特許第6371911号(P6371911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371911
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】ウエハエッジ保護装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20180730BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
   H01L21/68 A
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-534779(P2017-534779)
(86)(22)【出願日】2015年12月27日
(65)【公表番号】特表2018-501519(P2018-501519A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】CN2015099084
(87)【国際公開番号】WO2016107507
(87)【国際公開日】20160707
【審査請求日】2017年8月15日
(31)【優先権主張番号】201410857409.5
(32)【優先日】2014年12月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,シュー
(72)【発明者】
【氏名】ツイ,ハイツァン
(72)【発明者】
【氏名】ニ,フェイ
(72)【発明者】
【氏名】グォ,リリ
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102012639(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102141735(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103293862(CN,A)
【文献】 特開2009−239018(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/035843(WO,A1)
【文献】 特表2005−505147(JP,A)
【文献】 特開2003−109999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20 −7/24
H01L 21/027
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハエッジ保護装置であって、
水平動作機構と、
垂直動作機構と、
速度制御装置であって、前記垂直動作機構と信号接続され、前記垂直動作機構の動作速度を調整するために用いられる速度制御装置と、
可撓バンパー機構であって、前記水平動作機構と、前記垂直動作機構と接続され、衝突時に前記ウエハエッジ保護装置の振幅を減少させるために用いられる可撓バンパー機構と、
制御装置であって、前記速度制御装置と信号接続され、制御信号を前記速度制御装置に出力し、前記垂直動作機構の動作を制御するために用いられる制御装置と、
を有する、
ことを特徴とするウエハエッジ保護装置。
【請求項2】
衝突信号検出と保護機構をさらに有し、前記水平動作機構の前記垂直動作機構に対する振動信号を検出するために用いられ、また、前記振動信号によって警報信号と保護信号を出力し、
前記衝突信号検出と保護機構は、前記制御装置と信号接続され、
前記制御装置は警報信号と保護信号を受信し、前記警報信号と保護信号によって制御信号を前記速度制御装置に出力し、前記垂直動作機構の動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項3】
前記水平動作機構は、
固定盤と、
三重偏心カム盤であって、一つのベアリングを介して前記固定盤の上側に固定され、少なくとも一つの偏心溝をその上に均等に設置する三重偏心カム盤と、
水平エアシリンダであって、第1端部が前記固定盤と接続され、第2端部が前記三重偏心カムと接続される水平エアシリンダと、
前記三重偏心カム盤の少なくとも一つの偏心溝内に設置される少なくとも一つのカム従動子と、
保護クランプであって、前記固定盤の中に嵌め込まれ、前記少なくとも一つの保護クランプ中の各個の第1端部が少なくとも一つの前記カム従動子中の対応する一個のカム従動子と固定接続され、第2端部が保護リングを受け取る或いは外すために用いられる保護クランプと、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項4】
