(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記実行手段は、予め定められた制限回数以上連続する前記他の処理の実行指示により指示された画像処理を実行しないことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<システム構成>
まず、本実施の形態に係る画像処理システム1の全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像処理システム1の全体構成例を示した図である。図示するように、画像処理システム1は、画像処理装置の一例としての画像処理装置10と、端末装置の一例としての携帯端末20A、携帯端末20B、携帯端末20Cとを備えている。そして、画像処理装置10と、携帯端末20A、携帯端末20B、携帯端末20Cとは、無線ネットワークを介して相互に通信を行うものとする。
なお、
図1には携帯端末20A、携帯端末20B、携帯端末20Cを示したが、以下、これらを区別する必要がない場合にはまとめて携帯端末20と称する。また、
図1に示す例では3つの携帯端末20を示したが、携帯端末20は1台でも良く、また3台以上でも良いものとする。本実施の形態では、端末装置の一例として、携帯端末20が用いられる。
【0009】
画像処理装置10は、用紙等の記録媒体に画像を形成して印刷処理を実行する装置である。画像処理装置10としては、プリント機能のみを有するものを用いても良いが、本実施形態ではプリント機能に加えて、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の他の画像処理機能を有するものを用いている。
【0010】
そして、例えば印刷処理に際し、画像処理装置10は、まず、携帯端末20を操作するユーザについて、認証に用いられる情報(以下、ユーザ認証情報と称する)を携帯端末20から受信し、ユーザ認証を行う。ユーザ認証情報は、例えば、ユーザを識別するための識別情報であるユーザID及びパスワード等である。また、携帯端末20は、ユーザ認証が成功した後、ユーザが権限を持つ操作がユーザごとにリスト化されて登録されている認証情報リストとユーザ認証情報とを比較し、ユーザに利用権限がある機能の設定やジョブの送信を受け付ける状態となる。また、この場合、携帯端末20にてユーザが指定して送信したジョブは、画像処理装置10に蓄積される構成としても良い。
【0011】
しかし、この時点では、ユーザに対してはデバイス使用権がまだ付与されていない。そこで、画像処理装置10に設けられた認証機器を介してユーザ認証情報を受け付けることで、画像処理装置10を使用する権利(以下、デバイス使用権と称する)がこのユーザに付与される。即ち、ユーザは、ユーザ認証が成功した時点では画像処理装置10の使用を許可されておらず、さらにデバイス使用権を獲得することにより、画像処理装置10の使用が許可され、画像処理機能が実行される。
ただし、認証機器を介して入力されるユーザ認証情報は、ユーザが特定される情報であればユーザ認証の際に用いられるユーザ認証情報と同一でなくても良い。
【0012】
このように、ユーザは、デバイス使用権を獲得することで、画像処理装置10の使用が許可される。ここで、デバイス使用権は、同時に複数のユーザに付与されることはないものとする。また、デバイス使用権の獲得を予約することができるが、複数のユーザがデバイス使用権を予約した場合には、予約した順番に従って、各予約ユーザに順にデバイス使用権が付与される。なお、デバイス使用権の予約は、携帯端末20からデバイス使用権を予約するための「予約要求」を送信することでも、画像処理装置10に対して操作することによっても行うことができる。
【0013】
また、本実施形態では、デバイス使用権の予約をしていなくても、後述するように予め定めた条件下において、画像処理を実行していない画像処理装置10に設けられたUI110を操作することで、デバイス使用権の獲得が予約されているジョブである「予約ジョブ」に優先して行われるジョブである「割込ジョブ」として画像処理機能を実行する。
【0014】
<画像処理装置10のハードウェア構成>
次に、画像処理装置10のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施の形態に係る画像処理装置10のハードウェア構成例を示した図である。
【0015】
CPU(Central Processing Unit)101は、ROM(Read Only Memory)102等に記憶された各種プログラムをRAM(Random Access Memory)103にロードして実行することにより、画像処理装置10の主たる制御を行い、画像処理装置10の各機能を実現する。
ROM102は、CPU101が実行する各種プログラムや、予め定められた固定データ等を記憶するメモリである。ROM102については、例えばフラッシュメモリを用い書き換え可能な構成としても良い。
RAM103は、CPU101の作業用メモリ等として用いられるメモリである。RAM103は、プログラム動作時にシステムメモリとして機能したり画像処理の際にページメモリとして機能したりする。
【0016】
不揮発性メモリ104は、電源を供給しなくても記憶している情報を保持することが可能なメモリであり、画像調整に用いられるパラメータや、各種の履歴データを記憶する。
HDD(Hard Disk Drive)105は、例えば磁気ディスク装置であり、画像読取部119が読み取った画像データや、画像形成部122における画像形成にて用いられる画像データ等を記憶する。
【0017】
画像処理部106は、画像データの伸張圧縮処理など、画像データに対する処理を行う。
入出力制御部107は、IC(Integrated Circuit)カードリーダ108や人感センサ109を制御する。ICカードリーダ108は、情報の記録や演算をするために集積回路(IC)が組み込まれたICカードを読み取り、ICカードに記録された情報を取得する。また、人感センサ109は、人や物の所在を検知するセンサであり、検知範囲内で人や物などが動作した場合にその動作を検知する。
