(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372160
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】ガスケット及びガスケットの取付け構造
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
F16J15/10 T
F16J15/10 Y
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-106175(P2014-106175)
(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-222093(P2015-222093A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(72)【発明者】
【氏名】日野 晃
【審査官】
杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−170664(JP,U)
【文献】
国際公開第2013/035483(WO,A1)
【文献】
実開昭54−028985(JP,U)
【文献】
特開2014−114839(JP,A)
【文献】
特開平10−009395(JP,A)
【文献】
特開平02−311137(JP,A)
【文献】
特開2013−212559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング本体に形成された相手溝に装着するガスケットであって、
ゴム状弾性材で、環状に形成されたガスケット本体の外周面及び/又は内周面に少なくとも一つの脱落防止体を延設すると共に、前記脱落防止体は、前記ハウジング本体に形成されている脱落防止体嵌着部に弾性変形させつつ嵌着させる際に、前記脱落防止体は、弾性変形の応力が、前記ガスケット本体の変形を及ぼさずに弾性変形する形状であり、
前記脱落防止体は、前記ガスケット本体の厚みよりも突出している部分を有することを特徴とするガスケット。
【請求項2】
前記脱落防止体は、前記脱落防止体嵌着部よりやや大きな幅の長円形柱状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記脱落防止体は、その裏面に凹み部を設け、ハウジング本体に穿設されている前記脱落防止体嵌着部に、前記脱落防止体の凹み部を弾性変形させ、前記脱落防止体嵌着部の表面に吸着可能とすることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項4】
前記ガスケット本体の厚みは、0.6〜2.0mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスケット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のガスケットを用い、前記ガスケット本体をハウジングのハウジング本体の溝内に装着すると共に、前記ガスケット本体の前記脱落防止体を、前記ハウジング本体の相手溝の上側周面に形成している脱落防止体嵌着部に、前記ガスケット本体の変形を及ぼさずに弾性変形させ嵌着させ、
前記脱落防止体嵌着部は、前記脱落防止体の前記ガスケット本体の厚みよりも突出している部分を収容するような深い部分が形成されていることを特徴とするガスケット取付け構造。
【請求項6】
前記脱落防止体嵌着部は、嵌着される前記脱落防止体との間に弾性変形吸収空間を有し、前記脱落防止体を、前記脱落防止体嵌着部に嵌着する際に、前記脱落防止体の弾性変形を前記脱落防止体嵌着部に有する弾性変形吸収空間で吸収させることを特徴とする請求項5に記載のガスケット取付け構造。
【請求項7】
前記脱落防止体嵌着部の深さは、前記脱落防止体の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項5又は6に記載のガスケット取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケット及びガスケットの取付け構造に関し、詳しくは、脱落しにくく装着しやすい厚みの薄いガスケット及びガスケットの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスケット装着時に、ハウジング本体のハウジングの相手溝内から、ガスケットが脱落するのを防止する技術として例えば特許文献1の技術が知られている。
【0003】
