特許第6372321号(P6372321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6372321走行管理システム、走行管理方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372321
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】走行管理システム、走行管理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20180806BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20180806BHJP
   G09B 29/10 20060101ALN20180806BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G08G1/14 A
   !G09B29/10 Z
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-235408(P2014-235408)
(22)【出願日】2014年11月20日
(65)【公開番号】特開2016-99189(P2016-99189A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】中西 穣作
【審査官】 武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−269000(JP,A)
【文献】 特開平06−309597(JP,A)
【文献】 特開2004−294429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/14
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駐車スペースを有するとともに一の駐車スペースに車両が駐車された状態で他の駐車スペースへの車両の進入及び駐車スペースからの退出が妨げられる構造を有する駐車場を利用するユーザの車両走行を管理する走行管理システムであって、
前記駐車場を利用する複数のユーザの前記駐車場への到着時刻及び前記駐車場からの出発時刻を含む走行スケジュールを取得するスケジュール取得手段と、
前記スケジュール取得手段により前記走行スケジュールを取得した前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻の比較、或いは前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻と前記駐車場からの出発時刻との比較に基づいて、前記複数のユーザの内、少なくとも一以上のユーザに対して、前記駐車場への到着時刻又は前記駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内を行う変更案内手段と、を有することを特徴とする走行管理システム。
【請求項2】
前記変更案内手段は、
前記スケジュール取得手段により取得した第1のユーザの前記走行スケジュールが、前記駐車場への到着と前記駐車場からの出発を連続で行うスケジュールであって、
前記スケジュール取得手段により取得した第2のユーザの前記走行スケジュールが、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻より遅く且つ前記第1のユーザの前記駐車場からの出発時刻より早く前記駐車場へ到着するスケジュールであって、
前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻と前記第2のユーザの前記駐車場への到着時刻の差が所定時間以内である場合に、
前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻を遅らせるように案内することを特徴とする請求項1に記載の走行管理システム。
【請求項3】
前記変更案内手段は、
前記スケジュール取得手段により取得した第1のユーザの前記走行スケジュールが、前記駐車場への到着と前記駐車場からの出発を連続で行うスケジュールであって、
前記スケジュール取得手段により取得した第2のユーザの前記走行スケジュールが、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻より遅く且つ前記第1のユーザの前記駐車場からの出発時刻より早く前記駐車場から出発するスケジュールであって、
前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻と前記第2のユーザの前記駐車場からの出発時刻の差が所定時間以内である場合に、
前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻を遅らせるように案内することを特徴とする請求項1に記載の走行管理システム。
【請求項4】
前記変更案内手段は、
前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻を前記所定時間以上遅くするように案内することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の走行管理システム。
【請求項5】
前記変更案内手段は、
前記スケジュール取得手段により取得した第1のユーザの前記走行スケジュールが、前記駐車場への到着と前記駐車場からの出発を連続で行うスケジュールであって、
前記スケジュール取得手段により取得した第2のユーザの前記走行スケジュールが、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻より遅く且つ前記第1のユーザの前記駐車場からの出発時刻より早く前記駐車場へ到着するスケジュールであって、
前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻と前記第2のユーザの前記駐車場への到着時刻の差が所定時間以内である場合に、
前記第2のユーザの前記駐車場への到着時刻を早くするように案内することを特徴とする請求項1に記載の走行管理システム。
【請求項6】
前記変更案内手段は、
前記第2のユーザの前記駐車場への到着時刻を前記所定時間以上早くするように案内することを特徴とする請求項5に記載の走行管理システム。
【請求項7】
前記変更案内手段は、
前記スケジュール取得手段により取得した第1のユーザの前記走行スケジュールが、前記駐車場への到着と前記駐車場からの出発を連続で行うスケジュールであって、
前記スケジュール取得手段により取得した第2のユーザの前記走行スケジュールが、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻より遅く且つ前記第1のユーザの前記駐車場からの出発時刻より早く前記駐車場から出発するスケジュールであって、
