特許第6372400号(P6372400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6372400入力インタフェース用のプログラムおよび文字入力装置ならびに情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372400
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】入力インタフェース用のプログラムおよび文字入力装置ならびに情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20130101AFI20180806BHJP
   G06F 3/023 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   G06F3/0488 160
   G06F3/023 460
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-50697(P2015-50697)
(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公開番号】特開2016-170678(P2016-170678A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2017年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100078916
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 由充
(74)【代理人】
【識別番号】100142114
【弁理士】
【氏名又は名称】小石川 由紀乃
(72)【発明者】
【氏名】中野 真由
(72)【発明者】
【氏名】中山 拓也
【審査官】 星野 昌幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/118226(WO,A1)
【文献】 特表2014−525621(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0146916(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
G06F 3/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルに接続されたコンピュータに、基本のキーボード画像をその一部分を重複させて左右に分けた場合の各部分に相当する一対のキーボード画像を前記タッチパネルの画面の左手位置と右手位置とに表示する表示実行手段と、前記一対のキーボード画像のそれぞれに対する操作を有効として受け付ける受付手段とを具備する入力インタフェースの機能を設定するためのプログラムであって、
前記表示実行手段は、各キーボード画像の他方のキーボード画像の側の端縁に面する位置にそれぞれ他方のキーボード画像にも含まれるキーを重複させて配置すると共に、各キーボード画像の間で重複するキーに対する操作に関して、一方のキーボード画像の他方のキーボード画像の側の端縁に面する位置に設けられたキーに対する操作頻度が所定の閾値を上回ったことに応じて、前者のキーボード画像が後者のキーボード画像の側に向かって拡張し、後者のキーボード画像が前者のキーボード画像の側から後退する方向に向かって縮小するように、各キーボード画像のキーの数および各キーボード画像の間におけるキーの重複関係を変化させることを、特徴とする入力インタフェース用のプログラム。
【請求項2】
前記表示実行手段は、左右方向に沿って並ぶキーの行が複数設けられた構成の基本のキーボード画像を行毎に2つずつキーを重複させて左右に分けた場合の各部分を前記一対のキーボード画像として表示して、各キーボード画像の間で重複するキーに関して、他方のキーボード画像の端縁に面するキーに対する操作頻度をキーボード画像毎に判別し、一方のキーボード画像における操作頻度が前記閾値を上回ったとき、他方のキーボード画像の各行において前者のキーボード画像に重複する部分の隣に位置していたキーをそれぞれ前者のキーボード画像の対応する行に加えると共に、後者のキーボード画像の各行において前者のキーボード画像の側の端縁に面していたキーを後者のキーボード画像から消去する、請求項1に記載された入力インタフェース用のプログラム。
【請求項3】
前記表示実行手段は、左右方向に沿って並ぶキーの行が複数設けられた構成の基本のキーボード画像を行毎に1つずつキーを重複させて左右に分けた場合の各部分を前記一対のキーボード画像として表示して、各キーボード画像の間で重複するキーに対する操作頻度をキーボード画像毎に判別し、一方のキーボード画像における操作頻度が前記閾値を上回ったとき、他方のキーボード画像の各行において前者のキーボード画像と重複していたキーを後者のキーボード画像から消去すると共に、後者のキーボード画像の各行で消去されたキーの隣に位置していたキーをそれぞれ前者のキーボード画像の対応する行に加える、請求項1に記載された入力インタフェース用のプログラム。
【請求項4】
前記表示実行手段は、左右方向に沿って並ぶキーの行が複数設けられた構成の基本のキーボード画像を行毎に2つずつキーを重複させて左右に分けた場合の各部分を前記一対のキーボード画像として表示して、各キーボード画像の間で重複するキーに関して、他方のキーボード画像の端縁に面するキーに対する操作頻度をキーボード画像毎および行毎に判別し、いずれかの行について各キーボード画像の間で重複するキーに関して、一方のキーボード画像における操作頻度が前記閾値を上回ったとき、この行について他方のキーボード画像の前者のキーボード画像と重複する部分の隣に位置していたキーを前者のキーボード画像の対応する行に加えると共に、後者のキーボード画像の当該行において前者のキーボード画像の側の端縁に面していたキーを後者のキーボード画像から消去する、請求項1に記載された入力インタフェース用のプログラム。
【請求項5】
