(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工程a)において、用いられるモノビニル芳香族化合物が、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、もしくはビニルナフタレン、またはそれらの化合物の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
工程a)において、用いられるポリビニル芳香族化合物が、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、もしくはトリビニルベンゼン、またはそれらの化合物の混合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
用いられるモノビニル芳香族化合物がスチレンであり、かつ用いられるポリビニル芳香族化合物がジビニルベンゼンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
工程b)において使用される前記フリーデル−クラフツ触媒が、塩化鉄(III)と硫酸との混合物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
工程b)において用いられる前記カルボン酸無水物およびカルボン酸が、無水酢酸と酢酸との混合物であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
工程b)において、前記フリーデル−クラフツ触媒が、前記式(I)の化合物1モルあたり1〜5モルの量であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
前記式(I)の化合物が、工程b)において、粒状ポリマー1グラムあたり0.001〜0.05モルの量で用いられることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
前記カルボン酸無水物が、工程b)において、前記式(I)の化合物1モルあたり1.5〜4モルの量で用いられることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
前記式(I)の化合物が、工程b)において、前記式(II)の化合物1グラムあたり0.01〜0.05モルの量で用いられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
工程b)において、用いられる、前記式(I)の化合物、前記式(II)の化合物、前記粒状ポリマー、前記脂肪族の飽和もしくは不飽和のカルボン酸無水物、フリーデル−クラフツ触媒、および任意のカルボン酸の量が、合わせて、前記反応混合物の全量を規準にして、前記反応混合物の95重量%よりも多い量で用いられることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
R
1は、好ましくはHである。R
1=Hならば、式(I)の化合物は、フタルイミドである。式(I)の化合物が、フタルイミド、およびそれの塩または酸付加化合物であるのが好ましい。「酸付加化合物(acid addition compound)」とは、たとえば、塩酸または硫酸との付加体を意味していると理解されたい。好ましくは、式(I)の化合物の塩は、フタルイミドと硫酸とから形成される四級フタルイミド付加体である。
【0009】
好ましくは、n=2〜30である。より好ましくは、n=8〜30である。
【0010】
式(II)の化合物は、直鎖状またはそうでなければ環状の、ホルムアルデヒドの縮合物であることができ、それにはたとえばトリオキサンが含まれる。式(II)の化合物として、パラホルムアルデヒドまたはトリオキサンまたはそれらの化合物の混合物を使用するのが好ましい。より好ましくは、式(II)の化合物はパラホルムアルデヒドである。
【0011】
方法の工程b)において用いられるカルボン酸無水物は、たとえば、そして好ましくは、以下のものであってよい:10℃〜60℃の間の温度で液体である脂肪族の飽和もしくは不飽和のモノ−、ジ−もしくはトリ−カルボン酸無水物、たとえばコハク酸無水物、シュウ酸無水物、アジピン酸無水物、マレイン酸無水物、無水酢酸、酪酸無水物、プロピオン酸無水物、ヘキサン酸無水物またはペンタン酸無水物、ならびにそれらの異性体、たとえば吉草酸無水物、イソ吉草酸無水物、2−メチル酪酸無水物、またはピバル酸無水物。方法の工程b)において用いるカルボン酸無水物は、より好ましくは、10℃〜60℃の間の温度で液体である脂肪族で飽和のモノカルボン酸無水物である。極めて特に好ましいのは、無水酢酸またはペンタン酸無水物および吉草酸無水物、イソ吉草酸無水物、2−メチル酪酸無水物またはピバル酸無水物、それらの異性体を用いることである。さらにより好ましくは、無水酢酸が用いられる。
