特許第6372223号(P6372223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372223
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】記録シートの搬送装置及び画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20180806BHJP
   B65H 7/12 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B65H5/06 D
   B65H7/12
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-153243(P2014-153243)
(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公開番号】特開2016-30661(P2016-30661A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】中田 隆介
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−187106(JP,A)
【文献】 特開2008−037584(JP,A)
【文献】 特開2007−276965(JP,A)
【文献】 特開2007−276976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02− 5/22
B65H 7/00− 7/20
B65H 29/12−29/32
B65H 43/00−43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲率を有する搬送通路に沿って記録シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送通路において記録シートが2枚以上重なって搬送された重送状態を検出する重送検出手段と、
前記重送検出手段によって前記重送状態が検出される前記記録シートの部分の、当該重送検出手段に対する姿勢を安定させる姿勢安定手段とを備え
前記搬送通路は、当該搬送通路の曲率半径の外側に配置されている外側案内部材と、当該外側案内部材よりも当該曲率半径の内側に配置されている内側案内部材とによって仕切られ、
前記搬送通路の前記内側案内部材は、前記重送検出手段の近傍で前記記録シートの少なくとも片面側で当該記録シートを案内する案内面を有するとともに当該案内面は凸面であり、
前記姿勢安定手段は、前記記録シートを前記内側案内部材の前記案内面に押圧する押圧手段であり、
前記押圧手段は、前記外側案内部材に設けられているとともに、前記搬送通路において、前記記録シートを前記案内面の前記凸面の外方から当該凸面に押圧し、
前記搬送手段は、前記凸面に沿って前記記録シートを搬送する
ことを特徴とする記録シートの搬送装置。
【請求項2】
前記外側案内部材は、開口を有し、
前記押圧手段の一部は、前記外側案内部材の前記開口を通して前記搬送通路に突出して前記記録シートに接することを特徴とする請求項1に記載の記録シートの搬送装置。
【請求項3】
前記押圧手段は、回転可能な円柱状の押圧部を有することを特徴とする請求項1に記載の記録シートの搬送装置。
【請求項4】
前記押圧手段は、前記記録シートを押圧する付勢手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録シートの搬送装置。
【請求項5】
前記押圧手段は、押圧部と、当該押圧部の端部に設けられている軸部と、当該軸部の上に前記記録シートの搬送方向に架け渡すように設けられている付勢手段と、を有し、
前記押圧部は、前記付勢手段によって、前記外側案内部材から前記内側案内部材の方向へ押圧することを特徴とする請求項1に記載の記録シートの搬送装置。
【請求項6】
前記押圧手段は、前記記録シートの搬送動作を阻害しないことを特徴とする請求項1に記載の記録シートの搬送装置。
【請求項7】
前記押圧手段は、前記記録シートの搬送方向に交差する方向に沿って、前記重送検出手段によって前記重送状態が検出される当該記録シートの部分を挟んで複数設けられている請求項1に記載の記録シートの搬送装置。
【請求項8】
前記押圧手段は、前記記録シートの搬送方向に沿って、前記重送検出手段によって前記重送状態が検出される当該記録シートの部分を挟んで複数設けられている請求項1に記載の記録シートの搬送装置。
【請求項9】
曲率を有する搬送通路に沿って記録シートを搬送する搬送手段と、当該搬送通路において記録シートが2枚以上重なって搬送された重送状態を検出する重送検出手段、当該重送検出手段によって当該重送状態が検出される当該記録シートの部分の、当該重送検出手段に対する姿勢を安定させる姿勢安定手段とを備え、当該搬送通路は、当該搬送通路の曲率半径の外側に配置されている外側案内部材と、当該外側案内部材よりも当該曲率半径の内側に配置されている内側案内部材とによって仕切られ、当該搬送通路の当該内側案内部材は、当該重送検出手段の近傍で当該記録シートの少なくとも片面側で当該記録シートを案内する凸面である案内面を有し、当該姿勢安定手段は、当該記録シートを当該内側案内部材の当該案内面に押圧する押圧手段であり、当該押圧手段は、当該外側案内部材に設けられているとともに、当該搬送通路において、当該記録シートを当該案内面の当該凸面の外方から当該凸面に押圧し、当該搬送手段は、当該凸面に沿って当該記録シートを搬送する記録シート搬送部と、
前記搬送通路のうち、前記姿勢安定手段よりも、前記記録シートの搬送方向の下流側に設けられた、当該記録シートに記録された画像を読み取る画像読取部とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートの搬送装置及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートの供給装置において、シートを載せるスタッカー上にシートの搬送方向長さを判別するシートサイズ認識手段を設け、このスタッカーから処理プラテンにシートを案内する搬送ガイド中の2つの搬送手段の間に超音波センサなどの重送検知手段を配置して、シートの重送を検出するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、用紙搬送部から搬送されてくる用紙に対して印刷処理を行う印刷部と、用紙搬送部内の判定位置において重送が発生しているか否かを判定する重送検出センサとが含まれる画像形成装置において、用紙搬送部は、両面印刷処理時において1回目の印刷処理の処理対象となる用紙を印刷部へ案内する第1経路と、両面印刷処理時において1回目の印刷処理が施された後且つ2回目の印刷処理の処理対象となる用紙を印刷部へ案内する第2経路とを含み、判定位置Tは、第1経路に配されており、第2経路には配されていないものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−162425号公報