前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻と前記第2のユーザの前記駐車場からの出発時刻の差が所定時間以内である場合に、
前記第2のユーザの前記駐車場からの出発時刻を早くするように案内することを特徴とする請求項1に記載の走行管理システム。
【請求項8】
前記変更案内手段は、
前記第2のユーザの前記駐車場からの出発時刻を前記所定時間以上早くするように案内することを特徴とする請求項7に記載の走行管理システム。
【請求項9】
複数の駐車スペースを有するとともに一の駐車スペースに車両が駐車された状態で他の駐車スペースへの車両の進入及び駐車スペースからの退出が妨げられる構造を有する駐車場を利用するユーザの車両走行を管理する走行管理方法であって、
スケジュール取得手段が、前記駐車場を利用する複数のユーザの前記駐車場への到着時刻及び前記駐車場からの出発時刻を含む走行スケジュールを取得するステップと、
変更案内手段が、前記スケジュール取得手段により前記走行スケジュールを取得した前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻の比較、或いは前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻と前記駐車場からの出発時刻との比較に基づいて、前記複数のユーザの内、少なくとも一以上のユーザに対して、前記駐車場への到着時刻又は前記駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内を行うステップと、を有することを特徴とする走行管理方法。
【請求項10】
複数の駐車スペースを有するとともに一の駐車スペースに車両が駐車された状態で他の駐車スペースへの車両の進入及び駐車スペースからの退出が妨げられる構造を有する駐車場を利用するユーザの車両走行を管理するコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
前記駐車場を利用する複数のユーザの前記駐車場への到着時刻及び前記駐車場からの出発時刻を含む走行スケジュールを取得するスケジュール取得手段と、
前記スケジュール取得手段により前記走行スケジュールを取得した前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻の比較、或いは前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻と前記駐車場からの出発時刻との比較に基づいて、前記複数のユーザの内、少なくとも一以上のユーザに対して、前記駐車場への到着時刻又は前記駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内を行う変更案内手段と、
して機能させる為のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一駐車場を利用するユーザの走行を管理する走行管理システム、走行管理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、自車位置から目的地までの推奨経路を探索する経路探索機能を備えており、探索された推奨経路を案内経路として設定し、ディスプレイ画面に案内経路を表示するとともに、交差点に接近した場合等には音声による案内をすることによって、ユーザを所望の目的地まで確実に案内するようになっている。また、近年は携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
また、上記ナビゲーション装置等では、推奨経路を案内することに加えて、ユーザのスケジュールを取得し、取得したスケジュールに合わせた走行の案内についても行われていた。例えば、特開2004−294429号公報には、ユーザが希望する帰宅時間を取得し、ユーザが希望する帰宅時刻に自宅に到達する為の出発時刻及び自宅までの走行経路を案内する技術について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−294429号公報(第11−14頁、図14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、全国各地に設置される駐車場には様々な形態が存在する。中には、複数の駐車スペースを有し、一の駐車スペースに車両が駐車された状態では、他の駐車スペースへの車両の進入及び駐車スペースからの退出が妨げられる構造を有する駐車場も存在する。例えば図11に示す駐車場では、2つの駐車スペース101、102が縦列に配置される。このような駐車場では、道路側の駐車スペース101に車両103が駐車されている状態では、奥側の駐車スペース102に駐車された車両104は駐車場から退出することができない。従って、各車両103、104の出発をスムーズに行わせる為には、各車両103、104の出発時刻や到着時刻を調整する必要がある。例えば、直前の駐車場への到着時刻を車両104よりも車両103が先となるように調整するか、車両104よりも先に車両103を駐車場から出発させるように調整することが可能である。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、上記のような特殊な構造を有する駐車場の利用について考慮した走行の案内は行われていなかった。その結果、ユーザが出発を希望する時刻に出発できない等の問題が生じていた。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、特殊な構造を有する駐車場の利用を考慮して各ユーザの走行管理を行うことによって、ユーザのスケジュールに応じたスムーズな走行を行わせることを可能にした走行管理システム、走行管理方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明に係る走行管理システムは、複数の駐車スペースを有するとともに一の駐車スペースに車両が駐車された状態で他の駐車スペースへの車両の進入及び駐車スペースからの退出が妨げられる構造を有する駐車場を利用するユーザの車両走行を管理するシステムである。具体的には、前記駐車場を利用する複数のユーザの前記駐車場への到着時刻及び前記駐車場からの出発時刻を含む走行スケジュールを取得するスケジュール取得手段と、前記スケジュール取得手段により前記走行スケジュールを取得した前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻の比較、或いは前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻と前記駐車場からの出発時刻との比較に基づいて、前記複数のユーザの内、少なくとも一以上のユーザに対して、前記駐車場への到着時刻又は前記駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内を行う変更案内手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る走行管理方法は、複数の駐車スペースを有するとともに一の駐車スペースに車両が駐車された状態で他の駐車スペースへの車両の進入及び駐車スペースからの退出が妨げられる構造を有する駐車場を利用するユーザの車両走行を管理する方法である。