前記水平エアシリンダの第1端部が第1軸ピンによって前記固定盤と接続され、前記水平エアシリンダの第2端部が第2軸ピンによって前記三重偏心カムと接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項5】
前記垂直動作機構の上端に垂直方向の固定部材が固定接続され、前記垂直動作機構の下端にパッチパネル機構によって前記可撓バンパー機構に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項6】
前記垂直動作機構は垂直エアシリンダである、
ことを特徴とする請求項5に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項7】
前記速度制御装置はガス供給源に設置されるサーボバルブである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項8】
前記可撓バンパー機構は柔軟シートと、前記柔軟シートの位置を制限するストッパ機構とを備え、
前記柔軟シートが前記垂直動作機構に接続され、前記柔軟シートが前記水平動作機構と固定接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項9】
前記柔軟シートはパッチパネル機構によって前記垂直動作機構に接続される、
ことを特徴とする請求項8に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項10】
前記ストッパ機構は少なくとも二つのストッパーロッドを有し、
前記少なくとも二つのストッパーロッドの底部がいずれも前記水平動作機構と固定接続され、前記少なくとも二つのストッパーロッドが下から上に前記柔軟シートと前記パッチパネル機構を順次貫通し、
前記少なくとも二つのストッパーロッドの上端にチェックナットが設置される、
ことを特徴とする請求項8に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項11】
前記少なくとも二つのストッパーロッドは前記柔軟シートの周囲に均等に設置される、
ことを特徴とする請求項10に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項12】
前記少なくとも二つのストッパーロッドの上端にはいずれもストッパリングが被せられる、
ことを特徴とする請求項10に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項13】
前記柔軟シートは円形であって、少なくとも一つの表面に一周を囲む複数のリブが設置され、
前記複数のリブによって囲まれる輪の内側の柔軟シートは、前記パッチパネル機構に固定接続され、一方、前記複数のリブによって囲まれる輪の外側の柔軟シートは、前記水平動作機構と固定接続される、
ことを特徴とする請求項8乃至請求項12のいずれか一項に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項14】
前記複数のリブによって囲まれた輪の外側に複数の外側孔が設置され、前記複数のリブによって囲まれた輪の内側に複数の内側孔が設置され、
前記柔軟シートの複数の外側孔は複数の第1のねじによって、前記パッチパネル機構と固定接続され、
前記柔軟シートの複数の内側孔は複数の第2のねじによって、前記水平動作機構と固定接続される、
ことを特徴とする請求項13に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項15】
前記複数のリブはいずれも扇形を呈する、
ことを特徴とする請求項13に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項16】
前記衝突信号検出と保護機構は少なくとも一つの衝突検出センサーを有し、
前記衝突検出センサーが前記水平動作機構及び前記垂直動作機構と信号接続される、
ことを特徴とする請求項に記載のウエハエッジ保護装置。
【請求項17】
前記少なくとも一つの前記衝突検出センサーは少なくとも一つのセンサーホルダによって、前記ウエハエッジ保護装置の上に固定される、
