(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)中のカーボンブラック粒子含有量が5重量%以上、30重量%以下である請求項5に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたポリエステルフィルムは、遮光性、隠蔽性には優れるものの、ポリエステルフィルムの難燃性は十分なものではなかった。
【0008】
かかる課題に対して、本発明者らは、特許文献1〜3に記載されたポリエステルフィルムの難燃性を高めるために、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物に、従来公知の難燃剤を添加する検討を行なった。その結果、特許文献1〜3に記載のポリエステルフィルムは、難燃剤を添加・含有せしめることによって、一定の難燃性の向上の効果は得られるが、十分な難燃性を得るためには多量の難燃剤の添加が必要であること、また、そのような多量の難燃剤を添加する場合、フィルムの成形性が悪化し、連続生産性が悪化するという課題を有していることがわかった。
【0009】
また、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に、多量の難燃剤やカーボンブラック粒子を添加する場合には、難燃剤やカーボンブラック粒子の凝集を防ぐために、従来公知の分散剤を添加することが必要になるが、分散剤を添加すると、難燃性が悪化するという課題を有していることがわかった。
【0010】
そこで本発明は、これらの問題点を解消し、遮光性、隠蔽性、難燃性に優れ、連続生産性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。すなわち、
[I]下記(1)〜(4)を満たす二軸配向ポリエステルフィルム。
(1)フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中にカーボンブラック粒子を含有する。
(2)フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に難燃剤、分散剤を実質的に含有しない。
(3)フィルムの光学濃度が3.5以上である。
(4)下記方法にて求められる難燃性がVTM−0、VTM−1、VTM−2のいずれかである。
<難燃性の評価方法>
(i)サンプル準備
測定サンプル(二軸配向ポリエステルフィルム)を20cm×5cmにカットする。
23℃、50%RH中で48時間放置したサンプルをサンプルA、温度70℃、168時間放置後、温度23℃、20%RH以下で4時間冷却したサンプルをサンプルBとして、それぞれサンプル5枚を1セットとして用意する。
【0012】
(ii)測定方法
各サンプルの短辺から125mmのところに短辺と平行方向に線を引き、直径12.7mmの棒に、短辺が上下方向となるように巻きつける。125mmマークより上の75mm部分内は感圧テープで留めたあと棒を引き抜く。サンプルの上端はテスト中に煙突効果がないように閉じておく。次に、各サンプルを垂直にセットし、その300mm下方に脱脂綿を置く。サンプルの下端から10mmのところにバーナーの筒が位置するように、径9.5mm、炎長20mmのブンゼンバーナーを加熱源とし、サンプルの下端の中央に青色炎を3秒間接炎し、1回目の離炎後の燃焼時間(t1)を測定する。次いで、炎が消えたらすぐに再び3秒間接炎し、2回目の離炎後の燃焼時間(t2)および火種時間(t3)を測定する。また、1回目および2回目の接炎の際、125mmマークまで燃え上がる燃焼があったかどうか、脱脂綿を着火させるような燃焼落下物があったかの観察も行う。サンプルA、サンプルBについて、各1セット(5枚)ずつ、上記の測定を行なう。
【0013】
(iii)難燃性の評価
下記判定基準を元に、難燃性を下記のとおり評価する。
VTM−0:判定基準(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)のいずれも満たす。
VTM−1:判定基準(あ’)、(い’)、(う’)、(え)、(お)のいずれも満たす。
VTM−2:判定基準(あ’)、(い’)、(う’)、(え)のいずれも満たす。
VTMなし:VTM−0、VTM−1、VTM−2のいずれにも該当しない。
判定基準(あ):すべてのサンプルにおいて、1回目の離炎後の燃焼時間(t1)または2回目の離炎後の燃焼時間(t2)の長い方が10秒以下である。
判定基準(あ’):すべてのサンプルにおいて、1回目の離炎後の燃焼時間(t1)または2回目の離炎後の燃焼時間(t2)の長い方が30秒以下である。
判定基準(い):1セットあたりの離炎後の燃焼時間の合計(5枚サンプルの離炎後の燃焼時間(t1+t2)の合計)が、サンプルA、サンプルBいずれも50秒以下である。
判定基準(い’):1セットあたりの離炎後の燃焼時間の合計(5枚サンプルの離炎後の燃焼時間(t1+t2)の合計)が、サンプルA、サンプルBいずれも250秒以下である。
判定基準(う):すべてのサンプルにおいて、2回目の離炎後の燃焼時間(t2)と火種時間(t3)の合計が30秒以下である。
判定基準(う’):すべてのサンプルにおいて、2回目の離炎後の燃焼時間(t2)と火種時間(t3)の合計が60秒以下である。
判定基準(え):すべてのサンプルにおいて、125mmマークまで燃焼または火種が達しない。
判定基準(お):すべてのサンプルにおいて、燃焼したサンプルの落下によって脱脂綿が着火することがない。
[II]フィルムの厚みが50μm以上、300μm以下である[I]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[III]前記フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中のカーボンブラック粒子含有量が1〜5重量%の範囲である[I]または[II]に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[IV]光学装置の遮光部材、または太陽電池バックシートに用いられる[I]〜[III]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
[V]下記(5)〜(6)を満たす工程を含む、[I]〜[IV]のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(5)フィルムを製造するポリエステル原料に、極限粘度[η]が0.7dl/g以上のポリエステル樹脂組成物(a)とカーボンブラック粒子を混練して得られる、カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)を含むこと。
(6)前記カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)を作製する際、前記混練前のポリエステル樹脂組成物(a)のポリエステル樹脂の極限粘度と、得られるカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)のポリエステル樹脂の極限粘度が下記式(6−1)を満足すること。
(6−1)0.75 ≦ [η]b/[η]a ≦ 0.90
[η]a:0.7dl/g以上のポリエステル樹脂組成物(a)のポリエステル樹脂の極限粘度(dl/g)
[η]b:カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)のポリエステル樹脂の極限粘度(dl/g)
[VI]前記カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)中のカーボンブラック粒子含有量が5重量%以上、30重量%以下である[V]に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
