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特許6372291系統連系システムおよび系統連系システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372291
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】系統連系システムおよび系統連系システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20180806BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20180806BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20180806BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   H02J3/32
   H02J3/00 170
   H02J3/38 130
   H02J7/35 K
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-206803(P2014-206803)
(22)【出願日】2014年10月8日
(65)【公開番号】特開2016-77101(P2016-77101A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(72)【発明者】
【氏名】露木 和生
(72)【発明者】
【氏名】植田 喜延
【審査官】 高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−236821(JP,A)
【文献】 特開2009−261076(JP,A)
【文献】 特開2008−104284(JP,A)
【文献】 特開2012−075297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42−10/48,
H02J3/00−7/12,
H02J7/34−7/36,
H02M3/00−3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統の受電点に共通に接続された自然エネルギー発電システムおよび複数の二次電池の充放電システムと、前記二次電池の充放電システムの充放電制御を行う系統安定化装置とを備えた系統連系システムにおいて、
前記複数の二次電池の充放電システムは、自動制御モードで運転される自動制御モード号機と、充電リセットモード又は手動充電モード又は手動放電モードのいずれかで運転される号機とを備え、
前記系統安定化装置は、
前記系統の受電点における受電点電力指令値と受電点電力検出値の偏差をPI演算して自動制御モード号機の補正前充放電電力指令値を求め、その補正前の充放電電力指令値を充電電力指令値の下限リミッタ値から放電電力指令値の上限リミッタ値の間に制限するリミッタを通して自動制御モード号機の充放電電力指令値を得、その充放電電力指令値によって、前記自動制御モード号機を制御する自動制御系を有し、
前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記上限リミッタ値および前記手動放電モード号機への手動放電指令値の合計値に基づいて、前記充電リセットモード号機へのリセット充電電力の最大上限値を演算する二次電池の充電リセット電力許容値演算部と、
前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記上限リミッタ値、前記演算されたリセット充電電力の最大上限値および前記手動放電モード号機への手動放電指令値の合計値に基づいて、前記手動充電モード号機への手動充電電力の最大上限値を演算する二次電池の手動充電電力許容値演算部と、
前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記手動放電モード号機への手動放電指令値、前記演算されたリセット充電電力の最大上限値および前記演算された手動充電電力の最大上限値を加算して受電点電力予測合計値を演算する受電点電力予測合計値演算部と、
充電時受電点最小電力設定値と前記演算された受電点電力予測合計値の偏差をとって自動制御モード号機の充放電電力補正加算指令値を演算する充放電電力補正加算指令値演算部と、
前記演算された受電点電力予測合計値が前記充電時受電点最小電力設定値以下のときに、前記演算された充放電電力補正加算指令値を前記自動制御系の補正前充放電電力指令値に加算する加算部と、
を備えていることを特徴とする系統連系システム。
【請求項2】
前記系統安定化装置は、前記受電点電力検出値から前記複数の二次電池の充放電システムの各号機の電力検出値を減算することにより前記自然エネルギー発電システムの電力検出値を得る電力検出値取得部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の系統連系システム。
【請求項3】
前記自然エネルギー発電システムはPV発電システムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の系統連系システム。
【請求項4】
前記二次電池の充放電システムはNAS電池(登録商標)システムであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の系統連系システム。
【請求項5】
系統の受電点に共通に接続された自然エネルギー発電システムおよび複数の二次電池の充放電システムと、前記二次電池の充放電システムの充放電制御を行う系統安定化装置とを備え、