【0012】
方法の工程b)において用いられるカルボン酸は、たとえば、そして好ましくは、以下のものであってよい:10℃〜60℃の間の温度で液体である、液状の飽和もしくは不飽和のモノ−、ジ−もしくはトリ−カルボン酸、たとえばコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、ギ酸、ジグリコール酸、マレイン酸、酢酸、酪酸、プロパン酸、ヘキサン酸、またはヘプタン酸。混合物の中では、カルボン酸無水物とそれに相当するカルボン酸、すなわち、たとえば、吉草酸無水物と吉草酸、または無水酢酸と酢酸を用いるのが好ましい。方法の工程b)で用いられるカルボン酸が、10℃〜60℃の間の温度で液体である脂肪族で、かつ飽和のモノカルボン酸であれば、より好ましい。無水酢酸を酢酸との混合物として用いるのが、最も好ましい。カルボン酸無水物とカルボン酸との混合物を用いる場合、カルボン酸無水物対カルボン酸の比は、一般的には、(100:1)から(1:100)までの間である。好ましくは、カルボン酸無水物対カルボン酸の比が、(100:1)から(1:1)までの間である。より好ましくは、カルボン酸無水物対カルボン酸の比が、(10:1)から(1:10)までの間である。さらにより好ましくは、カルボン酸無水物対カルボン酸の比が、(10:1)から(3:1)までの間である。
【0013】
方法の工程b)において用いられるフリーデル−クラフツ触媒は、好ましくは、強い無機もしくは有機のプロトン酸もしくはルイス酸、たとえば塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化スズ、塩化鉄(III)、またはさらなる鉄(III)の塩、またはそれらの化合物の混合物であってよい。使用されるフリーデル−クラフツ触媒は、たとえば、そして好ましくは、脂肪族もしくは芳香族のメタン−、ベンゼン−、およびトルエン−スルホン酸、塩酸、硫酸、発煙硫酸、硝酸、またはリン酸、またはそれらの酸の混合物である。使用される有機のプロトン酸は、たとえば、脂肪族もしくは芳香族のメタン−、ベンゼン−、およびトルエン−スルホン酸、またはフルオロスルホン酸であってよい。使用されるフリーデル−クラフツ触媒は、好ましくは、硫酸、発煙硫酸、および鉄(III)塩、またはそれの化合物の混合物である。使用されるフリーデル−クラフツ触媒は、より好ましくは、硫酸および塩化鉄(III)、ならびにそれの化合物の混合物である。
【0014】
鉄(III)塩は、硫酸に対して、(10:1)から(1:10)まで、より好ましくは(1:15)から(1:4)までのモル比で使用するのが好ましい。塩化鉄(III)を硫酸に対して、(1:9)から(1:5)までのモル比で使用するのが最も好ましい。
【0015】
本発明の範囲には、すべての基の定義、パラメーター、ならびに上記の説明および以後における詳しい説明、一般的な項目または、好ましいと領域内であると言及された項目を、相互に、すなわち、個別の領域と好ましい領域を各種組み合わせたものを含めて包含される。
【0016】
方法の工程a)においては、少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物および少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物を用いる。しかしながら、2種以上のモノビニル芳香族化合物の混合物、および2種以上のポリビニル芳香族化合物の混合物を用いることもまた可能である。
【0017】
本発明の文脈においては、方法の工程a)において使用されるモノビニル芳香族化合物は、好ましくは、スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、またはクロロメチルスチレンである。
【0018】
スチレンか、またはスチレンと上述のモノマーとの混合物、好ましくはエチルスチレンとの混合物を用いるのが特に好ましい。
【0019】
本発明の文脈において、方法の工程a)のために好ましいポリビニル芳香族化合物は、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルナフタレン、特に好ましくはジビニルベンゼンである。