前記表示実行手段は、左右方向に沿って並ぶキーの行が複数設けられた構成の基本のキーボード画像を行毎に1つずつキーを重複させて左右に分けた場合の各部分を前記一対のキーボード画像として表示して、各キーボード画像の間で重複するキーに対する操作頻度をキーボード画像毎および行毎に判別し、いずれかの行について各キーボード画像の間で重複するキーに関して、一方のキーボード画像における操作頻度が前記閾値を上回ったとき、この行について他方のキーボード画像の前者のキーボード画像と重複していたキーを後者のキーボード画像から消去すると共に、後者のキーボード画像で消去されたキーの隣に位置していたキーを前者のキーボード画像の対応する行に加える、請求項1に記載された入力インタフェース用のプログラム。
【請求項6】
前記表示実行手段は、前記一対のキーボード画像のそれぞれにおいて他方のキーボード画像の側の端縁に面する位置に配置され、かつ他方のキーボード画像に重複するキーを、その他のキーとは異なる態様で表示する請求項1〜5のいずれかに記載された入力インタフェース用のプログラム。
【請求項7】
タッチパネルに接続され、文字入力用の基本のキーボード画像をその一部分を重複させて左右に分けた場合の各部分に相当する一対のキーボード画像を前記タッチパネルの画面の左手位置と右手位置とに表示する表示実行手段と、前記一対のキーボード画像のそれぞれに対する操作を有効として受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた操作に応じて入力文字列を決定する文字入力処理手段とを具備する文字入力装置であって、
前記表示実行手段は、各キーボード画像の他方のキーボード画像の側の端縁に面する位置にそれぞれ他方のキーボード画像にも含まれるキーを重複させて配置すると共に、各キーボード画像の間で重複するキーに対する操作に関して、一方のキーボード画像の他方のキーボード画像の側の端縁に面する位置に設けられたキーに対する操作頻度が所定の閾値を上回ったことに応じて、前者のキーボード画像が後者のキーボード画像の側に向かって拡張し、後者のキーボード画像が前者のキーボード画像の側から後退する方向に向かって縮小するように、各キーボード画像のキーの数および各キーボード画像の間におけるキーの重複関係を変化させることを、特徴とする文字入力装置。
【請求項8】
タッチパネルと、基本のキーボード画像をその一部分を重複させて左右に分けた場合の各部分に相当する一対のキーボード画像を前記タッチパネルの画面の左手位置と右手位置とに表示する表示実行手段と、前記一対のキーボード画像のそれぞれに対する操作を有効として受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた操作に応じた処理を実行する処理実行手段とを具備する情報処理装置であって、
前記表示実行手段は、各キーボード画像の他方のキーボード画像の側の端縁に面する位置にそれぞれ他方のキーボード画像にも含まれるキーを重複させて配置すると共に、各キーボード画像の間で重複するキーに対する操作に関して、一方のキーボード画像の他方のキーボード画像の側の端縁に面する位置に設けられたキーに対する操作頻度が所定の閾値を上回ったことに応じて、前者のキーボード画像が後者のキーボード画像の側に向かって拡張し、後者のキーボード画像が前者のキーボード画像の側から後退する方向に向かって縮小するように、各キーボード画像のキーの数および各キーボード画像の間におけるキーの重複関係を変化させることを、特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに接続されたコンピュータに組み込まれる入力インタフェースに関する。より具体的には、基本のキーボード画像を左右に分けた場合の各部分に相当する一対のキーボード画像をタッチパネルの画面の左手位置と右手位置とに表示し、各キーボード画像に対する操作を共に有効な操作として受け付ける入力インタフェース、およびこの入力インタフェースが導入された文字入力装置ならびに情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを有する携帯型の情報処理装置の中に、タッチパネル内で所定のジェスチャが検出されたことに応じて1つのキーボード画像を左右一対のキーボード画像に分割し、左のキーボード画像を画面の左手位置に表示し、右のキーボード画像を画面の右手位置に表示する機能(以下、「キーボード分割機能」という。)を有するものがある(たとえば特許文献1を参照。)。このキーボード分割機能は、タッチパネルが設けられた筐体をユーザが両手で持って双方の親指でタッチを行う場合など、両手の手指による操作が行われる場合を想定して導入されたものである。
【0003】
また特許文献1には、元のキーボード画像を幅中央部で単純に二分する方法のほか、分割位置の近傍のキーを分割後の各キーボード画像に共通に含めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013−536508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のキーボード分割機能は、システム設計者により定められた条件に従ってキーボード画像を分割するだけであり、その分割により表示されたキーボード画像のキーの配列状態がユーザの癖や入力シーンの実情に合うとは限らない。このため、ユーザによっては、操作がしづらくなるおそれがある。
【0006】
本発明は上記の問題に着目し、ユーザの実際の操作状況に応じて左右のキーボード画像の形態を変動させることによって、操作の利便性を向上し、入力作業を効率良く進行できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるプログラムは、タッチパネルに接続されたコンピュータに、基本のキーボード画像をその一部分を重複させて左右に分けた場合の各部分に相当する一対のキーボード画像をタッチパネルの画面の左手位置と右手位置とに分けて表示する表示実行手段と、前記一対のキーボード画像のそれぞれに対する操作を有効として受け付ける受付手段とを具備する入力インタフェースの機能を設定するものである。
【0008】