また、CPU101、ROM102、RAM103、不揮発性メモリ104、HDD105、画像処理部106、入出力制御部107の各機能部は、バスを介して互いに接続されている。
【0018】
受付手段の一例としてのUI(User Interface)110は、UIインタフェース(IF)111を介してバスと接続されている。UI110には、スタートキー、ストップキー、テンキーなどのボタンにより構成され、ユーザにより操作される操作部112が設けられている。また、UI110には、液晶モニタなどにより構成され各種画像の表示を行うモニタ113が設けられている。なお、モニタ113がタッチパネル方式により構成される場合、モニタ113は操作部112としての役割も果たす。
なお、本実施形態では、後述するように、割込ジョブやユーザが予約したジョブを実行するための実行指示は、画像処理装置10に設けられるUI110に対してユーザが操作することにより受付ける。
【0019】
LAN(Local Area Network)ポート114は、外部とデータを入出力するためのインタフェースであり、例えば、10Base−T、100Base−T等の規格が存在する。また、LANポート114は、無線通信のインタフェースとしての役割も果たす。
Serialポート115は、外部の周辺機器を接続するためのインタフェースである。
USB(Universal Serial Bus)ポート116は、USBケーブルを介して周辺機器を接続するためのインタフェースであり、例えば、USB1.1、USB2.0等の規格が存在する。
モデム117は、FAXなどの公衆回線への接続を行う制御部であり、各種FAX機能を提供可能とする。
また、LANポート114、Serialポート115、USBポート116、モデム117は、通信IF118を介してバスと接続されている。
【0020】
画像読取部119は、用紙等に記録された画像を読み取る。また、画像読取部119は、自動的に原稿を送りながら原稿を読み取る自動原稿送り装置を含み、画像読取部119には、自動原稿送り装置に原稿がセットされたことを検知する原稿センサ120が設けられている。また、画像読取部119は、原稿の読み取りのために原稿を載せる透明版を含み、画像読取部119には、透明版を覆うカバーが開いたことを検知するカバーセンサ121が設けられている。
【0021】
画像形成部122は、記録媒体の一例としての用紙等に画像を形成する。ここで、画像形成部122は、例えばプリンタであり、感光体に付着させたトナーを用紙に転写して像を形成する電子写真方式や、インクを記録媒体に吐出して像を形成するインクジェット方式のものを用いることができる。
また、画像読取部119及び画像形成部122は、装置IF123を介してバスと接続されている。
【0022】
なお、
図2は、本実施の形態が適用されるのに好適な画像処理装置10のハードウェア構成を例示するに過ぎず、図示の構成においてのみ本実施の形態が実現されるのではない。
【0023】
<携帯端末20>
図3は、携帯端末20の機能構成例を示したブロック図である。
図3に示すように、携帯端末20は、ユーザからの操作入力を受け付ける入力部201と、各種画像を表示する表示部202と、画像処理装置10にてユーザ認証を行うための認証部203とを備える。また、携帯端末20は、予約要求を送信する予約送信部204と、デバイス使用権の予約の状況を示す「予約状況情報」と予約したデバイス使用権を獲得する順番が来たことを示す「順番通知」とを受信する予約情報受信部205とを備える。さらに、携帯端末20は、割込ジョブとして実行が指示されたジョブの内容に関する情報である割込情報に対して応答する割込応答部206を備える。
【0024】
入力部201は、ユーザからの操作入力を受け付ける。
表示部202は、ユーザに対して各種画像を表示する。ここで、表示部202と入力部201とは、例えば、ユーザからの操作入力を受付け、画面として機能するタッチパネル等により構成される。
認証部203は、ユーザの操作をもとに画像処理装置10にてプリント機能等の各種機能を実行させるためのアプリケーションソフトウェアを起動し、ユーザにより入力されたユーザ認証情報を受け付ける。また、認証部203は、入力されたユーザ認証情報を画像処理装置10に送信する。そして、送信されたユーザ認証情報をもとに画像処理装置10にてユーザ認証が行われてユーザが承認された場合、予約送信部204と予約情報受信部205とに対して認証済みの通知をする。
【0025】
予約送信部204は、認証部203から認証済みの通知を受けた場合に、アプリケーションソフトウェアにより、入力部201を介して、例えば、印刷時のカラーや倍率等の印刷設定や、ジョブの送信、印刷処理の指示を受付ける。ここで、ジョブとは、印刷対象となる画像データと、印刷処理における設定が記述された制御命令とを含み、画像処理装置10で実行される印刷処理のデータである。
また、予約送信部204は、デバイス使用権を予約するために、携帯端末20の宛先やユーザ名等のユーザ情報とジョブとを予約要求として画像処理装置10の後述するデバイス使用権管理部158に送信する。なお、予約送信部204は、入力部201を介して予約を解除する指示を受けた場合、予約を解除する通知を後述するデバイス使用権管理部158に送信する。
【0026】
予約情報受信部205は、認証部203から認証済みの通知を受けた場合に、画像処理装置10の後述する予約情報送信部159から予約状況情報と順番通知とを受取る。また、予約情報受信部205は、予約状況情報により画像処理装置10のデバイス使用権の予約状況を表示部202にて表示させる。さらに、予約情報受信部205は、順番通知を受取った場合、順番通知を受けたことを表示部202にて表示させる。
【0027】
割込応答部206は、ユーザによりデバイス使用権が予約されている場合に、画像処理装置10の後述する予約情報送信部159から割込情報を受取る。また、割込応答部206は、割込情報を受取った場合、予約に割込みが入ることを表示部202に表示させる。さらに、割込応答部206は、入力部201を介してユーザから割込みを許可しない指示を受取ると、予約情報送信部159に対して応答する。
