【実施例】
【0065】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0066】
[合成例1]5,6−ジヒドロキシヘキセニルホスホリルコリン(式(B)で表される化合物)合成
200mLのフラスコに式(A)で表される5−ヘキセニルホスホリルコリン1.33g(5.0mmol)、メタクロロ過安息香酸2.16g(12.5mmol)、アンバーリスト650mg、クロロホルム15mL、及び水30mLを加えて室温で48時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水10mLを加えた。析出した白色固体をろ過(ろ紙:No.5C)により除去し、ろ液を酢酸エチル10mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して式(B)で表される5,6−ジヒドロキシヘキセニルホスホリルコリンを得た。収量は1.38g(4.6mmol)、収率は92%であった。
【化13】
・・・(A)
【化14】
・・・(B)
【0067】
[合成例2]4−ホルミルブチルホスホリルコリン(式(C)で表される化合物)の合成
50mLフラスコに式(B)で示す5,6−ジヒドロキシヘキセニルホスホリルコリン299mg(1.0mmol)及び水10mLを加えて攪拌した。過ヨウ素酸ナトリウム321mg(1.5mmol)を加えて室温で2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣にメタノールを加えた。析出した固体をろ過(ろ紙:No.5C)により除去し、ろ液にイオン交換樹脂(三菱化学製DIAION WA21)を加えて3時間攪拌した。ろ過(PTFEフィルター:0.45μm)により固体を除去し、ろ液を減圧濃縮して式(C)で表される4−ホルミルブチルホスホリルコリンを得た。収量は249mg(0.93mmol)、収率は93%であった。
【化15】
・・・(C)
【0068】
[合成例3]10,11−ジヒドロキシウンデシルホスホリルコリン(式(E)で表される化合物)の合成
200mLのフラスコに式(D)で表される10−ウンデシルホスホリルコリン1.68g(5.0mmol)、メタクロロ過安息香酸2.16g(12.5mmol)、アンバーリスト650mg、クロロホルム15mL、及び水30mLを加えて室温で48時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に水10mLを加えた。析出した白色固体をろ過(ろ紙:No.5C)により除去し、ろ液を酢酸エチル10mLで3回洗浄し、水層を減圧濃縮して式(E)で表される10,11−ジヒドロキシウンデシルホスホリルコリンを得た。収量は1.75g(4.75mmol)、収率は95%であった。
【化16】
・・・(D)
【化17】
・・・(E)
【0069】
[合成例4]9−ホルミルノニルホスホリルコリン(式(F)で表される化合物)の合成
50mLフラスコに式(E)で表される10,11−ジヒドロキシウンデシルホスホリルコリン369mg(1.0mmol)及び水10mLを加えて攪拌した。過ヨウ素酸ナトリウム321mg(1.5mmol)を加えて室温で2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣にメタノールを加えた。析出した固体をろ過(ろ紙:No.5C)により除去し、ろ液にイオン交換樹脂(三菱化学製DIAION WA21)を加えて3時間攪拌した。ろ過(PTFEフィルター:0.45μm)により固体を除去し、ろ液を減圧濃縮して式(F)で表される9−ホルミルノニルホスホリルコリンを得た。収量は297mg(0.88mmol)、収率は88%であった。
【化18】
・・・(F)
【0070】
[合成例5]ホルミルメチルホスホリルコリン(式(G)で表される化合物)の合成
特願2006−95446号(特開2007−269657号公報)に開示される方法よって合成したα―グリセロホスホリルコリン(GPC)20.0gを水(80mL)に溶解し、室温にて過ヨウ素酸ナトリウム20.1gを加え、1h攪拌した。反応終了後、反応溶液を減圧濃縮して水を留去し、残渣を脱水メタノールに溶解した。析出した固体をろ過(ろ紙:No.5C)により除去し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を脱水メタノールに溶解し、イオン交換樹脂を加えて攪拌した。固形分をろ過(PTFEフィルター:0.45mm)により除去し、ろ液を減圧濃縮し、残渣を減圧乾燥することで式(G)で表されるホルミルメチルホスホリルコリンを得た。
【化19】
・・・(G)
【0071】
[合成例6]アミノ基含有セルロース(式(H)で表される化合物)の合成
ナスフラスコにセルロース20.0gに、ジメチルスルホキシド(DMSO)180gを加えテトラブチルアンモニウムブロミドを149g(3当量)加え、ブロモエチルアミン57.3g(3当量)を加え、80℃で12時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿することにより、式(H)で表されるアミノ基含有セルロースを得た。
