(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施の形態は、本発明の主題に係る「冷凍保存・加熱用食料品」の一例として、非真空パック済みホットドッグ製品の構成及びその加熱処理に於ける作用・効果について記載する。ここで、「ホットドッグ」(ホットドッグ製品中の「食料品本体」に該当。)は、食用時に於いて、パンと共に食欲向上に十分な温かい状態にあるソーセージが細長い形状のパンによって挟まれた状態にある、サンドイッチの一種である。本実施の形態では、細長い形状のパンの延在方向を、「食料品本体の長手方向」と定義する。
【0015】
<非真空状態でのパック済みホットドッグ製品の構成>
【0016】
図1は、本実施の形態に係る非真空状態でのパック済みホットドッグ製品(以下「パック済みホットドッグ製品」という。)10の内部透視構成を模式的に示す斜視図である。
図1中、破線、一点鎖線及び二点鎖線の各部分は、外観からは視認できない食材等を示す部分である。パック済みホットドッグ製品10は、食用時以外の時には、
図1に例示されている構成の状態に於いて、冷凍庫又は冷蔵庫の冷凍室(図示せず。以下「冷凍庫等」という。)内に保存ないしは保管されている。食用時には、パック済みホットドッグ製品10自体が、冷凍庫等から取り出されたままの状態に於いて、電子レンジ等の加熱機器により加熱される。
【0017】
又、
図2は、
図1に於ける断線IA−IBに関するパック済みホットドッグ製品10の縦断面構成を模式的に示す断面図である。
【0018】
図1及び
図2に於いて、「食料品本体」としてのホットドッグは、1)パン1、2)ソーセージ2、3)ソース5及び/又は4)キャベツ等の野菜若しくは調理済みのタマゴ等の他の食材・具材(図示せず。)を有する。
【0019】
これらの食材の内で、パン1は、ホットドッグ向けに適した構成(ホットドッグ用パン本体)を有する。具体的には、パン1は、小型のコッペパンの様に長手方向LDに延在した細長い形状のパンであり、且つ、その長手方向LDに沿ってパン1の上部に底部に向けて垂直方向に設けられた切り込み1Cを有している。そして、パン1の中央部は、長手方向LDに沿って、切り込み1Cと繋がった中空の空間1CSを成している。
【0020】
ソーセージ2(「肉類食品」に該当。)は、長手方向LDに沿って、パン1の切り込み1Cを介して、パン1の中央部の空間1CS内に、パン1の裏面1RSによって挟まれた状態で、設けられている。ソーセージ2は、豚肉等を原材料とするフランクフルト等であり、所定の厚みを有する。
【0021】
ソース5は、例えばケッチャプを基本的な素材とし、その中に刻み込まれたキャベツ等の野菜等の具を含んでいる。勿論、野菜等の具は、ソース5内に含まれていなくても良い。
図2に於いては、図示の便宜上、ソース5とパン1の溝状の中央部空間1CSを成す裏面1RSとの間に空間が描かれているが、実際には、ソース5は、パン1の裏面1RS上に塗られているので、上記空間は殆ど無いと言える。
【0022】
ここで、本実施の形態に於いては、ソース5は、液状ではなくて、味噌の様な半固体状態ないしはGEL(ジェル)状の固まり体を成す様に、調理されている。そのため、ソース5がパン1の裏面1RS上に塗られても、その後にソース5が裏面1RSからパン1の内部に亘って浸透していくことはなく、パン1の裏面1RSとソーセージ2の表面2Sとに挟まれた状態を保っている。その結果、当該ホットドッグの食用時に、人は、ソース5全体の風味・食味をも十分に味わうことが出来る。液状のソースでは、時間の経過と共に、ソースはパン1の内部に浸透して吸収されてしまい、十分な厚みのソースの層が形成されない。
【0023】
場合に応じては、パン1の切り込み1Cの部分或いはソース5とパン1の裏面1RSとの間に、その他の食材ないしは具材が設けられても良い。
【0024】
図1及び
図2に於いて、パック済みホットドッグ製品10の中核部を成す第1包装体3は、食料品本体の表面ないしはパン1の表面1Sの内で長手方向LDに沿った表面部分に巻き付けられた状態で食料品本体の表面ないしはパン1の表面1Sを包み込む、一枚のシート状の包装体である。第1包装体3は、一枚のシートであって、袋状のものではなく、従って、パン1の表面1Sを完全に被覆ないしは覆うものではなく、あくまでもパン1の表面1Sを包み込むものである。よって、パン1の表面1Sの全体がシート状の第1包装体3によって包まれている場合であっても、長手方向LD側からパン1及びソーセージ2のサイド側の端部1E,2Eを眺めた場合に於いては、パン1及びソーセージ2の両端部1E,2Eの存在は視認され得るのである。ここで、第1包装体3の裏面は、パン1の表面1Sに当接しつつ当該表面1Sを全面的に又は部分的に包み込んではいるが(当該裏面と表面1Sとの間に多少の隙間はあっても良い。)、その包み込み状態に於いて、当該裏面がパン1の表面1Sに付着乃至は接着している訳ではない。
【0025】
図2では、一例として、第1包装体3は、略2回分、パン1の表面1Sの内で長手方向LDに沿った表面部分に巻き付けられた状態として示されている。尚、第1包装体3は、その巻き付けられた状態が崩れない様に当該巻き付けられた状態を保持していれば良いのであり、その観点からは、第1包装体3は、少なくとも1回分だけ、パン1の表面1Sの内で長手方向LDに沿った表面部分に巻き付けられていれば良い。その場合に於いても、第1包装体3が複数回分、パン1の表面1Sの内で長手方向LDに沿った表面部分に巻き付けられている場合と同様の後述する作用・効果が、得られる。
【0026】
又、上記表面部分に巻き付けられている第1包装体3による食料品本体の表面の包み込み状態(換言すれば、第1包装体3の長手方向LDに於ける寸法)に関しては、1)第1包装体3はパン1の表面1Sの全体を包み込んでいても良く、或いは、2)第1包装体3はパン1の表面1Sの内でパン1の両端部を除く表面部分のみを部分的に包み込んでいても良い。後者2)の場合には、パン1の両端部1E及びソーセージ2の両端部2Eは、上記表面部分に巻き付けられている第1包装体3の縁部3Eより突出している状態となる。斯かる状態が、一例として、