前記複数の二次電池の充放電システムは、自動制御モードで運転される自動制御モード号機と、充電リセットモード又は手動充電モード又は手動放電モードのいずれかで運転される号機とを備え、
前記系統安定化装置は、前記系統の受電点における受電点電力指令値と受電点電力検出値の偏差をPI演算して自動制御モード号機の補正前充放電電力指令値を求め、その補正前の充放電電力指令値を充電電力指令値の下限リミッタ値から放電電力指令値の上限リミッタ値の間に制限するリミッタを通して自動制御モード号機の充放電電力指令値を得、その充放電電力指令値によって、前記自動制御モード号機を制御する自動制御系を有した系統連系システムの制御方法であって、
前記系統安定化装置の二次電池の充電リセット電力許容値演算部が、前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記上限リミッタ値および前記手動放電モード号機への手動放電指令値の合計値に基づいて、前記充電リセットモード号機へのリセット充電電力の最大上限値を演算するステップと、
前記系統安定化装置の二次電池の手動充電電力許容値演算部が、前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記上限リミッタ値、前記演算されたリセット充電電力の最大上限値および前記手動放電モード号機への手動放電指令値の合計値に基づいて、前記手動充電モード号機への手動充電電力の最大上限値を演算するステップと、
前記系統安定化装置の受電点電力予測合計値演算部が、前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記手動放電モード号機への手動放電指令値、前記演算されたリセット充電電力の最大上限値および前記演算された手動充電電力の最大上限値を加算して受電点電力予測合計値を演算するステップと、
前記系統安定化装置の充放電電力補正加算指令値演算部が、充電時受電点最小電力設定値と前記演算された受電点電力予測合計値の偏差をとって自動制御モード号機の充放電電力補正加算指令値を演算するステップと、
前記系統安定化装置の加算部が、前記演算された受電点電力予測合計値が前記充電時受電点最小電力設定値以下のときに、前記演算された充放電電力補正加算指令値を前記自動制御系の補正前充放電電力指令値に加算するステップと、
を備えたことを特徴とする系統連系システムの制御方法。
【請求項6】
前記系統安定化装置の電力検出値取得部が、前記受電点電力検出値から前記複数の二次電池の充放電システムの各号機の電力検出値を減算することにより前記自然エネルギー発電システムの電力検出値を得るステップを備えたことを特徴とする請求項5に記載の系統連系システムの制御方法。
【請求項7】
前記自然エネルギー発電システムはPV発電システムであることを特徴とする請求項5又は6に記載の系統連系システムの制御方法。
【請求項8】
前記二次電池の充放電システムはNAS電池システムであることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の系統連系システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天候条件により発電量が変動する不安定な電源である自然エネルギー発電を安定した電源に変化させる系統安定化装置を備えた系統連系システムにおいて、系統側からの充電を防止する制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
自然エネルギーを適用するPV(Photo Voltaics)発電システムや風力発電システムなどの発電システムは、天候により発電出力が変動するため、NAS電池(登録商標:電力貯蔵用ナトリウム−硫黄電池)などの二次電池を充放電システムに利用して、系統側への出力変動を抑制することができる。その系統連系システムの代表構成を図8に示す。
【0003】
図8において、一次側が上位の系統に接続された変圧器Tの二次側には、自然エネルギー発電システム、例えばPV発電システム100と、二次電池の充放電システム、例えばNAS電池システム200のNO.1号機200a、NO.2号機200b、NO.3号機200cが共通に接続されている。
【0004】
300はNAS電池システム200の各号機200a,200b,200cの充放電を制御してPV発電システム100を安定した電源とする系統安定化装置である。23は受電点の電力を検出する電力検出器である。
【0005】
前記PV発電システム100は、太陽電池10が発電する直流電力をDC/AC変換器12によって交流電力に変換する。前記NAS電池システムの各号機200a,200b,200cは、NAS電池11a,11b,11cの直流電力をDC/AC変換器12a,12b,12cによって交流電力に変換する。13a,13b,13cは前記各号機200a,200b,200cの電力を検出する電力検出器である。
【0006】
系統安定化装置300は、電力検出器23によって検出された受電点電力検出値P_line_detと、電力検出器13a,13b,13cによって各々検出されたNAS電池システムの各号機200a,200b,200cの電力検出値P1_det,P2_det,P3_detとを取り込み、各号機200a,200b,200cへ電力指令値P1_ref,P2_ref,P3_refを送って各号機の充放電制御を行うことにより、受電点電力(P_line_det)を制御する。
【0007】
前記各NAS電池システムの運転モードには、(M1)充電リセットモード、(M2)手動充電モード、(M3)手動放電モード、(M4)自動制御モードがある。NAS電池などの二次電池では、低い充電状態(State of Charge:SOC)の待機状態において寿命劣化や効率低下が発生する。このため実際の電池とのSOCの誤差を校正するために満充電リセットを行い、容量計リセットを行う必要がある。この運転モードが(M1)充電リセットモードである。
