(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバー部材は、前記一対の第1の爪部がそれぞれ挿通される一対の第1の貫通孔と、前記一対の第2の爪部がそれぞれ挿通される一対の第2の貫通孔とを有している請求項3記載の電池モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池モジュールの組立容易性を考慮すれば、ネジ止めに代えて、電池ホルダとカバー部材とを爪部によって係合する手法を採ることが好適である。一方、例えば電池モジュールが自動車等の車両にされる場合、使用時に衝撃や振動等による慣性力が電池モジュールに作用することがある。このため、電池モジュールに慣性力が作用した場合であっても、カバー部材が電池ホルダから外れないような係合構造を検討する必要がある。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、簡単な構成で、慣性力が作用した場合であってもカバー部材が電池ホルダから外れてしまうことを抑制できる電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明の一側面に係る電池モジュールは、ケース内に電極組立体を収容してなる電池セルが配列された配列体と、電池セルのそれぞれを保持する複数の電池ホルダと、電池ホルダに組み付けられるカバー部材と、を備え、電池ホルダは、カバー部材に係合する係合爪部を有し、係合爪部は、一の電池ホルダにおいて、互いに逆向きにカバー部材に係合する一対の第1の爪部と、一の電池ホルダにおいて、一対の第1の爪部間に位置すると共に、一対の第1の爪部と反対の関係で互いに逆向きにカバー部材に係合する一対の第2の爪部と、を有している。
【0007】
この電池モジュールでは、一の電池ホルダにおいて、互いに逆向きにカバー部材に係合する一対の第1の爪部と、一対の第1の爪部間に位置すると共に、一対の第1の爪部と反対の関係で互いに逆向きにカバー部材に係合する一対の第2の爪部とによって、電池ホルダをカバー部材に係合する係合爪部が構成されている。このような係合爪部の構成により、電池モジュールに慣性力が作用し、カバー部材が電池ホルダに対してずれたとしても、互いに離れて位置する一対の第1の爪部の一方と一対の第2の爪部の他方とによって電池ホルダとカバー部材との係合が維持され、カバー部材が電池ホルダから外れてしまうことを抑制できる。
【0008】
カバー部材は、一対の第2の爪部がそれぞれ挿通される一対の貫通孔を有していてもよい。この場合、一対の第1の爪部間に位置する一対の第2の爪部をしっかりとカバー部材に係合できる。
【0009】
カバー部材は、板状の本体部と、本体部の端部に立設された一対の立設部とを有し、一対の第1の爪部は、一対の立設部にそれぞれ係合していてもよい。この場合、一対の第2の爪部の外側に位置する一対の第1の爪部をしっかりとカバー部材に係合できる。
【0010】
カバー部材は、一対の第1の爪部がそれぞれ挿通される一対の貫通孔を有していてもよい。この場合、一対の第2の爪部の外側に位置する一対の第1の爪部をしっかりとカバー部材に係合できる。
【0011】
また、本発明の一側面に係る電池モジュールは、ケース内に電極組立体を収容してなる電池セルが配列された配列体と、電池セルのそれぞれを保持する複数の電池ホルダと、電池ホルダに組み付けられるカバー部材と、を備え、電池ホルダは、カバー部材に係合する係合爪部を有し、係合爪部は、一の電池ホルダにおいて、互いに逆向きにカバー部材に係合する一対の第1の爪部と、一の電池ホルダとは異なる他の電池ホルダにおいて、一対の第1の爪部と反対の関係で互いに逆向きにカバー部材に係合する一対の第2の爪部と、を有している。
【0012】
