(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開口部を有するとともに前記開口部の周縁に第1係合部を備えたメインカバーと、前記開口部を閉塞した状態で前記第1係合部と係合して、その閉塞状態を保持する第2係合部を備えたサブカバーとを有するカバー体におけるサブカバーの仮置き構造において、
前記開口部の対向する一対の内側部に、係入溝を規定する溝形成部がそれぞれ設けられ、
前記一対の内側部にそれぞれ対向する前記サブカバーの一対の側部上方には、前記係入溝に対して外部下方から係入可能に設けられ、かつ、前記係入溝の溝幅よりも大きい厚みを有するとともに同軸上に配置される一対の係合軸が設けられ、
前記溝形成部は弾性を有し、前記係合軸が外部下方から係入される際に、前記係合軸の
係入を許容するように変形可能であり、前記係合軸が係入された後に、その弾性により復帰して前記係合軸の逆方向への離脱を不能にするように前記係合軸を係止し、かつ、前記係合軸を係止した状態で前記サブカバーを揺動自在にかつ開放可能に支持し、
前記係合軸の断面形状は、前記係合軸が前記溝形成部に係止された状態において、前記開口部の開放量が大きく設定される場合、開放量が小さく設定される場合に比べて、前記溝形成部に係止される前記係合軸のかかり量が増大するように設定され、
前記メインカバーはフロントガラスに固定される電子機器を下方から覆うサブカバーの仮置き構造。
【背景技術】
【0002】
メインカバーに対してサブカバーを取付けする技術は、特許文献1及び特許文献2が公知である。特許文献1は、車両のフロントガラスに対して取付けられる各種センサ、例えば、雨量センサ等の機器及びインナーミラーの取付部を、前記フロントガラスに固定されたメインカバーが覆うように配置されている。また、前記メインカバーには、前記インナーミラーの取付部を前記フロントガラスに対して取付ける際に使用されるミラー取付用開口部が設けられている。
【0003】
前記インナーミラーの取付部を前記フロントガラスに取りつける作業が終了した後は、前記ミラー取付用開口部は、前記インナーミラーのステーが通される孔を有するサブカバーが後でメインカバーに取付けられることにより塞がれるようにされている。
【0004】
なお、特許文献1では、サブカバーをメインカバーに対して仮置きすることについては振れていない。
また、特許文献2には、電子機器を覆うカバーが、シャーシに取付けられた合成樹脂製のメインカバーと、メインカバーに対して取付けられる合成樹脂製のサブカバーとからなっている。前記シャーシには、電子機器が搭載されている。前記メインカバーには、前記電子機器に対して各種の作業を行うための開放部が設けられている。
【0005】
前記サブカバーは、一体に突出された一対のアームを備えており、前記メインカバーに対して前記アームを貫通したネジにより回動自在に軸支され、すなわち、前記開放部を開閉可能にしている。また、前記サブカバーは、前記ネジの締める状態に応じて、サブカバーの開閉ができない本固定状態と、サブカバーが開閉可能な仮固定状態とを調整できるようにされている。
【0006】
また、サブカバーは、開放部を閉じている状態のときは、メインカバーにおいて、前記アームの摺接部と当接する当接部の突条が、前記アームの摺接部に設けられた溝に嵌合して仮固定された状態にある。なお、この状態で前記ネジの締付けにより、サブカバーは本固定可能である。また、サブカバーにおいて、前記アームの摺接部と当接する前記当接部の突条が、前記アームの摺接部に設けられた溝に嵌合して仮固定された状態で、開放動作すると、前記メインカバーの前記当接部の突条に前記アームの摺接部に設けられた他の溝が嵌合する。このとき、サブカバーが開放状態となって仮固定されたものとなる。このようにして、仮固定した状態でネジ止めせずに、サブカバーを開けた状態で保持することが可能となっている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のサブカバーの仮置き構造を具体化した一実施形態について
図1〜9を参照して説明する。なお、図において矢印FRは車両前方を示し、矢印UPは車両上方を示し、矢印RIは車両幅方向のうち、右方向を示している。
【0017】
図1、