この入力インタフェースの表示実行手段は、各キーボード画像の他方のキーボード画像の側の端縁に面する位置にそれぞれ他方のキーボード画像にも含まれるキーを重複させて配置すると共に、各キーボード画像の間で重複するキーに対する操作に関して、一方のキーボード画像の他方のキーボード画像の側の端縁に面する位置に設けられたキーに対する操作頻度が所定の閾値を上回ったことに応じて、前者のキーボード画像が後者のキーボード画像の側に向かって拡張し、後者のキーボード画像が前者のキーボード画像の側から後退する方向に向かって縮小するように、各キーボード画像のキーの数および各キーボード画像の間におけるキーの重複関係を変化させる。
【0009】
上記の表示処理によれば、左右一対のキーボード画像の境界付近にあっていずれのキーボード画像に含めるかの判断が困難なキーを、双方のキーボード画像に含めておくことにより、これら重複したキーに対する操作をいずれのキーボード画像でも行うことができる。また、各キーボード画像の間で重複するキーのうち、画面の左手に表示されるキーボード画像において右端に配置されるキーに対する操作頻度が所定の閾値を上回った場合には、左のキーボード画像のキーの数が増えて当該キーボード画像が右側に向かって拡張する一方、右のキーボード画像ではキーの数が減って当該キーボード画像が右方向に向かって縮小する。反対に、右のキーボード画像において左端に配置されるキーに対する操作頻度が閾値を上回った場合には、右のキーボード画像のキーの数が増えて当該キーボード画像が左側に向かって拡張する一方、左のキーボード画像ではキーの数が減って当該キーボード画像が左方向に向かって縮小する。
【0010】
上記のとおり、左右のキーボード画像の間で重複するキーに対する操作に関して、一方のキーボード画像の端縁に配置されているキーが使用される頻度が高い場合には、このよく使われるキーを含むキーボード画像のキーが増え、他方のキーボード画像のキーが減り、その変化に応じて各キーボード画像の間におけるキーの重複関係も変動する。この処理を繰り返すことによって、重複部分に対する操作によく使用される方のキーボード画像のキーの数を増やして、操作性を高めることができる。
【0011】
上記の入力インタフェースにおいて、表示実行手段は、一対のキーボード画像として、以下の2つのタイプを表示することができる。以下、各タイプを、「第1タイプ」および「第2タイプ」という。
【0012】
第1タイプの一対のキーボード画像は、左右方向に沿って並ぶキーの行が複数設けられた構成の基本のキーボード画像を行毎に2つずつキーを重複させて左右に分けた場合の各部分に相当する。この第1タイプによれば、左のキーボード画像の各行の右端のキーと右のキーボード画像の各行の左から2番目のキーとが一致し、右のキーボード画像の各行の左端のキーと右のキーボード画像の各行の右から2番目のキーとが一致する状態になる。
【0013】
第2タイプの一対のキーボード画像は、左右方向に沿って並ぶキーの行が複数設けられた構成の基本のキーボード画像を行毎に1つずつキーを重複させて左右に分けた場合の各部分に相当する。この第2タイプによれば、左のキーボード画像の各行の右端のキーと右のキーボード画像の各行の左端のキーとが一致する状態となる。
【0014】
上記入力インタフェースの第1の実施形態では、表示実行手段は、第1タイプの一対のキーボード画像を表示して、これらのキーボード画像の間で重複するキーに関して、他方のキーボード画像の端縁に面するキーに対する操作頻度をキーボード画像毎に判別する。そして、一方のキーボード画像における操作頻度が前記閾値を上回ったとき、他方のキーボード画像の各行において前者のキーボード画像に重複する部分の隣に位置していたキーをそれぞれ前者のキーボード画像の対応する行に加えると共に、後者のキーボード画像の各行において前者のキーボード画像の側の端縁に面していたキーを後者のキーボード画像から消去する。
【0015】
上記の実施形態によれば、左のキーボード画像の右端に位置するキーに対する操作頻度が閾値を上回ったときには、右のキーボード画像の各行で左から3番目に位置するキーが左のキーボード画像の各行の右端に加えられ、右のキーボード画像の各行の左端に配置されていたキーが消去される。これとは逆に、右のキーボード画像の左端に位置するキーに対する操作頻度が閾値を上回ったときには、左のキーボード画像の各行で右から3番目に位置するキーが右のキーボード画像の各行の左端に加えられ、左のキーボード画像の右端に配置されていたキーが消去される。
【0016】
上記の入力インタフェースの第2の実施形態では、表示実行手段は、第2タイプの一対のキーボード画像を表示して、各キーボード画像の間で重複するキーに対する操作頻度をキーボード画像毎に判別し、一方のキーボード画像における操作頻度が閾値を上回ったとき、他方のキーボード画像の各行において前者のキーボード画像と重複していたキーを後者のキーボード画像から消去すると共に、後者のキーボード画像の各行で消去されたキーの隣に位置していたキーをそれぞれ前者のキーボード画像の対応する行に加える。
【0017】
第2の実施形態によれば、左右のキーボード画像の間で重複するキーに関して、左のキーボード画像が操作される頻度が閾値を上回ったときには、右のキーボード画像の各行の左端のキーが消去され、消去されたキーの隣に配置されていた各キーが左のキーボード画像の対応する行の右端に加えられる。これとは反対に、キーボード画像の間で重複するキーに関して、右のキーボード画像が操作される頻度が閾値を上回ったときには、左のキーボード画像の各行の右端のキーが消去され、消去されたキーの隣に配置されていた各キーが右のキーボード画像の対応する行の左端に加えられる。
【0018】
上記の入力インタフェースの第3の実施形態では、表示実行手段は第1タイプの一対のキーボード画像を表示して、各キーボード画像の間で重複するキーに関して、他方のキーボード画像の端縁に面するキーに対する操作頻度をキーボード画像毎および行毎に判別する。そして、いずれかの行について各キーボード画像の間で重複するキーに関して、一方のキーボード画像における操作頻度が閾値を上回ったとき、この行について他方のキーボード画像の前者のキーボード画像と重複する部分の隣に位置していたキーを前者のキーボード画像の対応する行に加えると共に、後者のキーボード画像の当該行において前者のキーボード画像の側の端縁に面していたキーを後者のキーボード画像から消去する。