【0008】
NAS電池の設置は運用面の効率を上げるため複数台設置されるが、メンテナンスや電池寿命の保守からNAS電池の充放電を強制的に操作することなどがあり、複数台のNAS電池間での異なる運転モードによる充放電制御が混在する場合がある。
【0009】
<例1> NO.1号機:M1充電リセットモード、NO.2号機:M2手動充電モード、NO.3号機:M4自動制御モード
<例2> NO.1号機:M1充電リセットモード、NO.2号機:M3手動放電モード、NO.3号機:M4自動制御モード
上記例の場合、NO.1号機200aが自号機の充電リセット制御、NO.2号機200bが自号機の手動充電制御(例1)または手動放電制御(例2)を行いつつ、NO.3号機200cが系統の受電点電力の制御を行う。
【0010】
従来、この受電点電力の制御は、例えば図9に示す制御ブロックによるフィードバック制御がなされていた。図9において301は、前記電力検出器23により検出された受電点電力検出値P_line_detと受電点電力指令値P_line_refとの偏差をとる減算器であり、302は減算器301の偏差出力をPI演算して自動制御号機の補正前充放電電力指令値P_auto_ref_beforeを出力するPI演算器である。
【0011】
この補正前充放電電力指令値P_auto_ref_beforeは、リミッタ303によって、充電電力指令値の下限リミッタ値Pminから放電電力指令値の上限リミッタ値Pmaxの間に制限され、NAS電池システム200の自動制御モード号機の充放電電力指令値P_auto_refが制御演算される。
【0012】
NAS電池システム200には、放電可能最大電力(放電電力指令値の上限リミッタ値Pmax)および充電可能最小電力(充電電力指令値の下限リミッタ値Pmin)があるので、図10に示す制限機能を有したリミッタ303によって充放電電力指令値P_auto_refを制限している。図10では放電方向を極性+としている。
【0013】
尚、従来の系統安定化装置としては例えば特許文献1に記載のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−135355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図8の構成において、複数台のNAS電池システム間で異なる運転モードで制御されている場合、PV発電システム100の発電電力が低下してきた場合に、系統側からNAS電池システムへの充電操作が発生することがある。すなわち系統側からの充電は変電所においては買電を意味することになり発電所の価値を下げるため、系統充電を防止する対策が必要となる。
【0016】
従来の制御技術では、受電点電力の充電電力が設定された充電許容値を超えたことを検出してからNAS電池(11a,11b,11c)の充放電量を制御していたが、制御応答の遅れによって、以下のような問題があった。
【0017】
系統受電点電力を検出してから自動制御モード号機のNAS電池の充放電制御を行うため、応答時間の遅れにより系統受電点電力が急変動することがある。この場合、系統充電の時間(すなわち買電の時間)が発生することがある。
【0018】
図11に、PV発電電力低下時の受電点電力P_line_det変動の例を示す。図11において、(a)はPV発電電力、(b)は受電点電力を示しており、P_line_det<0の領域で買電となっている。
【0019】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、受電点電力の急変動を抑制して買電を回避、もしくは買電電力・買電時間を抑制することができる系統連系システムおよびその制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するための請求項1記載の系統連系システムは、系統の受電点に共通に接続された自然エネルギー発電システムおよび複数の二次電池の充放電システムと、前記二次電池の充放電システムの充放電制御を行う系統安定化装置とを備えた系統連系システムにおいて、前記複数の二次電池の充放電システムは、自動制御モードで運転される自動制御モード号機と、充電リセットモード又は手動充電モード又は手動放電モードのいずれかで運転される号機とを備え、前記系統安定化装置は、前記系統の受電点における受電点電力指令値と受電点電力検出値の偏差をPI演算して自動制御モード号機の補正前充放電電力指令値を求め、その補正前の充放電電力指令値を充電電力指令値の下限リミッタ値から放電電力指令値の上限リミッタ値の間に制限するリミッタを通して自動制御モード号機の充放電電力指令値を得、その充放電電力指令値によって、前記自動制御モード号機を制御する自動制御系を有し、前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記上限リミッタ値および前記手動放電モード号機への手動放電指令値の合計値に基づいて、前記充電リセットモード号機へのリセット充電電力の最大上限値を演算する二次電池の充電リセット電力許容値演算部と、前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記上限リミッタ値、前記演算されたリセット充電電力の最大上限値および前記手動放電モード号機への手動放電指令値の合計値に基づいて、前記手動充電モード号機への手動充電電力の最大上限値を演算する二次電池の手動充電電力許容値演算部と、前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記手動放電モード号機への手動放電指令値、前記演算されたリセット充電電力の最大上限値および前記演算された手動充電電力の最大上限値を加算して受電点電力予測合計値を演算する受電点電力予測合計値演算部と、充電時受電点最小電力設定値と前記演算された受電点電力予測合計値の偏差をとって自動制御モード号機の充放電電力補正加算指令値を演算する充放電電力補正加算指令値演算部と、前記演算された受電点電力予測合計値が前記充電時受電点最小電力設定値以下のときに、前記演算された充放電電力補正加算指令値を前記自動制御系の補正前充放電電力指令値に加算する加算部と、を備えていることを特徴としている。