図1に描かれている。勿論、パン1の両端部1E及びソーセージ2の両端部2Eの一方の端部のみが、上記表面部分に巻き付けられている第1包装体3の縁部3Eより突出している状態であっても良い。これらの包み込み状態1)及び2)の何れの場合に於いても、後述する作用・効果が、同様に得られる。
【0027】
ここで、一枚のシート状の第1包装体3は、不織布又は紙の何れか一方より成る。「不織布」は、既知の通り、繊維を織らずに絡み合わせて成るシート状の、工業的に製造される布、即ち、繊維を織っていない状態の布である。尚、日本工業規格では、紙は不織布に含まれない。上記の不織布又は紙は、市場に於いて入手可能な汎用品であって良い。
【0028】
第1包装体3に適用される不織布の種類は、限定されるものではなく、任意である。好ましくは、例えば、刺身の下に敷くために用いられる不織布、或いは、ナシ等の果物を包むために用いられる不織布という様な、食品用として用いられる不織布が、より一層の作用・効果を奏し得ることが本発明者によって実験的に確認されている点で、適している。
【0029】
又、第1包装体3に適用される紙の種類も限定されるものではなく、任意である。例えば、紙としては、木材を原材料とするパルプより成る洋紙であっても良く、或いは、和紙であっても良い。
【0030】
又、第1包装体3に適用される不織布又は紙の厚みも、当該厚み如何に拘わらず同等の作用・効果が得られることが本発明者によって実験的に確認されている点で、任意であり、限定されない。
【0031】
更に、
図1及び
図2に示される第2包装体4は、「食料品本体」としての上記ホットドッグ及び第1包装体3を、非真空状態の下で、全体的に密閉してパックしている。従って、第2包装体4は、第1包装体3の表面及び/又は上記ホットドッグの表面とほぼ密接ないしは当接した状態にはあるが、厳密には、第2包装体4と第1包装体3の上記表面等との間には空隙が存在しており、当該空隙内に空気が存在する。斯かる空隙内の空気の存在により、本実施の形態に於ける第1包装体3は、既述した従来技術に於ける真空状態の下で第2包装体によってパッキングされている第1包装体が奏する放熱源としての機能(ホットドッグ本体側のみへ向けて一方方向で熱を伝導する機能。)を、呈することは無い。第2包装体4としては、例えば、市販のビニール袋又はナイロン袋が適用される。尚、
図1に於いて二点鎖線で示される参照符号4EPは、第2包装体4内に、巻き付けられた状態の第1包装体3によって包み込まれた上記ホットドッグを挿入した上で、その後に第2包装体4の内部を密封するための挿入・密封口である。
【0032】
<冷凍保存されているパック済みホットドッグ製品10の加熱処理(作用・効果>
【0033】
図1及び
図2に記載された構成を有する、冷凍保存されているパック済みホットドッグ製品10を冷凍庫等より取り出した上で、パック済みホットドッグ製品10をそのままの状態にて電子レンジ内に配置して当該電子レンジによりパック済みホットドッグ製品10を一回の加熱処理で加熱した。加熱後に直ちにパック済みホットドッグ製品10を当該電子レンジより取り出して、第2包装体4の開封した上で、第1包装体3をホットドッグ本体から取り外してホットドッグ本体の試食を行った。
【0034】
この場合、パン1の全体は、人の食欲を向上させ得る程度の温度に十分に温められており、且つ、開封後のパン1の生地の硬化は生じなかった。即ち、上記温度に温められたパン1自体は、開封後も、人の食欲を向上させ得るのに適した、全体的に水分を含んだ状態を保持している。同様に、ソーセージ2も、ソース5等と共に、パン1の温かさとほぼ同様の、人の食欲を向上させ得る程度の温度にまで十分に温められていた。そのため、人は、何れも食べやすい温度に温められた、パン1とその内部のソーセージ2とソース5等とを、同時に味わうことが出来た。
【0035】
斯かる試食結果は、第1包装体3の巻き付け回数、及び、第1包装体3によるパン1の包み込み状態(全体的にパン1の表面を包み込んでいるか又はパン1の両端部を突出させて部分的にパン1の表面の略中央部を包み込んでいるかの点)の如何に依存することなく、同様に、得られた。
【0036】
本実施の形態に係るパック済みホットドッグ製品10に於いては、不織布又は紙の何れか一方より成る一枚のシート状の第1包装体3が、「食料品本体」としてのホットドッグ本体の表面1Sの内で長手方向LDに沿った表面部分に巻き付けられた状態で当該ホットドッグ本体の表面1Sを包み込んでいる。そして、第2包装体4は、非真空状態に於いて、第1包装体3で包み込まれた当該ホットドッグ本体の全体を密封しており、そのために、第1包装体3の表面と第2包装体4の裏面との間には、空気が存在している。斯かる構造が、電子レンジによる加熱処理によってパン1及びソーセージ2等を共に人の食欲を向上させ得る程度の温度にまで十分に温めた場合に於いて、当該加熱処理を通じてパン1の生地の硬化を防止して、べた付く事無く全体的に水分を保持した食欲に適したパン1を加熱終了直後の時点でも実現可能にしたと、考えられる。その結果、パック済みホットドッグ製品10の家庭用食料品として要求されるレベルまでの価格への低価格化という、本実施の形態にとって本質的な効果が、十分に得られることとなる。即ち、既述の従来技術(特許文献1)の構成に於いて採用されていた、相対的に高価なエアーミック(登録商標)という製品の包装袋より成る第1包装体は、本実施の形態では採用されていない。その代わりに、本実施の形態では、相対的に格段に低価格な部材である一枚のシート状の不織布又は紙が、上記の第1包装体3の部材として端的に採用・適用されている。