この技術は、溝の幅より深さが大きいハウジング本体の溝に適用するガスケットに関するもので、ガスケットの側面に傾倒防止凸部を設け、傾倒防止凸部の数カ所に突起を設ける構成となっている。そして、ガスケットがハウジング本体のハウジングの相手溝内で締め付け代を保持することで、相手部品が傾いた際のガスケットの溝からの脱落を防止している。
【0004】
この特許文献1の技術は、溝の幅より深さが大きいハウジング本体の溝に適用する場合には非常に有益である。しかしながら、例えば、特許文献2に示すサーボモータ等のケースカバー用シールや、特許文献3に示すロボットアームの可動部のカバー用シール等、ハウジング本体の相手溝が浅い場合には、特許文献1の技術をそのまま適用することはできない。すなわち、溝の深さが浅い形式のハウジング本体に対して、前記特許文献1を適用した場合には、傾倒防止凸部の保持力が著しく低下し、ガスケットを溝内で保持できない。また、ガスケットが溝から飛び出したり溝内で傾いたりし、保持状態が不安定となり、シール性への悪影響を及ぼす可能性がある。そして保持状態が不安定な為、組み付け作業に注意が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−9395号公報
【特許文献2】特開平2−311137号公報
【特許文献3】特開2013−212559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、溝の深さが浅い形式のハウジング本体に対して、ガスケット自体も薄いガスケットとなり、この薄いガスケットは、装着後本来の機能であるシール性を維持しつつ、装着に際して確実に装着ができ、その装着作業時に溝内へのフィット状態を維持することができるガスケット及びガスケットの取付け構造を提供することにある。
【0007】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するために成されたものであって、その技術的手段は、以下のように構成されている。
【0009】
(1)ハウジング本体に形成された相手溝に装着するガスケットであって、
ゴム状弾性材で、環状に形成されたガスケット本体の外周面及び/又は内周面に少なくとも一つの脱落防止体を延設すると共に、前記脱落防止体は、前記ハウジング本体に形成されている脱落防止体嵌着部に弾性変形させつつ嵌着させる際に、前記脱落防止体は、弾性変形の応力が、前記ガスケット本体の変形を及ぼさずに弾性変形する形状であり、
前記脱落防止体は、前記ガスケット本体の厚みよりも突出している部分を有することを特徴とするガスケット。
【0010】
(2)前記脱落防止体は、前記脱落防止体嵌着部よりやや大きな幅の長円形柱状に形成されていることを特徴とする前記(1)に記載のガスケット。
【0011】
(3)前記脱落防止体は、その裏面に凹み部を設け、ハウジング本体に穿設されている前記脱落防止体嵌着部に、前記脱落防止体の凹み部を弾性変形させ、前記脱落防止体嵌着部の表面に吸着可能とすることを特徴とする前記(1)に記載のガスケット。
【0012】
(4)前記ガスケット本体の厚みは、0.6〜2.0mmであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のガスケット。
【0013】
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のガスケットを用い、前記ガスケット本体をハウジングのハウジング本体の溝内に装着すると共に、前記ガスケット本体の前記脱落防止体を、前記ハウジング本体の相手溝の上側周面に形成している脱落防止体嵌着部に、前記ガスケット本体の変形を及ぼさずに弾性変形させ嵌着させ、
前記脱落防止体嵌着部は、前記脱落防止体の前記ガスケット本体の厚みよりも突出している部分を収容するような深い部分が形成されていることを特徴とするガスケット取付け構造。
【0014】
(6)前記脱落防止体嵌着部は、嵌着される前記脱落防止体との間に弾性変形吸収空間を有し、前記脱落防止体を、前記脱落防止体嵌着部に嵌着する際に、前記脱落防止体の弾性変形を前記脱落防止体嵌着部に有する弾性変形吸収空間で吸収させることを特徴とする前記(5)に記載のガスケット取付け構造。
【0015】
(7)前記脱落防止体嵌着部の深さは、前記脱落防止体の厚みよりも大きいことを特徴とする前記(5)又は(6)に記載のガスケット取付け構造。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガスケットに脱落防止体を設けており、この脱落防止体は弾性変形して脱落防止体嵌着部に嵌着する構成となっている。従って、ガスケットを浅い溝に装着しても安定して保持することができるので、ガスケットを装着時に安定して保持することが可能となり、組立作業が大幅に効率が向上することができる効果がある。
【0017】