【0019】
上記入力インタフェースの第4の実施形態では、表示実行手段は、第2タイプの一対のキーボード画像を表示して、各キーボード画像の間で重複するキーに対する操作頻度をキーボード画像毎および行毎に判別する。そして、いずれかの行について各キーボード画像の間で重複するキーに関して、一方のキーボード画像における操作頻度が閾値を上回ったとき、この行について他方のキーボード画像の前者のキーボード画像と重複していたキーを後者のキーボード画像から消去すると共に、後者のキーボード画像で消去されたキーの隣に位置していたキーを前者のキーボード画像の対応する行に加える。
【0020】
第3および第4の実施形態によれば、左右のキーボード画像の各行の重複部分のうち、各キーボード画像における操作頻度に大幅な偏りが生じた行についてのみ、操作頻度が高い方のキーボード画像が拡張され、操作頻度が低い方のキーボード画像が縮小される。
【0021】
第1〜第4の実施形態を含む入力インタフェースにおいて、表示実行手段は、一対のキーボード画像のそれぞれにおいて他方のキーボード画像の側の端縁に面する位置に配置され、かつ他方のキーボード画像に重複するキーを、半透明状態にして表示したり、所定の色彩で着色するなど、その他のキーとは異なる態様で表示することができる。このようにすれば、ユーザは各キーボード画像の間で重複しているキーの種別やその変化を容易に認識することができる。
【0022】
本発明では、さらに上記の入力インタフェースの各キーボード画像を文字入力用として構成し、受付手段により受け付けられた操作に応じて入力文字列を決定する文字入力処理手段を加えることによって、左右のキーボード画像の形態を操作状況に応じて変動させながら文字入力操作を受け付ける文字入力装置を提供することができる。また、文字入力に限らず、左右のキーボード画像の形態を操作状況に応じて変動させながら、種々の処理のための操作を受け付ける情報処理装置を提供することもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ユーザの癖や装置の使用や操作内容等の実情に応じて左右のキーボード画像の形態を変化させることができるので、操作性が向上し、入力作業の効率を大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明が適用された文字入力システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2】基本キーボード画像と基本キーボード画像から作成される左キーボードおよび右キーボードの各キー配列の構成例を示す説明図である。
図3】左キーボードおよび右キーボードの形態の変化に関する第1の実施例を示す説明図である。
図4】左キーボードおよび右キーボードの形態の変化に関する第2の実施例を示す説明図である。
図5】左キーボードおよび右キーボードの形態の変化に関する第3の実施例を示す説明図である。
図6図3の下段および図4の下段に示した左キーボードおよび右キーボードについて、各キーボードに候補表示欄が加えられた場合の表示例を示す説明図である。
図7】左右のキーボードの各行で重複するキーを1つずつにした場合の各キーボードの形態の変化に関する実施例を示す説明図である。
図8】キーボード表示処理の手順を示すフローチャートである。
図9図8中のキーボード設定変更処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明が適用された文字入力システム(IME)1の機能を、当該システム1が導入される情報処理装置の前面に配備されたタッチパネル2や文字入力の対象のアプリケーション3(インターネットブラウザ、メーラー、メモ帳など)との関係と共に示す。この実施例の情報処理装置はタブレット型の端末装置であり、図示しないオペレーションシステムによる制御下で文字入力システム1やアプリケーション3が動作する。
【0026】
この実施例の文字入力システム1には、左キーボード表示部11,右キーボード表示部12,キーボード表示制御部13,操作検出部14,文字入力処理部15,入力文字列表示部16,確定文字列出力部17などが含まれる。
【0027】
左キーボード表示部11および右キーボード表示部12は、タッチパネル2に文字入力用のキーボード画像を表示し、キーボード表示制御部13は各キーボード表示部11,12の動作を制御する。操作検出部14は表示されたキーボード画像に対する操作やその操作内容を判別する。
【0028】
文字入力処理部15は、操作検出部14の判別結果に応じて、入力文字列の組み立て、入力文字列から変換可能な候補の文字列を検索する処理(検索に必要な辞書も文字入力処理部15に含まれている。)、入力文字列を確定する処理などを実行する。入力文字列表示部16は、文字入力処理部15の動きに連動して、未確定の入力文字列が組み立てられて確定されるまでの過程を表示する。確定文字列出力部17は、確定された入力文字列をアプリケーション3に出力する。
【0029】
図1に示した各機能のうち、左キーボード表示部11,右キーボード表示部12,キーボード表示制御部13,操作検出部14を含む範囲が、本発明の入力インタフェースに相当する。以下、これらの機能に関して、詳細に説明する。なお、以下の説明でいうところの「左」とは、タッチパネル2を正面から見た場合に向かって左になる方向であり、以下の説明でいうところの「右」とは、タッチパネル2を正面から見た場合に右になる方向である。
【0030】
キーボード表示制御部13には、図2(1)に示すようなQwerty配列を含むキーボード画像10(以下、「基本キーボード画像10」という。)やこの基本キーボード画像10内の個々のキーの定義情報が登録されている。各キーの定義情報には、キーに割り当てられた機能(特定の文字の入力、入力対象の字種の切り替えなど)や基本キーボード画像10におけるキーの相対位置などが含まれる。キーボード表示制御部13は、左キーボード表示部11および右キーボード表示部12に基本キーボード画像10および上記の定義情報を提供し、タッチパネル2における表示位置を指定して表示させる。このとき左キーボード表示部11には、基本キーボード画像10の左端から右方向に所定距離を隔てた位置までの範囲を有効領域として、その有効領域のキーボード画像10Lのみを表示するように指示する(図2(2)を参照。)。その反対に右キーボード表示部12には、基本キーボード画像10の右端から左方向に所定距離を隔てた位置までの範囲を有効領域として、その有効領域のキーボード画像10Rのみを表示するように指示する(図2(3)を参照。)。
