特許第6371753号(P6371753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6371753ナビゲーションシステム、経路探索方法、経路探索プログラム、記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371753
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム、経路探索方法、経路探索プログラム、記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20180730BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20180730BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G08G1/16 C
   G09B29/10 A
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-242240(P2015-242240)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2017-106863(P2017-106863A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(74)【代理人】
【識別番号】100161322
【弁理士】
【氏名又は名称】白坂 一
(74)【代理人】
【識別番号】100185971
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 玲子
(72)【発明者】
【氏名】立川 大介
(72)【発明者】
【氏名】山下 由美子
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲
(72)【発明者】
【氏名】圦本 昌之
(72)【発明者】
【氏名】秋山 基伊
【審査官】 平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−141053(JP,A)
【文献】 特開2006−112932(JP,A)
【文献】 特開2008−290680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 − 21/36、
23/00 − 25/00
G08G 1/00 − 99/00
G09B 23/00 − 29/14
B60W 10/00、
10/02、
10/04 − 10/06、
10/08、
10/10、
10/101− 10/18、
10/184− 10/26、
10/28、
10/30、
30/00 − 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が高度運転支援制御により走行する高度運転支援制御許容区間の情報を含む地図情報を記憶する記憶部と、
前記車両の現在位置情報を取得する取得部と、
前記現在位置情報で示される位置から目的地までの経路を探索する探索部と、
前記目的地までの経路の変更入力を受け付ける入力受付部と、
ユーザが前記車両を運転可能か否かを判定する判定部を備え、
前記探索部は、前記高度運転支援制御許容区間において、前記変更入力を受け付けた場合であって、前記判定部が前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときには、前記高度運転支援制御許容区間以外への経路の変更を実行しない
ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記ナビゲーションシステムは、さらに、
前記探索部は、前記高度運転支援制御許容区間において、前記変更入力を受け付けた場合であって、前記判定部が前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときであっても、前記高度運転支援制御許容区間への経路の変更であれば、経路の変更を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記ナビゲーションシステムは、さらに、
前記車両を駆動させるためのリソースを管理する管理部を備え、
前記受付部が前記経路の変更入力を受け付けた場合には、前記探索部は、前記取得部が取得した前記車両の現在位置情報と、前記管理部が管理する前記リソースの残量に基づいて、前記目的地に到達できる範囲内で経路を変更する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーションシステムは、さらに、
前記判定部が前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときには、高度運転支援制御許容区間以外への経路の変更が不可能であることを示す案内を報知する案内部を備える
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記ナビゲーションシステムは、さらに、
前記案内部は、前記判定部が前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときであっても、前記高度運転支援制御許容区間への経路の変更であれば、経路の変更が実行できる旨を報知する
