(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蒸発ガスを圧縮機で圧縮し、圧縮した蒸発ガスを圧縮する前の蒸発ガスと熱交換器で熱交換して冷却し、熱交換して冷却された流体を減圧装置で減圧し、蒸発ガスを再液化するシステム内の潤滑油排出方法において、
前記圧縮機は、給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、
蒸発ガスを、バイパスラインを介して前記熱交換器をバイパスさせた後に前記圧縮機で圧縮し、
前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスをエンジンに供給し、
前記エンジンに供給して余った余剰蒸発ガスを前記熱交換器に供給し、
前記圧縮機で圧縮して温度が上昇した蒸発ガスにより凝縮または凝固した潤滑油を融解または粘度を低下させて排出させ、
蒸発ガス再液化時に、再液化された液化ガスと気体状態で残っている蒸発ガスとを気液分離器で分離し、前記気液分離器で分離した気体状態の蒸発ガスは第6供給ラインに沿って前記気液分離器から排出され、
前記圧縮機で圧縮して前記熱交換器を通過した後で前記気液分離器に送られた蒸発ガスは、第6供給ラインに沿って前記バイパスラインに送られ、更に前記圧縮機で圧縮する循環サイクルを繰り返すことを特徴とする潤滑油排出方法。
前記バイパスラインを通過した後に前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスは、オイル分離器及び第1オイルフィルタの少なくとも1つ以上によって潤滑油がフィルタリングされた後、前記熱交換器に送られることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油排出方法。
前記熱交換器の高温流路の温度が、前記圧縮機で圧縮した後で前記熱交換器に送られる蒸発ガスの温度に上昇するまで、前記循環サイクルを繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の潤滑油排出方法。
蒸発ガスを圧縮機で圧縮し、圧縮した蒸発ガスを圧縮する前の蒸発ガスと熱交換器で熱交換して冷却し、熱交換して冷却された流体を減圧装置で減圧し、蒸発ガスを再液化するシステム内の潤滑油排出方法において、
前記熱交換器の冷媒として使用される蒸発ガスは、第1供給ラインに沿って前記熱交換器に供給され、
前記熱交換器の冷媒として使用された蒸発ガスは、第2供給ラインに沿って前記圧縮機に供給され、
前記熱交換器の冷媒として使用される前の蒸発ガスは、バイパスラインに沿って前記熱交換器を迂回して前記圧縮機に供給され、
前記バイパスライン上には、流体の流量と開閉を調節するバイパスバルブが設置され、
前記第1供給ライン上の前記熱交換器の上流には、流体の流量と開閉を調節する第1バルブが設置され、
前記第2供給ライン上の前記熱交換器の下流には、流体の流量と開閉を調節する第2バルブが設置され、
前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、
2)前記バイパスバルブを開いて、前記第1バルブ及び前記第2バルブを閉じるステップ;
3)前記の熱交換器の冷媒として使用される前に蒸発ガスが、前記バイパスラインを通過して前記圧縮機で圧縮されるステップ;及び
4)前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスの一部または全部を前記熱交換器に送るステップ;を含み、
前記圧縮機で圧縮して温度が上昇した蒸発ガスにより、凝縮または凝固した潤滑油を融解または粘度を低下させて排出させることを特徴とする潤滑油排出方法。
前記5)ステップで前記気液分離器に送られた蒸発ガスは、第6供給ラインに沿って前記バイパスラインに送られて、前記3)ステップの圧縮過程を経ることを特徴とする請求項10に記載の潤滑油排出方法。
前記熱交換器の高温流路の温度が、前記圧縮機で圧縮した後で前記熱交換器に送られる蒸発ガスの温度に上昇するまで、前記3)ステップ〜前記5)ステップを繰り返すことを特徴とする請求項11に記載の潤滑油排出方法。
前記4)ステップにおいて、前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスをエンジンの燃料として使用し、前記エンジンで使用されずに余った余剰蒸発ガスを前記熱交換器に送ることを特徴とする請求項8に記載の潤滑油排出方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述のように、特にLNG貯蔵タンクで発生する蒸発ガス(BOG)を圧縮した後、別の冷媒がなくても蒸発ガス自体を冷媒として利用して互いに熱交換して蒸発ガスを再液化する場合、再液化の効率を高めるためには蒸発ガスを高圧で圧縮する必要があり、蒸発ガスを高圧で圧縮するためには給油方式のシリンダー圧縮機の使用が必要である。
【0013】
給油方式のシリンダー圧縮機で圧縮した蒸発ガスには潤滑油(Lubrication Oil)が混在することになる。本発明の発明者らは、前記圧縮した蒸発ガスを熱交換器で冷却する際に、圧縮した蒸発ガスに混入した潤滑油が蒸発ガスより先に凝縮または凝固して、熱交換器の流路を塞ぐという問題を発見した。特に、流路が狭い場合(例えば、マイクロチャネル型(Microchannel Type)流路、PCHE(Printed Circuit Heat Exchanger、DCHEともいう。))、凝縮または凝固した潤滑油が熱交換器の流路を塞ぐ現象がより頻繁に発生する。
【0014】
本発明の発明者らは、凝縮または凝固した潤滑油が熱交換器の流路を塞ぐ現象を防止または軽減するために、圧縮した蒸発ガスに混入したオイル(潤滑油)を分離する様々な技術を開発している。
【0015】
本発明は、凝縮または凝固した潤滑油が熱交換器の流路を塞ぐ現象を軽減または改善することができ、更に、熱交換器の流路を塞ぐ凝縮または凝固した潤滑油を簡単かつ経済的な方法で除去できる蒸発ガス再液化システム内の潤滑油排出方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の実施形態では、蒸発ガスを圧縮機により圧縮し、圧縮した蒸発ガスを圧縮する前の蒸発ガスと熱交換器で熱交換して冷却し、熱交換して冷却された流体を減圧装置で減圧して、蒸発ガスを再液化するシステム内の潤滑油排出方法において、前記熱交換器の冷媒として使用する蒸発ガスは第1供給ラインに沿って前記熱交換器に供給され、前記熱交換器の冷媒として使用された蒸発ガスは第2供給ラインに沿って前記圧縮機に供給され、前記熱交換器の冷媒として使用される前の蒸発ガスはバイパスラインに沿って前記熱交換器を迂回し前記圧縮機に供給されることができ、前記バイパスライン上には流体の流量と開閉を調節するバイパスバルブが設置され、前記第1供給ライン上の前記熱交換器の上流には流体の流量と開閉を調節する第1バルブが設置され、前記第2供給ライン上の前記熱交換器の下流には流体の流量と開閉を調節する第2バルブが設置され、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、2)前記バイパスバルブを開いて、前記第1バルブ及び前記第2バルブを閉じるステップ;3)前記の熱交換器の冷媒として使用される前の蒸発ガスが前記バイパスラインを通って前記圧縮機で圧縮されるステップ;及び4)前記圧縮で圧縮した蒸発ガスの一部または全部を前記熱交換器に送るステップ;を含み、前記圧縮機で圧縮して温度が上昇した蒸発ガスで凝縮または凝固した潤滑油を融解または粘度を低下させて排出させることを特徴とする潤滑油排出方法が提供される。
【0017】
前記潤滑油排出方法は、前記2)ステップを実施する前に、1)凝縮または凝固した潤滑油を除去するか否かを判断するステップをさらに含む。
【0018】
蒸発ガス再液化時に、再液化した液化ガスと気体状態で残っている蒸発ガスとを気液分離器で分離し、前記気液分離器で分離された再液化した液化ガスは第5供給ラインに沿って前記気液分離器から排出され、前記気液分離器で分離された気体状態の蒸発ガスは第6供給ラインに沿って前記気液分離器から排出され、前記潤滑油排出方法は、5)前記熱交換器を通過した蒸発ガスを前記気液分離器に送るステップ;及び、6)前記気液分離器に溜まった潤滑油を排出するステップ;をさらに含む。
【0019】
前記5)ステップで前記気液分離器に送られた蒸発ガスは、第6供給ラインに沿って前記バイパスラインに送られて、前記3)ステップの圧縮過程を経ることができる。
【0020】
前記熱交換器の高温流路の温度が、前記圧縮機で圧縮した後に前記熱交換器に送られる蒸発ガスの温度に上昇するまで、前記3)ステップ〜前記5)ステップを繰り返すことができる。
【0021】
前記4)ステップにおいて、前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスはエンジンの燃料として使用し、前記エンジンで使用されずに余った余剰蒸発ガスを前記熱交換器に送ることができる。
【0022】
前記1)ステップにおいて、前記熱交換器の性能が正常時の60〜80%以下の場合に、「凝縮または凝固した潤滑油の排出時点」であると判断することができる。
【0023】
前記1)ステップにおいて、前記熱交換器の冷媒として使用される蒸発ガスの前記熱交換器の上流における温度と、前記圧縮機で圧縮した後に前記熱交換器で冷却された蒸発ガスの温度との差(以下、「低温流れの温度差」という。)が、第1設定値以上の状態を所定時間以上維持する条件;前記熱交換器の冷媒として使用された蒸発ガスの温度と、前記圧縮機で圧縮した後に前記熱交換器に送られる蒸発ガス温度との差(以下、「高温流れの温度差」という。)が、第1設定値以上の状態を所定時間以上維持する条件;及び前記圧縮機で圧縮した後で前記熱交換器に送られる蒸発ガスの前記熱交換器の上流における圧力と、前記熱交換器によって冷却した蒸発ガスの前記熱交換器の下流における圧力との差(以下、「高温流路の圧力差」という。)が第2設定値以上の状態を所定時間以上維持する条件;の少なくとも1つ以上に該当する場合に、「凝縮または凝固した潤滑油の排出時点」であると判断することができる。
【0024】
前記1)ステップにおいて、前記熱交換器の冷媒として使用される蒸発ガスの前記熱交換器の上流における温度と、前記圧縮機で圧縮した後で前記熱交換器で冷却された蒸発ガスの温度との差(以下、「低温流れの温度差」という。);と、前記熱交換器の冷媒として使用された蒸発ガスの温度と前記圧縮機で圧縮した後で前記熱交換器に送られる蒸発ガス温度との差(以下、「高温流れの温度差」という。);のうち、小さい値が第1設定値以上の状態を所定時間以上維持するか、または、前記圧縮機で圧縮された後で前記熱交換器に送られる蒸発ガスの前記熱交換器の上流における圧力と、前記熱交換器によって冷却した蒸発ガスの前記熱交換器の下流における圧力との差(以下、「高温流路の圧力差」という。)が第2設定値以上の状態を所定時間以上維持する場合に、「凝縮または凝固した潤滑油の排出時点」であると判断することができる。
【0025】
アラームが鳴って、前記「凝縮または凝固した潤滑油の排出時点」を知らせることができる。
【0026】
前記第1設定値は、35℃であり得る。
【0027】
前記第2設定値は、正常時の2倍であり得る。
【0028】
前記第2設定値は、2bar(200kPa)であり得る。
【0029】
前記所定時間は、1時間であり得る。
【0030】
蒸発ガス再液化時に、前記気液分離器で分離された液化ガスは前記第5供給ラインに沿って貯蔵タンクに供給され、前記第5供給ライン上には流体の流量と開閉を調節する第8バルブが設置され、前記2)ステップ〜前記6)ステップにおいて前記第8バルブを閉じた状態である。
【0031】
前記熱交換器が正常化したと判断したら、前記第1バルブ及び前記第2バルブを開いて、前記バイパスバルブを閉じた後、蒸発ガスを再液化する。
【0032】
前記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、蒸発ガスを圧縮機で圧縮し、圧縮した蒸発ガスを圧縮する前の蒸発ガスと熱交換器で熱交換して冷却し、熱交換して冷却された流体を減圧装置で減圧し、蒸発ガスを再液化するシステム内の潤滑油排出方法において、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、蒸発ガスをバイパスラインを介して前記熱交換器をバイパスさせた後に前記圧縮機で圧縮し、前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスをエンジンに供給し、前記エンジンに供給して余った余剰蒸発ガスを前記熱交換器に供給して、前記圧縮機で圧縮して温度が上昇した蒸発ガスにより凝縮または凝固した潤滑油を融解または粘度を低下させて排出させることを特徴とする潤滑油排出方法が提供される。
【0033】
蒸発ガス再液化時に、再液化された液化ガスと気体状態で残っている蒸発ガスとを気液分離器で分離し、前記気液分離器で分離した気体状態の蒸発ガスは第6供給ラインに沿って前記気液分離器から排出され、前記圧縮機で圧縮して温度が上昇した蒸発ガスによって融解または粘度を低下させて排出された潤滑油を前記気液分離器に溜める。
【0034】
前記バイパスラインを通過した後に前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスは、オイル分離器及び第1オイルフィルタのうち、少なくとも1つ以上によって潤滑油がフィルタリングされた後、前記熱交換器に送られる。
【0035】
前記第1オイルフィルタは、気体状態または霧状の潤滑油を分離することができる。
【0036】
前記減圧装置と前記気液分離器との間;前記気液分離器で分離した液化ガスが排出される第5供給ライン上;前記第6供給ライン上;のうち、少なくとも1か所以上に第2オイルフィルタが設置され、前記第2オイルフィルタは極低温用であり得る。
【0037】
前記第2オイルフィルタは固体状態の潤滑油を分離することができる。
