(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱硬化性ポリウレタン組成物において、下記式(M)で定義される、前記第一のポリイソシアネートと前記第二のポリイソシアネートとの混合比は、0.5〜9.0であることを特徴とする請求項1に記載の光学透明粘着シート。
「混合比」=「前記第二のポリイソシアネートのモル数」/「前記第一のポリイソシアネートのモル数」 (M)
請求項1〜3のいずれかに記載の光学透明粘着シートと、前記光学透明粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、前記光学透明粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする積層体。
第一の被着体と、第二の被着体と、前記第一の被着体及び前記第二の被着体を接合する請求項1〜3のいずれかに記載の光学透明粘着シートとを備えることを特徴とする貼り合わせ構造物。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の光学透明粘着シートは、熱硬化ポリウレタンからなる光学透明粘着シートであって、上記熱硬化ポリウレタンは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有する熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物であり、上記ポリイソシアネート成分は、親水性ユニットを有する第一のポリイソシアネートと、親水性ユニットを有さない第二のポリイソシアネートとを含み、85℃での貯蔵せん断弾性率が5×10
3〜5×10
4Paであり、180°剥離試験での粘着力が1.5〜30N/25mmであることを特徴とする。
【0020】
本明細書中、「X〜Y」は、「X以上、Y以下」を意味する。
【0021】
本明細書中、「光学透明粘着シート」とは、「光学透明粘着フィルム」と同義である。
【0022】
本発明の光学透明粘着シートは、熱硬化ポリウレタンからなるものである。熱硬化ポリウレタンは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有する熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物である。熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させることにより得られ、下記式(A)に示すような構造を有する。
【0024】
上記式(A)中、Rは、ポリイソシアネート成分のNCO基を除いた部位を表す。R’は、ポリオール成分のOH基を除いた部位を表す。nは、繰り返し単位数を表す。
【0025】
熱硬化ポリウレタンは、アクリル変性されていないことが好ましく、主鎖中にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等に由来する部位が含まれないことが好ましい。熱硬化ポリウレタンがアクリル変性されると、疎水化されるため、高温・高湿環境下において水分の凝集が生じやすくなる。この水分の凝集は、白化、発泡等を引き起こし、光学特性(例えば、透明性)を損なうことがある。したがって、熱硬化ポリウレタンをアクリル変性されていないものとすることで、高温・高湿環境下において白化、発泡等による光学特性の低下を防止することができる。上記熱硬化ポリウレタンは、ポリオール成分に由来する単量体単位と、ポリイソシアネート成分に由来する単量体単位との合計量が、熱硬化ポリウレタン全体を構成する単量体単位の80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、ポリオール成分に由来する単量体単位及びポリイソシアネート成分に由来する単量体単位のみからなる。
【0026】
ポリオール成分及びポリイソシアネート成分としては、いずれも常温(23℃)で液体のものを用いることができ、溶剤を用いずに熱硬化ポリウレタンを得ることができる。タッキファイヤー等の他の成分は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分のいずれかに添加することができ、好ましくは、ポリオール成分に添加される。このように、熱硬化ポリウレタンを用いて光学透明粘着シートを製造する場合、溶剤の除去が必要ないため、均一なシートを厚く形成することができる。このため、本発明の光学透明粘着シートを、表示パネルと透明導電膜を表層に有する透明部材(タッチパネル)との貼り合わせに用いる場合、ベゼルの段差を被覆することができる。また、本発明の光学透明粘着シートは、厚く形成しても光学特性を維持することができるものであり、透明性の低下、色付き、発泡(被着体との界面での気泡の発生)を充分に抑制することができる。
【0027】
本発明の光学透明粘着シートは、熱硬化ポリウレタンからなるものであることから、柔軟であり、引っ張り応力が加わったときに、よく伸び、非常に千切れにくい。このため、糊残りすることなく、引き剥がすことが可能である。また、本発明の光学透明粘着シートは、柔軟であるとともに厚膜化できることから、耐衝撃性に優れ、透明導電膜を表層に有する透明部材とカバーパネルとの貼り合わせに用いることができ、更に他の部材を用いる場合には、表示パネル、又は、透明導電膜を表層に有する透明部材と、他の部材との貼り合わせにも用いることができる。更に、本発明の光学透明粘着シートは、熱硬化ポリウレタンからなるものであるため、誘電率が高く、従来のアクリル系樹脂組成物からなる光学透明粘着シートよりも高い静電容量が得られる。このため、本発明の光学透明粘着シートは、静電容量方式のタッチパネルの貼り合わせに好ましく用いられる。
【0028】
[ポリオール成分]
ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。
【0029】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレントリオール、これらの共重合体等のポリアルキレングリコール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等が挙げられる。
【0030】
ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ポリカプロテクトングリコール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等が挙げられる。
【0031】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ジアルキルカーボネートとジオールとの反応物が挙げられる。
【0032】
ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート、等が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。
【0033】
ジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。ジオールとしては、炭素数が4〜9の脂環族又は脂環族ジオールが好ましく、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオ−ル、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等を、1種類のみ用いる又は2種類以上を併用することが好ましい。また、ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオールと3−メチル−1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオール等も好ましい。
【0034】
また、ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートグリコール、ポリカーボネートトリオール、ポリカーボネートテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等を用いることもできる。
【0035】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコール成分とを脱水縮合させたものが挙げられる。
【0036】
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸;マロン酸;コハク酸;グルタル酸;アジピン酸;アゼライン酸;セバシン酸等が挙げられる。
【0037】
グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;p−キシレンジオール等の芳香族ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、等が挙げられる。
【0038】
ポリエステルポリオールは、以上で例示したジカルボン酸及びグリコール成分によって形成される場合には、線状の分子構造を有するが、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状の分子構造を有するポリエステルであってもよい。ジカルボン酸とグリコール成分とは、モル比1.1〜1.3にて150〜300℃で反応させればよい。
【0039】
ポリオール成分の数平均分子量は、300〜5000であることが好ましい。ポリオール成分の数平均分子量が300未満である場合、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応が速過ぎて熱硬化ポリウレタンを均一なシートに成形することが困難になったり、熱硬化ポリウレタンの柔軟性が低下して脆くなったりすることがある。ポリオール成分の数平均分子量が5000を超える場合、ポリオール成分の粘度が高くなり過ぎて熱硬化ポリウレタンを均一なシートに成形することが困難になったり、熱硬化ポリウレタンが結晶化して白濁したりする等の不具合が生じることがある。ポリオール成分の数平均分子量は、500〜2000であることがより好ましい。
【0040】
ポリオール成分は、好ましくは、オレフィン骨格を有するものであり、すなわち、主鎖がポリオレフィン又はその誘導体によって構成されるものである。オレフィン骨格を有するポリオール成分としては、例えば、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、1,2−ポリクロロプレンポリオール、1,4−ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオール;ポリイソプレン系ポリオール;それらの二重結合を水素又はハロゲン等で飽和化したもの、等が挙げられる。また、ポリオール成分は、ポリブタジエン系ポリオール等に、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールであってもよく、その水添物であってもよい。ポリオール成分は、直鎖構造を有するものであってもよく、分岐構造を有するものであってもよい。オレフィン骨格を有するポリオール成分は、1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。上記ポリオール成分は、オレフィン骨格を有するポリオール成分を80モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは、オレフィン骨格を有するポリオール成分のみからなる。
【0041】
オレフィン骨格を有するポリオール成分の公知例としては、出光興産社製の水酸基末端ポリイソプレンを水添して得られるポリオレフィンポリオール「EPOL(登録商標)」(数平均分子量:2500)、日本曹達社製の両末端水酸基水素化ポリブタジエン「GI−1000」(数平均分子量:1500)、三菱化学社製のポリヒドロキシポリオレフィンオリゴマー「ポリテール(登録商標)」等が挙げられる。
【0042】
[ポリイソシアネート成分]
ポリイソシアネート成分は、親水性ユニット(親水基)を有する第一のポリイソシアネートと、親水性ユニットを有さない第二のポリイソシアネートとを含む。このようなポリイソシアネート成分によれば、親水性部分(親水性ユニット:第一のポリイソシアネート)の作用(吸湿作用)によって白化を抑制することができ、疎水性部分(その他のユニット:第二のポリイソシアネート)の作用によってポリオール成分、第一のポリイソシアネート、タッキファイヤー、可塑剤等との高い相溶性を発揮することができる。
【0043】
親水性ユニットは、溶解性パラメータ(SP値)が8.5MPa
1/2以上の構成単位を意味し、好ましくは溶解性パラメータが9.0MPa
1/2以上の構成単位である。溶解性パラメータは、Fedors法(R.F.Fedors:Polym.Eng.Sci.,14[2],147−154(1974)参照)により算出することができる。また、Fedors法による溶解性パラメータの算出方法については、例えば、関西ペイント社発行の「塗料の研究152号」(2010年10月発行)中の論文「添加剤の溶解性パラメータに関する考察」にも記載されている。また、親水性ユニットとは、イソシアヌレート構造やビウレット構造のようにイソシアネート基由来の構造とは異なるものであり、親水性の官能基をポリイソシアネートに付加して組み込んだ部分を意味する。
【0044】
親水性ユニットとしては、エチレンオキシドユニットが好ましい。エチレンオキシドユニットの含有量は、熱硬化性ポリウレタン組成物の全量に対して、0.1〜20重量%であることが好ましい。エチレンオキシドユニットの含有量が0.1重量%未満である場合、白化が充分に抑制されないことがある。エチレンオキシドユニットの含有量が20重量%を超える場合、低極性のオレフィン系ポリオール成分(オレフィン骨格を有するポリオール成分)、タッキファイヤー、可塑剤等との相溶性が低下することによって、透明性等の光学特性が低下することがある。また、光学透明粘着シートの吸湿量が多くなるため、高温環境下における粘着性能が悪影響を受ける可能性がある。エチレンオキシドユニットの含有量は、0.1〜5重量%であることがより好ましい。エチレンオキシドユニットの含有量が5重量%を超える場合、高温・高湿環境下における吸湿量が多くなり過ぎることがある。
【0045】
