(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6371880
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】歩行訓練装置
(51)【国際特許分類】
A61H 1/02 20060101AFI20180730BHJP
A63B 23/04 20060101ALI20180730BHJP
A63B 22/04 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
A61H1/02 R
A63B23/04 C
A63B22/04
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-46056(P2017-46056)
(22)【出願日】2017年3月10日
【審査請求日】2017年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】596016557
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼宜▲静▼
(72)【発明者】
【氏名】林文濱
【審査官】
小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−126191(JP,A)
【文献】
特開2011−152232(JP,A)
【文献】
中国実用新案第201453943(CN,U)
【文献】
登録実用新案第3046538(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
A63B 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの支持座、一つの駆動源、二つのネジ軸、及び二つの伝動プラットフォームを有し
、前記駆動源が前記支持座に設けられており、二つの前記ネジ軸が互いに平行となるよう
前記支持座に設けられており前記駆動源に連結されており、二つの前記伝動プラットフォ
ームがそれぞれ対応する前記ネジ軸に設けられており、二つの前記伝動プラットフォーム
が前記駆動源及び二つの前記ネジ軸の駆動により一方が前方であり他方が後方である往復
変位を行う一つのリニア伝動ユニットと、
それぞれ、一つのペダル座、一つの回転軸、及び一つのペダルを有し、前記ペダル座が一つの底座、二つの頂座、及び複数の柱を有し、前記底座の底面がリニア伝動ユニットの一方の伝動プラットフォームに設けられており、前記柱が前記底座の頂面に設けられており、前記頂座が上下に移動可能に各前記柱の頂端に設けられており、前記回転軸が回転可能に前記頂座に設けられており、前記回転軸の軸方向が各前記柱の軸方向と直交であり、前記ペダルが前記回転軸に設けられており、前記ペダルが前記ペダル座に対して回転可能に前記回転軸に接続されており、互いに対向している二つのペダルユニットと、
を備えることを特徴とする歩行訓練装置。
【請求項2】
一つの上昇ユニットをさらに備え、
前記上昇ユニットは、一つの固定座、一つのプラットフォーム基座、一つの上昇基座、及び、一つの上昇アクチュエーターを有し、前記固定座が地面を支持するのに用いられ、前記プラットフォーム基座が前記リニア伝動ユニットの前記支持座の底部に接続されており、前記プラットフォーム基座の後端が地面を支持するのに用いられ、前記上昇基座の前後両端がそれぞれ前記固定座の前端と前記プラットフォーム基座の前端に回転可能に接続されており、前記上昇アクチュエーターが前記上昇基座の前端と前記プラットフォーム基座の前端の間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の歩行訓練装置。
【請求項3】
前記上昇ユニットは、一つの収納アクチュエーターをさらに有し、
前記収納アクチュエーターは、前記固定座と前記プラットフォーム基座の間に設けられており、かつ前記上昇アクチュエーターと所定距離離れていることを特徴とする請求項2に記載の歩行訓練装置。
【請求項4】
各前記ペダルユニットは、第一緩衝部材をさらに有し、
前記第一緩衝部材は、前記ペダル座の前記頂座と前記底座の間に設けられており、前記
頂座が上下に変位する緩衝効果を与えることを特徴とする請求項1に記載の歩行訓練装置
。
【請求項5】
前記ペダルユニットは、第一緩衝部材及び第二緩衝部材をさらに有し、
前記第一緩衝部材は、前記ペダル座の前記頂座と前記底座の間に設けられており、前記
頂座が上下に変位する緩衝効果を与え、
前記第二緩衝部材は、前記ペダル座の前記底座と前記ペダルの間に設けられており、前
