(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のようなアンテナ装置においては、電波を好適に送受信するために、アンテナエレメントの位置ずれを防止することが望まれる。特に、車載用のアンテナ装置においては、車両走行中に発生する振動に耐えうるように、アンテナエレメントの位置を固定することが求められている。
【0005】
本発明は、アンテナエレメントを強固に固定できるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係るアンテナ装置は、板状部、及び板状部に設けられる第1開口部を有するアンテナエレメントと、アンテナエレメントを収容するケースと、を備え、ケースは、ケースの内部に向かって突出して第1開口部を通る第1突出部と、第1突出部の先端に設けられ、板状部の第1主面に接する第1頭部と、板状部における第1主面と反対側の第2主面に接する第1支持部とを有し、板状部における第1開口部の縁には、第1主面に対して突出する第1凸部もしくは第1主面に対して窪んでいる第1凹部が設けられており、第1頭部は、第1凸部を覆うと共に第1凸部の少なくとも一部に密着している、もしくは第1凹部を覆うと共に第1凹部の少なくとも一部に密着している。
【0007】
このアンテナ装置によれば、アンテナエレメントの板状部において、第1主面は第1頭部に接しており、第2主面は第1支持部に接している。これにより、第1主面及び第2主面の延在方向に直交する方向におけるアンテナエレメントの移動は、第1頭部及び第1支持部の干渉によって抑制される。また、板状部における第1開口部の縁には、第1主面に対して突出する第1凸部、もしくは第1主面に対して窪んでいる第1凹部が設けられている。そして、第1凸部が設けられる場合、第1頭部は、第1凸部を覆うと共に当該第1凸部の少なくとも一部に密着している。あるいは、第1凹部が設けられる場合、第1頭部は、第1凹部を覆うと共に当該第1凹部の少なくとも一部に密着している。これにより、第1主面及び第2主面の延在方向におけるアンテナエレメントの移動は、第1頭部と、第1凸部もしくは第1凹部との干渉によって抑制される。したがって、アンテナエレメントの移動が3次元的に抑制されるので、当該アンテナエレメントを強固に固定できる。
【0008】
また、第1開口部の縁には、第1主面に対して突出する第2凸部が設けられており、第2凸部は、第1開口部を挟んで第1凸部もしくは第1凹部の反対側に設けられており、第1頭部は、第2凸部を覆うと共に第2凸部の少なくとも一部に密着してもよい。この場合、第1頭部と、第1凸部もしくは第1凹部との干渉に加えて、第1頭部と第2凸部との干渉によって、第1主面及び第2主面の延在方向におけるアンテナエレメントの移動を抑制できる。特に、第1凸部もしくは第1凹部と、第2凸部とが向かい合う方向におけるアンテナエレメントの移動を良好に抑制できる。
【0009】
また、第1開口部の縁には、第1主面に対して窪んでいる第2凹部が設けられており、第2凹部は、第1開口部を挟んで第1凸部もしくは第1凹部の反対側に設けられており、第1頭部は、第2凹部を覆うと共に、第2凹部の少なくとも一部に密着してもよい。この場合、第1頭部と、第1凸部もしくは第1凹部との干渉に加えて、第1頭部と第2凹部との干渉によって、第1主面及び第2主面の延在方向におけるアンテナエレメントの移動を抑制できる。特に、第1凸部もしくは第1凹部と、第2凹部とが向かい合う方向におけるアンテナエレメントの移動を良好に抑制できる。
【0010】
また、第1開口部の縁には、第1凸部が設けられており、第1凸部は、第1開口部の縁の一部が第1主面側へ湾曲された湾曲部であってもよい。この場合、第1凸部を容易に小型化でき、当該第1凸部がアンテナエレメントの送受信特性に与える影響を抑制できる。
【0011】
また、第1開口部の縁には、第1凹部が設けられており、第1凹部は、第1開口部の縁の一部が第2主面側へ湾曲された湾曲部であってもよい。この場合、第1凹部を容易に小型化でき、当該第1凹部がアンテナエレメントの送受信特性に与える影響を抑制できる。
【0012】
また、第1支持部は、第1突出部に隣接していると共にケースの内部に向かって突出してもよい。この場合、ケースを構成する底壁及び側壁等から、アンテナエレメントの板状部を離間できる。