[VII]下記(7)〜(9)を満足する[V]または[VI]に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
(7)フィルムを製造するポリエステル原料に、前記カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)と、カーボンブラックを含有しないポリエステル樹脂組成物(c)を含むこと。
(8)カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)と、カーボンブラックを含有しないポリエステル樹脂組成物(c)のポリエステル樹脂の極限粘度が下記式(8−1)を満足すること。
(8−1)0.75 ≦ [η]b/[η]c ≦ 1.10
[η]b:カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)のポリエステル樹脂の極限粘度(dl/g)
[η]c:カーボンブラックを含有しないポリエステル樹脂組成物(c)のポリエステル樹脂の極限粘度(dl/g)
(9)フィルムを製造するポリエステル原料全体に対するカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターの含有量Wb(重量%)と、カーボンブラックを含有しないポリエステル樹脂組成物(c)の含有量Wc(重量%)が、下記式(9−1)を満たすこと。
(9−1)0.03 ≦ Wb/Wc ≦ 0.5
Wb:フィルムを製造するポリエステル原料全体に対するカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)の含有量(重量%)
Wc:フィルムを製造するポリエステル原料全体に対するカーボンブラックを含有しないポリエステル樹脂組成物(c)の含有量(重量%)
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高い遮光性、隠蔽性、難燃性を満足し、連続生産性に優れる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができる。さらには、かかるフィルムを用いることで、高い遮光性、隠蔽性、難燃性を兼ね備えた光学装置の遮光部材、あるいは、太陽電池バックシートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂組成物中にカーボンブラック粒子を含有してなるものである。
【0016】
該ポリエステル樹脂組成物におけるポリエステル樹脂の含有率は、フィルムを構成する樹脂組成物全体に対して85重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。ポリエステル樹脂の含有率を上記の範囲とすることによって、フィルムの機械特性を向上させることができる。
【0017】
本発明におけるポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分とを反応せしめて得られる、主鎖の主要な結合鎖としてエステル結合を有する高分子である。
【0018】
かかるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0019】
また、かかるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、芳香族ジオール類等のジオール、上述のジオールが複数個連なったものが例としてあげられるがこれらに限定されない。
【0020】
また、本発明に用いられるポリエステルとしては、機械特性、電気特性、耐久性、生産性の観点からポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
【0021】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物全体に対してカーボンブラック粒子を1重量%以上、5重量%以下含有することが好ましい。カーボンブラック粒子の含有量が1重量%に満たないと遮光性が十分ではない場合がある。一方、カーボンブラック粒子の含有量が5重量%を超えるとカーボンブラック粒子の分散性悪化から、凝集体が発生し、難燃性が悪化し、生産性が悪化する場合がある。より好ましい下限としては、1.5重量%以上である。また、より好ましい上限としては、4重量%以下であり、さらに好ましくは、3重量%以下である。
【0022】
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、後述する方法にて求められる難燃性がVTM−0、VTM−1、VTM−2のいずれかを有することが必要である。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた難燃性を有しており、かかる難燃性を、難燃剤を実質的に含有することなく達成することを特徴とする。なお、本発明において、「実質的に含有しない」とは、含有量が0.05重量%未満であることを表す。また、本発明において、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中のカーボンブラック粒子、難燃剤、分散剤の含有量とは、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物に対する添加量とする。また、本発明において、難燃剤とは、樹脂に添加することにより、樹脂の難燃性を向上させる(樹脂の限界酸素指数値(LOI値)を上昇させる)機能を有する化合物、樹脂をあらわす。
【0023】
ポリエステル樹脂を代表とする樹脂の難燃性を向上するために難燃剤を添加することは、広く知られている。従来公知の難燃剤としては種々あるが、例えば、塩素系難燃剤、臭素系難燃剤、無機系難燃剤、窒素系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系化合物、ポリリン酸アンモニウム難燃剤、金属酸化物が挙げられる。
【0024】
例えば、塩素系難燃剤としては、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、テトラクロロ無水フタル酸、クロレンド酸が挙げられる。臭素系難燃剤としては、含臭素ポリオール、デカブロモジフェニルオキサイド、エチレングリコースビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビスペンタブロモフェノール、トリブロモフェノール、ヘキサブロモベンゼン、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、TBBA・エポキシオリゴマー、TBBA・カーボネートオリゴマー、トリブロモフェニルアリルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、臭素化ポリスチレン、デカブロモフェニルオキシドが挙げられる。無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アンチモンが挙げられる。酸化アンチモンには三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。窒素系難燃剤としては、メラミン化合物、グアニジン化合物、トリアジン化合物を挙げられる。リン系難燃剤には、リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム等が挙げられ、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールNビス(ジ−2,6−キシリール)ホスフェート、リン酸アミド、赤リン、ポリリン酸塩、ホスファゼン化合物、エチレンジアミンホスフェート化合物、トリアジン化合物が挙げられる。シリコーン系化合物には、高分子量シリコーン油、シリコーンエラストマーが挙げられる。
【0025】