図7に示すようにカバー体10は、図示しないフロントガラスに取付け固定されるものであり、メインカバー20と、メインカバー20の開口部21を閉塞するサブカバー40とを備えている。
【0018】
図1に示すようにメインカバー20は、プラスチック等の合成樹脂で成形されており、車両下方及び車両前方に向けられた湾曲状の面を有する底壁22が設けられている。メインカバー20は、前記底壁22の周囲から、左側壁23、右側壁24、後側壁25が立設されるとともにそれら側壁の先端部が図示しないフロントガラスに接するようにして前記フロントガラスに固定されている。
【0019】
また、
図1に示すように後側壁25は、下方を向く段部25Aと、段部25Aから車両後方へ向かうとともに斜め上方へ湾曲する湾曲部25Bと、湾曲部25Bから鉛直上方へ向かう上部後面壁25Dと、段部25A前縁から略鉛直下方へ向かう下部後面壁25Cを有する。下部後面壁25Cと段部25Aとの間、及び湾曲部25Bと上部後面壁25Dとの間は、湾曲して相互に連結されている。下部後面壁25Cは、底壁22と一体に連結されている。このようにして、メインカバー20は、略四角椀状に形成されている。
【0020】
また、
図1、
図7に示すように、段部25A、湾曲部25B及び上部後面壁25Dは、図示しない車両のフロントガラス側である車両後方(反矢印FR方向)が切り欠かれて、平面視した場合、コ字状の開口部21が形成されている。
【0021】
メインカバー20と図示しないフロントガラスとの間には、フロントガラスに固定された図示しない電子機器(例えば、雨量センサ、GPSセンサ)が配置されていて、メインカバー20はこの電子機器を下方からカバーする。
【0022】
図2(a)、
図2(b)に示すように、湾曲部25Bの内面における開口部21の左右両側部、及び下部後面壁25Cの内面における開口部21の車両幅方向の中央側縁には、板部bが開口部21内に向かってそれぞれ突出形成されている。各板部bには、第1係合部としての複数の嵌合部26A、26B、26Cがそれぞれ設けられている。なお、本実施形態では、嵌合部は3つ形成されているが、3つに限定するものではなく、その数はサブカバー40を安定して取付保持できる数であればよい。嵌合部26A、26B、26Cの先端部は、開口部21内に位置するとともに、上下方向に貫通した係合孔hがそれぞれ形成されている。
【0023】
サブカバー40は、プラスチック等の合成樹脂により、開口部21を閉塞する大きさに成形されている。サブカバー40の表面は、メインカバー20に対して取付固定された閉塞状態では、段部25A、湾曲部25Bの各表面(下面)、及び上部後面壁25Dの表面と面一となるように形成されている。すなわち、前記閉塞状態ではサブカバー40は、段部25A表面と面一となる表面を有する第1壁部41a、湾曲部25Bと面一となる第2壁部41b及び上部後面壁25D表面と面一となる表面を有する第3壁部41cを備えている。
【0024】
図2(a)、
図2(b)、
図3に示すようにサブカバー40の第2壁部41b上面(すなわち、裏面)において、車両幅方向の左右両側縁に設けられた基部a(
図3参照)には、スナップフィット43A、43Bがそれぞれ上方へ向かって形成されている。
図3には、スナップフィット43Bに関する基部aのみを図示している。なお、スナップフィット43Aに関する基部については図示していないが、あるものと理解されたい。
【0025】
また、
図2(a)、
図2(b)、及び
図7(b)に示すようにサブカバー40の第1壁部41a上面(すなわち、裏面)において、車両幅方向の中央部前縁には、スナップフィット43Cが上方へ向かって形成されている。スナップフィット43A、43B、43Cの爪cは、それぞれ嵌合部26A、26B、26Cの係合孔hに対して係入された後、係合孔hの周縁に係止可能に形成されている。
【0026】
また、基部a及びスナップフィット43Cが立設されたサブカバー40の上面の部位は、前記嵌合部26A、26B、26Cの係合孔hの周縁に各スナップフィットの爪cが係止された状態で、嵌合部の板部bに当接することにより、前記爪cの係止状態を保持している。
図3では、嵌合部26Bの板部bに対して基部aが当接した状態が示されている。なお、
図3では、説明の便宜上、板部bと基部a上面とが若干離間して図示しているが、当接しているものと理解されたい。また、