【0013】
また、上記アンテナ装置は、ケース内に収容され、アンテナエレメントに接続される回路基板をさらに備え、回路基板は、第2開口部を有しており、ケースは、内部に向かって突出して第2開口部を通る第2突出部と、第2突出部の先端に設けられ、回路基板の第3主面に接する第2頭部と、回路基板における第3主面と反対側の第4主面に接する第2支持部とを有し、回路基板における第2開口部の縁には、第3主面に対して突出する第3凸部が設けられており、第2頭部は、第3凸部を覆うと共に第3凸部の少なくとも一部に密着してもよい。この場合、ケース内に収容される回路基板の移動は、アンテナエレメントと同様に、第2頭部、第2支持部、及び第3凸部によって3次元的に抑制される。したがって、回路基板に接続されるアンテナエレメントが、回路基板の移動の影響を受けにくくなり、アンテナエレメントをより強固に固定できる。
【0014】
また、回路基板の第4主面上には導電膜が設けられており、アンテナエレメントの板状部と、回路基板とは、互いに離間してもよい。この場合、アンテナエレメントと回路基板とによってエアギャップ式のアンテナ装置を形成できる。上述したようにアンテナエレメント及び回路基板の移動は抑制されているので、良好な送受信特性を維持できるアンテナ装置を提供できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アンテナエレメントを強固に固定できるアンテナ装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
本実施形態に係るアンテナ装置は、車載用のパッチアンテナであり、例えばGPS又はETC等に用いられる電波を送受信する機能を有している。このアンテナ装置は、配線を介して車載された外部装置に接続される。以下では、アンテナ装置に取り付けられる配線、及びアンテナ装置の内部配線の説明を省略する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るアンテナ装置を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るアンテナ装置の分解斜視図である。なお、
図2は、後述するアンテナエレメント及び回路基板が固定されていない状況におけるアンテナ装置の分解斜視図を示している。
図1及び
図2に示されるアンテナ装置1は、ケース2と、アンテナエレメント5と、回路基板6と、スピーカ7とを備えている。アンテナエレメント5と、回路基板6と、スピーカ7とのそれぞれは、ケース2内に収容されている。ケース2内にて、回路基板6は、アンテナエレメント5とスピーカ7との間に設けられている。以下では、アンテナエレメント5、回路基板6、及びスピーカ7が重なる方向を方向αとする。また、方向αに直交する方向を水平方向とし、当該水平方向に沿った一方向を方向βとし、方向α及び方向βに直交する方向を方向γとする。
【0020】
以下では、ケース2の概要をまず説明する。ケース2は、角が丸められた略直方体形状を有する樹脂製の筐体である。ケース2に用いられる樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えばABS樹脂等が挙げられる。ケース2は、主部3と、主部3の蓋4とを有している。ケース2の主部3は、方向αにおいてアンテナエレメント5側に位置しており、略長方形状の底壁3aと、底壁3aの縁から方向αに沿って突出する側壁3bとを有する。底壁3a及び側壁3bは、金型等を用いて一体形成されている。底壁3aの短辺は方向βに沿って延在しており、底壁3aの長辺は方向γに沿って延在している。側壁3bの先端側、すなわち側壁3bの方向αにおける底壁3aと反対側には、蓋4を支持するための台座部3cと、底壁3aの一方の短辺上に設けられる窪み部3dと、当該窪み部3dの縁からケース2外へ延在する延在部3eとが設けられている。窪み部3dは、方向γから見て略半円状に窪んでいる部分であり、延在部3eは、方向γに沿ってケース2外へ延在している。窪み部3d及び延在部3eには、回路基板6と外部装置とをつなぐ外部接続用の配線(不図示)が配置される。
【0021】