更に、本発明によれば、脱落防止体を脱落防止体嵌着部に嵌着する際に、弾性変形時に生じる応力がガスケット本体に影響を及ぼすことが無いことにより、確実なシール性を保つ形状で組み立て作業をすることができる等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るガスケットを示す平面説明図。
【
図2】
図1の拡大説明図であって、(a)は、A−A線拡大断面図、(b)は、B−B線拡大断面図、(c)は、C−C線拡大断面図。
【
図3】本発明の第1の実施形態に使用するハウジング本体を示す平面説明図。
【
図4】
図3の拡大説明図であって、(a)は、D−D線拡大断面図、(b)は、E−E線拡大断面図、(c)は、F−F線拡大断面図。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るガスケットをハウジング本体の溝に装着した状態を示す平面説明図。
【
図6】
図5の拡大説明図であって、(a)は、G−G線拡大断面図、(b)は、H−H線拡大断面図、(c)は、I−I線拡大断面図、(d)は、J部拡大平面図。
【
図7】本発明に係るガスケットをハウジング本体の溝に装着した状態を示す拡大断面説明図。
【
図8】第2の実施形態におけるガスケットの脱落防止体を示す拡大斜視図。
【
図9】第3の実施形態におけるガスケットの脱落防止体を示す拡大斜視図。
【
図10】第4の実施形態におけるガスケットの脱落防止体を示す拡大斜視図。
【
図11】第4の実施形態におけるガスケットの脱落防止体の取付け状態を示す拡大断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳述する。
【0020】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るガスケットを
図1〜2に基づいて説明する。
【0021】
図1は、第1の実施形態に係るガスケットを示す平面説明図、
図2(a)は、
図1のA−A線拡大断面図、
図2(b)は、
図1のB−B線拡大断面図、
図2(c)は、
図1のC−C線拡大断面図である。
【0022】
第1の実施形態において、ガスケット1は、例えばシリコンゴム又はフッ素ゴム等などのゴム状弾性材で環状に形成される。そして、ガスケット1のシール性を維持する環状のガスケット本体11の外周面に、複数の脱落防止体12が、放射状外方に向かって延設されている。
【0023】
なお、ガスケット1に取り付ける脱落防止体12の数は特に限定するものでは無く、適用する機器との兼ね合いで決まるものであり、本実施の形態では4個の脱落防止体12を設けている。
【0024】
この脱落防止体12は、第1の実施の形態では、例えば平面形状が長円となる長円形柱体を用いており、この長円形柱体がガスケット本体11の外周面に放射状に突出するようにガスケット本体11に連結されている。そして、この脱落防止体12は、
図1に示すように、脱落防止体12の長円の長い径が、ガスケット本体11の外周面に沿う方向となるように配置されている。
【0025】
また、ガスケット本体11には、固定用タブ13が設けられており、前記脱落防止体12と同様にガスケット本体11の外周面から放射状外方に向かって延設されている。この固定用タブ13には、中央に固定用穴14が設けられている。
【0026】
図中15は、ガスケット本体11とハウジング本体2等とのシールに用いるためにガスケット本体11の周方向に亘って環状に設けられるシール用突起、16は固定用タブ13の固定用穴の周りに設けられるシール用突起である。これらシール用突起15、16は、ガスケット本体11の両面に設けられている。
【0027】
なお、前記脱落防止体12と固定用タブ13は、本実施の形態では、いずれもガスケット本体11の外周面側に設けているが、適用する機器との兼ね合いで決まるものである。従って、これらはガスケット本体11の内周面側に設けてもよく、内周面側と外周面側の両方に設けても良いことは言うまでも無い。
【0028】
ここで、このガスケット1は、これが装着される相手溝の深さが浅い場合に好ましく適用できる。例えば、ガスケット本体11の厚み(
図1の紙面に垂直なガスケット本体11の軸方向に沿う厚み)は、シール用突起15、16の高さを除き、例えば0.6〜2mm程度の厚みで形成することができる。一方、脱落防止体12の厚みd1(
図2(c)参照)は、ガスケット本体11の厚みに影響されることなく設定することができる。具体的な厚みは、適用する部材等によって異なるが、1.5〜5.0mm程度とすることができる。ただし、脱落防止体12が厚くなりすぎると、後述する脱落防止体嵌着部22に嵌着し難くなる。嵌着力を考慮すると、脱落防止体12の厚みd1は、2.0〜4.0mmに形成することが好ましい。