親水性ユニットとしては、エチレンオキシドユニットの他に、例えば、カルボン酸基、カルボン酸のアルカリ金属塩基、スルホン酸基、スルホン酸のアルカリ金属塩基、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基等を含むユニットが挙げられる。より詳しくは、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、スルホン酸基含有共重合体、スルホン酸基含有共重合体のアルカリ金属塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0046】
(第一のポリイソシアネート)
親水性ユニットを有する第一のポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系ポリイソシアネート又は脂環族系ポリイソシアネートと、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートが好ましく用いられる。脂肪族系ポリイソシアネート又は脂環族系ポリイソシアネートを用いることにより、光学透明粘着シートの着色、変色等がより発生しにくく、光学透明粘着シートの透明性を長期間に渡って維持することができる。
【0047】
脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、これらの変性体等が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。なお、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート変性、アロファネート変性、及び/又は、ウレタン変性したもの等が挙げられる。
【0048】
脂環族系ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI、下記化学式(B)参照)、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、これらの変性体等が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。
【0050】
エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物としては、例えば、アルコール類、フェノール類、及び/又は、アミン類のエチレンオキシド付加物等が挙げられる。エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物としては、親水性を高める観点から、エチレンオキシドユニットを1分子当たり3個以上有するエーテル化合物が好ましく用いられる。
【0051】
アルコール類としては、例えば、1価アルコール類、2価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブチレンジオール、ペオペンチルグリコール等)、3価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン等)が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。
【0052】
フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)、フェノール化合物のホルマリン低縮合物(ノボラック樹脂、レゾールの中間体等)が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。
【0053】
変性ポリイソシアネートの1分子当たりのイソシアネート基の数は、平均で2.0以上であることが好ましい。イソシアネート基の数が平均で2.0未満である場合、架橋密度の低下により、熱硬化性ポリウレタン組成物が充分に硬化しないことがある。
【0054】
(第二のポリイソシアネート)
親水性ユニットを有さない第二のポリイソシアネートとしては、脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート等が好ましく用いられる。
【0055】
脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、これらの変性体等が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。なお、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート変性、アロファネート変性、及び/又は、ウレタン変性したもの等が挙げられる。
【0056】
脂環族系ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI、下記化学式(B)参照)、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、これらの変性体等が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。
【0058】
熱硬化性ポリウレタン組成物において、下記式(M)で定義される、第一のポリイソシアネートと第二のポリイソシアネートとの混合比(モル比)は、白化の抑制と相溶性の確保とを両立させる観点から、好ましくは0.5〜9.0、より好ましくは0.5〜3.0である。上記混合比が9.0を超える場合、白化が充分に抑制されないことがある。
「混合比」=「第二のポリイソシアネートのモル数」/「第一のポリイソシアネートのモル数」 (M)
【0059】
熱硬化性ポリウレタン組成物は、α比(ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数)が1以上であることが好ましい。α比が1未満である場合、ポリイソシアネート成分の配合量が、ポリオール成分の配合量に対して過剰であるため、熱硬化ポリウレタンが硬くなり、光学透明粘着シートに要求される柔軟性が確保されにくくなることがある。光学透明粘着シートの柔軟性が低いと、特に、タッチパネル等の光学部材に貼り付ける場合に、光学部材の貼り付け面に存在する凹凸及び段差を被覆しにくくなることがある。また、光学透明粘着シートに要求される粘着力が確保されにくくなることがある。α比は、1.3<α<2.0を満たすことがより好ましい。α比が2.0以上である場合、熱硬化性ポリウレタン組成物が充分に硬化しないことがある。
【0060】
[タッキファイヤー]
熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有していてもよい。タッキファイヤーは、粘着力を高めるために添加される添加剤であり、通常、分子量が数百〜数千の無定型オリゴマーで、常温で液状又は固形の熱可塑性樹脂である。タッキファイヤーによれば、光学透明粘着シートの粘着力を高めることができる。
【0061】
タッキファイヤーとしては特に限定されず、例えば、石油樹脂系タッキファイヤー、炭化水素樹脂系タッキファイヤー、ロジン系タッキファイヤー、テルペン系タッキファイヤー等を含むものが挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。
【0062】