ことを特徴とする請求項16に記載のウエハエッジ保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製作分野に関し、特にウエハエッジ保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステッパーは主に集積回路IC又は他のマイクロデバイスの製造に用いられるものである。ステッパーによって、レチクルパターンをフォトレジストでコーティングされたウエハに結像させることができる。ステッパーは投影対物レンズによって露光して、設計したレチクルパターンをフォトレジストの上に動作転写させるものであり、ステッパーの主要要素としてのウエハエッジ保護装置は、露光の間におけるネガ型フォトレジストで被覆されたウエハエッジの保護に重要な役割を果たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フォトレジストは、感光性レジスト或いは感光剤とも呼ばれ、地域によってレジスト或いは増感剤と呼ばれるものでもあって、ポジ型フォトレジストとネガ型フォトレジストの二種類に集約することができる。フォトレジストをウエハにコーティングさせ、露光した後に、露光部がフォトレジスト現像液によって溶解されたフォトレジストがポジ型フォトレジストである。一方で、未露光部がフォトレジスト現像液によって溶解されたフォトレジストがネガ型フォトレジストである。ウエハエッジ保護装置は前記ネガ型フォトレジスト工程のための装置である。
【0004】
従来技術のウエハエッジ保護装置は、保護リングを使用してウエハエッジを遮蔽するものであり、これにより、ウエハエッジが露光プロセスにおいて露光しないように保護されるものであり、前記保護リングは中央部分が中空であって、エッジ部分が実際の遮光部品である。このようなウエハエッジ保護装置は、保護リングを搬送する機械機構と、制御モジュールとを有し、ステッパーのワークテーブルがウエハを運び、ウエハエッジ保護装置の下側の保護リングを受け渡す位置に動作させる際に、制御モジュールは保護リングを移送する機械機構を制御して、保護リングをワークテーブルの上に移送し、或いはワークテーブルの上から保護リングを受け取る。図3aと4aに示すように、上述の如くの従来技術におけるウエハエッジ保護装置は、速度制御装置が設置されず、制御装置が開閉信号をガス供給源の開閉弁に直接出力し、開閉弁によってガスの圧力を調整し、さらに、保護リングを移送する機械機構を制御して垂直方向にエアシリンダを動作させ、保護リングを移送する機械機構が下に動作する間に、先ず、t1時刻まで加速動作し、この時の速度がV1に達し、t1時刻に達した後にしばらく等速度V1で動作する。保護リングを移送する機械機構がステッパーのウエハを運ぶワークテーブルと衝突する際には、ウエハエッジ保護装置の動作速度が速いため、両者の間の大きな衝撃力により、ワークテーブルとウエハに損傷を与えてしまう。
【0005】
従って、ワークテーブルとウエハに損傷を及ぼすことを防ぐために、ステッパーの狭いスペースの中において、ウエハエッジ保護装置の高い安全性と信頼性が求められ、特にテスト時に、ワークテーブルのウエハエッジ保護装置に対する位置が不適切である場合には、ウエハエッジ保護装置がワークテーブルと衝突し、図6aに示すように、ウエハエッジ保護装置がワークテーブルに瞬時に強く衝突するる。ここで、縦座標Aは単位がヘルツ(Hz)である振幅を表し、横座標tは単位が秒(s)である時間を表す。衝突により強い振動信号が生成され、瞬時の強い衝撃によって、ワークテーブルの構造と性能に永久的な損傷を与え、且つウエハを振動させる或いは直ちに押しつぶすおそれがある。ウエハエッジ保護装置の垂直方向の速度を減少することによって、ウエハエッジ保護装置のワークテーブルとウエハに対する衝撃を減少させることができるが、生産性の低下をもたらしてしまう。
【0006】
従来技術では、別のウエハエッジ保護装置を提供し、単一の動力源によって複数の径方向の同期力を達成させ、直線変位を複数の等しい径方向変位に変換させ、これにより、保護リングの交換が実現され、また、必要な動力源が少なくなり、同期の程度が高くなる。しかしながら、該ウエハエッジ保護装置の稼動の間に、衝突が起きると、ワークテーブルを保護することができないため、安全リスクが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
安全性を高め、ワークテーブルとウエハを保護するために、本発明はウエハエッジ保護装置を提供する。
【0008】