具体的には、スケジュール取得手段が、前記駐車場を利用する複数のユーザの前記駐車場への到着時刻及び前記駐車場からの出発時刻を含む走行スケジュールを取得するステップと、変更案内手段が、前記スケジュール取得手段により前記走行スケジュールを取得した前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻の比較、或いは前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻と前記駐車場からの出発時刻との比較に基づいて、前記複数のユーザの内、少なくとも一以上のユーザに対して、前記駐車場への到着時刻又は前記駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内を行うステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、複数の駐車スペースを有するとともに一の駐車スペースに車両が駐車された状態で他の駐車スペースへの車両の進入及び駐車スペースからの退出が妨げられる構造を有する駐車場を利用するユーザの車両走行を管理するプログラムである。具体的には、コンピュータを、前記駐車場を利用する複数のユーザの前記駐車場への到着時刻及び前記駐車場からの出発時刻を含む走行スケジュールを取得するスケジュール取得手段と、前記スケジュール取得手段により前記走行スケジュールを取得した前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻の比較、或いは前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻と前記駐車場からの出発時刻との比較に基づいて、前記複数のユーザの内、少なくとも一以上のユーザに対して、前記駐車場への到着時刻又は前記駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内を行う変更案内手段と、して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する本発明に係る走行管理システム、走行管理方法及びコンピュータプログラムによれば、特殊な構造を有する駐車場の利用を考慮して各ユーザの走行管理を行うことによって、駐車場を利用する各ユーザのスケジュールに応じたスムーズな走行を行わせることが可能となる。例えば、駐車場内に駐車する他の車両が原因で駐車場からの退出ができないことにより、出発時刻が大幅に遅れることや車両の位置の入れ替え作業を別途行わせることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る走行管理システムを示した概略構成図である。
図2】本実施形態に係る走行管理システムの構成を示したブロック図である。
図3】ユーザ登録情報DBに記憶された情報を示した図である。
図4】特殊な構造を有する駐車場の例を示した図である。
図5】特殊な構造を有する駐車場の例を示した図である。
図6】スケジュール管理DBに記憶された情報を示した図である。
図7】本実施形態に係る走行管理システムの特に情報端末の構成を示したブロック図である。
図8】本実施形態に係る走行管理プログラムのフローチャートである。
図9】ユーザの駐車場からの出発時刻又は駐車場への到着時刻を調整した結果を示した図である。
図10】ユーザの駐車場からの出発時刻又は駐車場への到着時刻を調整した結果を示した図である。
図11】従来技術の問題点について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る走行管理システムを具体化した一実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る走行管理システム1の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る走行管理システム1を示した概略構成図である。図2は本実施形態に係る走行管理システム1の構成を示したブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る走行管理システム1は、走行管理センタ2が備える走行管理サーバ3と、複数のユーザ4がそれぞれ所持する情報端末5と、から基本的に構成されている。また、走行管理サーバ3と情報端末5は通信ネットワーク網6を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、情報端末5としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等がある。また、ユーザ4は車両に乗車している状態であっても良いし、車両に乗車していない状態であっても良い。
【0015】
ここで、ユーザ4は走行管理サーバ3に対して予め利用登録を行っているユーザが該当する。特に、本実施形態では、ユーザ4は利用登録を行う際に利用する駐車場を登録するように構成する。そして、走行管理サーバ3では、同一の駐車場を利用するグループ毎に区分してユーザを登録する。
【0016】
また、走行管理サーバ3は、同一グループ内の各ユーザ4(即ち同じ駐車場を利用する各ユーザ4)のスケジュールを取得して管理するとともに、駐車場からの車両の退出が適切に行えるように同一グループに含まれる各ユーザ4に対して駐車場からの出発時刻や駐車場への到着時刻の調整を行う管理サーバである。そして、走行管理サーバ3は、後述のように調整を行った結果、ユーザ4の駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を行ったほうが良いと判定した場合には、変更を指示する指示情報について該当する情報端末5へと送信するように構成する。
【0017】
一方、情報端末5は、走行管理サーバ3に登録されたユーザ4が所持し、ユーザ4のスケジュールを入力する機能や車両の走行を案内するナビ機能を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等が該当する。
【0018】