この電池モジュールでは、一の電池ホルダにおいて、互いに逆向きにカバー部材に係合する一対の第1の爪部と、他の電池ホルダにおいて、一対の第1の爪部と反対の関係で互いに逆向きにカバー部材に係合する一対の第2の爪部とによって、電池ホルダをカバー部材に係合する係合爪部が構成されている。このような係合爪部の構成により、電池モジュールに慣性力が作用し、カバー部材が電池ホルダに対してずれたとしても、二次元的に互いに離れて位置する一対の第1の爪部の一方と一対の第2の爪部の他方とによって電池ホルダとカバー部材との係合が維持され、カバー部材が電池ホルダから外れてしまうことを抑制できる。
【0013】
配列体における前記電池セルの配列方向から見て、一対の第1の爪部の軸部と一対の第2の爪部の軸部とが同位置となっていてもよい。この場合、一対の第1の爪部及び一対の第2の爪部の配置構成を簡単化できる。
【0014】
カバー部材は、一対の第1の爪部がそれぞれ挿通される一対の第1の貫通孔と、一対の第2の爪部がそれぞれ挿通される一対の第2の貫通孔とを有していてもよい。この場合、一対の第1の爪部及び一対の第2の爪部をしっかりとカバー部材に係合できる。
【0015】
配列体における電池セルの配列方向から見て、一対の第1の貫通孔と一対の第2の貫通孔とが同位置となっていてもよい。この場合、第1の貫通孔及び第2の貫通孔の配置構成を簡単化できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面に係る電池モジュールによれば、簡単な構成で、慣性力が作用した場合であってもカバー部材が電池ホルダから外れてしまうことを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電池モジュールの好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
【0019】
図1は、本発明に係る電池モジュールの第1実施形態を示す斜視図である。また、
図2は、
図1に示した電池モジュールを配列体の配列方向から見た断面図である。
図1及び
図2に示すように、電池モジュール1は、電池セル21を複数配列してなる配列体2と、電池セル21のそれぞれを保持する電池ホルダ3と、電池ホルダ3に組み付けられるカバー部材4と、を備えている。
【0020】
配列体2における電池セル21の配列端には、エンドプレート5がそれぞれ設けられている。エンドプレート5,5間には、電池ホルダ3を通してボルトBが挿通されている。ボルトBは、一方のエンドプレート5から他方のエンドプレート5に向けて挿通され、他方のエンドプレート5側にはナットNが螺合されている。これにより、電池セル21が挟持されてモジュール化されると共に、配列体2に対する拘束荷重が付加されている。
【0021】
電池ホルダ3は、樹脂によって形成され、
図2に示すように、全体として矩形の枠型形状をなしている。電池ホルダ3は、電池セル21の底部に対応する第1の壁部11と、電池セル21の幅方向の両側部に対応する第2の壁部12,12と、電池セル21の厚さ方向の一方の側部に対応する第3の壁部13とを有している。第1の壁部11、第2の壁部12,12、及び第3の壁部13で囲まれる領域は、電池セル21が収容される収容空間となっている。
【0022】
第1の壁部11と第2の壁部12とがなす角部には、例えば柱状の脚部14が設けられている。脚部14は、電池ホルダ3の厚さ方向に延びており、脚部14の内部には、ボルトBが挿通される挿通孔14aが設けられている。第2の壁部12における第3の壁部13側の端部は、第3の壁部13の位置を超えて突出する突出部15となっている。突出部15の先端部分には、一対の第1の爪部32A,32Aが設けられている。一対の第1の爪部32A,32Aは、突出部15において、電池セル21の配列方向の一端側(
図1における奥行方向の手前側)に設けられている。
【0023】
第3の壁部13の幅方向の両端部には、収容空間に電池セル21を収容したときに電池セル21の接続端子25を包囲する端子収容部16,16がそれぞれ設けられている。また、第3の壁部13には、端子収容部16,16よりも内側の位置に一対の柱部材17,17がそれぞれ設けられている。柱部材17は、電池ホルダ3の厚さ方向に延びており、柱部材17の内部には、ボルトBが挿通される挿通孔17aが設けられている。柱部材17の上部には、一対の第2の爪部32B,32Bが設けられている。一対の第2の爪部32B,32Bは、柱部材17において、電池セル21の配列方向の一端側(
