【実施例】
【0019】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施例は、所定量の穀物40を充填して成る穀物パック41aが複数連設された穀物パック体41を製造する穀物パック体製造装置であって、基体1に昇降自在に設けられた袋体2を垂設状態に保持する袋体保持部3と、この袋体保持部3で保持された袋体2内に配され該袋体2に穀物40を充填する穀物充填部4と、袋体2の穀物充填部位よりも上方位置を横断してシールするシール部6とを有するものである。尚、本実施例では、穀物40として玄米(米穀)を採用しているが麦や豆類などの粒状若しくは粉状の穀物であれば適宜採用し得るものである。
【0021】
本実施例は、
図1に図示したように公知の玄米計量収納装置30に接続されており、この玄米計量収納装置30は、収納袋31(フレコンバックや紙袋)を載置する袋載置部30aの上部に配設されたホッパー部30bと、このホッパー部30bの下部に設けられる計量機能付き玄米導出部30cとを備えたものである。また、このホッパー部30bの周面にはサンプル排出用のシャッター部30dが設けられ、このシャッター部30dの開閉の際に排出された玄米40は玄米搬送用ホース30eを介して落下搬送されてサンプル用の玄米40として抜き取られる。尚、サンプル用の玄米40は、検査における平均値を取るべく、一度に全量(例えば600g)が抜き取られるのではなく、ホッパー部30bから収納袋31へ玄米40を流しつつ任意のタイミングでシャッター部30dを開閉することで、ホッパー部30bに貯留される玄米40の任意の部位から任意の量(100g)の玄米が複数回(6回)抜き取られる。
【0022】
符号32はホッパー部30bに玄米40を供給する玄米供給部である。
【0023】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0024】
基体1は、
図1に図示したように適宜な金属製のフレーム構造体であり、この基体1の上部には袋体保持部3及び穀物充填部4が設けられ、下部にはシール部6が設けられている。
【0025】
袋体保持部3は、
図2に図示したように基体1上部の設置部1aに設けられる駆動源8(電動モーター)の駆動軸8aに左右一対の巻取りローラー9・9を設け、この巻取りローラー9・9夫々に下端部に挟持部3aを備えた帯状の長尺部材3bを巻回したものである。
【0026】
従って、袋体2の上部左右位置を挟持部3a・3aで挟持すると、袋体2を上部開口部2aが上方へ向いた垂設状態で保持することができ、巻取りローラー9・9を正逆回転させて長尺部材3b・3bを巻回したり送り出したりすることで挟持部3a・3aは昇降し、これに伴い袋体2を昇降することができる。
【0027】
また、袋体保持部3は、後述する穀物充填部4に被嵌する被嵌部3cを有している。
【0028】
この被嵌部3cは、
図2に図示したように左右の長尺部材3b同士間に架設される金属板材の中央位置に設けられており、この被嵌部3cが穀物充填部4にガイドされて袋体保持部3(挟持部3a・3a)は良好に昇降することになる。
【0029】
穀物充填部4は、
図1,2に図示したように適宜な金属製の管状体で構成されており、基体1上部の上方設置部1aに垂設されている。尚、穀物充填部4は合成樹脂など非金属で設けても良い。
【0030】
この穀物充填部4の上端開口部には玄米計量収納装置30の玄米搬送用ホース30eが接続され、下端開口部4aはシール部5の近傍位置に配設されている。
【0031】
従って、穀物充填部4は、袋体保持部3で保持された袋体2の上部開口部2aから底部近傍位置まで挿入配設され、玄米搬送用ホース30eを介して供給される玄米40は下端開口部から袋体2内へ導出される。
【0032】
また、穀物充填部4の下端部には、袋体2を左右外方向に張設する袋体拡張部7が設けられている。
【0033】
この袋体拡張部7は、
図2,3に図示したように穀物充填部4の下端開口部4aの開口縁対向位置に下方へ向けて突設される一対の左棒状部材7Aと右棒状部材7Bで構成され、この左棒状部材7Aと右棒状部材7Bとの間隔は、最大で袋体2の巾と同一若しくは略同一の巾に設定されている(外形寸法が袋体2の巾と同一若しくは略同一の巾に設定された巾広部7aが設けられている。)。
【0034】
具体的には、左棒状部材7Aと右棒状部材7Bは、穀物充填部4の下端部への連設部から下方へ行くに従い外方へ傾斜し、この外向き傾斜部7b・7bの下端に垂直部7c・7cが設けられた形状に形成され、この左右の垂直部7c・7cで巾広部7aが構成されている。
【0035】
従って、この袋体拡張部7により袋体2
の幅を保持することになり、後述するシール部6でシール工程をする際に袋体2にシワが生じにくく、良好にシールが形成されることになる。
【0036】
また、巾広部7aの下方側部位の内径寸法は該巾広部7aの巾よりも巾狭にして穀物充填部4の下端開口部4aの径と同一若しくは巾広に設定されている。
