特許第6371853号(P6371853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6371853N−ベンジル−N−シクロプロピル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド誘導体の合成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371853
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】N−ベンジル−N−シクロプロピル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド誘導体の合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 231/16 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   C07D231/16
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-539542(P2016-539542)
(86)(22)【出願日】2014年9月4日
(65)【公表番号】特表2016-529304(P2016-529304A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014068838
(87)【国際公開番号】WO2015032859
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2017年3月15日
(31)【優先権主張番号】13356011.0
(32)【優先日】2013年9月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507203353
【氏名又は名称】バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ブリユーヒナー,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】パゼノク,セルギー
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−526768(JP,A)
【文献】 SUBHASH CHANDRA GHOSH; JOYCE S Y NGIAM; CHRISTINA L L CHAI; ABDUL M SEAYAD; TUAN THANH DANG,IRON-CATALYZED EFFICIENT SYNTHESIS OF AMIDES FROM ALDEHYDES AND AMINE HYDROCHLORIDE SALTS,ADVANCED SYNTHESIS & CATALYSIS,ドイツ,WILEY-VCH VERLAG GMBH,2012年 5月15日,VOL:354, NR:8,PAGE(S):1407 - 1412,URL,http://dx.doi.org/10.1002/adsc.201200020
【文献】 SUBHASH CHANDRA GHOSH; JOYCE S Y NGIAM; ABDUL M SEAYAD; DANG THANH TUAN; CHRISTINA L L CHAI,COPPER-CATALYZED OXIDATIVE AMIDATION OF ALDEHYDES WITH AMINE SALTS: SYNTHESIS 以下備考,THE JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY,米国,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2012年 8月16日,VOL:77, NR:18,PAGE(S):8007 - 8015,OF PRIMARY, SECONDARY, AND TERTIARY AMIDES,URL,http://dx.doi.org/10.1021/jo301252c
【文献】 ISTVAN E MARKO; ABDELAZIZ MEKHALFIA,RADICAL MEDIATED OXIDATIONS IN ORGANIC CHEMISTRY. 3. AN EFFICIENT AND VERSATILE 以下備考,TETRAHEDRON LETTERS,英国,PERGAMON,1990年,VOL:31, NR:49,PAGE(S):7237 - 7240,TRANSFORMATION OF ALDEHYDES INTO AMIDES,URL,http://dx.doi.org/10.1016/S0040-4039(00)97289-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)のピラゾールカルボキサミド:
【化1】

(式中、Rは、2−イソプロピルフェニル、2−シクロプロピルフェニル、2−tert−ブチルフェニル、5−クロロ−2−エチルフェニル、5−クロロ−2−イソプロピルフェニル、2−エチル−5−フルオロフェニル、5−フルオロ−2−イソプロピルフェニル、2−シクロプロピル−5−フルオロフェニル、2−シクロペンチル−5−フルオロフェニル、2−フルオロ−6−イソプロピルフェニル、2−エチル−5−メチルフェニル、2−イソプロピル−5−メチルフェニル、2−シクロプロピル−5−メチルフェニル、2−tert−ブチル−5−メチルフェニル、5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル、5−メチル−2−(トリフルオロメチル)フェニル、2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル、3−クロロ−2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)フェニルおよび2−エチル−4,5−ジメチルフェニルのリストから選択される。)の製造方法であって、
酸化剤存在下および触媒使用下での、下記一般式(II)の3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボアルデヒド:
【化2】

の、下記一般式(IIIa)のアミンまたは下記一般式(IIIb)のそれの塩:
【化3】

(式中、HXは、HF、HCl、HBr、H;HSO、HBF、CHSOH、CFSOH、CFCOHのリストから選択され、Rは上記で定義の通りである。)との反応による製造方法。
【請求項2】
Rが、5−クロロ−2−エチルフェニル、5−クロロ−2−イソプロピルフェニル、2−エチル−5−フルオロフェニル、5−フルオロ−2−イソプロピルフェニル、2−シクロプロピル−5−フルオロフェニル、2−シクロペンチル−5−フルオロフェニル、2−フルオロ−6−イソプロピルフェニルのリストから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アミン誘導体またはそれの塩酸塩が下記式III−1のものである請求項1または2に記載の方法。
【化4】
【請求項4】
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−N−(2−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A1)、
N−シクロプロピル−N−(2−シクロプロピルベンジル)−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A2)、