図1における奥行方向の手前側)に設けられている。
【0024】
カバー部材4は、例えば電池セルの充放電の制御に用いられる電子部品や、電池モジュール1の制御を行う制御部品等の載置に用いられる樹脂製の部材である。カバー部材4は、
図1に示すように、例えば配列体2における電池セル21の配列方向に並設され、各電池セル21の蓋部24(
図3参照)に対向するように電池ホルダ3に組み付けられている。本実施形態では、1体の電池モジュールに対して2体のカバー部材4が設けられている。
【0025】
カバー部材4は、矩形の平板上に形成された本体部18と、本体部18の幅方向の両端部に立設された一対の立設部19,19とを有している。本体部18には、電池ホルダ3の一対の第2の爪部32B,32Bの位置に対応して形成された一対の貫通孔33,33が設けられている。また、立設部19,19は、例えば板状をなし、本体部18の幅方向の両端部の全体にわたって設けられている。立設部19は、カバー部材4が電池ホルダ3に組み付けられた状態において、突出部15の内側面に沿って延在する。
【0026】
電池ホルダ3に保持される電池セル21は、
図3に示すように、例えば略直方体形状をなす中空有底のケース22と、ケース22内に収容された電極組立体23とを有している。ケース22は、例えばアルミニウム等の金属によって形成されている。ケース22の内部には、例えば有機溶媒系又は非水系の電解液が収容されている。
【0027】
ケース22の蓋部24には、上述した接続端子25(正極端子25A及び負極端子25B)が互いに離間して配置されている。正極端子25Aは、絶縁部材26を介して蓋部24に固定され、負極端子25Bは、絶縁部材27を介して蓋部24に固定されている。蓋部24の略中央部分には、ケース22の内圧が閾値を超えて上昇したときに破断して開放される開放弁28が設けられている。電池モジュール1では、一の電池セル21の正極端子25Aがバスバー部材(不図示)によって隣接する一方の電池セル21の負極端子25Bに電気的に接続され、一の電池セル21の負極端子がバスバー部材によって隣接する他方の電池セル21の正極端子25Aに電気的に接続されている。
【0028】
電極組立体23は、例えば正極と、負極と、正極と負極との間に配置された袋状のセパレータとによって構成されている。電極組立体23では、例えばセパレータ内に正極が収容され、この状態で正極と負極とがセパレータを介して交互に積層された状態となっている。正極は、導電部材29を介して正極端子25Aに電気的に接続され、負極は、別の導電部材29を介して負極端子25Bに電気的に接続されている。
【0029】
続いて、上述した電池ホルダ3とカバー部材4との係合構造について更に詳細に説明する。
【0030】
図4は、電池ホルダとカバー部材との係合構造の一例を示す要部拡大概略図である。同図に示すように、係合構造31Aは、電池ホルダ3側に設けられた係合爪部32(一対の第1の爪部32A,32A及び一対の第2の爪部32B,32B)と、カバー部材4側に設けられた一対の貫通孔33,33及び一対の立設部19,19とによって構成されている。
【0031】
一対の第1の爪部32A,32Aは、電池ホルダ3における突出部15の先端部分にそれぞれ突起状に設けられている。一対の第1の爪部32A,32Aは、互いに逆向き(いずれも内向き)となっている。すなわち、一方の第1の爪部32Aは、一方の突出部15の内壁から他方の突出部15側に向かって突出し、他方の第1の爪部32Aは、他方の突出部15の内壁から一方の突出部15側に向かって突出している。一対の第1の爪部32A,32Aは、カバー部材4における立設部19の先端部分にそれぞれ係合している。
【0032】