【0038】
前記圧縮機で圧縮されて前記熱交換器を通過した後に前記気液分離器に送られた蒸発ガスは、第6供給ラインに沿って前記バイパスラインに送られ、更に前記圧縮機で圧縮される循環サイクルを繰り返すことができる。
【0039】
前記熱交換器の高温流路の温度が、前記圧縮機で圧縮された後で前記熱交換器に送られる蒸発ガスの温度に上昇するまで、前記循環サイクルを繰り返すことができる。
【0040】
前記目的を達成するために、本発明の他の一実施形態では、蒸発ガス自体を冷媒として使用して蒸発ガスを再液化するシステム内の潤滑油排出方法において、蒸発ガス再液化時に、熱交換器は貯蔵タンクから排出された蒸発ガスを冷媒として使用して圧縮機で圧縮した蒸発ガスを熱交換して冷却し、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、前記熱交換器を迂回するように設置されて前記熱交換器の整備時に使用するバイパスラインにより、凝縮または凝固した潤滑油を融解または粘度を低下させて排出することを特徴とする潤滑油排出方法が提供される。
【0041】
前記圧縮機は蒸発ガスを150〜350barで圧縮することができる。
【0042】
前記圧縮機は蒸発ガスを80〜250barで圧縮することができる。
【0043】
前記熱交換器はマイクロチャンネル型の流路を備える。
【0044】
前記熱交換器はPCHEであり得る。
【0045】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスを、貯蔵タンクから排出された蒸発ガスを冷媒として熱交換して冷却する熱交換器;前記熱交換器の冷媒として使用される蒸発ガスを前記熱交換器に供給する第1供給ライン上に設置され、流体の流量と開閉を調節する第1バルブ;前記熱交換器の冷媒として使用された蒸発ガスを前記圧縮機に供給する第2供給ライン上に設置され、流体の流量と開閉を調節する第2バルブ;蒸発ガスを前記熱交換器から迂回させて前記圧縮機に供給するバイパスライン;前記熱交換器の下流に設置され、前記熱交換器で冷却された流体を減圧する減圧装置;を備え、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、前記バイパスラインは、前記第1バルブの上流の前記第1供給ラインから分岐して、前記第2バルブの下流の前記第2供給ラインに合流することを特徴とする蒸発ガスの再液化システムが提供される。
【0046】
前記蒸発ガス再液化システムは、前記減圧装置の下流に設置されて、再液化された液化ガスと気体状態で残っている蒸発ガスを分離する気液分離器をさらに備えることができる。
【0047】
前記気液分離器で分離された気体状態の蒸発ガスを、第6供給ラインに沿って排出された後に前記熱交換器の冷媒として使用される蒸発ガスと合流させて前記熱交換器の冷媒として使用することができ、前記第6供給ラインは前記第1バルブの上流の前記第1供給ラインに合流される。
【0048】
前記圧縮機は150〜350barで蒸発ガスを圧縮することができる。
【0049】
前記圧縮機は80〜250barで蒸発ガスを圧縮することができる。
【0050】
前記熱交換器はマイクロチャンネル型の流路を備える。
【0051】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、凝縮または凝固した潤滑油を融解または粘度を低下させて排出する間にも、エンジンに燃料を供給することを特徴とする燃料供給方法が提供される。
【0052】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスを、前記圧縮機で圧縮する前の蒸発ガスを冷媒として使用して熱交換して冷却する熱交換器;前記熱交換器の下流に設置され、前記熱交換器で冷却された流体を減圧する減圧装置;を備え、前記熱交換器の低温流路の上流に設置される第1温度センサと、前記熱交換器の高温流路の下流に設置される第4温度センサ;前記熱交換器の低温流路の下流に設置される第2温度センサと、前記熱交換器の高温流路の上流に設置される第3温度センサ;前記熱交換器の高温流路の上流に設置される第1圧力センサと、前記熱交換器の高温流路の下流に設置される第2圧力センサ;のうち少なくとも1つ以上を備え、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備えることを特徴とする蒸発ガス再液化システムが提供される。
【0053】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスを、前記圧縮機で圧縮される前の蒸発ガスを冷媒として使用して熱交換して冷却する熱交換器;前記熱交換器の下流に設置され、前記熱交換器で冷却された流体を減圧する減圧装置;を備え、前記熱交換器の低温流路の上流に設置される第1温度センサと、前記熱交換器の高温流路の下流に設置される第4温度センサ;前記熱交換器の低温流路の下流に設置される第2温度センサと、前記熱交換器の高温流路の上流に設置される第3温度センサ;前記熱交換器の高温流路の上流と下流の圧力差を測定する差圧センサ;の少なくとも1つ以上を備え、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備えることを特徴とする蒸発ガス再液化システムが提供される。
【0054】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮機で圧縮し、圧縮した蒸発ガスを圧縮する前の蒸発ガスと熱交換器で熱交換して冷却し、熱交換して冷却された流体を減圧装置で減圧する蒸発ガス再液化システムにおいて、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、前記熱交換器の性能の異常を検知したらアラームが鳴ることを特徴とする蒸発ガス再液化システムが提供される。
【0055】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガス自体を冷媒として使用して蒸発ガスを再液化するシステム内の潤滑油排出方法において、蒸発ガス再液化時に熱交換器で蒸発ガス自体を冷媒として蒸発ガスを冷却し、前記熱交換器の低温流路の上流に設置される第1温度センサが測定した温度と前記熱交換器の高温流路の下流に設置される第4温度センサが測定した温度との差、及び、前記熱交換器の低温流路の下流に設置される第2温度センサが測定した温度と前記熱交換器の高温流路の上流に設置される第3温度センサが測定した温度との差のうち小さい値;または、前記熱交換器の高温流路の上流に設置される第1圧力センサが測定した圧力と前記熱交換器の高温流路の下流に設置される第2圧力センサが測定した圧力との差;を指標として、凝縮または凝固した潤滑油を排出する必要があるか否かを判断することを特徴とする潤滑油排出方法が提供される。
【0056】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガス自体を冷媒として使用して蒸発ガスを再液化するシステム内の潤滑油排出方法において、蒸発ガス再液化時に熱交換器で蒸発ガス自体を冷媒として蒸発ガスを冷却し、前記熱交換器の低温流路の上流に設置される第1温度センサが測定した温度と前記熱交換器の高温流路の下流に設置される第4温度センサが測定した温度との差、及び、前記熱交換器の低温流路の下流に設置される第2温度センサが測定した温度と前記熱交換器の高温流路の上流に設置される第3温度センサが測定した温度との差のうち小さい値;または前記熱交換器の高温流路の上流と下流の圧力差を測定する差圧センサが測定した圧力との差;を指標として、凝縮または凝固した潤滑油を排出する必要があるか否かを判断することを特徴とする潤滑油排出方法が提供される。
【0057】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスを、前記圧縮機で圧縮される前の蒸発ガスを冷媒として使用して熱交換して冷却する熱交換器;前記熱交換器の下流に設置され、前記熱交換器で冷却された流体を減圧する減圧装置;及び、前記減圧装置の下流に設置される第2オイルフィルタ;を備え、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、前記第2オイルフィルタは極低温用であることを特徴とする蒸発ガス再液化システムが提供される。
【0058】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスを、前記圧縮機で圧縮される前の蒸発ガスを冷媒として使用して熱交換して冷却する熱交換器;前記熱交換器の下流に設置され、前記熱交換器で冷却された流体を減圧する減圧装置;前記減圧装置の下流に設置されて再液化された液化ガスと気体状態で残っている蒸発ガスとを分離する気液分離器;及び、前記気液分離器で分離された液化ガスが排出される第5供給ライン上に設置される第2オイルフィルタ;を備え、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、前記第2オイルフィルタは極低温用であることを特徴とする蒸発ガス再液化システムが提供される。
【0059】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスを、前記圧縮機で圧縮される前の蒸発ガスを冷媒として使用して熱交換して冷却する熱交換器;前記熱交換器の下流に設置され、前記熱交換器で冷却された流体を減圧する減圧装置;前記減圧装置の下流に設置されて再液化された液化ガスと気体状態で残っている蒸発ガスとを分離する気液分離器;前記気液分離器で分離された気体状態の蒸発ガスが排出される第6供給ライン上に設置される第2オイルフィルタ;を備え、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、前記第2オイルフィルタは極低温用であることを特徴とする蒸発ガス再液化システムが提供される。
【0060】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスを、前記圧縮機で圧縮される前の蒸発ガスを冷媒として使用して熱交換して冷却する熱交換器;前記熱交換器の下流に設置され、前記熱交換器で冷却された流体を減圧する減圧装置;前記熱交換器の冷媒として使用される蒸発ガスを、前記熱交換器の上流で前記熱交換器を迂回させて前記圧縮機に供給するバイパスライン;及び、前記バイパスライン上に設置されて流体の流量と開閉を調節するバイパスバルブ;を備え、前記圧縮機に供給される蒸発ガスの圧力が、前記圧縮機が必要とする吸入圧力条件よりも低い場合には、前記バイパスバルブの一部または全部を開くことを特徴とする蒸発ガス再液化システムが提供される。
【0061】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮機で圧縮し、圧縮した蒸発ガスを圧縮する前の蒸発ガスと熱交換器で熱交換して冷却し、熱交換して冷却された流体を減圧装置で減圧し蒸発ガスを再液化するシステムのエンジンに燃料として供給する方法において、前記圧縮機に供給される蒸発ガスの圧力が、前記圧縮機が必要とする吸入圧力条件よりも低い場合には、前記圧縮機に供給される蒸発ガスの一部または全部が前記熱交換器を迂回して前記圧縮機に供給されることを特徴とする燃料供給方法が提供される。
【0062】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスを、前記圧縮機で圧縮される前の蒸発ガスを冷媒として熱交換し冷却する熱交換器;蒸発ガスを前記熱交換器から迂回させて前記圧縮機に供給するバイパスライン;前記熱交換器の冷媒として使用された蒸発ガスを前記圧縮機に送る第2供給ライン上に設置されて流体の流量と開閉を調節する第2バルブ;前記熱交換器の下流に設置され、前記熱交換器で冷却された流体を減圧する減圧装置;を備え、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、前記バイパスラインは、前記第2バルブ下流の前記第2供給ラインに合流することを特徴とする蒸発ガス再液化システムが提供される。
【0063】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮機で圧縮し、圧縮した蒸発ガスを圧縮する前の蒸発ガスと熱交換器で熱交換して冷却し、熱交換して冷却された流体を減圧装置で減圧し、蒸発ガスを再液化するシステム内の潤滑油排出方法において、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、前記熱交換器の冷媒として使用された蒸発ガスを前記圧縮機に送る第2供給ライン上に流体の流量と開閉を調節する第2バルブが設置され、蒸発ガスをバイパスラインに沿って前記熱交換器から迂回させた後に前記圧縮機で圧縮し、前記エンジンに供給して余った余剰蒸発ガスを前記熱交換器に供給し、前記圧縮機で圧縮して温度が上昇した蒸発ガスで凝縮した潤滑油を融解して排出し、前記バイパスラインは、前記第2バルブの下流の前記第2供給ラインに合流することを特徴とする潤滑油排出方法が提供される。
【0064】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスを前記圧縮機で圧縮される前の蒸発ガスを冷媒として熱交換し冷却する熱交換器;蒸発ガスを前記熱交換器から迂回させて前記圧縮機に供給するバイパスライン;前記熱交換器の冷媒として使用される蒸発ガスを前記熱交換器に供給する第1供給ライン上に設置されて流体の流量と開閉を調節する第1バルブ;前記熱交換器の下流に設置され、前記熱交換器で冷却された流体を減圧する減圧装置;を備え、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、前記バイパスラインは、前記第1バルブの上流の前記第1供給ラインから分岐することを特徴とする蒸発ガス再液化システムが提供される。
