特許第6372005号(P6372005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6372005インターロックスイッチ回路故障診断装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372005
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】インターロックスイッチ回路故障診断装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/54 20060101AFI20180806BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20180806BHJP
   H01R 13/66 20060101ALI20180806BHJP
   B60K 1/04 20060101ALN20180806BHJP
   H01R 13/639 20060101ALN20180806BHJP
【FI】
   H01H9/54 C
   B60L3/00 S
   H01R13/66
   !B60K1/04 Z
   !H01R13/639 Z
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-181872(P2014-181872)
(22)【出願日】2014年9月8日
(65)【公開番号】特開2016-58173(P2016-58173A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】近藤 憲司
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−123285(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/018209(WO,A1)
【文献】 特開2006−327251(JP,A)
【文献】 特開2004−007920(JP,A)
【文献】 特開2012−126267(JP,A)
【文献】 特開2013−143806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54
B60L 3/00
H01R 13/66
B60K 1/04
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋を備えるカバーに覆われて、ロックレバーを備えるサービスプラグと、
前記ロックレバーの状態に応じて断切が切り替わるインターロックスイッチと、
補機バッテリと電子制御部との間に前記インターロックスイッチを備える前記インターロックスイッチ回路と、
前記蓋の開閉状態に応じて断切が切り替わる蓋開閉判断スイッチと、
前記インターロックスイッチ回路の前記補機バッテリと前記インターロックスイッチの間から分岐し、前記補機バッテリと前記電子制御部との間に、前記蓋開閉判断スイッチを備える蓋開閉判断回路と、
前記インターロックスイッチ及び前記蓋開閉判断スイッチの各断切状態に基づき、前記インターロックスイッチ回路の断線状態を判断する、前記電子制御部と
を備える
ことを特徴とする、インターロックスイッチ回路故障診断装置。
【請求項2】
前記インターロックスイッチは、
前記ロックレバーが下げられていると接続となり前記インターロックスイッチ回路に電圧が発生し、前記ロックレバーが起こされていると切断となり前記インターロックスイッチ回路の電圧が無くなり、
前記蓋開閉判断スイッチは、
前記蓋が閉じていると接続となり前記蓋開閉判断回路に電圧が発生し、前記蓋が開いていると切断となり前記蓋開閉判断回路の電圧が無くなり、
前記電子制御部は、
前記インターロックスイッチ回路及び前記蓋開閉判断回路の電圧が検出される場合は、平常状態であると判断し、
前記インターロックスイッチ回路の電圧が検出されず、前記蓋開閉判断回路の電圧が検出される場合は、断線状態であると判断し、
前記インターロックスイッチ回路及び前記蓋開閉判断回路の電圧が検出されない場合は、前記インターロックスイッチが切断状態であると判断する
ことを特徴とする、請求項1に記載のインターロックスイッチ回路故障診断装置。
【請求項3】
前記インターロックスイッチは、
前記ロックレバーが下げられていると接続となり前記インターロックスイッチ回路に電圧が発生し、前記ロックレバーが起こされていると切断となり前記インターロックスイッチ回路の電圧が無くなり、
前記蓋開閉判断スイッチは、
前記蓋が開いていると接続となり前記蓋開閉判断回路に電圧が発生し、前記蓋が閉じていると切断となり前記蓋開閉判断回路の電圧が無くなり、
前記電子制御部は、
前記インターロックスイッチ回路において電圧が検出され、前記蓋開閉判断回路の電圧が検出されない場合は、平常状態であると判断し、
前記インターロックスイッチ回路及び前記蓋開閉判断回路の電圧が検出されない場合は、断線状態であると判断し、
前記インターロックスイッチ回路の電圧が検出されず、前記蓋開閉判断回路の電圧が検出される場合は、前記インターロックスイッチが切断状態であると判断する
ことを特徴とする、請求項1に記載のインターロックスイッチ回路故障診断装置。
【請求項4】
前記電子制御部は、
前記平常状態であると判断すると、高電圧回路を導通させ、
前記断線状態であると判断すると、前記高電圧回路を導通させた状態で警告指示を出し、