N−(2−tert−ブチルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A3)、
N−(5−クロロ−2−エチルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A4)、
N−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A5)、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−N−(2−エチル−5−フルオロベンジル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A6)、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−N−(5−フルオロ−2−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A7)、
N−シクロプロピル−N−(2−シクロプロピル−5−フルオロベンジル)−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A8)、
N−(2−シクロペンチル−5−フルオロベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A9)、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−N−(2−フルオロ−6−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A10)、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−N−(2−エチル−5−メチルベンジル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A11)、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−N−(2−イソプロピル−5−メチルベンジル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A12)、
N−シクロプロピル−N−(2−シクロプロピル−5−メチルベンジル)−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A13)、
N−(2−tert−ブチル−5−メチルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A14)、
N−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A15)、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−N−[5−メチル−2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A16)、
N−[2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A17)、
N−[3−クロロ−2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A18)、および
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−N−(2−エチル−4,5−ジメチルベンジル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A19)
らなる群から選択されるカルボキサミド誘導体の製造のための請求1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
N−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドの製造のための請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化段階を、塩基存在下に行う請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記塩基が、NaCO、NaOH、KCO、CaCO、CaO、Ca(OH)2、EtNまたはそれらの混合物からなるリストから選択される請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記塩基がCaCOである請求項またはに記載の方法。
【請求項9】
前記触媒が、CuSO・5HO、FeSO・7HO、CoSO・7HO、NiSOからなるリストから選択される請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒がFeSO・7HOである請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化剤が、次亜塩素酸ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化水素、塩化スルフリル、N−ブロモコハク酸イミド、N−クロロコハク酸イミド、メタ−クロロ過安息香酸、臭素のリストから選択される請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化剤が、クメンヒドロペルオキシドまたはtert−ブチルヒドロペルオキシドから選択される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応を、トルエン、メタノール、バレロニトリル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、水、テトラクロロメタン、クロロホルムまたはクロロベンゼンから選択される溶媒の存在下に行う請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒がアセトニトリルである請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラゾールカルボキサミド誘導体合成のための2級ベンジル系アミンとピラゾールカルボアルデヒド類との酸化的カップリングに関する。コレラ化合物の合成については、WO2010/130767により、ピラゾールカルボアルデヒドを原料として酸化によって相当する酸ハロゲニドとして、最終段階でそれをベンジルアミンと反応させて所望の標的化合物とする2段階以上をかけての合成として記載されている。
【背景技術】
【0002】
フッ素化ピラゾールカルボアルデヒド類の合成が、特許WO2011/061205に記載されている。2級ベンジル系アミンは、特許WO2012/059585に記載の方法に従って製造することができる。
【0003】
芳香族アルデヒド類および2級ベンジル系アミンの直接酸化カップリングによる相当するアミドの取得は、文献にある程度記載されている。チェン(Chen)のグループが、塩基、鉄または銅触媒および酸化剤としてのtert−ブチルヒドロペルオキシドの存在下に1級および2級アミン塩酸塩で各種アルデヒドを酸化的アミド化することを報告している(J. Org. Chem. 2012, 77, 8007−8015; Adv. Synth. Catal. 2012, 354, 1407−1412)。ペバレロ(Pevarello)らは、収率29%でのtert−ブチルヒドロペルオキシドの存在下におけるイミダゾチアジアゾールカルボアルデヒドのN−メチルベンジルアミンとの酸化的カップリングの1例を報告している(WO2009/040552)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2011/061205