上記のような難燃剤は、本願発明の難燃性を向上させるためには、フィルム中に数重量%程度添加する必要がある。難燃剤を添加・含有せしめると、樹脂の成形性、機械的強度低下、添加剤のブリードアウトによる表面欠点増加を招く場合がある。特に、カーボンブラック粒子を高濃度に含有するポリエステル樹脂組成物から構成されるフィルムを、二軸に配向させる工程を含む二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、上記のような難燃剤を多量添加すると、製膜時の膜破れが発生しやすく、機械的強度低下を発生させやすくなる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に上記の難燃剤を実質的に含有しない。そのため、生産性、成形性に優れており、特に連続生産性に優れる。なお、上記難燃剤として例示した化合物は、難燃性を向上させる以外の目的で、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に添加・含有させたとしても、フィルムの連続生産性を低下させる要因となる。そのため、上記例示した難燃剤は、難燃性を向上させる目的以外であっても、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に実質的に含有しないことが重要である。
【0026】
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に、分散剤を実質的に含有しないことが難燃性向上の観点から特に重要である。
【0027】
カーボンブラック粒子や難燃剤の分散性を向上する目的で添加される分散剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムのような金属石鹸、エチレンビスアマイド、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスのような炭化水素ワックスおよびこれらの誘導体、また、酸変性体や水酸基変性体からなるワックスが挙げられる。例えば、メタロセン化合物の触媒により重合されたメタロセン系ポリオレフィンワックスが一般的に用いられている。
【0028】
メタロセン化合物とは、たとえばチタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、ニオブ、プラチナ等の四価の遷移金属に、シクロペンタジエニル骨格を有するリガンドが少なくとも1つ以上配位する化合物の総称である。シクロペンタジエニル骨格を有するリガンドとしては、シクロペンタジエニル基;メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−またはi−プロピルシクロペンタジエニル基、n−、i−、sec−、tert−ブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基、オクチルシクロペンタジエニル基等のアルキル一置換シクロペンタジエニル基;ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルヘキシルシクロペンタジエニル基、エチルブチルシクロペンタジエニル基、エチルヘキシルシクロペンタジエニル基等のアルキル二置換シクロペンタジエニル基;トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基等のアルキル多置換シクロペンタジエニル基;メチルシクロヘキシルシクロペンタジエニル基等のシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基が挙げられる。
【0029】
シクロペンタジエニル骨格を有するリガンド以外のリガンドとしては、たとえば、塩基、臭素等の一価のアニオンリガンド、二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素基、アルコキシド、アミド、アリールアミド、アリールオキシド、ホスフィド、アリールホスフィド、シリル基、置換シリル基等が挙げられる。上記炭化水素基としては、炭素数1〜12程度のものが挙げられ、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘブチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セシル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフィル基等のアラルキル基;ノニルフェニル基等が挙げられる。
【0030】
シクロペンタジエニル骨格を有するリガンドが配位したメタロセン化合物としては、具体的には、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−プロピルアミド)等が挙げられる。
【0031】
上記のような分散剤は、樹脂組成物中に含まれるカーボンブラック粒子や難燃剤の分散性を向上させること可能となるが、一方で、樹脂の難燃性を大きく低下させる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に上記の分散剤を実質的に含有しない。そのため、難燃性に特に優れる。なお、上記分散剤として例示した化合物は、分散性を向上させる以外の目的で、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に添加・含有させたとしても、フィルムの難燃性を低下させる要因となる。そのため、上記例示した分散剤は、分散性を向上させる目的以外であっても、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に実質的に含有しないことが重要である。
【0032】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた遮光性、隠蔽性を得る観点から、光学濃度が3.5以上であることが必要である。好ましくは、4以上、さらに好ましくは、5以上である。光学濃度は、フィルムの厚み、およびフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中のカーボンブラック粒子の含有量によって調整することができる。光学濃度が3未満の場合、遮光性、隠蔽性が不十分となり、光学的機能を発揮できなくなる。光学濃度の上限は特に限定されないが、光学濃度が6を超えるフィルムを得るためには、フィルム厚みを厚くしたり、カーボンブラック粒子の含有量を多くする必要があり、製膜性が悪化することがある。そのため、光学濃度は6以下であることが好ましい。
【0033】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、50μm以上、300μm以下の範囲が好ましい。より好ましい下限としては50μm以上である。また、より好ましい上限としては、150μm以下である。ポリエステルフィルムの厚みを前述の範囲とすると、遮光性、隠蔽性、難燃性、連続生産性のいずれも良好となる点から好ましい。
【0034】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、下記方法(アメリカ保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories Inc.(ULと称する場合がある))の難燃性試験(UL94VTM燃焼試験)に準拠する)にて測定される難燃性が、VTM−0、VTM−1、VTM−2のいずれかである必要がある。上記の難燃性を有することにより、光学装置の遮光部材、あるいは、太陽電池バックシートの隠蔽部材に好適に用いることができる。
【0035】
<難燃性の評価方法>
(i)サンプル準備
測定サンプル(二軸配向ポリエステルフィルム)を20cm×5cmにカットする。
23℃、50%RH中で48時間放置したサンプルをサンプルA、温度70℃、168時間放置後、温度23℃、20%RH以下で4時間冷却したサンプルをサンプルBとして、それぞれサンプル5枚を1セットとして用意する。