上述した技術的問題を解決するために、本発明の技術的解決手段は、ウエハエッジ保護装置であり、該装置は、水平動作機構と、垂直動作機構と、速度制御装置であって、前記垂直動作機構と信号接続され、前記垂直動作機構の動作速度を調整するために用いられる速度制御装置と、可撓バンパー機構であって、前記水平動作機構と、前記垂直動作機構と接続され、衝突時にウエハエッジ保護装置の振幅を減少させるために用いられる可撓バンパー機構と、制御装置であって、前記速度制御装置と信号接続され、制御信号を前記速度制御装置に出力し、垂直動作機構の動作を制御するために用いられる制御装置と、を有する。
【0009】
好ましくは、前記ウエハエッジ保護装置はさらに衝突信号検出と保護機構を有し、該機構は前記水平動作機構の前記垂直動作機構に対する振動信号を検出するために用いられ、また、振動信号によって警報信号と保護信号を出力する。前記衝突信号検出と保護機構は、前記制御装置と信号接続され、また、前記制御装置は警報信号と保護信号を受信し、警報信号と保護信号によって制御信号を速度制御装置に出力し、前記垂直動作機構の動作を制御する。
【0010】
好ましくは、前記水平動作機構は、固定盤と、三重偏心カム盤であって、一つのベアリングを介して前記固定盤の上側に固定され、少なくとも一つの偏心溝をその上に均等に設置する三重偏心カム盤と、水平エアシリンダであって、第1端部が前記固定盤と接続され、第2端部が前記三重偏心カムと接続される水平エアシリンダと、三重偏心カム盤の少なくとも一つの偏心溝内に設置される少なくとも一つのカム従動子と、保護クランプであって、固定盤の中に嵌め込まれ、前記少なくとも一つの保護クランプ中の各個の第1端部が少なくとも一つの前記カム従動子中の対応する一個のカム従動子と固定接続され、第2端部が保護リングを受け取る或いは外すために用いられる保護クランプと、を有する。
【0011】
好ましくは、前記水平エアシリンダの第1端部が第1軸ピンによって前記固定盤と接続され、前記水平エアシリンダの第2端部が第2軸ピンによって前記三重偏心カムと接続される。
【0012】
好ましくは、前記垂直動作機構の上端に垂直方向の固定部材が固定接続され、前記垂直動作機構の下端にパッチパネル機構によって前記可撓バンパー機構に接続される。
【0013】
好ましくは、前記垂直動作機構は垂直エアシリンダである。
【0014】
好ましくは、前記速度制御装置はガス供給源に設置されるサーボバルブである。
【0015】
好ましくは、前記可撓バンパー機構は柔軟シートと、前記柔軟シートの位置を制限するストッパ機構とを備え、前記柔軟シートが前記垂直動作機構に接続され、前記柔軟シートが前記水平動作機構と固定接続される。
【0016】
好ましくは、前記柔軟シートはパッチパネル機構によって前記垂直動作機構に接続される。
【0017】
好ましくは、前記ストッパ機構は少なくとも二つのストッパーロッドを有し、前記少なくとも二つのストッパーロッドの底部がいずれも前記水平動作機構と固定接続され、前記少なくとも二つのストッパーロッドが下から上に前記柔軟シートと前記パッチパネル機構を順次貫通し、また、前記少なくとも二つのストッパーロッドの上端にチェックナットが設置される。
【0018】
好ましくは、前記少なくとも二つのストッパーロッドは前記柔軟シートの周囲に均等に設置される。
【0019】
好ましくは、前記少なくとも二つのストッパーロッドの上端にストッパリングが被せられる。
【0020】
好ましくは、前記柔軟シートは円形であって、少なくとも一つの表面に一周を囲む複数のリブが設置される。前記複数のリブによって囲まれる輪の内側の柔軟シートは、前記パッチパネル機構に固定接続され、一方、前記複数のリブによって囲まれる輪の外側の柔軟シートは、前記水平動作機構と固定接続される。
【0021】
好ましくは、前記リブによって囲まれた輪の外側に複数の外側孔が設置され、前記複数のリブによって囲まれた輪の内側に複数の内側孔が設置される。前記柔軟シートの複数の外側孔は複数の第1のねじによって、前記パッチパネル機構と固定接続される。前記柔軟シートの複数の内側孔は複数の第2のねじによって、前記水平動作機構と固定接続される。
【0022】
好ましくは、前記複数のリブはいずれも扇形を呈する。
【0023】
好ましくは、前記衝突信号検出と保護機構は少なくとも一つの衝突検出センサーを有し、前記衝突検出センサーが前記水平動作機構及び前記垂直動作機構と信号接続される。
【0024】
好ましくは、前記少なくとも一つの前記衝突検出センサーは少なくとも一つのセンサーホルダによって、前記ウエハエッジ保護装置の上に固定される。
【0025】