ケース2の蓋4は、略長方形状の天板4aと、天板4aの縁から方向αに沿って突出する側壁4bとを有する。天板4a及び側壁4bは、金型等を用いて一体形成されている。天板4aの短辺は方向βに沿って延在しており、天板4aの長辺は方向γに沿って延在している。天板4aの中央には、スピーカ7から発生する音声を外部へ出すための複数の開口Aが設けられている。側壁4bの先端側、すなわち側壁4bの方向αにおける天板4aと反対側には、主部3の延在部3eに合わさるように設けられる延在部4cが設けられている。延在部4cは、延在部3eと同様の形状を有しており、方向γに沿ってケース外へ延在している。
【0022】
次に、ケース2に収容されるアンテナエレメント5、回路基板6、及びスピーカ7について順番に説明する。
図3(a)は、アンテナエレメント5の要部拡大図であり、
図3(b)は、
図3(a)のIIIb−IIIb線に沿った断面図である。
図2及び
図3(a),(b)に示されるアンテナエレメント5は、電波を送受信する部材であり、板状部11と、板状部11の縁から方向αに沿って突出する給電部12と、板状部11に設けられる開口部13〜15とを有する。
【0023】
板状部11は、角が丸められた略正方形状の金属板であり、アンテナエレメント5において電波を送受信する部分である。板状部11において、回路基板6側の面を主面11a(第1主面)とし、主面11aと反対側の面を主面11b(第2主面)とする。この場合、主面11a,11bを構成する一対の辺は方向βに沿って延在し、主面11a,11bを構成する他の一対の辺は方向γに沿って延在している。また、主面11a,11bの一辺の長さは、例えば、アンテナ装置1が送受信する波長λの約1/2倍に相当し、板状部11の厚さは、例えば約0.3mmである。板状部11の角のうち、互いに対向する2つの角が切り欠かれており、板状部11には切欠部11c,11dが設けられている。
【0024】
給電部12は、板状部11と回路基板6とを電気的に接続する部分であって、板状部11の縁から突出した部分を回路基板6側に折り曲げることによって形成されている。このため、給電部12と板状部11とは、互いに同一の金属板から形成されている。板状部11の縁において給電部12が設けられる箇所の両隣には、窪み11eが設けられている。
【0025】
開口部13〜15のそれぞれは、方向αに沿って延びる貫通孔であり、方向αから見て略円形状を有している。開口部13は、板状部11の送受信性能を高めるため、板状部11の中央に設けられている。開口部13の径は、開口部14,15の径よりも大きくなっている。また、板状部11の角のうち、切り欠かれていない2つの角11f,11gの近傍には、互いに略同一形状である開口部14,15がそれぞれ設けられている。開口部14(第1開口部)は、給電部12に近い角11fの近傍に設けられており、開口部15は、角11gの近傍に設けられている。本実施形態では、板状部11の角の近傍は、角から板状部11の厚さの2倍〜10倍程度離れた板状部11上の領域である。なお、開口部14,15は、上記近傍以外に設けられてもよい。
【0026】
板状部11における開口部14の縁14aには、主面11aに対して突出する凸部16(第1凸部)が設けられている。凸部16は、主面11aから方向αに沿って回路基板6側に突出するように、縁14aの一部が主面11a側へ湾曲された湾曲部である。凸部16は、例えば球の一部をなすように突出している。また、開口部14の縁14aには、凸部16と同様に、主面11aに対して突出する凸部17(第2凸部)が設けられている。凸部17は、凸部16と同様の形状を有する湾曲部であり、開口部14を挟んで凸部16の反対側に設けられている。なお、本実施形態では、板状部11における開口部14の縁14aは、開口部14の内面だけでなく、開口部14近傍の板状部11を含む。なお、湾曲部は、曲面を描くように曲げられた部分だけではなく、角度を持つように屈曲された部分も含む。すなわち本実施形態では、湾曲は、単に折り曲げること(例えば、山折り又は谷折り等)も含む。
【0027】
加えて、板状部11における開口部15の縁には、凸部16,17と同様の形状を有する凸部18,19が設けられている(
図5を参照)。開口部13〜15及び凸部16〜19は、主面11aの対角線の一つと重なるように設けられている。
【0028】
