は、成膜チャンバ1と、ステージ2と、ヒータ3と、導入部4と、排出部5とを備えている。
【0010】
成膜装置100は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置、エピタキシャル成膜装置等の半導体製造装置あるいは液晶製造装置でよい。成膜装置100は、成膜チャンバ1内において導入部4から導入された原料ガスを用いてステージ2上に載置された基板W上に材料膜を成膜する。
【0011】
成膜室としての成膜チャンバ1は、ステージ2およびヒータ3を内蔵しており、成膜処理時には、その内部が減圧される。ステージ2は、その上に基板(例えば、半導体ウェハ)Wを載置可能であり、ヒータ3は、ステージ2上に載置された基板Wを加熱可能である。導入部4は、成膜に用いられる原料ガスを成膜チャンバ1へ導入するために成膜チャンバ1に接続された配管である。
【0012】
排出部5は、成膜チャンバ1に接続されており、成膜に用いられずに成膜チャンバ1内に残留する原料ガスおよび成膜処理によって生成された反応副生成物のガス(以下、排出ガスともいう)を成膜チャンバ1から排出する。排出部5は、冷却部(第1配管部)10と、冷却管12と、加速部(第2配管部)20と、捕捉部(第1部材)30と、排液部40と、第3配管部50と、圧力調整バルブ60と、排気ポンプ70と、除害装置80と、クリーニングガス導入配管90とを備えている。
【0013】
第1配管部としての冷却部10は、その一端が成膜チャンバ1に接続され、他端が加速部20に接続されている。成膜チャンバ1内に残留する排出ガスを成膜チャンバ1から加速部20へと通過させる。このとき、冷却部10は、排出ガスを冷却し、排出ガスの少なくとも一部を凝縮して液化する。本実施形態において、冷却部10は、液化した排出ガスが重力方向Dgへ移動するように重力方向(鉛直下方向)Dgに延伸している。
【0014】
冷却管12は、冷却部10の周囲にらせん状に巻き付けられた配管であり、排出ガスを冷却するために冷媒を通過させる。冷媒は、例えば、水などの媒体でよい。本実施形態において冷却部10は、冷却管12を通過する冷媒によって冷却されている。しかし、冷却管12は設けられていなくてもよい。この場合、冷却部10は、内部の排出ガスと外部の大気との熱交換によって排出ガスを冷却(空冷)する。即ち、冷却部10は、単に配管として設けられていてもよい。冷却部10および冷却管12には、例えば、ステンレス等の高い腐食耐性を有する材料を用いればよい。
【0015】
第2配管部としての加速部20は、その一端が冷却部10に接続され、他端が捕捉部30に接続されている。加速部20は、冷却部10に連通しており、重力方向Dgに延伸するように設けられている。加速部20は、冷却部10において液化した排出ガスの液滴を捕捉部30へ向かって加速させるために比較的小さな開口面積を有する。即ち、加速部20は、排出ガスの移動方向に対して垂直方向の断面における開口面積が冷却部10のそれよりも小さい。例えば、冷却部10の開口面積を第1開口面積S10とし、加速部20の開口面積を第2開口面積S20とした場合、第2開口面積S20は、第1開口面積S10よりも小さい。従って、排気ポンプ70が排出ガスを引き抜こう(吸い込もう)とすると、排出ガスが冷却部10から加速部20を通過するときに加速される。換言すると、冷却部10と第3配管部50との間の気圧差によって、冷却部10内に存在する排出ガスは、開口面積の比較的小さな加速部20において加速される。これにより、加速部20における排出ガスの移動速度(流速)は、冷却部10における排出ガスの移動速度(流速)よりも速くなる。従って、液化した排出ガスの液滴も、気体の排出ガスとともに、加速部20で加速され、捕捉部30へ向かって移動する。また、加速部20は冷却部10ととともに重力方向Dgへ向かって延伸しており開口しているので、排出ガスの液滴は、加速部20による加速だけでなく、重力によっても加速される。但し、加速部20の延伸方向は、重力方向Dgに対して傾斜方向、あるいは、水平方向であってもよい。この場合、排出ガスの液滴は、重力による加速効果が小さくなり、あるいは、得られないが、加速部20における加速効果については依然として得ることができる。
【0016】