【0029】
なお、ガスケット本体11よりも厚みが大きい脱落防止体12は、
図2(c)に示すように、ガスケット本体11の上面(シール用突起15を除く)と脱落防止体12の上面(長円面)とを面一状となるように一致させ、脱落防止体12の下面側がガスケット本体11の下面よりも下方に突出するように設けられている。ガスケット1は、この脱落防止体12がガスケット本体11の厚みよりも突出している側が、後述するハウジング本体2の相手溝21へ装着される側となる。
【0030】
また、例えば
図1に示すようにガスケット1を、材料として(G657)を用いて製作した場合、脱落防止体12の長円形柱体の長円の幅L1を3.3mm、厚みを2mm強に形成し、後述する脱落防止体嵌着部22の幅L2を、例えば3.0mmの大きさに穿設することで、適度な弾性変形で嵌着を行うことができる。このように脱落防止体12と脱落防止体嵌着部22の大きさ、厚みは、材料等により適宜変更して設定することができる。
【0031】
なお、固定用タブ13の厚みは、後述する固定用タブ装着部23に装着でき、シール性を保てる厚みがあればよく特に厚みを限定するものでは無い。
【0032】
次に、ガスケットを取り付けるハウジング本体について、
図3、4に基づいて説明する。
【0033】
図3は、第1の実施形態に使用するハウジングを示す平面説明図、
図4(a)は、
図3のD−D線拡大断面図、
図4(b)は、
図3のE−E線拡大断面図、
図4(c)は、
図3のF−F線拡大断面図である。
【0034】
このハウジング本体2には、ガスケット本体11を装着させる相手溝21が穿設されている。この相手溝21は、ガスケット本体11に対応した環状に形成されている。そして、ハウジング本体2には、ガスケット本体11の脱落防止体12と固定用タブ13に対応する位置に、それぞれ穿設された脱落防止体嵌着部22と固定用タブ装着部23が配置されている。また、固定用タブ装着部23の中心には、ねじ穴24が設けられている。
【0035】
ここで、脱落防止体嵌着部22の幅L2は、脱落防止体12の長円側の幅より若干小さい幅に形成されている(
図1参照)。そして深さd2(
図4(c)参照)は、脱落防止体12の厚みd1(
図2参照)より大きく(深く)形成されている。
【0036】
なお、相手溝21は、前記ガスケット本体11のシール用突起15のシール性を維持する重要な部分であり、同じ深さで平滑面に形成され、同様に固定用タブ装着部23もシール用突起16に適応して、同様の深さで、平滑に形成している。また、相手溝21の溝幅は、ガスケット本体11及びシール用突起15の大きさに対応して形成し、装着ハウジング3を装着して締め付けた時に、ガスケット本体11の潰し代を考慮して、設定する。
【0037】
図5は、
図1に示すガスケットを
図3に示すハウジングの溝に装着した状態を示す平面説明図であり、
図6(a)は、
図5のG−G線拡大断面図、
図6(b)は、
図5のH−H線拡大断面図、
図6(c)は、
図5のI−I線拡大断面図、
図6(d)は、
図5のJ部の拡大平面図である。
【0038】
脱落防止体12を脱落防止体嵌着部22に、固定用タブ13を固定用タブ装着部23にそれぞれ配置させ、ガスケット本体11を相手溝21に挿入する。このとき、
図6(c)に示すように、脱落防止体12がガスケット本体11の厚みよりも突出している側が、脱落防止体嵌着部22内に収容されるよう配置させてガスケット本体11を相手溝21に挿入する。
【0039】
ここで、脱落防止体12は、
図6(d)に示すように、長円形柱状の長い径の幅が、脱落防止体嵌着部22の幅より若干大きく形成されている。従って、
図6(c)の矢印方向に上方から押し込むと、同図(d)の点線に示すように、脱落防止体12は、点線矢印に示すごとく弾性変形して、脱落防止体嵌着部22の内周面に適合する形状に弾性変形する。
【0040】
この脱落防止体嵌着部22は、相手溝21の径方向に沿う長さが脱落防止体12の突出長さよりも長く形成されている。このため、
図6(d)に示すように、脱落防止体嵌着部22に脱落防止体12を嵌着させる際、脱落防止体12の先端側に、弾性変形吸収空間25となる隙間が形成される。このため、脱落防止体12の弾性変形は、この弾性変形吸収空間25で吸収され、ガスケット本体11側に弾性変形時の応力による影響を及ぼすことがない。
【0041】
第1の実施形態に示す4個の脱落防止体12をそれぞれ嵌着し終えると、ガスケット本体11は、ほぼ完全にハウジング本体2に固定装着状態となる。この時、例えばハウジング本体2を傾けても、相手溝21内からガスケット本体11が抜け出ることは無く、装着時の作業性が非常に良好となっている。そして、この状態で