【特許文献2】特開2008−254895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録シートの搬送通路が曲率を有する部分では、直線部分よりも、重送検出手段に対する記録シートの姿勢がばらつき易い。また、一般に重送検出手段を含む検知手段は検知領域がそれぞれ決まっている。記録シートの姿勢のばらつきは、重送検出手段による記録シートの重送状態の検出結果にばらつきを生じさせる。そこで、従来は、記録シートが平坦となる搬送通路の直線部分に重装検出手段を配置していて、レイアウトに制約があった。
本発明は、搬送通路が曲率を有していても、重送検出手段による記録シートの重送状態の検出結果のばらつきを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、曲率を有する搬送通路に沿って記録シートを搬送する搬送手段と、前記搬送通路において記録シートが2枚以上重なって搬送された重送状態を検出する重送検出手段と、前記重送検出手段によって前記重送状態が検出される前記記録シートの部分の、当該重送検出手段に対する姿勢を安定させる姿勢安定手段とを備え、前記搬送通路は、当該搬送通路の曲率半径の外側に配置されている外側案内部材と、当該外側案内部材よりも当該曲率半径の内側に配置されている内側案内部材とによって仕切られ、前記搬送通路の前記内側案内部材は、前記重送検出手段の近傍で前記記録シートの少なくとも片面側で当該記録シートを案内する案内面を有するとともに当該案内面は凸面であり、前記姿勢安定手段は、前記記録シートを前記内側案内部材の前記案内面に押圧する押圧手段であり、前記押圧手段は、前記外側案内部材に設けられているとともに、前記搬送通路において、前記記録シートを前記案内面の前記凸面の外方から当該凸面に押圧し、前記搬送手段は、前記凸面に沿って前記記録シートを搬送することを特徴とする記録シートの搬送装置である。
請求項2に係る発明は、前記外側案内部材は、開口を有し、前記押圧手段の一部は、前記外側案内部材の前期開口を通して前記搬送通路に突出して前記記録シートに接することを特徴とする請求項1に記載の記録シートの搬送装置である。
請求項3に係る発明は、前記押圧手段は、回転可能な円柱状の押圧部を有することを特徴とする請求項1に記載の記録シートの搬送装置である。
請求項4に係る発明は、前記押圧手段は、前記記録シートを押圧する付勢手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録シートの搬送装置である。
請求項5に係る発明は、前記押圧手段は、押圧部と、当該押圧部の端部に設けられている軸部と、当該軸部の上に前記記録シートの搬送方向に架け渡すように設けられている付勢手段と、を有し、前記押圧部は、前記付勢手段によって、前記外側案内部材から前記内側案内部材の方向へ押圧することを特徴とする請求項1に記載の記録シートの搬送装置である。
請求項6に係る発明は、前記押圧手段は、前記記録シートの搬送動作を阻害しないことを特徴とする請求項1に記載の記録シートの搬送装置である。
請求項に係る発明は、前記押圧手段は、前記記録シートの搬送方向に交差する方向に沿って、前記重送検出手段によって前記重送状態が検出される当該記録シートの部分を挟んで複数設けられている請求項1に記載の記録シートの搬送装置である。
請求項に係る発明は、前記押圧手段は、前記記録シートの搬送方向に沿って、前記重送検出手段によって前記重送状態が検出される当該記録シートの部分を挟んで複数設けられている請求項1に記載の記録シートの搬送装置である。
請求項に係る発明は、曲率を有する搬送通路に沿って記録シートを搬送する搬送手段と、当該搬送通路において記録シートが2枚以上重なって搬送された重送状態を検出する重送検出手段、当該重送検出手段によって当該重送状態が検出される当該記録シートの部分の、当該重送検出手段に対する姿勢を安定させる姿勢安定手段とを備え、当該搬送通路は、当該搬送通路の曲率半径の外側に配置されている外側案内部材と、当該外側案内部材よりも当該曲率半径の内側に配置されている内側案内部材とによって仕切られ、当該搬送通路の当該内側案内部材は、当該重送検出手段の近傍で当該記録シートの少なくとも片面側で当該記録シートを案内する凸面である案内面を有し、当該姿勢安定手段は、当該記録シートを当該内側案内部材の当該案内面に押圧する押圧手段であり、当該押圧手段は、当該外側案内部材に設けられているとともに、当該搬送通路において、当該記録シートを当該案内面の当該凸面の外方から当該凸面に押圧し、当該搬送手段は、当該凸面に沿って当該記録シートを搬送する記録シート搬送部と、前記搬送通路のうち、前記姿勢安定手段よりも、前記記録シートの搬送方向の下流側に設けられた、当該記録シートに記録された画像を読み取る画像読取部とを備えたことを特徴とする画像読取装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1及びに係る発明によれば、搬送通路が曲率を有していても、重送検出手段に対する記録シートの姿勢のばらつきを抑制する。
請求項2に係る発明によれば、記録シートの両面から円柱状のころ対で挟んで記録シートの姿勢を安定させる構成に比べて、記録シートの姿勢を安定させる。
請求項3に係る発明によれば、記録シートとの摩擦を減少することで、記録シートの円滑な搬送を妨げない。
請求項4に係る発明によれば、記録シートに適切な押圧力を付与することで、記録シートの姿勢の安定性を高める。
請求項5に係る発明によれば、位置ずれのおこりやすい外側案内部材に押圧するのではなく、位置ずれのおこりにくい内側案内部材に押圧することで、記録シートの姿勢の安定性を高める。
請求項6に係る発明によれば、記録シートの円滑な搬送を妨げないとともに、記録シートの姿勢の安定性を高める。
請求項に係る発明によれば、検出される部分を幅方向の両側から押圧することで、姿勢の安定性を高める。
