【文献】
住友化学,無機材料事業部アルミナ製品部/高機能材料部,製品データブック(抜粋)活性アルミナ/水硬性アルミナ,日本,[online],2014年12月22日,1、12、13、14頁,特に13頁に記載の「活性アルミナ:球状(KH)」の表中の品名「KHS−46」の列, [2016年8月24日検索], インターネット<URL:http://www.sumitomo-chem.co.jp/products/docs/a06010.pdf>
【文献】
ENGLAND, David C.,Catalytic conversion of fluoroalkyl alkyl ethers to carbonyl compounds,Journal of Organic Chemistry,1984年,Vol.49, No.21,P.4007-4008
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.
フッ化メタンの製造方法
本発明のフッ化メタンの製造方法は、アルミナ触媒存在下において、原料化合物を気相状態で熱分解させることにより、フッ化メタン及び酸フルオリドを含む混合ガスを得る工程
を含むフッ化メタンの製造方法であって、
前記アルミナ触媒が、塩素処理されていないアルミナ触媒であることを特徴とする方法である。
【0011】
(1)
熱分解反応
気相状態で熱分解させることにより、フッ化メタン及び酸フルオリドを含む混合ガスを生じる反応は既に知られており、例えば、特開2014−114277号公報等に開示されている。
【0012】
(i)原料化合物
本発明では、原料化合物としては、一般式(1)で表される含フッ素メチルエーテルを用いる。
【0014】
(式中、R
1及びR
2は、同一又は異なって、置換されていてもよい、直鎖状若しくは分岐状の一価の脂肪族炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基若しくは一価の環状脂肪族炭化水素基;水素原子又はハロゲン原子である)。
【0015】
原料化合物として用いる含フッ素メチルエーテルの製造方法については特に限定はなく、任意の方法で得られた化合物を用いることができる。
【0016】
上記一般式(1)において、好ましくはR
1及びR
2は、同一又は異なって、置換されていてもよい、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の一価の芳香族炭化水素基又は炭素数6〜12の一価の環状脂肪族炭化水素基である。より好ましくは、R
1及びR
2は、同一又は異なって、置換されていてもよい、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の一価の芳香族炭化水素基又は炭素数6〜10の一価の環状脂肪族炭化水素基である。
【0017】
上記において、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状の一価の脂肪族炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜10のアルキル基等が挙げられる。
【0018】
具体的には、炭素数1〜10のアルキル基として、メチル基、エチル基、トリメチル基、プロピル基、2−メチルエチル基、ヘキシル基及びオクチル基等が挙げられる。
【0019】
炭素数1〜10のアルキル基の中では、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
【0020】
炭素数6〜10の一価の芳香族炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、フェニル基、メチルフェニル基及びエチルフェニル基等が挙げられる。
【0021】
炭素数6〜10の一価の環状脂肪族炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基及びエチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0022】
上記において、一価の脂肪族炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基又は一価の環状脂肪族炭化水素基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子からなる群より選択される少なくとも一種のヘテロ原子で、水素原子の少なくとも一つが置換されていてもよく、また全ての水素原子が置換されていてもよい。
【0023】
上記において、ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0024】
特に限定されないが、原料として用いることができる具体的な化合物の例として、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル等が挙げられる。
【0025】
特に、フッ素樹脂の原料として使用するヘキサフロオロプロペンを製造する際に副生するパーフルオロイソブチレン((CF
3)
2C=CF
2))は、従来不要物として廃棄されていたが、これをメタノールと反応させることによって1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルを得ることができ、これを本発明方法の原料として用いることによって、廃棄物の有効利用を図ることができ、低コストの原料を用いて、安価に目的物を得ることが可能となる。なお、本発明において、原料とする1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルが、「パーフルオロイソブチレンとメタノールを反応させて得られるものである」というときは、その1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルが、かかる反応により得られたものに限定され、他の反応により得られたものではないことを意味する。パーフルオロイソブチレンとメタノールとを反応させて1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルを得る方法は、公知の方法であり、公知の反応条件に従えばよい。例えば、特表2001−506261号公報に記載の方法に従って反応を行えばよい。