【化20】
・・・(H)
【0072】
[合成例7]アミノ基含有ヒアルロン酸(式(I)で表される化合物)の合成
ナスフラスコにヒアルロン酸(FCH−A キッコーマン製)20.0gに、イオン交換水を180gを加えテトラブチルアンモニウムブロミドを49.0g(3当量)加えて60℃で12時間攪拌して、エタノールによる最沈殿を行うことで、DMSOに可溶なヒアルロン酸を得た。このヒアルロン酸15.0gをDMSO135gに溶解し、ブロモエチルアミン14.1g(3当量)を加え、80℃で12時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿することにより、式(I)で表されるアミノ基含有ヒアルロン酸を得た。
【化21】
・・・(I)
【0073】
[合成例8]アミノ基含有ヒアルロン酸(式(J)で表される化合物)の合成
ナスフラスコにヒアルロン酸(FCH−A キッコーマン製)20.0gに、イオン交換水を180g加え1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を10.6g(1.1当量)加えて50℃で1時間攪拌し、その後、エチレンジアミンを1.65g(1.1当量)を加えて同温で13時間攪拌した後、エタノールによる最沈殿をすることにより、式(J)で表されるアミノ基含有ヒアルロン酸を得た。
【化22】
・・・(J)
【0074】
[合成例9]アミノ基含有ヒアルロン酸(式(K)で表される化合物)の合成
ナスフラスコにヒアルロン酸(FCH−A キッコーマン製)20.0gに、イオン交換水を180g加え1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)を10.6g(1.1当量)加えて50℃で1時間攪拌し、その後、Bis(6−アミノヘキシル)アミンを11.9g(1.1当量)を加えて同温で13時間攪拌した後、エタノールによる最沈殿をすることにより、式(K)で表されるアミノ基含有ヒアルロン酸を得た。
【化23】
・・・(K)
【0075】
[実施例1−1]ホスホリルコリン基含有セルロース(式(aa)で表される化合物)の合成(P含量:48.7mg/g)
ナスフラスコに合成例6において合成したアミノ基含有セルロース10.0gに、イオン交換水とエタノールの混合溶媒90gを加え、合成例4において合成したホルミルノニルホスホリルコリン18.1g、50mlのメタノールに溶解した2−ピコリンボランを11.5g加え、室温で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿した後にNMR測定を行ったところ、(*1)に示す帰属が得られたことから式(aa)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、65.0%であった。
(*1)
13C−NMR(D
2O, 標準物質TMS) 19.8〜21.0ppm(C
10、C
11、C
12、C
13、C
14、C
15、C
16、C
17),42.9ppm〜48.1ppm(C
8、C
9、C
21),61.3〜75.1ppm(C
2、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
18、C
19、C
20),95.8〜102.5ppm(C
1)
【化24】
・・・(aa)
【0076】
[実施例1−2]ホスホリルコリン基含有ヒアルロン酸(式(bb)で表される化合物)の合成(P含量:23.6mg/g)
ナスフラスコに合成例7において合成したアミノ基含有ヒアルロン酸10.0gに、イオン交換水とエタノールの混合溶媒90gを加え、合成例4において合成したホルミルノニルホスホリルコリン8.8g、50mlのメタノールに溶解した2−ピコリンボランを5.6g加え室温で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿した後にNMR測定を行ったところ、(*2)に示す帰属が得られたことから式(bb)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、48.1%であった。
(*2)
13C−NMR(D
2O, 標準物質TMS) 19.8〜21.0ppm(
、C
12、C
13、C
14、C
15、C
16、C
17、C
18、C
19、),30.9ppm(C
4),42.9〜48.1ppm(C
10、C
11、C
23),60.8〜74.3ppm(C
2、C
5、C
6、C
7、C
8、C
9、C
20、C
21、C
22、C
25、C
26、C
27、C
28),95.3〜101.2ppm(C
1、C
24),174.2ppm(C
29),177.7ppm(C
3)
【化25】
・・・(bb)
【0077】