【0065】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態では、蒸発ガスを圧縮する圧縮機;前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスを前記圧縮機で圧縮される前の蒸発ガスを冷媒として熱交換し冷却する熱交換器;前記熱交換器の冷媒として使用される蒸発ガスは、前記第1熱交換器に供給する第1供給ラインから分岐して、蒸発ガスを前記熱交換器から迂回させて前記圧縮機に供給するバイパスライン;前記熱交換器の下流に設置され、前記熱交換器で冷却された流体を減圧する減圧装置;前記減圧装置の下流に設置され、再液化された液化ガスと気体状態で残っている蒸発ガスとを分離する気液分離器;を備え、前記圧縮機は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、前記気液分離器で分離された気体状態の蒸発ガスは第6供給ラインに沿って前記気液分離器から排出され、前記第6供給ラインは、前記バイパスラインが分岐するポイントの上流の第1供給ラインに合流することを特徴とする蒸発ガス再液化システムが提供される。
【発明の効果】
【0066】
本発明は、別の装置の追加設置や潤滑油を除去するための別の流体を供給する必要がなく、既存の設備だけで簡単かつ経済的に熱交換器内部で凝縮または凝固した潤滑油を除去することができる。
【0067】
本発明は、熱交換器内部で凝縮または凝固した潤滑油を除去する間もエンジンを駆動させ、エンジンを運転しながら熱交換器を整備することができる。また、エンジンで使用されずに余った余剰蒸発ガスを利用し、凝縮または凝固した潤滑油を除去することができる。また、蒸発ガスに混入した潤滑油をエンジンで燃焼させることができるという長所がある。
【0068】
本発明は、改良した気液分離器を利用し、融解または粘度が低下した潤滑油を気液分離器に溜めて、効率的に排出することができるという長所がある。
【0069】
本発明は、減圧装置の下流、気液分離器から液化ガスが排出される第5供給ライン及び気液分離器から蒸発ガスが排出される第6供給ラインの少なくとも1か所以上に極低温用オイルフィルタを設置し、蒸発ガスに混入した潤滑油を効果的に除去することができるという長所がある。
【0070】
本発明は、別の装置を追加設置する必要がなく、既存の設備だけで簡単かつ経済的に圧縮機が要求する吸入圧力の条件を満たしながら、再液化性能を維持することでエンジンが要求する燃料消費量を満たすことができる。
【0071】
本発明は、別の装置の追加設置や潤滑油を除去するための別の流体を供給する必要がなく、既存の設備だけで簡単かつ経済的に熱交換器内部で凝縮または凝固した潤滑油を除去することができる。
【0072】
本発明は、熱交換器内部で凝縮または凝固した潤滑油を除去する間もエンジンを駆動させ、エンジンを運転しながら熱交換器を整備することができる。また、エンジンで使用されずに余った余剰蒸発ガスを利用し、凝縮または凝固した潤滑油を除去することができる。また、蒸発ガスに混入した潤滑油をエンジンで燃焼させることができるという長所がある。
【0073】
本発明は、改良した気液分離器を利用し、融解または粘度が低下した潤滑油を気液分離器に溜めて、効率的に排出することができるという長所がある。
【0074】
本発明は、減圧装置の下流、気液分離器から液化ガスが排出される第5供給ライン及び気液分離器から蒸発ガスが排出される第6供給ラインの少なくとも1か所以上に極低温用オイルフィルタを設置し、蒸発ガスに混入した潤滑油を効果的に除去することができるという長所がある。
【0075】
本発明は、別の装置を追加設置する必要がなく、既存の設備だけで簡単かつ経済的に圧縮機が要求する吸入圧力の条件を満たしながら、再液化性能を維持することでエンジンが要求する燃料消費量を満たすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態の構成と作用を詳細に説明する。本発明の蒸発ガス再液化システムは、天然ガスを燃料として使用するエンジンを搭載した船舶、液化ガス貯蔵タンクを備えた船舶または海洋構造物などに様々な応用と適用ができる。また、下記実施形態は、様々な形態に変形することができ、本発明の範囲は下記の実施形態に限定されない。
【0078】
また、本発明の各ラインでの流体は、システムの運用条件に応じて、液体状態、気液混合状態、気体状態、超臨界流体の状態のいずれかの状態である。
【0079】
図1は、本発明の第1実施形態の蒸発ガス再液化システムの概略図である。
【0080】
図1を参照して、本実施形態の蒸発ガス再液化システムは、圧縮機200、熱交換器100、減圧装置600、バイパスラインBL及びバイパスバルブ590を備える。
【0081】
圧縮機200は、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスを圧縮し、複数の圧縮シリンダー210、220、230、240、250及び複数の冷却器211、221、231、241、251を備える。圧縮機200で圧縮した蒸発ガスの圧力は約150〜350barである。
【0082】
圧縮機200で圧縮した蒸発ガスの一部は、燃料供給ラインSLに沿って船舶を推進させるための主エンジンに供給され、主エンジンで使用されない残りの蒸発ガスは第3供給ラインL3に沿って熱交換器100に送られて再液化過程を実施する。主エンジンは、約300bar圧力の高圧天然ガスを燃料として使用するME−GIエンジンである。
【0083】
圧縮機200に設けられた一部の圧縮シリンダー210、220のみを通過した蒸発ガスは、一部を分岐させて発電機に送ることができる。本実施形態の発電機は、約6.5bar圧力の低圧天然ガスを燃料として使用するDFエンジンである。
【0084】
熱交換器100は、第1供給ラインL1に沿って供給される貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスを冷媒として使用して、第3供給ラインL3に沿って供給される圧縮機200で圧縮した蒸発ガスを熱交換して冷却する。熱交換器100の冷媒として使用された蒸発ガスは第2供給ラインL2に沿って圧縮機200に供給され、熱交換器100で冷却された流体は第4供給ラインL4に沿って減圧装置600に供給される。
【0085】
減圧装置600は、圧縮機200で圧縮された後に熱交換器100で冷却された蒸発ガスを減圧する。圧縮機200による圧縮過程は、熱交換器100による冷却過程及び減圧装置600による減圧過程を経た蒸発ガスは、一部または全部が再液化される。減圧装置600は、ジュール−トムソン(Joule−Thomson)バルブなどの膨張バルブまたは膨張機である。
【0086】
本実施形態の蒸発ガス再液化システムは、減圧装置600の下流に設置され、圧縮機200、熱交換器100及び減圧装置600を通過して再液化されたLNGと、気体の状態で残っている蒸発ガスとを分離する気液分離器700を更に備える。
【0087】
気液分離器700で分離された液化ガスは第5供給ラインL5に沿って貯蔵タンクTに送られ、気液分離器700で分離された蒸発ガスは貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスと合流して熱交換器100に送られる。
【0088】
気液分離器700から気体状態の蒸発ガスが排出される第6供給ラインL6上には、流体の流量と開閉を調節する第9バルブ582が設置される。
【0089】
本実施形態の熱交換器100が維持補修中である場合や熱交換器100が故障した場合など、熱交換器100を使用できない場合には、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスはバイパスラインBLを介して熱交換器100を迂回することができる。バイパスラインBL上には、バイパスラインBLを開閉するバイパスバルブ590が設置される。
【0090】
図2は、本発明の第2実施形態の蒸発ガス再液化システムの概略図である。
【0091】
図2を参照して、本実施形態の蒸発ガス再液化システムは、熱交換器100、第1バルブ510、第2バルブ520、第1温度センサ810、第2温度センサ820、圧縮機200、第3温度センサ830、第4温度センサ840、第1圧力センサ910、第2圧力センサ920、減圧装置600、バイパスラインBL及びバイパスバルブ590を備える。
【0092】
熱交換器100は、貯蔵タンクTから排出される蒸発ガスを冷媒として使用して圧縮機200で圧縮した蒸発ガスを熱交換して冷却する。貯蔵タンクTから排出された後に熱交換器100の冷媒として使用された蒸発ガスは圧縮機200に送られ、圧縮機200で圧縮した蒸発ガスは、貯蔵タンクTから排出される蒸発ガスを冷媒として使用して熱交換器100で冷却される。
【0093】
貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスは第1供給ラインL1に沿って熱交換器100に送られて冷媒として使用され、熱交換器100の冷媒として使用された蒸発ガスは第2供給ラインL2に沿って圧縮機200に送られる。圧縮機200で圧縮した蒸発ガスの一部または全部を第3供給ラインL3に沿って熱交換器100に送り冷却し、熱交換器100で冷却された流体は第4供給ラインL4に沿って減圧装置600に送られる。
【0094】
第1バルブ510は第1供給ラインL1上に設置されて流体の流量と開閉を調節し、第2バルブ520は第2供給ラインL2上に設置されて流体の流量と開閉を調節する。
【0095】
第1温度センサ810は第1供給ラインL1上の熱交換器100の上流に設置され、貯蔵タンクTから排出されて熱交換器100に供給される蒸発ガスの温度を測定する。第1温度センサ810は、熱交換器100に供給される直前の蒸発ガスの温度を測定することができるように、熱交換器100の直ぐ上流に設置されることが好ましい。
【0096】
第2温度センサ820は第2供給ラインL2上の熱交換器100の下流に設置され、貯蔵タンクTから排出された後に熱交換器100の冷媒として使用された蒸発ガスの温度を測定する。第2温度センサ820は、熱交換器100の冷媒として使用された直後の蒸発ガスの温度を測定することができるように、熱交換器100の直ぐ下流に設置されることが好ましい。
【0097】
圧縮機200は、貯蔵タンクTから排出された後に熱交換器100の冷媒として使用された蒸発ガスを圧縮する。圧縮機200で圧縮した蒸発ガスは高圧エンジンの燃料として供給することができ、高圧エンジンの燃料として供給されずに余った余剰蒸発ガスは熱交換器100に送られて再液化過程を経る。
【0098】
圧縮機200で圧縮した蒸発ガスを高圧エンジンに送る燃料供給ラインSL上には、流体の流量と開閉を調節する第6バルブ560を設置することができる。
【0099】
第6バルブ560は、高圧エンジンのガスモード運転が中断するとき、高圧エンジンに供給される蒸発ガスの供給を完全に遮断する安全装置の役割をする。ガスモードは天然ガスを燃料として使用してエンジンを運転するモードを意味し、燃料として使用する蒸発ガスが不足する場合にはエンジンを燃料油モードに転換し、燃料油をエンジンの燃料として使用する。
【0100】
また、圧縮機200で圧縮した蒸発ガスのうち、高圧エンジンの燃料として供給されずに余った余剰蒸発ガスを熱交換器100に送るライン上には、流体の流量と開閉を調節する第7バルブ570が設置される。
【0101】
圧縮機200で圧縮した蒸発ガスを高圧エンジンに供給する場合、圧縮機200は蒸発ガスを高圧エンジンの要求圧力まで圧縮することができる。高圧エンジンは高圧蒸発ガスを燃料として使用するME−GIエンジンであり得る。
【0102】
ME−GIエンジンは、約150〜400bar、好ましくは約150〜350bar、より好ましくは約300barの天然ガスを燃料として使用することが知られている。本発明の圧縮機200は、圧縮した蒸発ガスをME−GIエンジンに供給するために、約150〜350bar圧力に蒸発ガスを圧縮することができる。
【0103】
本発明では、主エンジンとしてME−GIエンジンの代わりに、約6〜20bar圧力の蒸発ガスを燃料として使用するX−DFエンジンやDFエンジンの選択が可能である。この場合、主エンジンに供給するために圧縮した蒸発ガスは低圧であるため、主エンジンに供給するために圧縮した蒸発ガスを更に圧縮して再液化させても良い。再液化させるために更に圧縮した蒸発ガスの圧力は約80〜250barである。
【0104】
図11及び
図12は、部分再液化システム(Partial Re−liquefaction System、PRS)における蒸発ガス圧力による再液化量を示すグラフである。再液化対象蒸発ガスは、冷却されて再液化した蒸発ガスを意味し、冷媒として使用される蒸発ガスと区別するために命名した。
【0105】
図11及び
図12を参照して、蒸発ガスの圧力が150〜170bar付近である場合に再液化量が最大値を示し、150〜300barの圧力では再液化量は殆ど変化しないことが分かる。したがって、高圧エンジンが、約150〜350bar(主に300bar)圧力の蒸発ガスを燃料として使用するME−GIエンジンである場合には、高圧エンジンに燃料を供給すると同時に高い再液化量を維持することができ、再液化システムの制御が容易になるという長所がある。
【0106】
圧縮機200は、複数の圧縮シリンダー210、220、230、240、250と、複数の圧縮シリンダー210、220、230、240、250の下流にそれぞれ設置される複数の冷却器211、221、231、241、251とを備える。冷却器211、221、231、241、251は圧縮シリンダー210、220、230、240、250によって圧縮されて、圧力と共に温度が上昇した蒸発ガスを冷却する。
【0107】
圧縮機200が複数個の圧縮シリンダー210、220、230、240、250を備える場合、圧縮機200に供給された蒸発ガスは、複数の圧縮シリンダー210、220、230、240、250によって多段階で圧縮される。各圧縮シリンダー210、220、230、240、250は圧縮機200の各圧縮段階を意味する。