斯かる第1包装体3の構成は、パック済みホットドッグ製品10のコスト削減化・低価格化に多大なる貢献を成している。しかも、第2包装体4は、単に、非真空状態の下で、当該包装体4内に収納されている、第1包装体3で包まれたホットドッグ本体を密封してパッキングしているにすぎず、その結果、既述の従来技術(特許文献1)で採用されていた真空引き工程は、本実施の形態では採用されていない。斯かる第2包装体4の構成の採用もまた、パック済みホットドッグ製品10のコスト削減化・低価格化に少なからずの寄与を成している。既述の従来技術(特許文献1)に代わる、これらの第1及び第2包装体3,4の構成の採用により、結果として、本実施の形態では、既述の従来技術(特許文献1)を適用して成るパック済みホットドッグ製品の価格と比較して、パック済みホットドッグ製品10の価格を約1/3の価格にまで低減することが可能となった。斯かるコスト削減効果は、業務用食料品としての普及の促進は勿論のこと、家庭用食料品としての当該パック済みホットドッグ製品10の普及を格段に促進し得る効果を導くものである。
【0037】
以上の作用・効果をもたらす動作原理は次の通りであると、本発明者は思考する。
【0038】
即ち、既述の通り、第2包装体4の裏面と第1包装体3の表面との間には、密封状態であっても、非真空状態であるため、空気が存在しているので、第1包装体3は、パン1及びソーセージ2側に対してのみ、ほぼ一方向で熱を発して伝導する効率性に富んだ放熱源を構成し得ない。そのため、電子レンジ等の加熱機器に於ける加熱時間・加熱パワーを適切に設定して、パンのみならず、ソーセージをも食欲を高める程度にまで温めようとすると、パンが更に高温状態となって加熱されてしまい、加熱機器よりホットドッグ本体を取り出した後に、内部の水分の乾燥により、急速に、パンの生地の表面が固くなってしまい、ホットドッグ本体が全体的に食用に適さない状態となってしまうおそれがある。
【0039】
しかし、本実施の形態では、一回の加熱処理中に、当該加熱により、パン1の内部に含まれる水分がパン1の表面より放出されて生じる水蒸気の一部は、パン1の表面1Sに巻き付けられた、不織布又は紙の何れか一方より成るシート状の第1包装体3の繊維の構造に起因して、当該各繊維に付着して冷やされる結果、粒状の水分として第1包装体3の繊維に捕獲される。そして、第1包装体3の内部に生じた当該粒状の各水分は、水滴として、パン1の表面1Sに向けて滴り落ちてパン1の生地を湿らす。他方で、水蒸気の一部は、第1包装体3の繊維により捕獲されずに、第1包装体3を透過する。斯かる第1包装体3に於ける作用により、当該加熱処理中に於けるパン1の生地の乾燥化による表面の硬化は確実に防止され、その結果、加熱処理後に於いても、加熱前と同様の食用に適した柔らかさを保ったパン生地を有する、加熱されたパン1が得られる。しかも、上記の通り、水蒸気の一部は第1包装体3を透過する結果、加熱中にパン1の表面より放出される水蒸気の全部が、粒状の水滴として、パン1の表面1Sに向けて滴り落ちことにはならないので、パン生地が逆に水分が多くてべたついた状態となることも防止される。斯かる動作原理によって、電子レンジによる加熱処理によってパン1及びソーセージ2を共に人の食欲を向上させ得る程度の温度にまで十分に温めた場合に於いて、当該加熱処理を通じてパン1の生地の硬化を防止して、べた付くこと無く、全体的に水分を保持した食欲に適したパン1を加熱終了直後の時点でも実現し得るものと、考えられる。
【0040】
尚、パン1に挟まれるソーセージ2の配設状態ないしは配設位置によってはソーセージ2の表面の一部が上記の切り込み1Cより若干突出することもあり、斯かる場合には、シート状の第1包装体3は、パン1の表面1Sのみならず、部分的に突出したソーセージ2の表面2Sにも、ソース5を介して、当接状態で巻き付けられることになる。
【0041】
(実施の形態2)
本実施の形態の特徴点は、「食料品本体」としてのホットドッグ本体を収納・密封する包装体の裏面の対向する上面及び下面のそれぞれに、不織布又は紙の何れか一方より成る一枚のシートが配設されている点にある。以下、図面を参照しつつ、本実施の形態に係る「冷凍保存・加熱用食料品」の一例としての、非真空パック済みホットドッグ製品(以下、単に「パック済みホットドッグ製品」という。)の構成及びその加熱処理に於ける作用・効果について記載する。
【0042】
図3は、本実施の形態に係るパック済みホットドッグ製品20を模式的に示す、内部透視の斜視図である。尚、
図3では、図示の便宜上、パック済みホットドッグ製品20の収納・密閉口である端部4EPが開いた状態で図示されているが、実際には、端部4EPは封止されて閉じており、パック済みホットドッグ製品20は密封された状態にある。又、
図4は、
図3に記載の断線IC−IDに関するパック済みホットドッグ製品20の縦断面構成を模式的に示す断面図である。
【0043】
図3及び
図4に於いて、パン1、ソーセージ2及びソース5等より成るホットドッグ本体の構成は、実施の形態1で既述したホットドッグ本体の構成と同一であるので、ホットドッグ本体の構成に関する実施の形態1の記載を、本実施の形態では援用する。
【0044】
包装体4Aは、ビニール袋又はナイロン袋等より成るパック用包装袋であり、その裏面4RSで形成される内部空間内に上記ホットドッグ本体を収納することで、当該ホットドッグ本体を非真空状態の下で全体的に密閉してパッキングしている。
【0045】
更に、包装体4Aは、その裏面4RSの対向する上面4RSU及び下面4RSLの各々の面上に、接着等の貼付手段によって、全体的に又は部分的に配設された第1シート3A及び第2シート3Bを有している。尚、上面4RSUと第1シート3A間及び下面4RSLと第2シート3B間に、隙間乃至は空隙が部分的に設けられていても良い。これらの第1シート3A及び第2シート3Bは共に、不織布又は紙の何れか一方より成る。ここで、「不織布」の概念は、実施の形態1で既述した通りである。尚、第1シート3A及び第2シート3Bは共に、袋状のものではなく、あくまでも一枚のシートである。