タッキファイヤーとしては、上述したオレフィン骨格を有するポリオール成分等との相溶性に優れる観点から、石油樹脂系タッキファイヤーが好ましく用いられる。石油樹脂系タッキファイヤーの中でも、ジシクロペンタジエンと芳香族化合物との共重合体を水素添加して得られる水添石油樹脂が好ましく用いられる。ジシクロペンタジエンは、C5留分から得られる。芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。ジシクロペンタジエンとビニル芳香族化合物との割合(ジシクロペンタジエン:ビニル芳香族化合物)は特に限定されないが、重量基準で、70:30〜20:80であることが好ましく、60:40〜40:60であることがより好ましい。水添石油樹脂について、好ましい軟化温度は90〜160℃であり、好ましいビニル芳香族化合物単位含有量は35質量%以下であり、好ましい臭素価は0〜30g/100gであり、好ましい数平均分子量は500〜1100である。水添石油樹脂系タッキファイヤーの公知例としては、出光興産社製の「アイマーブ(登録商標)P−100」等が挙げられる。
【0063】
タッキファイヤーとしては、上述したオレフィン骨格を有するポリオール成分等との相溶性に優れる観点から、炭化水素樹脂系タッキファイヤーも好ましく用いられる。炭化水素樹脂系タッキファイヤーの中でも、脂環族飽和炭化水素樹脂が好ましく用いられる。脂環族飽和炭化水素樹脂の公知例としては、荒川化学工業社製の「アルコンP−100」等が挙げられる。
【0064】
タッキファイヤーの酸価は、1mgKOH/g以下であることが好ましい。タッキファイヤーの酸価が1mgKOH/g以下である場合、タッキファイヤーがポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を阻害するのを充分に防止することができる。
【0065】
タッキファイヤーの含有量は、熱硬化性ポリウレタン組成物の全量に対して、1〜20重量%であることが好ましい。タッキファイヤーの含有量が1重量%未満である場合、光学透明粘着シートの粘着力が充分に高まらないことがあり、特に、高温環境下における粘着力が不充分になることがある。但し、本発明の光学透明粘着シートでは、タッキファイヤーが熱硬化性ポリウレタン組成物に配合されていなくても、85℃での貯蔵せん断弾性率と、180°剥離試験での粘着力とを特定の範囲内に制御することによって、高温環境下における粘着力が充分に確保される。タッキファイヤーの含有量が20重量%を超える場合、タッキファイヤーがポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を阻害し、熱硬化ポリウレタン中にウレタン架橋が充分に形成されなくなることがある。その結果、高温・高湿環境下において、光学透明粘着シートが溶解して形状が変化したり、タッキファイヤーが析出(ブリード)したりすることがある。これに対して、ウレタン架橋を充分に形成するためにポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応時間を長くすると、生産性が低下してしまう。
【0066】
[可塑剤]
熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、可塑剤を含有していてもよい。可塑剤によれば、熱硬化ポリウレタンの硬度が低くなるため、光学透明粘着シートの取り扱い性及び柔軟性(段差追従性)を高めることができる。なお、可塑剤の添加によって粘着力が低下する懸念はあるが、本発明の光学透明粘着シートによれば、粘着力が多少低下しても充分な粘着力を確保することができる。
【0067】
可塑剤としては、熱硬化ポリウレタンに柔軟性を付与するために用いられる化合物であれば特に限定されないが、相溶性及び耐候性の観点から、カルボン酸系可塑剤が好ましく用いられる。カルボン酸系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル(フタル酸系可塑剤);1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル;アジピン酸エステル;トリメリット酸エステル;マレイン酸エステル;安息香酸エステル;ポリ−α−オレフィン、等が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。
【0068】
カルボン酸系可塑剤の公知例としては、BASF社製の「DINCH(登録商標)」、新日本理化社製の「サンソサイザー(登録商標)DUP」、イオネスオリゴマーズ社製の「DURASYN(登録商標)148」等が挙げられる。
【0069】
[触媒]
熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、触媒を含有していてもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる化合物であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
【0070】
触媒としては、非アミン系触媒が好ましい。アミン系触媒を用いる場合、光学透明粘着シートが変色しやすくなることがある。非アミン系触媒の中でも、ジラウリル酸ジメチル錫が好ましい。
【0071】
触媒の含有量は、例えば、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分の合計量に対して、0.01〜0.1重量%である。
【0072】
熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、モノイソシアネート成分を含有していてもよい。モノイソシアネート成分は、イソシアネート基を1分子当たり1個有する化合物である。モノイソシアネート成分としては、例えば、オクタデシルジイソシアネート(ODI)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(AOI)、イソシアン酸オクチル、イソシアン酸ヘプチル、3−イソシアナートプロピオン酸エチル、イソシアン酸シクロペンチル、イソシアン酸シクロヘキシル、2−メトキシエタンイソシアネート、イソシアナート酢酸エチル、イソシアナート酢酸ブチル、p−トルエンスルフォニルイソシアネート等が挙げられる。これらは1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上で併用されてもよい。なお、熱硬化性ポリウレタン組成物は、モノイソシアネート成分を含有しないことが好ましい。
【0073】
熱硬化性ポリウレタン組成物には、光学透明粘着シートの要求特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、着色剤、安定剤、酸化防止剤、防徽剤、難燃剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
【0074】
本発明の光学透明粘着シートは、85℃での貯蔵せん断弾性率が5×10
3〜5×10
4Paである。本発明者らの検討によれば、85℃での貯蔵せん断弾性率をクリープ特性の指標とすることが有効である。85℃での貯蔵せん断弾性率が5×10
3Pa未満である場合、光学透明粘着シートが高温環境下において大きく形状変化するため、被着体との界面での剥離が発生しやすくなる。85℃での貯蔵せん断弾性率が5×10
4Paを超える場合、光学透明粘着シートの硬度が高過ぎて、高温環境下において形状変化しにくいため、被着体との形状変化の違いにより、被着体との界面での剥離が発生しやすくなる。また、光学透明粘着シートが被着体の表面に存在する凹凸及び段差を被覆しにくくなり、貼り合わせ不良となる可能性が高まる。85℃での貯蔵せん断弾性率は、好ましくは1×10