ここで、割込情報の一例としては、ユーザが指定したジョブの種類及び枚数等に関する情報が挙げられ、例えば、原稿1枚かつ3部のカラーコピーを行う等の情報であり、後述するジョブ種類が設定される。なお、割込応答部206は、ユーザから割込みを許可する指示を受取った場合には、予約情報送信部159に対して応答しない構成を用いて、積極的に他のユーザによる割込みを許可してもよい。
【0028】
そして、入力部201、認証部203、予約送信部204、予約情報受信部205、及び割込応答部206は、例えば、図示しないハードウェア構成におけるCPUにより実現される。より具体的には、携帯端末20の機能を実現するプログラムがROMに記憶されており、CPUがこのプログラムをRAMにロードして実行することにより、入力部201、認証部203、予約送信部204、予約情報受信部205、割込応答部206の各機能が実現される。また、表示部202は、例えば、タッチパネルにより実現される。
【0029】
なお、CPUによって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネットなどの通信手段を用いて携帯端末20にダウンロードさせてもよい。
【0030】
<画像処理装置10>
図4は、画像処理装置10の機能構成例を示したブロック図である。
図5は、ログインユーザリストの一例を示した図である。
図6(a)及び
図6(b)は、ジョブ状態管理テーブルの一例を示した図である。
図7(a)は、制限情報の一例を示した図であり、
図7(b)は、ユーザ制限情報の一例を示した図である。
【0031】
図4に示すように、画像処理装置10は、ユーザからの操作入力を受け付ける受付手段の一例としてのUI処理部151と、各種画像を表示する表示部152と、各種センサによる検知を受け付けるセンサ処理部153とを備える。また、画像処理装置10は、ユーザ認証に用いられる認証情報を格納する認証情報格納部154と、ユーザ認証で承認されたユーザの情報を格納するログインユーザ情報格納部155とを備える。さらに、画像処理装置10は、予約ジョブの情報や割込ジョブの情報が登録されたリスト(以下、ジョブ状態管理テーブルと称する)を格納するジョブ状態管理テーブル記憶部156を備える。
【0032】
また、画像処理装置10は、携帯端末20から受信したユーザ認証情報及びUI処理部151から入力されるユーザ認証情報をもとにユーザ認証を行うユーザ管理部157と、ユーザに対してデバイス使用権を付与する実行手段及び予約受付手段の一例としてのデバイス使用権管理部158とを備える。さらに、画像処理装置10は、予約状況情報及び順番通知と割込ジョブに関する情報である割込情報とを携帯端末20に送信する通知手段の一例としての予約情報送信部159を備える。そして、画像処理装置10は、割込ジョブの制限を表す制限情報が格納される制限情報格納部161と、UI処理部151から入力されるジョブを割込ジョブとして受付けるか否かを判定する割込判定部162とを備える。
【0033】
UI処理部151は、ユーザからの操作入力を受け付ける。ここで、UI処理部151は、例えば、ユーザが操作部112のボタンを押下することで、画像処理装置10に対して入力を受け付ける。また、UI処理部151は、例えば、認証機器を介して、ユーザにより画像処理装置10に入力されたユーザ認証情報を受け付ける。ここで、認証機器とは、例えば、
図2に示すICカードリーダ108や操作部112である。
【0034】
例えば、ICカードリーダ108が認証機器として機能する場合、ユーザのユーザ認証情報が記録されたICカードをユーザがICカードリーダ108にかざすことで、ICカードに記録されたユーザ認証情報が入力される。また、例えば、操作部112が認証機器として機能する場合、ユーザがボタンを押下することによりユーザ認証情報が入力される。また、モニタ113がタッチパネル方式により構成される場合、ユーザがモニタ113に表示されたボタン等を押下することにより、ユーザ認証情報が入力される。さらに、例えば、ユーザは、携帯端末20が有する近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標))により、ユーザ認証情報を入力しても良い。
【0035】
表示部152は、ユーザに対して各種画像を表示する。
センサ処理部153は、各種センサ(人感センサ109、原稿センサ120、カバーセンサ121)による検知を受け付ける。例えば、センサ処理部153は、原稿センサ120により原稿のセットが検知されると、検知されたことを受け付ける。
【0036】
認証情報格納部154は、ユーザ認証を行うためにユーザ認証情報との照合に用いられる認証情報が登録された認証情報リストを格納する。認証情報リストには、例えば画像処理システム1の管理者により、「コピー」や「プリント」等ユーザごとに許可されている機能が予め登録されている。認証情報リストは、ユーザ管理部157がユーザ認証を行う際に参照される。
【0037】
ログインユーザ情報格納部155は、携帯端末20からユーザ認証情報の入力を行うことでユーザ認証に成功したユーザ(以下、ログインユーザと称する)の情報が登録されたリスト(以下、ログインユーザリストと称する)を格納する。
図5に示すように、ログインユーザリストには、ユーザ認証に成功したユーザごとに、例えば、ユーザ名に対応してデバイス使用権が付与されているか否か、デバイス使用権を予約しているか否かの情報が登録されている。
【0038】
具体的には、
図5に示す作業状態は、ジョブの状態を示すものであり、予約ジョブが実行されていない場合には「予約」、実行指示によりジョブが実行されている場合には「実行中」が登録される。デバイス使用権については、ユーザBが「獲得済」と設定され、デバイス使用権を獲得済みであることを示す。また、ユーザA及びユーザBは、デバイス使用権を獲得しておらず、「なし」と設定されている。使用権予約については、ユーザAが「予約済」であり、デバイス使用権を予約する操作を行ったことを示す。ユーザB及びユーザCは、デバイス使用権を予約しておらず、「なし」と設定されている。
このように、携帯端末20からの操作によりユーザ認証に成功したユーザは、画像処理装置10にログイン中のログインユーザとして管理される。
【0039】