【0021】
また請求項5記載の系統連系システムの制御方法は、系統の受電点に共通に接続された自然エネルギー発電システムおよび複数の二次電池の充放電システムと、前記二次電池の充放電システムの充放電制御を行う系統安定化装置とを備え、前記複数の二次電池の充放電システムは、自動制御モードで運転される自動制御モード号機と、充電リセットモード又は手動充電モード又は手動放電モードのいずれかで運転される号機とを備え、前記系統安定化装置は、前記系統の受電点における受電点電力指令値と受電点電力検出値の偏差をPI演算して自動制御モード号機の補正前充放電電力指令値を求め、その補正前の充放電電力指令値を充電電力指令値の下限リミッタ値から放電電力指令値の上限リミッタ値の間に制限するリミッタを通して自動制御モード号機の充放電電力指令値を得、その充放電電力指令値によって、前記自動制御モード号機を制御する自動制御系を有した系統連系システムの制御方法であって、前記系統安定化装置の二次電池の充電リセット電力許容値演算部が、前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記上限リミッタ値および前記手動放電モード号機への手動放電指令値の合計値に基づいて、前記充電リセットモード号機へのリセット充電電力の最大上限値を演算するステップと、前記系統安定化装置の二次電池の手動充電電力許容値演算部が、前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記上限リミッタ値、前記演算されたリセット充電電力の最大上限値および前記手動放電モード号機への手動放電指令値の合計値に基づいて、前記手動充電モード号機への手動充電電力の最大上限値を演算するステップと、前記系統安定化装置の受電点電力予測合計値演算部が、前記自然エネルギー発電システムの電力検出値、前記手動放電モード号機への手動放電指令値、前記演算されたリセット充電電力の最大上限値および前記演算された手動充電電力の最大上限値を加算して受電点電力予測合計値を演算するステップと、前記系統安定化装置の充放電電力補正加算指令値演算部が、充電時受電点最小電力設定値と前記演算された受電点電力予測合計値の偏差をとって自動制御モード号機の充放電電力補正加算指令値を演算するステップと、前記系統安定化装置の加算部が、前記演算された受電点電力予測合計値が前記充電時受電点最小電力設定値以下のときに、前記演算された充放電電力補正加算指令値を前記自動制御系の補正前充放電電力指令値に加算するステップと、を備えたことを特徴としている。
【0022】
上記構成によれば、受電点電力予測合計値が充電時受電点最小電力設定値以下のときに、自動制御モード号機の充放電電力指令値が増加方向に補正されて充放電電力が放電方向に急増するので、例えば日射量低減による自然エネルギー発電システムの減少電力を補充することができ、受電点電力の急変動を抑制させることができる。これによって買電を回避、もしくは買電電力・買電時間を抑制させることができる。
【0023】
また請求項2記載の系統連系システムは、前記系統安定化装置は、前記受電点電力検出値から前記複数の二次電池の充放電システムの各号機の電力検出値を減算することにより前記自然エネルギー発電システムの電力検出値を得る電力検出値取得部を備えたことを特徴としている。
【0024】
また請求項6記載の系統連系システムの制御方法は、前記系統安定化装置の電力検出値取得部が、前記受電点電力検出値から前記複数の二次電池の充放電システムの各号機の電力検出値を減算することにより前記自然エネルギー発電システムの電力検出値を得るステップを備えたことを特徴としている。
【0025】
上記構成によれば、自然エネルギー発電システムの発電電力を検出する検出器を省略することができ、装置コストが低減される。
【0026】
また請求項3に記載の系統連系システムおよび請求項7に記載の系統連系システムの制御方法は、前記自然エネルギー発電システムはPV発電システムであることを特徴としている。
【0027】
また請求項4に記載の系統連系システムおよび請求項8に記載の系統連系システムの制御方法は、前記二次電池の充放電システムはNAS電池システムであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
(1)請求項1〜8に記載の発明によれば、例えば日射量の急低下などによって生じる受電点電力の急変動を抑制させることができ、これによって買電を回避、もしくは買電電力・買電時間を抑制させることができる。
(2)請求項2,6に記載の発明によれば、自然エネルギー発電システムの発電電力を検出する検出器を省略することができ、装置コストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態例による系統連系システムの構成図。
図2】本発明の実施形態例による自動制御モード号機の制御ブロック図。
図3】本発明の実施形態例による充電リセットモード号機の制御ブロック図。
図4】本発明の実施形態例による手動充電モード号機の制御ブロック図。
図5】本発明の実施形態例による手動放電モード号機の制御ブロック図。
図6】本発明の実施例4による系統連系システムの構成図。
図7】本発明の実施形態例による受電点電力変動の抑制状態を表し、(a)はPV発電電力の特性図、(b)は受電点電力の特性図。
図8】従来の系統連系システムの構成図。