【0026】
特に限定されないが、例えば、原料化合物として1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルを用い、これを熱分解させることによりフッ化メタン及び3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロパノイルフルオライドを得ることができる。この混合ガスを精留することにより、フッ化メタンを高純度で含む組成物を得ることができる。本発明者らは、この組成物には、HFC−1225zcが微量混入していることを明らかにした。
【0027】
(ii)触媒
触媒としては、塩素原子含量が少ないアルミナ触媒を用いる。アルミナ触媒の中には、不純物として塩素原子を含んでいる場合や、反応の活性を向上させる目的で塩酸処理がなされている場合がある。このため、これらのアルミナ触媒には塩素原子が混入している。このような状態で塩素原子を含むアルミナ触媒を用いて本発明の熱分解反応を行うと、反応生成物にメタン、エタン、プロパン及び塩化メチル等が微量混入する。なかでも塩化メチルは、数ppm混入しただけであってもそれを除去することが困難であることを確認している。そこで、本発明では、塩素原子含量が少ないアルミナ触媒を用いることを特徴とする。これにより、反応生成物における上記不純物の混入を防ぐことができる。
【0028】
言い換えれば、本発明では、塩素原子の含量が、1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは塩素原子を含まない、すなわち塩素原子の含量が検出限界以下のアルミナ触媒を用いる。
【0029】
本発明において、アルミナ触媒における混入物の含量は、以下のようにしてグロー放電質量分析法を用いて測定する。Ar雰囲気下のグロー放電でアルミナ触媒試料表面をスパッタし、放出された中性粒子をプラズマ内のArや電子との衝突によってイオン化させ、そのイオンを高分解能質量分析計で測定する。
【0030】
本発明において、細孔容積は、日本ベル社の装置又はその同等品を用いて、一般的に用いられるガス吸着法で測定できる。
【0031】
アルミナ触媒としては、α-アルミナ及び活性アルミナ等を使用できる。活性アルミナとしては、ρ-アルミナ、χ-アルミナ、κ-アルミナ、η-アルミナ、擬γ-アルミナ、γ-アルミナ、δ-アルミナ及びθ-アルミナなどが使用される。これらの中でもγ-アルミナ及びη-アルミナが好ましく、γ-アルミナが特に好ましい。また、複合酸化物としてシリカアルミナ(SiO
2/Al
2O
3)も触媒として用いることができる。シリカアルミナのシリカSiO
2の組成は、20重量%〜90重量%が好ましく、50重量%〜80重量%がより好ましい。
【0032】
触媒の細孔容積は大きいほど活性が高く、0.4ml/g以上であることが好ましく、0.6ml/g以上であることが特に好ましい。
【0033】
また、触媒にKF、NaF及びMgF
2などのアルカリ金属およびアルカリ土類金属のフッ化物を担持してもよい。
【0034】
本発明では、フッ素化されたアルミナ触媒を使用することもできる。フッ素化されたアルミナ触媒を得る方法については特に限定はないが、例えば、加熱下において、上記したアルミナ触媒を無水フッ化水素またはフルオロカーボンと接触させることによって、フッ素化反応が進行してフッ素化されたアルミナ触媒を得ることができる。アルミナ触媒とフッ化水素とを接触させる方法については特に限定的ではなく、触媒を充填した反応管中にフッ化水素を流通させる連続法でもよく、触媒を収容した容器にフッ化水素またはフルオロカーボンを封入するバッチ式でもよい。特に、流通方式は、処理時間が短い点で好ましい。
【0035】
フルオロカーボンは、フッ素原子の数が多く、炭素原子の数が少ないものが好ましい。例えば、トリフルオロメタン、ジフルオロクロロメタン、オクタフルオロエタンなどがあげられる。
【0036】
アルミナ触媒のフッ素化の程度については、特に限定的ではないが、フッ素化されたアルミナ触媒全体の重量を基準として、フッ素含有率が5〜50重量%程度であることが好ましい。
【0037】
アルミナ触媒のフッ素化処理の温度は、後述する熱分解反応より高温であることが好ましく、例えば、150〜500℃程度が好ましく、200℃〜400℃程度がより好ましく、250℃〜350℃程度が更に好ましい。フッ素化処理の温度が低すぎるとフッ素化が不十分であるために触媒の効果が小さく、処理温度が高すぎると耐熱材料が特別に必要になるために実用的でない。
【0038】
(iii)熱分解反応条件
含フッ素メチルエーテルの熱分解反応は、上記した触媒の存在下で、含フッ素メチルエーテルを気相状態で触媒に接触させることによって進行させることができる。具体的な方法については特に限定的ではないが、例えば、管型の流通型反応器を用い、該反応器に上記した触媒を充填し、原料として用いる含フッ素メチルエーテルを該反応器に導入して、気相状態で触媒に接触させる方法を挙げることができる。
【0039】
熱分解反応の温度については、低すぎると原料の転化率が低下し、高すぎると不純物が多くなる傾向がある。このため、100℃〜400℃程度とすることが好ましく、100℃〜300℃程度とすることがさらに好ましく、100℃〜250℃程度とすることが特に好ましい。
【0040】