請求項に係る発明によれば、押圧手段の配置の自由度を高める。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施の形態に係る画像読取装置を示す側部断面図である。
図2図1に示した画像読取装置における用紙送り装置の詳細を示す図である。
図3】用紙送り装置の内部を透視した平面図である。
図4図3における外側案内板を透視した平面図である。
図5図3におけるV−V線に沿った要部断面を示す図である。
図6】押圧手段の詳細の構成を示す斜視図である。
図7図3におけるVII−VII線に沿った要部断面を示す図である。
図8図3におけるVIII−VIII線に沿った要部断面を示す図である。
図9】用紙が2つの搬送ローラによって支持されている状態で、これら2つの搬送ローラの間での用紙の曲り具合を示す模式図である。
図10】押圧手段を、超音波センサによって重送状態が検出される用紙の部分を、用紙の搬送方向及び幅方向に沿ってそれぞれ挟んで隣接する部分の4か所に設けた構成を示す図3相当の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<画像読取装置の説明>
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像読取装置1を示す側部断面図である。
図示の画像読取装置1は、原稿である用紙P(記録シートの一例)に保持されている画像を読み取って、この画像に対応した画像情報を取得するものである。この画像読取装置1は、複数の用紙Pが束ねられた用紙束から用紙Pを1枚ずつ順次搬送する用紙送り装置10(記録シートの搬送装置及び記録シート搬送部の一例)と、画像を読み込むスキャナ装置70とを備えている。
【0009】
<用紙送り装置>
図2は、図1に示した用紙送り装置10の詳細を示す図である。図示の用紙送り装置10は、用紙束を積載する用紙収容部11、読み取りが終了した用紙P(図1参照)を積載する排紙収容部12、用紙収容部11から排紙収容部12まで用紙Pを通過させる搬送通路20及び用紙Pを搬送通路20に沿って搬送する搬送手段30を備えている。
なお、以下の説明では便宜上、用紙Pが用紙収容部11に積載された状態で画像読取装置1の上方を向く面を用紙Pの表面(おもてめん)と称し、下方を向く面を用紙Pの裏面と称するものとする。
【0010】
(搬送通路)
搬送通路20は、用紙収容部11から図示左方向に延び、その左方に延びた先から下方に向けて、反時計回り方向に曲率を有して湾曲して延び、さらに、到達した下方から、用紙送り装置10の右下の排紙収容部12に向けて図示右方向に延びている。なお、曲率を有してとは、曲率が0(ゼロ)でないことを意味する。
搬送通路20は、詳しくは図2に示すように、用紙Pの厚さを超える間隔を以て配置された内側案内板22と外側案内板21とによって仕切られている。外側案内板21は、搬送通路20の半径方向の外側に配置され、内側案内板22は外側案内板21よりも半径方向の内側に配置されている。
【0011】
(搬送手段)
搬送手段30は、搬送通路20に沿って設けられた複数の搬送ロール及び搬送ロールを駆動する、図示を省略した駆動手段を備えている。これら複数の搬送ロールは、具体的には、搬送通路20に沿って用紙P(図1参照)が搬送される搬送方向Xの上流側から順に、繰り出しロール31、捌きロール32、レジロール33、送りロール34、アウトロール35及び排出ロール36である。
【0012】
繰り出しロール31は、用紙収容部11から用紙Pを取り出して搬送通路20に用紙Pを繰り出す搬送ロールであり、用紙Pの裏面の側に配置された、樹脂で形成された繰り出し第1ロール31aと、用紙Pの表面(おもてめん)の側に配置された、外周面にゴム材が巻かれた繰り出し第2ロール31b及び繰り出し第3ロール31cとを備えている。
繰り出し第2ロール31bと繰り出し第3ロール31cとは、搬送方向Xに沿って並んで、支持部材31dにより一体に支持されている。繰り出し第1ロール31aと繰り出し第2ロール31bとは接触していて、繰り出し第1ロール31aに繰り出し第2ロール31bが接触している状態で、支持部材31d、繰り出し第2ロール31b及び繰り出し第3ロール31cの全体が繰り出し第2ロール31b回りに揺動自在となっている。そして、用紙Pを繰り出すときは、繰り出し第3ロール31cが内側案内板22に接する位置まで傾いて、内側案内板22に繰り出し第3ロール31cが接する。
【0013】
図示を省略した駆動手段により、繰り出し第2ロール31b及び繰り出し第3ロール31cが同期して同一方向(図示の例では、時計回り方向)に回転することで、内側案内板22と繰り出し第3ロール31cとの間に用紙Pが挟まれて、用紙Pは搬送通路20に沿って搬送方向Xの下流側に搬送される。搬送された用紙Pは、繰り出し第2ロール31bと繰り出し第1ロール31aとの間に挟まれて、搬送通路20に沿って搬送方向Xのさらに下流側に搬送される。
【0014】
捌きロール32は、繰り出しロール31よりも用紙Pの搬送方向Xの下流側に設けられ、用紙Pを1枚ずつ捌き、さらに搬送方向Xの下流側に向けて搬送する搬送ロールである。捌きロール32は、用紙Pの裏面の側に配置された、外周面にゴム材が巻かれた捌き第1ロール32aと、用紙Pの表面(おもてめん)の側に配置された、樹脂で形成された捌き第2ロール32bとを備えている。
捌き第1ロール32aと捌き第2ロール32bとは接触していて、図示を省略した駆動手段により、捌き第1ロール32aが回転する(図示の例では、反時計回り方向)ことで、繰り出しロール31から送られてきた用紙Pが、捌き第1ロール32aと捌き第2ロール32bとの間に挟まれて、用紙Pは搬送通路20に沿って搬送方向Xのさらに下流側に搬送される。
【0015】
レジロール33は、捌きロール32よりも用紙Pの搬送方向Xの下流側に設けられ、用紙Pのレジストレーションの調整を行いながら、用紙Pを搬送方向Xの下流側に搬送する搬送ロールである。レジロール33は、用紙Pの裏面の側に配置された、外周面にゴム材が巻かれたレジ第1ロール33aと、用紙Pの表面(おもてめん)の側に配置された、樹脂で形成されたレジ第2ロール33bとを備えている。
レジ第1ロール33aとレジ第2ロール33bとは接触していて、図示を省略した駆動手段により、レジ第1ロール33aが回転する(図示の例では、反時計回り方向)ことで、捌きロール32から送られてきた用紙Pが、レジ第1ロール33aとレジ第2ロール33bとの間に挟まれて、用紙Pは搬送通路20に沿って搬送方向Xのさらに下流側に搬送される。
【0016】