【0036】
(ii)測定方法
各サンプルの短辺から125mmのところに短辺と平行方向に線を引き、直径12.7mmの棒に、短辺が上下方向となるように巻きつける。125mmマークより上の75mm部分内は感圧テープで留めたあと棒を引き抜く。サンプルの上端はテスト中に煙突効果がないように閉じておく。次に、各サンプルを垂直にセットし、その300mm下方に脱脂綿を置く。サンプルの下端から10mmのところにバーナーの筒が位置するように、径9.5mm、炎長20mmのブンゼンバーナーを加熱源とし、サンプルの下端の中央に青色炎を3秒間接炎し、1回目の離炎後の燃焼時間(t1)を測定する。次いで、炎が消えたらすぐに再び3秒間接炎し、2回目の離炎後の燃焼時間(t2)および火種時間(t3)を測定する。また、1回目および2回目の接炎の際、125mmマークまで燃え上がる燃焼があったかどうか、脱脂綿を着火させるような燃焼落下物があったかの観察も行う。サンプルA、サンプルBについて、各1セット(5枚)ずつ、上記の測定を行なう。
【0037】
(iii)難燃性の評価
下記判定基準を元に、難燃性を下記のとおり評価する。
VTM−0:判定基準(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)のいずれも満たす。
VTM−1:判定基準(あ’)、(い’)、(う’)、(え)、(お)のいずれも満たす。
VTM−2:判定基準(あ’)、(い’)、(う’)、(え)のいずれも満たす。
VTMなし:VTM−0、VTM−1、VTM−2のいずれにも該当しない。
判定基準(あ):すべてのサンプルにおいて、1回目の離炎後の燃焼時間(t1)または2回目の離炎後の燃焼時間(t2)の長い方が10秒以下である。
判定基準(あ’):すべてのサンプルにおいて、1回目の離炎後の燃焼時間(t1)または2回目の離炎後の燃焼時間(t2)の長い方が30秒以下である。
判定基準(い):1セットあたりの離炎後の燃焼時間の合計(5枚サンプルの離炎後の燃焼時間(t1+t2)の合計)が、サンプルA、サンプルBいずれも50秒以下である。
判定基準(い’):1セットあたりの離炎後の燃焼時間の合計(5枚サンプルの離炎後の燃焼時間(t1+t2)の合計)が、サンプルA、サンプルBいずれも250秒以下である。
判定基準(う):すべてのサンプルにおいて、2回目の離炎後の燃焼時間(t2)と火種時間(t3)の合計が30秒以下である。
判定基準(う’):すべてのサンプルにおいて、2回目の離炎後の燃焼時間(t2)と火種時間(t3)の合計が60秒以下である。
判定基準(え):すべてのサンプルにおいて、125mmマークまで燃焼または火種が達しない。
判定基準(お):すべてのサンプルにおいて、燃焼したサンプルの落下によって脱脂綿が着火することがない。
【0038】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に難燃剤を実質的に含有することなく、上記の難燃性を達成することを特徴とする。フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に難燃剤を実質的に含有することなく、上記の難燃性を達成する方法は、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に分散剤を実質的に含有せしめず、かつ、以下の(5)、(6)を満たす工程を含む製造方法によりフィルムを製造することが挙げられる。
【0039】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、(5)、(6)を満たす工程を含む製造方法により得ることで、フィルムを構成ずるポリエステル樹脂組成物中に分散剤を実質的に含有しなくとも、フィルムを構成ずるポリエステル樹脂組成物中のカーボンブラックの分散性を良好にし、かつ、難燃性、連続生産性に優れるため、好ましい。
【0040】
(5)フィルムを製造するポリエステル原料に、極限粘度[η]が0.7dl/g以上のポリエステル樹脂組成物(a)とカーボンブラック粒子を混練して得られる、カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)を含むこと。
【0041】
(6)前記カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)を作製する際、前記混練前のポリエステル樹脂組成物(a)のポリエステル樹脂の極限粘度と、得られるカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)のポリエステル樹脂の極限粘度が下記式(6−1)を満足すること。
【0042】
(6−1)0.75 ≦ [η]b/[η]a ≦ 0.90
[η]a:0.7dl/g以上のポリエステル樹脂組成物(a)のポリエステル樹脂の極限粘度(dl/g)
[η]b:カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)のポリエステル樹脂の極限粘度(dl/g)
本発明のカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)は、ポリエステル樹脂の極限粘度[η]が0.7g/dl以上、より好ましくは0.72g/dl以上のポリエステル樹脂組成物(a)と、カーボンブラック粒子を混練して得ることが好ましい。ここで、ポリエステル樹脂組成物(a)のポリエステル樹脂の極限粘度[η]aとカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)のポリエステル樹脂の極限粘度[η]bが下記(5−1)式を満足することが好ましい。
(6−1)0.75 ≦ [η]b/[η]a ≦ 0.90
[η]b/[η]aは、より好ましい下限は、0.76以上であり、さらに好ましくは0.78以上である。また、より好ましい上限は、0.88以下であり、さらに好ましくは、0.85以下である。[η]b/[η]aが0.75未満の場合、マスター原料の極限粘度の低下が大きく、フィルムの機械特性が悪化し、製膜破れが頻発する場合がある。0.90を超えると、溶融混練におけるせん断が不十分となり、カーボンブラック粒子の分散性が悪化し、遮光性、隠蔽性の悪化や、製膜時の濾圧上昇を招き、連続生産性が悪化する場合がある。
【0043】
本発明においては、難燃性発現の観点から、分散剤を使用しないことが重要であることを見出し、[η]b/[η]aが、式(6−1)を満たす範囲となるように、ポリエステル樹脂組成物(a)とカーボンブラック粒子とを溶融混練することで、分散剤を含有しなくとも、カーボンブラック粒子の分散性を向上させ、かつ、難燃性、遮光性、隠蔽性、連続生産性に優れたポリエステルフィルムを得ることができることを見出した。
【0044】
[η]b/[η]aが、式(6−1)を満たすための方法は、溶融混練部の温度、溶融混練の時間(ポリマーの滞留時間)、溶融混練時に加える剪断力を適宜調整することにより達成することができる。溶融混練する装置としては、一軸押出機であっても、二軸以上の押出機であっても良いが、二軸押出機などのせん断応力が高い高せん断混合機を用いる方法が好ましく例示される。また、分散不良物を低減させる観点から、3条二軸タイプまたは2条二軸タイプのスクリューを装備したものが好ましい。二軸押出機を用いる場合、溶融混練部は200℃〜280℃の温度範囲が好ましい。より好ましい温度範囲は210℃〜280℃であり、さらに好ましい温度範囲は220℃〜280℃である。そのときのポリマーの滞留時間は1〜5分の範囲であることが好ましい。また、二軸のスクリュー回転数を100〜500回転/分とすることが好ましく、さらに好ましくは200〜300回転/分の範囲である。スクリュー回転数を好ましい範囲に設定することで、高いせん断応力が付加され易く、カーボンブラック粒子の分散性を向上することが可能となり、また、せん断応力がかかり過ぎることにより起こるポリエステルの分解反応を抑制することができる。また、二軸押出機の(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)の比率(L/D)は20〜60の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50の範囲である。