4〜4×10
4Paである。
【0075】
85℃での貯蔵せん断弾性率は、熱硬化ポリウレタンの原料である熱硬化性ポリウレタン組成物の組成及び/又は熱硬化条件を調整することによって制御可能である。例えば、α比、ポリイソシアネート成分中の親水性ユニットの含有量、親水性ユニットの種類(分子量)、親水性ユニットを有する第一のポリイソシアネートと親水性ユニットを有さない第二のポリイソシアネートとの混合比(例えば、モル比)、可塑剤の添加の有無、可塑剤の配合量、架橋温度等により、85℃での貯蔵せん断弾性率は制御可能である。
【0076】
本発明の光学透明粘着シートは、180°剥離試験での粘着力が1.5〜30N/25mmである。本発明者らの検討によれば、180°剥離試験での粘着力もクリープ特性の指標とすることが有効である。180°剥離試験での粘着力が1.5N/25mm未満である場合、光学透明粘着シートの高温環境下における粘着力が著しく低下するため、高温環境下において、光学透明粘着シート及び被着体の界面での剥離が発生しやすくなる。180°剥離試験での粘着力が30N/25mmを超える場合、光学透明粘着シートの硬度が低過ぎてしまうため、クリープ試験の際に被着体の表面からずれやすくなる。また、光学透明粘着シートを被着体から剥がす際に、糊残りが発生しやすくなる。更に、光学透明粘着シートと被着体との間に入った気泡を抜くことが困難となり、取り扱い性が低下してしまう。180°剥離試験での粘着力は、好ましくは3〜15N/25mm、より好ましくは5〜15N/25mmである。
【0077】
本発明の光学透明粘着シートでは、上述したように、85℃での貯蔵せん断弾性率と180°剥離試験での粘着力との両方が特定の範囲内であるため、高温環境下におけるクリープ特性が顕著に優れている。85℃での貯蔵せん断弾性率の測定方法、及び、180°剥離試験での粘着力の測定方法の詳細については、後述する。
【0078】
本発明の光学透明粘着シートにおいて、熱硬化性ポリウレタン組成物は、軟化温度が100℃以下である化合物を含有しないことが好ましい。本発明者らの検討によれば、熱硬化性ポリウレタン組成物に、軟化温度が100℃以下である化合物が配合されている場合、得られる光学透明粘着シートを用いて高温環境下でクリープ試験(一般的には、80〜100℃の環境下でのクリープ試験)を行うと、その化合物が高温環境下で軟化して、ポリマー(熱硬化ポリウレタン)の結合に寄与しない影響により、光学透明粘着シートの硬度が低下し、形状変化しやすくなることがある。そのため、高温環境下において、光学透明粘着シートが被着体との界面で剥離しやすくなることがある。これに対して、熱硬化性ポリウレタン組成物に、軟化温度が100℃以下である化合物が配合されていない場合は、その化合物が高温環境下で軟化する影響がなくなるため、高温環境下におけるクリープ特性がより高まる。ここで、軟化温度は、物質が温度上昇に伴って軟化し、変形し始める温度を指す。
【0079】
熱硬化性ポリウレタン組成物に配合され得る化合物の中で、軟化温度が100℃以下である化合物としては、例えば、水添石油樹脂系タッキファイヤー(例えば、出光興産社製の「アイマーブP−100」(軟化温度:100℃))等が挙げられる。水添石油樹脂系タッキファイヤーは、オレフィン骨格を有するポリオール成分等との相溶性に優れる観点から好ましく用いられ、光学透明粘着シートに高い透明性を付与するものである。そのため、水添石油樹脂系タッキファイヤー(軟化温度が100℃以下である化合物)が熱硬化性ポリウレタン組成物に配合されていない場合、光学透明粘着シートの高温環境下におけるクリープ特性は高まるものの、光学特性(透明性)が低下する懸念がある。これに対して、本発明の光学透明粘着シートでは、ポリイソシアネート成分として、ポリオール成分等との高い相溶性を発揮する、親水性ユニットを有さない第二のポリイソシアネートが、熱硬化性ポリウレタン組成物に配合されているため、水添石油樹脂系タッキファイヤー(軟化温度が100℃以下である化合物)が熱硬化性ポリウレタン組成物に配合されていない場合であっても、優れた光学特性(透明性)が得られる。
【0080】
本発明の光学透明粘着シートの厚みは特に限定されず、例えば、50〜2500μmであってもよいが、好ましくは250〜1500μmである。光学透明粘着シートの厚みが250μm以上であれば、光学透明粘着シートの一方の面を被着体に貼り付ける際に、被着体の表面に存在する凹凸及び段差を被覆しやすくなるため、光学透明粘着シートの他方の面と他の被着体とを充分な粘着力で貼り合わせることができる。一方、光学透明粘着シートが厚いほど、光学特性(透明性)の低下、及び、吸湿量の増加による粘着性の低下が発生しやすくなる。しかしながら、光学透明粘着シートの厚みが1500μm以下であれば、本発明のように、熱硬化性ポリウレタン組成物の配合材料を工夫し、85℃での貯蔵せん断弾性率と180°剥離試験での粘着力とを特定の範囲内に制御することで、光学特性(透明性)の低下、及び、吸湿量の増加による粘着性の低下を充分に抑制することができる。なお、光学透明粘着シートは、被着体の貼り付け面に存在する凹凸及び段差の高さに対して3倍以上の厚みを有することが好ましい。
【0081】
本発明の光学透明粘着シートのマイクロゴムA硬さは、0.5〜25°であることが好ましい。光学透明粘着シートのマイクロゴムA硬さが0.5°未満である場合、被着体に貼り付ける際の取り扱い性が悪く、光学透明粘着シートを変形させてしまうことがある。光学透明粘着シートのマイクロゴムA硬さが25°を超える場合、光学透明粘着シートの柔軟性が低く、被着体に貼り付ける際に、被着体の表面形状に追従することができず、空気を噛み込んでしまうことで、被着体から剥がれる原因となることがある。また、光学透明粘着シートの柔軟性が低いと、特に、タッチパネル等の光学部材に貼り付ける場合に、光学部材の貼り付け面に存在する凹凸及び段差を被覆しにくくなることがある。本発明の光学透明粘着シートのマイクロゴムA硬さのより好ましい上限は、15°である。マイクロゴムA硬さは、例えば、高分子計器社製のマイクロゴム硬度計「MD−1タイプA」を用いて測定される。マイクロゴム硬度計「MD−1タイプA」は、スプリング式ゴム硬度計(デュロメータ)A型の約1/5の縮小モデルとして、設計・製作された硬度計であり、測定対象物が薄くても、スプリング式ゴム硬度計A型と一致する測定値の取得が可能である。
【0082】
本発明の光学透明粘着シートは、光学透明粘着シートとしての性能(透明性)を確保するために、ヘイズが0.5%以下であることが好ましく、また、全光線透過率が90%以上であることが好ましい。ヘイズ及び全光線透過率は、例えば、日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて測定される。ヘイズは、「JIS K 7136」に準拠した方法で測定される。全光線透過率は、「JIS K 7361−1」に準拠した方法で測定される。
【0083】