ことを特徴とする請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
車両が高度運転支援制御により走行する高度運転支援制御許容区間の情報を含む地図情報を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記車両の現在位置情報を取得する取得ステップと、
前記現在位置情報で示される位置から目的地までの経路を探索する探索ステップと、
前記目的地までの経路の変更入力を受け付ける受付ステップと、
ユーザが前記車両を運転可能か否かを判定する判定ステップを含み、
前記探索ステップは、前記高度運転支援制御許容区間において、前記変更入力を受け付けた場合であって、前記判定ステップが前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときには、前記高度運転支援制御許容区間以外への経路の変更を実行しない
経路探索方法。
【請求項7】
前記探索ステップは、前記高度運転支援制御許容区間において、前記変更入力を受け付けた場合であって、前記判定ステップが前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときであっても、前記高度運転支援制御許容区間への経路の変更であれば、経路の変更を実行する
ことを特徴とする請求項6に記載の経路探索方法。
【請求項8】
前記経路探索方法は、さらに、
前記車両を駆動させるためのリソースを管理する管理ステップを含み、
前記受付ステップが前記経路の変更入力を受け付けた場合には、前記探索ステップは、前記取得ステップが取得した前記車両の現在位置情報と、前記管理ステップが管理する前記リソースの残量に基づいて、前記目的地に到達できる範囲内で経路を変更する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の経路探索方法。
【請求項9】
前記経路探索方法は、さらに、
前記判定ステップが前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときには、高度運転支援制御許容区間以外への経路の変更が不可能であることを示す案内を報知する案内ステップを含む
ことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の経路探索方法。
【請求項10】
前記案内ステップは、前記判定ステップが前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときであっても、前記高度運転支援制御許容区間への経路の変更であれば、経路の変更が実行できる旨を報知する
ことを特徴とする請求項9に記載の経路探索方法。
【請求項11】
コンピュータに、
車両が高度運転支援制御により走行する高度運転支援制御許容区間の情報を含む地図情報を記憶部に記憶する記憶機能と、
前記車両の現在位置情報を取得する取得機能と、
前記現在位置情報で示される位置から目的地までの経路を探索する探索機能と、
前記目的地までの経路の変更入力を受け付ける受付機能と、
ユーザが前記車両を運転可能か否かを判定する判定機能を実現させ、
前記探索機能は、前記高度運転支援制御許容区間において、前記変更入力を受け付けた場合であって、前記判定機能が前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときには、前記高度運転支援制御許容区間以外への経路の変更を実行しない
経路探索プログラム。
【請求項12】
前記経路探索プログラムは、さらに、
前記探索機能は、前記高度運転支援制御許容区間において、前記変更入力を受け付けた場合であって、前記判定機能が前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときであっても、前記高度運転支援制御許容区間への経路の変更であれば、経路の変更を実行する
ことを特徴とする請求項11に記載の経路探索プログラム。
【請求項13】
前記経路探索プログラムは、さらに、
前記車両を駆動させるためのリソースを管理する管理機能を実現させ、
前記受付機能が前記経路の変更入力を受け付けた場合には、前記探索機能は、前記取得機能が取得した前記車両の現在位置情報と、前記管理機能が管理する前記リソースの残量に基づいて、前記目的地に到達できる範囲内で経路を変更する
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の経路探索プログラム。
【請求項14】
前記経路探索プログラムは、さらに、
前記判定機能が前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときには、高度運転支援制御許容区間以外への経路の変更が不可能であることを示す案内を報知する案内機能を実現させる
ことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の経路探索プログラム。
【請求項15】
前記経路探索プログラムは、さらに、
前記案内機能は、前記判定機能が前記車両のユーザが前記車両を運転不可能であると判定しているときであっても、前記高度運転支援制御許容区間への経路の変更であれば、経路の変更が実行できる旨を報知する
