特許第6372437号(P6372437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6372437マルチチップ、電池保護装置及び電池パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372437
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】マルチチップ、電池保護装置及び電池パック
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20180806BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20180806BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20180806BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20180806BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   H02J7/00 S
   H01L27/04 T
   H02H7/18
   H01M10/48 P
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-150688(P2015-150688)
(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公開番号】特開2017-34792(P2017-34792A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2017年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】今泉 隆
(72)【発明者】
【氏名】梶 宏道
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−165532(JP,A)
【文献】 特表2009−529766(JP,A)
【文献】 特開2005−156479(JP,A)
【文献】 特開2011−172458(JP,A)
【文献】 特開平10−201092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R31/36
H01L21/82−21/822
27/04
H01M10/42−10/48
H02H7/00
7/10−7/20
H02J7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の過充電、過放電又は過電流を検出して保護動作を行う保護ICと、前記二次電池の電池状態を監視する監視ICとを一つのパッケージ内に備えるマルチチップであって、
前記保護ICと前記監視ICとは、前記マルチチップに平面視で重ならずに配置され、
前記パッケージは、第1の側縁と、前記第1の側縁に対向する第2の側縁とを有し、
前記監視IC用のレギュレータ出力端子と、前記保護ICと前記監視ICとに共通のグランド端子と、前記保護ICと前記監視ICとに共通の電源端子と、前記保護IC用の電流検出端子とが前記第1の側縁側に外部接続端子として配置され、
前記監視IC用の通信端子と、前記保護IC用の放電制御端子と、前記保護IC用の充電制御端子と、前記保護IC用の過電流検出端子とが前記第2の側縁側に外部接続端子として配置され、
前記保護ICは、
前記電源端子と前記グランド端子との間の電圧、又は前記電流検出端子と前記グランド端子との間の電圧に基づいて、前記二次電池の充電を禁止する充電制御信号を前記充電制御端子から出力する充電制御回路と、
前記電源端子と前記グランド端子との間の電圧、前記電流検出端子と前記グランド端子との間の電圧、又は前記過電流検出端子と前記グランド端子との間の電圧に基づいて、前記二次電池の放電を禁止する放電制御信号を前記放電制御端子から出力する放電制御回路とを有するものであり、
前記監視ICは、
前記二次電池の電圧又は前記監視ICの温度を測定する測定回路と、
前記測定回路で測定された結果を前記通信端子を介して外部に送信する通信回路と、
前記レギュレータ出力端子に電圧を出力するレギュレータとを有するものであり、
前記監視ICの内部回路の複数のノードの接続先を前記電流検出端子に選択的に切り替える選択回路を備えることを特徴とする、マルチチップ。
【請求項2】
前記監視ICは、前記電流検出端子に第1のボンディングワイヤを介して接続される第1のパッドを有し、
前記保護ICは、前記電流検出端子に第2のボンディングワイヤを介して接続される第2のパッドを有し、
前記選択回路は、前記複数のノードの接続先を前記第1のパッドに選択的に切り替える、請求項1に記載のマルチチップ。
【請求項3】
前記監視ICは、前記電流検出端子に第1のボンディングワイヤを介して接続される第1のパッドと、前記電流検出端子に第2のボンディングワイヤを介して接続される第2のパッドと、前記第2のパッドに所定の回路を介して接続される第3のパッドとを有し、