回路基板6は、スピーカ7用の機能回路を有する。回路基板6は、本体である基板21、及び上記機能回路を構成するコンデンサ22〜24等を有している。基板21は、角が丸められた略長方形状の板状部材であり、スピーカ7側の主面21a(第3主面)と、主面21aと反対側の主面21b(第4主面)と、給電部12が通る開口部21cと、後述するケース2の突出部35,37がそれぞれ通る開口部21d,21eと、外部接続用の配線(不図示)が接続される接続部21f,21gとを有している。基板21において、主面21a,21bの短辺は方向βに沿って延在し、主面21a,21bの長辺は方向γに沿って延在している。主面21a,21bは、アンテナエレメント5における板状部11の主面11a,11bよりも一回り程度大きい。また、基板21の厚さは、例えば約0.8mmである。
【0029】
基板21において、少なくとも主面21aの一部上と、主面21b上と、開口部21cを構成する表面上とには、導電パターンが形成されている。主面21a上に設けられる導電パターン(不図示)は、機能回路の引き回し配線等である。主面21b上に設けられる導電パターンは、当該主面21bを覆う導電膜25(
図8(b)を参照)であり、アンテナエレメント5に対するグランドパターンである。また、開口部21cを構成する表面上に設けられる導電パターン(不図示)は、給電部12と接続するパターンである。このため、主面21b上に設けられる導電パターンと、開口部21cを構成する表面上に設けられる導電パターンとは、互いに絶縁している。
【0030】
回路基板6と板状部11とは、ケース2内において、方向αにて互いに離間している。具体的には、回路基板6における基板21の主面21bと、板状部11の主面11aとは、方向αにおいて所定の距離離れている。ここで、回路基板6と板状部11との間の空間が絶縁物等によって埋められていないので、当該空間は、アンテナ装置1における誘電体として機能する。よって、本実施形態におけるアンテナ装置1は、いわゆるエアギャップ式のアンテナ装置となっている。
【0031】
スピーカ7は、回路基板6又は外部装置からの出力に応じた音声を発生する装置であり、回路基板6と電気的に接続している。スピーカ7は蓋4に支持されている。
【0032】
次に、
図2を用いながら、ケース2の主部3が有する構成について詳細に説明する。主部3は、アンテナエレメント5に関連する突出部31,33及び支持部32,34と、回路基板6に関連する突出部35,37及び支持部36,38とを有している。
【0033】
突出部31(第1突出部)は、略円柱形状を有しており、板状部11の開口部14を通る部材である。突出部31は、方向αに沿うように、底壁3aからケース2の内部に向かって突出しており、側壁3bで囲われた領域内に位置している。突出部31が開口部14を確実に挿入されるため、突出部31の径は、開口部14の径よりも小さくなっている。このため、方向αから見て、突出部31と開口部14の縁14aとの間には、隙間が生じている。
【0034】
支持部32(第1支持部)は、板状部11の主面11bに接することによってアンテナエレメント5を支持する部材である。支持部32は、方向αに沿うように、底壁3aからケース2の内部に向かって突出しており、側壁3bで囲われた領域内に位置している。本実施形態では、支持部32は、突出部31に隣接する4つの柱状部分からなっており、当該柱状部分は、方向αから見て略十字型となるように配置されている。これにより、突出部31の強度が、支持部32によって補強されている。
【0035】
方向αにおいて、突出部31の突出量は、支持部32の突出量よりも大きい。具体的には、突出部31と支持部32との突出量の差は、少なくとも板状部11の厚さよりも大きい。このため、板状部11が支持部32によって支持されたときに、突出部31の先端が板状部11の主面11aよりも回路基板6側に位置する。
【0036】
突出部33は、略円柱形状を有しており、板状部11の開口部15を通る部材であり、支持部34は、板状部11の主面11bに接することによってアンテナエレメント5を支持する部材である。突出部33は、突出部31と略同一形状及び機能を有しており、支持部34は、支持部32と略同一形状及び機能を有している。このため、板状部11は、方向αにおいては支持部32,34によって支持されている。
【0037】