ジョブ状態管理テーブル記憶部156は、ジョブ状態管理テーブルとして、携帯端末20からデバイス使用権を予約した予約ユーザについて、デバイス使用権を付与されるジョブの順番やジョブの内容等が登録されたリストを格納する。
ここで、具体的には、ジョブ状態管理テーブルとは、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、優先順、ジョブ種類、ジョブ種別、パネル種別、及びユーザ名によりなる情報テーブルである。優先順は、予約ユーザについてデバイス使用権を付与される順番を表しており、例えば予約を行った順に番号が付与される。ただし、例えば、
図6(b)に示すように、割込ジョブが登録される場合には、予約ユーザがいても割込ジョブの優先順には1位が付与されて、予約ユーザに優先してデバイス使用権が付与される。
【0040】
また、ジョブ種類は、各ジョブをもとに「カラーコピー」や「白黒コピー」等の画像処理装置10にて実行される機能及び部数や原稿枚数等のジョブの種類が設定される。さらに、ジョブ種別には、「予約ジョブ」または「割込ジョブ」が設定される。パネル種別は、ジョブを受付けたパネルの種類であり、携帯端末20から受付けたジョブは例えば「携帯端末20A」や「携帯端末20B」が設定され、自装置のUI処理部151から受付けたジョブは、「自装置のUI」が設定される。また、ユーザ名には、「ユーザA」や「ユーザB」等、ジョブを送信したユーザのユーザ名が設定される。
【0041】
ユーザ管理部157は、携帯端末20から認証情報を受信すると、受信した認証情報をもとにユーザ認証を行う。ユーザ管理部157は、デバイス使用権がいずれかのユーザに付与済みであるか否かに関わらず、携帯端末20からユーザの認証情報を受信すると、そのユーザについてユーザ認証を行う。ユーザ認証において、ユーザ管理部157は、認証情報格納部154に格納された認証情報リストを参照し、携帯端末20から受信した認証情報が認証情報リストに登録されているか否かを判定する。認証情報が認証情報リストに登録されていれば、ユーザ管理部157は、ユーザ認証に成功したものとして、認証情報リストの内容をもとに、画像処理装置10での出力に関する設定を行う操作や、画像処理装置10に印刷ジョブを送信する操作等を受け付け可能にする。
【0042】
具体的には、ユーザ管理部157は、認証情報リストとユーザ認証情報とを比較して、携帯端末20にユーザが利用権限を有する機能の情報を通知し、携帯端末20では、表示部202にて利用権限がある機能を表示させる。そして、ユーザが携帯端末20を操作して利用権限がある機能から選択して指定してジョブを作成し、予約要求を送信することにより、画像処理装置10ではジョブが蓄積されてデバイス使用権の予約がされる。
【0043】
また、まだユーザ認証に成功していないユーザの認証情報が、UI処理部151を介して、画像処理装置10に入力された場合にも、ユーザ管理部157は、認証情報リストを参照してユーザ認証を行う。さらに、この場合、ユーザ管理部157は、承認したユーザの識別情報としてユーザ名を割込判定部162に渡す。
【0044】
デバイス使用権管理部158は、ユーザに対してデバイス使用権を付与して画像処理機能の実行を許可する。ここで、デバイス使用権管理部158は、UI処理部151が認証機器を介して認証情報を受け付けると(即ち、認証機器を介して画像処理装置10に認証情報が入力されると)、デバイス使用権がすでにいずれかのユーザに付与されているか否かを判定する。デバイス使用権がすでに付与されていれば、デバイス使用権管理部158は、デバイス使用権を付与済みであることを表示部152に表示させる。
【0045】
一方、デバイス使用権がまだ付与されていない場合、デバイス使用権管理部158は、ログインユーザリストを参照して、受け付けた認証情報のユーザと一致するログインユーザが存在するか否かを判定する。一致するログインユーザが存在すれば、デバイス使用権管理部158は、ジョブ状態管理テーブルを参照してログインユーザに対応する優先順が1位であるか否かを判定する。そして、優先順が1位であれば、そのログインユーザ(即ち、受け付けた認証情報のユーザ)に対してデバイス使用権を付与して、画像処理機能の実行を許可する。すなわち、UI処理部151がUI110を介して実行指示を受付けた場合に、デバイス使用権管理部158は、ログインユーザにより携帯端末20から指示された画像処理機能を実行させる。
【0046】
また、一致するログインユーザが存在しなければ、まだユーザ認証が成功していないユーザの認証情報が、認証機器を介して画像処理装置10に入力されたこととなる。この場合、上述したようにユーザ管理部157にてユーザ認証が行われる。ここで、ユーザ認証が成功すると、UI処理部151がUI110を介して入力されたジョブが割込判定部162にて割込ジョブとして受付けられると、デバイス使用権管理部158はそのユーザに対してデバイス使用権を付与して割込ジョブの実行を許可する。そして、デバイス使用権管理部158は、UI処理部151がUI110を介して実行指示を受付けた場合に、割込ジョブを実行させる。なお、デバイス使用権管理部158は、各ジョブの実行が終了すると、ジョブ状態管理テーブルから実行終了したジョブを消去して、優先順が2位以降となっているジョブの優先順の位を1つずつ繰上げる。
【0047】
さらに、デバイス使用権管理部158は、デバイス使用権の予約を行う。ここで、デバイス使用権管理部158は、予約要求を受信すると、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、受信した予約要求をもとにデバイス使用権を予約したユーザのユーザ名、パネル種別、ジョブ種別、ジョブ種類、及び優先順をジョブ状態管理テーブルに登録する。また、デバイス使用権管理部158は、携帯端末20からデバイス使用権の予約を解除する要求を受信すると、受信した要求をもとに、デバイス使用権の予約を解除したユーザのジョブをジョブ状態管理テーブルから削除する。
【0048】
予約情報送信部159は、ジョブ状態管理テーブル記憶部156からジョブ状態管理テーブルを取得する。そして、予約情報送信部159は、予約状況情報を携帯端末20の予約情報受信部205(
