特許第6371776号(P6371776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6371776磁気共鳴の拡散強調画像(DWI)のための動作検出および修正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371776
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】磁気共鳴の拡散強調画像(DWI)のための動作検出および修正方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   A61B5/055 382
   A61B5/055 376
   A61B5/055ZDM
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-547221(P2015-547221)
(86)(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公表番号】特表2015-536789(P2015-536789A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】IB2013060691
(87)【国際公開番号】WO2014091374
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年12月2日
(31)【優先権主張番号】61/736,099
(32)【優先日】2012年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ステーニング,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】パーキンス,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】セネガス,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】コイプ,ヨッヒェン
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−128202(JP,A)
【文献】 特開2008−067781(JP,A)
【文献】 特開2006−026076(JP,A)
【文献】 特開平10−155768(JP,A)
【文献】 特開平06−000169(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0249929(US,A1)
【文献】 D. P. Porter,2D-Navigator-Based Re-Acquisition for Motion Artefact Suppression in Multi-Shot, Diffusion-Weighted Imaging,Proc. Intl. Soc. Mag. Reson. Med 14 (2006),2009年,1047
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/563
G01R 33/565
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴画像化システムであって、
少なくとも一つのプロセッサを含み、
前記プロセッサは、
3つの直交する方向において適用される勾配磁場および異なるb値を用いた拡散強調画像化シーケンスに基づいて、患者の関心領域から拡散強調画像データを受信し、
前記受信したデータにおけるデータ冗長性の比較に基づいて、前記受信した画像データの中に存在する動作破損データを検出し、前記データの冗長性は、前記3つの直交する方向において適用される勾配磁場について受け取った前記拡散強調画像データから存在しており、前記動作破損データは、前記3つの直交する方向のうち2つからの前記拡散強調画像データを前記3つの直交する方向のうち第3の直交する勾配磁場の測定からの前記拡散強調画像データと比較することによって検出され、
かつ、
検出された動作破損データについて代替データに取り替える、
ように構成されている、システム。
【請求項2】
前記システムは、さらに、
患者の繰返し性動作の期待される時間インターバルを決定する、繰返し性動作モニタリングユニットと、