熱分解反応時の反応管内の圧力は、低すぎると空気の混入の可能性などがあるので操作上煩雑になり、高すぎると機器の耐圧を考慮する必要があり、漏えいの可能性も高くなる。これらの点から、0.05〜1MPa程度とすることが好ましく、0.1〜0.5MPa程度とすることが好ましく、特に、反応操作上、大気圧(約0.1MPa)程度の圧力が好ましい。
【0041】
反応させるための接触時間については特に限定的ではないが、反応管に供給する原料ガスである含フッ素メチルエーテルの流量F(0℃、一気圧(約0.1MPa)での流量:cc/sec)に対する触媒の充填量W(g)の比率:W/F(g・sec/cc)で表される接触時間を、1〜100g・sec/cc程度とすることが好ましく、1〜50g・sec/cc程度とすることがより好ましい、5〜30g・sec/cc程度とすることが更に好ましい。接触時間が長すぎると、生成物を得るのに長時間を要するので、生産量を上げるためには接触時間を短くすることが好ましいが、接触時間が短すぎると、転化率が下がる傾向がある。このため、使用する触媒の種類、触媒量、反応条件などに応じて、原料の転化率と目的物の選択率の点から最も生産性が高くなる接触時間を選べばよい。通常は、使用する触媒の種類、触媒量、反応条件などに応じて、転化率が100%になる接触時間を選択して反応を行うことが望ましい。
(iv)混合ガス
熱分解反応により、フッ化メタン及び酸フルオリドを含む混合ガスが得られる。混合ガスには、目的物であるフッ化メタン(沸点−79℃)に加えて、同時に熱分解により生成する酸フルオリドを含んでおり、さらに、原料化合物及び副生成物、並びに不純物のいずれか少なくとも一種を含んでいてもよい。原料化合物によっても異なるが、副生成物としては、例えば、プロペン(沸点−47.7℃)、五フッ化プロペン(沸点−21.1℃)及びプロパン(沸点−1.4℃)等が挙げられる。
【0042】
2.
精製
前記熱分解反応で得られた、フッ化メタンと酸フルオリドを主成分とする混合ガスを精留することによりフッ化メタンを高純度で含む組成物を得ることができる。
【0043】
得られた生成物に含まれるフッ化メタンと酸フルオリドを分離する方法については特に限定的ではないが、例えば、熱分解反応後の生成ガスを冷却することによって、フッ化メタン(沸点−79℃)を主成分とする低沸点成分からなるガス成分と、酸フルオリドを主成分として、さらに未反応原料を含むことのある高沸点成分からなる液成分とに分離することができる。この場合、冷却温度については特に限定的ではないが、例えば、フッ化メタンが凝縮しない程度のできるだけ低い温度が好ましい。たとえば、密閉空間においてフッ化メタンの飽和蒸気圧に達しない圧力を維持できる温度に冷却すればよい。
【0044】
これにより、フッ化メタンを含む成分をガス成分として分離することができる。ガス成分には、不純物として、プロペン(沸点−47.7℃)、五フッ化プロペン(沸点−21.1℃)、プロパン(沸点−1.4℃)などが含まれることがあるが、フッ化メタンとは沸点差が大きいため、蒸留によってこれらの不純物を容易に分離できる。
【0045】
また、液成分として得られる酸フルオリドを主成分とする高沸点成分に未反応原料等が含まれる場合にも、蒸留操作によって、未反応原料等を容易に分離することができる。
【0046】
また、フッ化メタンを選択的に得る方法としては、熱分解反応後の生成物を水またはアルカリ水溶液等と接触させて酸フルオリドを水相中に溶解させて除去してもよい。これによって、フッ化メタンを選択的に得ることができる。
【0047】
上記において、水およびアルカリ水溶液の代わりに、アルコールを用いてもよい。アルコールは安価なものであればコスト面で好ましく、例えば、メタノール、エタノール及びプロパノールなどを使用できる。これらの中でも特にメタノールが好ましい。アルコールを接触させてエステルを生成させることにより、燃焼処理しやすくなる。
【0048】
また、混合ガスを直接精留操作に供することによりフッ化メタンを高純度で含む組成物を得ることもできる。これにより、分留操作や、水洗又はアルコールによる酸フルオリドの除去等を精製の前に予め行う必要がなく、簡便にフッ化メタンを酸フルオリドから分離できる。
【0049】
酸フルオリドは、例えば3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロパノイルフルオライドの沸点が32℃であるように、通常、沸点が室温以上であり、フッ化メタン(沸点−79℃)より相当沸点が高い。混合ガスにはフッ化メタンと酸フルオリドがモル比1:1で存在している。混合ガスをそのまま室温近辺の環境下に置くと、酸フルオリドが凝縮することが予想されるところ、本発明者らは、意外にも、これら二成分間に相互作用が生じ、混合ガスが全体として室温近辺でも(所定圧力条件下では)凝縮しないガスとしてふるまうという現象を見出した。本発明ではこの知見を利用して、この混合ガスをそのまま精留操作に供して、フッ化メタンを効率的に分離することができる。
【0050】
好ましくは、前記熱分解反応で得られた混合ガスを精留塔に供給する。この供給を、大気圧を超える圧力で行うことが好ましい。これにより、精留塔に混合ガスを送り込むことが容易になる。このときの圧力は、0.2MPa〜0.15MPaであればより好ましい。この範囲内の圧力であれば、混合ガスの凝縮を避けつつ、精留塔に効果的に混合ガスを供給することができる。
【0051】
精留は、特に限定されないが、通常、精留塔を二つ設け、最初の精留塔においてメタン、エチレン等の低沸点成分を塔頂部から抜き出し、残りのフッ化メタン及び酸フルオリドを含む成分を塔底部から得て、これをさらに二つ目の精留塔に供して、塔頂部からフッ化メタンを抜き出すことができる。この際、二つの精留塔の塔頂部から最終的に得られるフッ化メタンの純度は、99.999mol%以上である。
【0052】
2.