前記インターロックスイッチが切断状態であると判断すると、前記高電圧回路を遮断する制御を行う
ことを特徴とする、請求項1から3いずれか1項に記載のインターロックスイッチ回路故障診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に備わるインターロックスイッチ回路故障診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動車両は、例えば下記特許文献1に記載されるように、電池セル周辺の高電圧回路の外側にサービスプラグを備えている。サービスプラグにはロックレバーが備えられ、このロックレバーによって普段はサービスプラグが抜けないようにロックされている。メンテナンス等の際に、作業者がロックレバーを起こす(外す)ことでサービスプラグのロックを解除することがある。
【0003】
サービスプラグの状態を確認するための専用回路として、インターロックスイッチを有する回路(インターロックスイッチ回路)が備えられている。このインターロックスイッチはロックレバーに取り付けられている。
【0004】
インターロックスイッチは、ロックレバーが下げられていると場合、ONとなることでインターロックスイッチ回路を導通させ、ロックレバーが起こされた場合、OFFとなることでインターロックスイッチ回路の導通を遮断する。
【0005】
従来の電動車両では、インターロックスイッチ回路の導通が遮断されると、ECU(電子制御部)によって、高電圧回路の導通を遮断し、アークの発生などのリスクを低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−126267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、実際には、インターロックスイッチがOFFでなくとも(すなわち、ロックレバーが外されていなくとも)、インターロックスイッチ回路が断線してしまうことによって、導通が遮断される可能性がある。
【0008】
従来の電動車両では、インターロックスイッチ回路の導通が遮断したときに、「サービスプラグのロックレバーが外され、インターロックスイッチがOFFとなった」のか、あるいは「インターロックスイッチ回路が断線した」のかを、判断することができない。
【0009】
そこで、従来の電動車両では、「走行中にサービスプラグのロックレバーが作業者によって外されることはない」ものと見做し、走行中(シフト: Pレンジ以外)にインターロックスイッチ回路の導通が遮断した場合のみ、停車(IG‐OFF)するまで高電圧を遮断しないように設定している場合がある。しかしこの設定では、もし走行中にサービスプラグのロックレバーが作業者によって外された場合に、アークの発生などが懸念され好ましくない。
【0010】
また、アークの発生などのリスクを低減するため、インターロックスイッチ回路の導通が遮断した時点で、「走行中であってもサービスプラグのロックレバーが作業者によって外される可能性がある」と考え、走行・停車に関係なく高電圧を遮断するように設定すると、実際にはただ断線しただけであって、作業者がサービスプラグのロックレバーを外したわけではないという場合に、無駄に高電圧回路を遮断することになってしまう。
【0011】
そこで、本発明は、電動車両におけるインターロックスイッチ回路の故障(断線)を診断することで、高電圧回路の導通と遮断の切り替えを正確に行うことを可能とする、インターロックスイッチ回路故障診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する第1の発明に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置は、
蓋を備えるカバーに覆われて、ロックレバーを備えるサービスプラグと、
前記ロックレバーの状態に応じて断切が切り替わるインターロックスイッチと、
補機バッテリと電子制御部との間に前記インターロックスイッチを備える前記インターロックスイッチ回路と、
前記蓋の開閉状態に応じて断切が切り替わる蓋開閉判断スイッチと、
前記インターロックスイッチ回路の前記補機バッテリと前記インターロックスイッチの間から分岐し、前記補機バッテリと前記電子制御部との間に、前記蓋開閉判断スイッチを備える蓋開閉判断回路と、
前記インターロックスイッチ及び前記蓋開閉判断スイッチの各断切状態に基づき、前記インターロックスイッチ回路の断線状態を判断する、前記電子制御部と
を備える
ことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第2の発明に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置は、
上記第1の発明に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置において、
前記インターロックスイッチは、
前記ロックレバーが下げられていると接続となり前記インターロックスイッチ回路に電圧が発生し、前記ロックレバーが起こされていると切断となり前記インターロックスイッチ回路の電圧が無くなり、
前記蓋開閉判断スイッチは、
前記蓋が閉じていると接続となり前記蓋開閉判断回路に電圧が発生し、前記蓋が開いていると切断となり前記蓋開閉判断回路の電圧が無くなり、
前記電子制御部は、
前記インターロックスイッチ回路及び前記蓋開閉判断回路の電圧が検出される場合は、平常状態であると判断し、