図3では、スナップフィット43Bの爪cは、図面の裏面側にあるため、明確には図示されていないが、係合孔hの周縁に係止されているものと理解されたい。
【0027】
上記のようにスナップフィット43A、43B、43Cが、嵌合部26A、26B、26Cに対して係止状態を保持することにより、サブカバー40はメインカバー20の開口部21を閉塞状態に保持する。スナップフィット43A、43B、43Cは、第2係合部に相当する。
【0028】
図2(a)、
図4(a)、
図7(b)に示すように、メインカバー20の上部後面壁25Dにおいて、開口部21に臨む車両幅方向の左右の縁部には、上下方向に延出された一対の段部48A、48Bが形成されている。前記段部48A、48Bの後面は、上部後面壁25Dの後面よりも車両前方側に配置されている。
【0029】
また、
図2(a)、
図4(a)、
図7(b)に示すように、湾曲部25Bの前面(裏面)において、開口部21に臨む車両幅方向の左右の縁部には、ガイドリブ46A、46B及びそのガイドリブ46A、46Bを支持する部位がそれぞれ成形されている。ガイドリブ46A、46Bは、後述する係合軸50A、50Bをガイドするガイド部に相当する。なお、前記開口部21に臨む車両幅方向の左右の縁部は、開口部21の対向する一対の内側部に相当する。ガイドリブ46A、46Bは、
図3、
図4(a)、
図7(b)に示すように段部48A,48Bよりも斜め前下方に離間した部位から斜め後上方へ向かって斜状に延出されるとともに上端が段部48A,48Bに対して離間して配置されている。
【0030】
そして、ガイドリブ46Aの上端と前記段部48Aとの間、並びにガイドリブ46Bの上端と前記段部48Bとの間には、
図2(a)、
図4(b)に示すように軸係入溝49A、49Bがそれぞれ形成されている。軸係入溝49A、49Bは、下方から上方へいくほど車両前後方向において狭くなるように形成されており、ガイドリブ46A、46Bの上端と前記段部48A,48Bとの溝幅は最小離間距離Lを有する(
図4(b)参照)。
【0031】
前記ガイドリブ46Aの上端と段部48A、並びに、前記ガイドリブ46Bの上端と段部48Bは、軸係入溝49A、49Bをそれぞれ規定する溝形成部に相当する。
一方、サブカバー40の車両幅方向の左右両側部において、湾曲部25Bと相対する第2壁部41b上面の部位には、
図2(a)、
図4(a)、
図7(b)に示すように、係合軸50A,50B及び前記係合軸50A、50Bを支える部位が成形されている。係合軸50A、50Bは、円筒状に形成されるとともに、車両幅方向に延びて相互に同軸となる軸心を有している。
【0032】
また、
図2(a)、
図4(a)、
図7(b)に示すように、係合軸50A、50Bの外周面において車両前方の部位は、切り欠きされることにより平面上の切欠面52A、52Bが形成されている。切欠面52A、52Bは、第1壁部41aの下面(表面)を段部25Aの下面(表面)とが平行となった状態で軸係入溝49Aに外部から係入した際、係合軸50A、50Bの前後厚みが最小となり、軸係入溝49A、49Bでの抵抗が少なくなるように形成されている。また、切欠面52A、52Bと、同切欠面52A、52Bの180度反対側に位置する後面間の前記前後厚みは、ガイドリブ46A、46Bの上端と前記段部48A,48Bとの最小離間距離L(
図4(b)参照)よりも若干長くなるように設定されている。
【0033】
また、ガイドリブ46A、46B、及び段部48A、48Bは、係合軸50A、50Bが当接されて上方へ押圧された場合、係合軸50A、50Bが軸係入溝49A,49Bを抜け出してさらに上方への移動を許容するように弾性変形可能に形成されている。ここで、切欠面52A、52Bを有することにより、切欠面52A、52Bを形成しない場合に比して、ガイドリブ46A、46B、及び段部48A、48Bの弾性変形量を少なくできるため、軸係入溝49A、49Bでの上方への抜け出しを容易としている。
【0034】
また、
図6に示すように、軸係入溝49A、49Bが前述のように軸係入溝49A,49Bをサブカバー40を揺動せずに上方へ抜け出した場合、ガイドリブ46A、46Bの上端に、切欠面52A側において、係合軸50A、50Bが係止可能になっている。なお、ここでの係合軸50A、50Bのガイドリブ46A、46Bの上端でのかかり量W1(
図6参照)とする。