さらに、加速部20は、冷却部10側の端部において傾斜面F20を有する。傾斜面F20は、加速部20の外縁から加速部20の中心部へ近づくに従って重力方向Dgへ傾斜するように設けられている。これにより、液化した排出ガスが冷却部10の内壁に付着しても、排出ガスの液体は、加速部20の冷却部10側の端部に滞留することなく、傾斜面F20上を伝って(流れて)加速部20の下方にある捕捉部30へ流れ落ちることができる。
【0017】
第1部材としての捕捉部30は、加速部20と排液部40との間に設けられ、加速部20における排出ガスの移動方向に対向する第1面F30を有する。これにより、加速部20によって加速された排出ガスの液滴は、捕捉部30の第1面F30に衝突し、付着する。さらに、第1面F30は、排液部40に近づくに従って重力方向Dgへ傾斜している。即ち、第1面F30は、液体が排液部40へ向かって流れるように傾斜している。これにより、第1面F30に付着した排出ガスの液滴は、排液部40へ流れていき、排液部40へ収容される。
【0018】
排液部40は、捕捉部30と第3配管部50との間に設けられた排液タンクであり、液化した排出ガスの液体を滞留させる。排液部40は、排出ガスの液体を集めるために、冷却部10、加速部20および捕捉部30よりも下流側に設けられており、冷却部10、加速部20、捕捉部30、第3配管部50よりも重力方向Dgにおいて低い位置に配置されている。これにより、排出ガスの液滴が排液部40から冷却部10、加速部20および捕捉部30へ逆流することを抑制することができる。また、排出ガスの液滴が排液部40から第3配管部50へ流れ出ることを抑制することができる。
【0019】
尚、排液部40は、排液タンクに代えて、排液管(排液ドレイン)であってもよい。この場合、排液タンクは、成膜装置100の外部に配置し、排液管としての排液部40が排出ガスの液体を排液タンクまで搬送すればよい。さらに、排液部40は、排液タンクおよび排液管の両方であってもよい。この場合、排液部40は、排出ガスの液体を排液タンクに一旦滞留させ、その排出ガスの液体を、排液管を介して成膜装置100の外部へ搬送すればよい。
【0020】
第3配管部50は、排液部40の上方に位置し、且つ捕捉部30を介して加速部20に連通している。これにより、液化されていない気体の排出ガスは、加速部20を通過した後、排液部40の上方を通って、第3配管部50へ流れる。第3配管部50は、排気ポンプ70に接続されており、第3配管部50を通過した気体の排出ガスは、排気ポンプ70によって除害装置80へ流れる。
【0021】
圧力調整バルブ60は、第3配管部50内に設けられており、第3配管部50の開口度を調節することによって反応チャンバ10内の気圧を調整する。尚、加速部20、捕捉部30、排液部40、第3配管部50および圧力調整バルブ60には、例えば、ステンレス等の排出ガスに対する耐性を有する材料を用いればよい。
【0022】
排気ポンプ70は、第3配管部50と除害装置80との間に設けられており、排出ガスを排気するとともに、成膜チャンバ1の内部を真空引きして減圧するために用いられる。排気ポンプ70が成膜チャンバ1から排出ガスを引き抜くことによって、気体の排出ガスおよび排出ガスの液滴は、冷却部10を通過して、加速部20で加速され得る。
【0023】
除害装置80は、排気ポンプ70の下流側に接続されており、排出ガスを無害化する。除害装置80は、無害化された排出ガスを成膜装置100の外部へ排出する。
【0024】
洗浄配管90は、成膜チャンバ1と冷却部10との間に接続されており、洗浄用のガス(例えば、ClF
3ガス)を冷却部10、加速部20および捕捉部30へ流すことができる。
【0025】
次に、成膜装置100の動作を説明する。ここでは、基板W上にシリコンエピタキシャル層を成長させる工程について説明する。
【0026】
まず、基板Wをステージ2上にロードする。排気ポンプ70を用いて成膜チャンバ1を真空引きし、成膜チャンバ1内を減圧状態にする。成膜チャンバ1へ水素ガスを供給しながら、圧力調整バルブ60を用いて成膜チャンバ1内の圧力を制御する。また、ヒータ3を用いて基板Wの温度を、例えば、約1000℃まで加熱する。
【0027】
次に、導入部4が原料ガスとしてジクロロシラン(SiH