前記拡散強調画像データを獲得するために、前記決定された時間インターバルの最中は、前記繰返し性動作の方向に対して垂直方向の画像スライスが取得できるように、前記適用される勾配磁場の方向を調整する、勾配動作コントロールユニットと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記勾配動作コントロールユニットは、前記繰返し性動作が期待されない時間インターバルの最中は、前記繰返し性動作の方向の画像スライスが取得できるように、前記適用される勾配磁場の方向を調整する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
比較される冗長データは、異なる方向的な勾配からのデータを含む、
請求項1乃至3いずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記比較される冗長データは、指数関数的な信号減衰レートからのデータを含む、
請求項1乃至4いずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記比較される冗長データは、同様なb値を用いて異なる空間的方向において適用されるデータを含む、
請求項1乃至5いずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記拡散強調画像化シーケンスは、前記動作破損データの場所を再サンプルするように変更される、
請求項1乃至いずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
磁気共鳴画像化に係る方法であって
3つの直交する方向において適用される勾配磁場および異なるb値を用いた拡散強調画像化シーケンスに基づいて、患者の関心領域から拡散強調画像データを受信するステップと、
前記受信したデータにおけるデータ冗長性の比較に基づいて、前記受信した画像データの中に存在する動作破損データを検出するステップであり、前記データの冗長性は、前記3つの直交する方向において適用される勾配磁場について受け取った前記拡散強調画像データから存在しており、前記動作破損データは、前記3つの直交する方向のうち2つからの前記拡散強調画像データを前記3つの直交する方向のうち第3の直交する勾配磁場の測定からの前記拡散強調画像データと比較することによって検出される、ステップと、
検出された動作破損データについて代替データに取り替えるステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記方法は、さらに、
患者の繰返し性動作の期待される時間インターバルを決定するステップと、
前記拡散強調画像データを獲得するために、前記決定された時間インターバルの最中は、前記繰返し性動作の方向に対して垂直方向の画像スライスが取得できるように、前記適用される勾配磁場の方向を調整するステップと、
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、さらに、
前記繰返し性動作が期待されない時間インターバルの最中は、前記繰返し性動作の方向の画像スライスが取得できるように、前記適用される勾配磁場の方向調整するステップと、
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記比較される冗長なデータは、
異なる方向的な勾配、
指数関数的な信号減衰レート、または、
異なる空間的方向において適用される同様なb値、
のうち少なくとも一つからのデータを含む、
請求項8乃至10いずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、さらに、
前記動作破損データの場所を再サンプルするように前記拡散強調画像化シーケンスを変更するステップと、
を含む、請求項8乃至11いずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ソフトウェアを搬送する固定のコンピュータで読取り可能な媒体であって、
前記ソフトウェアは、実行されると、
請求項8乃至12いずれか一項に記載の方法を実施するように、一つまたはそれ以上の電子的データ処理デバイスをコントロールする、
固定のコンピュータで読取り可能な媒体。
【請求項14】
請求項8乃至12いずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている、
電子的データ処理デバイス。
【請求項15】
3つの直交する方向において適用される勾配磁場および異なるb値を用いた拡散強調画像化シーケンスに基づいて、患者の関心領域から拡散強調画像データを受信するプロセッサと、
患者の繰返し性動作の期待される時間インターバルを決定する、繰返し性動作モニタリングユニットと、
前記患者の前記拡散強調画像データを獲得するために、前記決定された時間インターバルの最中は、繰返し性動作の方向に対して垂直方向の画像スライスが取得できるように、3つの軸に沿って適用される前記勾配磁場の方向を調整する、勾配動作コントロールユニットと、