【0020】
ポリビニル芳香族化合物の使用量は、モノマーまたは、それと他のモノマーとの混合物を規準にして、好ましくは1%〜20重量%、より好ましくは2%〜12重量%、特に好ましくは4%〜10重量%の量である。その粒状ポリマーの後での使用に関連づけて、ポリビニル芳香族化合物(架橋剤)の種類を選択する。ジビニルベンゼンを用いる場合には、エチルビニルベンゼン、さらにはジビニルベンゼンの異性体も含んでいる市販品質のジビニルベンゼンで十分である。
【0021】
本発明の目的のためには、「粒状ポリマー(bead polymer)」という用語は、粒子の形態であって架橋されたポリマーである。
【0022】
「ミクロポーラス」または「ゲルの形態」または「マクロポーラス」という用語は既に、専門家の文献に詳しく記載されている。
【0023】
マクロポーラスな粒状ポリマーは、好ましくは、重合の際に粒状ポリマーの中にマクロポーラスな構造を作らせる目的で、モノマー混合物に対して、不活性物質、好ましくは少なくとも1種のポロゲンを添加することによって形成される。特に好ましいポロゲンは、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、イソドデカン、メチルエチルケトン、ブタノール、またはオクタノール、およびそれらの異性体である。特に好適な物質は、たとえば脂肪族炭化水素のような、モノマーは溶解させるが、粒状ポリマーはほとんど溶解しないか、または膨潤させるような有機物質(ポリマーにとっての沈降剤)である(Farbenfabriken Bayer、DBP第1045102号明細書(1957);DBP第1113570号明細書(1957))。
【0024】
米国特許第4382124号明細書では、ポロゲンとして、4〜10個の炭素原子を有するアルコールを使用しているが、このものは、本発明の文脈においても同様に、スチレン/ジビニルベンゼンをベースとする単分散でマクロポーラスな粒状ポリマーを調製するために好適に使用することができる。それに加えて、マクロポーラスな粒状ポリマーのための調製法が概説されている。
【0025】
方法の工程a)において、少なくとも1種のポロゲンを添加するのが好ましい。そのアミノメチル化粒状ポリマーが、マクロポーラスな構造を有しているのが好ましい。
【0026】
方法の工程a)において調製された粒状ポリマーは、ヘテロ分散(heterodisperse)または単分散の形態で調製することができる。
【0027】
ヘテロ分散性粒状ポリマーの調製は、当業者に公知の一般的なプロセス、たとえば懸濁重合を用いて実施される。
【0028】
方法の工程a)において、単分散の粒状ポリマーを調製するのが好ましい。
【0029】
本出願においては、単分散の物質とは、その粒子の少なくとも90(容積または質量)%が、最多直径(most common diameter)から±10%の範囲に入る直径を有しているようなものである。
【0030】
たとえば、0.5mmの最多直径を有する物質の場合なら、少なくとも90(容積または質量)%が、0.45mm〜0.55mmの範囲のサイズの中にあり;0.7mmの最多直径を有する物質の場合なら、少なくとも90(容積または質量)%が、0.77mm〜0.63mmの範囲のサイズの中にある。
【0031】
本発明の好ましい実施態様においては、方法の工程a)における単分散の粒状ポリマーの調製では、マイクロカプセル化されたモノマーの液滴が使用される。
【0032】
モノマーの液滴のマイクロカプセル化に有用な物質は、複合コアセルベートとしての使用が公知のもの、特にポリエステル、天然および合成のポリアミド、ポリウレタン、またはポリウレアである。
【0033】
ゼラチンは、好適に使用できる天然のポリアミドである。ゼラチンは、特にコアセルベートおよび複合コアセルベートの形態で採用される。本発明の目的のためには、ゼラチン含有複合コアセルベートが、特に、ゼラチンと合成高分子電解質との組合せである。好適な合成高分子電解質は、たとえば、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドおよびメタクリルアミドの単位を組み込んだコポリマーである。アクリル酸およびアクリルアミドを使用するのが、特に好ましい。ゼラチン含有カプセルは、慣用される硬化剤、たとえばホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドを使用して硬化させることができる。ゼラチン、ゼラチン含有コアセルベートおよびゼラチン含有複合コアセルベートを用いてモノマーの液滴をカプセル化させることについては、欧州特許出願公開第A0 046 535号明細書に詳しい記述がある。合成ポリマーを使用してカプセル化するための方法は公知である。好ましいのは相界面縮合であって、その場合、モノマーの液滴の中に溶解されている反応性成分(特にイソシアネートまたは酸塩化物)が、水相の中に溶解されている第二の反応性成分(特にアミン)と反応される。