ことを特徴とする請求項14に記載の経路探索プログラム。
【請求項16】
前記請求項11〜15のいずれか一項に記載の経路探索プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関し、特に、ユーザが入力した目的地までの経路案内ルートを地図情報に基づいて探索するナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図情報をデータベース(DB)等の記憶部に記憶するとともに、ユーザが目的地を入力することにより、記憶部に記憶した地図情報に基づいて入力した目的地までの経路案内ルートを探索するナビゲーションシステムが知られている。
【0003】
このようなナビゲーションシステムにおいて、運転に慣れ、道を熟知しているユーザによっては、ルート案内は煩わしいものとなっていることがある。そこで、ユーザからの入力によって、ルート案内を中止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、車両の運転者の体調を脈拍センサ等を用いて判定し、その判定の結果に応じて、より快適な運転を実行できる経路に、車両を案内する経路を変更する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−137371号公報
【特許文献2】特開2012−091570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のようなナビゲーション装置にあっては、ユーザからのルート案内の中止入力を受け付けると単純にルート案内を中止してしまうものであり、高度運転支援を許容する高度運転支援許容道路を対象としたものではなく、高度運転支援と連携することができなかった。同様に、経路を変更する技術もまた、高度運転支援と連携できるものではなかった。なお、上述のような高度運転支援許容道路は、例えば、高速道路(自動車専用道路を含む)等における次世代の高度運転支援システムに対応するものである。高度運転支援許容道路において、車両は、一部、あるいは、完全自動による車両の運転制御を行う。
【0007】
したがって、このような人による運転のみに頼らない高度運転支援システムに対応した経路探索技術の導入が望まれている。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するために、高度運転支援システムに対応した経路探索を可能とするナビゲーションシステム、経路探索方法、経路探索プログラム、記録媒体、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上記目的を達成するため、車両が高度運転支援制御により走行する高度運転支援制御許容区間の情報を含む地図情報を記憶する記憶部と、車両の現在位置情報を取得する取得部と、現在位置情報で示される位置から目的地までの経路を探索する探索部と、目的地までの経路の変更入力を受け付ける入力受付部と、ユーザが車両を運転可能か否かを判定する判定部を備え、探索部は、高度運転支援制御許容区間において、変更入力を受け付けた場合であって、判定部が車両のユーザが車両を運転不可能であると判定しているときには、高度運転支援制御許容区間以外への経路の変更を実行しない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ナビゲーションシステムは、車両が高度運転支援区間を走行している場合であって、ユーザの運転の用意ができていない場合には、高度運転支援制御許容区間以外への経路の変更を実行しない。したがって、高度運転支援制御中において経路を変更する際に、ユーザの運転準備ができていない状態で高度運転支援制御許容区間以外への経路変更を行って、車両を正常に運行できない可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係るナビゲーションシステムを示すシステムブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るナビゲーションシステムに適用される高度運転支援許容道路を含む経路案内の一例を示す説明図である。
図3】本発明の一実施の形態に係るナビゲーションシステムにおける経路探索処理のフローチャートである。
図4】本発明の一実施の形態に係るナビゲーションシステムにおける案内の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施態様に係るナビゲーションシステムについて、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0013】
なお、以下の説明において、高度運転支援システム(先進運転支援システム等とも称される)とは、道路走行において、走行速度制御(定速走行制御を含む)、車間距離制御(所謂、自動ブレーキ制御を含む)、車線逸脱防止制御(LKAS:Lane Keeping Assist System)等を用いて、車両の自動運転を支援するシステムを意味する。
【0014】
この際、完全自動化であるか否かは問わないが、上記各制御等を複合的に用いた運転制御システムであって、かつシステム上の電気/電子システムに故障が発生したときのリスクを低減するための安全設計(例えば、自動車用E/Eシステムの機能安全規格ISO26262)を備えた車両によるレーン変更等を含む自動走行であり、上記各制御の一つを用いた走行を意味するものではない。