図3参照)に対して送信する。また、予約情報送信部159は、ジョブ状態管理テーブルを参照して、優先順に1位が付与された携帯端末20に対して、予約したデバイス使用権を獲得する順番が来たことを示す順番通知を送信する。
【0049】
さらに、予約情報送信部159は、割込判定部162から、割込判定部162にて割込ジョブとするか否かが判定されるジョブの内容である割込情報を受取る。また、予約情報送信部159は、割込情報を受取った場合、ログインユーザ情報格納部155からログインユーザリストを取得する。そして、予約情報送信部159は、ログインユーザリストを参照して、各予約ユーザの携帯端末20の割込応答部206(
図3参照)に対して送る。さらに、予約情報送信部159は、割込応答部206から応答があった場合に、割込ジョブを許可しないことを示す「不可通知」を割込判定部162に対して渡す。
【0050】
制限情報格納部161は、割込ジョブに関する制限を表す予め定められた制限情報と、ユーザごとに対応して登録されるユーザ制限情報とが格納される。また、制限情報格納部161は、制限情報及びユーザ制限情報を割込判定部162に渡す。
ここで、制限情報は、割込ジョブの制限範囲に関する情報であり、ジョブの所要時間と関係する項目について、割込ジョブを制限する予め定められた制限値が設定される。具体的には、割込ジョブの制限範囲である制限値としては、
図7(a)に示すように、例えば、順番が来た予約ユーザの実行指示を受取るまでの間に割込ジョブを継続して実行する上限回数である上限継続回数が設定される。なお、上限継続回数は、ユーザ制限情報において設定される構成でも良い。
【0051】
また、例えば、割込ジョブの制限範囲の制限値には、印刷する用紙の部数や読取る原稿の枚数等の画像処理の利用に関する単位に対して、利用する単位を制限するために予め定められた制限単位である上限数や下限数が設定される。具体的には、例えば
図7(b)に示すように、割込ジョブの制限単位は、コピー等で印刷できる用紙の上限である上限部数、また、画像読取りが可能な原稿の上限枚数である上限原稿数が設定される。なお、これらの制限単位は、ユーザ制限情報にて設定する場合、ユーザごとに異なる設定を設けたり、あるユーザには上限値として0を設定して全く利用できない設定をしたりしてもよい。
【0052】
さらに、割込ジョブの制限範囲の制限値としては、例えば、上述した上限継続回数や制限単位の他に、所要時間が大きいジョブを禁止する設定を行うものでもよい。所要時間が大きいジョブとしては、例えば、画像処理装置10の外部装置の機能を用いて実行されるものがある。具体的には、画像処理装置10の外部に設けられたサーバにて翻訳を行うクラウド翻訳を利用し、印刷データ上の文章を翻訳して画像処理装置10にて印刷等を行うジョブがある。なお、禁止の設定は制限単位と同様にユーザ制限情報にて設定してもよい。
【0053】
割込判定部162は、ジョブ状態管理テーブル記憶部156のジョブ状態管理テーブル(
図6(a)及び
図6(b)参照)を取得する。また、割込判定部162は、ジョブ状態管理テーブルに予約ジョブが登録されていない場合、UI処理部151から入力されるジョブを受付けてジョブ状態管理テーブルにジョブを登録する。
【0054】
一方、割込判定部162は、ジョブ状態管理テーブルに予約ジョブが登録されている場合、ログインユーザ情報格納部155からログインユーザリストを取得する。割込判定部162は、ログインユーザリスト(
図5参照)を参照して、優先順が1位のログインユーザが実行指示をしておらず作業状態が「実行中」でなければ、UI処理部151にて他のユーザから操作を受付けたか否か判断する。
【0055】
割込判定部162は、UI処理部151にて他のユーザから操作を受付けた場合、制限情報格納部161から制限情報を取得する。なお、他のユーザにより、UI処理部151からユーザ認証が行われた場合、ユーザ認証に成功した他のユーザのユーザ名をユーザ管理部157から受取る。そして、割込判定部162は、ユーザ名に対応するユーザ制限情報を制限情報格納部161から取得する。
さらに、割込判定部162は、UI処理部151からジョブの入力を受付けた場合に、入力されたジョブの内容に関する割込情報を予約情報送信部159に渡し、予約情報送信部159から不可通知を受取る。
【0056】
そして、割込判定部162は、優先順が1位のログインユーザが実行指示済みでなく、他のユーザからUI処理部151の操作があった場合、制限情報を参照して、制限範囲内で割込ジョブを受付可能である旨を表示部152に表示させる。なお、さらに他のユーザによりユーザ認証が行われて他のユーザがユーザ認証に成功した場合には、ユーザ制限情報を参照して表示部152に表示をさせる。
【0057】
また、割込判定部162は、UI処理部151を介して他のユーザからジョブの入力があった場合、制限情報と不可通知とに基づいて、入力されたジョブを割込ジョブとして受付けるか否かを判定する。なお、割込判定部162は、ユーザ認証により他のユーザが承認された場合には、ユーザ制限情報と不可通知とに基づいて判定を行う。
さらに、割込判定部162は、入力されたジョブを割込ジョブとして受付ける判定をした場合、ジョブの優先順に1位を付与してジョブ状態管理テーブルに登録し、他のジョブの優先順を1つずつ繰り下げる。また、割込判定部162は、割込ジョブの継続回数をカウントする。なお、割込判定部162は、割込ジョブとして受付けない判定をした場合、ジョブを実行できない旨を表示部152に表示させる。
【0058】
具体的な表示方法として、他のユーザからUI処理部151の操作があった場合、割込判定部162は、制限情報を参照して、割込ジョブの継続回数が上限継続回数に達していれば、割込ジョブを実行できない旨を表示部152に表示させる。なお、この場合、割込判定部162は、表示部152に予約ありの表示とともにジョブを受付けない旨の表示をさせ、上限継続回数以上、連続してUI処理部151からジョブを受付けない。一方、割込判定部162は、割込ジョブの継続回数が上限継続回数に達していなければ、予約ありの表示とともに、制限情報またはユーザ制限情報を参照して割込ジョブを受付可能な制限範囲を表示させる。
【0059】