前記保護ICは、前記第3のパッドに第3のボンディングワイヤを介して接続される第4のパッドを有し、
前記選択回路は、前記複数のノードの接続先を前記第1のパッドに選択的に切り替える、請求項1に記載のマルチチップ。
【請求項4】
前記監視ICは、前記電流検出端子に第1のボンディングワイヤを介して接続される第1のパッドを有し、
前記選択回路は、第1の切り替え部と、第2の切り替え部とを有し、
前記第1の切り替え部は、前記複数のノードの接続先を前記第2の切り替え部に選択的に切り替え、
前記第2の切り替え部は、前記第1の切り替え部と前記保護ICの接続先を前記第1のパッドに選択的に切り替える、請求項1に記載のマルチチップ。
【請求項5】
二次電池の過充電、過放電又は過電流を検出して保護動作を行う保護ICと、前記二次電池の電池状態を監視する監視ICとを一つのパッケージ内に備えるマルチチップであって、
前記保護ICと前記監視ICとは、前記マルチチップに平面視で重ならずに配置され、
前記パッケージは、第1の側縁と、前記第1の側縁に対向する第2の側縁とを有し、
前記監視IC用のレギュレータ出力端子と、前記保護ICと前記監視ICとに共通のグランド端子と、前記保護ICと前記監視ICとに共通の電源端子と、前記保護IC用の電流検出端子とが前記第1の側縁側に外部接続端子として配置され、
前記監視IC用の通信端子と、前記保護IC用の放電制御端子と、前記保護IC用の充電制御端子と、前記保護IC用の過電流検出端子とが前記第2の側縁側に外部接続端子として配置され、
前記保護ICは、
前記電源端子と前記グランド端子との間の電圧、又は前記電流検出端子と前記グランド端子との間の電圧に基づいて、前記二次電池の充電を禁止する充電制御信号を前記充電制御端子から出力する充電制御回路と、
前記電源端子と前記グランド端子との間の電圧、前記電流検出端子と前記グランド端子との間の電圧、又は前記過電流検出端子と前記グランド端子との間の電圧に基づいて、前記二次電池の放電を禁止する放電制御信号を前記放電制御端子から出力する放電制御回路とを有するものであり、
前記監視ICは、
前記二次電池の電圧又は前記監視ICの温度を測定する測定回路と、
前記測定回路で測定された結果を前記通信端子を介して外部に送信する通信回路と、
前記レギュレータ出力端子に電圧を出力するレギュレータとを有するものであり、
前記監視ICの内部回路の複数のノードの接続先を前記過電流検出端子に選択的に切り替える選択回路を備えることを特徴とする、マルチチップ。
【請求項6】
前記ノードは、信号を出力する出力ノードである、請求項1から5のいずれか一項に記載のマルチチップ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のマルチチップと、スイッチ回路とを備え、
前記スイッチ回路は、前記充電制御信号に従って前記二次電池の充電を禁止する充電制御トランジスタと、前記放電制御信号に従って前記二次電池の放電を禁止する放電制御トランジスタとを有する、電池保護装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電池保護装置と、前記二次電池とを備える、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチップ、電池保護装置及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池の充電又は放電を禁止する保護動作を行う保護ICと、前記二次電池の電池状態を監視する監視ICとを備える保護監視回路が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2011−172458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保護ICと監視ICとが一つのパッケージ内にパッケージされたマルチチップでは、パッケージ外部とパッケージ内部とを接続するための外部接続端子を設ける必要がある。例えば、保護ICは、外部接続端子として設けられた検出端子を介して、パッケージ外部の状態(例えば、二次電池に流れる電流)を検出できる。また、監視ICの内部ノードとパッケージ外部とを接続するための外部接続端子を設けることによって、検査等のために当該内部ノードにパッケージ外部からアクセスすることが可能になる。
【0005】
しかしながら、パッケージ外部から監視ICの内部ノードにアクセスするための専用の外部接続端子を設けると、外部接続端子の総数が増えてしまう。
【0006】
そこで、パッケージ外部から監視ICの内部ノードにアクセス可能な外部接続端子を設けても、外部接続端子の総数を抑制できる、マルチチップ、電池保護装置及び電池パックの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの案では、
二次電池の過充電、過放電又は過電流を検出して保護動作を行う保護ICと、前記二次電池の電池状態を監視する監視ICとを一つのパッケージ内に備えるマルチチップであって、
前記保護ICと前記監視ICとは、前記マルチチップに平面視で重ならずに配置され、