[実施例1−3]ホスホリルコリン基含有ヒアルロン酸(式(cc)で表される化合物)の合成(P含量:23.6mg/g)
ナスフラスコに合成例8において合成したアミノ基含有ヒアルロン酸10.0gに、イオン交換水とエタノールの混合溶媒90gを加え、合成例2において合成したホルミルブチルホスホリルコリン6.6g、50mlのメタノールに溶解した2−ピコリンボランを5.3g加え室温で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿した後に、NMR測定を行ったところ、(*3)に示す帰属が得られたことから式(cc)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、51.2%であった。
(*3)
13C−NMR(D
2O, 標準物質TMS) 19.6〜21.0ppm(C
18、C
19、C
20、),30.9ppm(C
4),42.9〜48.0ppm(C
16、C
17、C
24),60.8〜74.3ppm(C
2、C
5、C
6、C
7、C
8、C
10、C
11、C
12、C
13、C
15、C
21、C
22、C
23),95.3〜101.2ppm(C
1、C
9),177.7ppm(C
3),183.9ppm(C
14)
【化26】
・・・(cc)
【0078】
[実施例1−4]ホスホリルコリン基含有ヒアルロン酸(式(dd)で表される化合物)の合成(P含量:22.9mg/g)
ナスフラスコに合成例8において合成したアミノ基含有ヒアルロン酸10.0gに、イオン交換水とエタノールの混合溶媒90gを加え、合成例4において合成したホルミルノニルホスホリルコリン5.75g、50mlのメタノールに溶解した2−ピコリンボランを3.65g加え室温で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿した後に、NMR測定を行ったところ、(*4)に示す帰属が得られたことから式(dd)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、55.0%であった。
(*4)
13C−NMR(D
2O, 標準物質TMS) 19.6〜21.0ppm(C
18、C
19、C
20、C
21、C
22、C
23、C
24、C
25),30.9ppm(C
4),42.8〜48.0ppm(C
16、C
17、C
29),60.8〜74.3ppm(C
2、C
5、C
6、C
7、C
8、C
10、C
11、C
12、C
13、C
15、C
26、C
27、C
28),95.3〜101.2ppm(C
1、C
9),177.7ppm(C
3),183.9ppm(C
14)
【化27】
・・・(dd)
【0079】
[実施例1−5]ホスホリルコリン基含有キトサン(式(ee)で表される化合物)の合成(P含量:39.7mg/g)
ナスフラスコにキトサン(ダイキトサン 100DVL 大日精化製)10.0gに、イオン交換水とエタノールの混合溶媒90gを加え、合成例4において合成したホルミルノニルホスホリルコリン23.0g、50mlのメタノールに溶解した2−ピコリンボランを14.6g加え室温で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿した後に、NMR測定を行ったところ、(*5)に示す帰属が得られたことから式(ee)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、62.0%であった。
(*5)
13C−NMR(D
2O, 標準物質TMS) 19.6〜21.0ppm(C
10、C
11、C
12、C
13、C
14、C
15、C
16、C
17)42.5〜48.1ppm(C
2、C
8、C
9、C
21),61.0〜73.9ppm(C
3、C
4、C
5、C
6、C
18、C
19、C
20、C
22、C
23、C
24、C
25),95.1〜103.2ppm(C
1、C
7)
【化28】
・・・(ee)
【0080】
[比較例1−1]ホスホリルコリン基含有ヒアルロン酸(式(ff)で表される化合物)の合成(P含量:24.0mg/g)
ナスフラスコに合成例8において合成したアミノ基含有ヒアルロン酸10.0gに、イオン交換水とエタノールの混合溶媒90gを加え、合成例5において合成したホルミルメチルホスホリルコリン5.3g、50mlのメタノールに溶解した2−ピコリンボランを5.0g加え室温で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿した後に、NMR測定を行ったところ、(*6)に示す帰属が得られたことから式(ff)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、49.9%であった。
(*6)
13C−NMR(D
2O, 標準物質TMS) 30.9ppm(C
4),42.3〜48.0ppm(C
16、C
17、C
21),60.8〜74.3ppm(C