本発明のウエハエッジ保護装置は、速度制御装置を設置することによって垂直動作機構の速度を制御し、制御装置が速度制御装置によって、前記垂直動作機構を先に加速動作させ、一定の速度に加速すると、等速度の動作を維持させるように制御する。前記垂直動作機構によって前記水平動作機構を前記ワークテーブルに接近して動作させる際に、前記垂直動作機構が減速するため、前記水平動作機構がワークテーブルの上側に接近して動作する際に、前記垂直動作機構の動作速度が既に大きく減少したことによって、前記水平動作機構とワークテーブルとを衝突する確率が減少し、且つ前記水平動作機構とワークテーブルとを衝突する時における両者の間の衝撃力が弱まり、これにより、前記水平動作機構がワークテーブルに瞬時に強く衝突することを避け、ウエハエッジ保護装置の振幅を減少させ、水平動作機構によるウエハの押しつぶしを防ぐことができる。速度制御装置を設置しない場合と比べると、速度制御装置を設置した後に、前記垂直動作機構は定速動作段階における動作速度が大きく上がり、これにより、生産性を上げることができる。従って、速度制御装置を設置することによって、生産性が確保された上で、ワークテーブルとウエハを保護することができる。
【0026】
可撓バンパー機構を設置することにより、衝突時におけるウエハエッジ保護装置の振幅が減少し、ウエハエッジ保護装置とワークテーブルとを衝突する時の互いの衝撃力が減少し、これにより、前記ウエハエッジ保護装置とワークテーブルが衝突したときに両者の間の衝撃を減らすことができ、さらに、ウエハエッジ保護装置によるウエハの押しつぶしを防ぐことができる。
【0027】
前記衝突信号検出と保護機構を設置することにより、前記水平動作機構の前記垂直動作機構に対する振動信号を検出し、振動信号が閾値を超えない場合には、前記ウエハエッジ保護装置が通常に作動する。逆に、振動信号が閾値を超えた場合には、衝突が発生したと判断され、前記衝突信号検出と保護機構が警報信号と保護信号を出力する。制御装置は警報信号を受信した後に警報を発する。さらに、制御装置は保護信号を受信し、速度制御装置によって、前記ウエハエッジ保護装置に保護動作を行うように制御させ、衝突の動作を直ちに止めさせ、これにより、ワークテーブルが保護され、ウエハの押しつぶしを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例におけるウエハエッジ保護装置の正面図である。
図2】本発明の一実施例におけるウエハエッジ保護装置の斜視図である。
図3a】従来技術における速度制御装置を設置しないウエハエッジ保護装置の速度制御方法を概略的に示す図である。
図3b】本発明における速度制御装置を設置したウエハエッジ保護装置の速度制御方法を概略的に示す図である。
図4a】従来技術における速度制御装置を設置しないウエハエッジ保護装置の速度変化を概略的に示す図である。
図4b】本発明における速度制御装置を設置したウエハエッジ保護装置の速度変化を概略的に示す図である。
図5a】本発明の一実施例におけるウエハエッジ保護装置の柔軟シートの構造概要図である。
図5b】本発明の一実施例における異なる動作状態時のウエハエッジ保護装置の柔軟シートを概略的に示す図である。
図6a】従来技術におけるウエハエッジ保護装置とワークテーブルとを衝突する時の振動信号を概略的に示す図である。
図6b】本発明の一実施例におけるウエハエッジ保護装置とワークテーブルとを衝突する時の、水平動作機構の垂直動作機構に対する振動信号を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1、垂直動作機構,2、垂直方向の固定部材,3、衝突検出センサー,4、保護リング,5、保護クランプ,6、センサーホルダ,7、固定盤,8、柔軟シート,8−1、外側孔,8−2、リブ,8−3、内側孔,8a、柔軟シートの定常状態,8b、柔軟シートの下向き加速動作或いは衝突の状態,8c、柔軟シートの上向き加速動作の状態,9、パッチパネル機構,10、ストッパーロッド,11、ストッパリング,12、チェックナット,13、水平エアシリンダ,14、第1軸ピン,15、第2軸ピン,16、三重偏心カム盤,17、カム従動子,18、ベアリング,19、ガス供給源,20、速度制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0031】