【0031】
以下では、左キーボード表示部11により表示されるキーボード画像10Lを「左キーボード10L」と呼び、右キーボード表示部12により表示されるキーボード画像10Rを「右キーボード10R」と呼ぶ。キーボード表示制御部13は、左キーボード10Lが画面の左側端縁に寄せられた状態で表示され、右キーボード10Rが画面の右側端縁に寄せられた状態で表示されるように、各キーボード10L,10Rの表示位置を指定する。
【0032】
この実施例のキーボード表示制御部13は、左キーボード10Lと右キーボード10Rとの各行のキー配列で2つずつキーが重複するようにそれぞれの有効領域を設定すると共に、左キーボード10Lでは各行の右端に位置する4個のキーを、右キーボード10Rでは各行の左端に位置する4個のキーを、それぞれ半透明状態で表示させる。図2(2)(3)では、半透明状態で表示されるキーをその輪郭線を点線にすることにより表すと共に、半透明状態のキーが含まれる範囲を一点鎖線で囲んで示している。
【0033】
以下、各キーボード10L,10R内の一点鎖線で囲まれた領域100L,100Rを「半透明領域100L,100R」という。各キーボード10L,10Rの半透明領域100L,100Rに含まれるキーは、すべて他方のキーボード10R,10Lにも含まれているが、半透明状態のキーに対する操作も全て有効な操作として受け付けられる。
【0034】
なお、文字入力の過程で入力候補の文字列が抽出された場合には、その候補文字列のリストを表示する候補表示欄が基本キーボード画像10に追加される。この候補表示欄もキー配列の部分と同様に、一部分を重複させた状態で左右のキーボード10L,10Rに分かれて表示される(図6を参照。)。
【0035】
各キーボード表示部11,12は、前述した定義情報に基づき、表示された範囲(有効領域)に含まれる各キーの機能にタッチパネル2における各キーの具体的な位置情報を紐付けたキーボード情報を作成する。また各キーボード表示部11,12からオペレーションシステムに、左右のキーボード10L,10Rの表示範囲を示す情報が通知され、その通知された範囲でタッチ操作が行われると、そのタッチ位置の座標がオペレーションシステムから操作検出部14に通知される。操作検出部14は、通知された座標によりキーボード情報を照合して左右いずれのキーボード10L,10Rが操作されたかや、実行された操作の内容を判別する。
【0036】
キーボード表示制御部13は、操作検出部14により判別される種々の操作のうち半透明領域100L,100Rの中での操作に反応して、左右のキーボード10L,10R毎に半透明領域100L,100Rに対する操作頻度を計数する。そして、あらかじめ定めた条件に基づき、いずれか一方のキーボードの半透明領域に対する操作頻度が他方のキーボードの半透明領域に対する操作頻度を上回ったと判別したとき、操作頻度が高い方のキーボードの横幅が拡張され、操作頻度が低い方のキーボードの横幅が縮小されるように、各キーボード10L,10Rのキーの数やキーボード10L,10Rの間でのキーの重複関係を変化させる。さらに、この変化後のキーボード10L,10Rでも、他方のキーボードの側の端縁(左キーボード10Lでは右端、右キーボードでは左端)に面している各キーが半透明状態で表示されるように、各キーボード表示部11,12の表示動作を制御する。
【0037】
なお、左キーボード10Lの右端に面するキーや右キーボード10Rの左端に面するキーの表示態様は半透明状での表示に限らず、他のキーとは異なる色彩で表示したり、半透明領域10L,10Rに対応する範囲の背景色を他とは異なる色彩にするなど、種々の態様の表示に変更することが可能である。また、これら端縁部のキーを他と区別することなく、全てのキーを同じ態様で表してもよい。
【0038】
図3図5は、半透明領域100L,100Rに対する操作状況に応じてキーボード10L,10Rの形態を変化させる処理の具体例を示すものである。図3図5では、それぞれ上段に図2(2)(3)と同じ初期状態の左キーボード10Lおよび右キーボード10Rを示し、下段に変化後の左キーボード10Lおよび右キーボード10Rを示している。初期状態の左キーボード10Lと右キーボード10Rとは、ほぼ同等の幅(各行のキーの数は5個または6個)に設定されている。
【0039】
図3は、左キーボード10Lの半透明領域100Lに対する操作頻度が右キーボード10Rの半透明領域100Rに対する操作頻度を大きく上回った場合の各キーボード10L,10Rの形態の変化の例を示している。この実施例では、初期の右キーボード10Rでは右キーボード10Rのみに含まれていた「U」「J」「N」の各文字キーおよび「半角」キー(初期の右キーボード10Rにおいて左キーボード10Lに重複する部分の隣に配置されていたキー)が左キーボード10Lの右端に加えられると共に、初期の右キーボード10Rの左端の半透明領域100Rに含まれていた「T」「G」「V」の各文字キーおよび左矢印キーが右キーボード10Rから消失して、操作頻度が高い左キーボード10Lのみに含まれる状態に変化する。この変化により左キーボード10Lの各行では1個ずつキーが増え、反対に右キーボード10Rの各行では1個ずつキーが減る。また、左キーボード10Lでは、新たに左キーボード10Lに入った上記の4個のキーが半透明状態となり、右キーボード10Rでは、初期の半透明領域100Rの隣に位置していた4個のキー(「Y」「H」「B」の各文字キーおよび右矢印キー)が半透明状態となる。
【0040】
図3に示したキーボード10L,10Rの形態の変化は、左右のキーボード10L,10Rの間で重複している8個のキーのうち、左キーボード10Lの右端の半透明領域100Lに含まれている4個のキー(「Y」「H」「B」の各文字キーおよび右矢印キー)に対する操作について、左キーボード10Lが使用される頻度が右キーボード10Rが使用される頻度を上回ったことによるものである。