2、C
5、C
6、C
7、C
8、C
10、C
11、C
12、C
13、C
15、C
18、C
19、C
20),95.3〜101.2ppm(C
1、C
9),177.7ppm(C
3),183.9ppm(C
14)
【化29】
・・・(ff)
【0081】
[比較例1−2]ホスホリルコリン基含有ヒアルロン酸(式(gg)で表される化合物)の合成(P含量:18.9mg/g)
ナスフラスコに合成例9において合成したアミノ基含有ヒアルロン酸10.0gに、イオン交換水とエタノールの混合溶媒90gを加え、合成例5において合成したホルミルメチルホスホリルコリン4.3g、50mlのメタノールに溶解した2−ピコリンボランを4.1g加え室温で7時間反応させた。反応終了後、エタノールで再沈殿した後に、NMR測定を行ったところ、(*7)に示す帰属が得られたことから式(gg)で表される化合物であることを確認した。
得られた化合物をモリブデン青法により、りんの定量を行ったところ、48.2%であった。
(*7)
13C−NMR(D
2O, 標準物質TMS) 18.0〜19.6ppm(C
16、C
17、C
18、C
19、C
22、C
23、C
24、C
25),30.9ppm(C
4),42.8〜48.2ppm(C
20、C
21、C
26、C
27、C
31),60.8〜74.3ppm(C
2、C
5、C
6、C
7、C
8、C
10、C
11、C
12、C
13、C
15、C
28、C
29、C
30),95.3〜101.2ppm(C
1、C
9),177.7ppm(C
3),183.9ppm(C
14)
【化30】
・・・(gg)
【0082】
[りんの定量法]
得られたホスホリルコリン基を有する糖誘導体はりんの定量(モリブデン青法)により分析を行い、PC基の導入率はりんの定量(モリブデン青法)により算出した。
【0083】
りんの定量はメルク社製のりん定キット(phosphate cell test)を用いて、簡易型全リン計(WTW社 携帯用水質測定器 pHotoFlex)により以下の操作手順に従ってP元素の含量を測定し、PC基の導入率を下記式(a)より算出した。
【0084】
(操作手順)
反応セルに所定の濃度(≒0.01wt%)に調製したホスホリルコリン基を有する多糖を水溶液5ml加え、p―1K試薬を1回分添加して攪拌混合後、ブロックヒーター内で120℃で30分反応させる。リファレンスとしてキトサンを含むイオン交換水のみの反応セルにも、p―1Kを加えた後に同様にブロックヒーター内で反応させる。
【0085】
反応後、30分間室温で冷却し、各反応セルにp―2K試薬を5滴ずつ加えて攪拌混合する。その後、p―3K試薬を各反応セルに1回分加え、5分間放置する。その後、pHotoFlexにより612nmの吸光度からりん(P)元素の含量(mg/l)を測定した。得られたP元素含量から式(a)を用いてP元素の導入率を算出することで、ホスホリルコリン基の導入率とした。
【0086】
(試薬)
p―1K ペルオキソニ硫酸カリウム30%
p―2K 硫酸(15.0%),酒石酸アンチモニルカリウム(30%)
p―3K アスコルビン酸
反応セル 硫酸15.0%
【0087】
【数1】
【0088】
[実施例2−1]ヒアルロン酸PCハイドロゲルの調製(1)
実施例1−3で合成したヒアルロン酸PCをイオン交換水に溶解し、1,3−ビス(2,2−ジメチル―1,3−ジオキソラン―4−イルメチル)カルボジイミドを1.0等量添加して室温で攪拌後、静置することでゲル化物を得た。これを、過剰の水及びエタノールで交互に浸漬を数回繰り返すことで、未反応の1,3−ビス(2,2−ジメチル―1,3−ジオキソラン―4−イルメチル)カルボジイミドを除去し、凍結乾燥した。凍結乾燥後の架橋体に所定のイオン交換水で含水させ、平衡膨潤させた。
【0089】
平衡膨潤後の含水した架橋体の重量から、下記式(b)を用いて含水率を算出した。また、イオン交換水で平衡膨潤した架橋体を水に浸漬させながら固液界面での気泡との表面接触角を静的接触角装置CA−DT・A型(協和界面科学株式会社)を用いて測定した。解析は三態系法を用いた。
【0090】
[実施例2−2]ヒアルロン酸PCハイドロゲルの調製(2)
実施例1−4で合成した化合物を用いて、実施例2−1と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、同様の方法で含水率及び表面接触角を評価した。
【0091】
[実施例2−3]キトサンPCハイドロゲルの調製
実施例1−5で合成したキトサンPCをイオン交換水に溶解し、そこにグルタルアルデヒドをキトサンのアミノ基に対して、0.5等量添加、静置することでゲル化物を得た。これを、過剰の水及びエタノールで交互に浸漬を数回繰り返すことで、未反応のグルタルアルデヒドを除去し、凍結乾燥した。凍結乾燥後の架橋体に所定のイオン交換水を含水させ、平衡膨潤させた。
【0092】