突出部35(第2突出部)は、略円柱形状を有しており、基板21の開口部21d(第2開口部)を通る部材であり、支持部36(第2支持部)は、基板21の主面21bに接することによって回路基板6を支持する部材である。突出部35及び支持部36のそれぞれは、側壁3bで囲われた領域内に位置すると共に、切欠部11cよりも側壁3b側に位置している。また、突出部35及び支持部36のそれぞれは、方向αに沿うように、底壁3aからケース2の内部に向かって突出している。方向αにおいて、突出部35の突出量は、支持部36の突出量よりも大きい。具体的には、突出部35と支持部36との突出量の差は、少なくとも回路基板6の厚さよりも大きい。このため、板状部11が支持部36によって支持されたときに、突出部35の先端が回路基板6の主面21aよりもスピーカ7側に位置する。本実施形態では、支持部36は、突出部35に隣接する2つの板状部分からなっており、当該板状部分は、突出部35と側壁3bとをつないでいる。これにより、突出部35の強度が、支持部36によって補強されている。
【0038】
突出部37は、略円柱形状を有しており、基板21の開口部21eを通る部材であり、支持部38は、基板21の主面21bに接することによって回路基板6を支持する部材である。突出部37及び支持部38のそれぞれは、側壁3bで囲われた領域内に位置すると共に、切欠部11dよりも側壁3b側に位置している。突出部37は、突出部35と略同一形状及び同一機能を有しており、支持部38は、支持部36と略同一形状及び同一機能を有している。このため、回路基板6は、方向αにおいては支持部36,38によって支持されている。
【0039】
支持部36,38の突出量は、突出部31,33及び支持部32,34の突出量よりも大きくなっている。加えて、支持部36,38と、支持部32,34との突出量の差は、方向αにおける板状部11の主面11aと、基板21の主面21bとの間の距離に、板状部11の厚さを加えた長さに相当する。
【0040】
次に、
図4及び
図5を用いながら、アンテナエレメント5がケース2の主部3に固定されている状態について説明する。
図4は、ケース2にアンテナエレメント5が固定されている状態を示す斜視図であり、
図5は、
図4のV−V線に沿った断面図である。
図4及び
図5に示されるように、アンテナエレメント5がケース2の主部3に固定されている状態においては、アンテナエレメント5は、方向αにおいて、支持部32,34によって支持されている。ここで、板状部11の主面11a上に位置する突出部31の先端には、頭部41(第1頭部)が設けられている。頭部41は、方向αから見て略円形状を有しており、凸部16,17を覆うと共に凸部16,17の少なくとも一部に密着するように設けられている。具体的には、頭部41の底壁3a側の面は、凸部16,17を構成する主面11aに少なくとも密着している。このため、頭部41の径は、開口部14の径よりも大きくなっている。なお、主面11a上に位置する突出部33の先端にも同様に、方向αから見て略円形状を有しており、凸部18,19を覆うと共に凸部18,19の少なくとも一部に密着する頭部42が設けられている。これにより、アンテナエレメント5は、方向αにおいて、支持部32,34と、頭部41,42とによって挟持されている。
【0041】
ここで、
図6(a),(b)を用いながら、頭部41の形成方法の一例を説明する。
図6(a)に示されるように、まず、突出部31を開口部14に通し、板状部11の主面11bが支持部32に接するように、アンテナエレメント5を主部3内に収容する。このとき、突出部33を開口部15に通し、板状部11を支持部32,34によって支持することによって、当該板状部11の傾きを低減する。次に、突出部31の先端に、加熱した押圧部材51を接触させる。これにより、突出部31の先端部31aを加熱溶融する。このとき、板状部11が支持部32,34によって支持されているので、アンテナエレメント5が底壁3aに接することなく、突出部31を熱溶融できる。
【0042】
次に、