【0108】
また、圧縮機200は、第1圧縮シリンダー210と第1冷却器211を通過した蒸発ガスの一部または全部を第1圧縮シリンダー210の上流に送る第1再循環ラインRc1;第2圧縮シリンダー220と第2冷却器221を通過した蒸発ガスの一部または全部を第2圧縮シリンダー220の上流に送る第2再循環ラインRc2;第3圧縮シリンダー230と第3冷却器231を通過した蒸発ガスの一部または全部を第3圧縮シリンダー230の上流に送る第3再循環ラインRc3;及び第4圧縮シリンダー240、第4冷却器241、第5圧縮シリンダー250と第5冷却器251を通過した蒸発ガスの一部または全部を第4圧縮シリンダー240の上流に送る第4循環ラインRc4を備える。
【0109】
また、第1再循環ラインRc1上には流体の流量と開閉を調節する第1再循環バルブ541が設置され、第2再循環ラインRc2上には流体の流量と開閉を調節する第2再循環バルブ542が設置され、第3再循環ラインRc3上には流体の流量と開閉を調節する第3再循環バルブ543が設置され、第4循環ラインRc4上には流体の流量と開閉を調節する第4再循環バルブ544が設置される。
【0110】
再循環ラインRc1、Rc2、Rc3、Rc4は、貯蔵タンクT内の圧力が低いため圧縮機200が要求する吸入圧力の条件を満たさない場合、蒸発ガスの一部または全部を再循環させて圧縮機200を保護する。再循環ラインRc1、Rc2、Rc3、Rc4を使用しない時には再循環バルブ541、542、543、544を閉じて、圧縮機200が要求する吸入圧力条件を満たさず再循環ラインRc1、Rc2、Rc3、Rc4を使用する必要が生じた場合に再循環バルブ541、542、543、544を開く。
【0111】
図2には、蒸発ガスが圧縮機200に備えられた複数の圧縮シリンダー210、220、230、240、250をすべて通過した蒸発ガスを熱交換器100に供給する場合を示したが、複数の圧縮シリンダー210、220、230、240、250の一部を通過した蒸発ガスを圧縮機200の中間から分岐させて熱交換器100に供給することもできる。
【0112】
また、複数の圧縮シリンダー210、220、230、240、250の一部を通過した蒸発ガスを圧縮機200の中間から分岐させて低圧エンジンに供給して燃料として使用することができ、余剰蒸発ガスをガス燃焼装置(GCU;Gas Combustion Unit)に供給して燃焼させることもできる。
【0113】
低圧エンジンは約6〜10bar圧力の蒸発ガスを燃料として使用するDFエンジン(例えば、DFDE)であり得る。
【0114】
圧縮機200に含まれる複数の圧縮シリンダー210、220、230、240、250の一部は無給油潤滑(oil−free lubricated)方式で作動し、それ以外は給油潤滑(oil lubricated)方式で作動することができる。特に、圧縮機200で圧縮した蒸発ガスを高圧エンジンの燃料として使用する場合、また、再液化効率を高めるために蒸発ガスを80bar以上、好ましくは100bar以上まで圧縮する場合において、圧縮機200は蒸発ガスを高圧で圧縮するために給油潤滑方式の圧縮シリンダーを備えることになる。
【0115】
既存の技術では、100bar以上まで蒸発ガスを圧縮するためには、往復動タイプの圧縮機200に、例えば、ピストンシール部位を潤滑と冷却するために潤滑油を供給する必要がある。
【0116】
給油潤滑方式の圧縮シリンダーには潤滑油を供給するが、現在の技術水準では給油潤滑方式の圧縮シリンダーを通過した蒸発ガスには潤滑油が一部混入する。本発明の発明者らは、蒸発ガスが圧縮されて蒸発ガスに混入した潤滑油は、熱交換器100で蒸発ガスより先に凝縮または凝固して熱交換器100の流路を塞ぐことを発見した。
【0117】
本実施形態の蒸発ガス再液化システムは、圧縮機200と熱交換器100との間に設置されて蒸発ガスに混入した潤滑油を分離するオイル分離器300及び第1オイルフィルタ410を更に備える。
【0118】
オイル分離器300は主に液体状態の潤滑油を分離し、第1オイルフィルタ410は気体(Vapor)状態または霧(Mist、液滴)状態の潤滑油を分離する。オイル分離器300は第1オイルフィルタ410に比べて大きい粒子の潤滑油を分離するため、オイル分離器300は第1オイルフィルタ410の上流に設置されて、圧縮機200で圧縮された蒸発ガスをオイル分離器300、第1オイルフィルタ410の順に通過させた後、熱交換器100に供給することが好ましい。
【0119】
図2では、オイル分離器300及び第1オイルフィルタ410の両方を備える場合を示したが、本実施形態の蒸発ガス再液化システムは、オイル分離器300及び第1オイルフィルタ410の少なくとも1つ以上を備えるように構成することもできる。ただし、オイル分離器300及び第1オイルフィルタ410の両方を使用する方が好ましい。
【0120】
また、
図2では、第1オイルフィルタ410は圧縮機200の下流の第2供給ラインL2上に設置されるが、第1オイルフィルタ410を熱交換器100の上流の第3供給ラインL3上に設置することもでき、複数を並列に設置してもよい。
【0121】
本実施形態の蒸発ガス再液化システムがオイル分離器300及び第1オイルフィルタ410のいずれかを備えて、本実施形態の圧縮機200が無給油潤滑方式の圧縮シリンダーと給油潤滑方式の圧縮シリンダーを備える場合には、給油潤滑方式の圧縮シリンダーを通過した蒸発ガスをオイル分離器300及び/または第1オイルフィルタ410に送るように構成し、無給油潤滑方式の圧縮シリンダーのみを通過した蒸発ガスは、オイル分離器300またはオイルフィルタ410を通過させずに熱交換器100に供給するように構成することもできる。
【0122】
本実施形態の圧縮機200は、5つの圧縮シリンダー210、220、230、240、250を備えて、上流の3つの圧縮シリンダー210、220、230は無給油潤滑方式であり、下流の2つの圧縮シリンダー240、250は給油潤滑方式である。3段以下で蒸発ガスを分岐させる場合には、蒸発ガスをオイル分離器300または第1オイルフィルタ410を通過させずに熱交換器100に供給し、4段以上で蒸発ガスを分岐させる場合には、蒸発ガスをオイル分離器300及び/または第1オイルフィルタ410を通過させた後で第1熱交換器100に供給するように構成することができる。
【0123】
第1オイルフィルタ410はコアレッサー方式(Coalescer Type)のオイルフィルタであり得る。
【0124】
圧縮機200と高圧エンジンとの間の燃料供給ラインSL上には、逆流防止バルブ550が設置される。逆流防止バルブ550は、高圧エンジンが停止した場合に蒸発ガスが逆流して圧縮機が損傷するのを防止する役割を担う。
【0125】
本実施形態の蒸発ガス再液化システムがオイル分離器300及び/または第1オイルフィルタ410を備える場合、逆流した蒸発ガスがオイル分離器300及び/または第1オイルフィルタ410に流れ込まないように、逆流防止バルブ550はオイル分離器300及び/または第1オイルフィルタ410の下流に設置されることが好ましい。
【0126】
また、膨張バルブ600を急に閉じた場合にも蒸発ガスが逆流して圧縮機200が損傷する虞があるため、逆流防止バルブ550は第3供給ラインL3が燃料供給ラインSLから分岐する分岐点の上流に設置されることが好ましい。
【0127】
第3温度センサ830は、第3供給ラインL3上の熱交換器100の上流に設置され、圧縮機200で圧縮された後に熱交換器100に供給される蒸発ガスの温度を測定する。第3温度センサ830は、熱交換器100に供給される直前の蒸発ガスの温度を測定することができるように、熱交換器100の直ぐ上流に設置されることが好ましい。
【0128】
第4温度センサ840は、第4供給ラインL4上熱交換器100の下流に設置され、圧縮機200で圧縮された後に熱交換器100で冷却された蒸発ガスの温度を測定する。第4温度センサ840は、熱交換器100で冷却された直後の蒸発ガスの温度を測定することができるように、熱交換器100の直ぐ下流に設置されることが好ましい。
【0129】
第1圧力センサ910は、第3供給ラインL3上の熱交換器100の上流に設置され、圧縮機200で圧縮された後に熱交換器100に供給される蒸発ガスの圧力を測定する。第1圧力センサ910は、熱交換器100に供給される直前の蒸発ガスの圧力を測定することができるように、熱交換器100の直ぐ上流に設置されることが好ましい。
【0130】
第2圧力センサ920は、第4供給ラインL4上熱交換器100の下流に設置され、圧縮機200で圧縮された後に熱交換器100で冷却された蒸発ガスの圧力を測定する。第2圧力センサ920は、熱交換器100で冷却された直後の蒸発ガスの圧力を測定することができるように、熱交換器100の直ぐ下流に設置されることが好ましい。
【0131】
図2に示すように、第1〜4温度センサ810〜840、第1圧力センサ910及び第2圧力センサ920のすべてが設置されることが好ましいが、本実施形態は、これに限定されない。例えば、第1温度センサ810と第4温度センサ840(以下、「第1組」という。)のみを設置すること、第2温度センサ820と第3温度センサ830(以下、「第2組」という。)のみを設置すること、第1圧力センサ910と第2圧力センサ920(以下、「第3組」という。)のみを設置すること、第1〜第3組のうち2つの組だけを設置することもできる。
【0132】
減圧装置600は、熱交換器100の下流に設置され、圧縮機200で圧縮された後に熱交換器100で冷却された蒸発ガスを減圧する。圧縮機200による圧縮過程、熱交換器100による冷却過程及び減圧装置600による減圧過程を経た蒸発ガスは、一部または全部が再液化される。減圧装置600は、システムの構成に応じてジュール−トムソン(Joule−Thomson)バルブなどの膨張バルブ、または膨張機であり得る。
【0133】
本実施形態の蒸発ガス再液化システムは、減圧装置600の下流に設置され、圧縮機200、熱交換器100及び減圧装置600を通過して再液化されたLNGと、気体状態で残っている蒸発ガスとを分離する気液分離器700を更に備える。
【0134】
気液分離器700で分離された液化ガスは第5供給ラインL5に沿って貯蔵タンクTに送られ、気液分離器700で分離された蒸発ガスは第6供給ラインL6に沿って、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスと合流した後に熱交換器100に送られる。
【0135】
図2では、気液分離器700で分離された蒸発ガスを貯蔵タンクTから排出される蒸発ガスと合流させた後で熱交換器100に供給しているが、これに限定されない。例えば、熱交換器100を3つの流路で構成し、気液分離器700で分離された蒸発ガスを別の流路に沿って熱交換器100の冷媒として使用してもよい。
【0136】
また、気液分離器700を備えず、減圧装置600で減圧されて一部または全部が再液化された流体を貯蔵タンクTに直接送るように構成することもできる。
【0137】
第5供給ラインL5上には流体の流量と開閉を調節する第8バルブ581が設置され、第8バルブ581によって気液分離器700内部の液化ガスの水位が調節される。
【0138】
第6供給ラインL6上には流体の流量と開閉を調節する第9バルブ582が設置され、第9バルブ582によって気液分離器700内部の圧力が調節される。
【0139】
図4は、本発明の一実施形態の気液分離器の拡大図である。
図4に示すように、気液分離器700には内部の液化ガスの水位を測定する水位センサ940が1つ以上設置される。
【0140】
本実施形態の蒸発ガス再液化システムは、減圧装置600と気液分離器700との間に設置されて、減圧装置600で減圧された流体に混入したオイルをフィルタリングする第2オイルフィルタ420を備える。
【0141】
図2及び
図4を参照して、第2オイルフィルタ420を、減圧装置600と気液分離器700との間の第4供給ラインL4上に設置すること(
図4のA位置)、気液分離器700から再液化された液化ガスが排出される第5供給ラインL5上に設置すること(
図4のB位置)、気液分離器700から気体状態の蒸発ガスが排出される第6供給ラインL6に設置することもできる(
図4のC位置)。
図2は、
図4のA位置に第2オイルフィルタ420が設置された状態を示した。
【0142】
気液分離器700で分離された気体状態の蒸発ガスを貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスと合流させて、熱交換器100の低温流路に供給する場合、気液分離器700内に潤滑油が溜まるため、気液分離器700で分離された気体状態の蒸発ガス内に潤滑油が混入する可能性がある。
【0143】
本発明の発明者らは、気液分離器700で分離された気体状態の蒸発ガスを潤滑油が混入したままで熱交換器100の低温流路に供給する場合には、圧縮機200で圧縮されて潤滑油が混入した蒸発ガスを熱交換器100の高温流路に供給する場合に比べて、不具合が発生する可能性があることを発見した。すなわち、高温流路に溜まった凝縮または凝固した潤滑油を除去することは可能であるが、低温流路に溜まった凝縮または凝固した潤滑油を除去することは非常に困難である。
【0144】
熱交換器100の低温流路には、熱交換器100の冷媒として使用される流体が供給されるため、システムが運用されている間は極低温の蒸発ガスが間断なく供給され、凝縮または凝固した潤滑油を融解できるほどの高温の流体は供給されない。したがって、熱交換器100の低温流路に溜まった凝縮または凝固した潤滑油を除去することは非常に困難である。
【0145】
気液分離器700で分離された気体状態の蒸発ガスに潤滑油が混入して熱交換器100の低温流路に供給される可能性を最小限に抑えるため、第2オイルフィルタ420を
図4のA位置やC位置に設置することが好ましい。
【0146】
第2オイルフィルタ420を