また、具体的な判定方法として、割込判定部162は、他のユーザによりUI処理部151からジョブが入力された場合、制限情報またはユーザ制限情報を参照して、入力されたジョブが制限範囲内であるか否かを判断する。すなわち、入力されたジョブの設定値が、例えば
図7(a)及び
図7(b)に示す上限部数や上限原稿数を越えておらず制限範囲内であるか否かを判断する。また、割込判定部162は、入力されたジョブが制限情報の制限範囲内ではないと判断した場合には、割込ジョブとして実行不可であることを表示部152に表示させる。
【0060】
一方、割込判定部162は、入力されたジョブが制限情報またはユーザ制限情報の制限範囲内であると判断した場合、入力されたジョブを割込ジョブとするか否かを判定する。具体的には、割込情報を予約情報送信部159に渡し、上述したように予約情報送信部159から各予約ユーザの携帯端末20に対して割込情報を送る。そして、割込判定部162は、予約ユーザが携帯端末20から応答があり予約情報送信部159から不可通知を受取った場合、入力されたジョブを割込ジョブとして受付けない判定を行う。また、割込判定部162は、一定時間経過しても予約情報送信部159から不可通知を受けとらなかった場合、入力されたジョブを割込ジョブとして受付ける判定を行う。
【0061】
なお、割込判定部162の判定では、上限継続回数と、制限情報及びユーザ制限情報と、不可通知との全てに基づいて判定を行う構成でなくてもよい。すなわち、割込判定部162では、上限継続回数と制限情報とに基づいて判定する構成や、上限継続回数のみに基づいて判定する構成等、各種組合せて判定する構成や各種単独で判定する構成でもよい。
【0062】
ここで、UI処理部151、センサ処理部153、ユーザ管理部157、デバイス使用権管理部158、予約情報送信部159、及び割込判定部162は、例えば、
図2に示すハードウェア構成におけるCPU101により実現される。より具体的には、画像処理装置10の機能を実現するプログラムがROM102に記憶されており、CPU101がこのプログラムをRAM103にロードして実行することにより、UI処理部151、センサ処理部153、ユーザ管理部157、デバイス使用権管理部158、予約情報送信部159、割込判定部162の各機能が実現される。また、表示部152は、例えば、モニタ113により実現される。さらに、認証情報格納部154、ログインユーザ情報格納部155、ジョブ状態管理テーブル記憶部156、制限情報格納部161は、例えば、不揮発性メモリ104やHDD105により実現される。
【0063】
なお、CPU101によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネットなどの通信手段を用いて画像処理装置10にダウンロードさせてもよい。
【0064】
<画像処理装置10の処理手順>
次に、本実施形態における画像処理装置10の動作例について説明する。
図8は、本実施形態における画像処理装置10の動作例を示すフローチャートである。
ここでは、携帯端末20からユーザ認証を行った後、携帯端末20にて利用権限がある機能のメニュー画面が表示される。また、ユーザがメニュー画面から処理を指定して予約要求を行うことにより、画像処理装置10ではデバイス使用権の予約がされる。例えば、
図6(a)に示すように、ユーザAが原稿1枚かつ10部の白黒コピーを指定した後、さらに、ユーザBが原稿1枚かつ20部のカラーコピーを指定すると、ジョブがジョブ状態管理テーブルに登録されてデバイス使用権が予約される。そして、予約の順番が来たユーザ、すなわち、予約の優先順が1位になったユーザAは、携帯端末20にて通知を受けた後に画像処理装置10にて認証を行い、予約したジョブを実行することが可能となる。
【0065】
まず、
図8に示すように、画像処理装置10では、デバイス使用権管理部158にてユーザB(
図6(a)参照)の携帯端末20Bから予約要求を受信して予約の登録を行う。また、予約情報送信部159は、ジョブ状態管理テーブルにてユーザBの予約ジョブの優先順が1位になれば、すなわち、ユーザBに予約したデバイス使用権を獲得する順番が来れば、ユーザBの携帯端末20Bに順番通知を送信する(ステップ101)。
【0066】
具体的には、例えば、ユーザA(
図6(a)参照)が予約したデバイス使用権を獲得しており、画像処理装置10にてカラーコピーを実行している場合に、ユーザBがデバイス使用権を予約するために予約要求を画像処理装置10に送信する。そして、例えば
図6(a)に示すように、デバイス使用権管理部158は、ユーザBのユーザ情報とジョブとをジョブ状態管理テーブルに登録する。また、予約情報送信部159は、ユーザAのカラーコピーが終了後、デバイス使用権管理部158により、ユーザAの予約ジョブが消去され、予約ジョブの優先順に1位が付与されたユーザBに対して順番通知を送る。
【0067】
また、割込判定部162では、UI処理部151を介して、順番通知を受けた、すなわち、優先順が1位のユーザBが実行指示済みか否かを判断する(ステップ102)。画像処理装置10では、割込判定部162にてユーザBが実行指示済みであると判断された場合(ステップ102でYes)、デバイス使用権管理部158にてユーザBの予約ジョブが実行されて(ステップ103)、処理を完了する。
一方、割込判定部162は、ユーザBが実行指示済みではないと判断すると(ステップ102でNo)、UI処理部151にて他のユーザから操作を受付けたか否か判断する(ステップ104)。
【0068】
割込判定部162は、例えば順番通知を受取っていない他のユーザであるユーザDからUI処理部151にて操作を受付けたと判断すると(ステップ104でYes)、制限情報格納部161から制限情報を取得する(ステップ105)。なお、このとき、UI処理部151を介してユーザ認証が行われ、ユーザDが承認されると、割込判定部162は、制限情報格納部161からユーザDに対応するユーザ制限情報を取得する。また、割込判定部162は、他のユーザから操作を受付けなかったと判断すると(ステップ104でNo)、ステップ102の処理を行う。
【0069】