本発明の光学透明粘着シートの両面には、離型フィルムが貼り付けられていてもよい。本発明の光学透明粘着シートと、上記光学透明粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、上記光学透明粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものである積層体(以下、「本発明の積層体」とも言う)もまた、本発明の一態様である。本発明の積層体によれば、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムによって、本発明の光学透明粘着シートの両面を、被着体に貼り付ける直前まで保護することができる。これにより、本発明の光学透明粘着シートに対する、粘着性の低下、及び、異物の付着が防止される。また、本発明の光学透明粘着シートが被着体以外に貼り付いてしまうことも防止されるため、取り扱い性が高まる。
【0084】
第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が挙げられる。第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムの材質及び厚みは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0085】
本発明の光学透明粘着シート及び第一の離型フィルムの貼り合わせ強度(剥離強度)と、本発明の光学透明粘着シート及び第二の離型フィルムの貼り合わせ強度(剥離強度)とは、互いに異なることが好ましい。このように貼り合わせ強度が互いに異なることにより、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムのうちの一方(貼り合わせ強度が低い方の離型フィルム)のみを本発明の積層体から剥離し、露出させた光学透明粘着シートの第一の面と第一の被着体とを貼り合わせ、その後、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムのうちの他方(貼り合わせ強度が高い方の離型フィルム)を剥離し、露出させた光学透明粘着シートの第二の面と第二の被着体とを貼り合わせることが容易になる。
【0086】
第一の離型フィルムの本発明の光学透明粘着シートと接する側の表面、及び、第二の離型フィルムの本発明の光学透明粘着シートと接する側の表面のうちの少なくとも一方には、易剥離処理(離型処理)が施されていてもよい。易剥離処理としては、例えば、シリコン処理等が挙げられる。
【0087】
本発明の光学透明粘着シートの用途は特に限定されず、第一の被着体と、第二の被着体と、上記第一の被着体及び上記第二の被着体を接合する本発明の光学透明粘着シートとを備える貼り合わせ構造物(以下、「本発明の貼り合わせ構造物」とも言う)もまた、本発明の一態様である。
【0088】
第一の被着体及び第二の被着体としては、例えば、表示パネル、タッチパネル、カバーパネル等の表示装置内の各種パネル;偏光板;樹脂板;ガラス板、等が挙げられる。本発明の光学透明粘着シートを用いて、例えば、表示装置内の各種パネルを貼り合わせれば、表示装置内の空気層(エアギャップ)を無くすことができ、表示画面の視認性を向上することができる。
【0089】
本発明の貼り合わせ構造物としては、例えば、本発明の光学透明粘着シートと、表示パネルと、タッチパネルとを備えるタッチパネル付き表示装置等が挙げられる。なお、偏光板の貼り付け面はトリアセチルセルロース(TAC)等で構成され、樹脂板の貼り付け面はポリカーボネート(PC)等で構成されるが、本発明の光学透明粘着シートは、ガラスだけではなく、これらの樹脂に対しても良好な粘着性能を発揮することができる。また、本発明の光学透明粘着シートをガラス板に貼り付ければ、ガラスの飛散を防止する効果が得られる。
【0090】
図1は、本発明の光学透明粘着シートを用いたタッチパネル付き表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、表示装置10では、表示パネル11、光学透明粘着シート12、タッチパネル(透明導電膜付きガラス基板)13、光学透明粘着シート12、及び、透明カバーパネル14が順に積層されている。表示パネル11、タッチパネル13、及び、透明カバーパネル14の3つの光学部材は、2枚の光学透明粘着シート12により一体化されている。
【0091】
表示パネル11は、表示面側に開口が設けられたベゼル(表示パネル11の筐体)11A内に収容されている。ベゼル11Aの開口の外縁には、ベゼル11Aの厚みに対応した段差が存在する。光学透明粘着シート12は、表示パネル11及びベゼル11Aの表示面側を覆って貼り付けられており、ベゼル11Aの厚みに対応した段差を被覆している。光学透明粘着シート12には、ベゼル11Aの厚みに対応した段差を被覆するために、段差部に追従することができる柔軟性(段差追従性)と、ベゼル11Aの厚みよりも厚いこととが求められる。このように、ベゼル11Aに収容された表示パネル11との貼り合わせに用いられる光学透明粘着シート12の厚みは、例えば、700μm以上であることが好ましい。本発明の光学透明粘着シートは、700μm以上の厚みであっても、充分な柔軟性及び光学特性(例えば、透明性)を有するものであり、ベゼル11Aに収容された表示パネル11とタッチパネル13とを貼り合わせる際に好ましく用いられる。
【0092】
表示パネル11の種類は特に限定されず、例えば、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機ELパネル)等が挙げられる。
【0093】
タッチパネル13としては、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式等の検出方式のものが挙げられる。
【0094】
このような表示装置では、本発明の光学透明粘着シートが用いられているため、種々の環境下であっても、光学透明粘着シートの粘着力が低下しにくく、長期間に渡って各光学部材を互いに密着させることができる。その結果、各光学部材と光学透明粘着シートとの間に空隙が発生せず、界面反射の増加等による視認性の低下を防止することができる。本発明の光学透明粘着シートは、例えば、カーナビゲーション装置に組み込まれる表示装置等の車載用の表示装置、スマートフォン等の携帯機器用の表示装置、等において好ましく用いられる。
【0095】
本発明の光学透明粘着シートの製造方法は特に限定されず、例えば、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した後、この熱硬化性ポリウレタン組成物を従来公知の方法で熱硬化させつつ成形する方法が挙げられ、好ましくは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を攪拌混合して熱硬化性ポリウレタン組成物を調製する工程と、熱硬化性ポリウレタン組成物を硬化する工程とを含む。
【0096】
本発明の光学透明粘着シートの製造方法の一例としては、まず、所定量のタッキファイヤーを、ポリオール成分に添加し、加温及び攪拌して溶解させることによって、タッキファイヤーマスターバッチを調製する。続いて、得られたタッキファイヤーマスターバッチ、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び、必要に応じて触媒等の他の成分(添加剤)を混合し、ミキサー等で攪拌することによって、液状又はゲル状の熱硬化性ポリウレタン組成物が得られる。その後、即座に、熱硬化性ポリウレタン組成物を成形装置に投入し、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムによって挟んだ状態で、熱硬化性ポリウレタン組成物を移動させながら架橋硬化させる。その結果、熱硬化性ポリウレタン組成物が半硬化し、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムと一体化したシートが得られる。続いて、熱硬化性ポリウレタン組成物を炉で一定時間架橋反応させることで、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物(熱硬化ポリウレタン)からなる光学透明粘着シートが得られ、本発明の積層体が完成する。