図6(b)に示されるように、押圧部材51を方向αに沿って突出部31側に移動させ、加熱されて柔らかくなった先端部31aを押し潰す(熱加締めする)。これにより、押し潰された先端部31aによって凸部16,17を覆わせる。そして、押圧部材51を突出部31から離し、先端部31aを冷却する。これにより、方向αにおいて頭部41に向かって突出する凸部16,17を覆うと共に、当該凸部16,17を構成する主面11aに少なくとも密着する頭部41を形成する。なお、頭部42は、頭部41と同様の手法によって形成する。以上のようにアンテナエレメント5のケース2内に収容した後に頭部41,42を形成することにより、支持部32,34と、頭部41,42とによってアンテナエレメント5を挟持及び固定する。
【0043】
以上に説明した本実施形態に係るアンテナ装置1の作用効果について、以下に示す比較例と対比しながら説明する。
図7(a)は、比較例に係るアンテナ装置の要部拡大断面図であり、
図7(b)は、本実施形態に係るアンテナ装置1の要部拡大断面図である。
【0044】
図7(a)に示されるように、比較例に係るアンテナ装置のアンテナエレメント105において、板状部111に設けられる開口部14の縁には、凸部が設けられていない。このため、突出部31の頭部41は、凹凸が設けられていない主面111aを覆うと共に当該主面111aに密着している。ここで、頭部41が上記方法にて形成されると、アンテナエレメント105は頭部41によって押圧されない。この場合、アンテナエレメント105には、頭部41と支持部32とによる方向αに沿った拘束力が加えられない。このため、水平方向において開口部14と突出部31との間に隙間が生じていると、アンテナエレメント105は、車両走行中に生じる振動に応じて、方向αに直交する水平方向に容易に移動してしまう。これにより、アンテナ装置の送受信特性に影響が出るおそれがある。特に、エアギャップ式のアンテナ装置である場合、送受信特性に顕著な影響が出るおそれがある。
【0045】
これに対して、本実施形態に係るアンテナ装置1では、
図7(b)に示されるように、アンテナエレメント5の板状部11において、主面11aは頭部41に接しており、主面11bは支持部32に接している。また、
図5に示されるように、主面11aは頭部42に、主面11bは支持部34にもそれぞれ接している。これにより、方向αにおけるアンテナエレメント5の移動は、頭部41,42及び支持部32,34の干渉によって抑制される。また、板状部11における開口部14の縁には、主面11aに対して突出する凸部16が設けられており、頭部41は、凸部16を覆うと共に当該凸部16の少なくとも一部に密着している。これにより、上記水平方向におけるアンテナエレメント5の移動は、頭部41と、凸部16との干渉によって抑制される。具体的には、頭部41が、凸部16を構成する主面11aを3次元的に覆って密着することにより、上記水平方向におけるアンテナエレメント5の移動が抑制される。したがって、アンテナエレメント5の移動が3次元的に抑制されるので、本実施形態に係るアンテナ装置1によれば、アンテナエレメント5を強固に固定できる。
【0046】
加えて、開口部14の縁には、主面11aに対して突出する凸部17が設けられており、凸部17は、開口部14を挟んで凸部16の反対側に設けられており、頭部41は、凸部17を覆うと共に凸部17の少なくとも一部に密着している。このため、頭部41と、凸部16との干渉に加えて、頭部41と凸部17との干渉によって、上記水平方向におけるアンテナエレメント5の移動をさらに抑制できる。特に、凸部16,17が互いに向かい合う方向におけるアンテナエレメント5の移動を良好に抑制できる。さらに、凸部16,17が、開口部14を挟んで互いに対向するように設けられることにより、突出部31の先端部31aが均一に広がりやすくなる。これにより、頭部41によって凸部16,17を良好に被覆される。
【0047】
さらには、板状部11には開口部14の他に開口部15が設けられており、且つ、当該開口部15の縁には、頭部42によって覆われると共に当該頭部42に密着している凸部18,19が形成されている。このため、頭部41と凸部16,17との干渉に加えて、頭部42と凸部18,19との干渉によって、上記水平方向におけるアンテナエレメント5の移動を好適に抑制できる。
【0048】
凸部16は、開口部14の縁の一部が主面11a側へ湾曲された湾曲部である。このため、凸部16を容易に小型化でき、凸部16がアンテナエレメント5の送受信特性に与える影響を抑制できる。