2Cl
2)ガス、水素(H
2)ガス、塩化水素(HCl)ガスを流し、基板W上にシリコンエピタキシャル膜を成長させる。このとき、反応副生成物として、トリクロロシラン(SiHCl
3)、テトラクロロシラン(SiCl
4)等のクロロシランモノマ類のガス、テトラクロロジシラン(Si
2H
2Cl
4)、ヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6)、オクタクロロトリシラン(Si
3Cl
8)などのクロロシランポリマ類(SixHyClz:xは2以上)のガス等が生成される。また、成膜に用いられなかった原料ガスも成膜チャンバ1内に残存する。従って、ジクロロシランのモノマ類およびポリマ類も排出ガスに含まれている。
【0028】
これらの反応副生成物のガスおよび原料ガスは、成膜チャンバ1から排出される必要がある。なお、反応副生成物および原料ガスの分子量が大きいほど、沸点が高くなる。例えば、原料ガスのジクロロシランの沸点は、約8℃であるのに対し、トリクロロシランの沸点は、約31℃、テトラクロロシランの沸点は、約57℃である。従って、トリクロロシランやテトラクロロシランは凝縮しやすい。また、例えば、クロロシランポリマ類の沸点は、クロロシランモノマ類(分子量の小さいクロロシランポリマ類を含み得る)よりも高く凝縮しやすい。従って、排出ガスが冷却部10へ移動して冷却されると、クロロシランポリマ類のガスは、凝縮して液体となり、粒子径の大きな液滴として冷却部10内を浮遊し、あるいは、冷却部10の内壁に付着する。また、比較的沸点の低いクロロシランモノマ類も冷却部10で冷却されると凝縮して液滴となり得る。冷却管12は、例えば、約10℃の水を冷媒として流している。尚、原料ガスのジクロロシランは、比較的沸点が低いので、その一部が体のまま冷却部10を通過し得るが、気体は、ポンプ70および除害装置80を介して排出される。
【0029】
冷却部10において冷却された排出ガスは、加速部10において排気方向(ここでは重力方向Dgと同方向)に加速される。このとき、クロロシランモノマ類の液滴およびクロロシランポリマ類の液滴は、気体の排出ガスとともに加速されて、捕捉部30の第1面F30へ向かって移動する。また、冷却部10の内壁に付着した排出ガスの液体は、重力方向Dgに流れ落ちていく。加速部20は傾斜面F20を有するので、排出ガスの液体は、加速部20の端部で滞留することなく、傾斜面F20を伝って捕捉部30へ向かって流れ落ちることができる。
【0030】
また、高分子のクロロシランポリマ類の液体は、粘性が比較的強く、壁面に付着した場合に流れ難い。しかし、低分子のクロロシランポリマ類の液体やクロロシランモノマの液体は、粘性が比較的弱く、同時に壁面に付着した場合に流れ易い。本実施形態では、冷却部10において、排出ガスを冷却することによって、クロロシランポリマ類のガスだけでなく、クロロシランモノマ類のガスも液化している。従って、粘性の高いクロロシランポリマ類の液体だけでなく、粘性の低いクロロシランポリマ類やモノマ類の液体も冷却部10の内壁に付着するため、排出ガスの液体は、冷却部10の内壁や加速部20の傾斜面F20を容易に流れることができる。その結果、排出ガスの液体が捕捉し易くなり、冷却部10、加速部20、排気ポンプ70等が閉塞し難くなる。
【0031】
その後、捕捉部30の第1面F30に向かって加速されたクロロシランモノマ類の液滴およびクロロシランポリマ類の液滴は、第1面F30に衝突し付着する。第1面30に付着した液滴は、第1面F30の傾斜に沿って排液部40へと流れ込む。
【0032】
排液部40は、クロロシランモノマ類およびクロロシランポリマ類を含む液化した排出ガスを溜め、あるいは、成膜装置100の外部へ搬送する。
【0033】
気体のままの排出ガスは、捕捉部30から第3配管部50を介して排出ポンプ70で除害装置80へ搬送される。気体の排出ガスは、除害装置80で除害処理されて成膜装置100の外部へ排気される。
【0034】