前記インターロックスイッチ回路の電圧が検出されず、前記蓋開閉判断回路の電圧が検出される場合は、断線状態であると判断し、
前記インターロックスイッチ回路及び前記蓋開閉判断回路の電圧が検出されない場合は、前記インターロックスイッチが切断状態であると判断する
ことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する第3の発明に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置は、
上記第1の発明に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置において、
前記インターロックスイッチは、
前記ロックレバーが下げられていると接続となり前記インターロックスイッチ回路に電圧が発生し、前記ロックレバーが起こされていると切断となり前記インターロックスイッチ回路の電圧が無くなり、
前記蓋開閉判断スイッチは、
前記蓋が開いていると接続となり前記蓋開閉判断回路に電圧が発生し、前記蓋が閉じていると切断となり前記蓋開閉判断回路の電圧が無くなり、
前記電子制御部は、
前記インターロックスイッチ回路において電圧が検出され、前記蓋開閉判断回路の電圧が検出されない場合は、平常状態であると判断し、
前記インターロックスイッチ回路及び前記蓋開閉判断回路の電圧が検出されない場合は、断線状態であると判断し、
前記インターロックスイッチ回路の電圧が検出されず、前記蓋開閉判断回路の電圧が検出される場合は、前記インターロックスイッチが切断状態であると判断する
ことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する第4の発明に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置は、
上記第1から3いずれか1つの発明に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置において、
前記電子制御部は、
前記平常状態であると判断すると、高電圧回路を導通させ、
前記断線状態であると判断すると、前記高電圧回路を導通させた状態で警告指示を出し、
前記インターロックスイッチが切断状態であると判断すると、前記高電圧回路を遮断する制御を行う
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置によれば、電動車両におけるインターロックスイッチ回路の故障(断線)を診断することで、高電圧回路の導通と遮断の切り替えを正確に行うことを可能とすることができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は、サービスプラグ及びその近傍の配置関係を説明する概略図である。(b)は、(a)における一点鎖線円Aで囲われた部分の拡大図である。
図2】本発明の実施例1(2)に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置の装置構成を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置を実施例にて図面を用いて説明する。
【0019】
[実施例1]
本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置の装置構成について、図1,2を用いて説明する。図1(a),(b)は、サービスプラグ及びその近傍の配置関係を説明する概略図であり、(b)は(a)における一点鎖線円Aで囲われた部分の拡大図である。図2は、本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置の装置構成を説明する概略図である(なお、図2は、後述する本発明の実施例2に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置の装置構成を説明する概略図でもある。該図中の括弧書きの符号は、実施例2の説明において用いる)。
【0020】
まず、図1(a),(b)に示すように、サービスプラグ5は、電動車両(車体1)に内蔵されている電池パック2の上部において、上部に蓋4を備えているカバー3に覆われて、配設されている。また、サービスプラグ5はロックレバー6を備えており、ロックレバー6を起こす(外す)ことで、サービスプラグ5を抜くことができる構造となっている。
【0021】
なお、起こされた状態のロックレバー6は、蓋4の位置よりも高くなる(カバー3から突出する)。したがって、蓋4が閉じているときにロックレバー6が起こされることはない。
【0022】
そのため、メンテナンス等の際、作業者は、まずカバー3に備えられている蓋4を外し、サービスプラグ5のロックレバー6を起こした後に、サービスプラグ5を抜くことになる。
【0023】
ここで、図2に示すように、本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置は、補機バッテリ11、電源リレー12、インターロックスイッチ回路13、インターロックスイッチ14、蓋開閉判断回路15、蓋開閉判断スイッチ16、ECU(電子制御部)17、及び、警告部25を備えている。
【0024】