を含む、磁気共鳴システム。
【請求項16】
繰返し性動作モニタリングユニットは、
前記患者に動作可能に接続された、呼吸動作の時間インターバルを決定する呼吸モニタ、または
前記患者に動作可能に接続された、心臓動作の時間インターバルを決定する心電図モニタ、
のうち少なくとも一つを含む、
請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に医療用画像化に関し、磁気共鳴の拡散強調画像および動作検出/修正に併せた所定のアプリケーションに関し、特にそれを参照して説明される。しかしながら、本発明は、他の使用シナリオにおいてもアプリケーションが見出されること、および、前述のアプリケーションに必ずしも限定されるものではないことが理解されよう。
【背景技術】
【0002】
拡散強調画像(Diffusion Weighted Imaging:DWI)は、肝臓といった体の組織における水分子の微視的な動作に係る調査である。磁気共鳴DWIは、典型的にカラーでコントラストされた組織における微視的な動作の方向と距離を示す画像を生成する。拡散に係る詳細は、画像化された組織の微視的な詳細を明らかにすることができ、病的な状態または健康的な状態を示すことができる。肝臓の典型的なMRIスキャンにおいては拡散が面直方向に等方性であるが、画像スライスのためのデータポイントのフルセットは、典型的に第1の振幅および方向に係る磁場勾配を用いて獲得される。プロセスは、3つの直交する全ての方向について繰り返される。画像化は、種々の勾配強度について、さらに繰り返され、それぞれのボクセルに対するbカーブ値(b−curve value)が得られる。bカーブ値は、拡散の方向とレート(rate)を示すものである。肝臓において急速に成長する腫瘍は、限られた拡散パターンとして明白である。
【0003】
しかしながら、画像化プロセスの最中の患者動作またはバルク(bulk)動作は、測定された拡散を何十倍も圧倒してしまう。バルク動作は、咳、くしゃみ、シフト、等といった非繰返し性の動作、及び/又は、呼吸動作および心臓動作といった繰返し性動作を含んでいる。加えて、患者動作を標準的に調整することができるシステムナビゲータエコーは、肝臓と横隔膜の境界において典型的に生成され、従って、肝臓のDWIには利用可能でない。
【0004】
DWIにおけるバルク動作を取り扱う一つのアプローチは、動作方向に垂直に画像スライスを並べ直すことである。このアプローチは画像アーチファクトを低減し得るが、DWI測定の精度は取り扱わない。別のアプローチは、画像再構成の最中に、結果として生じる空間的に変動する非線形なフェイズを考慮することである。それぞれの拡散方向に対して、異なる空間的に変動するフェイズ情報を反映するために、コイル感度マップを変更することによるものである。このアプローチは、動作アーチファクトについて修正するが、拡散強調の修正量を復元するために、それぞれのボクセルにおける動作パターンの正確な知識を要求する。それは容易に利用可能なものでない
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以降には、MR−DWIにおける動作検出と修正のための新規で改善された方法およびシステムが開示され、上記の問題、及び他の問題を取り扱う。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様に従って、磁気共鳴画像化システムは、異なる方向において適用される勾配磁場および異なるb値を用いた拡散強調画像化シーケンスに基づいて拡散強調画像データを受信するように構成されている、少なくとも一つのプロセッサを含む。少なくとも一つのプロセッサは、さらに、受信したデータにおけるデータ冗長性の比較に基づいて受信した画像データの中に存在する動作破損データを検出し、かつ、検出された動作破損データについて代替データに取り替える、ように構成されている。
【0007】
別の態様に従って、磁気共鳴画像化に係る方法は、異なる方向において適用される勾配磁場および異なるb値を用いた拡散強調画像化シーケンスに基づいて、拡散強調画像データを受信するステップを含む。受信した画像データの中に存在する動作破損データは、受信したデータにおけるデータ冗長性の比較に基づいて検出される。検出された動作破損データについては代替データに取り替えられる。
【0008】
別の態様に従って、磁気共鳴システムは、繰返し性動作モニタリングユニットと勾配動作コントロールユニットを含む。繰返し性動作モニタリングユニットは、患者の繰返し性動作の期待される時間インターバルを決定する。勾配動作コントロールユニットは、患者の拡散強調画像データを獲得するために、決定された時間インターバルの最中に繰返し性動作の方向について垂直に感度がよいように、3つの軸に沿って適用される勾配磁場の方向的な感度を調整する。