そして、割込判定部162は、制限情報を参照して、割込ジョブの継続回数が上限継続回数に達しているか否かを判断する(ステップ106)。割込判定部162は、割込ジョブの継続回数が上限継続回数に達していると判断すると(ステップ106でYes)、予約ありの表示とともに割込ジョブを受付不可能であることを表示部152に表示させる(ステップ107)。そして、割込判定部162は、ステップ102の処理を行う。
なお、本実施形態では、表示部152にて予約ありの表示行うことで、ユーザに対して画像処理装置10にてデバイス使用権を予約しているユーザがいることを知らせる。
【0070】
一方、割込判定部162は、割込ジョブの継続回数が上限継続回数に達していないと判断すると(ステップ106でNo)、予約がある旨を表示部152にて表示させる。このとき、制限情報またはユーザ制限情報を参照して割込ジョブを受付可能な制限範囲を表示させる(ステップ108)。
【0071】
例えば、具体的に、順番通知を受取ったユーザBは、画像処理装置10にて予約ジョブを実行するため画像処理装置10に向かうが、ユーザDが先に画像処理装置10に到着する。そして、ユーザBが画像処理装置10に到着するまでの間、画像処理装置10にてジョブが実行されていない状態となり、ユーザDがUI110を操作すると表示部152に予約ありの表示とともに割込ジョブを受付可能な制限範囲が表示される。
【0072】
例えば、表示部152には、例えば
図7(a)に示す制限情報が参照されて、「上限部数3」及び「上限原稿数5」の範囲内で割込ジョブを実行可能であることが表示される。また、ユーザDがUI処理部151にてユーザ認証を行い認証された場合、表示部152には、例えば
図7(b)に示すユーザ制限情報を参照して、「上限部数5」及び「上限原稿数5」の範囲内で割込ジョブを実行可能であることが表示される。
【0073】
ここで、割込判定部162は、UI処理部151を介して、ユーザDからジョブが入力されると(ステップ109)、制限情報を参照して、ジョブが制限範囲内であり、かつ、一定時間内に不可通知がないか否かを判断する(ステップ110)。なお、ユーザDが承認されている場合には、割込判定部162は、ユーザ制限情報を参照するものとする。
割込判定部162は、入力されたジョブが制限情報の制限範囲内ではないと判断すると(ステップ110でNo)、ステップ107の処理を行い再びステップ102の処理を行う。
【0074】
また、割込判定部162は、割込情報を予約情報送信部159に渡して、予約情報送信部159からジョブ状態管理テーブルに登録された予約ユーザの携帯端末20に割込情報を送る。そして、予約ユーザの携帯端末20から予約情報送信部159に応答があれば、割込判定部162は、予約情報送信部159から不可通知が渡され(ステップ110でNo)、ステップ107の処理を行って再び102の処理を行う。
【0075】
一方、割込判定部162は、入力されたジョブが制限情報の制限範囲内であり、かつ、一定時間内に不可通知がないと判断すると(ステップ110でYes)、ジョブを割込ジョブとして受付ける判定を行う。そして、割込判定部162は、他の予約ジョブに割込ませて、優先順に1位を付与して割込ジョブをジョブ状態管理テーブルに登録し、他のジョブの優先順を1つずつ繰り下げる。さらに、デバイス使用権管理部158は、ユーザDに対してデバイス使用権を付与する。そして、画像処理装置10は、UI110を介してUI処理部151がユーザDから実行指示を受付けることで、デバイス使用権管理部158により割込ジョブが実行される(ステップ111)。また、割込判定部162は、ステップ102の処理を行い、ユーザBが実行指示済みでなければ(ステップ102でNo)、ステップ103以降の処理を再び行う。一方、割込判定部162は、ユーザBが実行指示を行うことで(ステップ102でYes)、予約ジョブを実行して(ステップ103)処理を完了する。
【0076】
例えば、具体的には、
図7(a)に示す制限情報の場合、ユーザDは、ジョブとして原稿5枚かつ7部のカラーコピーを入力した場合、表示部152に実行不可能であることが表示される。また、例えば、携帯端末20にて割込情報を受信した予約ユーザが割込ジョブを許可しない場合には、画像処理装置10の予約情報送信部159に対して応答が行われ、表示部152にはジョブを実行不可能であることが表示される。
一方、ユーザDは、原稿3枚以下かつ5部以下のカラーコピーを入力し、割込判定部162にて一定時間内に不可通知を受取らなければ割込ジョブとして、
図6(b)に示すように、ジョブ状態管理テーブルに登録される。また、ユーザDによる割込ジョブの実行後、ユーザBが画像処理装置10に到着すると、ユーザBがデバイス使用権を獲得し、実行指示を行うことで予約ジョブが実行される。
【0077】
このように、本実施形態の画像処理装置10は、予約ユーザが順番通知を受けてから、画像処理装置10に辿り着いて実行指示を行うまでの間に、順番通知を受けた予約ユーザとは異なる他のユーザが利用できる状態となる。つまり、本実施形態の画像処理装置10では、画像処理装置10にてジョブが実行されていない状態において、デバイス使用権の予約を行わずに、ユーザがUI処理部151を操作することによりジョブが実行される。
なお、本実施形態の割込ジョブは、従来からあるボタン操作を他のユーザが行って、予め定めたタイミングに関わらず強制的に実行されるジョブとは異なる。すなわち、割込ジョブは、予約ユーザの優先順が1位になってから、つまり、予約ユーザに予約の順番が回ってきてから順番が回って来た予約ユーザが実行指示を行うまでの間、という画像処理装置10にてジョブが実行されていないタイミングにおいて実行される。
【0078】
また、本実施形態では、画像処理装置10に設けられるUI処理部151を介して割込ジョブを受付ける構成により、他のユーザは、画像処理装置10の前でUI処理部151を操作して割込ジョブの実行を行う必要がある。すなわち、順番が来た予約ユーザは、画像処理装置10まで移動すると、割込ジョブを行っている他のユーザと対面することとなり、割込ジョブが終わるまで予約ユーザが一人で待つことがない。また、この際、予約ユーザが割込ジョブを行っているユーザと調整をして割込ジョブを停止させる等することで、画像処理装置10の柔軟な利用が促進される。
【0079】