電池モジュール1の組み立ての際、カバー部材4は、上方から電池ホルダ3に装着される。この際、一対の第1の爪部32A,32Aの軸部となる突出部15は、いずれも電池セル21の幅方向の外側に弾性的に変位する。そして、カバー部材4の立設部19の先端部分が第1の爪部32Aよりも下方となる位置までカバー部材4が電池ホルダ3の突出部15,15間に嵌め込まれると、突出部15の位置が復帰し、突出部15の内壁が立設部19の外壁に接触した状態で、一対の第1の爪部32A,32Aが立設部19の先端部分にそれぞれ係合する。
【0033】
なお、本実施形態では、電池セル21の幅方向から見て、一方の第1の爪部32Aと他方の第1の爪部32Aとが正対しているが、一方の第1の爪部32Aと他方の第1の爪部32Aとが電池セル21の配列方向に互いにずれていてもよい。この場合、例えば他方の第1の爪部32Aが一方の第1の爪部32Aの幅の分だけ電池セル21の配列方向にずれていてもよい。
【0034】
一対の第2の爪部32B,32Bは、電池ホルダ3における柱部材17の上部にそれぞれ突起状に設けられている(
図2参照)。一対の第2の爪部32B,32Bは、一対の第1の爪部32A,32A間に位置している。一対の第1の爪部32A,32A間とは、電池モジュール1の平面視において、電池セル21の幅方向における一方の第1の爪部32Aと他方の第1の爪部32Aとの間の領域を指す。
【0035】
一対の第2の爪部32B,32Bは、一対の第1の爪部32A,32Aと反対の関係で互いに逆向き(いずれも外向き)となっている。すなわち、一方の第2の爪部32Bは、一方の柱部材17の上面に立設された軸部32bの先端部分から一方の突出部15側に向かって突出し、他方の第2の爪部32Bは、他方の柱部材17の上面に立設された軸部32bの先端部分から他方の突出部15側に向かって突出している。一対の第2の爪部32B,32Bは、一対の貫通孔33,33を通ってカバー部材4の本体部18にそれぞれ係合している。
【0036】
貫通孔33における電池セル21の幅方向の長さ(内寸)は、第2の爪部32Bにおける電池セル21の幅方向の長さ(軸部32bの長さと軸部32bからの突出長さとを合わせた外寸)と同等、若しくは僅かに大きい長さとなっている。電池モジュール1の組み立ての際、一対の第2の爪部32B,32Bは、軸部32bがいずれも電池セル21の幅方向の中央側に弾性的に変位した状態で貫通孔33,33に挿通される。そして、第2の爪部32Bが貫通孔33を通る位置までカバー部材4が電池ホルダ3の突出部15,15間に嵌め込まれると、軸部32bの位置が復帰し、軸部32bにおける第2の爪部32Bの突出側の壁部が貫通孔33の内壁に接触した状態で、一対の第2の爪部32B,32Bが本体部18にそれぞれ係合する。
【0037】
なお、本実施形態では、電池セル21の幅方向から見て、一方の第2の爪部32Bと他方の第2の爪部32Bとが正対しているが、一方の第2の爪部32Bと他方の第2の爪部32Bとが電池セル21の配列方向に互いにずれていてもよい。この場合、例えば他方の第2の爪部32Bが一方の第2の爪部32Bの幅の分だけ電池セル21の配列方向にずれていてもよい。
【0038】
以上のような係合構造31Aを有する電池モジュール1では、例えば自動車等の車両に搭載された電池モジュール1に慣性力が作用し、カバー部材4が電池ホルダ3に対してずれたとしても、互いに離れて位置する一対の第1の爪部32A,32Aの一方と一対の第2の爪部32B,32Bの他方とによって電池ホルダ3とカバー部材4との係合が維持され、カバー部材4が電池ホルダ3から外れてしまうことを抑制できる。
【0039】
例えば
図5は、慣性力によってカバー部材4が電池ホルダ3に対して図の左側にずれたときの様子を示す図である。カバー部材4が電池ホルダに対して左側にずれた場合、右側の第1の爪部32Aと立設部19との係合、及び右側の第1の爪部32Aから見て遠い方の左側の第2の爪部32Bとカバー部材4との係合が外れ易くなる。一方、カバー部材4が電池ホルダに対して左側にずれたとしても、左側の第1の爪部32Aと立設部19との係合、及び左側の第1の爪部32Aから見て遠い方の右側の第2の爪部32Bとカバー部材4との係合は維持される。