図1図2に示すように、ウエハエッジ保護装置であって、水平動作機構と、垂直動作機構1と、前記垂直動作機構1の動作速度を調整するために用いられる速度制御装置20と、可撓バンパー機構であって、前記水平動作機構と、前記垂直動作機構1と接続し、衝突時にウエハエッジ保護装置の振幅を減少させるために用いられる可撓バンパー機構と、前記水平動作機構の前記垂直動作機構1に対する振動信号を検出するために用いられ、また、振動信号によって警報信号と保護信号を出力する衝突信号検出と保護機構と、制御装置(図示しない)であって、前記速度制御装置20と信号接続され、制御信号を前記速度制御装置20に出力し、垂直動作機構1の動作を制御するために用いられる制御装置と、を有する。
【0032】
具体的には、前記衝突信号検出と保護機構は、前記制御装置と信号接続され、前記制御装置は警報信号と保護信号を受信し、警報信号と保護信号によって制御信号を速度制御装置20に出力し、垂直動作機構1の動作を制御する。前記垂直動作機構1の動作によって、水平動作機構を動作させることで、前記水平動作機構とワークテーブルとを強く衝突することを防ぐことができる。
【0033】
また、図1図2に示すように、前記水平動作機構は、固定盤7と、三重偏心カム盤16と、水平エアシリンダ13と、カム従動子17と、少なくとも一つの保護リング4と、少なくとも一つの保護クランプ5と、を有する。
前記三重偏心カム盤16は、ベアリング18を介して前記固定盤7の上に固定され、前記三重偏心カム盤16は前記ベアリング18の柱面をスライド軸として周方向に動作する。前記三重偏心カム盤16の上には、複数の偏心溝が均等に設置される。前記水平エアシリンダ13の一端が前記固定盤7と接続され、他端が前記三重偏心カム盤16と接続される。前記カム従動子17は前記三重偏心カム盤16の偏心溝内に設置される。前記保護クランプ5は、前記固定盤7の中に嵌め込まれ、リニアガイド(図示しない)によって前記固定盤7と固定接続される。これにより、保護クランプ5はリニアガイドに沿い、前記固定盤7に対して径方向の往復動作をし、前記保護クランプ5の一端が前記カム従動子17と固定接続され、他端が前記保護リング4と接触接続され、カム従動子17によって、前記保護クランプ5を固定盤7の中に径方向の往復動作をさせることによって、前記保護リング4を受け取る或いは外すことを実現する。さらに、前記保護爪5は前記保護リング4を過負荷から保護することができる。
【0034】
好ましくは、水平エアシリンダ13は、第1軸ピン14によって前記固定盤7と接続され、第2軸ピン15によって前記三重偏心カム盤16と接続される。
【0035】
具体的には、水平エアシリンダ13にガスが提供された後に、前記水平エアシリンダ13によって、三重偏心カム盤16を円周動作させ、前記三重偏心カム盤16は前記偏心溝によって、カム従動子17を径方向に動作させ、前記カム従動子17によって保護クランプ5をリニアガイドに沿い固定盤7に対して径方向の動作をさせることで、保護クランプ5の保護リング4に対するホールドとリリースが実現されることによって、前記保護リング4の交換が達成され、保護リング4をワークテーブルの上に移送させる、或いはワークテーブルの上から保護リング4を受け取ることができる。
【0036】
図1図2に示すように、前記垂直動作機構1は垂直エアシリンダであり、前記垂直エアシリンダの上端に垂直方向の固定部材2が固定接続され、前記垂直エアシリンダの下端にパッチパネル機構9によって前記可撓バンパー機構が接続される。
【0037】
図3bに示すように、図1図2に関連して、本実施例において、前記速度制御装置20はガス供給源19上のサーボバルブであり、前記サーボバルブが前記制御装置と信号接続される。動作中では、制御装置が前記サーボバルブに電圧制御信号を出力し、サーボバルブが制御装置の出力した電圧制御信号を受信し、相応的に調整した流量と圧力を出力し、ガス供給源19の前記垂直エアシリンダに入れた気体の圧力と流量を調節することによって、垂直エアシリンダの動作速度を制御し、さらに、前記垂直エアシリンダによって、水平動作機構を動作させる。
【0038】