【0034】
ヘテロ分散性、または場合によってはマイクロカプセル化された単分散のモノマーの液滴には、重合の引き金となる、少なくとも1種の重合開始剤または複数の重合開始剤の混合物(重合開始剤の組合せ)が含まれる。本発明による方法に好適な重合開始剤は、ペルオキシ化合物、特に好ましくは、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(p−クロロベンゾイル)ペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、tert−ブチルペルオクトエート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、またはtert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサン、ならびにアゾ化合物たとえば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)または2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)である。
【0035】
重合開始剤は、モノマー混合物を基準にして、好ましくは0.05重量%〜2.5重量%、より好ましくは0.1重量%〜1.5重量%の量で用いる。
【0036】
場合によっては単分散のマイクロカプセル化されたモノマーの液滴には、場合によってはさらに、(モノマーを基準にして)30重量%までの架橋または非架橋のポリマーが含まれていてもよい。好ましいポリマーは、上述のモノマーから、より好ましくはスチレンから誘導されたものである。
【0037】
方法の工程a)において単分散の粒状ポリマーを調製する場合には、その水相には、さらに好ましい実施態様においては、溶解させた重合禁止剤が含まれていてもよい。この場合においては、有用な禁止剤は、無機物質、有機物質のいずれであってもよい。好ましい無機禁止剤は、窒素化合物、特に好ましくはヒドロキシルアミン、ヒドラジン、亜硝酸ナトリウムおよび亜硝酸カリウム、亜リン酸の塩、たとえば亜リン酸水素ナトリウム、および硫黄化合物、たとえば亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、ならびにチオシアン酸アンモニウムである。有機重合禁止剤の例は、フェノール系化合物たとえば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、レゾルシノール、ピロカテコール、tert−ブチルピロカテコール、ピロガロール、およびフェノールとアルデヒドとの縮合反応生成物である。さらなる好適な有機重合禁止剤は、窒素化合物である。特に好ましいのは、ヒドロキシルアミン誘導体たとえば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N−イソプロピルヒドロキシルアミンおよびスルホン化もしくはカルボキシル化N−アルキルヒドロキシルアミンもしくはN,N−ジアルキルヒドロキシルアミン誘導体、ヒドラジン誘導体たとえばN,N−ヒドラジノ二酢酸、ニトロソ化合物たとえば、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩もしくはN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩である。重合禁止剤の濃度は、(水相を基準にして)一般的には5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppm、より好ましくは10〜250ppmである。
【0038】
