【実施例】
【0058】
実施例1 式VIのα−ハロヒドロキシ化合物の保護
【化9】
フラスコにテトラヒドロフラン(THF)5mLとトルエン5mLとを入れる。混合物を撹拌しながら、p−トルエンスルホン酸(0.15mmol)とモレキュラーシーブとを加え、30分間撹拌を続ける。ブチル−ビニルエーテル6mmolと8−(フェニルメトキシ)−5−((R)−2−ブロモ−1−ヒドロキシ−エチル)−(1H)−キノリン−2−オン3mmolとを加える。反応が終了するまで混合物を20〜25℃で撹拌し、ろ過後、ろ液を蒸留して溶媒を除去する。生成物は、50%:50%のジアステレオマー混合物からなる油状物質として定量的収率で得られる。
【0059】
1H-NMR (DMSO-d6, δ), 50:50のジアステレオマー混合物: 0.61 and 0.82 (3H, t, J=7.2 Hz, CH
3-Pr-O), 1.12 and 1.22 (3H, d, J=5.6 Hz, acetalic CH
3), 0.90-1.40 (4H, m, CH
2 + CH
2), 3.20-3.80 (4H, m, CH
2-OAr + CH
2-Br), 4.51 and 4.82 (1H, q, J=5.6 Hz, acetalic CH), 5.18 and 5.24 (1H, dd, J=4.0, 8.0 Hz, CH-O-acetal), 6.56 and 6.58 (1H, d, J=10.0 Hz, H4), 7.00-7.57 (7H, m), 8.17 and 8.23 (1H, d, J=10.0 Hz, H3), 10.71 (1H, s, NH)
【0060】
13C-NMR (DMSO-d6, δ), 50:50のジアステレオアイソマー混合物: 13.5 and 13.7 CH
3), 18.5 and 18.8 (CH
2), 19.9 and 20.0 (acetalic CH
3), 30.9 and 31.4 (CH
2), 36.8 and 37.3 (CH
2), 63.7 and 64.2 (CH
2-Br), 69.8 and 69.9 (CH
2-OAr), 73.8 and 75.1 (CH-O), 97.5 and 100.4 (acetalic CH), 111.8 (CH), 116.9 and 117.2 (C), 121.2 and 122.4 (CH), 122.3 and 122.6 (CH), 127.7 and 127.8 (C), 127.8 and 127.9 (CH), 128.2 and 128.3 (CH), 128.8 and 129.1 (C), 129.4 and 129.6 (C), 136.1 and 136.5 (CH), 136.5 and 136.6 (C), 144.0 and 144.2 (C), 160.7 and 160.8 (C=O).
【0061】
実施例2 式VIのα−ハロヒドロキシ化合物の保護
【化10】
8−(フェニルメトキシ)−5−((R)−2−クロロ−1−ヒドロキシ−エチル)−(1H)−キノリン−2−オン(0.74g)、ジクロロメタン(15mL)および4−ジメチルアミノピリジン(0.89g)を混合し、この混合物を20〜25℃で撹拌しながら塩化ピバロイル(0.72g)を加え、出発原料が目視できなくなるまで反応物を撹拌する。水(22mL)を加え、相を分離する。
【0062】
有機相を1M HCl(22mL)、次いで水(22mL)で洗浄する。溶媒を除去後、アセトンから残渣を結晶化し、生成物0.82gを得る。
【0063】
1H-NMR (DMSO-d6, δ): 1.13 (9H, s, CH
3), 3.92 (1H, dd, J= 4.0, 12.0 Hz, CH
2-Br), 4.00 (1H, dd, J= 8.4, 12.0 Hz, CH
2-Cl), 5.28 (2H, s, Ph-CH
2-O), 6.25 (1H, dd, J= 4.0, 8.4 Hz, CH-OPiv), 6.59 (1H, d, J= 10.0 Hz, H4), 7.15 (1H, d, J= 8.4 Hz, H6), 7.20 (1H, d, J= 8.4 Hz, H7), 7.27-7.30 (1H, m, Ph), 7.33-7.37 (2H, m, Ph), 7.54-7.56 (2H, m, Ph), 8.18 (1H, d, J= 10.0 Hz, H3), 10.77 (1H, s, NH).