図4bに示すように、図1図2に関連して、V2は本実施例におけるウエハエッジ保護装置の定速動作段階の速度であり、V3は前記水平動作機構がワークテーブルの上側に接近して動作する或いは、保護リング4を受け渡す状態にある際における前記ウエハエッジ保護装置の速度である。制御装置は速度制御装置20によって、垂直エアシリンダを先ず加速して動作させ、速度がV2に加速すると定速動作を維持させるように制御する。前記垂直エアシリンダによって水平動作機構をワークテーブルに接近して動作させる際に、前記垂直エアシリンダが減速するため、前記水平動作機構がワークテーブルの上側に接近して動作し、保護リング4を受け渡す状態にある際には、前記垂直エアシリンダの動作速度が既にV3に減少し(図4bに示すt2時刻に対応する)、且つV3が遥かにV1より低いことにより、前記水平動作機構とワークテーブルとを衝突する確率が減少する。さらに、動作エネルギー式E=1/2mv2(ここで、Eが動作エネルギーであり、mが質であり、vが速度である)に従って、水平動作機構の質が変わらない状況下において、動作の速度が減少すると、前記水平動作機構とワークテーブルとを互いに衝突する時の衝撃力が減少するようになり、これにより、前記水平動作機構が瞬時にワークテーブルに強い衝撃を与えることを避け、ウエハエッジ保護装置の振幅を減少させ、前記水平動作機構によるウエハの押しつぶしを防ぐことができる。図4aと図4bに示すように、従来技術における速度制御装置を設置しない場合と比べると、本発明は、速度制御装置20を設置した後に、前記垂直エアシリンダの定速動作段階の動作速度が大きく上がる(即ち、V2>V1である)ため、生産性を上げることができる。従って、速度制御装置20を設置することによって、生産性が確保された上で、ワークテーブルとウエハを保護することができる。
【0039】
前記可撓バンパー機構は柔軟シート8と、前記柔軟シート8の位置を制限するストッパ機構とを備え、前記柔軟シート8の上側が前記垂直動作機構1に接続され、前記柔軟シート8の下側が前記水平動作機構に固定接続される。好ましくは、前記柔軟シート8の上側がパッチパネル機構9によって前記垂直動作機構1に接続され、柔軟シート8の下側が前記水平動作機構の固定盤7に固定接続される。
【0040】
好ましくは、前記ストッパ機構は少なくとも二つのストッパーロッド10を有し、前記ストッパーロッド10の底部が前記水平動作機構と固定接続され、前記ストッパーロッド10が下から上に前記柔軟シート8と前記パッチパネル機構9を順次貫通し、また、前記ストッパーロッド10の上端にチェックナット12が設置される。チェックナット12によってストッパーロッド10をしっかり留めることで、水平動作機構と垂直動作機構1が互いに離れることを防ぎ、且つ水平動作機構の垂直動作機構1に対する位置を制限することができる。前記ストッパーロッド10が前記柔軟シート8の周囲に均等に設置されることにより、前記ストッパ機構は前記柔軟シートを均等に位置的に制限することができる。前記ストッパーロッド10の上端、チェックナット12の下側にストッパリング11がかぶせられ、前記ストッパリング11は、前記チェックナット12を緩衝させ、前記チェックナット12が固すぎて緩めることができないことを防ぐために用いられる。
【0041】
図5aに示すように、図1図2に関連して、前記柔軟シート8は円形であり、前記柔軟シート8の少なくとも一つの表面に一周を囲む複数のリブ8−2が設置される。前記複数のリブ8−2によって囲まれる輪の内側の柔軟シート8は、前記パッチパネル機構9に固定接続され、前記リブ8−2によって囲まれる輪の外側の柔軟シート8は、前記水平動作機構の固定盤7と固定接続される。
【0042】
好ましくは、前記リブ8−2は扇形としてもよく、或いは他の任意の適当な形としてもよい。前記リブ8−2によって囲まれる輪の外側に一周の外側孔8−1が設置され、前記リブ8−2によって囲まれる輪の内側に内側孔8−3が設置される。前記柔軟シート8の外側孔8−1はねじによって前記パッチパネル機構9と固定接続される。前記柔軟シート8の内側孔8−3はねじによって前記水平動作機構の固定盤7と固定接続される。
【0043】
図5bに示すように、図1図2に関連して、柔軟シート8は定常状態では、水平動作機構の引っ張り作用を受けることにより、柔軟シート8の中間部分のリブ8−2が湾曲して変形することになり、柔軟シート8全体は円形を呈する。例えば、図5bの8aはストッパ機構が設置された後における柔軟シート8の定常状態を示している。
【0044】
ストッパ機構を設置しないと、水平動作機構が下に加速する或いは上向きの衝突力を受ける際には、柔軟シート8の扇形状の湾曲の程度は定常状態時より低くなり、この時の柔軟シート8の形状が図5bの8bに示す通りであり、その結果、水平動作機構と前記垂直動作機構1は互いに接近する。一方、水平動作機構が上に加速動作する際に、柔軟シート8の扇形の湾曲の程度は定常状態時より高くなり、この時の柔軟シート8の形状が図5bの8cに示す通りであり、その結果、水平動作機構と前記垂直動作機構1は互いに離れあう。