【0041】
図4は、右キーボード10Rの半透明領域100Rに対する操作頻度が左キーボード10Lの半透明領域100Lに対する操作頻度を大きく上回った場合の各キーボード10L,10Rの形態の変化の例を示している。この実施例では、初期の左キーボード10Lで左キーボード10Lのみに含まれていた「R」「F」「C」の各文字キーおよび「変換」キー(初期の左キーボード10Lにおいて右キーボード10Rに重複する部分の隣に配置されていたキー)が右キーボード10Rの左端に加えられると共に、初期の左キーボード10Lの半透明領域100Lに含まれていた「Y」「H」「B」の各文字キーおよび右矢印キーが左キーボード10Lから消失して、操作頻度が高い右キーボード10Rのみに含まれる状態に変化する。この変化により右キーボード10Rの各行では1個ずつキーが増え、反対に左キーボード10Lの各行では1個ずつキーが減る。また、右キーボード10Rでは、新たに右キーボード10Rに入った上記4個のキーが半透明状態となり、左キーボード10Lでは、初期の半透明領域100Lの隣に位置していた4個のキー(「T」「G」「V」の各文字キーおよび左矢印キー)が半透明状態となる。
【0042】
図4に示したキーボード10L,10Rの形態の変化は、左右のキーボード10L,10Rの間で重複している8個のキーのうち、右キーボード10Rの左端の半透明領域100Rに含まれている4個のキー(「T」「G」「V」の各文字キーおよび左矢印キー)に対する操作について、右キーボード10Lが使用される頻度が左キーボード10Rが使用される頻度を上回ったことによるものである。
【0043】
図3および図4の例は、左右のキーボード10L,10Rの半透明領域100R,100Rに対する操作頻度をキーボード10L,10R毎に計数して、その計数値に基づき各行のキーの個数を同様に増減させるものである。これに対し、つぎの図5の例では、各半透明領域100L,100Rに対する操作頻度をキーボード毎および行毎に計数することによって、キーボード10L,10Rのキーの個数を行単位で変更する。
【0044】
図5の上段と下段との間で、各キーボード10L,10Rの上から2行目のキー配列を比較すると、上段の初期の左キーボード10Lでは左キーボード10Lのみに含まれていた「F」の文字キーが、下段では右キーボード10Rの左端に加えられている。一方、初期の左キーボード10Lの右端に配置されていた「H」の文字キーは、下段では左キーボード10Lから消失して右キーボード10Rのみに含まれる状態になる。すなわち、上から2行目のキー配列では、右キーボード10Rのキーが1つ増え、左キーボード10Lのキーが1つ減っている。
【0045】
図5の上段と下段との間で、各キーボード10L,10Rの上から3行目のキー配列を比較すると、上段の初期の右キーボード10Rでは右キーボード10Rのみに含まれていた「N」の文字キーが、下段では左キーボード10Lの右端に加えられている。一方、初期の右キーボード10Rの左端に配置されていた「V」の文字キーは、下段では右キーボード10Rから消失して左キーボード10Lのみに含まれる状態になる。すなわち、上から3行目のキー配列では、左キーボード10Lのキーが1つ増え、右キーボード10Rのキーが1つ減っている。
【0046】
上から2行目のキー配列の変化は、この行に関して各キーボード10L,10Rの間で重複している「G」のキーに対する操作において、右キーボード10Rの半透明領域100Rが使用される頻度が左キーボード10Lが使用される頻度を上回ったことによるものである。上から3行目のキー配列の変化は、この行に関して各キーボード10L,10Rの間で重複している「B」のキーに対する操作において、左キーボード10Lの半透明領域100Lが使用される頻度が右キーボード10Rが使用される頻度を上回ったことによるものである。これらに対し、図5の最上段および最下段のキー配列では、重複部分に対する左右のキーボード10L,10Rでの操作頻度に大きな差が生じていないため、各キー配列は初期状態のまま維持されている。
【0047】
図6は、文字の入力操作に応じて文字入力処理部15により入力候補の文字列が抽出されたことに伴って、各キーボード10L,10Rに候補表示欄18L,18Rが設定された場合の表示の例を示す。これらの候補表示欄18L,18Rは、基本キーボード画像10に含まれた候補表示欄の一部を有効領域に設定するキーボード表示制御部13の処理と、この設定を受けた各キーボード表示部11,12の処理とによって表示されたもので、基本キーボード画像中の候補表示欄の所定範囲が各候補表示欄18L,18Rに共通に含まれている。
【0048】
図6(1)の左キーボード10Lおよび右キーボード10Rのキー配列は図3の下段の例と同じもの、すなわち左キーボード10Lの右端の半透明領域100Lに含まれるキーに対する操作について、左キーボード10Lが使用される頻度が右キーボード10Rが使用される頻度を上回ったことにより、左キーボード10Lが拡張され、右キーボード10Rが縮小されている。候補表示欄についてもこの変化に合わせて、左の候補表示欄18Lが右の候補表示欄18Rより広くなっている。
【0049】
図6(2)の左キーボード10Lおよび右キーボード10Rのキー配列は図4の下段の例と同じもの、すなわち右キーボード10Rの左端の半透明領域100Rに含まれるキーに対する操作について、右キーボード10Rが使用される頻度が左キーボード10Lが使用される頻度を上回ったことにより、右キーボード10Rが拡張され、左キーボード10Lが縮小されている。候補表示欄についてもこの変化に合わせて、右の候補表示欄18Rが左の候補表示欄18Lより広くなっている。
【0050】
候補表示欄18L,18Rでも、両者間の重複部分の一部が半透明状態に設定されている。具体的に、この実施例では、各キーボード10L,10Rの候補表示欄18L,18Rにおける半透明表示の範囲を、1行目のキー配列における半透明表示の範囲に対応させている。左右の候補表示欄18L,18Rを合わせた候補表示の内容は図6(1)(2)とも同一であるが、各例の半透明領域100L,100Rに含まれている候補の内訳は異なるものになっている。
【0051】