単分散の粒状ポリマーを得るための、場合によってはマイクロカプセル化された単分散のモノマーの液滴の重合は、既に上で述べたように、場合によってはまたは好ましくは、水相の中に1種または複数の保護コロイドを存在させて実施される。好適な保護コロイドは、天然もしくは合成の水溶性ポリマー、好ましくはゼラチン、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、または(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルのコポリマーである。好ましいものとしてはさらに、セルロース誘導体、特にセルロースエステルおよびセルロースエーテル、たとえば、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。ゼラチンが特に好ましい。使用される保護コロイドの量は、水相を基準にして、通常は0.05重量%〜1重量%、好ましくは0.05重量%〜0.5重量%である。
【0039】
また別の好ましい実施態様においては、単分散の粒状ポリマーを得るための重合を、緩衝システムの存在下で実施することができる。重合の開始時の水相のpHを、14〜6の間、好ましくは12〜8の間の値に設定できる緩衝システムが好ましい。それらの条件下では、カルボン酸基を有する保護コロイドは、全面的または部分的に塩として存在する。このことが、保護コロイドの作用に好ましい効果を与える。特に好適な緩衝システムには、リン酸またはホウ酸の塩が含まれる。本発明の文脈においては、「リン酸塩」および「ホウ酸塩」という用語には、対応する塩および酸のオルトの形態の縮合反応生成物も包含される。水相中のリン酸塩またはホウ酸塩の濃度は、一般的には0.5〜500mmol/L、特には2.5〜100mmol/Lである。
【0040】
単分散の粒状ポリマーを得るための重合における撹拌速度は、あまり重要ではなく、慣用される粒状重合の場合とは対照的に、粒径には影響をおよぼさない。低い攪拌機速度が採用され、懸濁液中に懸濁されたモノマーの液滴を保持し、重合熱の除去を促進するにはこれで十分である。この作業のためには、各種の撹拌タイプを使用することができる。特に好適な攪拌機は、軸方向作用(axial action)を有するゲート攪拌機(gate stirrer)である。
【0041】
カプセル化されたモノマーの液滴の水相に対する容積比は、(1:0.75)から(1:20)まで、好ましくは(1:1)から(1:6)までである。
【0042】
単分散の粒状ポリマーを得るための重合温度は、使用した重合開始剤の分解温度で決まる。それは、一般的には50〜180℃の間、好ましくは55〜130℃の間である。重合には0.5時間〜約20時間かかる。重合を低温、たとえば60℃で開始させ、重合転化率が上がるにつれて反応温度も上げていくという温度プログラムを採用するのが有用であるということが見出された。このようにすると、たとえば信頼のおける反応の進行や高い重合転化率といった要件を、極めて効果的に達成することが可能となる。重合反応の後、慣用される方法、たとえば濾過またはデカンテーションによって単分散の粒状ポリマーを単離し、任意選択により場合によっては洗浄する。
【0043】
ジェット法またはシード−フィード法を用いて単分散の粒状ポリマーを調製することは、従来技術からも公知であり、たとえば、米国特許第A4 444 961号明細書、欧州特許出願公開第A0 046 535号明細書、米国特許第4 419 245号明細書、または国際公開第93/12167号パンフレットに記載されている。
【0044】
ジェット法またはシード−フィード法を使用して単分散の粒状ポリマーを調製するのが好ましい。
【0045】
方法の工程a)において、マクロポーラスな、単分散の粒状ポリマーを調製するのが好ましい。
【0046】
方法の工程b)は、任意の方法で実施することができる。たとえば、粒状ポリマーを最初に仕込み、それに対して、式(I)の化合物および式(II)の化合物、(場合によってはカルボン酸と混合した)カルボン酸無水物、およびフリーデル−クラフツ触媒の混合物を添加することもできるであろう。しかしながら、まず(場合によってはカルボン酸と混合した)カルボン酸無水物を最初に仕込み、次いで、粒状ポリマーを添加し、そして次いで式(I)の化合物、次いでフリーデル−クラフツ触媒を添加するということも同様に可能であろう。別な添加順序も同様に考えられる。好ましくは、最初にカルボン酸無水物を、場合によっては相当するカルボン酸との混合物の形で仕込み、次いで粒状ポリマーを添加する。その後で、式(I)の化合物および式(II)の化合物を、好ましくは、計量仕込みする。その後で、それらの混合物を、好ましくは加熱してから、フリーデル−クラフツ触媒を添加するのが好ましい。好ましくは、その混合物の温度を、その後で、さらに上昇させる。その反応混合物を、当業者公知の方法によって後処理作業をする。そのフタルイミドメチル化粒状ポリマーを濾過除去するのが好ましい。この手順は、ワンポット法で実施するのが好ましい。本発明における方法においては、中間体として形成された反応生成物を個別に調製する必要はない。