送りロール34は、レジロール33よりも用紙Pの搬送方向Xの下流側に設けられ、用紙Pを、送りロール34とアウトロール35との間に設けられたプラテン部材39に向けてさらに搬送方向Xの下流側に搬送する搬送ロールである。送りロール34は、用紙Pの裏面の側に配置された、外周面にゴム材が巻かれた送り第1ロール34aと、用紙Pの表面(おもてめん)の側に配置された、樹脂で形成された送り第2ロール34bとを備えている。
送り第1ロール34aと送り第2ロール34bとは接触していて、図示を省略した駆動手段により、送り第1ロール34aが回転する(図示の例では、反時計回り方向)ことで、レジロール33から送られてきた用紙Pが、送り第1ロール34aと送り第2ロール34bとの間に挟まれて、用紙Pは搬送通路20に沿って搬送方向Xのさらに下流側に搬送される。
【0017】
プラテン部材39は、送りロール34により送られてきた用紙Pの表面を、スキャナ装置70(図1参照)の第1プラテンガラス72Aに押し付けた状態とする。プラテン部材39を通り過ぎた用紙Pは、スキャナ装置70の原稿台71に設けられたガイド部材82の斜面に沿って上方に案内され、搬送通路20に沿って搬送方向Xのさらに下流側のアウトロール35に向けて搬送される。
【0018】
アウトロール35は、図2に示すように、プラテン部材39よりも用紙Pの搬送方向Xの下流側に設けられ、用紙Pを、さらに搬送方向Xの下流側に搬送する搬送ロールである。アウトロール35は、用紙Pの裏面の側に配置された、外周面にゴム材が巻かれたアウト第1ロール35aと、用紙Pの表面(おもてめん)の側に配置された、樹脂で形成されたアウト第2ロール35bとを備えている。
アウト第1ロール35aとアウト第2ロール35bとは接触していて、図示を省略した駆動手段により、アウト第1ロール35aが回転する(図示の例では、反時計回り方向)ことで、プラテン部材39を通過してきた用紙Pが、アウト第1ロール35aとアウト第2ロール35bとの間に挟まれて、用紙Pは搬送通路20に沿って搬送方向Xのさらに下流側に搬送される。
【0019】
排出ロール36は、アウトロール35よりも用紙Pの搬送方向Xの下流側に設けられ、用紙Pを、搬送方向Xの下流の排紙収容部12に搬送する搬送ロールである。排出ロール36は、用紙Pの裏面の側に配置された、外周面にゴム材が巻かれた排出第1ロール36aと、用紙Pの表面(おもてめん)の側に配置された、外周面にゴム材が巻かれた排出第2ロール36bとを備えている。
排出第1ロール36aと排出第2ロール36bとは接触していて、図示を省略した駆動手段により、排出第1ロール36aが回転する(図示の例では、反時計回り方向)ことで、アウトロール35から送られてきた用紙Pが、排出第1ロール36aと排出第2ロール36bとの間に挟まれて、用紙Pは排紙収容部12に排出される。
【0020】
上述した捌きロール32、レジロール33、送りロール34及びアウトロール35はそれぞれ、内側案内板22の側に配置された第1ロール(捌き第1ロール32a、レジ第1ロール33a、送り第1ロール34a及びアウト第1ロール35a)と外側案内板21の側に配置された第2ロール(捌き第2ロール32b、レジ第2ロール33b、送り第2ロール34b及びアウト第2ロール35b)との共通接線が、搬送通路20に沿うように配置されている。
【0021】
図3は、用紙送り装置10の内部を透視した平面図であり、図4は、図3における外側案内板21を透視した平面図である。
上述した搬送ロールのうち繰り出し第1ロール31a、繰り出し第2ロール31b及び繰り出し第3ロール31cはそれぞれ、図3に示すように、搬送される用紙Pの幅方向W(搬送方向Xに直交する方向)の中央部の1か所に設けられている。
【0022】
捌き第1ロール32a及び捌き第2ロール32bはそれぞれ、図4に示すように、搬送される用紙Pの幅方向Wの異なる5か所に設けられている。これら5組の捌き第1ロール32a及び捌き第2ロール32bのうち幅方向Wの両端の2組の捌き第1ロール32a1及び捌き第2ロール32b1は、幅方向Wの中央(両端以外の)の3組の捌き第1ロール32a2及び捌き第2ロール32b2よりも、幅方向Wに沿った長さが短く形成されている。
また、幅方向Wの中央の3組の捌き第1ロール32a2及び捌き第2ロール32b2は、用紙サイズが例えばB5サイズやA4サイズなどの相対的に幅の狭い用紙Pを送った場合にも、用紙Pに接する位置に配置されている。一方、幅方向Wの両端の2組の捌き第1ロール32a1及び捌き第2ロール32b1は、用紙サイズが例えばB4サイズやA3サイズなどの相対的に幅の広い用紙Pを送った場合にのみ、用紙Pに接する位置に配置されている。
【0023】
なお、本明細書において、両端の2個の捌き第1ロール32a1と中央の3個の捌き第1ロール32a2とを特に区別する必要がないときは、単に捌き第1ロール32aと称することもある。同様に、両端の2個の捌き第2ロール32b1と中央の3個の捌き第2ロール32b2とを特に区別する必要がないときは、単に捌き第2ロール32bと称することもある。
これら5個の捌き第1ロール32aは、幅方向Wに沿って延びた共通の軸32fに固定されていて、この軸32fが、図示を省略した駆動手段によって回転駆動されることで、5個の捌き第1ロール32aは連動して回転する。
【0024】
また、5個の捌き第2ロール32bも、幅方向Wに沿って延びた共通の軸32gに固定されていて、この軸32gには圧縮ばね32sが接している。この圧縮ばね32sの軸方向に発生する弾性力により軸32gが軸32fに向けて押され、捌き第2ロール32bを捌き第1ロール32aに押圧して接触させている。そして、捌き第1ロール32aとの接触により、又は捌き第1ロール32aによって送られる用紙Pとの接触により、各捌き第2ロール32bは回転する。
【0025】
レジ第1ロール33a及びレジ第2ロール33bはそれぞれ、図4に示すように、搬送される用紙Pの幅方向Wの異なる4か所に設けられている。これら4組のレジ第1ロール33a及びレジ第2ロール33bのうち、両端の2組のレジ第1ロール33a1及びレジ第2ロール33b1は、中央(両端以外の)の2組のレジ第1ロール33a2及びレジ第2ロール33b2よりも、幅方向Wに沿った長さが短く形成されている。
【0026】
幅方向Wの中央の2組のレジ第1ロール33a2及びレジ第2ロール33b2は、幅方向Wに関して、中央の3組の捌き第1ロール32a2及び捌き第2ロール32b2のうちの両端の捌き第1ロール32a2及び捌き第2ロール32b2と同じ位置に配置されている。
幅方向Wの両端の2組のレジ第1ロール33a1及びレジ第2ロール33b1は、幅方向Wに関して、両端の2組の捌き第1ロール32a1及び捌き第2ロール32b1と同じ位置に配置されている。