【0015】
したがって、高度運転支援許容道路とは、車両走行に関する自動化のレベルに応じて変化するが、適正に車両の自動運転を許可又は許容する道路においてある程度の距離を有する場合で説明する。
【0016】
<実施の形態>
<構成>
本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステムは、車両が高度運転支援制御により走行する高度運転支援制御許容区間の情報を含む地図情報を記憶する記憶部(図1の105に相当)と、車両の現在位置情報を取得する取得部(図1の102に相当)と、現在位置情報で示される位置から目的地までの経路を探索する探索部(図1の108に相当)と、目的地までの経路の変更入力を受け付ける入力受付部(図1の104に相当)と、ユーザが車両を運転可能か否かを判定する判定部(図1の108に相当)を備え、探索部は、高度運転支援制御許容区間において、変更入力を受け付けた場合であって、判定部が車両のユーザが車両を運転不可能であると判定しているときには、高度運転支援制御許容区間以外への経路の変更を実行しない。このようなナビゲーションシステムについて、図1を用いて具体的に説明する。
【0017】
図1は、そのナビゲーションシステム100の構成を示すブロック図である。図1に示すようにナビゲーションシステム100は、道路状況受信部101と、位置情報検出センサ102と、受信部103と、入力受付部104と、記憶部105と、高度運転支援システム106と、ECU107と、CPU108と、タッチパネル方式の液晶表示器等を用いた表示部109と、車内の状況を検出するための車内センサ110と、車両を運行する上で必要とする資源(ガソリンや電気、水素等の駆動燃料)を管理する資源管理部111と、を含む。本実施の形態において、ナビゲーションシステム100は、高度運転支援システムを許容する車両に搭載されており、現在位置から目的地までの経路(案内ルート)を案内する。ナビゲーションシステム100は、通常の経路案内として、周辺の地図情報等に自車両の現在位置を示すマーク等と探索経路を示す走行ライン等とを重畳して現在位置に応じてこれらを変化させつつ表示部109に表示する。なお、ナビゲーションシステム100は、例えば、経路中の案内(レーン変更等の表示形態の変化や音声ガイド等)を実行するなど、通常の経路案内として公知のシステムを実行することができる。ナビゲーションシステム100は、このような通常の経路案内に加え、本実施の形態に係る高度支援システム用の経路探索を可能とする。
【0018】
道路状況受信部101は、道路交通網の状況に係るプローブ交通情報を、情報提供事業者等から適宜受信し、受信部103に伝達する機能を有する。道路状況受信部101は、無線通信により情報提供事業者等からプローブ交通情報を受信するものであり、情報提供事業者等との間で通信が成立するのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。プローブ交通情報には、公知の道路交通情報通信システム(VICS(登録商標):Vehicle Information and Communication System)情報である道路の混雑状況や事故情報等の他、本実施の形態に係る高度支援システム用の情報を含む。
【0019】
なお、プローブ交通情報を提供する情報提供事業者等とは、公知の自動車製造業者等の他、例えば、高速道路のサービスエリアやガソリンスタンドなどから無線通信で受信することも可能である。これにより、道路状況受信部101は、最新のプローブ交通情報を取得することができ、取得したプローブ交通情報は記憶部105に記憶・更新することができる。
【0020】
位置情報検出センサ102は、ナビゲーションシステム100が搭載されている車両の現在位置情報を取得するセンサである。具体的には、GPSやGNSS等の各種衛星電波を利用した測位システム、ジャイロスコープ等の自律航法システムを用いることによって実現される。この際、現在位置情報は、少なくとも自車両が存在する位置の緯度情報及び経度情報を含み、高度情報を含んでもよい。なお、位置情報検出センサ102は、例えば、走行道路上に設置されて設置位置情報を取得することができるビーコン等を用いるなど、上記に限定されるものではない。位置情報検出センサ102は、これらの外部からの位置情報あるいは測位システムにより測位された現在位置情報を逐次(又は適時)取得し、取得した位置情報を現在位置情報として受信部103に伝達する。
【0021】
受信部103は、道路状況受信部101から伝達されたプローブ交通情報、及び位置情報検出センサ102から伝達された現在位置情報を、CPU108に伝達する機能を有する。
【0022】
入力受付部104は、車両に搭乗するユーザからの入力を受け付ける。入力受付部104は、例えば、表示部109と併せてタッチパネルにより実現されてもよいし、ナビゲーションシステム100の筐体に備えられたハードキーにより実現されてもよい。入力受付部104は、ユーザから受け付けた入力内容をCPU108に伝達する。入力受付部104は、ユーザから車両の目的地に関する目的地情報を受け付けて、CPU108に伝達する。また、入力受付部104は、ユーザからの経路変更の指示入力を受け付けて、CPU108に伝達する。
【0023】