前記パッケージは、第1の側縁と、前記第1の側縁に対向する第2の側縁とを有し、
前記監視IC用のレギュレータ出力端子と、前記保護ICと前記監視ICとに共通のグランド端子と、前記保護ICと前記監視ICとに共通の電源端子と、前記保護IC用の電流検出端子とが前記第1の側縁側に外部接続端子として配置され、
前記監視IC用の通信端子と、前記保護IC用の放電制御端子と、前記保護IC用の充電制御端子と、前記保護IC用の過電流検出端子とが前記第2の側縁側に外部接続端子として配置され、
前記保護ICは、
前記電源端子と前記グランド端子との間の電圧、又は前記電流検出端子と前記グランド端子との間の電圧に基づいて、前記二次電池の充電を禁止する充電制御信号を前記充電制御端子から出力する充電制御回路と、
前記電源端子と前記グランド端子との間の電圧、前記電流検出端子と前記グランド端子との間の電圧、又は前記過電流検出端子と前記グランド端子との間の電圧に基づいて、前記二次電池の放電を禁止する放電制御信号を前記放電制御端子から出力する放電制御回路とを有するものであり、
前記監視ICは、
前記二次電池の電圧又は前記監視ICの温度を測定する測定回路と、
前記測定回路で測定された結果を前記通信端子を介して外部に送信する通信回路と、
前記レギュレータ出力端子に電圧を出力するレギュレータとを有するものであり、
前記監視ICの内部回路の複数のノードの接続先を前記電流検出端子に選択的に切り替える選択回路を備えることを特徴とする、マルチチップが提供される。
【発明の効果】
【0008】
一態様によれば、パッケージ外部から監視ICの内部ノードにアクセス可能な外部接続端子を設けても、外部接続端子の総数を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】マルチチップを備える電池パックの構成の一例を示す図である。
図2】マルチチップの構成の一例を示す図である。
図3】シーケンサの動作の一例を示すフローチャートである。
図4】マルチチップの端子配置の一例を平面視で示す図である。
図5】マルチチップの構成の一例を示す図である。
図6】監視IC内のアナログ回路のトリミング動作の一例を説明するための図である。
図7】マルチチップのワイヤボンディング構成の一例を示す図である。
図8】マルチチップの構成の一例を示す図である。
図9】マルチチップのワイヤボンディング構成の一例を示す図である。
図10】マルチチップの構成の一例を示す図である。
図11】マルチチップのワイヤボンディング構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0011】
図1は、マルチチップ140を備える電池パック100の構成の一例を示す図である。電池パック100は、プラス端子5とマイナス端子6に接続される電子機器130に電力を供給可能な二次電池200と、二次電池200を保護する電池保護装置110とを内蔵して備える。電池パック100は、電子機器130に内蔵されてもよいし、外付けされてもよい。
【0012】
電子機器130は、電池パック100の二次電池200を電源とする負荷の一例である。電子機器130の具体例として、携帯可能な携帯端末装置などが挙げられる。携帯端末装置の具体例として、携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ゲーム機、テレビ、音楽や映像のプレーヤー、カメラなどの電子機器が挙げられる。
【0013】
二次電池200の具体例として、リチウムイオン電池やリチウムポリマ電池などが挙げられる。
【0014】
電池保護装置110は、二次電池200を電源として動作し、二次電池200の充放電を制御することによって二次電池200を過電流等から保護する電池用装置の一例である。電池保護装置110は、正極接続端子3と、負極接続端子4と、プラス端子5と、マイナス端子6と、通信端子15と、抵抗1と、キャパシタ2と、キャパシタ14と、抵抗9と、センス抵抗10と、スイッチ回路13と、マルチチップ140とを備える。
【0015】
正極接続端子3は、二次電池200の正極201に接続される端子であり、負極接続端子4は、二次電池200の負極202に接続される端子である。プラス端子5は、電子機器130の機器プラス端子131に接続される端子の一例であり、機器プラス端子131を介して、電子機器130の機器電源経路137に接続される。マイナス端子6は、電子機器130の機器マイナス端子133に接続される端子の一例であり、機器マイナス端子133を介して、電子機器130の機器グランド138に接続される。通信端子15は、電子機器130の機器通信端子132に接続される端子の一例であり、機器通信端子132を介して、電子機器130の制御部134に接続される。
【0016】
電子機器130は、機器電源経路137に接続される充電プラス端子135と、機器グランド138に接続される充電マイナス端子136とを有する。二次電池200を充電可能な充電器180は、充電プラス端子135と充電マイナス端子136に接続される。
【0017】