ここで、ナビ機能は、サーバから取得したりメモリに格納された地図データに基づいてユーザ4の現在位置周辺の地図画像を表示したり、表示された地図画像中においてユーザ4の現在位置を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う機能が該当する。特に、本実施形態に係る情報端末5は、後述するように走行管理サーバ3から上記指示情報を受信した場合には、ユーザの駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内についても行う。尚、上記ナビ機能の全てを情報端末5が備えている必要はなく、少なくともユーザの駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内を行う機能を有していれば本願発明を構成することが可能である。
【0019】
また、通信ネットワーク網6は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。
ここで、基地局は情報端末5との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網6の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある情報端末5の通信を走行管理サーバ3との間で中継する役割を持つ。
【0020】
続いて、走行管理システム1を構成する走行管理サーバ3の構成について図2を用いてより詳細に説明する。走行管理サーバ3は、図2に示すように走行管理ECU12と、走行管理ECU12に接続された情報記録手段としてのユーザ登録情報DB13と、スケジュール管理DB14と、センタ通信装置15とを備える。
【0021】
走行管理ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)12は、走行管理サーバ3の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述の走行管理プログラム(図8参照)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、走行管理ECU12は、後述の情報端末5のECUとともに処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、スケジュール取得手段は、駐車場を利用する各ユーザの駐車場への到着時刻及び駐車場からの出発時刻を含む走行スケジュールを取得する。変更案内手段は、走行スケジュールを取得したユーザ毎の駐車場への到着順序又は駐車場からの出発順序に基づいて、ユーザの駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内を行う。
【0022】
また、ユーザ登録情報DB13は、利用登録を行ったユーザ4に関する登録情報を記憶した記憶手段である。尚、ユーザ登録情報DB13に記憶される登録情報としては、ユーザ4の登録ID、氏名、住所、所持する情報端末5の識別番号や通信アドレス等がある。従って、走行管理サーバ3はユーザ登録情報DB13に記憶された情報を参照することによって、特定の情報端末5に対して情報を送信できる。また、情報を受信した場合に送信元の情報端末5を特定することが可能となる。また、図3に示すようにユーザ登録情報DB13では、ユーザ4が利用する駐車場についても登録する。そして、同一の駐車場を利用するグループ毎に区分してユーザ4を登録する。例えば図3に示す例では駐車場Aを利用するユーザとして『100001』、『100012』、『100015』、『100109』の4人が登録されている。一方で、駐車場Bを利用するユーザとして『100003』、『100211』、『100224』の3人が登録されている。また、ユーザ登録情報DB13には、ユーザ4が利用する駐車場の構造についても登録されている。具体的には、“通常の駐車場”か“特殊な構造を有する駐車場”かが登録されている。
【0023】
ここで“特殊な構造を有する駐車場”は、複数の駐車スペースを有するとともに一の駐車スペースに車両が駐車された状態で他の駐車スペースへの車両の進入及び駐車スペースからの退出が妨げられる構造を有する駐車場とする。一方、“通常の駐車場”は、“特殊な構造を有する駐車場”以外の駐車場であり、他車両によって駐車スペースへの侵入や退出が妨げられない駐車場とする。具体的には、図4に示すように2つの駐車スペース25、26が縦列に配置された駐車場や、図5に示すように、駐車スペース27、28の前方に他の駐車スペース29が交差して配置された駐車場等が“特殊な構造を有する駐車場”に該当する。尚、走行管理ECU12は、後述のように“特殊な構造を有する駐車場”を利用するユーザを対象として駐車場からの出発時刻や駐車場への到着時刻の調整を行う。
【0024】
また、スケジュール管理DB14は、利用登録されている各ユーザ4の走行スケジュールを記憶する記憶手段である。ここで、走行スケジュールは、ユーザ4が車両で走行を行う際のスケジュールであり、予めユーザ4が情報端末5を用いて入力する。そして、走行管理サーバ3は情報端末5からユーザ4によって入力された走行スケジュールを取得し、ユーザ4毎にスケジュール管理DB14に格納する構成とする。具体的には、図6に示すように『駐車場から出発する出発時刻』、『目的地』、『駐車場に戻る到着時刻』が走行スケジュールとして記憶される。尚、目的地での行動(食事、運動など)や、同乗者名簿等についても記憶する構成としても良い。そして、走行管理サーバ3は、スケジュール管理DB14を参照することによって、利用登録された各ユーザ4の今後の走行スケジュールを常に管理することが可能となる。
【0025】
一方、センタ通信装置15は情報端末5と通信ネットワーク網6を介して通信を行う為の通信装置である。
【0026】
次に、ユーザ4が所有する情報端末5の概略構成について図7を用いて説明する。図7は本実施形態に係る情報端末5の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、以下では特に情報端末5がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
【0027】
図7に示すように情報端末5はデータバスBUSに、CPU31と、情報端末5を所持するユーザ4に関するユーザ情報(ユーザID、氏名等)や地図情報等が記憶されたメモリ32と、通信ネットワーク網6の基地局との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)33と、送受信回路部33において受信したRF(Radio Frequency)信号をベースバンド信号に変換するとともにベースバンド信号をRF信号に変換するベースバンド処理部34と、マイクロホン35及びスピーカ36等とのインターフェイスである入出力部37と、液晶表示パネル等で構成されたディスプレイ38と、タッチパネルやハードボタン等から構成される入力操作部39と、GPS40とが接続されることにより構成されている。
【0028】