【0046】
しかも、第1シート3A及び第2シート3Bの表面は共に、ホットドッグ本体の表面乃至はパン1の(外側)表面1USの内の対向部分(長手方向LDに沿った表面部分。)に当接しており(
図4参照。)、以って、両シート3A,3Bはホットドッグ本体の表面乃至はパン1の表面1USを非袋状に包み込んでいる。この場合、長手方向LD側から包み込まれた状態のホットドッグ本体を眺めた際には、パン1及びソーセージ2の長手方向LDに沿った両端部分は視認される状態にある。その意味で、包み込まれた状態のホットドッグ本体は、非袋状の状態にある。尚、
図4では、図示化の便宜上、パン1の表面1USの対向部分と両シート3A,3Bとの間に空隙が描かれているが、実際には、パン1の表面1USの対向部分と両シート3A,3Bの各々とは、互いに面接触している状態にある。勿論、パン1の表面1USと両シート3A,3Bの各々との間に、部分的に、隙間が生じていても良い。又、実施の形態1で既述したのと同様に、パン1に挟まれるソーセージ2の表面の一部が上記の切り込み1Cより若干突出している場合には、上面4RSU側の第1シート3Aは、パン1の表面1USのみならず、部分的に突出したソーセージ2の表面2Sにも、ソース5を介して、当接した状態にあることになる。
【0047】
ここで、第1シート3A及び第2シート3Bの両表面によるホットドッグ本体の表面乃至はパン1の表面1USの包み込み状態に関しても、実施の形態1で既述した場合と同様の状態が成り立つ。即ち、1)第1シート3A及び第2シート3Bの両表面は、長手方向LDに関して、パン1の表面1USの全体を包み込んでいても良い。或いは、2)第1シート3A及び第2シート3Bの両表面は、長手方向LDに関して、パン1の表面1USの内でパン1の両端部を除く表面部分のみを部分的に包み込んでいても良い。後者2)の場合には、パン1の両端部及びソーセージ2の両端部は、第1シート3A及び第2シート3Bの両端の縁部よりも外側に突出している状態となる。尚、前者1)の場合の状態が、一例として、
図3に描かれている。勿論、上記の「包み込み状態」は、パン1の両端部及びソーセージ2の両端部の一方の端部のみが、第1シート3A及び第2シート3Bの両端の縁部よりも外側に突出している状態であっても良い。これらの包み込み状態1)及び2)の何れの場合に於いても、以下に記載する作用・効果が、同様に得られる。
【0048】
本実施の形態に於いても、既述した実施の形態1に於ける作用・効果と同等の作用・効果が得られる。即ち、
図3及び
図4に記載された構成を有する、冷凍保存されているパック済みホットドッグ製品20を冷凍庫等より取り出した上で、パック済みホットドッグ製品20をそのままの状態にて電子レンジ内に配置して当該電子レンジによりパック済みホットドッグ製品20を一回の加熱処理で加熱する。この場合、パン1の全体は、人の食欲を向上させ得る程度の温度に十分に温められており、且つ、開封後のパン1の生地の硬化は生じせず、上記温度に温められたパン1自体は、開封後も、人の食欲を向上させ得るのに適した、べたつくこと無く、全体的に水分を含んだ状態を保持している。しかも、ソーセージ2も、ソース5等と共に、パン1の温かさとほぼ同様の、人の食欲を向上させ得る程度の温度にまで十分に温められる。そのため、人は、何れも食べやすい温度に温められた、パン1とその内部のソーセージ2とソース5等とを、同時に味わうことが出来る。
【0049】
そして、本実施の形態では、何れも不織布又は紙の何れか一方より成る二枚のシート3A,3Bが、長手方向LDに沿って、「食料品本体」としてのホットドッグ本体の表面1USに当接した状態で当該表面1USを包み込んでいる。この場合、包装体4は、非真空状態に於いて、両シート3A,3Bで包み込まれた当該ホットドッグ本体の全体を密封している。斯かる構造が、電子レンジによる加熱処理によってパン1及びソーセージ2等を共に人の食欲を向上させ得る程度の温度にまで十分に温めた場合に於いて、当該加熱処理を通じてパン1の生地の硬化を防止して、べた付くことの無い状態で全体的に水分を保持した食欲に適したパン1を加熱終了直後の時点でも実現可能にしたものと、考えられる。その結果、パック済みホットドッグ製品20の家庭用食料品として要求されるレベルまでの価格への低価格化という、本実施の形態にとって本質的な効果が、十分に得られることとなる。即ち、既述の従来技術(特許文献1)の構成に於いて採用されていた、相対的に高価なエアーミック(登録商標)という製品の包装袋より成る第1包装体は、本実施の形態では採用されていない。その代わりに、本実施の形態では、相対的に格段に低価格な部材である二枚のシート状の不織布又は紙が、上記の第1及び第2シート3A,3Bの部材として端的に採用・適用されている。斯かる第1及び第2シート3A,3Bを有する包装体4の構成は、パック済みホットドッグ製品20のコスト削減化・低価格化に多大なる貢献を成すものである。しかも、包装体4は、単に、非真空状態の下で、当該包装体4内に収納されているホットドッグ本体を密封してパッキングしているにすぎず、その結果、既述の従来技術(特許文献1)で採用されていた真空引き工程は、本実施の形態では採用されていない。斯かる包装体4の密封構成の採用もまた、パック済みホットドッグ製品20のコスト削減化・低価格化に寄与している。既述の従来技術(特許文献1)の構成に代わる、上記の包装体4の構成の採用により、結果として、本実施の形態では、既述の従来技術(特許文献1)を適用して成るパック済みホットドッグ製品の価格と比較して、パック済みホットドッグ製品20の価格を約1/3の価格にまで低減することが可能となった。斯かるコスト削減効果は、業務用食料品としての普及の促進は勿論のこと、家庭用食料品としての当該パック済みホットドッグ製品20の普及を飛躍的に促進し得る効果を導くものである。以上の作用・効果をもたらす動作原理は次の通りであると、本発明者は思考する。