【0009】
一つの利点は、MR−DWIにおける拡散測定におけるバルク動作のインパクトが最小化されることである。
【0010】
別の利点は、拡散強調画像においてバルクの連続的動作破損を回避することにある。
【0011】
別の利点は、拡散強調画像データにおけるバルク動作の検出にある。
【0012】
別の利点は、磁気共鳴の拡散強調画像データにおいて検出されたバルク動作の修正にある。
【0013】
さらなる利点は、以降の詳細な説明を読んで理解することで、当業者には正しく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、種々のコンポーネントとコンポーネントの構成、および、種々のステップとステップの構成における形式であってよい。図面は、好適な実施例を説明する目的だけのものであり、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
図1図1は、バルク動作検出と修正を用いた拡散強調磁気共鳴画像化システムに係る一つの実施例を模式的に示している。
図2図2は、繰り返しの動作モニタリングおよび勾配磁場の変更を含む、拡散強調磁気共鳴画像化システムに係る一つの実施例を模式的に示している。
図3図3は、バルク動作の回避、検出、および、修正を含む、拡散強調磁気共鳴画像化に係る一つの実施例を使用する一つの方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、磁気共鳴(MR)システム1に係る一つの実施例が模式的に示されている。システム1は、オープンシステム、または、断面図に示される、c型スキャナ、水平ボアスキャナ、等といったMRスキャナ2を含んでいる。スキャナは、検査領域を定める開口部またはボアを含んでおり、患者4は、分光学的及び/又は画像検査のためその中に置かれる。MRスキャナ2は、オープンシステムにおいてc型の鉄金属フラックスリターンパスを伴う一つまたはそれ以上のメインマグネット6、一つまたはそれ以上のラジオ周波数(RF)コイル8、および、一つまたはそれ以上の勾配コイル10を含んでいる。c型メインマグネット6は、鉛直静的フィールドといった鉛直静的Bフィールドを生成する。代替的には、ボアマグネットが水平静的Bフィールドを生成する。
【0016】
システム1は、DWIシーケンスのオペレーションをコントロールするシーケンスコントローラ12、RFコイル8のオペレーションをコントロールするRF送信ユニット14、および、勾配コイル10のオペレーションをコントロールする勾配コントローラ16を含んでいる。コントロールするユニットと対応するコイルとの間の通信は、無線または有線であってよい。RFコイル8は、ラジオ周波数パルスを生成し、患者4の組織における共振を励起して操作する。RFコイル8は、全身コイル、及び/又は、胴コイル、手コイル、肩コイル、膝コイル、等といった局所コイルを含んでよい。
【0017】
一つまたはそれ以上の勾配コイル10は、静的磁場および患者4の肝臓といった興味領域にわたり勾配磁場を生成し、引き起こされた共振、引き起こされた勾配エコー、等を空間的に符号化する。勾配磁場は、異なる方向において興味領域にわたり適用され、及び/又は、あらゆる一つのボクセルにおいて受信された画像データにおけるオーバーラップからデータ冗長性が生じるように、異なるb値(b−value)を使用している。b値は、拡散符号化勾配の持続時間と強度の積算を表しており、秒/平方ミリメートル(sec/mm)単位で測定される。シーケンスコントローラ12は、RFコイルと勾配コイルを構成し、DWIシーケンスに基づいて、患者の組織の中で共振を励起して操作する。
【0018】
システム1は、RF受信器ユニット18を含んでおり、MR−DWI信号を受信する。患者の組織において共振が減衰すると、RFコイル8及び/又はローカルコイルといったラジオ周波数アンテナによって、弱いラジオ周波数信号またはMR−DWI信号が受信され、RF受信器ユニット18に対して送信される。
【0019】
システムは、バルク動作検出ユニット20、拡散強調画像(DWI)修正ユニット22、および、再構成ユニット24を含んでいる。バルク動作検出ユニット20は、RF受信器からRFデータまたはMR−DWIデータを受信し、受信したデータのデータ冗長性に基づいて、動作を検出または動作破損データ(motion corrupted data)を決定する。検出は、MR−DWIデータまたはMR−DWIデータの部分的な再構成に適用することができる。データ冗長性が、異なる方向性の勾配磁場、指数関数的な信号減衰レート、及び/又は、異なる空間的方向で適用される同様なb値において受信されたデータから存在する。方向及び/又はレートのいずれかに対して比較ができ、単一の変数または複数の変数があってよい。