【0037】
具体的には、垂直部7c・7cの下端に下方へ行くに従い内方へ傾斜する内向き傾斜部7d・7dが設けられている。
【0038】
従って、この内向き傾斜部7d・7dの存在により、袋体2を下側から袋体拡張部7へ被せる作業が良好に行えることになり、しかも、この形状により玄米40の充填の障害にならず、外向き傾斜部7b・7bの下部(垂直部7c・7c及び内向き傾斜部7d・7d)における玄米40の残留(引っ掛かり落下しない現象)が生じることを防止することができる。
【0039】
シール部6は、
図2,4に図示したように基体1下部の下方設置部1bにして袋体保持部3及び穀物充填部4の下方位置に配置されている。
【0040】
具体的には、袋体保持部3で保持された袋体2の表裏面の一方の面側に位置する熱線部6bと、袋体2の表裏面の他方の面側に位置し熱線部6bに接離自在に枢着される袋体押さえ部6aとで構成されている。
【0041】
この袋体押さえ部6aは、駆動源(図示省略の)の駆動により擺動自在に設けられており、また、この袋体押さえ部6aとの対向する熱線部6bには熱線部材6b’が一本設けられている。
【0042】
従って、シール部6に配された袋体2を、袋体押さえ部6aを擺動させて該袋体押さえ部6aと熱線部6bとで挟持することで、この挟持した部位には横断するように一本の止着部5が形成される。尚、実際には、一本の止着部5を形成した後に少し袋体2を下方に移動させて一本の止着部5を形成し、合計二本の止着部5が近接させた状態で形成される。
【0043】
また、本実施例では、袋体保持部3及びシール部6の作動は、操作スイッチ等を備えた制御部10で制御される。
【0044】
また、本実施例では、袋体2として適宜な透明樹脂製の部材で形成された有底筒状の袋体2を採用している。
【0045】
符号11は製造された穀物パック体41を受ける収納ケースである。
【0046】
以上の構成から成る本実施例に係る穀物パック体製造装置を使用した穀物パック体41の製造工程について説明する。
【0047】
先ず、袋体2をシール部6の熱線部6bと袋体押さえ部6aとの間を通過させ、袋体拡張部7及び穀物充填部4に被嵌させて袋体保持部3で保持(袋体2の上部開口部2aを左右の挟持部3a・3aで挟持)し、この状態で袋体保持部3を上昇させると、袋体保持部3で保持された袋体2の底部付近に袋体拡張部7及び穀物充填部4の下端開口部4aが位置し、袋体2内へ穀物充填部4から玄米40を充填する(
図5の(A),(B)参照の充填工程)。この玄米40は、玄米計量収納装置30のシャッター部30dの開閉の際に排出され玄米搬送用ホース30eを介して穀物充填部4に供給されたサンプル用の玄米40である。
【0048】
続いて、シール部6において袋体2に止着部5を形成する(
図5の(C)参照のシール工程)。
【0049】
続いて、袋体保持部3を降下することで袋体2を所定量降下させ(降下工程)、止着部5を底部として穀物充填部4から穀物40を充填する(
図5の(D)参照)。
【0050】
以上のような充填工程、シール工程、降下工程を繰り返して行い、一の袋体2から該袋体2の長さ方向に所定量の穀物40が充填された穀物パック41aが複数連設された穀物パック体41が設けられる。
【0051】
よって、本実施例によれば、前述した従来例のような穀物40を充填する度に袋体2を開口する作業は不要であり、また、開口部52a’を開口させたり、更に、玄米充填部54を開口部52a’まで移動させたり退避させたりも不要であり、更に、玄米充填部54を開口部52a’に良好に挿入しなければならない構造も不要であるから、袋体2に効率的に穀物40を充填した穀物パック体41を設けることができ、簡易構造故にコスト安にして量産性に秀れることになる。
【0052】
また、本実施例は、穀物充填部4は、袋体2の上部開口部2aから底部近傍位置まで挿入配設される管状体で構成されているから、確実に袋体2内に玄米40を充填することができる。
【0053】
また、本実施例は、穀物充填部4の下端部には前記袋体2を左右外方向に拡張する袋体拡張部7が設けられているから、袋体2にシワがよりにくくシール部6にて確実に良好なシール工程が行えることになる。
【0054】
また、本実施例は、袋体拡張部7は、穀物充填部4の下端開口部4aの開口縁対向位置に下方へ向けて突設される一対の左棒状部材7Aと右棒状部材7Bで構成され、この左棒状部材7Aと右棒状部材7Bとの間隔は、最大で袋体2の巾と同一若しくは略同一の巾に設定されているから、簡易構造でありながら確実にその機能を発揮することができる。
【0055】
また、本実施例は、袋体保持部3には、穀物充填部4に被嵌され該穀物充填部4にガイドされる被嵌部3cが設けられているから、袋体2は昇降の際に揺れたり捻れたりせず良好な昇降が行われることになる。
【0056】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。