ここで、情報端末5に内蔵されるCPU31は、メモリ32に格納されている動作プログラムに従って種々の動作を実行する情報端末5の制御手段であり、メモリ32とともに情報端末ECU41を構成する。また、情報端末ECU41の各種処理内容は必要に応じてディスプレイ38に表示される。
【0029】
また、メモリ32は情報端末5を所持するユーザ4に関するユーザ情報(ユーザID、氏名等)や地図情報、ユーザによって入力された走行スケジュール(図6)等が記憶された記憶媒体である。尚、地図情報はメモリ32に記憶せずに外部サーバから通信により取得する構成としても良い。また、メモリ32は、ハードディスク、メモリーカード等により構成しても良い。
【0030】
また、ディスプレイ38は、筐体の一面に配設されており、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。そして、入力操作部39による入力内容やインターネットサイト等の各種情報が表示される。また、ナビ機能の実行時においては、道路を含む地図画像、交通情報、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報等についても表示される。更に、本実施形態では、後述するように走行管理サーバ3からユーザ4の駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を指示する指示情報を受信した場合には、ユーザの駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内についても表示される。
【0031】
また、入力操作部39は、ディスプレイ38の前面に設けられたタッチパネルや筐体に配置されたハードボタン等によって構成されている。そして、情報端末ECU41は、タッチパネルやハードボタンの押下等により出力される電気信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。また、本実施形態では、ユーザが自らの走行スケジュールを入力する際にも操作される。尚、入力操作部39は、番号/文字入力キー、表示された内容を選択するためのカーソルを動かすカーソルキー、選択を確定する決定キー等の各種キー等により構成することもできる。
【0032】
また、GPS40は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、情報端末5(即ちユーザ4)の現在位置及び現在時刻を検出可能とする。
【0033】
続いて、前記構成を有する走行管理システム1を構成する走行管理サーバ3において実行する走行管理プログラムについて図8に基づき説明する。図8は本実施形態に係る走行管理プログラムのフローチャートである。ここで、走行管理プログラムは、所定の時間間隔(例えば24時間毎)や情報端末5から走行スケジュールを取得したタイミング等で実行され、駐車場からの車両の退出が適切に行えるように各ユーザ4の駐車場からの出発時刻や駐車場への到着時刻の管理、調整を行うプログラムである。尚、以下の図8にフローチャートで示されるプログラムは、走行管理サーバ3が備えるRAMやROM等に記憶されており、CPU21により実行される。
【0034】
尚、以降の処理はユーザ登録情報DB13(図3)においてユーザ4が利用する駐車場として登録された各駐車場の内、“特殊構造を有する駐車場”を対象として駐車場単位で実施される。
【0035】
先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU21は、処理対象となる“特殊構造を有する駐車場”を利用するユーザ4をユーザ登録情報DB13により特定し、特定された全てのユーザ4の今後の走行スケジュールをスケジュール管理DB14から読み出す。尚、スケジュール管理DB14には、予めユーザ4が情報端末5を用いて入力された走行スケジュール(図6)について情報端末5から取得され、記憶されている。
【0036】
尚、前述したように走行スケジュールには、『駐車場から出発する出発時刻』、『目的地』、『駐車場に戻る到着時刻』等が記憶されている。
【0037】
次に、S2においてCPU21は、前記S1で走行スケジュールを取得したユーザ4の内、駐車場への到着と駐車場からの出発を所定間隔内(例えば3時間以内)で連続して行う走行スケジュールのユーザ4が存在するか否か判定する。
【0038】
そして、走行スケジュールを取得したユーザ4の内、駐車場への到着と駐車場からの出発を所定間隔内で連続して行う走行スケジュールのユーザ4が存在すると判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。それに対して、走行スケジュールを取得したユーザ4の内、駐車場への到着と駐車場からの出発を所定間隔内で連続して行う走行スケジュールのユーザ4が存在しないと判定された場合(S2:NO)には、ユーザの駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を行わなくとも駐車場からの車両の退出が適切に行えると推定する。その後、処理対象となる“特殊構造を有する駐車場”を次の駐車場へと変更し、再度S1以降の処理を実行する。
【0039】
続いて、S3においてCPU21は、駐車場への到着と駐車場からの出発を所定間隔内で連続して行うと判定された走行スケジュールのユーザ4(以下、第1ユーザという)と、前記S1で走行スケジュールの取得された第1ユーザ以外のユーザ(即ち、第1ユーザと同一の駐車場を利用する他のユーザ)について、ユーザ毎の駐車場への到着時刻及び駐車場からの出発時刻を比較する。そして、第1ユーザの駐車場への到着時刻より遅く且つ出発時刻より早いタイミングで、駐車場へ到着する走行スケジュールの他のユーザ4が存在するか否か判定する。例えば、同一の駐車場を利用するユーザAとユーザBが図6に示す走行スケジュールである場合には、ユーザAの駐車場への到着時刻である15:00より遅く且つ出発時刻である18:00より早いタイミングで、ユーザBが駐車場へ到着する走行スケジュールであるので、第1ユーザの駐車場への到着時刻より遅く且つ出発時刻より早いタイミングで、駐車場へ到着する走行スケジュールの他のユーザ4が存在すると判定される。
【0040】
そして、第1ユーザの駐車場への到着時刻より遅く且つ出発時刻より早いタイミングで、駐車場へ到着する走行スケジュールの他のユーザ4が存在すると判定された場合(S3:YES)には、S4へと移行する。それに対して、第1ユーザの駐車場への到着時刻より遅く且つ出発時刻より早いタイミングで、駐車場へ到着する走行スケジュールの他のユーザ4が存在しないと判定された場合(S3:NO)には、S6へと移行する。
【0041】