正極接続端子3とプラス端子5とは、プラス側電源経路8によって接続され、負極接続端子4とマイナス端子6とは、マイナス側電源経路7によって接続される。プラス側電源経路8は、正極接続端子3とプラス端子5との間の充放電経路の一例であり、マイナス側電源経路7は、負極接続端子4とマイナス端子6との間の充放電経路の一例である。
【0018】
スイッチ回路13は、第1のマイナス側接続点7aと第2のマイナス側接続点7bとの間のマイナス側電源経路7に直列に挿入される。スイッチ回路13は、例えば、充電制御トランジスタ11と放電制御トランジスタ12とが直列に接続された直列回路である。充電制御トランジスタ11のオフにより、二次電池200の充電電流が流れるマイナス側電源経路7が遮断され、二次電池200の充電電流の流れが禁止される。放電制御トランジスタ12のオフにより、二次電池200の放電電流が流れるマイナス側電源経路7が遮断され、二次電池200の放電電流の流れが禁止される。
【0019】
充電制御トランジスタ11と放電制御トランジスタ12は、それぞれ、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。充電制御トランジスタ11は、充電制御トランジスタ11の寄生ダイオードの順方向を二次電池200の放電方向に一致させてマイナス側電源経路7に挿入される。放電制御トランジスタ12は、放電制御トランジスタ12の寄生ダイオードの順方向を二次電池200の充電方向に一致させてマイナス側電源経路7に挿入される。
【0020】
スイッチ回路13がマイナス側電源経路7に直列に挿入されることにより、スイッチ回路13がプラス側電源経路8に直列に挿入される形態に比べて、スイッチ回路13の放電制御トランジスタ12及び充電制御トランジスタ11の小型化ができる。
【0021】
マルチチップ140は、二次電池200の充放電を制御することによって二次電池200を過電流等から保護する電池用回路の一例である。マルチチップ140は、電源端子93と、グランド端子92と、レギュレータ出力端子91と、電流検出端子94と、放電制御出力端子97と、充電制御出力端子96と、過電流検出端子95、通信端子98とを備える。
【0022】
電源端子93は、保護IC120と監視IC150とに共通の電源端子の一例であり、保護IC120と監視IC150とに共通の電源電位部である。電源端子93は、プラス側接続点8a及び正極接続端子3を介して二次電池200の正極201に接続される正極側電源端子であり、VDD端子と呼ばれることがある。電源端子93は、例えば、プラス側電源経路8に一端が接続される抵抗1の他端と、マイナス側電源経路7に一端が接続されるキャパシタ2の他端との接続点に接続される。キャパシタ2の一端は、負極接続端子4とセンス抵抗10との間のマイナス側電源経路7に第1のマイナス側接続点7aで接続される。
【0023】
グランド端子92は、保護IC120と監視IC150とに共通のグランド端子の一例であり、保護IC120と監視IC150とに共通のグランド電位部である。グランド端子92は、第1のマイナス側接続点7a及び負極接続端子4を介して二次電池200の負極202に接続される負極側電源端子であり、VSS端子と呼ばれることがある。グランド端子92は、マイナス側電源経路7に第1のマイナス側接続点7aで接続され、放電制御トランジスタ12のソースにセンス抵抗10を介して接続される。
【0024】
レギュレータ出力端子91は、監視IC150が使用するレギュレータ出力端子の一例である。レギュレータ出力端子91は、監視IC150に搭載されたレギュレータ158(図2参照)の出力電圧が出力される端子であり、VREG端子と呼ばれることがある。レギュレータ出力端子91は、キャパシタ14の一端が接続され、キャパシタ14の他端がグランド端子92に接続される。キャパシタ14は、レギュレータ158の出力電圧を安定させるための素子である。レギュレータ出力
【0025】
放電制御出力端子97は、保護IC120が使用する放電制御出力端子の一例である。放電制御出力端子97は、二次電池200の放電の許否を制御する放電制御信号を出力する端子であり、DOUT端子と呼ばれることがある。放電制御出力端子97は、放電制御トランジスタ12の制御電極(例えば、MOSFETの場合、ゲート)に接続される。
【0026】
充電制御出力端子96は、保護IC120が使用する充電制御出力端子の一例である。充電制御出力端子96は、二次電池200の充電の許否を制御する充電制御信号を出力する端子であり、COUT端子と呼ばれることがある。充電制御出力端子96は、充電制御トランジスタ11の制御電極(例えばMOSFETの場合、ゲート)に接続される。
【0027】
過電流検出端子95は、保護IC120が使用する過電流検出端子の一例である。過電流検出端子95は、電子機器130の機器グランド139に接続されるマイナス端子6に接続される端子であり、V−端子と呼ばれることがある。過電流検出端子95は、マイナス端子6と充電制御トランジスタ11との間のマイナス側電源経路7に抵抗9を介して第2のマイナス側接続点7bで接続される。過電流検出端子95は、抵抗9を介して、充電制御トランジスタ11のソースに接続される。
【0028】