【特許文献2】WO2012/059585
【特許文献3】WO2009/040552
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. Org. Chem. 2012, 77, 8007−8015
【非特許文献2】Adv. Synth. Catal. 2012, 354, 1407−1412
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フッ素化ピラゾールカルボアルデヒド類は言うまでもなく、ピラゾールカルボアルデヒド類の2級ベンジル系アミンとの酸化的カップリングは、文献では知られていない。さらに、アルデヒドのアミン類との酸化的カップリングについての文献手順のほとんどが、過剰のアルデヒドまたはアミンの使用を記載しており、それは反応の効率を大きく低下させるものである。
【0007】
この先行技術から、本発明の目的は、わずか1段階での、しかも高価な遷移金属触媒や過剰量のアミンや(respectively)アルデヒドを使用しない、ピラゾールカルボアルデヒドおよび2級ベンジル系アミンからのピラゾール−4−カルボキサミド類の効率的な合成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記式(I)のピラゾールカルボキサミド類:
【化1】
【0009】
(式中、Rは、2−イソプロピルフェニル、2−シクロプロピルフェニル、2−tert−ブチルフェニル、5−クロロ−2−エチルフェニル、5−クロロ−2−イソプロピルフェニル、2−エチル−5−フルオロフェニル、5−フルオロ−2−イソプロピルフェニル、2−シクロプロピル−5−フルオロフェニル、2−シクロペンチル−5−フルオロフェニル、2−フルオロ−6−イソプロピルフェニル、2−エチル−5−メチルフェニル、2−イソプロピル−5−メチルフェニル、2−シクロプロピル−5−メチルフェニル、2−tert−ブチル−5−メチルフェニル、5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル、5−メチル−2−(トリフルオロメチル)フェニル、2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)フェニル、3−クロロ−2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)フェニルおよび2−エチル−4,5−ジメチルフェニルのリストから選択される。)の製造方法であって、
酸化剤存在下および触媒使用下での、下記式(II)の3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボアルデヒド:
【化2】
【0010】
の、下記一般式(IIIa)のアミンまたは下記一般式(IIIb)のそれの塩:
【化3】
【0011】
(式中、HXは、HF、HCl、HBr、HJ;HSO、HBF、CHSOH、CFSOH、CFCOHのリストから選択され、Rは上記で定義の通りである。)との反応による製造方法に関する。
【0012】
本発明の特定の実施形態において、アミン誘導体またはそれの塩酸塩は下記式III−1のものである。
【化4】
【0013】
本発明による方法は好ましくは、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−N−(2−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−シクロプロピル−N−(2−シクロプロピルベンジル)−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−(2−tert−ブチルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−(5−クロロ−2−エチルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−N−(2−エチル−5−フルオロベンジル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−N−(5−フルオロ−2−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−シクロプロピル−N−(2−シクロプロピル−5−フルオロベンジル)−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−(2−シクロペンチル−5−フルオロベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−N−(2−フルオロ−6−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−N−(2−エチル−5−メチルベンジル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−N−(2−イソプロピル−5−メチルベンジル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−シクロプロピル−N−(2−シクロプロピル−5−メチルベンジル)−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−(2−tert−ブチル−5−メチルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
N−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A15)、
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−N−[5−メチル−2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物A16)、
N−[2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド,
N−[3−クロロ−2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド.
N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−N−(2−エチル−4,5−ジメチルベンジル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、
およびN−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−N−(2−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボチオアミド
からなる群から選択される式(I)の化合物を製造するのに使用される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
方法の説明
【化5】
【0015】
酸化的アミド化段階は、酸化剤、触媒および適宜に塩基の存在下に行う。
【0016】
アミンIIIとアルデヒドIIの間の比率は、1.5:1から1:0.5、好ましくは1.2:1から1:0.5、最も好ましくは1.2:1から1:1で変動し得る。
【0017】
酸化剤は、次亜塩素酸ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化水素、塩化スルフリル、N−ブロモコハク酸イミド、N−クロロコハク酸イミド、メタ−クロロ過安息香酸、臭素から選択され、好ましいものは塩化スルフリル、tert−ブチルヒドロペルオキシドおよびクメンヒドロペルオキシドであり、最も好ましいものはtert−ブチルヒドロペルオキシドおよびクメンヒドロペルオキシドである。