【0050】
即ち、電子レンジ等の加熱機器に於ける加熱時間・加熱パワーの適切な設定によって、パン1のみならず、ソーセージ2をも食欲を高める程度にまで温めようとすると、パン1がより高温状態となって加熱されてしまい、加熱機器よりホットドッグ本体を取り出した後に、内部の水分の乾燥により、急速に、パン1の生地の表面が固くなってしまい、ホットドッグ本体が全体的に食用に適さない状態となってしまうおそれがある。
【0051】
しかしながら、本実施の形態に於いては、一回の加熱処理中に、当該加熱によってパン1の内部に含まれる水分がパン1の表面より放出されて生じる水蒸気の一部は、不織布又は紙の何れか一方より成る第1シート3A及び第2シート3Bのそれぞれの繊維の構造に起因して、当該各繊維に付着して冷やされる結果、粒状の水分として両シート3A,3Bの繊維に捕獲される。そして、両シート3A,3Bのそれぞれの内部に生じた当該粒状の各水分は、水滴として、パン1の表面1USに向けて滴り落ちてパン1の生地を湿らす。他方で、水蒸気の一部は、両シート3A,3Bのそれぞれの繊維により捕獲されることなく、両シート3A,3Bを透過する。斯かる両シート3A,3Bに於ける作用乃至は機能により、当該加熱処理中に於けるパン1の生地の乾燥化による表面の硬化は確実に防止され、以って、加熱処理後に於いても、加熱前と同様の食用に適した柔らかさを保ったパン生地を有する、加熱されたパン1が得られる。しかも、上記の通り、水蒸気の一部は両シート3A,3Bを透過する結果、加熱中にパン1の表面より放出される水蒸気の全部が、粒状の水滴として、パン1の表面1USに向けて滴り落ちことにはならないので、パン生地が逆に水分が多くてべたついた状態となることも防止される。斯かる動作原理によって、電子レンジによる加熱処理によってパン1及びソーセージ2を共に人の食欲を向上させ得る程度の温度にまで十分に温めた場合に於いて、当該加熱処理を通じてパン1の生地の硬化を防止して、全体的にべた付くことの無い状態で、全体的に水分を保持した食欲に適したパン1を加熱終了直後の時点でも実現し得るものと、考えられる。
【0052】
(変形例)
(1) 実施の形態2に於いては、包装体4Aの裏面4RSに、それぞれ不織布又は紙より成る2枚の第1及び第2シート3A及び3Bが配設されていたが、これに代えて、不織布又は紙より成る1枚のシートを包装体4Aの裏面4RSの対向する上面4RSU及び下面4RSL上に全体的に配設することとしても良い。或いは、包装体4Aの裏面4RSの対向する上面4RSU及び下面4RSLの一方には不織布又は紙より成る1枚のシートを配設し、上面4RSU及び下面4RSLの他方にはそれぞれ不織布又は紙より成る複数枚のシートを分割状態で配設しても良い。何れの本変形例に於いても、実施の形態2で既出した作用・効果と同等の作用・効果が得られることは勿論である。その意味では、包装体の裏面の対向する上面上及び下面上に配設されるシートの数は、少なくとも1枚であると、言える。この場合には、食料品本体の長手方向に沿った表面は、少なくとも1枚のシートに当接して当該少なくとも1枚のシートで非袋状に単に包まれた状態にある。
【0053】
(2) 実施の形態1及び2に於ける「食料品本体」であるホットドッグに代えて、ハンバーガーを、2個の対向するパンにより挟まれた「肉類食品」(スライスされた牛肉)を有する「食料品本体」としても良い。その意味で、「食料品本体」が有するパンの数は、少なくとも1個であると、言える。その他の構成要素は、実施の形態1又は2の場合と同様である。勿論、本変形例に於いても、実施の形態1及び2で既出した作用・効果と同等の作用・効果が得られる。
【0054】
(実施の形態3)
<認識課題・着眼点>
冷凍庫より取り出した後に電子レンジ等の加熱機器により加熱した上で食べる「冷凍保存・加熱用食料品」としてのハンバーガーの場合には、ハンバーグ・ステーキ(以下「ハンバーグ」という。)自体の厚みがソーセージと比較しても分厚いのみならず、パティ(patty:ハンバーグに似た種々の肉類料理。)又は卵料理・野菜等の具材の量が例えばホットドックの具材と比較して約1.5倍程度に多く、その分、具材の厚みが厚くなる。そのため、冷凍庫より取り出したハンバーガーを電子レンジ等で加熱してハンバーグ及び具材を美味しく食べられる程度の温かさにまで加熱するためには、電子レンジ等の加熱機器に設定すべき加熱パワー及び加熱時間の値は、勢い大きな設定値となる。しかも、電子レンジ等の加熱機器内の載置台にハンバーガーを載置して上記設定値で以って電子レンジ等を作動させて加熱調理することとなるので、ハンバーグ・具材を挟み込む上下のパンの内で、上記載置台に接する側の下側のパンから蒸発する大量の水蒸気の多くは、具材等を経て上側のパンの生地内に入り込んだ上で、当該上側のパンの表面から空間へ放出されることとなる。このため、通常、電子レンジ等の加熱機器の作動で以って、冷凍保存されたハンバーガーを、ハンバーグ・具材を美味しく食べられる程度の温度にまで温めた場合には、上側のパンは乾燥して硬くなるとは言え下側のパンと比較するとまだ柔らかい状態にあるが、下側のパンはカサカサに乾燥してしまい食用には到底適しない程度にまで硬くなってしまう。
【0055】
斯かる問題点は、上記載置台に接する側の下側のパンから蒸発する大量の水蒸気を、闇雲に、そのまま空間中に逃がしてしまっていることに起因していると、思われる。そこで、本願の発明者は、この起因点を逆手に取って、ハンバーガーを成す上下のパンの各々から空間中に加熱時に放出される水蒸気を、比較的狭い空間内に出来る限り逃がさずに溜めこんで乃至は閉じ込めた上で、上側のパン・ハンバーグ・具材・下側のパンに向けて還元乃至は逆流させて上下のパンの表面に下降した水蒸気を接触させて当該パンの生地をしっとりと加熱時に、終始、湿らせることで、当該課題を解決できるものと、思考した。