さらに、本実施形態では、画像処理装置10に対して操作して実行するジョブに対して、制限を設けることで、予約ユーザがいつまでも実行できなくなることがない。また、ユーザごとに割込ジョブに対する制限に差異を設けることで柔軟な利用が可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、予約ユーザに対して割込情報を送信した場合、例えば予約ユーザが不在等により応答を返せないとともに予約ジョブを実行できない状態であったとしても、一定時間経っても応答がなければ割込ジョブが実行可能な状態となる。
また、本実施形態では、連続して実行される割込ジョブの回数を制限することにより、例えば制限単位内の割込ジョブが他のユーザに繰返し実行されることで予約ユーザが利用できなくなるという事態を避ける。
【0081】
なお、本実施形態における割込判定部162は、UI処理部151を介して入力されたジョブが制限範囲を越える場合、ジョブを実行不可能であることを表示部152にて表示する構成とした。これに対して、制限範囲を越えるジョブが入力された場合には、割込判定部162は、制限範囲を越える分については実行しない構成としてもよい。すなわち、割込判定部162は、制限範囲が原稿5枚かつ5部である場合に、例えば原稿7枚かつ70部のカラーコピーが入力された場合、原稿を5枚読取って5部の印刷を実行した時点で停止する構成としてもよい。この場合、画像処理装置10を少しでも利用したいユーザの要望が実現される。
【0082】
上記の例では、割込判定部162は、ユーザ制限情報を参照して判定をしたが、例えば
図7(a)に示すように、画像処理装置10に設定されている制限情報を参照して判断する構成としてもよい。この場合には、ユーザ認証を行う必要がなく、割込ジョブを実行するユーザの操作が簡易となる。
【0083】
さらに、本実施形態における割込判定部162は、割込ジョブとして受付けるか否かの判定において、割込判定部162では、上限継続回数、制限単位、及び不可通知を用いて判定を行ったが、いずれか1つでもよい。また、割込判定部162の判定は、上限継続回数及び不可通知や、制限単位及び不可通知等の他の組み合わせにより行ってもよい。
【0084】
なお、本実施形態において、上述したステップ106の割込判定部162による割込ジョブの継続回数が上限継続回数に達しているか否かを判断するステップは必須の構成ではない。
【0085】
また、本実施形態では、スマートフォン等の移動自在な携帯端末20を用いる構成について説明したが、携帯端末20の他、卓上に設置して用いられるデスクトップ用のパーソナルコンピュータ等でもよい。また、画像処理装置10にてジョブを実行指示をする際にユーザが操作する「自装置のUI」として、本実施形態では、画像処理装置10のUI110を用いることとしたが、近距離無線通信により接続された携帯端末20を用いても良い。近距離無線通信としては、例えば、近接場型の無線通信:NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等が挙げられる。
また、画像処理装置10は、予約の順番が来た予約ユーザからUI処理部151を介して実行指示を受付けて予約ジョブを実行する構成としたが、携帯端末20にて予約ジョブの実行指示を受付ける構成としてもよい。
【0086】
さらに、本実施形態では、ジョブとしてコピーを行う例を具体例として説明したが、スキャン、ファクシミリ、また、画像処理装置10に向かいユーザ認証してプリントを行うセキュアプリントなど、実際に画像処理装置10に対してユーザが操作して行うジョブについても同様に、本実施形態における割込ジョブの態様を適用することで、予約ユーザの利便性を確保しつつ画像処理装置10が有効利用される。
【0087】
次に、割込ジョブを行うユーザが利用権限を有さない機能の入力を受付けない構成について説明する。
本実施形態における割込判定部162は、認証情報格納部154から認証情報リストを取得し、制限情報格納部161から制限情報を取得する。また、割込判定部162は、例えば機能ごとに制限範囲が設定されている制限情報と認証情報リストとを参照し、ユーザ認証に成功したユーザが利用権限を有する機能の制限範囲を取得する。そして、割込判定部162は、ユーザが利用権限を有する機能の制限範囲内において割込ジョブを受付可能である旨を表示部152に表示させる。そして、割込判定部162は、ユーザにより入力されたジョブが利用権限を有する機能の制限範囲内か否かの判定を行う。
【0088】
ここで、機能ごとに制限範囲が設定されている制限情報としては、例えば、カラーコピーや白黒コピー等の機能ごとに、上限原稿枚数や上限部数が設定されている情報が挙げられる。
具体的には、例えば、ユーザAがUI処理部151にてユーザ認証に成功した場合、割込判定部162は、認証情報格納部154から認証情報リストを取得し、制限情報格納部161から制限情報を取得する。また、割込判定部162は、認証情報リスト及び制限情報を参照して、ユーザAが利用権限を有する機能の制限範囲を取得する。割込判定部162は、例えば、ユーザAが白黒コピーのみであれば、白黒コピーに対応する制限範囲として、例えば、上限原稿枚数1枚及び上限部数4部という制限範囲を取得する。
【0089】
そして、割込判定部162は、例えば、ユーザAから原稿1枚かつ4部以下の白黒コピーが入力された場合には、入力されたジョブが制限範囲内と判定する。一方、割込判定部162は、ユーザAから原稿2枚以上や5部以上の白黒コピーが入力された場合には、制限範囲を越えると判定する。また、割込判定部162は、カラーコピー等の利用権限を有さない機能が入力された場合にも割込ジョブとして受付けない、または、入力できないようにUI処理部151を制御する。
【0090】
このような構成では、ユーザが利用権限を有さない機能については、UI処理部151からユーザ認証に成功しても、ユーザから割込ジョブとして受付けないようにする。また、利用権限を有さない機能を表示させず、そもそもユーザから利用権限がない機能が入力されることを防ぐ。
なお、割込判定部162は、ユーザが利用権限を有さない機能を自装置の表示部152に表示させないとしたが表示しても良い。この場合、割込判定部162は、ユーザから利用権限を有さない機能が入力されても、受付けない判定を行うものとする。