【0064】
13C-NMR (DMSO-d6, δ): 26.7 (3 x CH
3), 38.3 (C), 46.4 (CH
2-Cl), 69.8 (CH
2-Ph), 71.3 (CH-OPiv), 111.9 (CH), 116.8 (C), 120.5 (CH), 122.9(CH), 126.0 (C), 127.8 (2 x CH), 127.9 (CH), 128.3 (2 x CH), 129.5 (C), 136.0 (C), 136.5 (CH), 144.5 (C), 160.7 (CON), 176.2 (COO).
【0065】
実施例3 式IVの化合物の製造
【化11】
フラスコにTHF2.5mLとトルエン2.5mLとを入れる。混合物を撹拌しながら、p−トルエンスルホン酸(5mg)とモレキュラーシーブ(0.2g)とを加え、30分間撹拌を続ける。ブチル−ビニルエーテル1.5mLと8−(フェニルメトキシ)−5−((R)−2−ブロモ−1−ヒドロキシ−エチル)−(1H)−キノリン−2−オン2gとを加える。反応が終了するまで混合物を20〜25℃で撹拌する。ジイソプロピルエチルアミン0.015mLを加え、混合物をろ過後、溶媒を留去する。
【0066】
残渣をジメチルホルムアミド(DMF)6mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン1.9mL、ヨウ化ナトリウム1.2gおよび2−アミノ−5,6−ジエチルインダン1.5gを加え、混合物を100℃まで加熱する。反応終了後、混合物を20〜25℃に冷却し、濃塩酸0.4mLと水0.4mLを加え、混合物を30分間撹拌する。
【0067】
HPLC分析から、予想される生成物が75%の純度で得られ、二量体不純物や位置異性体不純物を含んでいないことが分かる。
【0068】
上記の混合物を撹拌しながら、水20mL、塩化メチレン20mLおよび6N NaOH3mLを加える。有機相を分離し、水20mLで洗浄する。有機相を蒸留し、溶媒を酢酸エチルに交換して、最終容量を100mLとする。混合物を70℃まで加熱し、L−酒石酸0.8gを加え、70℃で30分間撹拌を続ける。混合物を20〜25℃までゆっくり冷却し、ろ過後、酢酸エチル8mLで洗浄して、8−(フェニルメトキシ)−5−[(R)−2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−(1H)−キノリン−2−オン酒石酸塩を68%の収率で得る。HPLC分析による生成物の純度は>95%である。
【0069】
実施例4 式IVの化合物の製造
【化12】
フラスコにTHF19mLとトルエン19mLとを入れる。p−トルエンスルホン酸(75mg)とモレキュラーシーブ(1.5g)とを加え、混合物を30分間撹拌する。ブチル−ビニルエーテル11.2mLと8−(フェニルメトキシ)−5−((R)−2−ブロモ−1−ヒドロキシ−エチル)−(1H)−キノリン−2−オン15gとを加える。反応が終了するまで混合物を20〜25℃で撹拌する。ジイソプロピルエチルアミン0.1mLを加え、混合物をろ過後、溶媒を留去する。
【0070】
残渣をブタノン40mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン14.5mL、ヨウ化ナトリウム9gおよび2−アミノ−5,6−ジエチルインダン11.3gを加え、混合物を90〜100℃まで加熱する。反応終了後、混合物を20〜25℃に冷却し、濃塩酸3mLと水3mLとを加え、混合物を30分間撹拌する。
【0071】
HPLC分析から、予想される生成物が84%の純度で得られ、二量体不純物や位置異性体不純物を含んでいないことが分かる。
【0072】
上記の混合物を撹拌しながら、水150mL、塩化メチレン150mLおよび6N NaOH22.5mLを加える。有機相を分離し、水10mLで洗浄する。有機相を蒸留し、溶媒をイソプロピルアルコールに交換し、最終容量を300mLとする。混合物を70℃まで加熱し、安息香酸4.9gを加え、70℃で30分間撹拌を続ける。混合物を20〜25℃までゆっくり冷却し、ろ過後、イソプロパノール30mLで洗浄して、8−(フェニルメトキシ)−5−[(R)−2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−(1H)−キノリン−2−オン安息香酸塩を59%の収率で得る。HPLC分析による生成物の純度は>99%である。
【0073】
実施例5 式IVの化合物の製造
【化13】