以上のように本実施形態による成膜装置100は、冷却部10と排液部40との間に加速部20を備えている。加速部20の開口面積(排出ガスの移動方向(重力方向Dg)に対して垂直方向の断面における開口面積)S20は、冷却部10の開口面積S10よりも小さい。これにより、加速部20は、排出ガスが凝縮して発生した液滴を排出ガスの移動方向(重力方向Dg)へ加速し、捕捉部30へ衝突させることができる。その結果、成膜装置100は、排出ガスの液滴(例えば、クロロシランモノマ類およびクロロシランポリマ類の液滴)を、より確実に捕捉部30に付着させることができ、より確実に排液部40に流すことができる。即ち、成膜装置100は、排出ガスの液滴と気体の排出ガスとを分離し、排出ガスの液滴については排液部40へ排液し、気体の排出ガスについては排気ポンプ70を介して除害装置80において除害処理してから排気することができる。
【0035】
もし、冷却部10、加速部20、捕捉部30および排液部40が設けられていない場合、排出ガスの液滴は、気体の排出ガス中に浮遊したまま、第3配管部50および排気ポンプ70へ進入してしまう。この場合、圧力調整バルブ60や排気ポンプ70に排出ガスの液滴が付着して、圧力調整バルブ60や排気ポンプ70を閉塞させてしまうおそれがある。
【0036】
これに対し、本実施形態によれば、成膜装置100は、排出ガスの液滴と気体の排出ガスとを分離し、排出ガスの液滴と気体の排出ガスとをそれぞれ別々に排出することができる。従って、排出ガスの液滴によって圧力調整バルブ60や排気ポンプ70を閉塞させてしまうことを抑制することができる。これにより、液化した排出ガスを効率的に且つ安全に除去し、排気管や排気ポンプの閉塞や故障を抑制することができる。
【0037】
また、もし、冷却部10および排液部40が設けられているものの、加速部20および捕捉部30が設けられていない場合、排出ガスの液滴の多くは、やはり気体の排出ガス中に浮遊したまま、第3配管部50および排気ポンプ70へ進入してしまう。例えば、
図2は、排出ガスの積算流量に対する液化した排出ガスの捕捉量を示すグラフである。ラインL1が本実施形態による成膜装置100の捕捉量を示す。ラインL2は、冷却部10および排液部40を備えているが加速部20および捕捉部30を備えていない成膜装置の捕捉量を示す。
【0038】
ラインL2を参照すると、加速部20および捕捉部30を備えていない成膜装置は、排出ガスの積算流量が少ないときに、液化した排出ガスを少ししか捕捉できない。この場合、排出ガスの積算流量が少ないとき、液化した排出ガスは、冷却部10の内壁に付着したまま流れてこない。その後、排出ガスの積算流量が多くなると、液化した排出ガスは、冷却部10の内壁から流れ出し、液化した排出ガスの捕捉量が多くなる。これにより、ラインL2の傾きは2段階で変化する。
【0039】
これに対し、ラインL1を参照すると、本実施形態による成膜装置100は、排出ガスの流量に関わらず、多くの液化した排出ガスを捕捉することができることがわかる。このように、本実施形態によれば、加速部20が排出ガスの液滴を加速し、捕捉部30がこの液滴を集中的に捕捉するので、液化した排出ガスをより効率的に除去することができる。
【0040】
加速部20の冷却部10側の端部は、傾斜面F20を有する。これにより、冷却部10の内壁に付着した排出ガスの液滴が捕捉部30へ流れ易くなる。また、捕捉部30は、排液部40へ向かって傾斜する第1面F30を有する。これにより、排出ガスの液滴が排液部40へ流れ易くなる。さらに、排液部40は、冷却部10、加速部20、捕捉部30、第3配管部50よりも下方向(重力方向Dg)に配置されている。従って、排液部40に流れ込んだ排出ガスの液体が逆流したり、排気ポンプ70側へ流れ込むことを抑制することができる。洗浄用のガスを導入する洗浄配管90を組み合わせることによって、排気部5内の配管部や排気ポンプ70の閉塞の抑制効果をさらに高めることができる。
【0041】
(加速部20の開口面積S20についての考察)
次に、加速部20の開口面積S20について考察する。