電流検出端子94は、保護IC120が使用する電流検出端子の一例である。電流検出端子94は、センス抵抗10に対して第1のマイナス側接続点7aとは反対側の第3のマイナス側接続点7cでマイナス側電源経路7に接続される端子であり、CS端子と呼ばれることがある。センス抵抗10は、マイナス側電源経路7に直列に挿入される電流検出抵抗である。センス抵抗10の一端は、第1のマイナス側接続点7aを介して二次電池200の負極202及びグランド端子92に接続され、センス抵抗10の他端は、第3のマイナス側接続点7cを介してトランジスタ12のソース及び電流検出端子94に接続される。
【0029】
通信端子98は、監視IC150が使用する通信端子の一例である。通信端子98は、監視IC150に搭載された通信回路162(図2参照)に接続される端子であり、IF端子と呼ばれることがある。通信端子98は、通信端子15に接続される。
【0030】
マルチチップ140は、保護IC120と、監視IC150と、メモリIC170とを備える。
【0031】
保護IC120は、二次電池200を電源として動作し、二次電池200の負極202に接続されるマイナス側電源経路7に直列に挿入されるスイッチ回路13をオフさせることによって二次電池200を過電流等から保護する保護ICの一例である。保護IC120は、二次電池200の充放電をスイッチ回路13により制御することによって二次電池200を過電流等から保護するICチップである。保護IC120は、二次電池200から給電されて二次電池200を保護する。保護IC120は、スイッチ回路13をオフさせることによって二次電池200の充電又は放電を禁止する保護動作を行う。
【0032】
図2は、マルチチップ140の構成の一例を示す図である。保護IC120は、異常検出回路21と、保護制御回路22とを備える。異常検出回路21は、二次電池200の電流又は電圧の異常を検出する手段の一例である。保護制御回路22は、異常検出回路21による異常検出結果に基づいて、スイッチ回路13のスイッチ動作を制御する制御信号を出力することによって、トランジスタ11,12のオン及びオフを制御する。
【0033】
保護制御回路22は、例えば、トランジスタ11を制御することで二次電池200を過充電から保護する動作(過充電保護動作)を行う充電制御回路23を有する。例えば、異常検出回路21は、電源端子93とグランド端子92との間の電圧を検出することによって、二次電池200の電池電圧(セル電圧)を監視する。異常検出回路21は、所定の過充電検出電圧Vdet1以上のセル電圧を検知することにより、二次電池200の過充電が検出されたことを表す過充電検出信号を出力する。
【0034】
過充電検出信号を検知した保護制御回路22の充電制御回路23は、所定の過充電検出遅延時間tVdet1の経過を待って、トランジスタ11をオフさせるローレベルの充電制御信号COUTを充電制御出力端子96から出力する過充電保護動作を実行する。トランジスタ11がオフされることにより、トランジスタ12のオン状態及びオフ状態にかかわらず、二次電池200の充電が禁止され、二次電池200が過充電されることを防止することができる。
【0035】
保護制御回路22は、例えば、トランジスタ12を制御することで二次電池200を過放電から保護する動作(過放電保護動作)を行う放電制御回路24を有する。例えば、異常検出回路21は、電源端子93とグランド端子92との間の電圧を検出することによって、二次電池200の電池電圧(セル電圧)を監視する。異常検出回路21は、所定の過放電検出電圧Vdet2以下のセル電圧を検知することにより、二次電池200の過放電が検出されたことを表す過放電検出信号を出力する。
【0036】
過放電検出信号を検知した保護制御回路22の放電制御回路24は、所定の過放電検出遅延時間tVdet2の経過を待って、トランジスタ12をオフさせるローレベルの放電制御信号DOUTを放電制御出力端子97から出力する過放電保護動作を実行する。トランジスタ12がオフされることにより、トランジスタ11のオン状態及びオフ状態にかかわらず、二次電池200の放電が禁止され、二次電池200が過放電されることを防止することができる。
【0037】
保護制御回路22は、例えば、トランジスタ12を制御することで二次電池200を放電過電流から保護する動作(放電過電流保護動作)を行う放電制御回路24を有する。例えば、異常検出回路21は、センス抵抗10に流れる電流によって電流検出端子96とグランド端子92との間に発生するセンス電圧を検出する。異常検出回路21は、所定の放電過電流検出電圧Vdet3以上のセンス電圧を検知することにより、マイナス側電源経路7に二次電池200の放電方向に流れる異常電流である放電過電流が検出されたことを表す放電過電流検出信号を出力する。
【0038】
放電過電流検出信号を検知した保護制御回路22の放電制御回路24は、所定の放電過電流検出遅延時間tVdet3の経過を待って、トランジスタ12をオフさせるローレベルの放電制御信号DOUTを放電制御出力端子97から出力する放電過電流保護動作を実行する。トランジスタ12がオフされることにより、トランジスタ11のオン状態及びオフ状態にかかわらず、二次電池200の放電が禁止され、二次電池200を放電する方向に過電流が流れることを防止することができる。
【0039】