記ペダルの回転時の緩衝効果を与えることを特徴とする請求項1に記載の歩行訓練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行訓練装置に関し、特に確実に走行姿勢を模擬することができる歩行訓練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歩く時、体の神経、筋肉、骨などのシステムの協調によって、体が前に進む。安定して歩くためには、十分な集中力、筋肉の力及び適当な運動コントロール能力が必要となる。しかし、高齢者にとって身体機能の衰弱によって歩くことが不自由になる場合がよくある。更には転ぶ時もある。こういう状況は体の健康や日常生活に悪影響を与える。
【0003】
高齢者のリハビリ訓練を助けるために、例えば特許文献1に開示されている歩行運動装置は、第一足部装着装置と第二足部装着装置とが前後に交替して移動することによって足を訓練する効果を実現する。特許文献2に開示されている運動器具は、レールスライドによってペダルを連動させ前後に移動させる。特許文献3に開示されている多機能歩行リハビリ訓練機は、スライドブロックによってペダルを連動させ前後に移動させ、ピン部材によってペダルを回転させる。しかし、上述の発明は、ペダルが歩く時の運動軌道を模擬するようにすることができず、それゆえ、実際の場合、訓練の効果には限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−325860号公報
【特許文献2】特開2001−309993号公報
【特許文献3】中国特許出願公開第105167959号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、歩行訓練装置を提供することにあり、効果的に使用者の走行姿勢の模擬をし、リハビリの効果を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の
歩行訓練装置は、一つのリニア伝動ユニットと、二つのペダルユニットとを備える。リニア伝動ユニットは、一つの支持座、一つの駆動源、二つのネジ軸、及び二つの伝動プラットフォームを有し、駆動源が支持座に設けられており、二つのネジ軸が互いに平行となるよう支持座に設けられており駆動源に連結されており、二つの伝動プラットフォームがそれぞれ対応するネジ軸に設けられており、二つの伝動プラットフォームが駆動源及び二つのネジ軸の駆動により一方が前方であり他方が後方である往復変位を行う。二つのペダルユニットは、それぞれ、一つのペダル座、一つの回転軸、及び一つのペダルを有し、ペダル座が一つの底座、二つの頂座、及び複数の柱を有し、底座の底面がリニア伝動ユニットの一方の伝動プラットフォームに設けられており、柱が底座の頂面
に設けられており、頂座が上下に移動可能に各柱の頂端に設けられており、回転軸が回転可能に頂座に設けられており、回転軸の軸方向が各柱の軸方向と直交であり、ペダルが回転軸に設けられており、ペダルがペダル座に対して回転可能に回転軸に接続されており、互いに対向している。
【0007】
上述したように、ペダルは、ペダル座と伝動プラットフォームの間の連結関係で前後のリニア運動を行うほか、ペダル座の頂座の上下変位、及びペダル座自身の回転により、使用者の走行時においての足の動きの変化に合わせることができる。これにより、使用者の走行時の歩行態様の軌跡を有効に模擬することができ、リハビリ訓練の効果を高める目的を達成する。
【0008】
さらに、ペダルの頂座がペダル座の底座に相対する上下の移動距離は、5センチ以内である。ペダルがペダル座に相対する回転角は10度以内である。
【0009】
歩行訓練装置は、一つの上昇ユニットをさらに備える。上昇ユニットは、一つの固定座、一つのプラットフォーム基座、一つの上昇基座、及び、一つの上昇アクチュエーターを有し、固定座が地面を支持するのに用いられ、プラットフォーム基座がリニア伝動ユニットの支持座の底部に接続されており、プラットフォーム基座の後端が地面を支持するのに用いられ、上昇基座の両端がそれぞれ固定座の前端とプラットフォーム基座の前端に回転可能に接続されており、上昇アクチュエーターが上昇基座の前端とプラットフォーム基座の前端の間に設けられている。これにより、上昇ユニットは、上昇アクチュエーターを利用してプラットフォーム基座及びリニア伝動ユニットを上方向に所定角度上昇させ、斜面で走行する効果が得られる。上昇ユニットは、一つの収納アクチュエーターをさらに有する。収納アクチュエーターは、固定座と前記プラットフォーム基座の間に設けられており、かつ上昇アクチュエーターと所定距離離れており、プラットフォーム基座の後端を地面から持ち上げ収納の効果が得られる。
【0010】