S4においてCPU21は、第1ユーザの駐車場への到着時刻より遅く且つ出発時刻より早いタイミングで、駐車場へ到着すると判定された走行スケジュールのユーザ4(以下、第2ユーザという)と、第1ユーザについて、ユーザ毎の駐車場への到着時刻を比較する。そして、第1ユーザの駐車場への到着時刻と第2ユーザの駐車場への到着時刻の差が所定時間(例えば30分)以内か否かを判定する。尚、前記S4で判定基準となる所定時間の値は適宜設定可能であり、例えば45分や1時間としても良い。
【0042】
そして、第1ユーザの駐車場への到着時刻と第2ユーザの駐車場への到着時刻の差が所定時間以内であると判定された場合(S4:YES)には、S5へと移行する。それに対して、第1ユーザの駐車場への到着時刻と第2ユーザの駐車場への到着時刻の差が所定時間以内でないと判定された場合(S4:NO)には、ユーザの駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を行わせるとした場合の変更量が大きすぎるので、変更は行わないほうが妥当であると判定する。その後、処理対象となる“特殊構造を有する駐車場”を次の駐車場へと変更し、再度S1以降の処理を実行する。
【0043】
S5においてCPU21は、第1ユーザの駐車場への到着時刻を所定時間以上遅らせることを指示する指示情報、又は第2ユーザの駐車場への到着時刻を所定時間以上早くすることを指示する指示情報について、該当する情報端末5(第1ユーザの到着時刻を遅らせる場合には第1ユーザの所持する情報端末5、第2ユーザの到着時刻を早くする場合には第2ユーザの所持する情報端末5)へと送信する。尚、第1ユーザと第2ユーザの両者に指示情報を送信するように構成しても良い。尚、所定時間は前記S4の判定基準となった所定時間と同一時間(例えば30分)とする。但し、両者に指示情報を送信する場合には前記S4の判定基準となった所定時間よりも短い時間(例えば15分)としても良い。また、第1ユーザの駐車場への到着時刻と第2ユーザの駐車場への到着時刻の差を所定時間としても良い。
【0044】
その結果、指示情報を受信した情報端末5では、ユーザの駐車場への到着時刻の変更を示唆する案内が行われる。例えば、第1ユーザの到着時刻を遅らせる場合には、第1ユーザの情報端末5において「到着予定時刻である15時よりも30分以上遅く駐車場に到着するようにしてください。」等の案内を出力する。一方、第2ユーザの到着時刻を早める場合には、第2ユーザの情報端末5において「到着予定時刻である15時半分よりも30分以上早く駐車場に到着するようにしてください。」等の案内を出力する。また、到着時刻を遅らせる場合には、寄り道を推奨する案内を行っても良い。更に、情報端末5で設定される車両の案内経路を変更することによって到着時刻を変更するように構成しても良い。例えば、駐車場へ帰る経路を意図的に遠回りの経路にすることによって到着時刻を遅らせたり、駐車場へ帰る経路に有料道路を多く含ませることによって到着時刻を早めることが可能である。
【0045】
その結果、例えば図9の上段に示す第1ユーザと第2ユーザのスケジュールでは、第1ユーザが駐車場に到着した後に第2ユーザが駐車場に到達する。即ち、第1ユーザの車両は第2ユーザの車両より奥側の駐車スペース(図4の駐車スペース26、図5の駐車スペース27、28)に駐車されることとなり、その後に第1ユーザが再度出発する際に第2ユーザの車両に妨げられて駐車場から退出することができない。そこで、上記S5の案内を実施し、図9に示すように第1ユーザの駐車場への到着時刻を遅らせる、或いは第2ユーザの駐車場への到着時刻を早めると、第2ユーザが先に駐車場に到着することとなり、駐車場への駐車順序は第2ユーザ、第1ユーザの順となる。従って、第1ユーザの車両は第2ユーザの車両より出口に近い駐車スペース(図4の駐車スペース25、図5の駐車スペース29)に駐車されることとなり、その後に第1ユーザが駐車場から再度出発する場合において、スムーズに駐車場から退出することが可能となる。
【0046】
一方、S6においてCPU21は、第1ユーザと、前記S1で走行スケジュールの取得された第1ユーザ以外のユーザ(即ち、第1ユーザと同一の駐車場を利用する他のユーザ)について、ユーザ毎の駐車場への到着時刻及び駐車場からの出発時刻を比較する。そして、第1ユーザの駐車場への到着時刻より遅く且つ出発時刻より早いタイミングで、駐車場から出発する走行スケジュールの他のユーザ4が存在するか否か判定する。例えば、同一の駐車場を利用するユーザAとユーザCが図6に示す走行スケジュールである場合には、ユーザAの駐車場への到着時刻である15:00より遅く且つ出発時刻である18:00より早いタイミングで、ユーザCが駐車場から出発する走行スケジュールであるので、第1ユーザの駐車場への到着時刻より遅く且つ出発時刻より早いタイミングで、駐車場から出発する走行スケジュールの他のユーザ4が存在すると判定される。
【0047】
そして、第1ユーザの駐車場への到着時刻より遅く且つ出発時刻より早いタイミングで、駐車場から出発する走行スケジュールの他のユーザ4が存在すると判定された場合(S6:YES)には、S7へと移行する。それに対して、第1ユーザの駐車場への到着時刻より遅く且つ出発時刻より早いタイミングで、駐車場から出発する走行スケジュールの他のユーザ4が存在しないと判定された場合(S6:NO)には、ユーザの駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を行わなくとも駐車場からの車両の退出が適切に行えると推定する。その後、処理対象となる“特殊構造を有する駐車場”を次の駐車場へと変更し、再度S1以降の処理を実行する。
【0048】
S7においてCPU21は、第1ユーザの駐車場への到着時刻より遅く且つ出発時刻より早いタイミングで、駐車場から出発すると判定された走行スケジュールのユーザ4(以下、第3ユーザという)と、第1ユーザについて、ユーザ毎の駐車場への到着時刻及び駐車場からの出発時刻を比較する。そして、第1ユーザの駐車場への到着時刻と第3ユーザの駐車場からの出発時刻の差が所定時間(例えば30分)以内か否かを判定する。尚、前記S7で判定基準となる所定時間の値は適宜設定可能であり、例えば45分や1時間としても良い。
【0049】
そして、第1ユーザの駐車場への到着時刻と第3ユーザの駐車場からの出発時刻の差が所定時間以内であると判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、第1ユーザの駐車場への到着時刻と第3ユーザの駐車場からの出発時刻の差が所定時間以内でないと判定された場合(S7:NO)には、ユーザの駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を行わせるとした場合の変更量が大きすぎるので、変更は行わないほうが妥当であると判定する。その後、処理対象となる“特殊構造を有する駐車場”を次の駐車場へと変更し、再度S1以降の処理を実行する。
【0050】