【0045】
さらに、二軸押出機のスクリュー構成において、混練力を高めるためにニーディングパドル(ニーディングディスク)などによる混練部を設けることが好ましく、その混練部を好ましくは2箇所以上、さらに好ましくは3箇所以上設けたスクリュー構成にすることが好ましい。この際、ポリエステル樹脂組成物(a)とカーボンブラック粒子の混合順序には特に制限はなく、ポリエステル樹脂組成物(a)をペレット状にしたものとカーボンブラック粒子を配合後上記の方法により溶融混練する方法、ポリエステル樹脂組成物(a)を単軸あるいは2軸の押出機により溶融押出中にサイドフィーダーを用いてカーボンブラック粒子を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。
【0046】
上記カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)中のカーボンブラック粒子の含有量は、5重量%以上、30重量%以下が好ましい。より好ましい下限は、10重量%以上である。また、より好ましい上限は、25重量%以下である。カーボンブラックの含有量が30重量%を超えると、せん断発熱の制御が難しくなり分散性が悪化する場合がある。カーボンブラックの含有量が5重量%未満の場合、せん断発熱が十分でなく、分散性が悪化する場合がある。
【0047】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表面が中心面平均粗さ(SRa)が40nm以下であることが好ましい。より好ましくは35nm以下である。該中心面平均粗さが40nmを超えると、製膜破れが多発する場合がある。また、カーボンブラックが分散性悪く含有していることが考えられ、難燃性が悪化したり、光学濃度のバラツキが増加する場合がある。
【0048】
ここで、中心面平均粗さ(SRa)とは触針曲率半径2μmの触針式の3次元粗さ計にて、カットオフ値を0.25mmとし、測定長0.5mmで、ある方向に対して直交する方向に5μm間隔で40回測定したときの中心線平均粗さである。
【0049】
二軸配向ポリエステルフィルムの中心面平均粗さ(SRa)を上記の範囲とするには、例えば、カーボンブラックを分散性良くフィルム中に含有させる方法が好ましく用いられる。カーボンブラックを分散性良くフィルム中に含有させるには、溶融混練する装置として二軸押出機を用い、溶融混練部の温度、溶融混練の時間(ポリマーの滞留時間)、溶融混練時に加える剪断力、二軸押出機の(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)の比率を上述の好ましい範囲とすることや、上述の(5)、(6)を満たす工程を含む製造方法によりフィルムを製造する方法が挙げられる。
【0050】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、190℃で30分間熱処理を行った場合における熱収縮率が、長手方向、幅方向ともに3.0%以下であることが好ましい。さらに好ましくは2.5%以下である。190℃で30分間熱処理を行った場合における熱収縮率が3.0%を超えると、難燃性評価において、燃焼時間のバラツキが大きくなり、難燃性が悪化する場合がある。なお、本発明における熱収縮率は、後述の測定方法によって求められるものである。なお、本発明においてフィルム長手方向(MD方向)とは、ロール上の二軸配向ポリエステルフィルムであれば、ロールの巻き方向をフィルム長手方向とし、ロールの幅方向がフィルム幅方向(TD方向)に相当する。一方、カットされたシート状である場合には、フィルムの長辺方向をフィルム長手方向とみなし算出する。フィルムの形状が略正方形である場合は、各辺に平行な方向のいずれかを長手方向、幅方向とみなし算出する。
【0051】
二軸配向ポリエステルフィルムの熱収縮率を上記の範囲とするには、例えば、二軸延伸後に熱処理を施す方法や、熱処理工程において熱処理と同時に長手および/または幅方向に弛緩処理を施す方法や、熱処理を行った後にアニール処理を施す方法により得ることが出来るが、これらに限定されない。
【0052】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前記カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)とカーボンブラック粒子を含有しないポリエステル樹脂組成物(c)を混合したものを原料として用いることが好ましい。特に、下記(7)〜(9)を満足する工程を含む製造方法により得られると、遮光性、隠蔽性、難燃性、連続生産性の効果を発現する観点から好ましい。
【0053】
(7)フィルムを製造するポリエステル原料に、前記カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)と、カーボンブラックを含有しないポリエステル樹脂組成物(c)を含むこと。
【0054】
(8)カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)と、カーボンブラックを含有しないポリエステル樹脂組成物(c)のポリエステル樹脂の極限粘度が下記式(8−1)を満足すること。
(8−1)0.75 ≦ [η]b/[η]c ≦ 1.10
[η]b:カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)のポリエステル樹脂の極限粘度(dl/g)
[η]c:カーボンブラックを含有しないポリエステル樹脂組成物(c)のポリエステル樹脂の極限粘度(dl/g)
(9)フィルムを製造するポリエステル原料全体に対するカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターの含有量Wb(重量%)と、カーボンブラックを含有しないポリエステル樹脂組成物(c)の含有量Wc(重量%)が、下記式(9−1)を満たすこと。
(9−1)0.03 ≦ Wb/Wc ≦ 0.5
Wb:フィルムを製造するポリエステル原料全体に対するカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)の含有量(重量%)
Wc:フィルムを製造するポリエステル原料全体に対するカーボンブラックを含有しないポリエステル樹脂組成物(c)の含有量(重量%)
[η]b/[η]c、および、Wb/Wcが、上記好ましい範囲から外れると、遮光性、難燃性が悪化し、連続生産性が悪くなる(製膜時の濾圧上昇が発生する)場合がある。この原因は現時点では詳細には明らかになっていないが、[η]b/[η]c、および、Wb/Wcが、上記好ましい範囲から外れると、たとえカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスター(b)中において、カーボンブラック粒子が均一に分散していたとしても、溶融製膜を行う際に粒子の凝集が発生し、その凝集物が、難燃性、連続生産性の悪化を引き起こすものと推定している。[η]b/[η]cは、難燃性、連続生産性の観点からより好ましい下限は、0.85以上であり、さらに好ましくは、0.90以上である。また、より好ましい上限は、1.05以下であり、さらに好ましくは、0・95以下である。また、Wb/Wcは、より好ましい下限は、0.03以上である。より好ましい上限は、0.3以下であり、さらに好ましくは、0.15以下である。