記憶部105は、ナビゲーションシステム100が動作するうえで必要とする各種のプログラム及び地図情報を含む各種のデータを記憶する記録媒体である。記憶部105は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SDD(Solid State Drive)等により実現される。記憶部105は、地図情報やCPU108から書き込まれたプローブ交通情報を記憶している。地図情報は、少なくとも車道の位置情報と、当該車道において高度運転支援システムを利用した運転が可能となる高度運転支援区間の位置情報と、当該車道における走行レーンについての走行レーン情報とを含む。地図情報は、道路をリンクで、道路と道路の接点をノードで示すリンク情報を含み、これらのリンクに対して、高度運転支援制御許容区間であることを示すタグが付与されていることにより、ナビゲーションシステム100は、地図情報から高度運転支援制御許容区間を検出できる。
【0024】
高度運転支援システム106は、CPU108から伝達された経路情報、現在位置情報、プローブ交通情報の他、自車両に備えられた各種センサ(超音波センサ、赤外センサ、距離センサ、車載カメラ等)に基づいて、車両の運転制御を支援する。高度運転支援システム106は、車両の運転制御に係る制御情報をECU107に伝達する。
【0025】
ECU(Electronic Control Unit)107は、車両の運転制御を電気的な補助装置を用いて行う際に、車両を総合的に制御するマイクロコントローラである。ECU107は、高度運転支援システム106からの指示に従って、車両の運転制御を実行する。
【0026】
CPU108は、記憶部105に記憶されているプログラム及び各種データを利用して、ナビゲーションシステム100が実行すべき処理を実行するプロセッサである。CPU108は、ナビゲーションの過程において必要となる表示情報を生成して表示部109に表示させる。
【0027】
CPU108は、現在位置から目的地までの経路を探索する探索部、車両に搭乗しているユーザが運転可能であるか否かを判定する判定部として機能する。
【0028】
CPU108は、自車両の現在地から目的地までの経路を探索し、探索して得られる経路情報を、高度運転支援システム106と表示部109とに伝達する。また、CPU108は、受信部103から伝達された現在位置情報に基づく自車両の現在地から、ユーザにより入力受付部104に対して入力された目的地情報で示される目的地までの経路を探索する探索部として機能する。経路の探索には、例えば、ダイクストラ法やA−starアルゴリズムを用いることとする。このとき、CPU108は、資源管理部111から伝達される駆動燃料の残量値を示す残量情報と、単位走行距離当たりの駆動燃料の消費量を示す消費量情報に基づいて、探索した経路を走行しきれるか否かを判定する。走行しきれないと判定した場合には、当該経路を破棄するか、当該経路を案内ルートとして提示する場合に、併せて駆動燃料の補充を提示する。
【0029】
さらに、CPU108は、入力受付部104から、経路変更の指示入力を伝達された場合に、車内センサ110から伝達された車内情報に基づいて、車両のユーザが車両を運転可能な状態にあるか否かを判定する。そして、ユーザが車両を運転可能な状態にないと判定した場合に、CPU108は、表示部109に、高度運転支援制御許容区間以外への経路変更を行うことができない旨を示す情報を表示させるとともに、高度運転支援制御許容区間への経路変更を行うかどうかの問い合わせのGUIを表示させる。
【0030】
ユーザが車両を運転可能な状態にあると判定した場合には、CPU108は、経路変更のための目的地までの経路の再探索を実行し、探索した新たな経路への変更を促す案内を表示部109に表示させる。このとき、CPU108は、資源管理部111から、駆動燃料(例えば、ガソリン、電気、水素など)の残量を示す残量情報と、単位走行距離当たりの消費量を示す消費量情報とを取得する。
【0031】
なお、ユーザが運転可能な状態にあるか否かの判断は、例えば、(イ)車内センサ110から伝達された車内情報のうち、ハンドルに設けられた接触センサが、ユーザがハンドルを握っていることを検出しているか否かに基づくものであってもよいし、(ロ)車内情報のうち、車載カメラが運転席のユーザを撮像した画像と、予め撮像済みの運転姿勢を示すユーザの画像と、を用いてパターンマッチングによりユーザが運転姿勢をとっているか否かに基づくものであってもよいし、(ハ)赤外線センサが検出している赤外線検出情報に基づいて、所定温度付近(例えば、35度〜40度程度の人体の体温付近)の分布が運転席において検出できるか否かや、その温度分布の形状が運転姿勢に合致するものであるか否かに基づくものであってもよいし、(イ)〜(ハ)を組み合わせたものに基づく判断であってもよい。
【0032】
表示部109は、CPUから伝達された表示情報を表示するモニタであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどにより実現される。表示部109は、入力受付部104と併せて、タッチパネルにより実現されてもよい。以上がナビゲーションシステム100の構成である。
【0033】
車内センサ110は、自車両に備えられた各種センサ(超音波センサ、赤外線センサ、距離センサ、車載カメラ、接触センサ等)により、車両内の状況を示す車内情報を取得する。車内センサ110は、取得した車内情報をCPU108に伝達する。