図4のC位置に設置する場合、融解または粘度が低下した潤滑油のほとんどは気液分離器700内に液体状態で溜まり、第6供給ラインL6に沿って排出される気体状態の潤滑油は少量であるため、フィルタリング効率が高くなることと第2オイルフィルタ420を比較的頻繁に交換する必要がないという利点がある。
【0147】
第2オイルフィルタ420を
図4のB位置に設置する場合、貯蔵タンクTに流入する潤滑油を遮断することが可能であり、貯蔵タンクTに貯蔵される液化ガスの汚染を防止することができるという利点がある。
【0148】
第1オイルフィルタ410は、圧縮機200の下流に設置され、圧縮機200で圧縮された蒸発ガスの温度は約40〜45℃であるため、極低温用のオイルフィルタを使用する必要がない。しかし、減圧装置600で減圧した流体の温度は、蒸発ガスの少なくとも一部が再液化される−160〜−150℃程度であり、気液分離器700で分離された液化ガスと蒸発ガスの温度も約−160〜−150℃であるため、第2オイルフィルタ420は
図4のA、B、Cのいずれかの位置に設置するか、または極低温用に設計する必要がある。
【0149】
また、圧縮機200で圧縮された約40〜45℃の蒸発ガスに混入している潤滑油のほとんどは液体状態または霧(Mist)状態であるため、オイル分離器300は液体状態の潤滑油の分離に適合するように設計され、第1オイルフィルタ410は霧(Mist)状態の潤滑油(気体(Vapor)状態の潤滑油が一部含まれ得る。)の分離に適合するように設計される。
【0150】
一方、極低温流体である、減圧装置600によって減圧された流体と、気液分離器700で分離された蒸発ガスと、気液分離器700で分離された液化ガスとに混入している潤滑油は、流動点以下の固体(または凝固した)状態であるため、第2オイルフィルタ420は固体(または凝固した)状態の潤滑油の分離に適合するように設計される。
【0151】
図5は、本発明の一実施形態の第2オイルフィルタの拡大図である。
図6は、本発明の他の実施形態の第2オイルフィルタの拡大図である。
【0152】
図5及び
図6を参照して、第2オイルフィルタ420は、
図5に示した構造(以下、「下部排出型」という。)、または
図6に示した構造(以下、「上部排出型」という。)であり得る。
図5及び
図6の破線は、流体の流れの方向を示す。
【0153】
図5及び
図6を参照して、第2オイルフィルタ420は固定板425とフィルタエレメント421とを備え、第2オイルフィルタ420には流入配管422、排気配管423及びオイル排出配管424が連結される。
【0154】
フィルタエレメント421は固定板425の上面に設置されて、流入配管422を介して流入する流体に混入した潤滑油を分離する。
【0155】
図13は、
図5及び
図6に図示したフィルタエレメント421の平面図である。
図13を参照して、フィルタエレメント421は中空(
図13のZ空間)の円柱状であり、メッシュ(Mesh)サイズが異なる多段のレイヤー(Layer)が積み重なった形態である。流入配管422を介して流入する流体がフィルタエレメント421に設けられた多段のレイヤーを通過して潤滑油がフィルタリングされる。フィルタエレメント421は物理的吸着方法で潤滑油を分離することができる。
【0156】
フィルタエレメント421でフィルタリングされた流体(蒸発ガス、液化ガス、または気液混合状態の流体)は排出配管423に沿って排出され、フィルタエレメント421でフィルタリングされた潤滑油はオイル排出配管424に沿って排出される。
【0157】
第2オイルフィルタ420に用いる部品の材質は、極低温の流体に混入した潤滑油を分離することができるように極低温に耐える材料で構成される。フィルタエレメント421は極低温に耐えられる金属(Metal)材料で構成することができ、具体的にフィルタエレメント421はSUS材質であることができる。
【0158】
図5を参照して、「下部排出型」のオイルフィルタは、オイルフィルタ上部に連結される流入配管422を介して供給された流体が、フィルタエレメント421を通過した後、固定板425の下部に形成された空間(
図5のX)を通過し、オイルフィルタ下部に連結された排出配管423を介して排出される。
【0159】
「下部排出型」のオイルフィルタは、固定板425がオイルフィルタ下部に設置され、固定板425の上面にフィルタエレメント421が設置され、固定板425を基準に、フィルタエレメント421の反対側に排出配管423が連結される。
【0160】
また、「下部排出型」のオイルフィルタは、供給配管422を介して流入した流体がフィルタエレメント421の上部でフィルタリングされるように(つまり、フィルタエレメント全体を最大限に利用できるように)、供給配管422をフィルタエレメント421の上端部よりも上方で連結することが好ましい。
【0161】
流体の流れを考慮すれば、供給配管422と排出配管423とを互いに反対側(
図5のフィルタエレメント421を基準に左側と右側)に設置することが好ましい。また、フィルタエレメント421でフィルタリングされた潤滑油は、フィルタエレメント421の下部に溜まるため、オイル排出配管424をフィルタエレメント421の下部側に連結することが好ましい。
【0162】
「下部排出型」のオイルフィルタの場合、オイル排出配管424は固定板425の直ぐ上方に連結される。
【0163】
図5(a)に示すように、「下部排出型」のオイルフィルタに液体成分が多い流体(例えば、液体90%、気体10%の体積比)を供給する場合、液体成分は密度が大きいため、上から下まで適切な流れが発生しフィルタリング効果が優れている。
【0164】
しかし、
図5(b)に示すように、「下部排出型」のオイルフィルタに気体成分が多い流体(例えば、液体10%、気体90%の体積比)を供給する場合、密度が小さな気体成分がオイルフィルタの上部に溜まるため、流体の流れが悪くなりフィルタリング効果が悪化する。
【0165】
図6を参照して、「上部排出型」のオイルフィルタは、オイルフィルタの下部に連結される流入配管422を介して供給された流体が、フィルタエレメント421を通過した後、固定板425の上部に形成された空間(
図6のY)を通過して、オイルフィルタの上部に連結された排出配管423を介して排出される。
【0166】
「上部排出型」のオイルフィルタは、固定板425がオイルフィルタ上部に設置され、固定板425の下面にフィルタエレメント421が設置され、固定板425を基準にフィルタエレメント421の反対側に排出配管423が連結される。
【0167】
また、「上部排出型」のオイルフィルタは、供給配管422を介して流入した流体がフィルタエレメント421の下部でもフィルタリングされるように(すなわち、フィルタエレメント全体を最大限に利用できるように)、供給配管422をフィルタエレメント421の下端部よりも下方で連結することが好ましい。
【0168】
流体の流れを考慮すれば、供給配管422と排出配管423とを互いに反対側(
図6のフィルタエレメント421を基準に左側と右側)に設置することが好ましい。また、フィルタエレメント421でフィルタリングされた潤滑油は、フィルタエレメント421の下部に溜まるため、オイル排出配管424をフィルタエレメント421の下部側に連結することが好ましい。
【0169】
図6を参照して、「上部排出型」のオイルフィルタは、オイルフィルタ下部に連結する配管422を介して供給された流体がフィルタエレメント421を通過した後、オイルフィルタの上部に連結された配管423を介して排出される。フィルタエレメント421でフィルタリングされた潤滑油は、別の配管424を介して外部に排出される。
【0170】
図6(a)に示すように、「上部排出型」のオイルフィルタに気体成分が多い流体(例えば、液体10%、気体90%の体積比)を供給する場合、気体成分は密度が小さいため、下から上まで適切な流れが発生しフィルタリング効果が優れている。
【0171】
しかし、
図6(b)に示すように、「上部排出型」のオイルフィルタに液体成分が多い流体(例えば、液体90%、気体10%の体積比)を供給する場合、密度の大きい液体成分がオイルフィルタの下部に溜まるため、流体の流れが悪くなりフィルタリング効果も悪化する。
【0172】
したがって、
図4のB位置に第2オイルフィルタ420を設置する場合には、
図5に示した「下部排出型」である第2オイルフィルタ420を適用することが好ましく、
図4のC位置に第2オイルフィルタ420を設置する場合には、
図6に示した「上部排出型」である第2オイルフィルタ420を適用することが好ましい。
【0173】
図4のA位置に第2オイルフィルタ420を設置する場合には、減圧装置600で減圧した流体は気液混合状態であるが(理論上は100%再液化も可能である)、体積比では気体成分の割合が高いため、
図6に示した「上部排出型」である第2オイルフィルタ420を適用することが好ましい。
【0174】
本発明のバイパスラインBLは、熱交換器100の上流の第1供給ラインL1から分岐して、熱交換器100を迂回(Bypass)した後、熱交換器100の下流の第2供給ラインL2に合流する。
【0175】
通常、熱交換器を迂回するバイパスラインは、熱交換器の内部に設置されて熱交換器と一体化している。バイパスラインが熱交換器の内部に設置される場合、熱交換器の上流及び/または下流に設置されたバルブを閉じると、熱交換器に流体が供給されないと同時にバイパスラインにも流体が供給されない。
【0176】
しかし、本発明はバイパスラインBLを熱交換器100の外部に熱交換器100とは別に設置し、熱交換器100の上流に設置される第1バルブ510及び/または熱交換器100の下流に設置される第2バルブ520を閉じてもバイパスラインBLには蒸発ガスが供給されるように、バイパスラインBLが第1バルブ510の上流の第1供給ラインL1から分岐し、第2バルブ520の下流の第2供給ラインL2に合流するように構成した。
【0177】
バイパスラインBL上にはバイパスバルブ590を設置し、バイパスバルブ590は平常時には閉じて、バイパスラインBLの使用が必要であれば開く。
【0178】
基本的に熱交換器100の故障時や維持補修が必要となった場合など、熱交換器100を使用することができない場合にバイパスラインBLを利用することになる。例えば、本実施形態の蒸発ガス再液化システムが圧縮機200で圧縮した蒸発ガスの一部または全部を高圧エンジンに送る場合、熱交換器100を使用できないときには、高圧エンジンで使用されずに余った余剰蒸発ガスの再液化を放棄し、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスをバイパスラインBLに沿って熱交換器100を迂回させて圧縮機200に直接供給した後、圧縮機200で圧縮した蒸発ガスを高圧エンジンに供給し、余剰蒸発ガスをGCUに送って燃焼させる。
【0179】
熱交換器100の維持補修のためにバイパスラインBLを使用する例として、熱交換器100の流路が凝縮または凝固した潤滑油によって詰まったとき、バイパスラインBLを使用して凝縮または凝固した潤滑油を除去することが挙げられる。
【0180】
また、船舶のバラスト状態など、余剰蒸発ガスが殆ど無く蒸発ガスを再液化する必要がない場合には、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスをすべてバイパスラインBLに送り、蒸発ガスが熱交換器100を迂回して圧縮機200に直接送るようにする。圧縮機200で圧縮された蒸発ガスは、高圧エンジンの燃料として使用される。余剰蒸発ガスが殆ど無く蒸発ガスを再液化する必要がないと判断した場合には、バイパスバルブ590を自動的に開放するように制御することができる。
【0181】
本発明の発明者らは、蒸発ガスを本発明に係る流路が狭い熱交換器を通過させてエンジンに供給する場合、熱交換器により蒸発ガスの圧力降下が多く発生することを発見した。再液化の必要性がない場合には、上述したように、熱交換器を迂回させて蒸発ガスを圧縮することで、エンジンに円滑な燃料供給ができる。
【0182】
また、蒸発ガスを再液化しない間に蒸発ガスの量が増加したため蒸発ガスを再液化する場合にもバイパスラインBLを使用することができる。
【0183】
蒸発ガスを再液化しない間に蒸発ガスの量が増加したため蒸発ガスを再液化する場合(すなわち、蒸発ガス再液化を始動または再起動する時)、貯蔵タンクTから排出されるすべての蒸発ガスをバイパスラインBLに送り、すべての蒸発ガスが熱交換器100を迂回して圧縮機200に直接供給され、圧縮機200で圧縮された蒸発ガスは熱交換器100の高温流路に供給される。このとき、圧縮機200で圧縮された蒸発ガスの一部を高圧エンジンに供給することもできる。
【0184】
上述した過程によって、蒸発ガス再液化を始動または再起動する場合、熱交換器100の高温流路の温度を上げると、以前の蒸発ガス再液化過程で熱交換器100、他の装置、配管などに残っている凝縮または凝固した潤滑油や他の残留物または不純物などを除去した後、蒸発ガス再液化を開始できるという利点がある。
【0185】
残留物には、以前の蒸発ガス再液化時に圧縮機200で圧縮した後に熱交換器に送られた蒸発ガスと、圧縮機200で圧縮した蒸発ガスに混入した潤滑油が含まれ得る。
【0186】
蒸発ガス再液化を始動または再起動する場合に、バイパスラインBLを利用して熱交換器100の高温流路の温度を高める過程なしで、直ちに貯蔵タンクTから排出された低温蒸発ガスを熱交換器100に供給すると、熱交換器100の高温流路に高温蒸発ガスが供給されていない状態で、貯蔵タンクTから排出された低温蒸発ガスが熱交換器100の低温流路に供給されるため、熱交換器100に残っていてまだ凝縮または凝固しなかった潤滑油も熱交換器100の温度が低下することで凝縮または凝固する虞がある。
【0187】
バイパスラインBLを利用して熱交換器100の高温流路の温度を上げる過程を継続し、ある程度の時間が経過すれば(凝縮または凝固した潤滑油や他の不純物がほぼ除去されたと判断した場合、当業者が経験によって継続時間を定めることができ、約1分〜30分、好ましくは約3分〜10分、より好ましくは約2分〜5分程度である。)、閉じていた第1バルブ510及び第2バルブ520を徐々に開いて、バイパスバルブ590を徐々に閉じながら蒸発ガス再液化を開始する。もっと時間が経過すれば、第1バルブ510及び第2バルブ520を完全に開き、バイパスバルブ590を完全に閉じて、貯蔵タンクTから排出されるすべての蒸発ガスを熱交換器100で蒸発ガスを再液化するための冷媒として使用する。