図3は、冷却部10の開口面積S10に対する加速部20の開口面積S20の比率(S20/S10)と排出ガスの液滴の捕捉率との関係を示すグラフである。横軸は、冷却部10の開口面積S10に対する加速部20の開口面積S20の比率(S20/S10)を示す。縦軸は、排出ガスの液滴の捕捉率を示す。ラインΦ1は、排出ガスの液滴の粒子径(直径)が約1μmである場合の捕捉率を示す。ラインΦ5は、排出ガスの液滴の粒子径(直径)が約5μmである場合の捕捉率を示す。ラインΦ10は、排出ガスの液滴の粒子径(直径)が約10μmである場合の捕捉率を示す。ラインΦ15は、排出ガスの液滴の粒子径(直径)が約15μmである場合の捕捉率を示す。ラインΦ20は、排出ガスの液滴の粒子径(直径)が約20μmである場合の捕捉率を示す。ラインΦ27は、排出ガスの液滴の粒子径(直径)が約27μmである場合の捕捉率を示す。
【0042】
この実験で用いた冷却部10の開口径は、約5cmであり、開口面積S10は、約2.5
2πcm
2であった。成膜チャンバ1内の気圧は約8kPaであり、導入部40から導入されるガス流量は約20リットル/分であった。排出ガス(Si
2Cl
6)の液滴の密度は、約1.56kg/リットルであった。
【0043】
ここで、開口面積の比率S20/S10が約20%を超えると、粒子径10μm以下の液滴の捕捉率がほぼ0%になってしまう。即ち、加速部20の開口面積S20が(2.5
2π/5)cm
2を超えると、排気部5は、粒子径10μm以下の液滴をほとんど捕捉することができない。従って、粒子径10μm以下の液滴を有効に捕捉するためには、開口面積の比率S20/S10は、約20%以下であることの好ましい。即ち、加速部20の開口面積S20は、約(2.5
2π/5)cm
2以下であることが好ましい。
【0044】
さらに、開口面積の比率S20/S10が約10%を超えると、粒子径5μm以下の液滴の捕捉率がほぼ0%になってしまう。即ち、加速部20の開口面積S20が(2.5
2π/10)cm
2を超えると、排気部5は、粒子径5μm以下の液滴をほとんど捕捉することができない。従って、粒子径5μm以下の液滴を有効に捕捉するためには、開口面積の比率S20/S10は、約10%以下であることがさらに好ましい。即ち、加速部20の開口面積S20は、約(2.5
2π/10)cm
2以下であることがさらに好ましいと言える。
【0045】
さらに開口面積の比率S20/S10を約2.5%以下にすると、排気部5は、粒子径5μm以上の液滴をほぼ100%捕捉することができる。従って、開口面積の比率S20/S10は、約2.5%以下であることがさらに好ましい。即ち、加速部20の開口面積S20は、約(2.5
2π/25)cm
2以下であることがさらに好ましい。
【0046】
ただし、開口面積S20が細すぎる場合、成膜チャンバ1内の気圧を制御することができなくなってしまう。あるいは、排気ポンプ70による成膜チャンバ1の真空引きに長時間かかってしまう。従って、成膜チャンバ1内の気圧を制御可能な範囲で液滴の捕捉率を高めるために、開口面積の比率S20/S10は、2.5%〜20%の範囲内であることが好ましい。また、粒子径が1μm未満の液滴は、配管部または排気ポンプに実質的に悪影響を与えないので、開口面積の比率S20/S10は、2.5%〜20%の範囲内でよい。また、粒子径が1μm未満の液滴については、クリーニングガス導入配管90を用いたクレーニングでも充分に除去できる。尚、排出ガスの液滴の粒子径は、成膜温度、成膜チャンバ1内の圧力、ガス流量等の成膜条件で変化する。また、成膜チャンバ1内の気圧を制御することができる範囲は、加速部20の開口面積S20だけでなく、排気ポンプ70の排気速度、他の配管部のコンダクタンスにより変化する。
【0047】
また、加速部20の開口面積S20は、圧力調整バルブ60の開口面積よりも小さいことが好ましい。圧力調整バルブ60の開口面積は、圧力調整バルブ60または第3配管部50において排出ガスの移動方向D60に対して垂直方向の断面における開口面積である。もし、加速部20の開口面積S20が圧力調整バルブ60の開口面積よりも大きい場合(即ち、加速部20の気体コンダクタンスが圧力調整バルブ60の気体コンダクタンスよりも大きい場合)、成膜チャンバ1内の気圧は、加速部20の開口面積S20によって決定され、圧力調整バルブ60によって制御することができなくなってしまうからである。従って、成膜チャンバ1内の気圧を圧力調整バルブ60によって制御可能とするために、加速部20の開口面積S20は、圧力調整バルブ60の開口面積よりも小さいことが好ましい。
【0048】