【0020】
MR−DWIデータは、3つの直交する方向において適用され、または、コンポーネントとして3つの直交する方向を含む、異なる方向性の勾配磁場からのデータを含んでいる。適用された勾配磁場は3次元である。異なる方向性の勾配磁場の結果として、磁場は個々のボクセルにおいてオーバーラップする。2つの異なる方向から適用された3次元勾配磁場は、拡散動作を測定するため、及び/又は、第3の直交する勾配磁場の測定と比較するために、十分な情報を提供する。閾値量を超える測定における差異は、動作アーチファクトまたは動作破損であると判断される。
【0021】
一つの方向に沿ったMR−DWI受信信号および動作レートは、パルスシーケンスと適用された勾配磁場に基づいて、既知または期待される指数関数的な信号減衰レートに従う。測定された指数関数的な信号減衰における、動作の距離と方向および期待される指数関数的な信号減衰レートに基づいた閾値量を超える変化は、動作破損であると判断される。指数関数的な信号減衰レートは、異なる方向性の勾配磁場を含む多変量比較に含まれ得る。
【0022】
MR−DWI画像化シーケンスは、異なる方向において同様なb値を用いて適用される。b値は、同一の拡散動作に係る同様な測定値を提供し、かつ、それぞれのb値は、特定され、MR−DWIデータのサブセットと関連付けられる。MR−DWIとの比較は、それぞれのb値に関連するデータのMR−DWIサブセットに係る拡散を外挿(extrapolate)または内挿(interpolate)する。異なるb値からの測定値における閾値を超える差異は、動作破損であると判断される。異なるb値は、異なる方向性の勾配磁場及び/又は指数関数的な信号減衰レートを含む多変量比較の中に含まれ得る。
【0023】
一つの実施例において、肝臓のMR−DWI画像データにおける測定された拡散は、ニアレストネイバー(nearest neighbor)比較を含み得る。例えば、3次元において、それぞれのボクセルは、26個の他のボクセルによって取り囲まれる。肝臓において拡散は等方性であるが、一つのボクセルから次の周辺のボクセルを考慮しているピクセルへの変化は、比較的に方向が一貫しており、かつ、距離が徐々に変化する。閾値量を超える差異は、動作破損であると判断される。ニアレストネイバー比較は、異なるb値、異なる方向性の勾配磁場、及び/又は、指数関数的な信号減衰レートを含む多変量比較の中に含まれてよい。
【0024】
DWI修正ユニット22は、破損データを代替データに取り替える。取り替えられたデータは、異なる方向性の勾配磁気、異なるb値、及び/又は、判断された動作破損データを伴うボリュームを再サンプルするためのDWIシーケンスの変更、に基づくデータであり得る。動作破損を判断するために使用される冗長データは、動作破損データを置き換えるために使用され得る。例えば、異なる方向性の勾配磁場に係るあらゆる2つは、第3の勾配磁場におけるボクセル位置の値を決定するために使用され得る。そこでは、勾配磁場は、直交し、3次元であり、かつ、全てがボクセル位置と交差する。異なるb値を伴うMR−DWIデータは、また、異なる方向性の勾配磁場の代わりに、または、追加して使用され得る。
【0025】
再構成ユニット24、構成されたプロセッサといったものは、DWI修正ユニット20からの修正されたMR−DWIデータを処理し、かつ、DWI獲得シーケンスからの画像スライス、ボリューム、等といった、修正されたMR−DWIからの一つまたはそれ以上の画像を再構成する。再構成されたMR−DWI画像は、検出された動作および取り替えられた代替データに基づいて動作修正される。再構成された画像は、以下のようなメモリの中に保管され得る。サーバーまたはプロセッサのメモリ、ローカルディスクストレージ、クラウドストレージ、及び/又は、画像保存通信システム(PACS)、放射線医学情報システム(RIS)、等といったものである。
【0026】
システムは、電子的プロセッサ又は電子的処理デバイス28を含むワークステーション26、再構成されたDWI画像、メニュー、パネル及びユーザコントロールを表示するディスプレイデバイス30、および、健康管理開業医の選択及び/又は命令を入力する少なくとも一つの入力デバイス32を含んでいる。例えば、健康管理開業医は、ディスプレイデバイス上に表示されたメニューからMR−DWI画像化シーケンスを選択することができる。ワークステーション26は、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレット、モバイルコンピューティングデバイス、スマートフォン、等であってよい。ディスプレイデバイス30は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、ブラウン管(CRT)、ストレージチューブ、フラットパネルディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、電界発光ディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プロジェクタ、等を含んでよい。入力デバイス32は、キーボード、マウス、マイクロフォン、等であってよい。