【0049】
支持部32は、突出部31に隣接していると共にケース2の内部に向かって突出している。このため、ケース2を構成する底壁3a及び側壁3b等から、アンテナエレメント5の板状部11を離間できる。加えて、頭部41を押圧部材51によって押し潰す際に、支持部32がアンテナエレメント5を支持することによって、板状部11等に歪みが発生することを抑制できる。
【0050】
図8(a)は、ケース2に回路基板6が固定されている状態を示す斜視図であり、
図8(b)は、
図8(a)のVIIIb−VIIIb線断面図である。
図8(a),(b)に示されるように、ケース2に回路基板6が固定されている状態においては、回路基板6は、アンテナエレメント5と同様に、支持部36(及び支持部38)によって支持されている。ここで、基板21の主面21a上に位置する突出部35の先端には、頭部61(第2頭部)が設けられている。頭部61は、方向αから見て略円形状を有しており、基板21の主面21aに接している。加えて、頭部61の少なくとも一部は、方向αにおいて支持部36と重なっている。このため、回路基板6は、方向αにおいて頭部61と支持部36とによって挟持されている。なお、頭部61は、頭部41,42と同様の方法にて形成される。
【0051】
基板21の開口部21dの縁21hには、頭部61に向かって突出する凸部62(第3凸部)が設けられている。凸部62は、主面21a上に形成される突起であり、方向αにおいて頭部61と重なっている。凸部62は、例えばはんだ等によって形成される。また、開口部21dの縁21hには、凸部62と同様の形状を有する凸部63が設けられている。凸部63は、開口部21dを介して凸部62の反対側に設けられている。ここで、頭部61は、凸部62,63を覆うと共に当該凸部62,63の少なくとも一部に密着している。これにより、回路基板6の移動は、アンテナエレメント5と同様に、3次元的に抑制される。具体的には、支持部36と頭部61との干渉による方向αに沿った回路基板6の移動だけでなく、頭部61と、凸部62,63との干渉による上記水平方向に沿った回路基板6の移動が良好に抑制される。このため、給電部12を介して回路基板6に接続されるアンテナエレメント5が、回路基板6の移動の影響を受けにくくなり、アンテナエレメント5をより強固に固定できる。
【0052】
なお、基板21の主面21a上に位置する突出部37の先端には、頭部61と同様の頭部64が設けられており、回路基板6の開口部21eの縁には、凸部62,63と同様の凸部が設けられている。このため、回路基板6は、方向αにおいて頭部64と支持部38とによっても挟持されており、且つ、頭部64及び当該凸部によって、回路基板6の移動がさらに抑制される。
【0053】
加えて、回路基板6における基板21の主面21b上には導電膜25が設けられており、アンテナエレメント5の板状部11と、回路基板6とは、互いに離間している。このため、アンテナエレメント5と回路基板6とによってエアギャップ式のアンテナ装置1が形成される。上述したように、アンテナエレメント5及び回路基板6の移動は共に抑制されているので、良好な送受信特性を維持できるアンテナ装置1を提供できる。なお、導電膜25は、絶縁膜26によって被覆されていることが好ましい。これにより、導電膜25と他の素子等との短絡を抑制できる。ここで、主面21aの一部上の上記導電パターンも、絶縁体によって被覆されてもよい。
【0054】
図9(a)は、上記実施形態の第1変形例に係るアンテナ装置の要部拡大断面図である。
図9(a)に示されるように、板状部11Aにおける開口部14の縁14aには、主面11aに対して窪んでいる凹部71(第1凹部)が設けられている。凹部71は、主面11bから方向αに沿って底壁3a側に突出するように、開口部14の縁14aの一部が主面11b側へ湾曲された湾曲部である。凹部71は、例えば球の一部をなすように窪んでいる。すなわち、凹部71は、
図3(b)に示される凸部16と比較すると、方向αにおいて主面11aの反対側に板状部11を湾曲することによって形成される。また、開口部14の縁14aには、凹部71と同様の形状を有する凹部72(第2凹部)が設けられている。凹部72は、開口部14を挟んで凹部71の反対側に設けられている。なお、第1変形例においては、ケース2内におけるアンテナエレメント5の位置ずれを防ぐため、凹部71,72と、支持部32Aとは、互いに接しないことが好ましい。このため、第1変形例においては、突出部31と支持部32Aとは、互いに離間している。