【0045】
ストッパ機構を設置することにより、柔軟シート8の湾曲の程度が制限され、水平動作機構と垂直動作機構1が互いに離れあうことが避けられる。ウエハエッジ保護装置が下に動作してワークテーブルと保護リング4を受け渡す状態に至る際に、水平動作機構とワークテーブルの間には高さがわずか0.4mmの隙間がある。ストッパ機構が柔軟シート8の変形程度を制限するため、水平動作機構と垂直動作機構1が互いに離れあう傾向が出る際に、ストッパ機構は前記水平動作機構と前記垂直動作機構1との間の相対的位置を確保し、水平動作機構と垂直動作機構1が互いに離れあうことを避け、柔軟シート8の変形による水平動作機構の下向き動作を防ぎ、水平動作機構とワークテーブルとの衝突を回避することができる。また、保護リング4を受け渡す間に、前記可撓バンパー機構が従来技術の固定継手と同じ効果を有することを確保できる。
【0046】
柔軟シート8は水平方向で十分な剛性を有し、柔軟シートの捻りを防止するだけではなく、垂直方向で水平動作機構に対する重力支持及び一定の伸縮変形性を提供する必要もある。即ち、両者の間には適当なバランスを達成する必要がある。柔軟シート8の厚さ、リブの数及びリブ8−2の幅を変えることにより、柔軟シート8の剛性を調整することができる。好ましくは、柔軟シート8の厚さを1mm、リブ8−2を八個、リブ8−2の幅を7mmとする際に、剛性は以下に達する。柔軟シート8が100Nの衝撃力をかける際に、定常状態において、柔軟シート8の垂直方向の変位が1mmであり、剛性が0.01mm/Nであり、柔軟シート8が水平方向において捻りが生じない。
【0047】
図6bに示すように、図1及び図2と同様に、縦座標Aは単位がHzである振幅を表し、横座標tは単位が秒(s)である時間を表す。従来技術の「ハード」な衝突と比べると、柔軟シート8を採用することにより、水平動作機構とワークテーブルの間の瞬時の衝突をより長い時間の緩やかな衝突に緩衝させ、衝突による振幅が大きく減少し、衝突信号を検出するために十分な時間を与え、これにより、前記衝突信号検出と保護機構が即時に制御信号を出力し、制御装置が垂直動作機構1を即時に制御して相応の保護動作を行うことで、ウエハエッジ保護装置が瞬時にワークテーブルに強く衝突することを避け、振幅を減少させ、ウエハの押しつぶしを防ぐことができる。
【0048】
図1図2に示すように、前記衝突信号検出と保護機構は少なくとも一つの衝突検出センサー3を有し、前記衝突検出センサー3は前記水平動作機構及び前記垂直動作機構1と信号接続され、また、センサーホルダ6によって前記ウエハエッジ保護装置の上に固定される。好ましくは、前記衝突検出センサー3はセンサーホルダ6によってパッチパネル機構9に固定される。前記衝突検出センサー3は、前記ウエハエッジ保護装置の稼動の間に、前記水平動作機構の前記垂直動作機構1に対する振動信号を検出することができる。
【0049】
具体的には、前記衝突検出センサー3は前記水平動作機構の前記垂直動作機構1に対する振動信号を検出し、振動信号が閾値を超えない際に、前記ウエハエッジ保護装置が通常に動作する。逆に、振動信号が閾値を超えた際に、衝突が発生したと判断され、前記衝突検出センサー3は警報信号と保護信号を出力する。また、制御装置は警報信号を受信した後に警報を発する。
【0050】
保護信号は上昇信号と停止信号の二種類に分けられる。前記ウエハエッジ保護装置が垂直に下に向かって動作する、且つ保護リング4が前記水平動作機構にクランプされる際に、前記衝突検出センサー3は上昇信号を出力する。制御装置は前記衝突検出センサー3の出力した上昇信号を受信し、速度制御装置20によって前記ウエハエッジ保護装置の上向き動作を制御し、ワークテーブルを保護し、ウエハの押しつぶしを防ぐ。
【0051】
前記ウエハエッジ保護装置が他のいずれの運転状態にあると停止信号が出力され、制御装置は衝突検出センサー3から出力した停止信号を受信し、速度制御装置20によって前記ウエハエッジ保護装置を制御して停止させ、衝突動作を即時に停止させる。
【0052】
当業者は、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに本発明に対して様々な変更及び変形を行うことができる。即ち、本発明のこれらの修正と変形が本発明の請求の範囲及び同等技術の範囲に含まれるため、本発明もこれらの変更と変形に含まれることを意図する。

図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b