図9】従来の受電点電力制御における制御ブロック図。
図10図9のリミッタの機能を表す特性図。
図11】従来の制御方式による受電点電力変動の状態を表し、(a)はPV発電電力の特性図、(b)は受電点電力の特性図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
図1はNAS電池システムを3台(NO.1号機200a、NO.2号機200b、NO.3号機200c)備えた実施形態例の系統連系システムの構成を示している。
【0032】
本実施例1では、受電点電力P_line_detを電力検出器23によって計測し、各NAS電池システム(200a,200b,200c)の電力(P1_det,P2_det,P3_det)を電力検出器13a,13b,13cによって計測し、PV発電システム100の電力P_sun_detを電力検出器13によって計測し、それら計測値に基づいて、系統安定化装置360が各NAS電池システム(200a,200b,200c)の充放電制御を行うことにより、受電点電力P_line_detを制御する。
【0033】
図1において図8と同一部分は同一符号をもって示している。各NAS電池システム号機(200a,200b,200c)の運転モードは、(M1)充電リセットモード、(M2)手動充電モード、(M3)手動放電モード、(M4)自動制御モードより選択する。
【0034】
ただし、1台は(M4)自動制御モードを選択し、残り2台は(M1)充電リセットモード、(M2)手動充電モード、(M3)手動放電モードより選択する。
【0035】
系統安定化装置360内の、(M4)自動制御モード号機の制御ブロックを図2に示す。図中の破線で示すxが、図9の従来方式から追加した制御ブロック部であり、図9と同一部分は同一符号をもって示している。
【0036】
以下に、図2における各パラメータ値と動作を説明する(各パラメータ値の極性は、放電方向を+とする)。
【0037】
・P_line_ref:受電点電力指令値
・P_line_det:電力検出器23によって検出された受電点電力検出値
・P_auto_ref_before:P_line_refとP_line_detの差分をPI演算して算出した、補正前の自動制御モード号機の充放電電力指令値
・Pmax:各号機への放電電力指令値(極性:+)の上限リミッタ値
・Pmin:各号機への充電電力指令値(極性:−)の下限リミッタ値
・P_sun_det:電力検出器13によって検出されたPV発電システム100の電力検出値
・Pman_dis:手動放電モード号機への手動放電指令値(手動放電モード号機がない場合は、Pman_dis=0とする)。
【0038】
・Pres_limit:NAS充電リセット電力許容値(M1充電リセットモード号機への、リセット充電電力の最大上限値であり、充電リセットモード号機がない場合は、Pres_limit=0となる)。
【0039】
このPres_limitは下式により計算する。
【0040】
Pres_limit0=−P_sun_det−Pmax−Pman_dis…(1)(Pres_limit0はPres_limitのデフォルト値)
すなわち、PV発電システム100の電力検出値P_sun_det、各号機への放電電力指令値の上限リミッタ値Pmaxおよび手動放電モード号機への手動放電指令値Pman_disの合計により求められる(尚充電モード(充電方向)であるため極性として「−」が各々付加されている。)。
【0041】
ただし、NAS電池システムには充電電電力許容範囲(Pmin〜0)があるので、リミッタ303aa(limiter1)を設けている。すなわち、
Pres_limit0≧Pminの場合、Pres_limit=Pres_limit0=−P_sun_det−Pmax−Pman_disである。
【0042】
これに対してPres_limit0<Pminの場合はPres_limit=Pminとする。
【0043】
・Pman_limit:手動充電の電力許容値(M2手動充電モード号機への、手動充電電力の最大上限値であり、手動充電モード号機がない場合は、Pman_limit=0となる)。
【0044】
このPman_limitは下式により計算する。
【0045】
Pman_limit0=−P_sun_det−Pmax−Pres_limit−Pman_dis…(2)(Pman_limit0はPman_limitのデフォルト値)
すなわち、PV発電システム100の電力検出値P_sun_det、各号機への放電電力指令値の上限リミッタ値Pmax、前記リセット充電電力の最大上限値Pres_limitおよび手動放電モード号機への手動放電指令値Pman_disの合計により求められる(尚充電モード(充電方向)であるため極性として「−」が各々付加されている。)。
【0046】
ただし、NAS電池システムには充電電力許容範囲(Pmin〜0)があるので、リミッタ303ab(limiter2)を設けている。すなわち、
Pman_limit0≧Pminの場合、Pman_limit=Pman_limit0=−P_sun_det−Pmax−Pres_limit−Pman_disである。
【0047】
これに対してPman_limit0<Pminの場合はPman_limit=Pminとする。
【0048】
P_sum:PV発電システム100と、NAS電池システム200の、(M1)充電リセットモード号機と、(M2)手動充電モード号機と、(M3)手動放電モード号機とから充放電される受電点電力予測合計値
このP_sumは、
P_sum=Pres_limit+Pman_limit+Pman_dis+P_sun_det…(3)で求められる。
【0049】