尚、加速部20が複数のノズルを有する場合、開口面積S20は、複数のノズルの開口面積の総和である。
【0049】
(捕捉部30についての考察)
次に、捕捉部30の構成について考察する。
【0050】
図4(A)および
図4(B)は、捕捉部30の構成の一例を示す断面図である。第1部材としての捕捉部30の第1面F30には、排出ガスの液滴が衝突する。このとき、衝突の衝撃によって、排出ガスの液滴の一部は、第1面F30の表面において跳ね返る。排出ガスの液滴が跳ね返り、飛び散ると、排出ガスの液滴は第1面F30で捕捉されず、第1面F30の周囲の配管に付着する場合がある。このような、排出ガスの液滴の跳ね返りや飛び散りを抑制するために、
図4(A)に示すように、捕捉部30の第1面F30上に、跳ね防止材としてメッシュ材35を設けてもよい。メッシュ材35は、例えば、単層または複数層のステンレス布等でよい。メッシュ材35は、毛管現象によって第1面F30へ向かってくる排出ガスの液滴を吸収し、排出ガスの液滴が第1面F30において跳ね返ることを抑制することができる。即ち、メッシュ材35は、液滴の衝突による衝撃を緩和し、緩衝材として機能する。よって、捕捉部30は、排出ガスの液滴をより確実に捕捉することができる。
【0051】
代替的に、排出ガスの液滴の跳ね返りを抑制するために、
図4(B)に示すように、捕捉部30の第1面F30が鋸歯状に(凸凹状に)形成されており、溝を有していてもよい。排出ガスの液体が溝を伝って排液部40へ流れ込むように、溝は、排液部40へ向かう方向に延伸している。即ち、
図4(B)に示す断面は、捕捉部30から排液部40へ向かう方向に対して垂直方向の断面である。第1面F30が溝を有することによって、液滴は、溝の傾斜面に衝突する。従って、液滴の跳ねる方向は、液滴の進入方向A2に対する反射方向A3となる。これにより、液滴は、跳ねても溝の斜面から他の斜面に向かって跳ねることになる。その結果、排出ガスの液滴が第1面F30以外へ飛び散ることを抑制することができ、捕捉部30は、排出ガスの液滴をより確実に捕捉することができる。また、溝が、排液部40へ向かう方向に延伸していることによって、排出ガスの液体は、溝を伝って排液部40へ容易に流れることができる。
【0052】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に従った成膜装置200の構成の一例を示す概略図である。第2の実施形態による成膜装置200は、第4配管部110と、第1バルブ120と、第2バルブ130とをさらに備えている。第4配管部110の一端は、冷却部10と加速部20との間に接続され、他端が第3配管部50に接続されている。即ち、第4配管部110は、加速部20および捕捉部30を介さずに、冷却部10と第3配管部50との間を接続している。排出ガスの移動方向に対して垂直方向の断面における第4配管部110の開口面積は、加速部20の開口面積S20より大きい。例えば、第4配管部110の開口面積は、冷却部10の開口面積S10と等しくてもよい。第1バルブ120は、第4配管部110に設けられており、第4配管部110を開きまたは閉じることができる。第2バルブ130は、加速部20と第3配管部50との間のいずれかの箇所に設けられており、加速部20と第3配管部50との間を開きまたは閉じることができる。第1および第2バルブ120、130は、図示されていない制御部によって制御される。第2の実施形態のその他の構成は、第1の実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0053】
成膜チャンバ1内で成膜処理を実行する前に成膜チャンバ1を減圧するときには、第1バルブ120を開く。第1バルブ120を開くことによって、冷却部10は、加速部20および捕捉部30を介さずに、第4配管部110を介して第3配管部50に直接接続される。このように、第4配管部110は、冷却部10と第3配管部50との間で迂回経路(バイパス)を形成することができる。第4配管部110による迂回経路は、成膜チャンバ1内を減圧するために真空引きする際に用いられる。第4配管部110の開口面積は、加速部20の開口面積S20よりも大きいので、加速部20の開口面積S20が小さくても、排気部5は、第4配管部110による迂回経路を用いることによって、成膜チャンバ1内を高速に減圧することができる。このとき、第2バルブ130は、閉じていてもよく、開いていてもよい。第2バルブ130が第1バルブ120とともに開いていることによって、第1および第2バルブ120、130の両方からの排気が可能となり、減圧速度をさらに高めることができる。