【0055】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、製膜機口金からシート状に溶融押出し、例えば以下の条件で製膜される。製膜機の口金からシート状に溶融押出された後、表面温度10℃以上60℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸シートを作製する。このようにして得られた未延伸シートを縦方向および横方向に二軸延伸して必要最適な厚みのシートに成形される。延伸は、逐次二軸延伸方式、あるいは、同時二軸延伸方式を用いることができる。例えば逐次二軸延伸の場合、該未延伸シートを70〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。続いて、長手方向に延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜150℃に加熱した雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に2〜5倍延伸する。このようにして得られた二軸延伸フィルムは、結晶配向を完了させて、平面性や熱寸法安定性を付与するために、テンター内にて150〜240℃で1〜30秒間の熱処理工程を経て、均一に冷却後、室温まで冷却して巻き取る。なお、熱処理工程中に、必要に応じて長手方向および/または幅方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。
【0056】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、高い遮光性、隠蔽性と難燃性と優れた連続生産性を有するものであり、その特長を生かして携帯電話、カメラ、ビデオカメラなどの光学装置、太陽電池バックシートあるいはモーターなどに用いられる電気絶縁材料や、建築材料、感熱転写用途、工程紙などの各種工業材料として用いることができ、中でも、難燃性と遮光性、隠蔽性が求められる光学装置、太陽電池用バックシート用として好適に用いられる。
【0057】
[特性の評価方法]
(1)融点
JIS K7121―1987に準じて示差走査熱量計セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上で室温から300℃まで昇温速度20℃/分で昇温し、300℃で5分間溶融保持し、急冷固化して5分間保持した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融点とした。
【0058】
(2)極限粘度
オルトクロロフェノール100mlに測定試料を溶解させ(溶液濃度C=1.2g/dl)、その溶液の25℃での粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定する。また、同様に溶媒の粘度を測定する。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(a)により、[η](dl/g)を算出し、得られた値でもって極限粘度とする。
(a)ηsp/C=[η]+K[η]
2・C
(ここで、ηsp=(溶液粘度(dl/g)/溶媒粘度(dl/g))―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)。
【0059】
なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、以下の方法を用いて測定を行った。
i)オルトクロロフェノール100mLに測定試料を溶解させ、溶液濃度が1.2mg/mLよりも濃い溶液を作成する。ここで、オルトクロロフェノールに供した測定試料の重量を測定試料重量とする。
ii)次に、不溶物を含む溶液を濾過し、不溶物の重量測定と、濾過後の濾液の体積測定を行う。
iii)濾過後の濾液にオルトクロロフェノールを追加して、(測定試料重量(g)−不溶物の重量(g))/(濾過後の濾液の体積(mL)+追加したオルトクロロフェノールの体積(mL))が、1.2g/100mLとなるように調整する。
(例えば、測定試料重量2.0g/溶液体積100mLの濃厚溶液を作成したときに、該溶液を濾過したときの不溶物の重量が0.2g、濾過後の濾液の体積が99mLであった場合は、オルトクロロフェノールを51mL追加する調整を実施する。((2.0g−0.2g)/(99mL+51mL)=1.2g/mL))
iv)iii)で得られた溶液を用いて、25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定し、得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、上記式(C)により、[η]を算出し、得られた値をもって極限粘度とする。
【0060】
(3)遮光性、隠蔽性
旧JIS K7605に準拠して光学濃度を評価し、下記基準で遮光性、隠蔽性を評価した。
【0061】
光学濃度計は、XRite361T(日本平板機械製)を用い、試料に垂直透過光束を照射して、試料がない状態との比をlog(対数)で表したものを光学濃度とした。光束幅は直径1mmの円形もしくは、それ以上の広さのものとした。
S:光学濃度が5以上
A:光学濃度が4以上5未満
B:光学濃度が3.5以上4未満
C:光学濃度が3.5未満
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
【0062】
(4)190℃熱収縮率
測定サンプル表面に、幅10mm、測定長約100mmとなるように2本のラインを引き、この2本のライン間の距離を23℃で測定し、これをL0とする。この測定サンプルを190℃(風量ゲージ「7」)に設定したエスペック(株)製熱風オーブン「HIGH−TEMP−OVEN PHH−200」中に30分間、3gの荷重下で放置した後、再び2本のライン間の距離を23℃で測定し、これをL1とし、下式により熱収縮率を求めた。測定は、長手方向および幅方向に各5サンプル実施し、それぞれ平均値で評価を行った。
熱収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100
(5)表面粗さ(SRa)
小坂研究所製Surfcorder ET30HKを用い、下記条件にてフィルム両表面の平均中心線粗さ(SRa)を測定し、平均値を求めた。
【0063】
触針曲率半径 : 2μm
カットオフ : 0.25mm
測定長 : 0.5mm
測定間隔 : 5μm
測定回数 : 40回。
【0064】
(6)難燃性
UL−94VTM法に準拠して、下記方法により評価した。
【0065】
(i)サンプル準備
測定サンプル(二軸配向ポリエステルフィルム)を20cm×5cmにカットする。
23℃、50%RH中で48時間放置したサンプルをサンプルA、温度70℃、168時間放置後、温度23℃、20%RH以下で4時間冷却したサンプルをサンプルBとして、それぞれサンプル5枚を1セットとして用意する。
【0066】
(ii)測定方法
各サンプルの長辺の底辺から125mmのところに線を引き、直径12.7mmの棒に巻きつける。125mmマークより上の75mm部分内は感圧テープで留めたあと棒を引き抜く。サンプルの上端はテスト中に煙突効果がないように閉じておく。次に、各サンプルを垂直にセットし、その300mm下方に脱脂綿を置く。サンプルの下端から10mmのところにバーナーの筒が位置するように、径9.5mm、炎長20mmのブンゼンバーナーを加熱源とし、サンプルの下端の中央に青色炎を3秒間接炎し、1回目の離炎後の燃焼時間(t1)を測定する。次いで、炎が消えたらすぐに再び3秒間接炎し、2回目の離炎後の燃焼時間(t2)および火種時間(t3)を測定する。また、1回目および2回目の接炎の際、125mmマークまで燃え上がる燃焼があったかどうか、脱脂綿を着火させるような燃焼落下物があったかの観察も行う。サンプルA、サンプルBについて、各1セット(5枚)ずつ、上記の測定を行なう。
【0067】
(iii)難燃性の評価
下記判定基準を元に、難燃性を下記のとおり評価した。
VTM−0:判定基準(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)のいずれも満たす。