すなわち、前記リセット充電電力の最大上限値Pres_limit、手動充電電力の最大上限値Pman_limit、手動放電モード号機への手動放電指令値Pman_disおよびPV発電システム100の電力検出値P_sun_detを加算器311、312、313(受電点電力予測合計値演算部)によって加算して得られる。
【0050】
・Psmin:充電時受電点最小電力設定値
尚、買電を防止する場合では、通常、Psmin=0とする。
【0051】
・P_auto_ref_add:自動制御モード号機の充放電電力補正加算指令値
このP_auto_ref_addは、減算器320(充放電電力補正加算指令値演算部)によって、充電時受電点最小電力設定値Psminと受電点電力予測合計値P_sumの偏差をとることで得られる。
【0052】
このP_auto_ref_addは、Psmin≧P_sumの場合ON制御され、Psmin<P_sumの場合OFF制御されるスイッチSWを介して加算器310(加算部)に導入され、前記自動制御モード号機の補正前充放電電力指令値P_auto_ref_beforeに加算される。
【0053】
Psmin≧P_sumの時、自動制御モード号機が放電を行わないと、P_line_det<Psminとなり買電となってしまう。そこで買電を回避、もしくは買電電力・買電時間を抑制するために、スイッチSWをONとし、
P_auto_ref_add=Psmin−P_sum…(4)
として加算器310へ加算する。
【0054】
一方、Psmin<P_sumの時はP_auto_ref_add=0とする。
【0055】
・P_auto_ref:補正後の自動制御モード号機の充放電電力指令値
このP_auto_refは下式により計算する。
【0056】
P_auto_ref0=P_auto_ref_before+P_auto_ref_add…(5)(P_auto_ref0はP_auto_refのデフォルト値)
ただし、NAS電池システムには充放電電力許容範囲(Pmin〜Pmax)があるので、リミッタ303(limiter3)を設けている。すなわち、
Pmin≦P_auto_ref0≦Pmaxの場合、P_auto_ref=P_auto_ref0である。
【0057】
これに対し、P_auto_ref0<Pminの場合は、P_auto_ref=Pminとなり、P_auto_ref0>Pmaxの場合は、P_auto_ref=Pmaxとなる。
【0058】
NAS電池システム200の自動制御モード号機は、前記補正後の充放電電力指令値P_auto_refとなるように制御が行われる。
【0059】
以下のPsmin≧P_sumの時のP_auto_refの補正(自動制御モード号機への放電指令値の上昇)動作により、系統連系システムでの買電を回避、もしくは買電電力・買電時間を抑制する。
【0060】
すなわち、受電点電力予測合計値P_sumが充電時受電点最小電力設定値Psmin以下になったら、自動制御モード号機の充放電電力指令値P_auto_refは補正前充放電電力指令値P_auto_ref_beforeと充放電電力補正加算指令値P_auto_ref_addが加算された値となるため、自動制御モード号機(200)の充放電電力が放電方向に急増し、受電点電力検出値P_line_detの受電点電力指令値P_line_refからの急変動が抑制され、買電を回避、又は買電電力・買電時間を抑制できる。
【0061】
例として、下表(表1〜表4)の運転モード(ケース1〜ケース4)とパラメータ値の場合での動作を示す。
【0062】
【表1】
【0063】
このケース1において、
Pres_limit0=−P_sun_det−Pmax−Pman_dis
=−25kW−10kW−0kW=−35kWである。
【0064】
ここで、Pres_limit0(−35kW)<Pmin(−10kW)であるためPres_limitはPminの−10kWとなる。
【0065】
またPman_limit0=−P_sun_det−Pmax−Pres_limit−Pman_dis=−25kW−10kW−(−10kW)−0kW=−25kWである。
【0066】
ここで、Pman_limit0(−25kW)<Pmin(−10kW)であるためPman_limit=−10kWとなる。
【0067】
またP_sum=Pres_limit+Pman_limit+Pman_dis+P_sun_det=−10kW−10kW+0kW+25kW=5kWである。
【0068】
ここで、P_sum>Psminであるので、スイッチSWはOFFであり、P_auto_ref_add=0kWである。
【0069】
図2の制御ブロック図の追加ブロック部xの出力は0kWとなるので、自動制御モード号機(200)の充放電電力指令値(リミッタ303での補正前)への加算はない。
【0070】
【表2】
【0071】
このケース2では、ケース1と同一の(M1)、(M2)、(M4)の運転モードが選択されているが、PV発電システム100の電力検出値P_sun_detが異なる。
【0072】
ケース2において、
Pres_limit0=−P_sun_det−Pmax−Pman_dis
=−15kW−10kW−0kW=−25kWである。
【0073】
ここで、Pres_limit0(−25kW)<Pmin(−10kW)であるためPres_limitはPminの−10kWとなる。
【0074】
またPman_limit0=−P_sun_det−Pmax−Pres_limit−Pman_dis=−15kW−10kW−(−10kW)−0kW=−15kWである。
【0075】
ここで、Pman_limit0(−15kW)<Pmin(−10kW)であるためPman_limit=−10kWとなる。
【0076】
またP_sum=Pres_limit+Pman_limit+Pman_dis+P_sun_det=−10kW−10kW+0kW+15kW=−5kWである。
【0077】