【0047】
方法の工程b)において使用されるフリーデル−クラフツ触媒の量は、一般的には式(I)の化合物1モルあたり0.5〜20モルであるが、これよりも、少なくても多くてもよい。式(I)の化合物1モルあたり0.5モル〜5モルのフリーデル−クラフツ触媒を使用するのが好ましい。式(I)の化合物1モルあたり1〜5モルのフリーデル−クラフツ触媒を使用するのが特に好ましい。
【0048】
方法の工程b)において用いられるカルボン酸無水物の量は、一般的には式(I)の化合物1モルあたり1〜10モルであるが、これよりも、少なくても多くてもよい。式(I)の化合物1モルあたり1〜7モルのカルボン酸無水物を用いるのが好ましい。式(I)の化合物1モルあたり1.0〜4モルのカルボン酸無水物を用いるのが特に好ましい。式(I)の化合物1モルあたり1.5〜4モルのカルボン酸無水物を用いるのが極めて特に好ましい。方法の工程b)において用いられるカルボン酸無水物の量は、一般的には、粒状ポリマー1グラムあたり10
−5モル〜0.06モルであるが、これよりも、少なくても多くてもよい。粒状ポリマー1グラムあたり0.001〜0.05モルのカルボン酸無水物を使用するのが好ましい。
【0049】
式(I)の化合物は、方法の工程b)において、一般的には、式(II)の化合物1グラムあたり0.01〜1.0モルの量で用いられる。その量がこれよりも、少なくても多くてもよい。式(I)の化合物は、方法の工程b)において、好ましくは、式(II)の化合物1グラムあたり0.01〜0.05モルの量で用いられる。
【0050】
方法の工程b)における膨潤剤の含量は、用いられる反応剤の全量を規準にして10重量%未満であるのが好ましく、膨潤剤の含量が、反応剤の全量を規準にして5重量%未満であれば、より好ましい。膨潤剤を添加することなしに、方法の工程b)を実施すれば、最も好ましい。標準的な膨潤剤は、有機溶媒、たとえば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、特には1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、ペンタクロロプロパン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ニトロプロパン、またはニトロベンゼンである。
【0051】
方法の工程b)を実施する際の温度は、50℃〜125℃の間が好ましい。
【0052】
方法の工程b)において用いられる、式(I)の化合物および式(II)の化合物、粒状ポリマー、脂肪族で飽和もしくは不飽和のカルボン酸無水物、カルボン酸、ならびにフリーデル−クラフツ触媒が、合計して、その反応混合物の中に、反応混合物の全量を規準にして、90重量%より多い量で存在しているのが好ましい。
【0053】
方法の工程b)において用いられる、式(I)の化合物および式(II)の化合物、粒状ポリマー、脂肪族で飽和もしくは不飽和のカルボン酸無水物、カルボン酸、ならびにフリーデル−クラフツ触媒が、合計して、その反応混合物の中に、反応混合物の全量を規準にして、95重量%より多い量で存在しているのが好ましい。
【0054】
方法の工程b)においては、カルボン酸無水物を用いるのが好ましい。したがって、方法の工程b)においては、式(I)の化合物、式(II)の化合物、粒状ポリマー、脂肪族で飽和もしくは不飽和のカルボン酸無水物、およびフリーデル−クラフツ触媒からなる混合物を用いることも可能であり、そして、カルボン酸をさらに追加することなくそれらを用いることも可能である。この場合においては、反応混合物中の、用いられる式(I)の化合物および式(II)の化合物、粒状ポリマー、脂肪族で飽和もしくは不飽和のカルボン酸無水物、およびフリーデル−クラフツ触媒を合計した量が、反応混合物の全量を規準にして、好ましくは80重量%超、より好ましくは90重量%超、最も好ましくは95重量%超であるのも、同様にあてはまる。
【0055】