【0040】
また、係合構造31Aでは、一対の第2の爪部32B,32Bがそれぞれ挿通される一対の貫通孔33,33がカバー部材4の本体部18に形成されている。この場合、一対の第1の爪部32A,32A間に位置する一対の第2の爪部32B,32Bを貫通孔33,33を通すことでしっかりとカバー部材4に係合できる。また、例えば
図5に示したように、カバー部材4が電池ホルダ3に対してずれた場合であっても、カバー部材4との係合が外れた第2の爪部32Bの軸部32bが貫通孔33の内壁に当たることにより、カバー部材4のずれ量が規制される。したがって、カバー部材4が電池ホルダ3から外れてしまうことをより確実に抑制できる。
【0041】
また、係合構造31Aでは、一対の第1の爪部32A,32Aがカバー部材4の一対の立設部19にそれぞれ係合している。これにより、一対の第2の爪部32B,32Bの外側に位置する一対の第1の爪部32A,32Aをしっかりとカバー部材4に係合できる。また、電池ホルダ3の突出部15の内面側にカバー部材4の立設部19が沿うので、慣性力が作用した場合の電池ホルダ3とカバー部材4とのずれの発生を抑制できる。
【0042】
図6は、係合構造の変形例を示す要部拡大断面図である。同図に示す係合構造31Bでは、一対の第1の爪部32A,32Aをカバー部材4の一対の立設部19,19に係合させる構成に代えて、カバー部材4の本体部18において一対の貫通孔33,33の外側に一対の貫通孔34,34を更に設け、当該一対の貫通孔34,34にそれぞれ挿通させた一対の第1の爪部32A,32Aをカバー部材4の本体部18に係合させている。
【0043】
この構成では、一方の第1の爪部32Aは、一方の柱部材17の上面に立設された軸部32aの先端部分から他方の立設部19側に向かって突出し、他方の第1の爪部32Aは、他方の柱部材17の上面に立設された軸部32aの先端部分から一方の立設部19側に向かって突出している。そして、一対の第1の爪部32A,32Aは、軸部32aにおける第1の爪部32Aの突出側の壁部が貫通孔34の内壁に接触した状態で、本体部18にそれぞれ係合している。
【0044】
図7は、係合構造の更なる変形例を示す要部拡大断面図である。同図に示す係合構造31Cは、一対の第1の爪部32A,32A及び一対の第2の爪部32B,32Bの向きが
図6に示した係合構造31Bと相違している。すなわち、係合構造31Cでは、一対の第1の爪部32A,32Aが外向きとなっており、一対の第2の爪部32B,32Bが内向きとなっている。
【0045】
これらの係合構造31B,31Cにおいても、電池モジュール1に慣性力が作用し、カバー部材4が電池ホルダ3に対してずれた場合に、互いに離れて位置する一対の第1の爪部32A,32Aの一方と一対の第2の爪部32B,32Bの他方とによって電池ホルダ3とカバー部材4との係合が維持される。したがって、カバー部材4が電池ホルダ3から外れてしまうことを抑制できる。また、一対の第1の爪部32A,32Aがカバー部材4の本体部18に係合されており、一対の第1の爪部32A,32Aの軸部32aの長さは、係合構造31Aにおいて一対の第1の爪部32A,32Aが設けられる突出部15の長さよりも短くなっている。したがって、電池モジュール1に慣性力が作用した場合の一対の第1の爪部32A,32Aの変位を抑制でき、電池ホルダ3とカバー部材4とのずれの発生を抑えることができる。
【0046】
なお、上述した係合構造31A〜31Cでは、全ての電池ホルダ3に一対の第1の爪部32A,32A及び一対の第2の爪部32B,32Bを設けているが、いくつかの爪部を省略した構成としてもよい。例えば一対の第1の爪部32A,32Aを全ての電池ホルダ3に形成し、一対の第2の爪部32B,32Bを一つおき(或いは複数おき)の電池ホルダ3に形成してもよい。
[第2実施形態]
【0047】