インターロックスイッチ回路13は、電源リレー12を介して補機バッテリ11と後述する第1電圧センサ18とを接続している。また、インターロックスイッチ回路13には、インターロックスイッチ14が備わっている。なお、電源リレー12は、電動車両の電源がONの場合に回路を導通状態とし、電動車両の電源がOFFの場合に回路を遮断するものである。換言すれば、インターロックスイッチ回路13は、補機バッテリ11と後述するECU17との間にインターロックスイッチ14を備えるものである。
【0025】
インターロックスイッチ14は、従来同様、ロックレバー6に取り付けられており、ロックレバーの状態に応じてON(接続)/OFF(切断)が切り替わるスイッチである。すなわち、インターロックスイッチ14は、ロックレバー6が下げられているとONとなり、インターロックスイッチ回路13に電圧が発生し、ロックレバー6が起こされるとOFFとなり、インターロックスイッチ回路13の電圧が無くなる。
【0026】
蓋開閉判断回路15は、インターロックスイッチ回路13の補機バッテリ11とインターロックスイッチ14の間から分岐した回路であり、電源リレー12を介して補機バッテリ11と後述する第2電圧センサ19とを接続している。また、蓋開閉判断回路15には、蓋開閉判断スイッチ16が備わっている。換言すれば、蓋開閉判断回路15は、補機バッテリ11と後述するECU17との間に、蓋開閉判断スイッチ16を備えるものである。
【0027】
蓋開閉判断スイッチ16は、蓋4の開閉状態に応じてON/OFFが切り替わるスイッチである。すなわち、蓋開閉判断スイッチ16は、蓋4が閉じているときにONとなり、蓋開閉判断回路15に電圧が発生し、蓋4が開いているときにOFFとなり、蓋開閉判断回路15の電圧が無くなる。
【0028】
なお、蓋4の開閉状態の検知手段としては、磁気センサ又はプラスチックの不導体等を用いるのが好ましいが、特に限定する必要はない。蓋開閉判断スイッチ16は、この検知手段の情報に基づいてON/OFFを切り替える。
【0029】
ECU17は、インターロックスイッチ回路13及び蓋開閉判断回路15の各電圧から、インターロックスイッチ回路13が、どのような状態であるか(詳しくは後述)を判断し、判断結果に基づき高電圧回路23の導通及び遮断を制御するものである。すなわち、ECU17は、インターロックスイッチ14及び蓋開閉判断スイッチ16の各ON/OFF状態に基づき、インターロックスイッチ回路13の断線状態を判断する。また、ECU17は、第1電圧センサ18、第2電圧センサ19、及び、高電圧遮断制御部20を備えている。
【0030】
第1電圧センサ18は、インターロックスイッチ回路13の電圧を検出するものであり、第2電圧センサ19は、蓋開閉判断回路15の電圧を検出するものである。
【0031】
また、高電圧遮断制御部20は、第1電圧センサ18によって検出された電圧と、第2電圧センサ19によって検出された電圧とから、インターロックスイッチ回路13の状態を判断し、判断結果に基づき高電圧回路23の導通及び遮断を制御する。以下、高電圧遮断制御部20による制御を詳述する。
【0032】
なお、インターロックスイッチ回路13の状態とは、電動車両電源ON時における、平常状態、インターロックスイッチ回路13の断線(図2の一点鎖線Bで示した部分)状態、インターロックスイッチ14のOFF(作業者によりロックレバー6が起こされている)状態のことを指す。
【0033】
平常状態では、インターロックスイッチ14がON、蓋開閉判断スイッチ16がONである。したがって、インターロックスイッチ回路13及び蓋開閉判断回路15が導通することになり、第1電圧センサ18及び第2電圧センサ19において、電圧が検出される。
【0034】
よって、高電圧遮断制御部20では、第1電圧センサ18及び第2電圧センサ19において、電圧が検出されている場合は、平常状態であると判断する。
【0035】
インターロックスイッチ回路13が断線状態であるときは、平常状態と比べてスイッチのON/OFF自体が変化するわけではないことから、インターロックスイッチ14がON、蓋開閉判断スイッチ16がONである。しかし、インターロックスイッチ回路13は断線していることで導通が遮断され、第1電圧センサ18においては電圧が検出されないことになる。一方、蓋開閉判断回路15は導通することになるため、第2電圧センサ19においては電圧が検出される。
【0036】
よって、高電圧遮断制御部20では、第1電圧センサ18において電圧が検出されず、第2電圧センサ19において電圧が検出されている場合は、インターロックスイッチ回路13が断線状態であると判断する。
【0037】
インターロックスイッチ14がOFF状態であるときには、ロックレバー6を起こすために蓋4を開けなければならないため、蓋開閉判断スイッチ16もOFFとなる。したがって、インターロックスイッチ回路13及び蓋開閉判断回路15の導通が遮断され、第1電圧センサ18及び第2電圧センサ19において、電圧が検出されないことになる。
【0038】
よって、高電圧遮断制御部20では、第1電圧センサ18及び第2電圧センサ19において、電圧が検出されない場合は、インターロックスイッチ14がOFFであると判断する。
【0039】
ここで、図2に示すように、高電圧回路23は、高電圧バッテリ21と駆動用モータ22とを接続する回路であり、高電圧回路スイッチ24を備えている。そして、高電圧回路スイッチ24のON/OFFの切り替えにより、高電圧回路23の導通及び遮断を制御する。
【0040】
高電圧遮断制御部20は、インターロックスイッチ回路13が平常状態であると判断すると、高電圧回路スイッチ24のONを継続とし、インターロックスイッチ回路13が断線していると判断すると、高電圧回路スイッチ24のONを継続とした状態で警告部25に対して警告を行う指示を出し、インターロックスイッチ14がOFFであると判断すると、高電圧回路スイッチ24をOFFとする制御を行う。