【0188】
また、バイパスラインBLを、貯蔵タンクT内の圧力が低い場合に圧縮機200の吸入圧力の条件を満たすために利用することができる。
【0189】
更に、貯蔵タンクTの内部の圧力を低い範囲まで制御しなければならない場合に、貯蔵タンクTの圧力を下げても圧縮機200の吸入圧力の条件を満たすようにバイパスラインBLを利用することができる。
【0190】
バイパスラインBLを利用して凝縮または凝固した潤滑油を除去する場合と、貯蔵タンクT内の圧力が低い場合に圧縮機200の吸入圧力の条件を満足させるためにバイパスラインBLを利用する場合について、以下により詳細に説明する。
【0191】
1.凝縮または凝固した潤滑油を除去するためにバイパスラインBLを利用する場合
圧縮機200の給油潤滑方式の圧縮シリンダーを通過した蒸発ガスには、所定の潤滑油が混入し、蒸発ガスに混入した潤滑油は熱交換器100で蒸発ガスよりも先に凝縮または凝固して熱交換器100の流路内に溜まる。時間の経過に伴って、熱交換器100の流路に溜まる凝縮または凝固した潤滑油の量は増えるため、所定時間が経過すれば熱交換器100内部で凝縮または凝固した潤滑油を除去する必要があることを本発明の発明者らは発見した。
【0192】
特に、本実施形態の熱交換器100は、再液化する蒸発ガスの圧力及び/または流量、再液化効率などを考慮して、PCHE(Printed Circuit Heat Exchanger、DCHEともいう。)であることが好ましい。しかし、PCHEは流路が狭く(マイクロチャネル型の流路)曲がっていて、凝縮または凝固した潤滑油によって流路が容易に塞がる虞があり、特に流路の曲がった部分に凝縮または凝固した潤滑油が多く溜まる。PCHE(DCHE)は、コベルコ(Kobelko)社、アルファ・ラバル(Alfalaval)社などの企業で生産する。
【0193】
凝縮または凝固した潤滑油を、下記のステップを経て除去することができる。
1)凝縮または凝固した潤滑油を除去するか否かを判断するステップ
2)バイパスバルブ590を開いて、第1バルブ510及び第2バルブ520を閉じるステップ
3)貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスがバイパスラインBLを経て圧縮機200で圧縮されるステップ
4)圧縮機200で圧縮された高温の蒸発ガスの一部または全部を熱交換器100に供給するステップ
5)熱交換器100を通過した蒸発ガスを気液分離器700に送るステップ
6)気液分離器700に溜まった潤滑油を排出するステップ
7)熱交換器100が正常化したことを確認するステップ
【0194】
1)凝縮または凝固した潤滑油を除去するか否かを判断するステップ
熱交換器100の流路が凝縮または凝固した潤滑油によって塞がると、熱交換器100の冷却効率が低下する。このため、熱交換器100の性能が正常時に比べて一定値以下になれば熱交換器100内部に凝縮または凝固した潤滑油がある程度以上溜まったと推定することができる。例えば、熱交換器100の性能が正常時の約50〜90%以下、好ましくは約60〜80%以下、更に好ましくは約70%以下になると、熱交換器100内部で凝縮または凝固した潤滑油を除去する必要があると判断することができる。
【0195】
正常時の「約50〜90%以下」は、約50%以下、約60%以下、約70%以下、約80%以下及び約90%以下の全てを含む意味であり、正常時の「約60〜80%以下」は約60%以下、約70%以下及び約80%以下の全てを含む意味である。
【0196】
熱交換器100の性能が低下すると、熱交換器100に供給される低温蒸発ガスの第1供給ラインL1と熱交換器100から排出される低温蒸発ガスの第4供給ラインL4の温度差が増加し、熱交換器100から排出される高温蒸発ガスの第2供給ラインL2と熱交換器100に供給される高温蒸発ガスの第3供給ラインL3の温度差も増加することになる。また、熱交換器100の流路が凝縮または凝固した潤滑油によって塞がると、熱交換器100の流路が狭くなるため、熱交換器100の上流の第3供給ラインL3と下流の第4供給ラインL4との圧力差が増加することになる。
【0197】
したがって、熱交換器100に供給されるまたは熱交換器100から排出される低温流体の温度差を第1温度センサ810、第4温度センサ840により、熱交換器100に供給されるまたは熱交換器100から排出される高温流体の温度差を、第2温度センサ820、第3温度センサ830により、熱交換器100の高温流路にかかる圧力差を第1圧力センサ910、第2圧力センサ920によって測定することで、凝縮または凝固した潤滑油を除去する必要があるか否かを判断することができる。
【0198】
具体的には、第1温度センサ810が測定した貯蔵タンクTから排出されて熱交換器100に供給される蒸発ガスの温度と、第4温度センサ840が測定した圧縮機200で圧縮した後に熱交換器100で冷却された蒸発ガス温度との差(絶対値を意味する。以下、「低温流れの温度差」という。)が正常時よりも高い数値を示して、その状態を所定時間以上維持する場合には、熱交換器100の作動状態が正常でないと判断することができる。
【0199】
例えば、「低温流れの温度差」が、20〜50℃以上、好ましくは30〜40℃以上、より好ましくは約35℃以上の状態を1時間以上維持する場合には、凝縮または凝固した潤滑油の排出時点であると判断することができる。
【0200】
熱交換器100の作動が正常である場合、圧縮機200によって約300barに圧縮された蒸発ガスは約40〜45℃の温度になり、貯蔵タンクTから排出された約−160〜−140℃の温度の蒸発ガスは熱交換器100に供給される間に多少温度が上昇して−150〜−110℃程度、好ましくは約−120℃になる。
【0201】
本実施形態の蒸発ガス再液化システムが気液分離器700を備えて、気液分離器700で分離した気体状態の蒸発ガスを貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスと合流させて、熱交換器100に供給する場合には、貯蔵タンクTから排出される蒸発ガスのみを熱交換器100に供給する場合に比べて、熱交換器100に供給される蒸発ガスの温度がより低くなり、気液分離器700で分離した気体状態の蒸発ガスの量が多ければ多いほど、熱交換器100に供給される蒸発ガスの温度を更に低くすることができる。
【0202】
第3供給ラインL3に沿って熱交換器100に供給される約40〜45℃の温度の蒸発ガスは、熱交換器100で冷却されて約−130〜−110℃になり、正常時には「低温流れの温度差」が、好ましくは約2〜3℃になる。
【0203】
また、第2温度センサ820が測定した貯蔵タンクTから排出された後に熱交換器100の冷媒として使用された蒸発ガスの温度と、第3温度センサ830が測定した圧縮機200で圧縮された後に熱交換器100に供給される蒸発ガスの温度との差(絶対値を意味する。以下、「高温流れの温度差」という。)が正常時よりも高い数値を示して、その状態を所定時間以上維持する場合には、熱交換器100の作動状態が正常でないと判断することができる。
【0204】
例えば、「高温流れの温度差」が、20〜50℃以上、好ましくは30〜40℃以上、より好ましくは約35℃以上の状態を1時間以上維持する場合には、凝縮または凝固した潤滑油の排出時点であると判断することができる。
【0205】
熱交換器100の作動が正常である場合、貯蔵タンクTから排出された後で熱交換器100に供給される間に多少温度が上昇して約−150〜−110℃(好ましくは約−120℃)の温度になった蒸発ガスは、熱交換器100の冷媒として使用された後、船舶の速度に応じて約−80〜40℃の温度になる。熱交換器100の冷媒として使用された約−80〜40℃の蒸発ガスは、圧縮機200で圧縮されて約40〜45℃の温度になる。
【0206】
また、第1圧力センサ910が測定した圧縮機200で圧縮された後で熱交換器100に供給される蒸発ガスの圧力と、第2圧力センサ920が測定した熱交換器100で冷却された蒸発ガスの圧力との差(以下、「高温流路の圧力差」という。)が正常時よりも高い数値を示して、その状態を所定時間以上維持する場合には、熱交換器100の作動状態が正常でないと判断することができる。
【0207】
貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスには、オイル成分が混在しないまたは非常に微量であり、蒸発ガスに潤滑油が混入する時点は蒸発ガスが圧縮機200で圧縮されるときである。このため、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスを冷媒として使用した後で圧縮機200に送る熱交換器100の低温流路には、凝縮または凝固した潤滑油は殆ど溜まらず、圧縮機200で圧縮された蒸発ガスを冷却した後で減圧装置600に送る熱交換器100の高温流路に、凝縮または凝固した潤滑油が溜まることになる。
【0208】
したがって、凝縮または凝固した潤滑油により流路が塞がって熱交換器100の上流と下流との圧力差が大きくなる現象が高温流路で急速に進むため、熱交換器100の高温流路にかかる圧力を測定して、凝縮または凝固した潤滑油を除去する必要があるか否かを判断する。
【0209】
凝縮または凝固した潤滑油を除去する必要があるか否かを熱交換器100の上流と下流との圧力差によって判断することは、特に本実施形態の熱交換器100を流路が狭く曲がった形状のPCHEに適用できるという点を考慮すると、有用に利用可能である。
【0210】
例えば、「高温流路の圧力差」が、正常時よりも2倍以上になって、その状態を1時間以上維持する場合には、凝縮または凝固した潤滑油の排出時点であると判断することができる。
【0211】
熱交換器100の作動が正常である場合は、圧縮機200で圧縮された蒸発ガスは熱交換器100を通過して冷却されても圧力は大きく低下せず、約0.5〜2.5bar、好ましくは約0.7〜1.5bar、より好ましくは約1bar程度の圧力降下が発生する。「高温流路の圧力差」が、一定の圧力以上、例えば、1〜5bar以上、好ましくは1.5〜3bar以上、更に好ましくは約2bar(200kPa)以上の状態を1時間以上維持する場合には、凝縮または凝固した潤滑油の排出時点であると判断することができる。
【0212】
上述したように、「低温流れの温度差」、「高温流れの温度差」及び「高温流路の圧力差」のうち1つ以上の数値を指標として、凝縮または凝固した潤滑油を除去する必要があるか否かを判断することが可能であるが、信頼性を高めるために「低温流れの温度差」、「高温流れの温度差」及び「高温流路の圧力差」のうち2つ以上の数値を指標として凝縮または凝固した潤滑油を除去する必要があるか否かを判断することが好ましい。
【0213】
例えば、「低温流れの温度差」と「高温流れの温度差」のうち、より小さい値が35℃以上の状態を1時間以上維持し、「高温流路の圧力差」が正常時の2倍以上若しくは200kPa以上の状態を1時間以上維持する場合には、凝縮または凝固した潤滑油の除去時点であると判断することができる。
【0214】
第1温度センサ810、第2温度センサ820、第3温度センサ830、第4温度センサ840、第1圧力センサ910及び第2圧力センサ920は、熱交換器100が潤滑油によって塞がっているか否かを検知する検知手段の1つであるとみなすことができる。
【0215】
また、本発明の蒸発ガス再液化システムは、第1温度センサ810、第2温度センサ820、第3温度センサ830、第4温度センサ840、第1圧力センサ910及び第2圧力センサ920の1つ以上によって検知された値に基づいて、熱交換器100が潤滑油で塞がっているか否かを判断する制御装置(図示せず)を更に備えてもよい。制御装置は、熱交換器100が潤滑油によって塞がっているか否かを判断する判断手段の1つであるとみなすことができる。
【0216】
2)バイパスバルブ590を開いて、第1バルブ510及び第2バルブ520を閉じるステップ
第1)ステップで凝縮または凝固した潤滑油を除去する必要があるか否かを判断して、熱交換器100内部で凝縮または凝固した潤滑油を除去することを決定すれば、バイパスラインBL上に設置されたバイパスバルブ590を開いて、第1供給ラインL1上に設置された第1バルブ510と第2供給ラインL2上に設置された第2バルブ520を閉じる。
【0217】
バイパスバルブ590を開いて、第1バルブ510及び第2バルブ520を閉じると、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスはバイパスラインBLを経て圧縮機200に送られ、それ以上熱交換器100に供給されない。したがって、熱交換器100には冷媒が供給されなくなる。
【0218】
3)貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスがバイパスラインBLを経て圧縮機200で圧縮されるステップ
貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスは、バイパスラインBLを介して熱交換器100を迂回した後、圧縮機200に送られる。圧縮機200に送られた蒸発ガスは、圧縮機200で圧縮されて圧力とともに温度も上昇し、圧縮機200で約300barに圧縮された蒸発ガスの温度は約40〜45℃になる。
【0219】
4)圧縮機200で圧縮された高温の蒸発ガスの一部または全部を熱交換器100に送るステップ
圧縮機200で圧縮されて温度が上昇した蒸発ガスを熱交換器100に供給し続けると、熱交換器100の冷媒として使用される貯蔵タンクTから排出された低温の蒸発ガスは熱交換器100に供給されず、高温の蒸発ガスのみが継続的に熱交換器100に供給されるため、圧縮機200で圧縮された蒸発ガスが通過する熱交換器100の高温流路の温度は徐々に上昇する。