保護制御回路22は、例えば、トランジスタ11を制御することで二次電池200を充電過電流から保護する動作(充電過電流保護動作)を行う充電制御回路23を有する。例えば、異常検出回路21は、センス抵抗10に流れる電流によって電流検出端子96とグランド端子92との間に発生するセンス電圧を検出する。異常検出回路21は、所定の充電過電流検出電圧Vdet4以下のセンス電圧を検知することにより、マイナス側電源経路7に二次電池200の充電方向に流れる異常電流である充電過電流が検出されたことを表す充電過電流検出信号を出力する。
【0040】
充電過電流検出信号を検知した保護制御回路22の充電制御回路23は、所定の充電過電流検出遅延時間tVdet4の経過を待って、トランジスタ11をオフさせるローレベルの充電制御信号COUTを充電制御出力端子96から出力する充電過電流保護動作を実行する。トランジスタ11がオフされることにより、トランジスタ12のオン状態及びオフ状態にかかわらず、二次電池200の充電が禁止され、二次電池200を充電する方向に過電流が流れることを防止することができる。
【0041】
保護制御回路22は、例えば、トランジスタ12を制御することで二次電池200を短絡電流から保護する動作(短絡保護動作)を行う放電制御回路24を有する。例えば、異常検出回路21は、過電流検出端子95とグランド端子92との間の電圧を検出することによって、マイナス端子6と負極接続端子4との間の電圧P−を監視する。異常検出回路21は、所定の短絡検出電圧Vshort以上の電圧P−を検知することにより、プラス端子5とマイナス端子6との間の短絡異常(短絡過電流)が検出されたことを表す短絡検出信号を出力する。
【0042】
短絡検出信号を検知した保護制御回路22の放電制御回路24は、トランジスタ12をオフさせるローレベルの放電制御信号DOUTを放電制御出力端子97から出力する短絡保護動作を実行する。トランジスタ12がオフされることにより、トランジスタ11のオン状態及びオフ状態にかかわらず、二次電池200の放電が禁止され、二次電池200を放電する方向に短絡電流が流れることを防止することができる。
【0043】
監視IC150は、二次電池200を電源として動作し、二次電池200の電池状態を監視する監視ICの一例である。監視IC150は、例えば、二次電池200の電圧と電流と温度と残容量の少なくとも一つの電池状態を検出するICチップである。
【0044】
監視IC150は、測定回路167と、通信回路162とを有する。測定回路167は、マルチプレクサ152と、ADコンバータ(ADC:Analog to Digital Converter)153と、デジタルフィルタ154とを有する。測定回路167は、温度センサ151を有してもよい。温度センサ151は、監視IC150の内部温度を測定する。
【0045】
測定回路167は、二次電池200の電池電圧(セル電圧)を測定する回路の一例である。測定回路167は、例えば、電源端子93とグランド端子92との間の電源電圧を検出することによって、二次電池200の電池電圧を測定する。グランド端子92が負極202とスイッチ回路13との間でマイナス側電源経路7に接続されることによって、スイッチ回路13の寄生抵抗値による電圧降下分を、測定回路167によって測定される電池電圧に含ませないことができる。特に、グランド端子92が負極202とセンス抵抗10との間でマイナス側電源経路7に接続されることによって、センス抵抗10の抵抗値による電圧降下分も、測定回路167によって測定される電池電圧に含ませないことができる。
【0046】
通信回路162は、測定回路167で測定された結果を通信端子98を介してマルチチップ140の外部に送信する通信回路の一例である。通信端子98は、外部通信端子15に接続され、外部通信端子15は、電子機器130に接続される。したがって、通信回路162は、測定回路167によって測定された結果を、電子機器130に送信できる。通信回路162は、保護IC120を経由して、電子機器130に送信してもよい。
【0047】
監視IC150は、温度センサ151と、マルチプレクサ152と、ADコンバータ(ADC)153と、デジタルフィルタ154と、シーケンサ155と、パワーオンリセット回路156と、発振器157と、レギュレータ158と、OTP159と、EEPROM160と、レジスタ161と、通信回路162とを有する。
【0048】
マルチプレクサ152は、温度センサ151からのセンサ電圧と、電源端子93からの電源電圧とを、シーケンサ155により選択的に切り替えてADコンバータ153に出力する選択回路である。温度センサ151は、監視IC150の内部温度を測定し、内部温度の測定値に対応するセンサ電圧を出力する。シーケンサ155は、外部機器の指示を必要とせずに、電源端子93からの電源電圧のAD変換と、温度センサ151からのセンサ電圧のAD変換とをADコンバータ153により定期的に繰り返して実行する。ADコンバータ153によって測定された電源電圧及びセンサ電圧は、デジタルフィルタ154によるフィルタ処理が施されて、シーケンサ155に入力される。
【0049】