【0027】
種々のユニットまたはモジュール20、22および24は、ワークステーション26の電子的プロセッサまたは電子的処理デバイス28といった、電子的データ処理デバイスによって、または、ネットワーク34によりワークステーション26と動作可能に接続されたネットワークベースのサーバーコンピュータ、等によって、好適に具現化される。ユーザインターフェイスは、ワークステーション26によって好適に具現化される。さらに、開示された動作検出、動作修正、および、再構成の技術は、電子的データ処理デバイスにより読取り可能であり、かつ、開示された技術を実施するように電子的データ処理デバイスにより実行可能なインストラクション(例えば、ソフトウェア)を保管している固定のストレージ媒体を使用して、好適に実施される。
【0028】
図2を参照すると、繰り返しの動作モニタリングと勾配磁場変更を含む拡散強調磁気共鳴画像化システム1の一つの実施例が模式的に示されている。システム1は、関連するコントロールデバイス(例えば、シーケンスコントローラ12、勾配コントロール16、等)を伴うMRスキャナ2、再構成ユニット24、および、MR−DWIシーケンスの最中に患者4の繰返し性動作をモニタするモニタリングデバイスを含む。モニタリングデバイスは、呼吸モニタ36、及び/又は、心臓モニタ38を含み得る。呼吸ベローズ(bellows)といった呼吸モニタ36は、呼吸サイクルのタイミングを提供する。呼吸モニタは、そこから呼吸による動作の期待される時間インターバルを決定することができる信号を提供する。同様に、心臓モニタ38は、それによって心臓サイクルを決定することができるECG信号を提供する。ECG信号は、動作を伴う期待される時間インターバル、および、動作を伴わない期待される時間インターバルを提供する。
【0029】
システムは、繰返し性動作モニタリングユニット40および勾配動作コントロールユニット42を含んでいる。繰返し性動作モニタリングユニット40は、呼吸信号及び/又はECG信号を受信して、患者4の繰返し性動作および非繰返し性動作の期待されるインターバルを決定する。勾配動作コントロールユニット42は、繰返し性動作および非繰返し性動作に係る決定された期待されるインターバルに基づいて、適用される勾配磁場を調整する。勾配磁場は、決定された繰返し性動作の時間の最中の動作方向に対して垂直に感度がよく、及び/又は、決定された非繰返し性動作の時間の最中の動作方向に対して感度がよいように調整される。勾配動作コントロールユニット42は、MR−DWIシーケンスに基づいて、図1に示されるように、決定されたタイミングと調整を勾配コントロール16に対して伝達する。繰返し性動作モニタリングユニット40および勾配動作コントロールユニット42は、ワークステーション26の電子的プロセッサまたは電子的処理デバイス28といった、電子的データ処理デバイスによって、または、ネットワーク34によりワークステーション26と動作可能に接続されたネットワークベースのサーバーコンピュータ、等によって、好適に具現化される。システム1は、図1について説明したように、バルク動作検出ユニット20およびDWI修正ユニット22を含み得る。モニタリングデバイスは、呼吸ベローズ36及び/又はECGリード(lead)38のいずれかに動作可能に接続された、ワークステーション26のプロセッサ28といった、一つまたはそれ以上の構成されたプロセッサによって好適に具現化され、かつ、インストラクションを保管している固定のストレージ媒体を使用して実施される。繰返し性モニタリングユニット40は、動作および非動作の予測されるインターバルを決定するようにさらに構成されたモニタリングデバイスを用いて好適に具現化される。
【0030】
図3は、バルク動作の回避、検出、および、修正を含む、拡散強調磁気共鳴画像化に係る一つの実施例を使用する一つの方法のフローチャートである。ステップ44においては、図2について説明したように、呼吸ベローズまたはECGリードといったモニタリングデバイスによって、繰返し性動作データが獲得される。繰返し性動作モニタリングユニット40は、呼吸及び/又は心臓信号を受信して、関連する動作および非動作の期待される時間インターバルを用いて種々のサイクルの時間インターバルを決定する。ステップ46においては、繰返し性動作および非繰返し性動作の期待される時間インターバルに基づいて、DWIシーケンスにおいて適用される勾配磁場が調整される。適用されるインターバルは、非動作の決定された時間インターバルの最中に繰返し性動作について方向的に感度がよく、かつ、繰返し性動作の決定された時間インターバルの最中に繰返し性動作について垂直に方向的に感度がよいように調整される。このように、期待される時間インターバルの最中の勾配磁場の調整が、拡散強調画像におけるバルク繰返し性動作を回避する。