各ペダルユニットは、第一緩衝部材及び第二緩衝部材をさらに有する。第一緩衝部材は、ペダル座の頂座と底座の間に設けられており、頂座が上下に変位する緩衝効果を与える。第二緩衝部材は、ペダル座の底座とペダルの間に設けられており、ペダルの回転時の緩衝効果を与える。
【0011】
本発明による走行訓練の詳細構造、特徴、組み立て、使用方式を、以下に詳細に説明する。本発明の詳細な説明及び特定の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の特許請求の範囲を限定するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の歩行訓練装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の歩行訓練装置のリニア伝動ユニットの外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明の歩行訓練装置のペダルユニットを示す斜視図である。
【
図4】本発明の歩行訓練装置の上昇ユニットを示す斜視図である。
【
図5】本発明の歩行訓練装置の水平かつ直線に滑る状態を示す側面図である。
【
図6】本発明の歩行訓練装置の水平かつ直線に歩く状態を示す側面図である。
【
図7】本発明の歩行訓練装置の坂道で滑る状態を示す側面図である。
【
図8】本発明の歩行訓練装置の坂道で歩く状態を示す側面図である。
【
図9】本発明の歩行訓練装置の収納状態の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、本発明の歩行訓練装置10は、リニア伝動ユニット20と二つのペダルユニット30を備える。
【0014】
図2に示すように、リニア伝動ユニット20に一つの支持座21、駆動源22、二つのネジ軸23、二つの伝動プラットフォーム24を有する。駆動源22は支持座21の頂面に設けられており、二つのネジ軸23は、互いに平行であるよう、支持座21の頂面に設けられており、それぞれ駆動源22に連結されている。よって、二つのネジ軸23は駆動源22の駆動によって回転する。二つの伝動プラットフォーム24は、二つのネジ軸23とそれぞれ対応する。そのため、二つの伝動プラットフォーム24は、二つのネジ軸23の回転によって前後往復移動することができる。
【0015】
図3に示すように、それぞれのペダルユニット30は、一つのペダル座31、四つの第一緩衝部材35、一つの回転軸36、一つのペダル37、一つの第二緩衝部材38を有する。
【0016】
ペダル座31は、一つの底座32、二つの頂座33、四つの柱34を有する。底座32の底面は、リニア伝動ユニット20のペダル装置24の頂面に設置されている。柱34は底座32の頂面
に設けられている。頂座33は、上下に移動可能に二つの柱34の頂面に設けられている。これにより、ペダル座31は、伝動プラットフォーム24とともに移動する。そして、ペダル座31の頂座33は、ペダル座31の底座32に対して、
図6に示すように上下に移動可能である。本実施例の場合、頂座33が底座32に対して上下に移動する距離は、5センチ以内である。
【0017】
第一緩衝部材35は、ペダル座31の頂座33と底座32との間に設けられており、二つの頂座33に対して、
図6に示すように上下移動の緩衝の効果を提供する。本実施例の場合、第一緩衝部材35は、柱34に設置されており、ペダル座31の頂座33及び底座32の間に当接している弾性部材である。
【0018】
回転軸36は、ペダル座31の二つの頂座33の間に回転可能に設けられている。回転軸36の軸方向と柱34の軸方向は垂直である。
【0019】
ペダル37は、回転軸36に設置されており、ペダル37は回転軸36によってペダル座31に対して、
図6に示すように回転する。本実施例の場合、ペダル37は、ペダル座31に対する回転角度は10度以内である。
【0020】
第二緩衝部材38は、ペダル座31の底座32とペダル37の間に設置されており、ペダル37に対して、
図6に示すような回転時の緩衝効果を提供する。本実施例の場合、第二緩衝部材38は、流体圧シリンダーであり、一つのシリンダー本体381、及び一つのシリンダー本体381に軸方向変位可能に設置されているピストンロッド382を有する。シリンダー本体381の一端はペダル37に回転可能に設けられており、ピストンロッド382の一端はシリンダー本体381の内側に位置する。ピストンロッド382の他端は、シリンダー本体381の外側に位置し、ペダル座31の底座32に回転可能に設けられている。
【0021】
上述の構造によって、
図2、3、5に示すように、本発明のペダル37は、ペダル座31と伝動プラットフォーム24の連結関係により前後に往復移動することができる他、