方法の工程c)においては、一般的には、フタルイミドメチル化粒状ポリマーのアミノメチル化粒状ポリマーへの転化は、アルカリ金属水酸化物たとえば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水性もしくはアルコール性の溶液を用いて実施される。さらに、方法の工程c)は、一般的には、100℃〜250℃の間の温度で実施されるが、それに代えて、より高い温度またはより低い温度で実施してもよい。120℃〜190℃の間の温度で方法の工程c)を実施するのが好ましい。方法の工程c)におけるフタルイミドメチル化粒状ポリマーのアミノメチル化粒状ポリマーへの転化は、好ましくはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物またはそれらの化合物の混合物を用いて、より好ましくはアルカリ金属水酸化物たとえば、特に水酸化ナトリウムを用いて実施される。方法の工程c)における転化が、アルカリ金属水酸化物の水性もしくはアルコール性溶液の存在下に実施されるのが好ましい。水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲である。そのようにして得られたアミノメチル化粒状ポリマーは、脱イオン水を用いて洗浄してアルカリを除去するのが好ましいが、別な方法として、他の水溶液または非脱イオン水を用いて処理してもよい。
【0056】
そのアミノメチル化粒状ポリマーは、アニオン交換体として使用してもよいし、あるいはさらに転化しててキレート樹脂としてもよい。
【0057】
方法の工程c)において得られたアミノメチル化粒状ポリマーからキレート樹脂への転化は、当業者に公知の標準的な方法によって実施される。
【0058】
たとえば、イミノ二酢酸基を含むキレート樹脂は、方法の工程c)からのアミノメチル基含有粒状ポリマーを、水性懸濁液中で、クロロ酢酸またはその誘導体と反応させることによって調製することができる。方法の工程c)において得られたアミノメチル化粒状ポリマーを、硫酸懸濁液中で、P−H−酸性化合物と組み合わせたホルマリンと反応させて(改良Mannich反応により)、ホスホン酸基を有するキレート樹脂を得ることもまた同様に可能である。
【0059】
本発明による方法を用いることにより、アミノメチル化粒状ポリマーを、導入されるアミノメチル基の量を規準にして、高い収率で調製することが可能となる。
【0060】
本発明において調製されたアミノメチル化粒状ポリマーは、弱塩基性のアニオン交換体として使用することもできるし、あるいは転化してキレート樹脂とすることもできる。
【0061】
さらには、本発明における方法においては、毒性のある塩素化有機溶媒を使用せずに済ませることも可能である。
【0062】
アミノメチル化粒状ポリマー中の塩基性アミノメチル基の量の測定
突き固め容積計の中で密充填させて100mLとしたアミノメチル化粒状ポリマーを、脱イオン水を用いてガラスカラムの中に洗い流し入れる。2重量%の水酸化ナトリウム水溶液1000mLを、1時間40分かけて、そのカラムを通過させた。
【0063】
次いで、フェノールフタレインを添加した100mLの溶出液が、0.05mL以下の消費量を有するようになるまで、脱イオン水を流す。
【0064】
ビーカー中で、50mLの樹脂を、50mLの脱イオン水および100mLの1N塩酸と混合する。
【0065】
その懸濁液を30分間撹拌してから、ガラスカラムの中に充填する。液体を流れ出させる。さらに100mLの1N塩酸を、20分間かけてその樹脂の中を通過させる。次いで、200mLのメタノールを通過させる。すべての溶出液を集め、合わせて、メチルオレンジを使用して、1N水酸化ナトリウム溶液を用いて滴定する。
【0066】
1Lのアミノメチル化粒状ポリマーの中のアミノメチル基の数を、次式により計算する:
(200V)*20=1Lのアミノメチル化粒状ポリマーあたりのアミノメチル基のモル数。
【実施例】
【0067】
実施例1
1.1 スチレン、ジビニルベンゼンおよびエチルスチレンに基づくヘテロ分散性のマクロポーラス粒状ポリマーの調製