なお、図6(2)の候補表示欄18L内の「ワイン」のように、候補表示欄18L,18Rの半透明表示の範囲に候補の全体が含まれない場合もあるが、そのような不完全な表示に対してタッチ操作が行われた場合でも、その操作は有効な操作として受け付けられる。
【0052】
キーボード10L,10Rの形態を行毎に変化させる図5の実施例において候補表示欄18L,18Rが表示される場合には、候補表示欄18L,18Rについても、キー配列から独立させて幅を変動させることができる。たとえば、各キーボード10L,10Rの半透明領域100L,100Rに含まれる候補の選択について、一方のキーボードの半透明領域に対する操作頻度が他方のキーボードの対応箇所に対する操作頻度を上回ったときに、この半透明領域を含む候補表示欄の幅を所定長さ分だけ延長し、その延長分に相当する長さだけ他方の候補表示欄の幅を短くすることができる。
【0053】
上記のとおり、図3図6に示した実施例では、左キーボード10Lと右キーボード10Rとの間で、それぞれの他方のキーボード10R,10Lに対向する側の端縁に面する4個のキーとそれらの隣に配置される4個のキーとを重複させ、端縁に面する4個のキーを半透明状態に設定した。また、これら半透明のキーに対する操作頻度が閾値を上回ったことに応じて各キーボード10L,10Rの形態を変化させた。ただし、半透明表示の対象範囲は上記に限定されるものではなく、各キーボード10L,10Rの間で重複する全てのキーを含む範囲を半透明領域10L,10Rとし、そのうち他方のキーボードの側の端縁に面するキーに対する操作頻度に基づき、上記の各実施例と同様の方法で各キーボード10L,10Rの形態を変化させてもよい。
【0054】
また、図7に示すように、各キーボード10L,10Rの間で行毎で重複させるキーを1個ずつにすることにより、各半透明領域100L,100Rに含まれるキーを一致させてもよい。
【0055】
図7は、各キーボード10L,10Rの間で重複するキーに対する操作において、左キーボード10Lの半透明領域100Lが使用される頻度が右キーボード10Rの半透明領域100Rが使用される頻度を上回った場合の各キーボード10L,10Rの形態の変化を示すものである。この場合、右キーボード10Rの左端の半透明領域100Rに配置されていた4個のキー(「T」「G」「V」の各文字キーおよび左矢印キー)が右キーボード10Rから消去され、これら消去されたキーの隣に配置されていた4個のキー((「Y」「H」「B」の各文字キーおよび右矢印キー)が左キーボード10Lの右端に加えられる。右キーボード10Rの左端にも、左キーボード10Lに新たに加えられた4個のキーが配置されるので、各キーボード10L,10Rの半透明領域100L,100Rの整合状態が維持される。
【0056】
上記とは逆に、図7に示した右キーボード10Rの半透明領域100Rに対する操作頻度が左キーボード10Lの半透明領域100Lに対する操作頻度を上回った場合には、左キーボード10Lの右端の半透明領域100Lに配置されていた4個のキーが左キーボード10Lから消去され、これら消去されたキーの隣に配置されていた4個のキー(たとえば「R」「F」「C」の各文字キーおよび「変換」キー)が右キーボード10Rに加えられる。この変更後の左キーボード10Lの右端にも、右キーボード10Rに新たに加えられた4個のキーが配置されるので、各キーボード10L,10Rの半透明領域100L,100Rの整合状態が維持される。
【0057】
図7の例の左キーボード10Lおよび右キーボード10Rについても、それぞれの間の重複部分に対する操作頻度を行毎に判別して、図5の例と同様に、行単位でキー配列の拡張や縮小を行うことができる。候補表示欄18R,18Lが表示される場合についても、図6の例と同様に、候補表示欄18R,18Lを含むキーボード10L,10Rの全体を対象として、操作頻度の判別やキーボード10L,10Rの形態の変更を行うことができる。
【0058】
各キーボード10L,10Rにおける半透明領域100L,100Rの設定は、上記に示した例に限らず、各キーボード10L,10Rの間で重複しているキー群を対象に、適宜、各行のキー配列の構成やキーの数に応じて変更することができる。また半透明領域100L,100Rに含めるキーの数を行によって異なる数にしてもよい。
【0059】
図8は、図3および図4に示した方式で各キーボード10L,10Rの形態を変化させる場合の処理の手順を示すものである。この処理は、アプリケーション3の画面で文字入力を指示するタップ操作などが行われたことに応じて、キーボード表示制御部13が左キーボード表示部11および右キーボード表示部12と協働して実行するものである。なお、この処理と並列して文字入力処理部15による処理も進行するが、こちらの処理の流れは従来と同様であるので、説明を省略する。
【0060】
最初のステップS1では、一段階前に実行されたキーボード表示処理での設定情報に基づき、左キーボード10Lおよび右キーボード10Rを表示する。この設定情報は操作検出部14により文字入力の終了を指示する操作が検出されてステップS9が「YES」となった場合に、終了前のステップS10で保存されるものである。図8では、ステップS10で保存される情報として、各キーボード10L,10Rの有効領域や半透明領域100L,100Rを表す設定情報が記載されているが、これらのほか、左右のキーボード10L,10R毎の操作頻度を表す数値データN,N(以下「操作頻度データ」という。)も、次の段階の処理に引き継ぐために保存される。
【0061】
キーボード10L,10Rが表示された後は、左キーボード10Lまたは右キーボード10Rに対して何らかの操作が検出され(ステップS2が「YES」)、それが半透明領域100L,100Rに対する操作であった場合(ステップS3が「YES」)に、操作頻度データN,Nの更新処理が実行される。
【0062】
具体的には、左キーボード10Lの半透明領域100Lに対する操作が行われた場合には、左キーボード10Lの操作頻度データNを現在値に1を加えた値に更新し、右キーボード10Rの操作頻度データNを現在値から1を減じた値に更新する(ステップS5)。右キーボード10Rの半透明領域100Rに対する操作が行われた場合には、上記とは逆に、右キーボード10Rの操作頻度データNを現在値に1を加えた値に更新し、左キーボード10Lの操作頻度データNを現在値から1を減じた値に更新する(ステップS6)。