VTM−1:判定基準(あ’)、(い’)、(う’)、(え)、(お)のいずれも満たす。
VTM−2:判定基準(あ’)、(い’)、(う’)、(え)のいずれも満たす。
VTMなし:VTM−0、VTM−1、VTM−2のいずれにも該当しない。
判定基準(あ):各サンプルの1回目の離炎後の燃焼時間(t1)または2回目の離炎後の燃焼時間(t2)の長い方が、すべてのサンプルにおいて10秒以下である。
判定基準(あ’):各サンプルの1回目の離炎後の燃焼時間(t1)または2回目の離炎後の燃焼時間(t2)の長い方が、すべてのサンプルにおいて30秒以下である。
判定基準(い):1セットあたりの離炎後の燃焼時間の合計(5枚サンプルの離炎後の燃焼時間(t1+t2)の合計)が、サンプルA、サンプルBいずれも50秒以下である。
判定基準(い’):1セットあたりの離炎後の燃焼時間の合計(5枚サンプルの離炎後の燃焼時間(t1+t2)の合計)が、サンプルA、サンプルBいずれも250秒以下である。
判定基準(う):2回目の離炎後の燃焼時間(t2)と火種時間(t3)の合計が、すべてのサンプルにおいて30秒以下である。
判定基準(う’):2回目の離炎後の燃焼時間(t2)と火種時間(t3)の合計が、すべてのサンプルにおいて60秒以下である。
判定基準(え):125mmマークまで燃焼または火種が、すべてのサンプルにおいて達しない。
判定基準(お):すべてのサンプルにおいて燃焼したサンプルの落下によって脱脂綿が着火することがない。
【0068】
(7)連続生産性
連続生産性は、実施例・比較例の条件にて製膜を48時間実施した際の膜の破れ回数を24時間当たりに換算した計算値、および、実施例・比較例に用いたフィルム原料を下記条件にてろ過性試験を行なった際のろ圧上昇値を用いて、下記の基準にて判定した。
S:24時間当たりの破れが1回未満 かつ ろ圧上昇値が80kg/cm
2未満
A:24時間当たりの破れが1回未満 かつ ろ圧上昇値が80kg/cm
2以上100kg/cm
2未満
B:24時間当たりの破れが1回未満 かつ ろ圧上昇値が100kg/cm
2以上120kg/cm
2未満
C:24時間当たりの破れが1回以上 あるいは ろ圧上昇値が120kg/cm
2以上
S〜Bが良好であり、その中でもSが最も優れている。
<ろ過性試験の条件>
実施例・比較例で用いた原料を、140℃で8時間、133Pa以下の減圧下で乾燥する。乾燥したペレットを、単軸の押出機を用いて、このペレットを、渡辺製作所社製のX4型20μmダイナロイフィルター(ろ過面積4.5cm
2)を用いて、ポリマー温度280℃、通過量10g/分でろ過を行う。ろ過開始から、ポリマーの通過量が1200gの時点のろ圧(R0)、8400gの時点のろ圧(R1)を測定し、R1−R0(kg/cm
2)をろ圧上昇値とする。
【0069】
(8)フィルム厚み
フィルム厚みはJIS C 2151(2006年)「マイクロメータ法」に準じて測定した。測定器具はマイクロメータを使用し、製品幅方向に沿ってほぼ等間隔になるように測定し、幅方向30点の平均値とした。
【実施例】
【0070】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0071】
(参考例1)ポリエチレンテレフタレート樹脂Aの製造
ジメチルテレフタレートとエチレングリコールの混合物に、ジメチルテレフタレートに対して、酢酸カルシウム0.09重量%と三酸化アンチモン0.03重量%とを添加して、常法により加熱昇温してエステル交換反応を行った。次いで、得られたエステル交換反応生成物に、原料であるジメチルテレフタレートに対して、酢酸リチウム0.15重量%とリン酸トリメチル0.21重量%とを添加した後、重合反応槽に移行し、次いで加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1mmHgの減圧下、290℃で常法により重合し、極限粘度0.54dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。得られたPETポリマーを回転型真空重合装置を用いて、1mmHg以下の減圧下、225℃の温度で35時間加熱処理し、融点255℃、極限粘度0.73dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂A(PETチップA)を得た。
【0072】
(参考例2)ポリエチレンテレフタレート樹脂Bの製造
参考例1で極限粘度0.54dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を、20時間加熱処理する以外は参考例1と同様にして、融点255℃、極限粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂B(PETチップB)を得た。
【0073】
(参考例3)ポリエチレンテレフタレート樹脂Cの製造
参考例1で極限粘度0.54dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を、50時間加熱処理する以外は参考例1と同様にして、融点255℃、極限粘度0.80dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂C(PETチップC)を得た。
【0074】
(参考例4)カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターAの製造
参考例1で作製したPETチップA80重量%とカーボンブラック粒子として三菱化学社製ファーネスブラック(#3030B)20重量%をニーディングパドル混練部を設けた真空ベント付き同方向回転式二軸混練押出機(L/D=40)に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数300回転/分、290℃で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングして極限粘度0.58dl/gのカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターA(マスターチップA)を作製した。
【0075】
(参考例5)カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターBの製造
参考例4で、ベント付き同方向回転式二軸混練押出機のスクリュー回転数を100回転/分とする以外は、参考例4と同様にして極限粘度0.64dl/gのカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターB(マスターチップB)を製造した。
【0076】
(参考例6)カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターCの製造
参考例4で、ベント付き同方向回転式二軸混練押出機のスクリュー回転数を400回転/分とする以外は、参考例4と同様にして極限粘度0.55dl/gのカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターC(マスターチップC)を製造した。
【0077】
(参考例7)カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターDの製造
参考例4で、参考例1で得られたPETチップA90重量%とカーボンブラック10重量%とする以外は、参考例4と同様にして極限粘度0.63dl/gのカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターD(マスターチップD)を製造した。
【0078】
(参考例8)カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターEの製造