【0056】
斯かる着眼点乃至は発想に基づき、創作された「冷凍保存・加熱用食料品」としてのパック済みハンバーガー製品の特長的構成は、大要、次の通りである。
【0057】
<本実施の形態に係るパック済みハンバーガー製品の特長的構成の概要>
先ず、
図5は、本実施の形態に係るパック済みハンバーガー製品30を上方から眺めた際の開封前の状態の平面視的構成を模式的に示す平面図である。更に、
図6は、
図5に示す断線IIA−IIBに関するパック済みハンバーガー製品30の縦断面構成を示す断面図である。尚、
図5の平面図で示されている「ハッチング表示」は、各構成要素間の相違を明確化するために便宜上付したものにすぎない。又、
図5に於いて、パック用包装袋35は透明色の包装袋であるため、第3包装体34はパック用包装袋35を通じて透けて見えるので実線で描かれているが、第1包装体32及び第2包装体33は、後述の通りに第3包装体34内に包まれているために明確に視認され得ないので、一点鎖線で描かれている。同様に、ハンバーガー40のパン31及びハンバーグ36も平面視に於いては黙認出来ないので、破線で描かれている。
【0058】
図5及び
図6に於いて、本実施の形態に係るパック済みハンバーガー製品30は、次の特徴的構成を具備する。即ち、パック済みハンバーガー製品30は、1)上下のパン31により挟まれた少なくとも具材を備えるハンバーガー40と、2)少なくとも、ハンバーガー40を成す状態下での上下のパン31の各々の表面の内で具材37等を挟む部分31BPを除く表面部分31SPに当接して当該表面部分31SPを被覆する、不織布又は紙の何れか一方より成る包装体32,33と、を備える。その上で、パック済みハンバーガー製品30は、3)ハンバーガー40の平面視に於ける任意の方向(第1方向D1)に沿って、ハンバーガー40及び包装体32,33の表面を全体的に包み込む様に折り曲げられた状態でハンバーガー40及び包装体32,33を包装する、不織布又は紙の何れか一方より成るシート状包装体34を、備える。更に、パック済みハンバーガー製品30は、4)ハンバーガー40、包装体32,33、及び、シート状包装体34を、非真空状態の下で全体的に密閉してパックするための、パック用包装袋35を、備える。
【0059】
以下、
図5及び
図6を参照しつつ、パック済みハンバーガー製品30の構成を
より詳細に記載する。
【0060】
<パック済みハンバーガー製品30の詳細構成>
ハンバーガー40は、それぞれが不織布又は紙の何れか一方より成る、2枚の包装体32,33によって被覆された上で、不織布又は紙の何れか一方より成るシート状の折り返して折り曲げて成る包装体34によって全体的に非密封状態で包み込まれている。その上で、非真空状態の下で、シート状の包装体34で全体的に包み込まれて成るハンバーガー40は、パック用包装袋35内に密封配設されている。
【0061】
ここで言う「不織布又は紙」とは、実施の形態1及び2に於いて既述したものと同一であって、その種類は問われない。
【0062】
先ず、ハンバーガー40は、上側のパン31(31U)と、それに対向する下側のパン31(31L)の一対のパン31を、主たる食材として有する。ここで使用されるパン31の生地は、ハンバーガーで一般的に使用される、平面視に於いて略円形のパンの生地である。更に、ハンバーガー40は、上下のパン31の各々の対向する表面部分31BP、即ち、表面の内の具材を挟む部分31BPで挟み込まれた、ハンバーグ36及び具材37,38を、有する。ここで、具材37は、例えばミンチ肉又は牛肉を痛めて作った肉料理である「パティ」、或いは、目玉焼きの様な卵料理又は野菜類等の食材を含む。又、具材37は、ハンバーガー40用の各種のソースをも含んでも良い。具材38も、具材37と同様な食材より成る。本実施の形態の一例では、ハンバーガー40は、ハンバーグ36及び具材37,38より構成されているが、ハンバーグ36及び一方の具材37,38より構成されていても良いし、或いは、ハンバーグ36が無くてパティ等の肉料理を含む具材37,38のみより構成されていても良い。要するに、ハンバーガー40を成すための食材の構成ないしはハンバーガー40のレシピは、種々である。
【0063】
ここで、ハンバーガー40、従って、上側のパン31Uは上方から眺めた際の平面視に於いて略円形の形状を成すので、何れの直径方向に関してのハンバーガー40の平面視の形状は全て同じとなる。従って、
図5及び
図6に示す第1方向D1は、ハンバーガー40の平面視に於ける直径方向に該当しており、その意味で、「ハンバーガーの平面視に於ける任意の方向」に該当する。従って、第1方向D1に直交する第2方向D1も、「第1方向D1との直交方向」という意味での限定付きでの、「ハンバーガーの平面視に於ける任意方向」である。
【0064】
そして、上側のパン31Uの表面の内で、上記の具材を挟む部分(対向表面部分)31BPを除く表面部分31SPには、不織布又は紙の何れか一方より成る第1包装体32が、当該表面部分31SPに当接して当該表面部分31SPを全体的に被覆している。ここで、上側のパン31Uの表面部分31SPと、第1包装体32の裏面との間には、上下のパン31間のギャップと比較して相対的に狭い空間が存在しており、当該空間内には空気AIRが存在する。
【0065】
同様に、下側のパン31Lの表面の内で、上記の具材を挟む部分(対向表面部分)31BPを除く表面部分31SPには、不織布又は紙の何れか一方より成る第2包装体33が、当該表面部分31SPに当接して当該表面部分31SPを全体的に被覆している。ここで、下側のパン31Lの表面部分31SPと、第2包装体33の裏面との間には、上下のパン31間のギャップと比較して相対的に狭い空間が存在しており、当該空間内には空気AIRが存在する。
【0066】