フラスコにTHF7.5mLとトルエン7.5mLとを入れる。p−トルエンスルホン酸(30mg)とモレキュラーシーブ(0.6g)とを加え、混合物を30分間撹拌する。ブチル−ビニルエーテル4.5mLと8−(フェニルメトキシ)−5−((R)−2−ブロモ−1−ヒドロキシ−エチル)−(1H)−キノリン−2−オン6gとを加える。反応が終了するまで混合物を20〜25℃で撹拌する。ジイソプロピルエチルアミン0.040mLを加え、混合物をろ過後、溶媒を留去する。
【0074】
残渣をアセトニトリル(ACN)18mLに溶解し、ジイソプロピルエチルアミン5.8mL、ヨウ化ナトリウム3.6gおよび2−アミノ−5,6−ジエチルインダン4.5gを加え、混合物を80〜90℃まで加熱する。反応終了後、混合物を20〜25℃に冷却し、濃塩酸1.2mLと水1.2mLとを加え、混合物を30分間撹拌する。HPLC分析から、予想される生成物が89%の純度で得られ、二量体不純物や位置異性体不純物を含んでいないことが分かる。
【0075】
上記の混合物を撹拌しながら、水60mL、塩化メチレン60mLおよび6N NaOH9mLを加える。有機相を分離し、水60mLで洗浄する。有機相を蒸留し、溶媒をイソプロピルアルコールに交換して、最終容量を120mLとする。混合物を70℃まで加熱し、コハク酸1.9gを加え、70℃で30分間撹拌を続ける。混合物を20〜25℃までゆっくり冷却し、ろ過後、イソプロパノール12mLで洗浄して、8−(フェニルメトキシ)−5−[(R)−2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−(1H)−キノリン−2−オンコハク酸塩を56%の収率で得る。HPLC分析による生成物の純度は>99%である。
【0076】
実施例6 EtOH/水による精製
【化14】
8−(フェニルメトキシ)−5−[(R)−2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−(1H)−キノリン−2−オン2.0gに、35mL/gのEtOHと5mL/gの水との混合物を加え、還流温度まで加熱する。還流温度に達したところで、5mL/gの上記のEtOH/水混合溶媒に溶解した安息香酸(1.2eq.)を加える。還流温度を30分間維持する。その後、20〜25℃まで混合物を一晩かけてゆっくり冷却する。得られた懸濁液をろ過して白色固体を得、真空乾燥する。白色固体をHPLC分析してクロマトグラフ純度を求め、またキラルHPLC分析によりエナンチオマー純度を求める。白色固体生成物に含まれるエナンチオマー不純物の割合は0.05%未満である。他の不純物は検出されない。
【0077】
実施例7 アセトン/水による精製
【化15】
8−(フェニルメトキシ)−5−[(R)−2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−(1H)−キノリン−2−オン2.0gに、35mL/gのアセトンと1mL/gの水との混合物を加え、還流温度まで加熱する。還流温度に達したところで、5mL/gの上記のアセトン/水混合溶媒に溶解したジベンゾイル−L−酒石酸一水和物(1.2eq.)を加える。還流温度を30分間維持する。その後、20〜25℃まで混合物を一晩かけてゆっくり冷却する。得られた懸濁液をろ過して白色固体を得、真空乾燥する。白色固体をHPLC分析してクロマトグラフ純度を求め、またキラルHPLC分析によりエナンチオマー純度を求める。白色固体生成物に含まれるエナンチオマー不純物の割合は0.05%未満である。他の不純物は検出されない。
【0078】
実施例8 EtOH/水による精製
【化16】
8−(フェニルメトキシ)−5−[(R)−2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−(1H)−キノリン−2−オン2.0gに、35mL/gのEtOHと5mL/gの水との混合物を加え、還流温度まで加熱する。還流温度に達したところで、5mL/gの上記のEtOH/水混合溶媒に溶解したL−酒石酸(1.2eq.)を加える。還流温度を30分間維持する。その後、20〜25℃まで混合物を一晩かけてゆっくり冷却する。得られた懸濁液をろ過して白色固体を得、真空乾燥する。白色固体をHPLC分析してクロマトグラフ純度を求め、またキラルHPLC分析によりエナンチオマー純度を求める。白色固体生成物に含まれるエナンチオマー不純物の割合は0.06%未満である。他の不純物は検出されない。
【0079】
実施例9 保護されたベンジルインダカテロールの合成
【化17】