【0035】
図8に示すように係合軸50A、50Bがガイドリブ46A、46Bの上端及び段部48A、48Bに係止した状態で、サブカバー40は、車両後方へ揺動自在にされている。また、サブカバー40には
図1、
図7(a)に示すように、第3壁部41cの車両幅方向の左右両端には、一対のストッパ53が設けられている。ストッパ53は、
図8に示すように、サブカバー40が車両後方へ揺動した際に、車両後方への揺動量を規制するために、段部48A、48Bに当接可能となっている。
【0036】
ストッパ53は、サブカバー40が仮置き状態のときに、サブカバー40が開放量(すなわち、開放角度)を必要以上に増大させないようにしている。ここで必要以上とは、サブカバー40が仮置き状態になった際に、サブカバー40の前部における開口部21からの離間量である。本実施形態では、前記離間量は、作業者の手指で後述するサブカバー40の部位P1、P2(
図7(a)参照)が把持できる量である。
【0037】
本実施形態では、車両後方への揺動量が大きいほど、開口部21に対するサブカバー40の開放量(すなわち、開放角度)が増大する。
本実施形態では、開放量を下記のように定義している。
【0038】
図6に示すように、ガイドリブ46A、46Bの上端及び段部48A、48Bに、係合軸50A、50Bが係止し、かつ、サブカバー40の第1壁部41aが、段部25Aと平行の状態のときを、開放角度を0°とする。そして、サブカバー40が、係合軸50A、50Bの回りで車両後方へ揺動(回動)したときのそのときの回動角度を開放角度としている。
【0039】
また、
図8に示すように、ここでの係合軸50A、50Bのガイドリブ46A、46Bの上端でのかかり量W2とすると、
図6の状態とは異なり、かかり量W2>かかり量W1となる。これは、車両後方への揺動した際に、切欠面52A、52Bがガイドリブ46A、46Bの上端に対して接近するように傾くことによって、そのかかり量が増大することにより、サブカバー40のメインカバー20からの脱落をより困難とするようにしている。
【0040】
このように、係合軸50A、50Bは、ガイドリブ46A、46Bの上端及び段部48A,48B(溝形成部)に係止している状態において、開口部21の開放量(開放角度)が大きくなるほど、かかり量が増大するように、その断面形状が形成されている。
【0041】
なお、前記ストッパ53の表面は、第3壁部41cと面一に形成されているとともに、サブカバー40が閉塞状態の際には、上部後面壁25Dの表面に対して面一に形成されている。
【0042】
また、
図6、
図8は、軸係入溝49B及び係合軸50Bのみを図示しているが、軸係入溝49A及び係合軸50Aについても、同様であると理解されたい。
また、
図3に示すように、サブカバー40がメインカバー20の開口部21を閉塞状態にしている場合、係合軸50A、50Bは、ガイドリブ46A,46Bの上端から上方へ離間した位置に配置されるように第1壁部41a上面からの高さ設定がされている。
【0043】
なお、
図1に示すように、本実施形態では、サブカバー40の第1壁部41aの前端縁には、内外を貫通するU字状の凹部55が形成されている。凹部55は、図示しないフロントガラスに対して取付けられたインナーミラーのステー(図示しない)を挿通するためのものである。
【0044】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態のサブカバー40をメインカバー20に組付する際の手順について説明する。なお、メインカバー20は、既に図示しないフロントガラスに取付けられているものとし、フロントガラスに固定された図示しない電子機器をカバーしているものとする。また、図示しない前記インナーミラーのステーが、開口部21を介して前記フロントガラスに取付けられているものとする。
【0045】
サブカバー40において、作業者が把持する部位P1、P2を
図7(a)で二点鎖線で囲った部位とする。この部位はサブカバー40の車両幅方向の左右両端の部位である。
以下の説明では、説明の便宜上、車両幅方向の右方側の係合軸50Bの取付作業を中心に説明する。なお、サブカバー40の車両幅方向の左方側の係合軸50Aの取付作業は、車両幅方向の右方側の係合軸50Bの取付作業と同時進行で行われているものである。
【0046】