なお、本明細書において、両端の2個のレジ第1ロール33a1と中央の2個のレジ第1ロール33a2とを特に区別する必要がないときは、単にレジ第1ロール33aと称することもある。また、両端の2個のレジ第2ロール33b1と中央の2個のレジ第2ロール33b2とを特に区別する必要がないときは、単にレジ第2ロール33bと称することもある。
【0027】
これら4個のレジ第1ロール33aは、幅方向Wに沿って延びた共通の軸33fに固定されていて、この軸33fが駆動手段によって回転駆動されることで、4個のレジ第1ロール33aは連動して回転する。
また、4個のレジ第2ロール33bも、幅方向Wに沿って延びた共通の軸33gに固定されていて、この軸33gには圧縮ばね33sが接している。この圧縮ばね33sの軸方向に発生する弾性力により軸33gが軸33fに向けて押され、レジ第2ロール33bをレジ第1ロール33aに押圧して接触させている。そして、レジ第1ロール33aとの接触により、又はレジ第1ロール33aによって送られる用紙Pとの接触により、各レジ第2ロール33bは回転する。
【0028】
なお、送り第1ロール34a(図2参照)及び送り第2ロール34b並びにアウト第1ロール35a及びアウト第2ロール35bについても、レジ第1ロール33a及びレジ第2ロール33bと同様に、搬送される用紙Pの幅方向Wの異なる4か所に設けられていて、それぞれが対応する共通の軸34f,34g,35f,35gに固定されている。
そして、送り第1ロール34aの共通の軸34f及びアウト第1ロール35aの共通の軸35fがそれぞれ、駆動手段によって回転駆動されることで、4個の送り第1ロール34aは連動して回転し、4個のアウト第1ロール35aは連動して回転する。
【0029】
また、送り第2ロール34bの共通の軸34gには、引っ張りばね34sが接していて、この引っ張りばね34sのスラスト方向に発生する弾性力により軸34gが軸34fに向けて押され、送り第2ロール34bを送り第1ロール34aに押圧して接触させている。そして、送り第1ロール34aとの接触により、又は送り第1ロール34aによって送られる用紙P(図1参照)との接触により、各送り第2ロール34bは回転する。
同様に、アウト第2ロール35bの共通の軸35gには、引っ張りばね35sが接していて、この引っ張りばね35sのスラスト方向に発生する弾性力により軸35gが軸35fに向けて押され、アウト第2ロール35bをアウト第1ロール35aに押圧して接触させている。そして、アウト第1ロール35aとの接触により、又はアウト第1ロール35aによって送られる用紙Pとの接触により、各アウト第2ロール35bは回転する。
【0030】
搬送通路20に沿って設けられた4つの搬送ロール(捌きロール32、レジロール33、送りロール34及びアウトロール35)は、搬送方向Xに関して相対的に上流側に設けられている搬送ロールよりも相対的に下流側に設けられている搬送ロールの方が、速い回転速度で駆動される。
搬送方向Xに関して相隣り合う2つの搬送ロールのピッチと用紙Pの長さ(搬送方向Xに沿った寸法)との関係により、搬送通路20を搬送されている用紙Pは、1つ又は2つの搬送ロールに挟まれた状態で、搬送方向Xに沿って搬送される。2つの搬送ロールで挟まれているときは、搬送方向Xの下流側の搬送ロールが上流側の搬送ロールよりも回転速度が速いため、用紙Pは、この2つの搬送ロールの間の搬送通路20において、弛みが無くなり張った状態となる。したがって、用紙Pは、曲率を有する搬送通路20のうち内側案内板22の内側案内面22aに沿って搬送される。
なお、本実施の形態では、内側案内面22aは曲率を有する搬送通路20の内側に配置されているので、内側案内面22a自体が凸面となっているが、この形態に限らず、内側案内板22は搬送通路20の曲率を有する範囲の全域に亘って配置されてなくてもよく、搬送通路20が曲率を有していれば、内側案内面22a自体は直線形状であってもよい。
【0031】
(超音波センサ)
図5は、図3におけるV−V線に沿った要部断面を示す図である。用紙送り装置10は、図5に示すように、搬送通路20のうち、捌きロール32とレジロール33との間の曲率を有する部分を通過する用紙Pが2枚以上重なって搬送された重送状態を検出する超音波センサ50(重送検出手段の一例)を備えている。超音波センサ50は、搬送方向Xにおける捌きロール32とレジロール33との間であって、図3,4に示すように、用紙Pの幅方向Wにおける中央部に配置されている。
【0032】
この超音波センサ50は、超音波を送信する送信器51と超音波を受信する受信器52とを備えている。この用紙送り装置10では、一例として、送信器51が搬送通路20に対して内側案内板22の側に配置され、受信器52が搬送通路20に対して外側案内板21の側に配置されている。ただし、送信器51が外側案内板21の側に配置され、受信器52が内側案内板22の側に配置されていてもよい。
送信器51は、搬送通路20に対して内側案内板22の外方で固定され、受信器52は、搬送通路20に対して外側案内板21の外方で固定されていて、送信器51と受信器52とは、搬送通路20を搬送される用紙Pを挟んで、送受信面を対向して配置されている。
【0033】
超音波センサ50は、送信器51から送信された超音波を受信器52で受信し、受信した超音波の信号レベルの大小によって、重送状態になっていないか又は重送状態になっているかの別を検出する。このため、送信器51から送信された超音波を受信器52が受信できるように、内側案内板22及び外側案内板21のうち、送信器51から受信器52までの超音波が通過する部分にはそれぞれ、超音波を通過させる孔22f,21fが形成されている。
そして、送信器51と受信器52とを結んだ、超音波が通過する直線L1が搬送通路20上を通過する用紙Pと交差する部分Tにおいて、重送状態を検出する。
【0034】
超音波センサ50は、重送状態を検出する用紙Pの部分Tにおいて、用紙Pに対して傾斜して配置されている。つまり、図5に示すように、超音波センサ50の送信器51と受信器52とを結んだ直線L1とこの直線L1が交差する用紙Pの部分Tにおける用紙Pの接線(搬送通路20を仕切る内側案内板22の内側案内面22aに沿った用紙Pの接線)L2とのなす角度θ(超音波センサ50に対する用紙Pの姿勢の一例)は、角度90[度]以外の例えば60[度]から70[度]の角度範囲に設定されている。
なお、直線L1と接線L2とがなす角度θについては、用紙Pの仕様(種類や厚さなど)や適用される超音波センサ50の仕様により決められるものであり、重送状態になっているか否かを峻別する限り、60[度]から70[度]の角度範囲に限定されるものではない。