ここで、P_sum(=−5kW)はPsmin(=0kW)より低いので、スイッチSWはONとなり、P_auto_ref_add=Psmin−P_sum=0kW−(−5kW)=5kWとなる。このため図2の制御ブロック図の追加ブロック部xの出力は5kWとなり、この値が自動制御モード号機(200)の充放電電力指令値(リミッタ303での補正前)に加算される。
【0078】
ケース1とケース2は、PV発電システム100の電力検出値が異なる。ケース1の運転状態中にP_sun_detの値が減少してケース2となった場合、P_auto_ref_addが0kW→5kWと変化する。
【0079】
これにより、自動制御モード号機(200)の充放電電力が放電方向に急増加して、日射量低減によるP_sun_detの減少電力を補充して、受電点電力検出値P_line_detの受電点電力指令値P_line_refからの急変動が抑制されて、買電を回避できる。もしくは買電電力・買電時間を抑制できる。
【0080】
【表3】
【0081】
このケース3では、NAS電池システム200の各号機の運転モードは(M1)、(M3)、(M4)の運転モードが選択されている。
【0082】
ケース3において、
Pres_limit0=−P_sun_det−Pmax−Pman_dis
=−15kW−10kW−5kW=−30kWである。
【0083】
ここで、Pres_limit0(−30kW)<Pmin(−10kW)であるためPres_limitはPminの−10kWとなる。
【0084】
またPman_limit=0kW、手動充電モード(2)がないので、Pman_dis=5kWであるため、P_sumは、
P_sum=Pres_limit+Pman_limit+Pman_dis+P_sun_det=−10kW+5kW+15kW=10kWとなる。
【0085】
ここで、P_sum>Psminであるので、スイッチSWはOFFであり、P_auto_ref_add=0kWである。
【0086】
図2の制御ブロック図の追加ブロック部xの出力は0kWとなるので、自動制御モード号機(200)の充放電電力指令値(リミッタ303での補正前)への加算はない。
【0087】
【表4】
【0088】
このケース4では、NAS電池システム200の各号機の運転モードは(M2)、(M3)、(M4)の運転モードが選択されている。
【0089】
ケース4において、
Pman_limit0=−P_sun_det−Pmax−Pres_limit−Pman_dis
=−15kW−10kW−0kW−5kW=−30kWである。
【0090】
ここで、Pman_limit0(−30kW)<Pmin(−10kW)であるためPman_limitはPminの−10kWとなる。
【0091】
またP_sum=Pres_limit+Pman_limit+Pman_dis+P_sun_det=0kW−10kW+5kW+15kW=10kWとなる。
【0092】
ここで、P_sum>Psminであるので、スイッチSWはOFFであり、P_auto_ref_add=0kWである。
【0093】
図2の制御ブロック図の追加ブロック部xの出力は0kWとなるので、自動制御モード号機(200)の充放電電力指令値(リミッタ303での補正前)への加算はない。
【0094】
また、(M1)充電リセットモード、(M2)手動充電モード、(M3)手動放電モードの各号機の制御ブロック図を、図3図4図5に示す。
【0095】
充電リセット号機の制御ブロックを示す図3において、331は、充電リセットモード号機内の前記電力検出器13a又は13b又は13cにより検出された充電リセットモード号機電力検出値P_res_detと充電リセット電力許容値P_res_limit(充電リセットモード号機へのリセット充電電力の最大上限値)との偏差をとる減算器であり、332は減算器331の偏差出力をPI演算するPI演算器である。
【0096】
PI演算器332の出力はリミッタ304(Limiter4)によって、充電電力指令値の下限リミッタ値Pminから放電電力指令値の上限リミッタ値Pmaxの間に制限され、充電リセットモード号機(200)の電力指令値P_res_refが制御演算される。
【0097】
図1の系統連系システムにおいて、NAS電池システムのNO.1号機200aが(M1)充電リセットモードの号機の場合、図3のブロック図では、P_res_det=P1_det、P_res_ref=P1_refとなる。
【0098】
手動充電モード号機の制御ブロックを示す図4において、341は、手動充電モード号機内の前記電力検出器13a又は13b又は13cにより検出された手動充電モード号機電力検出値P_man_detと手動充電電力許容値P_man_limit(手動充電モード号機への手動充電電力の最大上限値)との偏差をとる減算器であり、342は減算器341の偏差出力をPI演算するPI演算器である。
【0099】
PI演算器342の出力はリミッタ305(Limiter5)によって、充電電力指令値の下限リミッタ値Pminから放電電力指令値の上限リミッタ値Pmaxの間に制限され、手動充電モード号機(200)の電力指令値P_man_refが制御演算される。
【0100】
図1の系統連系システムにおいて、NAS電池システムのNO.2号機200bが(M2)手動充電モードの号機の場合、図4のブロック図では、P_man_det=P2_det、P_man_ref=P2_refとなる。
【0101】
手動放電モード号機の制御ブロックを示す図5において、351は、手動放電モード号機内の前記電力検出器13a又は13b又は13cにより検出された手動放電モード号機電力検出値P_dis_detと手動放電電力許容値P_man_dis(手動放電モード号機への手動放電指令値)との偏差をとる減算器であり、352は減算器351の偏差出力をPI演算するPI演算器である。
【0102】