図8は、本発明の第2実施形態に係る電池モジュールの係合構造を示す要部拡大図である。同図に示すように、第2実施形態に係る電池モジュール1の係合構造41Aは、係合爪部42として、一対の第1の爪部42A,42Aと一対の第2の爪部42B,42Bとが異なる電池ホルダ3に設けられている点で、一対の第1の爪部32A,32Aと一対の第2の爪部32B,32Bとが同一の電池ホルダ3に設けられている第1実施形態と異なっている。
【0048】
より具体的には、係合構造41Aでは、一の電池ホルダ3に一対の第1の爪部42A,42Aが設けられ、一の電池ホルダ3に隣接する他の電池ホルダに一対の第2の爪部42B,42Bが設けられている。また、一対の第1の爪部42A,42Aがそれぞれ挿通される一対の第1の貫通孔43,43と、一対の第2の爪部42B,42Bがそれぞれ挿通される一対の第2の貫通孔44,44とがカバー部材4の本体部18に形成されている。
【0049】
この係合構造41Aでは、一の電池ホルダ3に設けられる一対の第1の爪部42A,42Aは、互いに逆向き(いずれも内向き)となっており、一対の第1の貫通孔43,43を通ってカバー部材4の本体部18に係合している。また、他の電池ホルダ3に設けられる一対の第2の爪部42B,42Bは、一対の第1の爪部42A,42Aとは反対の関係で互いに逆向き(いずれも外向き)となっており、一対の第2の貫通孔44,44を通ってカバー部材4の本体部18に係合している。
【0050】
また、この係合構造41Aでは、
図8に示すように、一対の第1の爪部42A,42Aに対応してカバー部材4に設けられた一対の第1の貫通孔43,43に対し、一対の第2の爪部42B,42Bに対応してカバー部材4に設けられた一対の第2の貫通孔44,44の位置が、第1の爪部42Aの軸部42a(或いは第2の爪部42Bの軸部42b)の厚さの分だけ内側にずれている。これにより、配列体2における電池セル21の配列方向から見て、一対の第1の爪部42A,42Aの軸部42a,42aと一対の第2の爪部42B,42Bの軸部42b,42bとが同位置となっている。
【0051】
このような係合構造41Aにおいても、電池モジュール1に慣性力が作用し、カバー部材4が電池ホルダ3に対してずれた場合に、互いに離れて位置する一対の第1の爪部42A,42Aの一方と一対の第2の爪部42B,42Bの他方とによって電池ホルダ3とカバー部材4との係合が維持され、カバー部材4が電池ホルダ3から外れてしまうことを抑制できる。
【0052】
また、係合構造41Aでは、一対の第1の爪部42A,42Aと一対の第2の爪部42B,42Bとが異なる電池ホルダ3に設けられている。したがって、一対の第1の爪部42A,42A及び一対の第2の爪部42B,42Bが電池モジュール1の平面視において二次元的な配列となるため、一対の第1の爪部32A,32Aと一対の第2の爪部32B,32Bとが同一の電池ホルダ3に設けられる第1実施形態に比べて爪部の部品点数も抑えられる。さらに、係合構造41Aでは、一対の第1の爪部42A,42A及び一対の第2の爪部42B,42Bの双方がカバー部材4の本体部18に係合されているので、軸部42aの長さを軸部42bの長さと同程度に抑えることができる。したがって、電池モジュール1に慣性力が作用した場合の一対の第1の爪部42A,42Aの変位を抑制でき、電池ホルダ3とカバー部材4とのずれの発生を抑えることができる。
【0053】
また、係合構造41Aでは、配列体2における電池セル21の配列方向から見て、一対の第1の爪部42A,42Aの軸部42a,42aと一対の第2の爪部42B,42Bの軸部42b,42bとが同位置となっている。これにより、一対の第1の爪部42A,42A及び一対の第2の爪部42B,42Bの配置構成を簡単化できる。
【0054】