【0097】
図2は、本発明の光学透明粘着シートの製造に用いられる成形装置の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、成形装置20では、まず、硬化前の液状又はゲル状の熱硬化性ポリウレタン組成物23を、離間して配置された一対の成形ロール22から連続的に送り出される一対の離型フィルム(例えば、PETフィルム)21の間隙に流し込む。そして、一対の離型フィルム21の間隙に熱硬化性ポリウレタン組成物23を保持した状態で硬化反応(架橋反応)を進行させつつ、加熱装置24内に搬入する。その後、加熱装置24内において、熱硬化性ポリウレタン組成物23は、一対の離型フィルム21間に保持された状態で熱硬化し、熱硬化性ポリウレタン組成物23の硬化物(熱硬化ポリウレタン)からなる光学透明粘着シート12の成形が完了する。その結果、光学透明粘着シート12の両面に離型フィルム21が積層された積層体(離型フィルム付き光学透明粘着シート)25が完成する。
【0098】
本発明の光学透明粘着シートの製造方法としては、硬化前の熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した後、各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレード等の汎用の成膜装置及び成膜方法を用いるものであってもよい。また、遠心成形法を用いて本発明の光学透明粘着シートを製造してもよい。
【実施例】
【0099】
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0100】
[配合材料]
実施例及び比較例において、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製するために用いた材料及びその略称は、以下の通りである。
【0101】
(ポリオール成分)
・「P1」
ポリオレフィンポリオール
出光興産社製の「EPOL」
【0102】
(ポリイソシアネート成分)
・「Q1」
エチレンオキシドユニット(EOユニット)を有する変性ポリイソシアネート(第一のポリイソシアネート)
東ソー社製の「コロネート(登録商標)4022」
・「Q2」
イソホロンジイソシアネート(IPDI)系ポリイソシアネート(第二のポリイソシアネート)
住化バイエルウレタン社製の「デスモジュール(登録商標)I」
・「Q3」
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系ポリイソシアネート(第二のポリイソシアネート)
東ソー社製の「コロネート2760」
【0103】
東ソー社製の「コロネート4022」は、ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを出発物質とするポリイソシアネートに対して、エチレンオキシドユニットを1分子当たり平均3個以上有するエーテルポリオールを反応させて得られたものである。また、東ソー社製の「コロネート2760」は、アロファネート変性ヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートトリマーとの混合物である。
【0104】
(タッキファイヤー)
・「S1」
水添石油樹脂系タッキファイヤー
出光興産社製の「アイマーブP−100」
【0105】
(触媒)
・「T1」
ジラウリル酸ジメチル錫
Momentive社製の「Fomrez catalyst UL−28」)
【0106】
(実施例1)
まず、ポリオレフィンポリオール「P1」75重量部、EOユニットを有する変性ポリイソシアネート「Q1」4.6重量部、IPDI系ポリイソシアネート「Q2」2.4重量部、タッキファイヤー「S1」17重量部、及び、触媒「T1」1重量部を、往復回転式撹拌機アジターを用いて攪拌混合し、α比が1.7である熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。なお、熱硬化性ポリウレタン組成物において、下記式(M)で定義される、第一のポリイソシアネートと第二のポリイソシアネートとの混合比(モル比)は、1であった。
「混合比」=「第二のポリイソシアネートのモル数」/「第一のポリイソシアネートのモル数」 (M)
【0107】
その後、調製された熱硬化性ポリウレタン組成物(熱硬化性ポリウレタン組成物23)を、
図2に示した成形装置20に注入した。そして、熱硬化性ポリウレタン組成物を一対の離型フィルム(表面に離型処理が施されたPETフィルム)21によって挟んだ状態で搬送しつつ、炉内温度70℃、炉内時間10分間の条件下で架橋硬化させ、離型フィルム21付きのシートを作製した。その後、シート中の熱硬化性ポリウレタン組成物を、70℃に調節した加熱装置24にて12時間架橋反応させ、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物(熱硬化ポリウレタン)からなる光学透明粘着シート12の成形が完了した。その結果、光学透明粘着シート12の両面に離型フィルム21が積層された積層体(離型フィルム付き光学透明粘着シート)25が完成した。
【0108】
図3は、実施例1の積層体を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、積層体25では、離型フィルム21、光学透明粘着シート12、及び、離型フィルム21が順に積層されていた。光学透明粘着シート12の厚みは、250μmであった。
【0109】
(実施例2〜9、及び、比較例1〜9)
熱硬化性ポリウレタン組成物の組成と、光学透明粘着シートの厚みとを表1〜4に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にして、各例の光学透明粘着シートを製造した。
【0110】
[評価]
各例の光学透明粘着シートについて、以下の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
【0111】
(1)貯蔵せん断弾性率
アントンパール社(Anton Paar Germany GmbH)製の粘弾性測定装置「Physica MCR301」を用いて、光学透明粘着シートの貯蔵せん断弾性率を測定した。測定プレートとしては、PP12を用いた。測定条件は、ひずみ0.1%、周波数1Hz、セル温度25〜100℃(昇温速度3℃/分)であった。表1〜4には、85℃での貯蔵せん断弾性率の測定値を示した。
【0112】
(2)粘着力
以下の方法で180°剥離試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。
図4は、光学透明粘着シートの粘着力の評価方法を説明するための模式図である。
【0113】