このため、係合軸50Aに関する説明がある場合を除いて、係合軸50B、切欠面52B、ガイドリブ46B、段部48B、軸係入溝49Bを、係合軸50A、切欠面52A、ガイドリブ46A、段部48A、軸係入溝49Aにそれぞれ読み替えしてもらいたい。このことにより、車両幅方向の右方側についての作用を理解されたい。
【0047】
作業者は、サブカバー40の前記部位を片手(または両手)で把持して、第1壁部41aの下面(表面)を段部25Aの下面(表面)と平行状態にして
図4(a)、
図4(b)に示すように係合軸50Bをガイドリブ46Bに当接する。この後、作業者は、サブカバー40をガイドリブ46Bによりガイドされながら上方へそのまま移動して、係合軸50Bを軸係入溝49Bに押圧して外部(下方)から軸係入溝49Bに対して係入する(
図5参照)。
【0048】
この押圧により、ガイドリブ46B、及び段部48Bが弾性変形して係合軸50Bの上方への移動を許容し、軸係入溝49Bを抜け出させる(
図6、
図9参照)。ここでは、切欠面52Bを有することにより、作業者の押圧力を少なくして、軸係入溝49Bでの抜け出しが容易である。なお、ガイドリブ46B、及び段部48Bは、軸係入溝49Bが抜け出た後、元の位置に弾性復帰する。
【0049】
次に、
図7(a)、
図7(b)、
図8に示すように、作業者は、係合軸50Bをガイドリブ46Bの上端等に係止した状態で、ストッパ53が、段部48Bに当接するまでサブカバー40を車両後方へ揺動させる。なお、作業者がサブカバー40を揺動操作しない場合、ストッパ53が段部48Bに当接するまでサブカバー40を自重により車両後方へ揺動させてもよい。
【0050】
上記のようにして、揺動後のサブカバー40は、メインカバー20に仮置きした状態となる。この場合、仮置き状態における係合軸50Bとガイドリブ46Bとのかかり量W2は、軸係入溝49Bをサブカバー40を揺動せずに抜け出した場合のガイドリブ46Bの上端に対するかかり量W1に比して大となっている。この結果、仮置き状態におけるサブカバー40のメインカバー20からの脱落は困難となっている。
【0051】
このようにして、サブカバー40をメインカバー20に対して仮置きする場合、
図7(a)、
図7(b)、
図8に示すように、サブカバー40の前端が開口部21から離間した開放状態にあり、把持している指を配置するスペースを確保できる。すなわち、
図7(a)に示す部位P1、P2を把持している指がメインカバー20に干渉することなく、何ら支障なく把持した状態でサブカバー40を仮置きできる。
【0052】
なお、
図7(a)、
図7(b)では、インナーミラーのステーが図示されていないが、前記ステーは、サブカバー40の凹部55を介してカバー体10の外部に露出しているものと理解されたい。
【0053】
この後、作業者は、サブカバー40の第1壁部41a等の下面を上方へ押圧操作することにより、開口部21を閉塞する。サブカバー40の押圧操作により、スナップフィット43A、43B、43Cが、嵌合部26A、26B、26Cに対して係止されるとともに、その係止状態が保持される。この結果、サブカバー40はメインカバー20の開口部21を閉塞状態に保持する(
図1、
図2(a)、
図2(b)、
図3参照)。この状態では、
図3に示すように、係合軸50A、50Bは、係合軸50A、50Bは、ガイドリブ46A,46Bの上端から上方へ離間した位置に位置する。
【0054】
また、
図1、
図3に示すように、閉塞状態のサブカバー40の表面は、メインカバー20に表面と面一となる。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0055】
(1)本実施形態のサブカバーの仮置き構造では、メインカバー20における開口部21の対向する一対の内側部には軸係入溝49A、49Bを規定する溝形成部をそれぞれ有する。また、内側部に対向するサブカバー40の各側部には、軸係入溝49A、49Bに対して外部から係入可能に設けられるとともに、軸係入溝49A、49Bの溝幅よりも厚みがある係合軸50A、50Bが同軸上に設けられている。また、溝形成部は、係合軸50A、50Bが外部から係入される際に、係合軸50A、50Bの係入を許容するように弾性を有する。また、溝形成部は、係合軸50A、50Bが係入された後に、弾性復帰して係合軸50A、50Bの逆方向への離脱不能に係止して、かつこの係止している状態でサブカバー40を開放可能に支持する。