シーケンサ155は、ADコンバータ153によって測定された電源電圧(デジタルフィルタ154によるフィルタ処理後の電源電圧)から、二次電池200の電池電圧を演算し、その電池電圧の演算値をレジスタ161に格納する。また、シーケンサ155は、ADコンバータ153によって測定されたセンサ電圧(デジタルフィルタ154によるフィルタ処理後のセンサ電圧)から、監視IC150の内部温度を演算し、その内部温度の演算値をレジスタ161に格納する。
【0050】
シーケンサ155は、監視IC150の内部温度の演算値に応じて二次電池200の電池電圧の演算値を補正し、その補正後の電池電圧の演算値をレジスタ161に格納してもよい。通信回路162は、その補正後の電池電圧の演算値が所定の異常値を示した場合、ホスト機器である電子機器130の制御部134に通信端子98を介して異常を知らせるインターフェースである。
【0051】
図3は、シーケンサ155の動作の一例を示すフローチャートである。シーケンサ155は、パワーオンリセット回路156によるリセット解除によって、動作を開始する。シーケンサ155は、ADコンバータ153の入力を、電圧入力から温度入力に切り替える(ステップS10)。ADコンバータ153は、監視IC150の温度値に応じたセンサ電圧を測定し(ステップS20)、シーケンサ155は、センサ電圧の測定値から監視IC150の温度値を演算する(ステップS30)。次に、シーケンサ155は、ADコンバータ153の入力を、温度入力から電圧入力に切り替える(ステップS40)。ADコンバータ153は、電源電圧を測定し(ステップS50)、シーケンサ155は、電源電圧の測定値から二次電池200の電池電圧(セル電圧)を演算する(ステップS60)。
【0052】
図4は、マルチチップ140の端子配置の一例を平面視で示す図である。マルチチップ140は、平面視で矩形状のパッケージ145と、複数の外部接続端子91〜98とを備える。パッケージ145は、保護IC120、監視IC150及びメモリIC170を覆う被覆部材の一例である。複数の外部接続端子91〜98は、端子配置面146に露出して配置される。
【0053】
端子配置面146は、マルチチップ140が実装される配線基板の実装面に面する。また、パッケージ145は、第1の側縁141と、第1の側縁141に対向する第2の側縁142と、第3の側縁143と、第3の側縁143に対向する第4の側縁144とを有する。
【0054】
マルチチップ140は、端子配置面146の第1の側縁141側に端子91〜94がこの順で並んで配置され、端子配置面146の第2の側縁142側に端子95〜98がこの順で並んで配置された構成を有する。
【0055】
端子91〜94は、パッケージ145の第1の側縁141側の側面又は底面から延びるリード線でもよく、端子95〜98は、パッケージ145の第2の側縁142側の側面又は底面から延びるリード線でもよい。
【0056】
図5は、マルチチップ140Aの構成の一例を示す図である。マルチチップ140Aは、上述のマルチチップ140の一例である。監視IC150は、複数のアナログ回路1〜nと、選択回路163とを有する。アナログ回路1〜nの具体例として、発振器157、温度センサ151、ADコンバータ153などが挙げられる。
【0057】
選択回路163は、アナログ回路1〜nの複数のノードの接続先をシーケンサ155の指令に従って電流検出端子94に選択的に切り替える選択回路の一例である。アナログ回路1〜nは、監視IC150の内部回路の例である。各アナログ回路1〜nのノードの具体例として、発振器157の発振信号を出力する発振出力ノード、温度センサ151のセンサ電圧信号を出力するセンサ出力ノード、ADコンバータ153のデジタル出力信号を出力する出力ノードなどが挙げられる。
【0058】
選択回路163が設けられることにより、テストモード時に、任意のアナログ回路からの信号を電流検出端子94から出力することができる。一方、通常モード時、保護IC120は、電流検出端子94を介して過電流を検出できる。したがって、パッケージ外部から監視IC150の内部ノードにアクセス可能な外部接続端子(この場合、電流検出端子94)を設けても、外部接続端子の総数を抑制できる。
【0059】
監視IC150は、電流検出端子94に第1のボンディングワイヤ404を介して接続される第1のパッド304を有し、保護IC120は、電流検出端子94に第2のボンディングワイヤ405を介して接続される第2のパッド124を有する。選択回路163は、アナログ回路1〜nの複数のノードの接続先を第1のパッド304に選択的に切り替える。
【0060】
監視IC150は、保護IC120から監視IC150に入力される放電制御信号DOUTを無効化するマスク回路164を有する。保護IC120は、テストモード時に監視IC150のアナログ回路から電流検出端子94に出力される信号を誤検出して、ローレベルの放電制御信号DOUTを出力してしまうおそれがある。マスク回路164は、保護IC120から監視IC150に入力されるローレベルの放電制御信号DOUTに従って監視IC150のシーケンサ155が誤動作することを防止する。
【0061】
図6は、監視IC150内のアナログ回路のトリミング動作の一例を説明するための図である。