尚、第1包装体32及び第2包装体33を成す不織布又は紙の形状としては、対応するパン31U,31Lの表面部分31SPを包み込む様に被覆し易い形状のもの、例えば、ケーキの底を包む様な、お皿型ないしはボール状の容器型の形状を有する物が好適であると言えるが、この様な形状の物に限定されるわけではない。
【0067】
更に、一枚のシート状の第3包装体34が、ハンバーガー40の平面視に於ける任意の第1方向D1に沿って、ハンバーガー40の全体(特に被覆されていない側面側部分)、並びに、第1及び第2包装体32,33の表面32S,33Sを全体的に包み込む様に、折り曲げ部分(折り返し部分)34RPに於いて折り曲げられた(折り返された)状態で、ハンバーガー40並びに第1及び第2包装体32,33を包装している。ここで、一枚のシート状の第3包装体34は、不織布又は紙の何れか一方より成る。しかも、一枚のシート状の第3包装体34を展開した場合には(図示せず。)、第3包装体34は、当該第3包装体34の長手方向に該当する第1方向D1に沿って、その幅方向に該当する第2方向D2の幅寸法よりも長く延在する「長方形状」を有する。
図5に於いて、参照符号34E1は、一枚のシート状の第3包装体34の長手方向に於ける一端部であり、参照符号34E2は、折り曲げ部分34RPで折り曲げられた結果、一端部34E1の近傍に位置することとなった、一枚のシート状の第3包装体34の長手方向に於ける他端部である。尚、一端部34E1と他端部とは、平面視に於いて、位置的に重なり合っていても良い。そして、一枚のシート状の第3包装体34の裏面34RSと、その内側に位置する第1及び第2包装体32,33の表面32S,33Sとの間には、上下のパン31間のギャップと比較して相対的に狭い空間が存在しており、当該空間内には空気AIRが存在する。尚、
図5及び
図6に於いては、第3包装体34の幅方向D2に関する両端部34E3,34E4の各々が、第3包装体34が第1方向D1に関して折り曲げられた結果として付着している様に描かれているが、斯かる状態は、第3包装体34で包み込まれたハンバーガー40がパック用包装袋35内に押し込まれる態様で挿入された状態で密封されている結果、生じている状態にすぎない。或いは、変形例として、一枚のシート状の第3包装体34の両端部34E1,34E2側の端部分が、第1方向D1の両向きの内で、第3包装体34が折り曲げられて延在している一方の向きとは逆向きに向けて折り曲げ部分34RP側へと折返されることで、一枚のシート状の第3包装体34は、ハンバーガー40の全体、並びに、第1及び第2包装体32,33の表面32S,33Sに巻き付けられる態様で以って各部40,32,33を全体的に包み込んでいても良い。この様なシート状の第3包装体34が巻き付けられる態様で以って各部40,32,33を全体的に包み込んで包装する形態も、「ハンバーガーの平面視に於ける任意の方向に沿って、ハンバーガー及び第1及び第2包装体の表面を全体的に包み込む様に折り曲げられた状態で、ハンバーガー及び第1及び第2包装体を包装するシート状の第3包装体」という概念に含まれる。斯かる、シート状の第3包装体34の両端側部分が巻き付けられる態様は、一枚のシート状の第3包装体34で全体的に包装されているハンバーガー40をパック用包装袋35内に押しんで挿入する際に生じやすい態様であるとも言える。
【0068】
更に、パック用包装袋35が、一枚のシート状の第3包装体34で全体的に包み込まれて成る、ハンバーガー40、並びに、第1包装体32及び第2包装体33を、非真空状態の下で、全体的に密閉してパックしている。本実施の形態の一例では、このパック用包装袋35は、透明な包装袋であるが、これに限定されるものではなく、非透明な包装袋であっても良い。
図5に於いて、参照符号35OPは、密封状態にあるパック用包装袋35を引き破るための引き裂き口であり、参照符号35CPは、パック用包装袋35の密封部分である。従って、一枚のシート状の第3包装体34の表面34Sと、パック用包装袋35の裏面35RSとの間の隙間にも、空気AIRが存在する。
【0069】
上記に記載した構成を有するパック済みハンバーガー製品30は、普段は冷蔵庫の冷凍庫内に保管されているが、食用時には、当該冷凍庫内より取り出されて、電子レンジ又はオーブンレンジ等の加熱手段内の載置部上に配置された上で、適切に加熱条件が設定された後の当該加熱手段を作動させることで、食欲をそそる程度の温度にまでハンバーガー40が温められることとなる。その際に、前述及び既述した通り、パック済みハンバーガー製品30に於いては、加熱終了後に加熱手段より取り出してパック用包装袋35を破ることで当該包装袋35から取り出された上で第3包装体34並びに第1及び第2包装体32,33が順次に取り外された後のハンバーガー40の上下のパン31は、何れも、食欲をそそる程度の柔らかなパン本来の生地を保持しており、一切、硬化してはいない。
【0070】
<パック済みハンバーガー製品30の作用・利点>
冷凍庫より取り出されたパック済みハンバーガー製品30を電子レンジ等の加熱器内に配置して、例えば、加熱パワー600W,加熱時間約2分の設定で以って、パック済みハンバーガー製品30を加熱する。その場合、上下のパン31は共に、乾燥によってカチカチに硬化してしまうことなく、食欲をそそるに適した程度のパン生地本来の柔らかさを保って、食欲をそそるのに適した温度に温まって出来上がり、且つ、ハンバーガー40のハンバーグ36及び具材37,38も同様に食欲をそそるのに適した温度に温まって出来上がる。この利点は、度重なる実験乃至は加熱調理の実施により、常に確定的に得られることが、本発明者により確認されている。但し、第1包装体32及び第2包装体33の配設のみならず、折り返されて折曲がった状態で各部を包み込む一枚のシート状の第3包装体34をも配設することが、必須要件であり、第1包装体32及び第2包装体33の配設だけでは上記の効果は得られないことが、本発明者によって実験的に確認されている。しかも、第1乃至第3包装体32,33,34は、不織布又は紙の何れか一方より構成されなければならない。その意味で、「不織布又は記紙の何れか一方より成るシート状包装体34」の存在は、本発明の成立にとって重要な構成要件である。