平衡膨潤後の含水した架橋体の重量から、下記式(b)を用いて含水率を算出した。また、イオン交換水で平衡棒潤した架橋体を水に浸漬させながら固液界面で気泡との表面接触角を性的接触角装置CADT・A型(協和界面科学株式会社製)を用いて測定した。解析は三態系を用いた。
【0093】
[比較例2−1]ヒアルロン酸PCハイドロゲルの調製(4)
比較例1−1で合成した化合物を用いて、実施例2−1と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、同様の方法で含水率及び表面接触角を評価した。
【0094】
[比較例2−2]ヒアルロン酸PCハイドロゲルの調製(5)
比較例1−2で合成した化合物を用いて、実施例2−1と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、同様の方法で含水率及び表面接触角を評価した。
【0095】
[比較例2−3]ヒアルロン酸ハイドロゲルの調製
ヒアルロン酸PCの代わりにヒアルロン酸を用い、実施例2−1と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、同様の方法で含水率及び表面接触角を評価した。
【0096】
[比較例2−4]キトサンハイドロゲルの調製
キトサンPCの代わりにキトサンを用い、実施例2−3と同様の方法で、ハイドロゲルを作製し、同様の方法で含水率及び表面接触角を評価した。
【0097】
【数2】
【0098】
実施例2−1,2−2,2−3、比較例2−1,2−2,2−3,2−4の結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
[含水率及び表面接触角評価結果]
実施例2−1,2−2,2−3では、いずれも含水率が95%で、かつ、表面接触角が150°以上である、良好な特性を有するハイドロゲルが得られた。一方、比較例2−1,2−2に係るハイドロゲルでは、いずれも含水率が95%未満で、表面接触角が150°未満である不十分な特性のハイドロゲルが得られた。また、比較例2−3,2−4では、ハイドロゲルとして十分な含水率が得られなかった。
【0101】
[実施例2−5]保水性評価
実施例1−3で得られた化合物(ヒアルロン酸ホスホリルコリン(ヒアルロン酸PC))を表2に示す組成に従って配合した水溶液を調整した。
【0102】
[実施例2−6〜2−8]保水性評価
表2に示す組成に従ってそれぞれ配合した水溶液を調整した。実施例2−6では、実施例1−4で得られた化合物(ヒアルロン酸ホスホリルコリン(ヒアルロン酸PC))を用いた。実施例2−7では、実施例1−5で得られた化合物(キトサンホスホリルコリン(キトサンPC))を用いた。実施例2−8では、実施例1−3で得られた化合物(ヒアルロン酸PC)及び実施例1−6で得られた化合物(キトサンPC)を用いた。
【0103】
[比較例2−5,2−6]保水性評価
表2に示す組成に従ってそれぞれ配合した水溶液を調整した。比較例2−5では、比較例1−1で合成した化合物を用いた。比較例2−6では、比較例1−2で合成した化合物を用いた。つまり、比較例2−5,2−6では、本発明の範囲外であるホスホリルコリン基含有糖誘導体が用いられる。
【0104】
[比較例2−7,2−8]保水性評価
表2に示す組成に従ってそれぞれ配合した水溶液を調整した。比較例2−7では、ヒアルロン酸を用いた。比較例2−8では、キトサンを用いた。つまり、比較例2−7,2−8では、ホスホリルコリン基を含有しない糖が用いられる。
【0105】
[比較例2−9,2−10,2−11]保水性評価
表2に示す組成に従ってそれぞれ配合した水溶液を調整した。比較例2−9,2−10,2−11では、保湿化粧水の保湿機能成分として一般的な化合物を用いた。比較例2−9では、グリセリンを用いた。比較例2−10では、ジプロピレングリコールを用いた。比較例2−11では、1,3ブタンジオールを用いた。
【0106】
[官能評価]
実施例2−5,2−6,2−7,2−8、比較例2−5,2−6,2−7,2−8で得られた各保湿成分を配合した水溶液について、専門パネラーの前腕内分側部に塗布したときの使用感を以下の判断基準で官能評価した。その結果を表2に示す。
・保湿性
◎:潤い感に優れている、○:潤い感がある、△:どちらともいえない、×:潤い感がない
・しっとり感
◎:非常にしっとりする、○:しっとりする、△:どちらともいえない、×:しっとりしない
・べたつき感
◎:全くべたつかない、○:べたつかない、△:どちらともいえない、×:べたつく
・弾力感
◎:弾力がある、○:やや弾力がある、△:どちらともいえない、×:弾力がない
【0107】
【表2】
【0108】
[官能評価結果]
実施例2−5〜2−8では、いずれも保湿剤として良好な結果が得られた。特に、実施例2−8では、特に弾力感に優れていた。一方、比較例2−5,2−6では、保湿性及びしっとり感について上記実施例2−5〜2−8に及ばなかった。また、比較例2−8,2−9では、べたつき感が多く発生した。更に比較例2−10,2−11では、保湿性及び弾力感が得られず、しっとり感も不十分であった。