【0220】
熱交換器100の高温流路の温度が、潤滑油の凝縮温度または凝固温度以上になると、熱交換器100内部に溜まっていた凝縮または凝固した潤滑油が徐々に融解または粘度が低下し、融解または粘度が低下した潤滑油は蒸発ガスと混在して熱交換器100から排出される。
【0221】
バイパスラインBLを利用して凝縮または凝固した潤滑油を除去する場合、熱交換器100が正常化するまで、蒸発ガスがバイパスラインBL、圧縮機200、熱交換器100の高温流路、減圧装置600及び気液分離器700を循環する。
【0222】
また、バイパスラインBLを利用して凝縮または凝固した潤滑油を除去する場合、貯蔵タンクTから排出されてバイパスラインBL、圧縮機200、熱交換器100の高温流路及び減圧装置600を通過した蒸発ガスを、融解または粘度が低下した潤滑油が蒸発ガスに混入した状態で、貯蔵タンクTと別に設置されるタンクや他の回収装置に送ることもできる。貯蔵タンクTと別に設置されるタンクや他の回収装置の内部の蒸発ガスを、再びバイパスラインBLに送り、凝縮または凝固した潤滑油の除去過程を続けることもできる。
【0223】
融解または粘度が低下した潤滑油が蒸発ガスに混入した流体を貯蔵タンクTと別に設置されるタンクや他の回収装置に送る場合、減圧装置600の下流に気液分離器700を設置しても、気液分離器700は既存の蒸発ガス再液化システムと同じ役割をすることになり、気液分離器700内に融解または粘度が低下した潤滑油が溜まらないため(融解または粘度が低下した潤滑油は、貯蔵タンクTと別に設置されてタンクや他の回収装置に溜まるから)、潤滑油を排出するために改良された気液分離器700を備えなくても済むため、費用を低減することができる。
【0224】
5)熱交換器100を通過した蒸発ガスを気液分離器700に送るステップ
熱交換器100の高温流路の温度が上昇することで、熱交換器100内部に溜まっていた凝縮または凝固した潤滑油は融解または粘度が低下して、蒸発ガスに混入して気液分離器700に送られる。バイパスラインBLを利用して熱交換器100内部で凝縮または凝固した潤滑油を除去する過程では、蒸発ガスの再液化が行われないため、気液分離器700には再液化された液化ガスは溜まらず、気体状態の蒸発ガスと融解または粘度が低下した潤滑油が溜まることになる。
【0225】
気液分離器700に溜まった気体状態の蒸発ガスは、第6供給ラインL6に沿って気液分離器700から排出され、更にバイパスラインBLに沿って圧縮機200に送られる。第2)ステップで第1バルブ510を閉じたため、気液分離器700で分離された気体状態の蒸発ガスは、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスと合流されてバイパスラインBLに沿って圧縮機200に供給され、熱交換器100の低温流路には供給されない。
【0226】
したがって、第1バルブ510を閉じた状態で、気液分離器700で分離された気体状態の蒸発ガスをバイパスラインBLに供給することで、潤滑油が混入した蒸発ガスが熱交換器100の低温流路に供給されることを防止し、熱交換器100の低温流路が塞がることを防止できるという長所がある。
【0227】
気液分離器700に溜まった気体状態の蒸発ガスは、第6供給ラインL6に沿って気液分離器700から排出され、更にバイパスラインBLに沿って圧縮機200に送られる循環過程は、熱交換器期100の高温流路の温度が圧縮機200で圧縮された後で熱交換器100の高温流路に送られる蒸発ガスの温度だけ上昇したと判断するまで続けられる。ただし、経験で十分な時間が経過したと判断するまで循環過程を続けてもよい。
【0228】
バイパスラインBLを利用して熱交換器100内部で凝縮または凝固した潤滑油を除去する間は、第8バルブ581を閉じて気液分離器700に溜まった潤滑油が第5供給ラインL5に沿って貯蔵タンクTに流入しないようにする。貯蔵タンクTに潤滑油が流入することで、貯蔵タンクTに貯蔵した液化ガスの純度が低くなり、液化ガスの価値が低下する虞がある。
【0229】
6)気液分離器700に溜まった潤滑油を排出するステップ
熱交換器100から排出された融解または粘度が低下した潤滑油は、気液分離器700内に溜まるが、気液分離器700内に溜まった潤滑油を処理するために、本実施形態では、従来使用されていた気液分離器700を改良した気液分離器700を使用することができる。
【0230】
図10は、本発明の一実施形態の熱交換器と気液分離器の拡大図である。説明の便宜上、一部の装置は図示を省略した。
【0231】
図10を参照して、気液分離器700には、気液分離器700で分離した液化ガスを貯蔵タンクTに送る第5供給ラインL5に加えて、気液分離器700に溜まった潤滑油を排出する潤滑油排出ラインOLが更に設置される。気液分離器700の下部に溜まった潤滑油を効果的に排出させるため、潤滑油排出ラインOLを気液分離器700の下端部に連結し、第5供給ラインL5の端部を潤滑油排出ラインOLが連結された気液分離器700の下端部よりも気液分離器700内で高く位置させる。第5供給ラインL5が潤滑油によって塞がらないように、気液分離器700内に溜まった潤滑油が最大量になったときの潤滑油の水位よりも第5供給ラインL5の端部を高く位置させることが好ましい。
【0232】
潤滑油排出ラインOL上には、流体の流量と開閉を調節する第3バルブ530が設置され、複数の第3バルブ530を設置してもよい。
【0233】
気液分離器700に溜まった潤滑油は、自然に排出されず、または排出に時間がかかるため、窒素パージを介して気液分離器700内の潤滑油を排出することができる。約5〜7barの窒素を気液分離器700に供給すれば、気液分離器700内の圧力が高くなるため、潤滑油の排出が速くなる。
【0234】
窒素パージによって気液分離器700内の潤滑油を排出するために、熱交換器100の上流の第3供給ラインL3に合流するように、窒素供給ラインNLが設置される。必要に応じて複数の窒素供給ラインを異なるところに設置してもよい。
【0235】
窒素供給ラインNL上に流体の流量と開閉を調節する窒素バルブ583が設置され、窒素供給ラインNLを使用しない平常時には窒素バルブ583を閉じた状態に維持し、窒素パージのため気液分離器700に窒素を供給する場合などの窒素ラインNLを使用する必要が生じた場合には窒素バルブ583を開く。必要に応じて複数の窒素バルブ583を設置してもよい。気液分離器700に窒素を直接注入して窒素パージを実施することもできるが、他の用途に使用するための窒素供給ラインが既に設置されている場合は、既に設置されている窒素供給ラインを利用して気液分離器700内の潤滑油を排出させてもよい。
【0236】
貯蔵タンクTから排出された蒸発ガス全部をバイパスラインBLに送って圧縮機200で圧縮し、圧縮機200で圧縮された蒸発ガスを熱交換器100の高温流路に送り、熱交換器100の高温流路を通過した後に減圧装置600で減圧された蒸発ガスを気液分離器700に送り、気液分離器700から排出された蒸発ガスを更にバイパスラインBLに送る過程を継続させて、熱交換器100内部で凝縮または凝固した潤滑油の殆どが気液分離器700に溜まったと判断(すなわち、熱交換器100が正常化したと判断)したら、圧縮機200で圧縮された蒸発ガスの熱交換器100への供給を停止し、窒素バルブ583を開いて窒素パージを実施する。
【0237】
7)熱交換器100が正常化したことを確認するステップ
熱交換器100内部で凝縮または凝固した潤滑油が排出されて熱交換器100が再び正常化したと判断し、気液分離器700内の潤滑油を排出する過程がすべて終了すると、第1バルブ510と第2バルブ520を開き、バイパスバルブ590を閉じた後、蒸発ガス再液化システムを正常稼動させる。蒸発ガス再液化システムが正常稼動すると、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスは熱交換器100の冷媒として使用され、熱交換器100の冷媒として使用された蒸発ガスは、圧縮機200による圧縮過程、熱交換器100による冷却過程及び減圧装置600による減圧過程を経て、一部または全部が再液化される。
【0238】
熱交換器100が再び正常化したという判断は、凝縮または凝固した潤滑油を除去するか否かを検知する場合と同様に、「低温流れの温度差」、「高温流れの温度差」及び「高温流路の圧力差」のうち1つ以上の数値を指標として使用することができる。
【0239】
上述した過程によって、熱交換器100内部で凝縮または凝固した潤滑油だけでなく、配管、バルブ、計測器及び各種機器に溜まった凝縮または凝固した潤滑油も除去することができる。
【0240】
本発明では、熱交換器100内部で凝縮または凝固した潤滑油をバイパスラインBLを利用して熱交換器100から除去する上述のステップを経る間、高圧エンジン及び/または低圧エンジン(以下、「エンジン」という。)を駆動することができる。燃料供給システムまたは再液化システムに設けられた装置の一部を整備する際には、エンジンに燃料を供給することができないか、または余剰蒸発ガスを再液化することができないため、通常はエンジンを駆動しない。
【0241】
しかし、本発明は、熱交換器100内部で凝縮または凝固した潤滑油を除去しながらエンジンを駆動することができ、エンジンの運転を続けながら熱交換器100を整備することができるため、熱交換器100の整備中にも船舶を推進させて発電を行うことができ、エンジンで使用されずに余った余剰蒸発ガスを利用して、凝縮または凝固した潤滑油を除去することができるという長所がある。
【0242】
更に、熱交換器100内部で凝縮または凝固した潤滑油を除去しながらエンジンを駆動させるため、圧縮機200で圧縮される際に蒸発ガスに混入した潤滑油をエンジンで燃料として使用できるという長所がある。すなわち、エンジンは船舶の推進または発電という本来の用途だけでなく、蒸発ガスに混入した潤滑油を除去する役割も同時に担う。
【0243】
一方、凝縮または凝固した潤滑油を除去する必要があるか否かをアラームで知らせる過程は、(i)アラーム活性化ステップ及び/または(ii)アラーム発生ステップを含む。
【0244】
図7は、本発明の第4実施形態の蒸発ガス再液化システムの概略図である。
図8は、本発明の一実施形態の減圧装置の拡大図である。
図9は、本発明の他の実施形態の減圧装置の拡大図である。
【0245】
図7に示すように、本発明の圧縮機200、210は、2機が並列に設置される。2つの圧縮機200、210が同一仕様である場合、一方が故障した場合に他方はリダンダンシー(Redundancy)の役割を果たすことができる。説明の便宜上、他装置の図示は省略した。
【0246】
図7を参照して、圧縮機200、210の2機が並列に設置される場合、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスを第7供給ラインL22に沿って第2圧縮機210に送り、第2圧縮機210で圧縮された蒸発ガスの一部を燃料供給ラインSLに沿って高圧エンジンに供給し、余剰蒸発ガスは第8の供給ラインL33に沿って熱交換器100に送られ再液化過程を経る。第8供給ラインL33上には、流体の流量と開閉を調節する第10バルブ571が設置される。
【0247】
また、
図8に示すように、2つの減圧装置600、610を並列に設置する以外にも、
図9に示すように、直列に設置された2つの減圧装置600、600(610、610)を1組として、夫々を並列に設置することもできる。
【0248】
図8を参照して、並列に設置した2つの減圧装置600、610は、一方が故障した場合には、他方がリダンダンシー(Redundancy)の役割を果たすことができ、並列に設置された2つの減圧装置600、610の夫々の上流と下流には、隔離(Isolation)バルブ620が設置される。
【0249】
図9を参照して、2つの減圧装置600、600(610、610)を直列に連結させ、2つが直列に連結された減圧装置の2組を並列に設置した。製造会社によっては、減圧安定性のために2つの減圧装置600、600(610、610)を直列に連結させる場合がある。並列に設置した2組の減圧装置600、600(610、610)の一方の組が故障した場合には、他方の組がリダンダンシー(Redundancy)の役割を果たす。
【0250】
並列に設置された2組の減圧装置600、600(610、610)の夫々の上流と下流には、隔離(Isolation)バルブ620が設置される。
図8及び
図9に図示した隔離バルブ620は、減圧装置600、610の故障時や減圧装置600、610の維持補修が必要な場合などに、減圧装置600、610を隔離(Isolation)するために使用される。
【0251】
(i)アラーム活性化ステップ
発明の蒸発ガス再液化システムが、
図2に示すように1つの圧縮機200と1つの減圧装置600とを備える場合、減圧装置600の開度が設定値以上であり、第7バルブ570が開いた状態であり、第2バルブ520が開いた状態であり、気液分離器700内の液化ガスの水位が正常である場合に、アラームが活性化する。
【0252】
本発明の蒸発ガス再液化システムが、
図2に示すように1つの圧縮機200を備え、
図8に示すように並列に設置された2つの減圧装置600、610を備える場合、第1減圧装置600または第2減圧装置610の開度が設定値以上であり、第7バルブ570が開いた状態であり、第2バルブ520が開いた状態であり、気液分離器700内の液化ガスの水位が正常である場合に(「第1アラーム活性化条件」という。)にアラームが活性化する。
【0253】
本発明の蒸発ガス再液化システムが、
図2に示すように1つの圧縮機200を備え、
図9に示すように並列に設置された2組の減圧装置600、600(610、610)を備える場合、直列に設置された2つの第1減圧装置600、600の一方、または直列に設置された2つの第2減圧装置610、610の一方の開度が設定値以上であり、第7バルブ570が開いた状態であり、第2バルブ520が開いた状態であり、気液分離器700内の液化ガスの水位が正常である場合(「第2アラーム活性化条件」という。)にアラームが活性化する。