【0071】
この様な格段の利点が得られる作用乃至は加熱原理は、次の通りに考えられる。即ち、電子レンジ等が放出するマイクロ波による加熱によって、上下のパン31・ハンバーグ36・具材37,38の各食料品の部材に含まれている水分は、これらの各部材の表面より、空気AIR中に、水蒸気と成って放出されていく。この加熱工程中に、不織布又は紙より成る第1包装体32は、その材質の構成上、恰も水蒸気の放出経路上の一種の障害物乃至は壁として機能する。この機能により、各食料品の部材より空気AIR中に放出される水蒸気の一部は、第1包装体32を通過し得ることなく、第1包装体32の存在で以って、より外側へと広がろうとする進行が遮られて、上側のパン31Uの表面部分31SPと第1包装体32の裏面との間の相対的に狭い空間内に閉じ込められた状態になるものと、推考される。その結果、各食材より空気AIR中に放出された水蒸気の一部は、第1包装体32の裏面との接触の後に、逆流状態ないしは還元状態となって、恰も第1包装体32の裏面で折り返す如く、上下のパン31・ハンバーグ36・具材37,38に向けて流れていく。同様に、加熱工程中に、不織布又は紙より成る第2包装体33もまた、その材質の構成上、恰も水蒸気の放出経路上の一種の障害物・壁として機能する。その結果、各食料品の部材より空気AIR中に放出される水蒸気の一部は、第2包装体33を通過し得ることなく、その進行が遮られて、下側のパン31Lの表面部分31SPと第2包装体33の裏面との間の相対的に狭い空間内に閉じ込められた状態となり、逆流状態ないしは還元状態となって、上下のパン31・ハンバーグ36・具材37,38に向けて流れていく。更に、第1包装体32及び第2包装体33の外側には、シート状で以って第1包装体32及び第2包装体33等を全体的に包む込む態様の第3包装体34が、恰も城の外堀の如く、配設されている。この、同じく不織布又は紙より成る第3包装体34もまた、その材質の構成上、恰も水蒸気の放出経路上の一種の障害物乃至は外側の壁として機能する。その結果、城の内堀の如く機能する第1包装体32又は第2包装体33を通過して空気AIR中に出てきた水蒸気の一部は、第3包装体34の裏面との接触の後に、逆流状態ないしは還元状態となって、恰も第3包装体34の裏面で折り返す如く、第1及び第2包装体32,33を経て、上下のパン31・ハンバーグ36・具材37,38に向けて戻って行く。この様に、上下のパン31・ハンバーグ36・具材37,38の各食料品の部材より空気AIR中に向けて放出された水蒸気の多くは、2段構えの障害物乃至は壁として機能する第1乃至第3包装体32,33,34の存在によって、空気AIR中に向けて広がって行く行路が遮られて逆流することで上下のパン31・ハンバーグ36・具材37,38に向けて戻って行く。勿論、水蒸気の一部は、第3包装体34を通過して、パック用包装袋35で囲まれる空気AIR中へと広がって流れていき、冷却後には、パック用包装袋35の内面に結露する。
【0072】
その結果、上下の各パン31の表面部31SPにまで、恰もシャワーから散らばって放出される細かい水流の如く逆流して戻ってきた多くの水蒸気は、当該表面部31SPとの接触に伴う作用・反応で結露状態と成って、その水分が、加熱中の上下のパン31の各々の内部へと表面部31SPより浸み込んでいき、他方で加熱に伴う水分の蒸発と相俟って、その相互作用の結果として、各パン31の生地に対して、食欲をそそる程度の湿り気を与えるものと、推考される。これによって、上記の利点乃至は効果が奏されるものと、思われる。
【0073】
以上の通り、パック済みハンバーガー製品30の構成の採用によれば、上下のパン31により挟まれたハンバーグ36及び/又は具材37,38を有する、冷凍保存されたハンバーガー40の加熱時に、
1)上下両方のパン31の生地の硬化を生じさせることなく、食欲をそそる柔らかさ・触感を呈するパン生地を実現しつつ、
2)上下のパン31と共に食欲をそそる程度の温度までにハンバーグ36及び/又は具材37,38を温め得る冷凍保存・加熱用食料品を、
3)お手頃な価格を実現し得る低コストで以って、
提供することが出来る、という利点・効果が得られる。
【0074】
<実施の形態3の変形例>
実施の形態3では、共に一枚の不織布又は紙より成る第1包装体32及び第2包装体33が用いられたが、これらの2枚の部材32,33に代えて、両部材32,33を一枚の不織布又は紙より成る包装体で以って実現しても良い。即ち、
図5及び
図6に依拠して本変形例の詳細を記載すれば、部材32,33に代えて、上側パン31Uの表面部分31SP、具材37・ハンバーグ36・具材38の各側面側部分、及び、下側パン31Lの表面部分31SPの全体を非密閉状態で以って包み込む、一枚の不織布又は一枚の紙の何れか一方より成る一枚の包装体を、採用しても良い。この場合でも、既述した作用・利点と同一の作用・利点が得られる。
【0075】
又、
図6の図示例とは異なり、第1包装体32及び/又は第2包装体33は、対応するパン31U,31Lの表面部分32S,33Sのみならず、対応する具材37,38及び/又はハンバーグ36の側面側部分をも、被覆していても良い。
【0076】
上記の実施の形態3及び本変形例の構成に鑑みれば、本発明の構成の本質の一つは、「少なくとも、ハンバーガーを成す状態下での上下のパンの各々の表面の内で具材を挟む部分を除く表面部分に当接して当該表面部分を被覆する、不織布又は紙の何れか一方より成る包装体」が採用される点にある。
【0077】
(付記)
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正及び/又は変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。