【0055】
頭部41は、凹部71,72を覆うと共に、凹部71,72の少なくとも一部に密着している。具体的には、頭部41における主面11a側の一部が、凹部71,72内に入り込んでいると共に、凹部71,72の表面を構成する主面11aに密着している。このような第1変形例においても、上記水平方向におけるアンテナエレメント5Aの移動は、頭部41と、凹部71,72との干渉によって抑制される。したがって、第1変形例では、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0056】
図9(b)は、上記実施形態の第2変形例に係るアンテナ装置の要部拡大断面図である。
図9(b)に示されるように、板状部11Bにおける開口部14の縁14aの近傍には、主面11aに対して窪んでいる凹部81,82が設けられている。凹部81,82は、主面11aに対して方向αに沿って窪む溝であり、開口部14を挟んで互いに対向するように設けられている。頭部41は、凹部81,82を覆うと共に、凹部81,82の少なくとも一部に密着している。具体的には、頭部41の縁が、凹部81,82内に入り込んでいる。このような第1変形例においても、上記水平方向におけるアンテナエレメント5Bの移動は、頭部41と、凹部81,82との干渉によって抑制される。したがって、第2変形例では、上記実施形態及び第1変形例と同様の作用効果が奏される。なお、板状部11Bにおける開口部14の縁14aの近傍は、板状部11Bにおいて当該縁14aに離間すると共に頭部41に重なる位置に相当する。
【0057】
本発明によるアンテナ装置は、上述した実施形態及び上記変形例に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態及び上記変形例の内容は、適宜組み合わせてもよい。例えば、上記実施形態と、上記第1変形例又は上記第2変形例とを組み合わせ、凸部及び凹部の両方がアンテナエレメントに設けられてもよい。このとき、凸部と、複数の形態の凹部とがアンテナエレメントに設けられてもよい。また、アンテナエレメントには、頭部と干渉する凸部又は凹部が1つだけ設けられてもよい。
【0058】
上記実施形態及び上記変形例において、ケース、アンテナエレメント、回路基板等の形状は、アンテナ装置が求められる用途等に応じて適宜変更される。例えば、アンテナ装置が、電話用の電波受信用の装置である場合、アンテナエレメントの板状部は、平板形状でなくてもよい。
【0059】
上記実施形態及び上記変形例において、支持部32,34の形状及び数は限定されない。加えて、上記実施形態及び上記変形例において、支持部32,34は形成されなくてもよい。この場合、アンテナエレメント5は、例えばケース2の底壁3a上に配置され、底壁3aがアンテナエレメント5に対する支持部として機能する。さらには、上記実施形態及び上記第2変形例においても、上記第1変形例と同様に、突出部31と支持部32とが互いに離間してもよい。
【0060】
上記実施形態及び上記変形例において、開口部13〜15及び凸部16〜19は、主面11aの対角線の一つと重なるように設けられているが、これに限られない。例えば、開口部13〜15及び凸部16〜19の少なくとも一つは、上記対角線に重ならなくてもよい。この場合であっても、上記実施形態及び上記変形例と同様の作用効果が奏される。
【0061】
上記実施形態及び上記変形例において、基板21の開口部21dの縁21hには、凸部62,63ではなく、主面21aに対して窪んでいる凹部が設けられてもよい。この場合、頭部61の縁が当該凹部内に入り込むことにより、回路基板6の移動は、頭部61と凹部との干渉によって抑制される。また、回路基板6の開口部21eの縁にも、凸部ではなく、主面21aに対して窪んでいる凹部が設けられてもよい。この凹部は、例えば、基板21の一部を除去することによって形成される。
【0062】
上記実施形態及び上記変形例において、回路基板6には、凸部62,63が設けられなくてもよい。同様に、回路基板6には、頭部64に重なる凸部が設けられなくてもよい。