図7の点線に示すように装着ハウジング3を所定の位置に合わせ、固定ボルト4を螺合し締め付けることで、装着作業を終えることができる。
【0042】
なお、固定ボルト4を螺合し締め付ける時には、ガスケット本体11によるシール性保持の観点から、当然に脱落防止体12の下面が脱落防止体嵌着部22の底面から浮いていることが必要であることは当然である。脱落防止体嵌着部22の深さは、
図6(c)に示しているように脱落防止体12の厚みよりやや深く余裕を持って形成している。しかも、脱落防止体12は、ガスケット本体11の厚みよりも突出している側が脱落防止体嵌着部22内に挿入された状態となっており、装着ハウジング3が装着される上面において、脱落防止体12はガスケット本体11よりも上方に突出することはない。このため、装着ハウジング3の締め付け時に、脱落防止体12がガスケット本体11のシール時の潰れを阻害することはなく、ガスケット本体11のシール性を保持することができる。加えて、脱落防止体12を脱落防止体嵌着部22に押し込んで嵌着させる際の作業性も良好となる。
【0043】
第1の実施の形態は、上述のように構成し、ガスケットの本来の機能であるシール機能はガスケット本体11が担い、ガスケット本体11をハウジング本体2に固定する固定機能は脱落防止体12が脱落防止体嵌着部22に嵌着されることによって担っている。このため、それぞれシール機能と固定機能を独立に特化して機能させることができる。即ち、脱落防止体12を脱落防止体嵌着部22に嵌着する際に、シール部への応力の影響が少ない構成となっている。従って、ガスケット本体11をハウジング本体2の相手溝21に装着する際のフィット状態を確実に維持することができ、相手溝21が浅い薄型のガスケットにも適用することができるものである。
【0044】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施の形態に係る脱落防止体12を示す斜視図である。
【0045】
この第2の実施の形態においては、脱落防止体12の形状を変形した例を示している。この脱落防止体12は、外周面に複数の小さい円柱状の脱落防止部17が配列されるように形成した例であり、各脱落防止部17の円柱側面間の縦方向の凹みによって弾性変形の逃げ部を形成したものである。
【0046】
この第2の実施の形態も、第1の実施の形態と同様の効果がある。特に、脱落防止体12が弾性変形して脱落防止体嵌着部22の内周面と接触する接触部位は、各脱落防止部17の外面になるため、接触部位を第1の実施形態の場合よりも多くすることができ、装着状態が安定する。
【0047】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施の形態に係る脱落防止体12を示す斜視図である。
【0048】
この第3の実施の形態においては、脱落防止体12の形状を変形した例として、複数の円盤体を垂直方向(ガスケット本体11の軸方向)に積層した構成の脱落防止部18とした例である。この脱落防止体12の脱落防止部18では、積層した脱落防止部18の間の溝等の空間で弾性変形を逃すことができる。
【0049】
この第3の実施の形態も、第1の実施の形態と同様の効果がある。この脱落防止体12では、脱落防止体嵌着部22内に挿入される下方側の脱落防止部18を少し小さい径となるように形成して、弾性変形を少なくして挿入し易くすることもできる。
【0050】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施の形態に係る脱落防止体12を示す斜視図、
図11は
図10のK−K線拡大断面図である。
【0051】
この第4の実施の形態においては、脱落防止体12の下面中央部に、凹み部19を設けている。
【0052】
この実施の形態では、脱落防止体12を脱落防止体嵌着部22に位置させ、
図11の矢印方向に脱落防止体12を上方から押圧すると、脱落防止体12の弾性力により変形し、凹み部19内の空気が抜け、凹み部19が吸盤のように作用して脱落防止体嵌着部22内に吸着する。これにより、ガスケット本体11を相手溝21内に保持することができる。
【0053】
従って、第4の実施の形態も、第1の実施の形態と同様の効果がある。この脱落防止体12も、脱落防止体12を上方から押圧することで簡単に嵌着作業を終えることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ガスケット
11 ガスケット本体
12 脱落防止体
13 固定用タブ
14 固定用穴
15 シール用突起
16 シール用突起
17 脱落防止部
18 脱落防止部
19 凹み部
2 ハウジング本体
21 相手溝
22 脱落防止体嵌着部
23 固定用タブ装着部
24 ねじ穴
25 弾性変形吸収空間
3 装着ハウジング
4 固定ボルト