【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されない。
【0030】
[実施例1]
粉末のNiF
2(純度99%、Apollo Scientific Limited製)を加圧成型によりペレット状(4mm×4mm×2mm)にした金属フッ化物を総量で48g(0.5モル)を、反応器として用いる電気ヒータ及び圧力計を備えたニッケル製の光輝焼鈍管(内径22.1mm、長さ300mm)に充填した。該電気ヒータにより該光輝焼鈍管を加熱することにより充填物の温度を270℃とした。この温度で、F
2ガスと窒素ガスで26.7体積%に希釈したI
2ガスの混合ガス(モル比(F
2/I
2=10)(混合ガスの組成:F
2濃度72.7体積%、I
2濃度7.3体積%、N
2濃度20.0体積%)を該光輝焼鈍管の両端の一方(入口)から導入し、他方(出口)から排出させた。この時、該光輝焼鈍管内の圧力を101kPa(絶対圧)とし、該混合ガスを滞在時間が10秒となる流量(686cm
3/min)で1時間流通させた。また、該混合ガスの流通時に、該反応器出口のガスを一部抜き出して、IF
7とIF
5の組成をFT−IR(株式会社島津製作所製Prestige21)で、I
2とF
2の組成をUV−Vis(株式会社日立ハイテクサイエンス製U−2810)で速やかに分析した。組成分析結果に基づき、I
2の供給量を基準としたIF
7の理論捕集量に対する収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は85%だった。
【0031】
[実施例2]
金属フッ化物として、粉末のFeF
3(Strem Chemicals製、製品番号93−2610)を加圧成型によりペレット状にした金属フッ化物を総量で56g(0.5モル)を使用する以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は71%だった。
【0032】
[実施例3]
金属フッ化物として、粉末のCoF
2(Sigma Aldrich製、製品番号236128)を加圧成型によりペレット状にした金属フッ化物を総量で48g(0.5モル)を使用する以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は53%だった。
【0033】
[実施例4]
メッシュ状(100メッシュ)に成形されたニッケル製のNiメッシュを総量で29g(0.5モル)を反応器に充填し、反応器を350℃に加熱させて圧力66.7kPa(絶対圧)、フッ素ガスを500cm
3/minで3時間流通させることでNiメッシュの表面にNiF
2を生成した。金属フッ化物として表面にNiF
2が生成したNiメッシュを使用する以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は76%だった。
【0034】
[実施例5]
金属フッ化物として、粉末のNiF
2を加圧成型によりペレット状にした金属フッ化物を総量で24g(0.25モル)と、粉末のFeF
3を加圧成型によりペレット状にした金属フッ化物を総量で28g(0.25モル)の混合物を使用する以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は83%だった。
【0035】
[実施例6]
金属フッ化物の温度を150℃とする以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は54%だった。
【0036】
[実施例7]
金属フッ化物の温度を200℃とする以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は65%だった。
【0037】
[実施例8]
金属フッ化物の温度を330℃とする以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は80%だった。
【0038】
[実施例9]
金属フッ化物の温度を350℃とする以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は64%だった。
【0039】
[実施例10]
滞在時間を20秒(流量346cm
3/min)とする以外は、実施例7と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は76%だった。
【0040】
[実施例11]
滞在時間を20秒(流量348cm
3/min)とする以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は96%だった。
【0041】
[実施例12]
F
2ガスとI
2ガスの混合ガスのモル比(F
2/I
2)を5(混合ガスの組成:F
2濃度66.7体積%、I
2濃度13.3体積%、N
2濃度20.0体積%)とする以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は34%だった。
【0042】
[実施例13]
F
2ガスとI
2ガスの混合ガスのモル比(F
2/I
2)を7(混合ガスの組成:F
2濃度70.0体積%、I
2濃度10体積%、N
2濃度20.0体積%)とする以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は61%だった。
【0043】
[実施例14]
F
2ガスとI
2ガスの混合ガスのモル比(F
2/I
2)を9(混合ガスの組成:F
2濃度72.0体積%、I
2濃度8.0体積%、N
2濃度20.0体積%)とする以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は78%だった。
【0044】
[実施例15]
F
2ガスとI
2ガスの混合ガスのモル比(F
2/I
2)を14(混合ガスの組成:F
2濃度71.1体積%、I
2濃度8.9体積%、N
2濃度20.0体積%)とする以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は96%だった。
【0045】
[実施例16]
F
2ガスとI
2ガスの混合ガスのモル比(F
2/I
2)を21(混合ガスの組成:F
2濃度74.4体積%、I
2濃度3.6体積%、N
2濃度20.0体積%)とする以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は99%だった。
【0046】
[実施例17]
反応器として、電気ヒータと圧力計とを備え、さらに入口と出口にそれぞれ仕切弁が設置された、ニッケル製の光輝焼鈍管(内径22.1mm、長さ0.3m)を使用し、実施例1と同様に金属フッ化物を充填し、金属フッ化物を270℃に加熱した。F
2ガスとI
2ガスの混合ガス(モル比(F
2/I
2)=10.0(混合ガスの組成:F
2濃度72.7体積%、I
2濃度7.3体積%、N
2濃度20.0体積%)を圧力101kPa(絶対圧)となるように入口側の仕切弁から反応器に導入して、両側の仕切弁を閉じ密閉した。密閉してから120秒経過(滞在時間)後、反応器内のガスの一部を抜き出して実施例1とIF
7とIF
5の組成をFT−IR(株式会社島津製作所製Prestige21)で、I
2とF
2の組成をUV−Vis(株式会社日立ハイテクサイエンス製U−2810)で速やかに分析して収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は96%だった。
【0047】
[実施例18]
密閉時間を240秒にする以外は、実施例17と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は95%だった。
【0048】
[実施例19]
I
2ガス、次いで、F
2ガスを、モル比(F
2/I
2)=10(混合ガスの組成:F
2濃度72.7体積%、I
2濃度7.3体積%、N
2濃度20.0体積%)、圧力101kPa(絶対圧)となるように仕切弁から別々に反応器に導入する以外は、実施例17と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は75%だった。
【0049】
[比較例1]
反応器に金属フッ化物を充填しない以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は35%だった。
【0050】
[比較例2]
反応器に金属フッ化物を充填しない以外は、実施例6と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は20%だった。
【0051】
[比較例3]
反応器に金属フッ化物を充填しない以外は、実施例11と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は38%だった。
【0052】
[比較例4]
反応器に金属フッ化物を充填しない以外は、実施例12と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は5%だった。
【0053】
[比較例5]
反応器に金属フッ化物を充填しない以外は、実施例17と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は45%だった。
【0054】
[比較例6]
反応器に金属フッ化物を充填しない以外は、実施例18と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は67%だった。
表1に上記の実施例及び比較例の結果を示す。
【0055】
[比較例7]
反応器の充填物として、粉末のα―Al
2O
3(Strem Chemicals製、製品番号13−0750、純度99.5%、)を加圧成型によりペレット状にした充填物を総量で51g(0.5モル)を使用する以外は、実施例1と同様に行い、収率を算出したところ、I
2を基準としたIF
7の収率は37%だった。
【0056】
各実施例と比較例の結果を表1にまとめた。実施例1と比較例1、実施例6と比較例2、実施例11と比較例3、実施例12と比較例4、実施例17と比較例5、実施例18と比較例6を比べると、金属フッ化物を充填することで、収率が格段に向上していることが分かる。また、実施例1と比較例1と比較例7を比べると、アルミナを充填しても収率は向上しないことが分かる。
【0057】
【表1】