【0035】
(押圧手段)
本実施の形態の用紙送り装置10は、図5に示すように、超音波センサ50によって重送状態が検出される用紙Pの部分Tにおける、超音波センサ50に対する用紙Pの姿勢(本実施の形態においては角度θ)を安定させる姿勢安定手段の一例として押圧手段60を備えている。
押圧手段60は、外側案内板21に配置されていて、用紙Pを部分Tにおいて、内側案内面22aに押圧する。ここで、内側案内面22aは凸面となっていて、押圧手段60は、この凸面の外方から用紙Pを押圧する。そして、押圧手段60は、用紙Pの部分Tを内側案内面22aに押圧することで、用紙Pの部分Tの姿勢がばらつくのを抑制している。
【0036】
図6は、押圧手段60の詳細の構成を示す斜視図、図7は、図3におけるVII−VII線に沿った要部断面を示す図、図8は、図3におけるVIII−VIII線に沿った要部断面を示す図である。
押圧手段60は、図6に示すように、軸回りに回転自在の円柱状の押圧部61と押圧部61の端面62からそれぞれ円柱の軸方向に突出した軸部63とを有するころ64と、ころ64に押圧力を付与する引っ張りばね65とを備える。
外側案内板21には、搬送通路20に臨む面である外側案内面21a(図2参照)とは反対側の面の側に突出した2つの軸受け21dが形成されていて、各軸受け21dはころ64の軸部63を回転自在に支持する。また、外側案内板21の2つの軸受け21dの間には開口21eが形成されていて、軸受け21dに軸部63が支持されたころ64の押圧部61の一部が、図8に示すように、開口21eを通して搬送通路20に突出し、その突出した押圧部61の外周面61aが用紙Pに接する。
【0037】
軸受け21dに支持された両軸部63(図6参照)にはそれぞれ、軸部63を外方から軸受け21dに押圧する弾性力を付与する引っ張りばね65が外方から架け渡されている。各引っ張りばね65は、弾性変形の領域内で伸ばされた状態で、軸部63に架け渡されて、図7に示すように、両端65a,65bはそれぞれ外側案内板21に固定されている。
これにより、軸部63には引っ張りばね65のスラスト方向の弾性力が作用し、図8に示すように、押圧部61の外周面61aが、用紙Pを内側案内面22aに押し付ける。
押圧手段60は、図3,4に示すように、幅方向Wに沿って、用紙Pの部分Tを挟んで2つ設けられている。
【0038】
(画像読取部)
用紙送り装置10は、図2に示すように、搬送通路20のうちアウトロール35と排出ロール36との間に、用紙P(図1参照)の裏面に保持されている画像を読み取って画像情報を取得する第2画像読取部40を備えている。この第2画像読取部40は、搬送通路20の、押圧手段60よりも搬送方向Xの下流側に設けられた、用紙Pに記録された画像を読み取って画像情報を取得する画像読取部の一例である。
この第2画像読取部40は、搬送通路20のうちアウトロール35と排出ロール36との間の部分を搬送されている用紙Pに、搬送方向Xに交差する方向に沿って延びた線状の光を照射する線状光源と、線状の光の照射を受けた用紙Pの裏面から出射した、その裏面に保持されている画像による線状の反射光を光電的に読み取るラインセンサとを備えている。
【0039】
なお、後述するように、用紙Pが搬送通路20のうち送りロール34とアウトロール35との間を搬送されている期間中、用紙Pはプラテン部材39によってスキャナ装置70(図1参照)の第2プラテンガラス72Bに押し付けられて、用紙Pの表面(おもてめん)に保持されている画像が、第2プラテンガラス72Bを通してスキャナ装置70によって読み取られる。
ここで、スキャナ装置70も、搬送通路20の、押圧手段60よりも搬送方向Xの下流側に設けられた、用紙Pに記録されている画像を読み取って画像情報を取得する画像読取部の一例である。
【0040】
<スキャナ装置>
図1に示すように、スキャナ装置70は、上述した用紙送り装置10を開閉可能に支持するとともに、用紙送り装置10によって搬送される用紙Pの表面(おもてめん)に保持された画像の読み取りを行う。
スキャナ装置70は、読み取りの際に用紙Pを静止した状態で載せておく第1プラテンガラス72Aと、上述した用紙送り装置10によって用紙Pを搬送しながら用紙Pの表面(おもてめん)の画像を読み取るための光の開口部となる第2プラテンガラス72Bとを備えている。
なお、以下の説明において、第1プラテンガラス72Aと第2プラテンガラス72Bとを区別しない場合には、プラテンガラス72と称するものとする。
【0041】
スキャナ装置70は、第1プラテンガラス72Aの下方において、第1プラテンガラス72Aの全体を走査して画像を読み込み、又は第2プラテンガラス72Bの下に静止して画像を読み込むフルレートキャリッジ73及びフルレートキャリッジ73から得られた反射光を結像部へ供給するハーフレートキャリッジ74を備えている。
フルレートキャリッジ73には、用紙Pに光を照射するスキャナ光源81、用紙Pから得られた反射光を受光する第1ミラー75Aが設けられている。一方、ハーフレートキャリッジ74には、第1ミラー75Aから得られた反射光を結像部へ反射させる第2ミラー75B及び第3ミラー75Cが設けられている。
【0042】
また、スキャナ装置70は、結像用レンズ76とCCDイメージセンサ77とを備えている。これらのうち、結像用レンズ76は、第3ミラー75Cで反射された反射光の像をCCDイメージセンサ77に結像させる大きさまで光学的に縮小する。
CCDイメージセンサ77は、結像用レンズ76により縮小された光学像を受光して電気信号に光電変換し、画像情報として読み取る。
【0043】
スキャナ装置70は、制御部78をさらに備えている。制御部78は、スキャナ装置70の画像読み取り動作における各部の制御や、読み取られた画像データの処理等を行う。また、制御部78は、用紙送り装置10における駆動手段である各種モータ、搬送ロールの動作や、第2画像読取部40における画像の読み取り動作等の制御を行う。なお、制御部78における上記の機能はプログラムにより制御されたCPUによって実現される。
【0044】
また、スキャナ装置70は、第1プラテンガラス72Aと第2プラテンガラス72Bとの間に、用紙送り装置10により、第2プラテンガラス72Bとプラテン部材39との間を通過した用紙Pをアウトロール35に向けて案内する斜面が形成されたガイド部材82が設けられている。
【0045】
<画像読取装置の動作>
次に、本実施の形態の画像読取装置1の動作について説明する。