10Lのガラス製反応器に、3000gの脱イオン水、ならびに320gの脱イオン水中に10gのゼラチン、16gのリン酸水素二ナトリウム・十二水和物、および0.73gのレゾルシノールを溶解させた溶液を仕込み、混合する。その混合物を、25℃で平衡に到達させる。次いで、撹拌しながら、3.1重量%のジビニルベンゼンおよび0.6重量%のエチルスチレン(市販されているジビニルベンゼンおよびエチルスチレン(80%ジビニルベンゼン)の異性体混合物の形で使用)、0.4重量%のジベンゾイルペルオキシド、58.6重量%のスチレン、および37.5重量%のイソドデカン(ペンタメチルヘプタンの含量が高い工業グレードの異性体混合物)からなる狭い粒径分布を有するマイクロカプセル化されたモノマーの液滴の混合物3200gを得て、ゼラチンおよびアクリルアミドとアクリル酸とのコポリマーを含むホルムアルデヒドで硬化させた複合コアセルベートからなるマイクロカプセル、および3200gのpH12を有する水相を添加する。その混合物を撹拌し、25℃から始まり95℃で終わる温度プログラムに従って昇温させることによって重合を完結させる。その混合物を冷却し、32μmの篩の上で洗浄してから、減圧下80℃で乾燥させる。これにより、1893gの粒状ポリマーが得られる。
【0068】
1.2 フリーデル−クラフツ触媒として硫酸を用いた、フタルイミドメチル化粒状ポリマーの調製
室温で、717.2グラムの無水酢酸を最初に仕込む。実施例1.1からの粒状ポリマー225gを、初期仕込み物に計量仕込みする。その混合物を、室温で30分間撹拌する。次いで、516.3グラムのフタルイミドおよび119.2グラムのパラホルムアルデヒド(INEOS製のGranuform 91(n=8〜30))を計量仕込みする。その混合物を、室温で30分間撹拌する。その混合物を加熱して60℃とし、次いで、778.5グラムの硫酸を、2時間以内で計量仕込みする。次いでその懸濁液を加熱して115℃とし、この温度でさらに10時間撹拌する。その混合物を冷却して80℃とし、1500mLの脱イオン水を計量仕込みする。その混合物を加熱して95℃とし、さらに2時間撹拌する。その混合物を冷却し、篩別にかける。脱イオン水を用いて、そのフタルイミドメチル化粒状ポリマーを洗浄する。
容積収量:1225mL
乾燥重量:0.436グラム/mL
窒素含量:フタルイミドメチル化粒状ポリマーの全量を規準にして5.05重量%
【0069】
1.3 実施例1.2からのフタルイミドメチル化粒状ポリマーの加水分解による、アミノメチル基を含む粒状ポリマーの調製
室温で、757グラムの脱イオン水および502グラムの50%水酸化ナトリウム水溶液を最初に仕込む。その初期仕込み物に、1205mLの1.2からのフタルイミドメチル化粒状ポリマーを計量仕込みする。その懸濁液を、オートクレーブ中で撹拌しながら2時間かけて180℃にまで加熱し、この温度でさらに8時間撹拌する。冷却してから、その懸濁液を篩別にかける。そのアミノメチル化粒状ポリマーを、脱イオン水を用いて洗浄する。
容積収量:940mL
乾燥重量:0.27グラム/mL
HCl数:1.73mol/樹脂1リットル
窒素含量:アミノメチル化粒状ポリマーの全量を規準にして8.01重量%
【0070】
1.4 フリーデル−クラフツ触媒として硫酸および塩化鉄(III)を用いたフタルイミドメチル化粒状ポリマーの調製
室温で、478.1グラムの無水酢酸を最初に仕込む。実施例1.1からの単分散の粒状ポリマー150gを、初期仕込み物に計量仕込みする。その混合物を、室温で30分間撹拌する。次いで、344.2グラムのフタルイミドおよび79.5グラムのパラホルムアルデヒド(INEOS製のGranuform 91(n=8〜30))を計量仕込みする。その混合物を、室温で60分間撹拌する。その混合物を加熱して60℃とし、121.5グラムの塩化鉄(III)を計量仕込みする。撹拌を30分間続ける。次いで、519gの硫酸を、2時間以内で計量仕込みする。次いでその懸濁液を加熱して115℃とし、この温度でさらに10時間撹拌する。その混合物を冷却して80℃とし、1500mLの脱イオン水を計量仕込みする。その混合物を加熱して95℃とし、さらに2時間撹拌する。その混合物を冷却し、篩別にかける。脱イオン水を用いて、そのフタルイミドメチル化粒状ポリマーを洗浄する。
容積収量:940mL
乾燥重量:0.4453グラム/mL
窒素含量:フタルイミドメチル化粒状ポリマーの全量を規準にして5.3重量%
【0071】
1.5 実施例1.4からのフタルイミドメチル化粒状ポリマーの加水分解による、アミノメチル基を含む粒状ポリマーの調製
室温で、545グラムの脱イオン水および433グラムの50重量%水酸化ナトリウム水溶液を最初に仕込む。その初期仕込み物に、920mLの実施例1.4からのフタルイミドメチル化粒状ポリマーを計量仕込みする。その懸濁液を、オートクレーブ中で撹拌しながら2時間かけて180℃にまで加熱し、この温度でさらに8時間撹拌する。冷却してから、その懸濁液を篩別にかける。そのアミノメチル化粒状ポリマーを、脱イオン水を用いて洗浄する。
体積収量:710mL
HCl数:1.54モル/樹脂1リットル