【0031】
ステップ48においては、拡散強調画像化シーケンスに基づいて、DWIデータが獲得される。DWIデータは、3つの異なる直交するコンポーネントを伴う、3つの直交する又は異なる方向において適用される勾配磁場を用いて、かつ、異なるb値を用いて獲得される。DWIデータは、RF受信器によって受信される。
【0032】
ステップ50においては、獲得されたDWIデータにおけるデータ冗長性の比較に基づいて、獲得されたDWIデータの中のバルク動作が検出される。バルク動作は、RF受信器から受け取った獲得データを用いてバルク動作検出ユニット20によって検出される。異なる方向性の勾配軸、指数関数的な信号減衰レート、及び/又は、異なる空間的方向に適用される同等なb値、に係る比較に基づくものである。バルク動作検出ユニットは、動作破損データの場所を判断する。
【0033】
ステップ52においては、DWI動作修正ユニット22によってバルク動作破損DWIデータが修正される。修正されたDWIデータは、破損したデータのための代替データの取り替えを含んでいる。異なる勾配方向、異なるb値、及び/又は、動作破損データの場所の再サンプリングを用いるものである。
【0034】
ステップ54においては、動作修正されたDWIデータが、再構成ユニット24によって再構成される。再構成ユニットは、修正されたDWIデータから画像を再構成する。ステップ56において、動作修正されたDWI画像は、ディスプレイデバイス30上に表示され、及び/又は、ストレージ管理システムに保管され得る。
【0035】
ここにおいて提示された特定の説明的な実施例に関して、所定の構成及び/又は機能の特徴が、定められたエレメント及び/又はコンポーネントの中に組み入れられているものとして記述されていることが正しく理解されるべきである。しかしながら、これらの特徴は、また、同一または類似の利点に対して、好適な他のエレメント及び/又はコンポーネントの中に同様に組み込まれているものと考えられる。所望のアプリケーションに対して適切な他の代替的な実施例を達成するために、典型的な実施例に係る異なる態様が、好適であるとして選択的に使用され得ることも正しく理解されるべきである。態様に係るそれぞれの利点をそれによって実現する他の代替的な実施例は、その中に組み込まれている。
【0036】
ここにおいて説明された所定のエレメントまたはコンポーネントは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または、それらの組み合わせを介して、その機能性を好適に実施させ得ることも、正しく理解されるべきである。加えて、一緒に組み込まれているものとしてここにおいて説明された所定のエレメントは、好適な環境下において、スタンドアロンなエレメントであるか、そうでなければ、分割されることが正しく理解されるべきである。同様に、一つの所定のエレメントによって実行されるものとして説明された複数の所定の機能性は、個々の機能性を個別に実行するように動作する複数の別個のエレメントによって実行されてよい。または、所定の個々の機能性は、分割され、協調している複数の別個のエレメントによって実行されてよい。代替的に、そうでなければ、ここにおいて、お互いに別個のものとして説明及び/又は示される、いくつかのエレメントまたはコンポーネントは、物理的または機能的に好適に組み合わされてよい。
【0037】
つまり、本発明の仕様は、好ましい実施例に関して明らかにされてきた。本発明の明細書を読んで理解すれば、他人に対して変形および代替が生じるのが明らかである。全てのこうした変形および代替は、それが添付の特許請求の範囲内にあるか、それらの均等物である限り、本発明に含まれるものとして理解されるべきであることが意図されている。つまり、上記に開示された種々のもの、他の特徴と機能性、または、それらの代替は、多くの他の異なるシステムまたはアプリケーションの中に望ましくは結合されてよいことが正しく理解されるべきである。そして、また、種々の現在では予見できない、もしくは、予期しない代替、変形、変化、または、改善が、当業者によって後に行われ、同様に、以降の特許請求の範囲によって包含されるように意図されていることも、正しく理解されるべきである。
図1
図2
図3