【0041】
なお、警告部25は、高電圧遮断制御部20からの指示に基づき、作業者に対し、サービスプラグ5を抜くときには高電圧回路23の導通を遮断してから抜くように警告するものである。
【0042】
本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置は、上記装置構成とすることで、作業者がロックレバー6を外した場合、すなわち、これからサービスプラグ5が抜かれる状況である場合には、速やかに高電圧回路23の導通を遮断し、また、インターロックスイッチ回路13が断線した場合には、高電圧回路23は導通させた状態で、作業者に対し、サービスプラグ5を抜くときには高電圧回路23の導通を遮断してから抜くように警告することで対応する。
【0043】
以上、本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置ついて説明したが、換言すれば、本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置は、蓋を備えるカバーに覆われて、ロックレバーを備えるサービスプラグと、前記ロックレバーの状態に応じて断切が切り替わるインターロックスイッチと、補機バッテリと電子制御部との間に前記インターロックスイッチを備える前記インターロックスイッチ回路と、前記蓋の開閉状態に応じて断切が切り替わる蓋開閉判断スイッチと、前記インターロックスイッチ回路の前記補機バッテリと前記インターロックスイッチの間から分岐し、前記補機バッテリと前記電子制御部との間に、前記蓋開閉判断スイッチを備える蓋開閉判断回路と、前記インターロックスイッチ及び前記蓋開閉判断スイッチの各断切状態に基づき、前記インターロックスイッチ回路の断線状態を判断する、前記電子制御部とを備えるものである。
【0044】
また、本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置では、前記インターロックスイッチは、前記ロックレバーが下げられていると接続となり前記インターロックスイッチ回路に電圧が発生し、前記ロックレバーが起こされていると切断となり前記インターロックスイッチ回路の電圧が無くなり、前記蓋開閉判断スイッチは、前記蓋が閉じていると接続となり前記蓋開閉判断回路に電圧が発生し、前記蓋が開いていると切断となり前記蓋開閉判断回路の電圧が無くなり、前記電子制御部は、前記インターロックスイッチ回路及び前記蓋開閉判断回路の電圧が検出される場合は、平常状態であると判断し、前記インターロックスイッチ回路の電圧が検出されず、前記蓋開閉判断回路の電圧が検出される場合は、断線状態であると判断し、前記インターロックスイッチ回路及び前記蓋開閉判断回路の電圧が検出されない場合は、前記インターロックスイッチが切断状態であると判断するものである。
【0045】
さらに、本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置では、前記電子制御部は、前記平常状態であると判断すると、高電圧回路を導通させ、前記断線状態であると判断すると、前記高電圧回路を導通させた状態で警告指示を出し、前記インターロックスイッチが切断状態であると判断すると、前記高電圧回路を遮断する制御を行うものである。
【0046】
よって、本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置は、インターロックスイッチ回路の故障(断線)を診断することで、高電圧回路の導通と遮断の切り替えを正確に行うことを可能とする。
【0047】
[実施例2]
図2に示すように、本発明の実施例2に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置は、補機バッテリ11、電源リレー12、インターロックスイッチ回路13、インターロックスイッチ14、蓋開閉判断回路35、蓋開閉判断スイッチ36、ECU(電子制御部)37、及び、警告部25を備えている。また、ECU37は、第1電圧センサ38、第2電圧センサ39、及び、高電圧遮断制御部40を備えている。なお、補機バッテリ11、電源リレー12、インターロックスイッチ回路13、インターロックスイッチ14、及び、警告部25については、実施例1と同様である。
【0048】
実施例1では、蓋開閉判断スイッチ16が、蓋4が閉じているときにONとなり、蓋4が開いているときにOFFとなるものとしたが、実施例2における蓋開閉判断スイッチ36は、逆に、蓋4が開いているときにONとなり蓋開閉判断回路35に電圧が発生し、蓋4が閉じているときにOFFとなり蓋開閉判断回路35の電圧が無くなるようにする。
【0049】
蓋開閉判断スイッチ36が、蓋4が閉じているときにOFFとなり、蓋4が開いているときにONとなるようにすると、インターロックスイッチ回路13の状態(電動車両電源ON時における、平常状態、インターロックスイッチ回路13の断線状態、インターロックスイッチ14のOFF(作業者によりロックレバー6が起こされている)状態)による、第1電圧センサ38及び第2電圧センサ39の検出する電圧の変化は、実施例1において説明したものとは異なるものとなる。
【0050】