【0054】
一方、成膜チャンバ1内において成膜処理を実行し、排出ガスを排出するときには、第1バルブ120を閉じ、第2バルブ130を開く。これにより、排気部5は、第1の実施形態による成膜装置100と同様の構成となり、排出ガスは、加速部20および捕捉部30を介して排気処理または排液処理される。
【0055】
もし、第4配管部110が設けられておらず、かつ、排出ガスの液滴の捕捉効果を高めるために加速部20の開口面積S20を小さくした場合、排気速度が加速部20によって低下し、成膜チャンバ1内の気圧を所望の気圧まで減圧するのに時間がかかるおそれがある。
【0056】
そこで、第2の実施形態では、冷却部10と第3配管部50との間に第4配管部110を設けている。これにより、成膜チャンバ1内を減圧するときに、第1バルブ120を開けて第4配管部110を用いた迂回経路を用いることによって、成膜チャンバ1内を高速に減圧することができる。
【0057】
一方、成膜処理を実行しているときには、第1バルブ120を閉じて、かつ、第2バルブ130を開けることによって、加速部20および捕捉部30が排出ガスの液滴を効率良く捕捉することができる。このように、第2の実施形態は、成膜チャンバ1内を高速に減圧することができ、かつ、第1の実施形態と同様の効果を有することができる。
【0058】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に従った成膜装置300の構成の一例を示す概略図である。第3の実施形態による成膜装置300は、加速部20が圧力調整機能を兼ね備えており、圧力調整バルブ60が省略されている点で第1の実施形態による成膜装置100と異なる。第3の実施形態のその他の構成は、第1の実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0059】
加速部20が排出ガスの液滴の加速機能および圧力調整機能を兼ね備えるために、加速部20の開口面積S20は可変であることが好ましい。開口面積S20を可変にするために、加速部20は、例えば、シャッタ機構等を用いて実施することができる。
【0060】
成膜チャンバ1内を減圧する際には、加速部20の開口面積S1を比較的大きくする。これにより、排気ポンプ70が成膜チャンバ1内を高速に減圧することができる。一方、成膜処理を実行し排出ガスを排出する際には、加速部20の開口面積S1を比較的小さくする。これにより、加速部20および捕捉部30が排出ガスの液滴を効率良く捕捉することができる。
【0061】
このように、第3の実施形態では、成膜チャンバ1内を減圧するときの開口面積S1を第1面積とし、排出ガスを排出するときの加速部20の開口面積S1を第2面積とすれば、第2面積は、第1面積よりも小さくすることができる。これにより、第3の実施形態は、第2の実施形態と同様に成膜チャンバ1内を高速に減圧することができ、かつ、第1の実施形態と同様の効果を有することができる。
【0062】
また、圧力調整バルブ60による圧力損失がなくなるので、加速部20の開口面積S20を小さくしても、成膜チャンバ1内の気圧を制御可能となる。これにより、排気部5は、小さな粒子径(例えば、1μm以下)の液滴の捕捉率を高めることができる。また、圧力調整バルブ60を設ける必要がなくなるので、排気部5のサイズが小さくなる。
【0063】
尚、開口面積S20が可変であっても、加速部20は、冷却部10側の端部において傾斜面F20を有することが好ましい。これにより、液化した排出ガスは、傾斜面F20上を伝って加速部20の下方にある捕捉部30へ流れ落ちることができる。
【0064】
上記実施形態による排気部5は、エピタキシャル成膜装置だけでなく、ポリシリコン成膜装置、エッチング装置、液晶製造装置にも適用することができる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。