S8においてCPU21は、第1ユーザの駐車場への到着時刻を所定時間以上遅らせることを指示する指示情報、又は第3ユーザの駐車場からの出発時刻を所定時間以上早くすることを指示する指示情報について、該当する情報端末5(第1ユーザの到着時刻を遅らせる場合には第1ユーザの所持する情報端末5、第3ユーザの出発時刻を早くする場合には第3ユーザの所持する情報端末5)へと送信する。尚、第1ユーザと第3ユーザの両者に指示情報を送信するように構成しても良い。尚、所定時間は前記S7の判定基準となった所定時間と同一時間(例えば30分)とする。但し、両者に指示情報を送信する場合には前記S7の判定基準となった所定時間よりも短い時間(例えば15分)としても良い。また、第1ユーザの駐車場への到着時刻と第3ユーザの駐車場からの出発時刻の差を所定時間としても良い。
【0051】
その結果、指示情報を受信した情報端末5では、ユーザの駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内が行われる。例えば、第1ユーザの到着時刻を遅らせる場合には、第1ユーザの情報端末5において「到着予定時刻である15時よりも30分以上遅く駐車場に到着するようにしてください。」等の案内を出力する。一方、第3ユーザの出発時刻を早める場合には、第3ユーザの情報端末5において「出発予定時刻である15時20分よりも30分以上早く駐車場から出発するようにしてください。」等の案内を出力する。また、到着時刻を遅らせる場合には、寄り道を推奨する案内を行っても良い。更に、情報端末5で設定される車両の案内経路を変更することによって到着時刻を変更するように構成しても良い。例えば、駐車場へ帰る経路を意図的に遠回りの経路にすることによって到着時刻を遅らせたり、駐車場へ帰る経路に有料道路を多く含ませることによって到着時刻を早めることが可能である。
【0052】
その結果、例えば図10の上段に示す第1ユーザと第3ユーザのスケジュールでは、第1ユーザが駐車場に到着した後に第3ユーザが駐車場から出発する。即ち、第3ユーザの出発時には第1ユーザの車両は第3ユーザの車両より出口側の駐車スペース(図4の駐車スペース25、図5の駐車スペース29)に駐車されることとなり、第3ユーザが出発する際に第1ユーザの車両に妨げられて駐車場から退出することができない。そこで、図10に示すように第1ユーザの駐車場への到着時刻を遅らせる、或いは第3ユーザの駐車場からの出発時刻を早めると、第1ユーザが到着するより先に第3ユーザが駐車場から出発することとなる。即ち、第3ユーザが駐車場から出発した後に、第1ユーザが駐車場への駐車及び出発を行うこととなる。従って、第3ユーザが出発する際においては第1ユーザの車両が駐車場にいないので、第1ユーザの車両によって駐車場からの退出が妨げられることが無い。
【0053】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る走行管理システム1、走行管理システム1による走行管理方法及び走行管理システム1において実行されるコンピュータプログラムでは、駐車場を利用する各ユーザの駐車場への到着時刻及び駐車場からの出発時刻を含む走行スケジュールを取得し(S1)、走行スケジュールを取得したユーザ毎の駐車場への到着順序又は駐車場からの出発順序に基づいて、ユーザの駐車場への到着時刻又は駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内を行う(S5、S8)ので、駐車場を利用する各ユーザのスケジュールに応じたスムーズな走行を行わせることが可能となる。例えば、駐車場内に駐車する他の車両が原因で駐車場からの退出ができないことにより、出発時刻が大幅に遅れることや車両の位置の入れ替え作業を別途行わせることを防止できる。
【0054】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では走行管理プログラム(図8)の処理を走行管理サーバ3が実行する構成としているが、情報端末5において実行する構成としても良い。その場合には、走行管理サーバ3から同一駐車場を利用する他のユーザの走行スケジュールを取得するように構成する。
【0055】
また、本実施形態では、情報端末5をスマートフォンに適用した例について説明したが、ユーザに対して案内を行う機能を有していれば他の種類の情報端末に対して適用することも可能である。例えば携帯電話機、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等に適用することが可能である。但し、出発時刻の変更を示唆する案内を行うことを考慮すれば、ユーザが携帯可能な端末であることが望ましい。
【0056】
また、本発明に係る走行管理システムを具体化した実施例について上記に説明したが、走行管理システムは以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0057】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
複数の駐車スペースを有するとともに一の駐車スペースに車両が駐車された状態で他の駐車スペースへの車両の進入及び駐車スペースからの退出が妨げられる構造を有する駐車場を利用するユーザの車両走行を管理する走行管理システムであって、前記駐車場を利用する複数のユーザの前記駐車場への到着時刻及び前記駐車場からの出発時刻を含む走行スケジュールを取得するスケジュール取得手段と、前記スケジュール取得手段により前記走行スケジュールを取得した前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻の比較、或いは前記複数のユーザ間の前記駐車場への到着時刻と前記駐車場からの出発時刻との比較に基づいて、前記複数のユーザの内、少なくとも一以上のユーザに対して、前記駐車場への到着時刻又は前記駐車場からの出発時刻の変更を示唆する案内を行う変更案内手段と、を有することを特徴とする。
上記構成を有する走行管理システムによれば、特殊な構造を有する駐車場の利用を考慮して各ユーザの走行管理を行うことによって、駐車場を利用する各ユーザのスケジュールに応じたスムーズな走行を行わせることが可能となる。例えば、駐車場内に駐車する他の車両が原因で駐車場からの退出ができないことにより、出発時刻が大幅に遅れることや車両の位置の入れ替え作業を別途行わせることを防止できる。
【0058】
例えば、第2の構成は以下のとおりである。
前記変更案内手段は、前記スケジュール取得手段により取得した第1のユーザの前記走行スケジュールが、前記駐車場への到着と前記駐車場からの出発を連続で行うスケジュールであって、前記スケジュール取得手段により取得した第2のユーザの前記走行スケジュールが、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻より遅く且つ前記第1のユーザの前記駐車場からの出発時刻より早く前記駐車場へ到着するスケジュールであって、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻と前記第2ユーザの前記駐車場への到着時刻の差が所定時間以内である場合に、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻を遅らせるように案内することを特徴とする。