したがって、本発明の実施例2に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置では、高電圧遮断制御部40における判断が、本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置とは異なるものとなる。以下では、本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置と同様の部分についてはなるべく説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0051】
本発明の実施例2に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置においては、インターロックスイッチ回路13の状態が平常状態のときは、インターロックスイッチ14がON、蓋開閉判断スイッチ36がOFFである。したがって、インターロックスイッチ回路13が導通することになり、第1電圧センサ38において電圧が検出される。一方、蓋開閉判断回路35の導通は遮断されるため、第2電圧センサ39においては電圧が検出されないことになる。
【0052】
よって、高電圧遮断制御部40では、第1電圧センサ38において電圧が検出され、第2電圧センサ39において電圧が検出されない場合は、平常状態であると判断する。
【0053】
インターロックスイッチ回路13が断線状態であるときは、平常状態と比べてスイッチのON/OFF自体が変化するわけではないことから、インターロックスイッチ14がON、蓋開閉判断スイッチ36がOFFである。しかし、インターロックスイッチ回路13は断線していることで導通が遮断され、第1電圧センサ38においては電圧が検出されないことになる。一方、蓋開閉判断回路35も導通が遮断されているため、第2電圧センサ39においても電圧が検出されないことになる。
【0054】
よって、高電圧遮断制御部40では、第1電圧センサ38及び第2電圧センサ39において電圧が検出されない場合は、インターロックスイッチ回路13が断線状態であると判断する。
【0055】
インターロックスイッチ14がOFF状態であるときには、ロックレバー6を起こすために蓋4を開けなければならないため、蓋開閉判断スイッチ36がONとなる。したがって、インターロックスイッチ回路13の導通が遮断され、第1電圧センサ38において電圧が検出されないことになる。一方、蓋開閉判断回路35は導通するため、第2電圧センサ39においては電圧が検出されることになる。
【0056】
よって、高電圧遮断制御部40では、第1電圧センサ38において電圧が検出されず、第2電圧センサ39において電圧が検出される場合は、インターロックスイッチ14がOFF状態であると判断する。
【0057】
以上、本発明の実施例2に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置ついて説明したが、換言すれば、本発明の実施例2に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置では、前記インターロックスイッチは、前記ロックレバーが下げられていると接続となり前記インターロックスイッチ回路に電圧が発生し、前記ロックレバーが起こされていると切断となり前記インターロックスイッチ回路の電圧が無くなり、前記蓋開閉判断スイッチは、前記蓋が開いていると接続となり前記蓋開閉判断回路に電圧が発生し、前記蓋が閉じていると切断となり前記蓋開閉判断回路の電圧が無くなり、前記電子制御部は、前記インターロックスイッチ回路において電圧が検出され、前記蓋開閉判断回路の電圧が検出されない場合は、平常状態であると判断し、前記インターロックスイッチ回路及び前記蓋開閉判断回路の電圧が検出されない場合は、断線状態であると判断し、前記インターロックスイッチ回路の電圧が検出されず、前記蓋開閉判断回路の電圧が検出される場合は、前記インターロックスイッチが切断状態であると判断するものである。
【0058】
また、本発明の実施例2に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置では、本発明の実施例1に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置同様、電子制御部は、前記平常状態であると判断すると、高電圧回路を導通させ、前記断線状態であると判断すると、前記高電圧回路を導通させた状態で警告指示を出し、前記インターロックスイッチが切断状態であると判断すると、前記高電圧回路を遮断する制御を行うものとしてもよい。
【0059】
よって、本発明の実施例2に係るインターロックスイッチ回路故障診断装置は、インターロックスイッチ回路の故障(断線)を診断することで、高電圧回路の導通と遮断の切り替えを正確に行うことを可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、インターロックスイッチ回路故障診断装置として好適である。
【符号の説明】
【0061】
1 車体(電動車両)
2 電池パック
3 カバー
4 蓋
5 サービスプラグ
6 ロックレバー
11 補機バッテリ
12 電源リレー
13 インターロックスイッチ回路
14 インターロックスイッチ
15、35 蓋開閉判断回路
16、36 蓋開閉判断スイッチ
17、37 ECU(電子制御部)
18、38 第1電圧センサ
19、39 第2電圧センサ
20、40 高電圧遮断制御部
21 高電圧バッテリ
22 駆動用モータ
23 高電圧回路
24 高電圧回路スイッチ
25 警告部
図1
図2