【0018】
酸化剤の量は、0.5から5当量;好ましくは1から2.5当量、より好ましくは1.5から2.5で変動し得る。
【0019】
アミン塩IIIbをその反応で用いる場合、この方法には塩基を用い、それは有機塩基または無機塩基である。NaCO、NaOH、KCO、CaCO、CaO、Ca(OH)または有機塩基(例えばEtN)から単一の化合物または混合物が選択され、好ましいものはNaCO、KCO、CaCOであり、特別に好ましいものはCaCOである。
【0020】
触媒は、CuSO・5HO、FeSO・7HO、CoSO・7HO、NiSOから選択され、好ましいものはCuSO・5HO、FeSO・7HOであり、特別に好ましいものはFeSO・7HOである。
【0021】
その反応は溶媒の存在下に行い、その溶媒はトルエン、メタノール、バレロニトリル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、水、テトラクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、好ましくはバレロニトリルおよびアセトニトリルから選択することができ、より好ましくはアセトニトリルである。
【0022】
本発明による方法の反応時間は、あまり重要な要素ではなく、反応体積によって決まり得るものであり、それは好ましくは3から12時間の範囲内である。
【0023】
本発明による方法の温度は、0℃から150℃、好ましくは20℃から120℃、より好ましくは60℃から90℃の範囲である。
【0024】
実施例
実施例1:N−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【化6】
【0025】
FeSO・7HO(0.55mmol、0.15g)、CaCO(5.63mmol、0.563g)およびN−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)シクロプロピルアミン塩酸塩(2.8mmol、0.725g)のアセトニトリル(2g)中混合物に、3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボアルデヒド(2.8mmol、0.5g)を加えた。その懸濁液を加熱して60℃とし、t−ブチルヒドロペルオキシド(7.7mmol、0.69g)のアセトニトリル(2g)中溶液を10時間かけて加えた。得られた混合物を1M塩酸で処理し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を亜硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、減圧下に濃縮して粗生成物を得た(定量的LCにより純度60%、1.02g、57%理論収率)。
【0026】
H NMR(DMSO−d、600MHz、25℃):δ=m7.38−7.37(m、1H)、7.34−7.32(m、1H)、7.20(m、1H)、6.99(t、1H、CFH、JH−F=54Hz)、4.69(s、2H)、3.80(s、3H、N−CH)、3.18−3.10(brm、1H)、2.63−2.48(brm、1H)、1.18(d、6H、J=6.6Hz)、0.67−0.63(m、4H)ppm。
【0027】
実施例2:N−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドのさらに別の合成手順
FeSO・7HO(0.26mmol、0.073g)、CaCO(0.53mmol、0.053g)およびN−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)シクロプロピルアミン塩酸塩(0.94mmol、0.167g)のアセトニトリル(0.9g)中混合物に、3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボアルデヒド(0.56mmol、0.1g)を加えた。懸濁液を加熱して60℃とし、NaOCl水溶液(13重量%;0.58mmol、0.331g)を加えた。得られた混合物を、粗反応のLCMSにより標的生成物の生成が示されるまで撹拌した。
【0028】
実施例3:N−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドのさらに別の合成手順
酸化剤としてNaOClに代えてH水溶液(30重量%)を用いた以外、実施例2に記載の方法に従って手順を行った。
【0029】
実施例4:N−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドのさらに別の合成手順
アセトニトリルに代えて溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを用いた以外は、実施例1に記載の方法に従って手順を行った。
【0030】
実施例5:N−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドのさらに別の合成手順
アセトニトリルに代えて溶媒としてメタノールを用いて以外、実施例1に記載の方法に従って手順を行った。
【0031】
実施例6:N−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドのさらに別の合成手順
アセトニトリルに代えて溶媒としてトルエンを用いた以外、実施例1に記載の方法に従って手順を行った。
【0032】
実施例7:N−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドのさらに別の合成手順
FeSO・7HO(0.26mmol、0.074g)、CaCO(10.7mmol、1.072g)およびN−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)シクロプロピルアミン塩酸塩(6.0mmol、1.564g)のアセトニトリル(4g)中混合物に、3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボアルデヒド(5.6mmol、1g)を加えた。懸濁液を加熱して60℃とし、クメンヒドロペルオキシド(8.7mmol、1.325g)のアセトニトリル(3.5g)中溶液を、5時間かけて加えた。得られた混合物を亜硫酸ナトリウムで処理し、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を減圧下に濃縮して、粗生成物を得た(定量的LCにより純度24%、2.3g、26%)。
【0033】
実施例8:N−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)−N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドのさらに別の合成手順
FeSO・7HO(0.025mmol、0.007g)、CaCO(0.053mmol、0.053g)およびN−(5−クロロ−2−イソプロピルベンジル)シクロプロピルアミン塩酸塩(0.94mmol、0.167g)のアセトニトリル(0.9g)中混合物に、3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボアルデヒド(0.56mmol、0.1g)を加えた。懸濁液を加熱して60℃とし、t−ブチルヒドロペルオキシドの溶液(0.57mmol、0.074g)を加えた。粗反応液のLCMSで標的生成物の生成が示されるまで、得られた混合物を撹拌した。