参考例4で、参考例1で得られたPETチップA94重量%とカーボンブラック6重量%とする以外は、参考例4と同様にして、極限粘度0.65dl/gのカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターE(マスターチップE)を製造した。
【0079】
(参考例9)カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターFの製造
参考例4で、参考例1で得られたPETチップA78重量%、カーボンブラック20重量%、分散剤として、オレフィンワックス「Licowax PP230」(クラリアント社製)を2重量%添加する以外は、参考例4と同様にして、極限粘度0.55dl/gのカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターF(マスターチップF)を製造した。
【0080】
(参考例10)カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターGの製造
参考例4で、参考例2で作製したPETチップBを用いる以外は、参考例4と同様にして、極限粘度0.46dl/gのカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターG(マスターチップG)を製造した。
【0081】
(参考例11)カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターHの製造
参考例4で、参考例1で得られたPETチップA78重量%、カーボンブラック20重量%、難燃剤として、縮合リン酸エステル(大八化学(株)製PX200)2重量%添加する以外は、参考例4と同様にして、極限粘度0.55dl/gのカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターH(マスターチップH)を製造した。
【0082】
(参考例12)カーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターIの製造
参考例4で、参考例1で得られたPETチップA65重量%とカーボンブラック35重量%とする以外は、参考例4と同様にして極限粘度0.49dl/gのカーボンブラック含有ポリエステル樹脂組成物マスターI(マスターチップI)を製造した。
【0083】
(実施例1)
参考例4で得られたマスターチップA10重量%、参考例2で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂B90重量%をそれぞれ、180℃の温度で2時間真空乾燥せしめた。次いで、窒素雰囲気下で、押出機に供給した。押出機で溶融したポリマーを温度290℃に設定したフィルターで濾過した後、温度280℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。
【0084】
この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、90℃の温度でフィルムの縦方向に3.3倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度95℃、延伸倍率3.5倍でフィルムの幅方向に延伸し、熱処理を225℃で8秒間行い、厚さ50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0085】
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0086】
(実施例2)
実施例1のフィルムの厚みを100μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0087】
(実施例3)
マスターチップA、ポリエチレンテレフタレート樹脂Bの含有量を表のとおりに変更し、フィルムの厚みを200μmとする以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0088】
(実施例4)
マスターチップA、ポリエチレンテレフタレート樹脂Bの含有量を表のとおりに変更する以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0089】
(実施例5)
マスターチップAの代わりに、参考例5で得られたマスターチップB10重量%を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0090】
(実施例6)
マスターチップAの代わりに、参考例6で得られたマスターチップC10重量%を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0091】
(実施例7)
フィルムを製造するポリエステル原料として、参考例7で得られたマスターチップD20重量%用い、参考例2で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂B80重量%を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0092】
(実施例8)
フィルムを製造するポリエステル原料として、参考例8で得られたマスターチップE33重量%、参考例2で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂B67重量%を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0093】
(実施例9)
実施例1で、参考例4で得られたマスターチップA10重量%、参考例3で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂C90重量%を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0094】
(実施例10)
実施例1の熱処理を235℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0095】
(比較例1)
マスターチップAの代わりに参考例9で得られたマスターチップFを用いる以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0096】
(比較例2)
フィルムを製造するポリエステル原料として、参考例4で得られたマスターチップA35重量%、参考例2で得られたポリエステル樹脂65重量%とする以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0097】
(比較例3)
マスターチップAの代わりに参考例10で得られたマスターチップGを用いる以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0098】
(比較例4)
フィルムを製造するポリエステル原料として、参考例4で得られたマスターチップAを2.5重量%、参考例2で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂Bを97.5重量%用いる以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0099】
(比較例5)
マスターチップAの代わりに参考例11で得られたマスターチップHを用いる以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0100】
(比較例6)
実施例1の熱処理を200℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0101】
(比較例7)
参考例12で得られたマスターチップIを6重量%、参考例2で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂B94重量%を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】