まず、用紙収容部11から用紙Pが搬送通路20を搬送される以前に、スキャナ装置70のフルレートキャリッジ73及びハーフレートキャリッジ74は、図1において実線で示す位置に停止した状態で待機する。
制御部78の制御によって用紙送り装置10の駆動手段が駆動されて搬送ローラが駆動する。用紙収容部11に収容された用紙Pは、繰り出しロール31により搬送通路20に繰り出され、用紙Pは搬送通路20に沿って搬送方向Xの下流に搬送される。搬送通路20に沿って搬送された用紙Pは、捌きロール32により捌かれて1枚ずつ搬送通路20に沿って搬送方向Xの下流に向けて搬送される。
【0046】
用紙Pの先端がレジロール33に到達すると、用紙Pのレジストレーションの調整が行われるとともに、超音波センサ50により、用紙Pが重送されているか否かが検出される。このとき、図4に示すように、超音波センサ50で重送状態が検出される用紙P(図5参照)の部分Tを挟んで隣接する幅方向Wの両側部が、押圧手段60によって内側案内面22a(図5参照)に押圧されている。これにより、用紙Pの部分Tも内側案内面22aに押圧されて、超音波センサ50に対する姿勢が安定したものとなる。
【0047】
したがって、超音波センサ50と用紙Pとがなす角度θのばらつきを防止乃至抑制する。超音波センサ50に対する用紙Pの姿勢の安定により、超音波センサ50による用紙Pの重送状態の検出結果は、用紙Pの姿勢が安定していない場合に生じるばらつきが抑制されたものとなる。
【0048】
本実施の形態の用紙送り装置10は、超音波センサ50による重送状態の検出結果が重送ありのときは、制御部78(図1参照)の制御によって駆動手段の駆動が停止され、搬送ローラの駆動が停止して用紙Pの搬送が停止する。一方、超音波センサ50による重送状態の検出結果が重送なしのときは、搬送ローラの駆動が続行されて、用紙Pは、搬送通路20を搬送方向Xの下流側に搬送される。
レジロール33、送りロール34により順次下流側に搬送された用紙Pが、プラテン部材39と第2プラテンガラス72Bとの間を通過している期間中、スキャナ光源81から線状の光が、第2プラテンガラス72Bを通して用紙Pの表面(おもてめん)に向けて照射される。照射された光の一部は、用紙Pの表面(おもてめん)に保持された画像によって反射し、その反射光は用紙Pの表面(おもてめん)に保持された画像を反映したものとなる。
【0049】
用紙Pの表面(おもてめん)から反射した反射光は、第1ミラー75A、第2ミラー75B及び第3ミラー75Cを経て結像用レンズ76に供給される。さらに、結像用レンズ76により縮小された光学像がCCDイメージセンサ77に結像し、CCDイメージセンサ77は、その光学像を光電的に読み取り、画像情報を取得する。上述した画像情報の取得が、用紙Pの搬送通路20に沿った搬送方向Xへの搬送中を通じて行われ、用紙Pの表面(おもてめん)の1枚分の画像の読み取りが行われる。
【0050】
プラテン部材39と第2プラテンガラス72Bとの間を通過した用紙Pは、ガイド部材82(図1参照)の斜面に沿って案内されてアウトロール35に送られる。アウトロール35は、用紙Pを搬送通路20に沿って排出ロール36に送り、排出ロール36は、用紙Pを排紙収容部12に排出する。
用紙Pがアウトロール35と排出ロール36との間を通過している間、第2画像読取部40の前を用紙Pの裏面が通過する。このとき、第2画像読取部40が、用紙Pの裏面に、用紙Pの搬送方向Xに直交する方向に延びた線状の光を照射する。
照射された光の一部は、用紙Pの裏面に保持された画像によって反射し、その反射光は用紙Pの裏面に保持された画像を反映したものとなる。用紙Pの裏面から反射した反射光の像は第2画像読取部40のラインセンサに結像し、ラインセンサは、その反射光の像を光電的に読み取り、画像情報を取得する。この画像情報の取得が、用紙Pの搬送方向Xへの搬送中を通じて行われ、用紙Pの裏面の1枚分の画像の読み取りが行われる。
【0051】
このように、本実施の形態の画像読取装置1は、用紙Pの1回の搬送によって、用紙Pの表面(おもてめん)の画像の読み取りと裏面の画像の読み取りとを並行して実行する。なお、用紙Pの表面(おもてめん)の画像のみを読み取る場合には、第2画像読取部40による用紙Pの裏面の読み取り動作は実行しない。
【0052】
なお、スキャナ装置70は、原稿台71の第1プラテンガラス72Aの上に用紙Pを載せ、用紙Pを搬送せずに固定した状態で読み取る固定読み取りの場合は、用紙Pが第1プラテンガラス72Aの上にセットされ、読み取りが開始されるとフルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ74とが、速度比2:1で画像の読み取り方向(図1の白抜き矢印方向)に移動を開始する。
このとき、上述したようにフルレートキャリッジ73のスキャナ光源81から用紙Pに向けて線状の光が照射される。そして、用紙Pからの線状の反射光は、第1ミラー75A、第2ミラー75B及び第3ミラー75Cの順に反射され、結像用レンズ76に導かれる。結像用レンズ76に導かれた反射光の像は、CCDイメージセンサ77の受光面に縮小して結像される。以上の画像読み取り動作を、フルレートキャリッジ73及びハーフレートキャリッジ74が用紙Pの全体に亘って移動する期間中行うことで、用紙Pの表面の1枚分の画像の読み取りが行われる。
【0053】
以上のように、本実施の形態の画像読取装置1は、用紙送り装置10が、搬送通路20の曲率を有する部分において、搬送される用紙Pの重送状態を超音波センサ50(図2参照)で検出するに際して、その用紙Pの検出対象の部分T(図5参照)の、超音波センサ50に対する姿勢を、押圧手段60によって安定させる。これにより、用紙Pの部分Tにおける、超音波センサ50に対しする姿勢のばらつきが抑制され、超音波センサ50による重送状態の検出結果のばらつきも抑制される。
【0054】
すなわち、超音波センサ50によって重送状態が検出される用紙Pの部分Tは、搬送通路20が曲率を有しているため、用紙P自体のこしの強さなどの要因で、用紙Pが内側案内面22aから離れ、超音波センサ50と用紙Pとがなす角度θがばらつくことが起こり得る。
しかし、本実施の形態の用紙送り装置10は、押圧手段60が、超音波センサ50によって重送状態が検出される用紙Pの部分Tにおける、超音波センサ50に対する用紙Pの姿勢を安定させ、超音波センサ50と用紙Pとがなす角度θのばらつきを防止乃至抑制する。超音波センサ50に対する用紙Pの姿勢の安定により、超音波センサ50による用紙Pの重送状態の検出結果は、用紙Pの姿勢が安定していない場合に生じるばらつきが抑制されたものとなる。