【0034】
資源管理部111は、車両の駆動燃料(例えば、ガソリン、電気、水素など)の残量を検出する残量計を含み、適宜駆動燃料の残量値を示す残量情報をCPU108に伝達する。また、資源管理部111は、単位走行距離当たりの駆動燃料の消費量を示す消費量情報を記憶し、CPU108からの要求に応じて当該消費量情報を伝達する。消費量情報は、予め単位走行距離(例えば、1km)当たりの消費量を、何度か測定し、その平均値を用いることとしてもよい。また、消費量情報は、定常的に一度記憶した値を用い続けてもよいし、資源管理部111が、現在から過去の所定距離(例えば、20km)について走行した際の駆動燃料の消費量を、単位走行距離で除した値で更新したものを用いてもよい。
【0035】
以上が、ナビゲーションシステム100の構成例である。
【0036】
<ルート案内の表示例>
図2は、ナビゲーションシステム100の表示部109に表示されるルート案内の一例を示す案内情報200を示している。図2に示すように、案内情報200は、自車両1と星印で示す目的地及びその周辺の地図(道路形状情報)と、ナビゲーションシステム100が探索した案内ルート220とを示す地図情報である。
【0037】
図2の案内情報200において、一部の道路を囲うように表示している点線は、高度運転支援制御許容区間(道路)210を示しており、当該区間においては、高度運転支援システム106により支援制御を享受可能となっている。
【0038】
<動作>
ここから、ナビゲーションシステム100の動作について、図3及び図4のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
図3は、ナビゲーションシステム100において、経路変更の指示入力を受け付けた際の動作を示すフローチャートである。
【0040】
図3に示すように、入力受付部104は、ユーザから、ルート案内のための目的地の入力を受け付ける(ステップS301)。入力受付部104は、受け付けた目的地を示す目的地情報をCPU108に伝達する。
【0041】
次に、位置情報検出センサ102は、自車両の現在位置情報を取得し、受信部103を介して、取得した現在位置情報をCPU108に伝達する(ステップS302)。
【0042】
CPU108は、伝達された自車両の現在位置情報、目的地情報、及び記憶部105に記憶している地図情報を参照して、案内ルートを決定する(ステップS303)。その後車両は、案内ルートに従って手動運転または高度運転支援制御による運転により走行する。
【0043】
入力受付部104は、ユーザから、経路変更の指示入力を受け付ける(ステップS304)。入力受付部104は、経路変更の指示入力がなされたことを示す経路変更指示をCPU108に伝達する。
【0044】
入力受付部104から経路変更指示を伝達されると、CPU108は、車両が高度運転支援制御許容区間を走行中であるか否かを判定する(ステップS305)。CPU108は、ステップS302で取得した現在位置情報と地図情報に含まれる高度運転支援制御許容区間の位置とを比較することで、車両が高度運転支援制御許容区間を走行中であるか否かを判定する。
【0045】
車両が高度運転支援制御許容区間を走行中でないと判定した場合には(ステップS305のNO)、CPU108は、リソース残量に応じて現在位置から目的地まで到達可能な経路を探索し、ユーザからの選択に応じて走行経路を変更する(ステップS306)。すなわち、CPU108は、ステップS302で取得した現在位置情報から、目的地までの新たな経路を複数探索する。そして、CPU108は、資源管理部111から残量情報と消費量情報とを取得し、探索した複数の経路各々について、それぞれの総走行距離に消費量情報で単位距離当たりの消費量を乗じて、その値が残量情報を下回るかどうかによって、その経路を走行可能か否かを判定する。そして、CPU108は、当該判定で走行可能と判定した経路を表示部109に表示させ、ユーザが表示された経路の中から一つの選択を受け付けて処理を終了する。なお、ここで、走行可能ではないと判定した経路については、当該経路を提示するとともに、途上で駆動燃料の補充を提示することとしてもよい。
【0046】
一方、ステップS305において、車両が高度運転支援制御許容区間を走行中であると判定した場合には(ステップS305のYES)、CPU108は、車内センサ110から受領した車内情報に基づいて、車両の運転席のユーザが運転可能な状態にあるか否かを判定する(ステップS307)。
【0047】
CPU108が、運転席のユーザが運転可能な状態にあると判定した場合には(ステップS307のYES)、ステップS306に移行する。
【0048】
CPU108が、運転席のユーザが運転可能な状態にないと判定した場合には(ステップS307のNO)、CPU108は、高度運転支援制御許容区間以外への経路変更を実行できない旨を示す表示情報を表示部109に表示させる(ステップS308)。
【0049】
そして、CPU108は、高度運転支援制御許容区間への経路変更を行うか否かを問い合わせるGUIを表示部109に表示させる。
【0050】