さらに、係合構造41Aでは、一対の第1の爪部42A,42Aがそれぞれ挿通される一対の第1の貫通孔43,43と、一対の第2の爪部42B,42Bがそれぞれ挿通される一対の第2の貫通孔44,44とがカバー部材4の本体部18に形成されている。したがって、第1の爪部42Aの軸部42aが第1の貫通孔43の内壁に当たること、若しくは第2の爪部42Bの軸部42bが第2の貫通孔44の内壁に当たることにより、慣性力が作用した場合の電池ホルダ3に対するカバー部材4のずれ量が規制され、カバー部材4が電池ホルダ3から外れてしまうことをより確実に抑制できる。
【0055】
図9は、係合構造の変形例を示す要部拡大図である。同図に示す係合構造41Bは、配列体2における電池セル21の配列方向から見て、一対の第1の貫通孔43,43と一対の第2の貫通孔44,44とが同位置となっている点で
図8に示した係合構造41Aと異なっている。
【0056】
このような係合構造41Bにおいても、電池モジュール1に慣性力が作用し、カバー部材4が電池ホルダ3に対してずれた場合に、二次元的に位置する一対の第1の爪部42A,42Aの一方と一対の第2の爪部42B,42Bの他方とによって電池ホルダ3とカバー部材4との係合が維持され、カバー部材4が電池ホルダ3から外れてしまうことを抑制できる。また、慣性力が作用した場合の電池ホルダ3に対するカバー部材4のずれ量が規制され、カバー部材4が電池ホルダ3から外れてしまうことをより確実に抑制できると共に、第1の貫通孔43,43及び第2の貫通孔44,44の配置構成を簡単化できる。
【0057】
なお、係合構造41A,41Bにおいても、一対の第1の爪部42A,42Aをいずれも外向きとし、かつ一対の第2の爪部42B,42Bをいずれも内向きとしてもよい。また、一対の第1の爪部42A,42Aが設けられた一の電池ホルダ3と、一対の第2の爪部42B,42Bが設けられた他の電池ホルダ3とは、必ずしも隣接していなくてもよい。すなわち、一の電池ホルダ3と他の電池ホルダ3との間に爪部のない電池ホルダ3を介在させてもよい。
【0058】
また、
図8及び
図9では、係合構造41A,41Bにおいて、一対の第1の爪部42A,42Aにおける電池セル21の配列方向の長さ(外寸)と、一対の第1の貫通孔43,43における電池セル21の配列方向の長さ(内寸)とが一致し、一対の第2の爪部42B,42Bにおける電池セル21の配列方向の長さ(外寸)と、一対の第2の貫通孔44,44における電池セル21の配列方向の長さ(内寸)とが一致している構成を図示している。
【0059】
これに対し、例えば
図10に示すように、係合構造41Aにおいて、一対の第1の貫通孔43,43における電池セル21の配列方向の長さを一対の第1の爪部42A,42Aにおける電池セル21の配列方向の長さよりも大きくし、かつ一対の第2の貫通孔44,44における電池セル21の配列方向の長さを一対の第2の爪部42B,42Bにおける電池セル21の配列方向の長さよりも大きくしてもよい。
【0060】
この場合、
図10の例のように、第1の爪部42A及び第2の爪部42Bにおける電池セル21の配列方向の中心位置と、第1の貫通孔43及び第2の貫通孔44における電池セル21の配列方向の中心位置とを一致させ、軸部42a及び軸部42bが第1の貫通孔43及び第2の貫通孔44における電池セル21の配列方向のいずれの内壁からも離間するようにしてもよい。また、軸部42a及び軸部42bが第1の貫通孔43及び第2の貫通孔44における電池セル21の配列方向のいずれかの内壁に接するようにしてもよい。電池セル21の膨張方向が予め設計されている場合には、膨張方向側の内壁と軸部42a及び軸部42bとを離間させることが好適である。
【0061】
このような構成によれば、電池セル21の配列方向への第1の貫通孔43及び第2の貫通孔44の拡張によって、電池モジュール1の使用時の電池セル21の配列方向への膨張を許容でき、第1の爪部42A及び第2の爪部42Bの破損等を防止できる。また、電池ホルダ3における第1の爪部42A及び第2の爪部42Bの寸法公差と、カバー部材4の本体部18における第1の貫通孔43及び第2の貫通孔44の寸法公差とを吸収でき、電池ホルダ3にカバー部材4を装着する際の作業性を向上できる。