まず、積層体(離型フィルム付き光学透明粘着シート)を、長さ75mm×幅25mmに裁断し、試験片とした。そして、この試験片の片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート12側を、長さ75mm×幅25mmのスライドガラス31に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、光学透明粘着シート12とスライドガラス31とを貼り合わせた。その後、スライドガラス31とは反対側の離型フィルムを剥離し、
図4(a)に示すように、光学透明粘着シート12のスライドガラス31とは反対側の面に、厚み125μmのPETシート32(帝人デュポンフィルム社製の「メリネックス(登録商標)S」)を貼り付けた。
【0114】
次に、
図4(a)に示した状態のものを、常温・常湿(温度23℃、湿度50%)環境下で12時間放置した後、
図4(b)に示すように、PETシート32を180°方向に引っ張り、光学透明粘着シート12をスライドガラス31との界面で剥離させ、スライドガラス31に対する光学透明粘着シート12の粘着力を測定した。なお、粘着力の測定は、各例に対して2つの試験片を準備して行われた。そして、得られた2つの測定値の平均値を、各例における粘着力の測定結果とした。
【0115】
(3)光学特性
まず、積層体(離型フィルム付き光学透明粘着シート)の片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート側をスライドガラス(ソーダガラス製)に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、光学透明粘着シートとスライドガラスとを貼り合わせた。そして、スライドガラスとは反対側の離型フィルムを剥離し、高温・高湿(温度85℃、湿度85%)環境下で168時間放置した後、光学透明粘着シートの外観を目視観察した。判定基準は、下記の通りとした。
○:白化が発生しなかった。
×:白化が発生した。
【0116】
(4)クリープ特性
以下の方法でクリープ試験を行い、クリープ特性を評価した。
図5は、光学透明粘着シートのクリープ特性の評価方法を説明するための模式図である。
【0117】
まず、積層体(離型フィルム付き光学透明粘着シート)を、長さ25mm×幅25mm(25mm角)に裁断し、試験片とした。そして、この試験片の片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート12側を、長さ75mm×幅25mmのスライドガラス31に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、光学透明粘着シート12とスライドガラス31とを貼り合わせた。その後、スライドガラス31とは反対側の離型フィルムを剥離し、光学透明粘着シート12のスライドガラス31とは反対側の面に、厚み125μmのPETシート32(帝人デュポンフィルム社製の「メリネックス(登録商標)S」)を貼り付けた。次に、
図5に示すように、PETシート32側に150gの重り33を固定した状態のものを吊り下げて、高温・常湿(温度85℃、湿度50%)環境下に120分間放置した。そして、光学透明粘着シート12がスライドガラス31又はPETシート32との界面で剥離することで重り33が落下するかどうかを観察し、吊り下げ開始から重り33が落下するまでの保持時間(単位:分)を測定した。なお、表1〜4中、重り33が120分間落下しなかった場合は、保持時間を120分とし、光学透明粘着シート12の吊り下げ開始時の位置(貼り付けた位置:ゼロ点)から下方へのずれ量、すなわち、光学透明粘着シート12の変形移動量の測定値(単位:mm)を示した。また、重り33が120分後に落下した場合は、保持時間を120分とし、ずれ量を「(落下)」と示した。判定基準としては、保持時間が120分であり(重り33が120分間落下しなかった場合に相当)、かつ、ずれ量が0〜8mmである場合を適合レベルとした。但し、光学透明粘着シートが、被着体(本評価では、スライドガラス31及びPETシート32)の熱収縮性に対応した適度な柔軟性を有することが望ましい観点から、ずれ量が0mmである場合が最も良好であるとは限らない。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】
【表4】
【0122】
表1、2に示すように、実施例1〜9では、高温環境下におけるクリープ特性が高く、高温・高湿環境下で放置された後に白化が発生しなかった。なお、実施例1〜9では、光学透明粘着シートの厚みを250〜1500μmと従来よりも厚膜化して評価したが、光学透明粘着シートが厚く、吸湿量が増加しやすい場合であっても、高温環境下におけるクリープ特性が高く、高温・高湿環境下で放置された後に白化が発生しなかった。
【0123】
実施例3、4、9では、熱硬化性ポリウレタン組成物にタッキファイヤーが配合されていなかったが、親水性ユニットを有さない第二のポリイソシアネートが配合されていたため、ポリオール成分及び第一のポリイソシアネートとの相溶性が高く、高温・高湿環境下で放置された後に白化が発生しなかった。また、実施例3、4、9では、軟化温度が100℃以下である化合物(実施例1等で配合されていた、出光興産社製の「アイマーブP−100」)が熱硬化性ポリウレタン組成物に配合されていなかったため、85℃での貯蔵せん断弾性率が高く、高温環境下におけるクリープ特性の向上に大きく寄与していた。
【0124】
一方、表3、4に示すように、比較例1〜9では、高温環境下におけるクリープ特性が低い、又は、高温・高湿環境下で放置された後に白化が発生した。
【0125】
比較例1〜3では、85℃での貯蔵せん断弾性率が5×10
3Pa未満であったため、高温環境下におけるクリープ特性が低かった。
【0126】
比較例4、6では、180°剥離試験での粘着力が30N/25mmを超えていたため、高温環境下におけるクリープ特性が低かった。
【0127】
比較例5では、180°剥離試験での粘着力が1.5N/25mm未満であったため、高温環境下におけるクリープ特性が低かった。
【0128】
比較例7では、熱硬化性ポリウレタン組成物に、親水性ユニットを有さない第二のポリイソシアネート、及び、タッキファイヤーがともに配合されていなかったため、ポリオール成分との相溶性が低下し、高温・高湿環境下で放置された後に白化が発生した。
【0129】
比較例8、9では、熱硬化性ポリウレタン組成物に、親水性ユニットを有する第一のポリイソシアネートが配合されていなかったため、高温・高湿環境下で放置された後に白化が発生した。
本発明は、柔軟性に優れ、厚膜化が可能な熱硬化ポリウレタンを用いて、高温環境下におけるクリープ特性に優れ、高温・高湿環境下での保管により生じる白化が抑制された光学透明粘着シートを提供する。本発明の光学透明粘着シートは、熱硬化ポリウレタンからなる光学透明粘着シートであって、上記熱硬化ポリウレタンは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有する熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物であり、上記ポリイソシアネート成分は、親水性ユニットを有する第一のポリイソシアネートと、親水性ユニットを有さない第二のポリイソシアネートとを含み、85℃での貯蔵せん断弾性率が5×10