高度運転支援制御許容区間への経路変更を行う旨の入力を受け付けた場合には(ステップS309のYES)、CPU108は、リソース残量に応じて現在位置から目的地まで到達可能な高度運転支援制御許容区間を含む経路を探索し、探索された経路に変更する(ステップS310)。すなわち、CPU108は、ステップS302で取得した現在位置情報から、目的地までの新たな経路を高度運転支援制御許容区間を含むように複数探索する。そして、CPU108は、資源管理部111から残量情報と消費量情報とを取得し、探索した複数の経路各々について、それぞれの総走行距離に消費量情報で単位距離当たりの消費量を乗じて、その値が残量情報を下回るかどうかによって、その経路を走行可能か否かを判定する。そして、CPU108は、当該判定で走行可能と判定した経路を表示部109に表示させ、ユーザが表示された経路の中から一つの選択を受け付けて処理を終了する。なお、ここで、走行可能ではないと判定した経路については、当該経路を提示するとともに、途上で駆動燃料の補充を提示することとしてもよい。
【0051】
以上が、本実施の形態に係るナビゲーションシステム100の動作である。
【0052】
<まとめ>
上記構成を備えることにより、本発明の一実施態様に係るナビゲーションシステム100は、ユーザから経路変更の指示入力を受けた場合であって、ユーザが運転可能な状態にないと判断されるときには、高度運転支援制御許容区間以外への経路変更ができない旨を示す情報を提示することができる。高度運転支援制御許容区間を高度運転支援制御に基づいて走行中である場合の経路変更は、単純に経路変更すると、高度運転支援制御許容区間以外、すなわち、手動運転を行う道路への経路変更が行われる可能性があるため、ユーザが運転できない状態にあると、車両を正常に運行できない可能性がある。本発明の一実施態様に係るナビゲーションシステム100は、そのような可能性を低減することができる。
【0053】
<参考例>
上記実施の形態に、本発明の一実施態様に係るナビゲーションシステムについて説明したが、本発明の思想はこれに限定されるものではない。以下、本発明の思想として含まれる各種参考例について説明する。
【0054】
(1)上記実施の形態において、記憶部105は、地図情報を記憶していることとしているが、これは、使用地域のみのものであってもよく、目的地に応じて必要な地図情報を、全体の地図情報を記憶しているサーバ等にアクセスしてダウンロードして使用することとしてもよい。また、ナビゲーションシステム100は、地図情報を記憶しているサーバにアクセスして最新の地図情報を取得して、更新することとしてもよい。
【0055】
(2)上記実施の形態において、表示部109は、ナビゲーションシステム100に搭載された固有のモニタを想定しているが、表示部109は、車両のフロントガラスをモニタとして実現する形態をとってもよい。
【0056】
(3)上記実施の形態においては、CPU108は、ユーザが運転不可能であると判定しているときには、高度運転支援制御許容区間への経路変更を提示することとしているが、このとき、ユーザに対して、運転の準備を促し、そのうえで、経路変更入力を依頼する報知を行うこととしてもよい。
【0057】
(4)上記実施の形態において、ナビゲーションシステム100の各機能部は、各部の機能を実現する集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを用いてソフトウェアによって実現してもよい。また、各機能部は、1または複数の集積回路により実現されてよく、複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0058】
ナビゲーションシステム100の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、ナビゲーションシステム100は、各機能を実現するソフトウェアであるナビゲーションプログラムの命令を実行するCPU、上記ナビゲーションプログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記ナビゲーションプログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記ナビゲーションプログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記ナビゲーションプログラムは、当該ナビゲーションプログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、上記ナビゲーションプログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0059】
なお、上記ナビゲーションプログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【0060】
(5)本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0061】
(6)上記実施の形態および各種変形例に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
100 ナビゲーションシステム
101 道路状況受信部
102 位置情報検出センサ
103 受信部
104 入力受付部(第1受付部、第2受付部)
105 記憶部
106 高度運転支援システム
107 ECU
108 CPU(探索部、第1判定部、第2判定部)
109 表示部
110 車内センサ
111 資源管理部
図1
図2
図3
図4