なお、ころ64は、用紙Pが内側案内面22aに沿って搬送方向Xに搬送されると、用紙Pの搬送の動きにより、軸部63回りに回転し、用紙Pの搬送動作を阻害しない。
【0055】
また、本実施の形態の用紙送り装置10は、面である内側案内面22aにころ64を押圧するため、用紙Pの姿勢は、図8に示すように、内側案内面22aに沿った一意の姿勢に拘束される。これに対して、仮に、用紙Pの両面からころ64の対で挟むことで用紙Pの姿勢を安定させる構成を採用したものでは、対となる2つのころ64の周面がともに円周面となるため、ころ64同士の接点位置がずれ易い。つまり、ころ64の対で用紙Pを押圧する構成は、接点位置のわずかなずれによって、2つのころ64の共通接線の方向が変化して用紙Pの姿勢が内側案内面22aに対してずれる。
しかし、本実施の形態の用紙送り装置10は、内側案内面22aにころ64で押圧する構成を採用しているため、ころ64の対で用紙Pを押圧する構成に比べて、用紙Pの姿勢の安定性を高め易い。
【0056】
本実施の形態の用紙送り装置10は、図2に示すように、搬送手段30が、凸面である内側案内面22aに沿って用紙P(図1参照)を搬送し、押圧手段60も凸面である内側案内面22aに用紙Pを押圧する。つまり、本実施の形態の用紙送り装置10は、搬送通路20の全体を通して、用紙Pが内側案内面22aに沿って案内されるように構成されている。
ここで、図9は、用紙Pが2つの搬送ローラによって支持されている状態で、これら2つの搬送ローラの間での用紙Pの曲り具合を示す模式図であり、実線は用紙Pが押圧手段60(図6参照)で押圧されていない状態、破線は用紙Pが押圧手段60で内側案内面22aに押圧されている状態、一点鎖線は用紙Pが押圧手段60で外側案内面21aに押圧されている状態、をそれぞれ示す。
【0057】
図9に示すように、用紙Pは、押圧手段60によって外側案内面21aに押圧された状態では、内側案内面22aに押圧された状態に比べて、曲率が大きくなる。そして、用紙Pの曲率が大きいと、曲率が小さい場合に比べて、用紙Pの円滑な搬送を妨げ易くなる。用紙Pの曲率が不規則に変化する場合も、曲率が不規則に変化しない場合に比べて、用紙Pの円滑な搬送を妨げ易くなる。
本実施の形態の用紙送り装置10は、搬送手段30が凸面である内側案内面22aに沿って用紙Pを搬送する状態で、仮に押圧手段60が凹面である外側案内面21aに用紙Pを押圧する構成を採用したものに比べて、搬送通路20を搬送されているときの用紙Pの曲率が不規則に変化するのを抑制したり、又は曲率が大きくなる(曲率半径が小さくなる)のを抑制したりする。したがって、この用紙送り装置10は、押圧手段60が用紙Pを外側案内面21aに押圧するものよりも、用紙Pの円滑な搬送を妨げ難い。
【0058】
本実施の形態の用紙送り装置10は、押圧手段60が、用紙Pの幅方向Wに沿って、超音波センサ50によって重送状態が検出される用紙Pの部分Tを挟んだ2か所に設けられている。これにより、本実施の形態の用紙送り装置10は、超音波センサ50によって重送状態が検出される用紙Pの部分Tを直接押圧しなくても、用紙Pの部分Tにおける姿勢を安定させる。
【0059】
<押圧手段の配置の他の形態>
上述した実施の形態の用紙送り装置10は、図4に示すように、押圧手段60が、用紙Pの幅方向Wに沿って、超音波センサ50によって重送状態が検出される用紙Pの部分Tを挟んで隣接する両側部に設けられたものである。しかし、本発明に係る記録シートの搬送装置及び画像読取装置は、この形態に限定されるものではなく、押圧手段60を他の位置に設けたものであってもよい。
図10は、押圧手段60を、超音波センサ50によって重送状態が検出される用紙Pの部分Tを、用紙Pの搬送方向X及び幅方向Wに沿ってそれぞれ挟んで隣接する部分の4か所に設けた構成を示す図3相当の要部平面図である。
【0060】
図10に示すように、用紙P(図1参照)の搬送方向X及び幅方向Wに沿って用紙Pの部分Tをそれぞれ挟んで隣接する部分の4か所に、押圧手段60を設けた構成の記録シートの搬送装置及び画像読取装置によっても、超音波センサ50によって重送状態が検出される用紙Pの部分Tの周囲4か所を押圧手段60が押圧することにより、超音波センサ50に対する用紙Pの部分Tの姿勢が安定し、上述した実施の形態の用紙送り装置10及び画像読取装置1と同様の作用、効果を発揮する。
また、この形態の記録シートの搬送装置及び画像読取装置は、押圧手段60の配置を、搬送方向Xに関して用紙Pの部分Tと同じ位置に限定する必要が無い。したがって、この形態の記録シートの搬送装置及び画像読取装置によれば、押圧手段60の配置自由度が高められる。
【0061】
上述した実施の形態の用紙送り装置10は、画像読取装置1の一部として構成された形態であるが、画像読取装置1の一部して構成されたものに限定されるものではなく、スキャナ装置70と切り離された、独立した記録シート搬送装置であってもよい。
したがって、用紙送り装置10は、例えば、搬送通路20のうち、姿勢安定手段の一例である押圧手段60よりも、用紙Pの搬送方向Xの下流側に、用紙Pに画像を形成する画像形成部を備えた画像形成装置における給紙部等記録シートの搬送部としても適用し得る。
【0062】
また、上述した用紙送り装置10は、搬送通路20が、超音波センサ50の近傍で用紙Pの表面(おもてめん)に対向した外側案内面21aと用紙Pの裏面に対向した内側案内面22aとの2つの案内面を有するものであるが、外側案内面21a及び内側案内面22aのうち少なくとも一方を備えたものであってもよい。
用紙Pが押圧される押圧手段60や案内面(内側案内面22a、外側案内面21a)の位置は、超音波センサ50の近傍であればよい。例えば、これら押圧手段60や案内面は、搬送方向Xについては超音波センサ50と同一線上にあり垂直な方向(用紙Pの幅方向W)については超音波センサ50とずれた位置に配置してもよいし、搬送方向Xについては超音波センサ50と同一線上ではなく上流方向又は下流方向に多少離れた位置に配置してもよい。つまり、これら押圧手段60や案内面は、超音波センサ50によって検出される用紙Pの部分Tの、超音波センサ50に対する姿勢を規制できる程度の位置に配置されればよい。
【符号の説明】
【0063】
1…画像読取装置、10…用紙送り装置、20…搬送通路、32…捌きロール、33…レジロール、50…超音波センサ、51…送信器、52…受信器、60…押圧手段、64…ころ、65…引っ張りばね、P…用紙、T…部分
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