【0063】
上記のとおり、この実施例では、半透明領域100Lまたは100Rに対する操作が検出される都度、操作された半透明領域に対応する操作頻度データの値を加算する一方で操作されなかった半透明領域に対応する操作頻度データの値を減算するので、半透明領域100L,100Rに対する操作に関して各キーボード10L,10Rが用いられる頻度に偏りがある場合には、NとNとの間に大きな差が生じる。これに対し、半透明領域100L,100Rに対する通算の操作回数が増えても、左キーボード10Lが使用された頻度と右キーボード10Rが使用された頻度との差が小さい場合には、N,Nの間の差も小さく、またいずれの頻度データも大きくならない。
【0064】
上記のステップS5またはS6の後は、更新された操作頻度データN,Nのうちの値が高い方をあらかじめ定めた閾値と比較し、NまたはNが閾値を超えている場合(ステップS7が「YES」)にキーボード設定変更処理(ステップS8)を実行する。上記した操作頻度データN,Nの特性によれば、左右のキーボード10L,10Rの間で半透明領域に対する操作に偏りが生じており、かつ半透明領域が多く操作されている方のキーボードに対応する操作頻度が閾値を上回った場合に、キーボード設定変更処理が行われることになる。よって、閾値の値を十分に大きくすることにより、ユーザが各キーボード10L,10Rの半透明領域10L,10Rのいずれか一方を好んで使用している場合に、キーボード設定変更処理が行われるようにすることができる。
【0065】
図9は、キーボード設定変更処理(ステップS8)の詳細な手順を示すものである。この処理では、最初に、各キーボード10L,10Rに適用されている有効領域が変更可能な範囲にあるかどうかがチェックされる(ステップS11)。たとえば、幅が狭い方の有効領域の一行分のキーの数をあらかじめ登録された最小値(たとえば2個)と比較し、前者が後者より多い場合には有効領域は変更可能な範囲にあると判断される。
【0066】
上記の判断によりステップS11が「YES」となると、つぎのステップS12で操作頻度データNとNとの大小関係がチェックされる。ここでN<N、すなわち右キーボード10Rの半透明領域100Rに対する操作頻度が左キーボード10Lの半透明領域100Lに対する操作頻度を上回っている場合には、右キーボード10Rの有効領域をキー1つ分拡張し(ステップS13)、左キーボード10Lの有効領域をキー1つ分縮小する(ステップS14)。拡張や縮小の具体的な方法は図4の例に示したとおりである。
【0067】
上記とは逆に、N>N、すなわち左キーボード10Lの半透明領域100Lに対する操作頻度が右キーボード10Rの半透明領域100Rに対する操作頻度を上回っている場合には、左キーボード10Lの有効領域をキー1つ分拡張し(ステップS15)、右キーボード10Rの有効領域をキー1つ分縮小する(ステップS16)。拡張や収縮の具体的な方法は図3の例に示したとおりである。
【0068】
上記いずれかの手順によりキーボード10L,10Rの形態が変更されると、その変更後の左キーボード10Lの各行の右端のキーと、右キーボード19Rの各行の左端のキーとを、それぞれ半透明状態に設定する(ステップS17)。この後、操作頻度データN,Nをリセットして、処理を終了する。
【0069】
図5の例のように、各キーボード10L,10Rの形態を行毎に変動させる場合には、図7のステップS3〜S8の手順を行毎に実行すればよい(ステップS8では図8のステップS11〜S18を実行する。)。
【0070】
なお、上記で説明した各実施例では、各キーボード10L,10Rの幅方向におけるキーの数を1個ずつ増減する方法で各キーボード10L,10Rの形態を変化させたが、キーの増減の単位はこれに限定されるものではない。たとえば、キーボード設定変更処理の実施の条件とする閾値の値を高めにして、毎回のキーボード設定変更処理において、各キーボード10L,10Rの幅を、キー2つ分ずつ拡張または縮小させてもよい。または、毎回のキーボード設定変更処理において各キーボード10L,10Rの幅をキー半個分ずつ拡張または縮小させる代わりに、キーボード設定変更処理が生じやすくなるように閾値の値を低めに設定してもよい。
【0071】
タッチパネルにおける各キーボード10L,10Rの表示位置は、左キーボード10Lを左側に表示し、右キーボード10Rを右側に表示するというルールを守ることを前提に、事前の設定やユーザのドラッグ操作などに応じて変更することができる。特に、高さ位置に関しては、左キーボード10Lと右キーボード10Rとを合わせる必要はなく、それぞれの位置を自由に変更することができる。
【0072】
上記の実施例に示した入力インタフェースによれば、たとえば、情報処理装置であるタブレット型の端末装置をユーザが両手で持って親指で各キーボード10L,10Rを操作する場合や、端末装置を利き手でない方の手で支持しながら、利き手側の指により主要な操作を行い、支持側の手の指で補助的な操作を行う場合などに、各キーボード10L,10Rをユーザにとって操作しやすい形態に変化させることができる。
【0073】
上記の実施例に示した入力インタフェースは、文字入力用に限らず、機械の動作をコントロールするための操作やゲーム操作など、他の目的での操作にも適用することが可能である。左キーボード10Lおよび右キーボード10Rの元となる基本キーボード画像10も、図2(1)の構成に限らず、種々の形態に変更することができる。導入できる装置もタブレット型の端末装置に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0074】
1 文字入力システム
2 タッチパネル
3 アプリケーション
10 基本キーボード画像
10L 左キーボード
10R 右キーボード
11 左キーボード表示部
12 右キーボード表示部
13 キーボード表示制御部
14 操作検出部
15 文字入力処理部
16 入力文字列表示部
17 確定文字列出力部
100L,100R 半透明領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9