【0254】
本発明の蒸発ガス再液化システムが、
図7に示すように、並列に設置された2つの圧縮機200、210を備え、
図2に示すように1つの減圧装置600を備える場合、減圧装置600の開度が設定値以上であり、第7バルブ570または第10バルブ571が開いた状態であり、第2バルブ520が開いた状態であり、気液分離器700内の液化ガスの水位が正常である場合(「第3アラーム活性化条件」という。)にアラームが活性化する。
【0255】
本発明の蒸発ガス再液化システムが、
図7に示すように並列に設置された2つの圧縮機200、210を備え、
図8に示すように並列に設置された2つの減圧装置600、610を備える場合、第1減圧装置600または第2減圧装置610の開度が設定値以上であり、第7バルブ570または第10バルブ571が開いた状態であり、第2バルブ520が開いた状態であり、気液分離器700内の液化ガスの水位が正常である場合(「第4アラーム活性化条件」という。)にアラームが活性化する。
【0256】
本発明の蒸発ガス再液化システムが、
図7に示すように、並列に設置された2つの圧縮機200、210を備え、
図9に示すように並列に設置された2組の減圧装置600、600(610、610)を備える場合、直列に設置された2つの第1減圧装置600、600の一方、または直列に設置された2つの第2減圧装置610、610の一方の開度が設定値以上であり、第7バルブ570または第10バルブ571が開いた状態であり、第2バルブ520が開いた状態であり、気液分離器700内の液化ガスの水位が正常である場合(「第5アラーム活性化条件」という。)にアラームが活性化する。
【0257】
上述した「第1〜第5アラーム活性化条件」において、第1減圧装置600または第2減圧装置610の開度の設定値は2%であり得る。気液分離器700内の液化ガスの水位が正常である場合というのは、気液分離器700内に再液化した液化ガスが確認でき再液化過程が正常に行われていると判断できる場合を意味する。
【0258】
(ii)アラーム発生ステップ
「低温流れの温度差」が設定値以上の状態を所定時間以上維持する条件、「高温流れの温度差」が設定値以上の状態を所定時間以上維持する条件及び「高温流路の圧力差」が設定値以上の状態を所定時間以上維持する条件のいずれかに該当する場合、アラームが鳴って凝縮または凝固した潤滑油を除去する時点を知らせるように構成することができる。
【0259】
また、信頼性を高めるために「低温流れの温度差」が設定値以上の状態を所定時間以上維持する条件、「高温流れの温度差」が設定値以上の状態を所定時間以上維持する条件及び「高温流路の圧力差」が設定値以上の状態を所定時間以上維持する条件のうち2つ以上に該当する場合に、アラームが鳴って凝縮または凝固した潤滑油を除去する時点を知らせるように構成することもできる。
【0260】
また、「低温流れの温度差」と「高温流れの温度差」の中で、より小さい値が設定値以上の状態を所定時間以上維持するか(or条件)、または「高温流路の圧力差」が設定値以上の状態を所定時間以上維持する場合に、アラームが鳴って凝縮または凝固した潤滑油を除去する時点を知らせるように構成することもできる。
【0261】
本発明において、熱交換器の作動異常、アラーム発生などは、適切な制御手段によって判断することができる。熱交換器の作動異常、アラーム発生などを判断する制御手段は、本発明の蒸発ガス再液化システムで既に使用されている制御手段、好ましくは、本発明の蒸発ガス再液化システムを適用した船舶または海洋構造物で既に使用されている制御手段を利用することができ、熱交換器の作動異常、アラーム発生などを判断するために別に設置した制御手段を使用することできる。
【0262】
また、バイパスラインの利用、潤滑油の排出量、エンジンの燃料供給、蒸発ガス再液化システムの始動または再起動、そのための様々なバルブの開閉などは、制御手段によって自動または手動で制御することができる。
【0263】
2.貯蔵タンクT内の圧力が低い時に圧縮機200の吸入圧力条件を満たすためにバイパスラインBLを利用する場合
貯蔵タンクT内の液化ガスの量が少ないため生成する蒸発ガスの量も少ない場合、船舶の速度が速いため船舶の推進用エンジンに供給される蒸発ガスの量が多い場合など、貯蔵タンクTの内部圧力が低い場合には、圧縮機200が要求する吸引圧力条件を満たさない場合がある。
【0264】
特に、熱交換器100にPCHE(DCHE)を適用した場合、PCHEは流路が狭いため、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスがPCHEを通過すると圧力が大幅に降下する。
【0265】
従来は、圧縮機200が要求する吸入圧力条件を満たさない場合、再循環バルブ541、542、543、544を開いて、再循環ラインRc1、Rc2、Rc3、Rc4により蒸発ガスの一部または全部を再循環させて圧縮機200を保護していた。
【0266】
しかし、蒸発ガスを再循環させる方式で圧縮機200の吸入圧力条件を満たすようにする場合、最終的には圧縮機200で圧縮した蒸発ガスの量が減る結果となり、再液化性能が低下し、エンジンが要求する燃料消費量を満たさない虞がある。特に、エンジンが要求する燃料消費量を満たさない場合、船舶運航に大きな支障が生じるため、貯蔵タンクTの内部圧力が低い場合でも、圧縮機200が要求する吸入圧力条件を満たしながら、エンジンが要求する燃料消費量を満たす方法が早急に求められた。
【0267】
本発明は、別の付加的装置を設置しなくても、熱交換器100の維持補修のために既に設置されたバイパスラインBLを利用し、貯蔵タンクTの内部圧力が低い場合でも圧縮機100で圧縮した蒸発ガスの量を減少させずに、圧縮機200が要求する吸入圧力条件を満たすことができる。
【0268】
本発明は、貯蔵タンクTの内部圧力が一定値以下になると、バイパスバルブ590を開いて貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスの一部または全部を、バイパスラインBLを介して熱交換器100を迂回させて圧縮機200に直接送る。
【0269】
圧縮機200が要求する吸入圧力条件に比べて貯蔵タンクTの圧力がどれほど不足するかに応じて、バイパスラインBLに送られる蒸発ガスの量を調節することができる。すなわち、バイパスバルブ590を開いて、第1バルブ510及び第2バルブ520を閉じて、貯蔵タンクTから排出される蒸発ガスをすべてバイパスラインBLに送ることも、バイパスバルブ590、第1バルブ510と第2バルブ520の両方を一部だけ開いて、貯蔵タンクTから排出される蒸発ガスの一部をバイパスラインBLに送り、残りを熱交換器100に送ることもできる。バイパスラインBLを介して熱交換器100を迂回する蒸発ガスの量が増加するほど、蒸発ガスの圧力降下は小さくなる。
【0270】
貯蔵タンクTから排出される蒸発ガスを熱交換器100から迂回させて圧縮機200に直接送れば圧力降下を最小限に抑えることができるという利点がある。一方、蒸発ガスの冷熱を蒸発ガス再液化に使用することができなくなるため、貯蔵タンクTの内部圧力、エンジンが要求する燃料消費量、再液化する蒸発ガスの量などを考慮して、圧力降下を減らすためにバイパスラインBLを使用するか否か及び貯蔵タンクTから排出される蒸発ガスのどれだけの量をバイパスラインBLに送るかを決定することになる。
【0271】
例えば、貯蔵タンクTの内部の圧力が所定値以下であり、船舶が所定速度以上で運航している場合には、バイパスラインBLを使用して圧力降下を抑えることが有利であると判断することができる。具体的には、貯蔵タンクTの内部の圧力が1.09bar以下であり、船舶の速度が17knot以上の時、バイパスラインBLを使用して圧力降下を抑えることが有利であると判断することができる。
【0272】
また、貯蔵タンクTから排出されるすべての蒸発ガスをバイパスラインBLに沿って圧縮機200に送っても圧縮機200が要求する吸入圧力の条件を満たさない場合、再循環ラインRc1、Rc2、Rc3、Rc4を使用して吸引圧力条件を満たすようにする。
【0273】
すなわち、貯蔵タンクTの圧力が低下して圧縮機200が要求する吸入圧力条件を満たすことができなくなると、従来は直ちに再循環ラインRc1、Rc2、Rc3、Rc4を使用して圧縮機200を保護したのに対して、本発明は、1次的にバイパスラインBLを利用して圧縮機200の吸入圧力条件を満たし、貯蔵タンクTから排出されるすべての蒸発ガスをバイパスラインBLに沿って圧縮機200に送っても圧縮機200が要求する吸入圧力条件を満たさないときに、2次的に再循環ラインRc1、Rc2、Rc3、Rc4を使用する。
【0274】
1次的にバイパスラインBLを活用した後、2次的に再循環ラインRc1、Rc2、Rc3、Rc4を介して圧縮機200の吸入圧力条件を満たすために、再循環バルブ541、542、543、544の開放条件の圧力値よりバイパスバルブ590の開放条件の圧力値を高く設定する。
【0275】
再循環バルブ541、542、543、544の開放条件とバイパスバルブ590の開放条件は、圧縮機200の上流の圧力を因子として用いることが好ましいが、貯蔵タンクTの内部の圧力を因子として用いることもできる。
【0276】
圧縮機200の上流の圧力は、圧縮機200の上流に設置される第3圧力センサ(図示せず)によって測定することができ、貯蔵タンクTの内部の圧力は、第4圧力センサ(図示せず)によって測定することができる。
【0277】
一方、気液分離器700で分離した気体状態の蒸発ガスを排出する第6供給ラインL6が、バイパスラインBLが第1供給ラインL1から分岐する地点の下流の第1供給ラインL1に合流する場合には、圧力降下をある程度防止しながら貯蔵タンクTから排出される蒸発ガスの一部を熱交換器100の冷媒として使用するために、バイパスバルブ590、第1バルブ510及び第2バルブ520の全てを開いた状態でシステムを運用すれば、気液分離器700で分離した気体状態の蒸発ガスをバイパスラインBLに直接送ることができる。
【0278】
気液分離器700で分離した気体状態の蒸発ガスの温度は、貯蔵タンクTから排出されて熱交換器100に供給される蒸発ガスの温度よりも低く、気液分離器700で分離した気体状態の蒸発ガスがバイパスラインBLに直接送られる場合、熱交換器100の冷却効率が低下することがあるため、気液分離器700で分離した気体状態の蒸発ガスの少なくとも一部を熱交換器100に供給することが好ましい。
【0279】
ただし、貯蔵タンクTで発生する蒸発ガス量が、エンジンが燃料として要求する蒸発ガスの量より少ない場合には、蒸発ガスを再液化する必要がなくなる。蒸発ガスを再液化する必要がない場合には、熱交換器100に冷媒を供給する必要がないため、気液分離器700で分離した気体状態の蒸発ガスをすべてバイパスラインBLに送ることができる。
【0280】
したがって、本発明では、第6供給ラインL6を、バイパスラインBLが第1供給ラインL1から分岐する地点の上流の第1供給ラインL1に合流させる。第6供給ラインL6をバイパスラインBLの分岐点の上流の第1供給ラインL1に合流させると、貯蔵タンクTから排出された蒸発ガスと気液分離器700で分離した気体状態の蒸発ガスとがバイパスラインBLの分岐点の上流で先に合流した後、バイパスバルブ590と第1バルブ510の開度に応じてバイパスラインBLと熱交換器100に夫々送る蒸発ガスの流量を決定するため、システムの制御が容易であり、気液分離器700で分離した気体状態の蒸発ガスが直接バイパスラインBLに送られることを防止できる。
【0281】
バイパスバルブ590は、貯蔵タンクTの圧力変化に応じて迅速な開度調節ができるように、通常の場合よりも速い反応速度のバルブであることが好ましい。
【0282】
図3は、本発明の第3実施形態の蒸発ガス再液化システムの概略図である。
【0283】
図3に示した第3実施形態の蒸発ガス再液化システムは、
図2に示した第1実施形態の蒸発ガス再液化システムに比べて、第1圧力センサ910及び第2圧力センサ920の代わりに差圧センサ930を設置する点で相違点があり、以下において前記相違点を中心に説明する。前述した第1実施形態の蒸発ガス再液化システムと同じ部材については、詳細な説明を省略する。
【0284】
本実施形態の蒸発ガス再液化システムは、第1実施形態と異なり、第1圧力センサ910及び第2圧力センサ920の代わりに、熱交換器100の上流の第3供給ラインL3の圧力と熱交換器100の下流の第4供給ラインL4の圧力との圧力差を測定する差圧センサ930を備える。
【0285】
差圧センサ930によって「高温流路の圧力差」を検知することができ、第1実施形態と同様に、「高温流路の圧力差」、「低温流れの温度差」及び「高温流れの温度差」のうち1つ以上の数値を指標として使用して、凝縮または凝固した潤滑油を除去するか否かを判断することができる。
【0286】
本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の技術的要旨を逸脱しない範囲内で様々な修正または変形が可能であることは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者において自明である。
【課題】蒸発ガスを圧縮機で圧縮し、圧縮した蒸発ガスを圧縮する前の蒸発ガスと熱交換器で熱交換して冷却し、熱交換して冷却された流体を減圧装置で減圧し、蒸発ガスを再液化するシステム内の潤滑油排出方法を提供する。
【解決手段】圧縮機200は給油式圧縮シリンダーを少なくとも1つ以上備え、蒸発ガスをバイパスラインBLを介して熱交換器100をバイパスさせた後に前記圧縮機で圧縮し、前記圧縮機で圧縮した蒸発ガスをエンジンに供給し、前記エンジンに供給されずに余った余剰蒸発ガスを前記熱交換器に供給し、前記圧縮機で圧縮して温度が上昇した蒸発ガスにより凝縮または凝固した潤滑油を融解または粘度を低下させて排出する。