図6に示すように、ペダル37の移動中において、ペダル座31の頂座33の上下移動及びペダル座31に対するペダル37の回転が使用者の走行時の足の運動の変化に応じる。これにより、効果的に使用者の走行姿勢を模擬し、リハビリ効果を高める効果を実現する。
【0022】
一方、坂道での走行姿勢を模擬するために、本発明は上昇ユニット40を備える。
図4に示すように、上昇ユニット40は、固定座41、プラットフォーム基座42、上昇基座43、及び上昇アクチュエーター44を有する。このうち、固定座41は、地面を支持するのに用いられる。プラットフォーム基座42は、リニア伝動ユニット20の支持座21の底面に連結する。プラットフォーム基座42の後端は地面を支持し、上昇基座43の両端はそれぞれ固定座41の先端、プラットフォーム基座42の先端に連結されている。上昇アクチュエーター44の頂端は、立棒45によってプラットフォーム基座42の先端に連結する。上昇アクチュエーター44の底端は、上昇基座43の先端に連結されている。これにより、
図7、8に示すように、上昇アクチュエーター44は、起動後、立棒45によりプラットフォーム基座42の先端を上方向に押し、プラットフォーム基座42の先端を上昇させ、プラットフォーム基座42の先端が上方向に上昇するとき、一方で上昇基座43の後端を引き、上昇基座43の後端を同時に上昇させ、他方、リニア伝動ユニット20及びペダルユニット30は、地面に対する傾斜角度が生じる。適切な角度まで調整してから上昇アクチュエーター44を停止させ、位置決めを完了する。これにより、本発明が提供するペダル37は、前後の方向に沿って勾配を有する水平スライドができ、ペダル座31の頂座33の上下移動及びペダル37のペダル座31に対する回転によって、使用者の坂道での走行姿勢の変化に合わせることができる(
図8参照)。
【0023】
上昇ユニット40は、使用者のための手摺フレーム46を有する。手摺フレーム46の底端は、固定座41に設けられている。手摺フレーム46の先端にマンマシンインターフェイス50が設置されている。使用者はマンマシンインターフェイス50を使って、リニア伝動ユニット20をコントロールすることができる。例えば、訓練時間の設定、運転速度の調整、歩調長さの調整などである。他に、歩行距離、心拍数、カロリーの消費量などの生理に関するメッセージが示される。
【0024】
図7、9示すように、使用しない時、体積を減少して収納スペースを節約するために、本発明は、収納アクチュエーター60を有する。収納アクチュエーター60は、固定座41とプラットフォーム基座42の間に設けられており、上昇アクチュエーター44と所定の距離を有する。収納アクチュエーター60は、起動後、プラットフォーム基座42を上に押し上げ、プラットフォーム基座42の後端を地面から離間させ、上昇中にリニア伝動ユニット20及びペダルユニット30を同時に作動させ、収納効果を実現する。
【0025】
上述のように、本発明の歩行訓練装置10は、直線滑動、直線走行、斜面滑動、斜面走行など四つのモードを有し、使用者の様々な状況の走行姿勢の変化を模擬することができる。他に、ペダルに、第一緩衝部材35及び第二緩衝部材38が設けられており、足首の負傷を避けることができる。同時に収納機能は、収納便利性を高めることができる。
【符号の説明】
【0026】
10
歩行訓練装置、
20 リニア伝動ユニット、
21 支持座、
22 駆動源、
23 ネジ軸、
24 伝動プラットフォーム、
30 ペダルユニット、
31 ペダル座、
32 底座、
33 頂座、
34 柱、
35 第一緩衝部材、
36 回転軸、
37 ペダル、
38 第二緩衝部材、
381 シリンダー本体、
382 ピストンロッド、
40 上昇ユニット、
41 固定座、
42 プラットフォーム基座、
43 上昇基座、
44 上昇アクチュエーター、
45 立棒、
46 手摺フレーム、
50 マンマシンインターフェイス、
60 収納アクチュエーター
【要約】
【課題】効果的に使用者の走行姿勢の模擬をし、リハビリの効果を高めることが可能な歩行訓練装置を提供する。
【解決手段】リニア伝動ユニット20は、支持座、駆動源、二つのネジ軸、二つの伝動プラットフォームを有し、駆動源が支持座に設けられ、二つのネジ軸が支持座に設けられ駆動源に連結され、二つの伝動プラットフォームがネジ軸に設けられ、二つの伝動プラットフォームが駆動源及び二つのネジ軸の駆動により往復変位を行う。二つのペダルユニット30は、それぞれ、ペダル座、回転軸、ペダルを有し、ペダルが底座、頂座、複数の柱を有し、底座の底面が一方の伝動プラットフォームに設けられ、柱が底座の頂面に等間隔に設けられ、頂座が上下に移動可能に各柱の頂端に設けられ、回転軸が回転可能に頂座に設けられ、回転軸の軸方向が各柱の軸方向と直交であり、ペダルが回転軸に設けられペダル座に対して回転可能に回転軸に接続され、互いに対向している。
【選択図】
図1