PI演算器352の出力はリミッタ306(Limiter6)によって、手動放電電力指令値の下限リミッタ値Pminから手動放電電力指令値の上限リミッタ値Pmaxの間に制限され、手動放電モード号機(200)の電力指令値P_dis_refが制御演算される。
【0103】
図1の系統連系システムにおいて、NAS電池システムのNO.3号機200cが(M3)手動放電モードの号機の場合、図5のブロック図では、P_des_det=P3_det、P_dis_ref=P3_refとなる。
【0104】
以上のように実施例1によれば、受電点電力予測合計値が充電時受電点最小電力設定値以下の場合(Psmin≧P_sumの場合)に図2に示すように自動制御モード号機の充放電電力指令値を補正する制御ブロック(追加ブロック部x)を適用することによって、日射量の急低下などによって生じる受電点電力の急変動を抑制させることができる。これによって、買電を回避、もしくは買電電力・買電時間を抑制させることができる。
【0105】
図7に、本発明方式での受電点電力変動のグラフの例を示す。日射量低下前は、実施例1のケース1(表1)の制御モード、日射量低下後は、実施例1のケース2(表2)の制御モードに相当する。
【0106】
図7において、図11の従来方式のグラフと比べて、買電電力と買電時間が抑制・短縮されている。
【実施例2】
【0107】
本実施例2では、実施例1の図1のシステム構成から、NAS電池システム(200)の設置台数を3台から2台に変更した。すなわち、2台のNAS電池システムのうち一方の1台を自動制御モード号機とし、他方の1台を充電リセットモード号機、手動充電モード号機、手動放電モード号機のうちいずれかとして運転を行う。
【0108】
また、前記各運転モード号機の制御は実施例1の場合と同様に、図2図5の制御ブロックによる制御がなされる。
【0109】
本実施例2においても実施例1と同様の動作が行われ、例えば日射量の急低下などによって生じる受電点電力の急変動を抑制させることができ、これによって買電を回避、もしくは買電電力・買電時間を抑制させることができる。
【実施例3】
【0110】
本実施例3では、実施例1の図1のシステム構成から、NAS電池システム(200)の設置台数を3台から4台に変更した。すなわち、4台のNAS電池システムのうち1台を自動制御モード号機とし、その他の3台を充電リセットモード号機、手動充電モード号機、手動放電モード号機として運転を行う。
【0111】
また、前記各運転モード号機の制御は実施例1の場合と同様に、図2図5の制御ブロックによる制御がなされる。
【0112】
本実施例3においても実施例1と同様の動作が行われ、例えば日射量の急低下などによって生じる受電点電力の急変動を抑制させることができ、これによって買電を回避、もしくは買電電力・買電時間を抑制させることができる。
【実施例4】
【0113】
図6は本実施例4の系統連系システムの構成を示しており、図6において図1と同一部分は同一符号をもって示している。本実施例4では、実施例1の図1のシステム構成から、PV発電システム100の発電電力(P_sun_det)を検出する電力検出器13を除去し、その代わりに受電点電力検出値からNAS電池システム(200)の各号機の電力検出値を減算してPV発電システム100の発電電力を求める演算(P_sun_det=P_line_det−P1_det−P2_det−P3_det)を系統安定化装置370内で行うように構成した。その他の構成、動作は実施例1と同様である。
【0114】
本実施例4によれば、前記実施例1の効果に加えて、PV発電システム100の発電電力を検出する電力検出器を省略することができ、装置コストが低減されるという効果が得られる。
【実施例5】
【0115】
本実施例5では、実施例4の図6のシステム構成から、NAS電池システム(200)の設置台数を3台から2台に変更した。すなわち、2台のNAS電池システムのうち一方の1台を自動制御モード号機とし、他方の1台を充電リセットモード号機、手動充電モード号機、手動放電モード号機のうちいずれかとして運転を行う。
【0116】
また、前記各運転モード号機の制御は実施例4の場合と同様に、図2図5の制御ブロックによる制御がなされる。
【0117】
本実施例5においても実施例4と同様の動作が行われ、例えば日射量の急低下などによって生じる受電点電力の急変動を抑制させることができ、これによって買電を回避、もしくは買電電力・買電時間を抑制させることができる。
【実施例6】
【0118】
本実施例6では、実施例4の図6のシステム構成から、NAS電池システム(200)の設置台数を3台から4台に変更した。すなわち、4台のNAS電池システムのうち1台を自動制御モード号機とし、その他の3台を充電リセットモード号機、手動充電モード号機、手動放電モード号機として運転を行う。
【0119】
また、前記各運転モード号機の制御は実施例4の場合と同様に、図2図5の制御ブロックによる制御がなされる。
【0120】
本実施例6においても実施例4と同様の動作が行われ、例えば日射量の急低下などによって生じる受電点電力の急変動を抑制させることができ、これによって買電を回避、もしくは買電電力・買電時間を抑制させることができる。
【符号の説明】
【0121】
10…太陽電池
11a,11b,11c…NAS電池
12,12a,12b,12c…DC/AC変換器
13,13a,13b,13c,23…電力検出器
100…PV発電システム
200,200a,200b,200c…NAS電池システム
301,320,331,341,351…減算器
302,332,342,352…PI演算器
303,303aa,303ab,304〜306…リミッタ
310〜313…加算器
360,370…系統安定化装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11