組成物
本発明の組成物は、本発明の製造方法により得られうる組成物であり、組成物総重量に対して99.999mol%以上のフッ化メタンを含む組成物である。
【0053】
上記において、各成分の組成物総重量に対する重量基準割合は、ガスクロマトグラフィー分析法(GC)により決定する。具体的には、次の通りである。
【0054】
通常の内部標準法を用いて定量分析を行い、濃度を決定する。低沸点化合物には、ジフルオロメタン(HFC−32)、高沸点化合物にはベンゼントリフルオライド)を内部標準物質として用い、内部標準物質及び被検試料の含有量(モル比)が既知の標準サンプルを数種類分析し、モル比対ピーク面積比の検量線を作成する。フッ化メタン含有量未知の試料に既知量の内部標準物質を添加しガスクロマトグラム上のピーク面積比を計測することにより、相対モル感度からフッ化メタンの含有量を算出する。
【実施例】
【0055】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
150℃に加熱した塩素を含まないγアルミナ触媒Aを充填した反応器に、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル(OIME)をガス状態で流入し熱分解させた。OIMEの転化率は84%であった。
【0056】
捕集した反応物の組成は、CH
3F 41.6mol%、HFO−1225zc(1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン)0.015%、HFC−236fa(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)0.022mol%、OIME 16.4mol%、酸フルオリド41.7mol%、及びHIME(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシプロパン)0.21mol%、並びに残りがその他成分であった。塩化メチルは検出されなかった。
[実施例2]
150℃に加熱した塩素を含まないγアルミナ触媒Bを充填した反応器に、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル(OIME)をガス状態で流入し熱分解させた。OIMEの転化率は92%であった。
【0057】
捕集した反応物の組成は、メタン0.002mol%、エチレン0.0036mol%、CH
3F 46.17mol%、プロピレン0.0092mol%、OIME 7.58mol%、酸フルオリド46.17mol%、及びその他0.0615mol%であった。塩化メチルは検出されなかった。
【0058】
これらを精留塔に移送し精製した。精留後、不純物は検出されず、CH
3F純度は99.999mol%以上と判定した。
【0059】
なお、本実施例及び本比較例において、各成分の組成物総量に対するモル濃度は、ガスクロマトグラフィー分析法(GC)により、次の通り決定したものである。
【0060】
通常の内部標準法を用いて定量分析を行い、濃度を決定した。低沸点化合物には、ジフルオロメタン(HFC−32)、高沸点化合物にはベンゼントリフルオライドを内部標準物質として用い、内部標準物質及び被検試料の含有量(モル比)が既知の標準サンプルを数種類分析し、モル比対ピーク面積比の検量線を作成した。フッ化メタン含有量未知の試料に既知量の内部標準物質を添加しガスクロマトグラム上のピーク面積比を計測することにより、相対モル感度からフッ化メタンの含有量を算出した。
[比較例]
実施例2と同じ反応条件で、1.4重量%の塩素を含むγアルミナ触媒Cを充填した反応器に、OIMEをガス状態で流入し熱分解させた。OIMEの転化率は91%であった。捕集した反応物の組成は、メタン0.001mol%、エチレン0.0002mol%、CH
3F 46.49mol%、プロピレン0.001mol%、塩化メチル0.004mol%、OIME 8.6mol%、酸フルオリド44.6mol%、及び残りはその他成分であった。
【0061】
精留後の純度は、99.9983%であり、不純物として、塩化メチル0.0013mol%、及びプロピレン0.0004mol%を含んでいた。