別の反応器中において、炭酸ナトリウム(0.57kg/kg、2等量)を水(13L/kg)に溶解した溶液を調製する。この炭酸塩溶液を、実施例1で得られる生成物溶液に加え、ジエチルインダノールアミンHCl(0.72kg/kg、1.2等量)を加える。容量が13L/kgになるまで混合物を大気圧下で加熱蒸留する。水(3L/kg)を加え、容量が13L/kgになるまで混合物を大気圧下で蒸留する。反応系を還流下に置き、20時間還流する。
【0080】
反応終了後、混合物を20〜25℃に冷却し、塩化メチレン(15L/kg)を加える。混合物を撹拌、デカントし、水相を塩化メチレン(5L/kg)で抽出する。有機相を水(5L/kg)で洗浄する。
【0081】
実施例10 インダカテロールマレイン酸塩の製造
【化18】
ジクロロメタン560mL、水560mLおよび6N 水酸化ナトリウム水溶液30mLの混合物を撹拌しながら、8−(フェニルメトキシ)−5−[(R)−2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−(1H)−キノリン−2−オン酒石酸塩28gを溶解する。相を分離し、有機相を水280mLで洗浄する。
【0082】
有機相を蒸留して最終容量を140mLとし、メタノール420mLとPd/C(5%〜50%含水品)4.2gとを加える。反応系を窒素パージし、次いで0.3barの高圧で水素パージし、反応が終了するまで撹拌する。
【0083】
触媒をろ過により除き、溶媒をイソプロパノールに交換して最終容量を950mLに調整する。得られた溶液を70〜80℃まで加熱した後、温度を70〜80℃に維持しながら、イソプロパノール140mLに溶解したマレイン酸5.4gを加えた。混合物を70〜80℃で30分間撹拌後、20〜25℃までゆっくり冷却する。得られた懸濁液をろ過し、固体残渣をイソプロパノール90mLで洗浄後、乾燥してインダカテロールマレイン酸塩18gを得る(収率:79%)。HPLC分析による生成物の純度は99.6%である。
【0084】
実施例11 固体状態のインダカテロール遊離塩基の単離
【化19】
ジクロロメタン20mL、水20mLおよび6N水酸化ナトリウム水溶液1mLの混合物を撹拌しながら、8−(フェニルメトキシ)−5−[(R)−2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−(1H)−キノリン−2−オン酒石酸塩1gを溶解する。相を分離し、有機相を水10mLで洗浄する。
【0085】
有機相を蒸留して最終容量を5mLとし、メタノール15mLとPd/C(5%〜50%含水品)0.15gとを加える。反応系を窒素パージし、次いで0.3barの高圧で水素パージし、反応が終了するまで撹拌する。
【0086】
触媒をろ過により除き、溶媒をイソプロパノールに交換して最終容量を8mLに調整する。得られた懸濁液を0〜5℃に冷却後、ろ過する。固体残渣をイソプロパノールで洗浄した後、乾燥してインダカテロール遊離塩基0.47g(77%)を得る。HPLC分析による純度は99.6%である。
【0087】
インダカテロール遊離塩基試料を20〜25℃で保存し、1か月後に分析しても純度は全く低下しない。
【0088】
実施例12 インダカテロール遊離塩基からのマレイン酸塩の製造
【化20】
固体のインダカテロール0.47gをイソプロパノール20mLに懸濁し、70〜80℃まで加熱する。温度を70〜80℃に維持しながら、イソプロパノール5mLに溶解したマレイン酸0.15gを加える。混合物を0〜5℃に冷却し、生成した固体をろ過すると、インダカテロールマレイン酸塩0.52gが99.7%の純度で得られる。
【0089】
比較例13 インダカテロールマレイン酸塩への直接変換
8−(フェニルメトキシ)−5−[(R)−2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−(1H)−キノリン−2−オン安息香酸塩(4g)を酢酸(40mL)に溶解する。Pd/C(5%、50%湿潤品、0.6g)を加え、生成物を水素雰囲気下で水素化する。反応が終了すれば、触媒をろ過により除き、ろ液を容量が8mLになるまで減圧蒸留する。
【0090】
エタノール(40mL)を加え、混合物を50℃まで加熱する。エタノール2.4mLに溶解したマレイン酸1.2gを加え、混合物にインダカテロールマレイン酸塩を種結晶として加えた後、0〜5℃までゆっくり冷却する。固体をろ過し、エタノール5mLおよびイソプロパノール3mLで洗浄して、インダカテロールマレイン酸塩6.0gを得る。
【0091】
得られた固体の
1H−NMR分析を行うと、酢酸に帰属されるδ1.88(400MHz、DMSO−d
6)のピークの積分値から2〜4%の酢酸の存在が明らかとなる。