上記構成を有する走行管理システムによれば、第1のユーザの駐車場への到着時刻を遅らせることによって、第1のユーザよりも第2のユーザが先に駐車場に到着することとなり、駐車場への駐車順序を第2のユーザ、第1のユーザの順とすることが可能となる。従って、第1のユーザの車両は第2のユーザの車両より出口に近い駐車スペースに駐車されることとなり、その後に第1のユーザが駐車場から再度出発する場合において、スムーズに駐車場から退出することが可能となる。
【0059】
例えば、第3の構成は以下のとおりである。
前記変更案内手段は、前記スケジュール取得手段により取得した第1のユーザの前記走行スケジュールが、前記駐車場への到着と前記駐車場からの出発を連続で行うスケジュールであって、前記スケジュール取得手段により取得した第2のユーザの前記走行スケジュールが、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻より遅く且つ前記第1のユーザの前記駐車場からの出発時刻より早く前記駐車場から出発するスケジュールであって、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻と前記第2のユーザの前記駐車場からの出発時刻の差が所定時間以内である場合に、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻を遅らせるように案内することを特徴とする。
上記構成を有する走行管理システムによれば、第1のユーザの駐車場への到着時刻を遅らせることによって、第1のユーザが到着するより先に第2のユーザを駐車場から出発させることが可能となる。即ち、第2のユーザが駐車場から出発した後に、第1のユーザが駐車場への駐車及び出発を行うこととなる。従って、第2のユーザが出発する際においては第1のユーザの車両が駐車場にいないので、第1のユーザの車両によって駐車場からの退出が妨げられることが無い。
【0060】
例えば、第4の構成は以下のとおりである。
前記変更案内手段は、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻を前記所定時間以上遅くするように案内することを特徴とする。
上記構成を有する走行管理システムによれば、第1のユーザの駐車場への到着時刻を必要量だけ遅らせるように案内することによって、第1のユーザのスケジュールを大きく変更することなく、且つ駐車場でのスムーズな退出を行わせることが可能となる。
【0061】
例えば、第5の構成は以下のとおりである。
前記変更案内手段は、前記スケジュール取得手段により取得した第1のユーザの前記走行スケジュールが、前記駐車場への到着と前記駐車場からの出発を連続で行うスケジュールであって、前記スケジュール取得手段により取得した第2のユーザの前記走行スケジュールが、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻より遅く且つ前記第1のユーザの前記駐車場からの出発時刻より早く前記駐車場へ到着するスケジュールであって、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻と前記第2のユーザの前記駐車場への到着時刻の差が所定時間以内である場合に、前記第2のユーザの前記駐車場への到着時刻を早くするように案内することを特徴とする。
上記構成を有する走行管理システムによれば、第2のユーザの駐車場への到着時刻を早めることによって、第1のユーザよりも第2のユーザが先に駐車場に到着することとなり、駐車場への駐車順序を第2のユーザ、第1のユーザの順とすることが可能となる。従って、第1のユーザの車両は第2のユーザの車両より出口に近い駐車スペースに駐車されることとなり、その後に第1のユーザが駐車場から再度出発する場合において、スムーズに駐車場から退出することが可能となる。
【0062】
例えば、第6の構成は以下のとおりである。
前記変更案内手段は、前記第2のユーザの前記駐車場への到着時刻を前記所定時間以上早くするように案内することを特徴とする。
上記構成を有する走行管理システムによれば、第2のユーザの駐車場への到着時刻を必要量だけ早くするように案内することによって、第2のユーザのスケジュールを大きく変更することなく、且つ駐車場でのスムーズな退出を行わせることが可能となる。
【0063】
例えば、第7の構成は以下のとおりである。
前記変更案内手段は、前記スケジュール取得手段により取得した第1のユーザの前記走行スケジュールが、前記駐車場への到着と前記駐車場からの出発を連続で行うスケジュールであって、前記スケジュール取得手段により取得した第2のユーザの前記走行スケジュールが、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻より遅く且つ前記第1のユーザの前記駐車場からの出発時刻より早く前記駐車場から出発するスケジュールであって、前記第1のユーザの前記駐車場への到着時刻と前記第2のユーザの前記駐車場からの出発時刻の差が所定時間以内である場合に、前記第2のユーザの前記駐車場からの出発時刻を早くするように案内することを特徴とする。
上記構成を有する走行管理システムによれば、第2のユーザの駐車場からの出発時刻を早くすることによって、第1のユーザが到着するより先に第2のユーザを駐車場から出発させることが可能となる。即ち、第2のユーザが駐車場から出発した後に、第1のユーザが駐車場への駐車及び出発を行うこととなる。従って、第2のユーザが出発する際においては第1のユーザの車両が駐車場にいないので、第1のユーザの車両によって駐車場からの退出が妨げられることが無い。
【0064】
例えば、第8の構成は以下のとおりである。
前記変更案内手段は、前記第2のユーザの前記駐車場からの出発時刻を前記所定時間以上早くするように案内することを特徴とする。
上記構成を有する走行管理システムによれば、第2のユーザの駐車場からの出発時刻を必要量だけ早くするように案内することによって、第2のユーザのスケジュールを大きく変更することなく、且つ駐車場でのスムーズな退出を行わせることが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1 走行管理システム
2 走行管理センタ
3 走行管理サーバ
4 ユーザ
5 情報端末
6 通信ネットワーク網
12 走行管理ECU
21 CPU
22 RAM
23 ROM
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11