【0056】
この結果、本実施形態によれば、サブカバーを仮置きする構造のための部品点数を少なくできるとともにサブカバーの固定工具が必要でない。また、サブカバーをメインカバーに仮置きする際に、組付け時の指スペースの何ら支障なく確保できる。また、サブカバーを開放状態にすることができるため、仮置き状態のサブカバーのためにスペースを多く取る必要がない。
【0057】
(2)本実施形態のサブカバーの仮置き構造では、サブカバー40は、開口部21を閉塞状態で、メインカバー20の表面と面一となる表面を有する。この結果、サブカバー40が取付け完了時にサブカバー40とメインカバー20とが面一なるカバー体において、特に上記(1)の効果を容易に実現できる。
【0058】
(3)本実施形態のサブカバーの仮置き構造では、係合軸50A、50Bは、溝形成部に係止している状態において、開口部21の開放量(開放角度)が大きい場合、開放量が小さい場合に比してかかり量が増大するようにその断面形状が形成されている。
【0059】
この結果、本実施形態によれば、サブカバー40が、揺動した後の仮置き状態では、サブカバー40が、メインカバー20から脱落することを抑制できる。
(4)本実施形態の溝形成部には、係合軸50A、50Bを軸係入溝49A、49Bへガイドするガイドリブ46A、46B(ガイド部)を有する。この結果、サブカバー40の係合軸50A、50Bをメインカバー20の軸係入溝49A、49Bに外部から係入する際、ガイドリブ46A、46Bによりガイドされて、軸係入溝に係入できるため、仮置きのための作業を容易に行うことができる。
【0060】
(5)本実施形態のサブカバーの仮置き構造では、サブカバー40には、溝形成部に係止している状態において、開口部21の開放量の増大を防止するストッパ53を有する。この結果、サブカバー40の開放量を規制して、仮置き状態時のサブカバー40によって、仮置き状態のサブカバー40の位置によって必要以上に不要なスペースをとることがないように制限できる。
【0061】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態では、開口部21をコ字状に形成したが、コ字状に限定するものではなく、円形、楕円形等の形状としてもよい。
【0062】
・前記実施形態のスナップフィット43A、43B、43Cと係合孔hの代わりに、嵌合突部をメインカバー20、及びサブカバー40のいずれか一方に設けて、他方にその嵌合突部に嵌合される嵌合孔を設けて、嵌合突部を嵌合孔に対して圧入固定するようにしてもよい。
【0063】
・前記実施形態では、切欠面52A、52Bを設けたが、切欠面52A、52Bを省略して、係合軸50A、50Bの全体を円筒軸、円柱軸、断面楕円形、或いは角柱等の軸としてもよい。
【0064】
・前記実施形態では、メインカバー20に段部25Aを形成したが、段部25Aを省略して、全体が四角箱状、円柱状、等の立体形状にして、開口部を形成してもよい。この場合、メインカバー20に設けられた開口部の形状に合わせて、サブカバーの形状をメインカバーの表面と面一とするように形成すればよい。
【0065】
・前記実施形態では、メインカバー20は、フロントガラスに取付けるものとしたが、取付場所は、フロントガラスに限定されるものではなく、他の場所であってもよい。
・前記実施形態では、ガイドリブ46A,46Bを設けたが、軸係入溝49A、49Bを残してガイドリブ46A,46Bを省略してもよい。すなわち、ガイド機能を省略してもよい。
【0066】
・前記実施形態では、サブカバー40に凹部55を設けたが、インナーミラーのステーをカバー体10の外部へ出すことがない、他の用途に使用するカバー体の場合は、凹部55を省略してもよい。
【0067】
・かかり量が大きくする場合、係合軸50A,50Bの周面に突部を形成してもよい。
・前記実施形態では、メインカバー20とサブカバー40とは面一としたが、必ずしも、面一とする必要はない。例えば、サブカバー40を開口部21内に陥没状態で配置することも可能である。或いは、サブカバー40により開口部21を閉塞した状態において、メインカバー20からサブカバー40を突出した状態で配置するようにしてもよい。