(1)外部検査装置190は、命令端子191から命令を送信し、補正対象のアナログ回路の出力信号が電流検出端子94から出力されるようにレジスタ161を設定する。シーケンサ155は、レジスタ161の設定値に従って選択回路163の選択動作を制御し、補正対象のアナログ回路の出力信号を電流検出端子94から出力させる。
(2)外部検査装置190は、電流検出端子94から出力される補正対象のアナログ回路の出力信号をモニター端子192から取得し、補正対象のアナログ回路の出力信号の調整を実施するための補正値を算出する。
(3)外部検査装置190は、補正対象のアナログ回路の出力信号を調節するためのレジスタ161内の記憶素子に、(2)で算出された補正値を書き込み、補正対象のアナログ回路の出力信号の調整を実施する。
(4)外部検査装置190は、電流検出端子94から出力される補正対象のアナログ回路の出力信号をモニター端子192から取得し、補正対象のアナログ回路の出力信号の調整結果を確認する。
【0062】
図7は、マルチチップ140Aのワイヤボンディング構成の一例をパッケージ145を取り除いた状態で平面視で示す図である。保護IC120と監視IC150は、マルチチップ140Aの平面視で重ならずに配置されている。マルチチップ140Aは、監視IC150の上方にメモリIC170を備えてもよい。
【0063】
保護IC120は、6個のパッド122〜127を有し、監視IC150は、12個のパッド301〜312を有し、メモリIC170は、5個のパッド171〜175を有する。各パッドは、図示の通り、ボンディングワイヤ401〜415で接続される。
【0064】
メモリIC170のパッド173と監視IC150のパッド307は、シリアルクロックSCLが通るボンディングワイヤ409で接続され、メモリIC170のパッド175と監視IC150のパッド310は、シリアルデータSDAが通るボンディングワイヤ410で接続される。メモリIC170は、ライトプロテクト(WP)用のパッド172と、電源VCC用のパッド171と、グランドVSS用のパッド174とを有する。
【0065】
監視IC150は、電流検出端子94にボンディングワイヤ404を介して接続されるパッド304を有し、パッド304は、外部検査装置190が電流検出端子94を介して監視IC150の内部回路をモニターするためのモニターパッドMONである。監視IC150は、監視IC150の動作モードを設定するためのモード設定パッドMODE1,MODE2を有してもよい。
【0066】
図8は、マルチチップ140Bの構成の一例を示す図である。マルチチップ140Bは、上述のマルチチップ140の一例である。マルチチップ140Bの構成のうちマルチチップ140Aと同様の構成については、マルチチップ140Aについての上述の説明を援用する。
【0067】
選択回路163が設けられることにより、テストモード時に、任意のアナログ回路からの信号を電流検出端子94から出力することができる。一方、通常モード時、保護IC120は、電流検出端子94及びマスク回路165を介して入力されるセンス電圧に基づいて、過電流を検出できる。したがって、パッケージ外部から監視IC150の内部ノードにアクセス可能な外部接続端子(この場合、電流検出端子94)を設けても、外部接続端子の総数を抑制できる。
【0068】
監視IC150は、電流検出端子94に第1のボンディングワイヤ404を介して接続される第1のパッド304と、電流検出端子94に第2のボンディングワイヤ417を介して接続される第2のパッド313と、第2のパッド313に所定の回路を介して接続される第3のパッド314とを有する。所定の回路は、図8の場合、マスク回路165である。保護IC120は、第3のパッド314に第3のボンディングワイヤ418を介して接続される第4のパッド124を有する。選択回路163は、アナログ回路1〜nの複数のノードの接続先を第1のパッド304に選択的に切り替える。
【0069】
監視IC150は、電流検出端子94から保護IC120に入力される信号を無効化するマスク回路165を有する。保護IC120は、テストモード時に監視IC150のアナログ回路から電流検出端子94に出力される信号を誤検出して、ローレベルの放電制御信号DOUTを出力してしまうおそれがある。マスク回路165は、電流検出端子94から保護IC120に入力される信号を無効化することによって、保護IC120から監視IC150に入力されるローレベルの放電制御信号DOUTに従って監視IC150のシーケンサ155が誤動作することを防止する。
【0070】
このように、マスク回路165は、テストモード時、監視IC150のアナログ回路から電流検出端子94に出力される信号を保護IC120がセンス電圧と誤って検出することを防止できる。一方、通常モード時、保護IC120は、電流検出端子94に入力されるセンス電圧に基づいて、過電流を検出できる。
【0071】
図9は、マルチチップ140Bのワイヤボンディング構成の一例をパッケージ145を取り除いた状態で平面視で示す図である。保護IC120は、6個のパッド122〜127を有し、監視IC150は、13個のパッド301〜313を有し、メモリIC170は、5個のパッド171〜175を有する。各パッドは、図示の通り、ボンディングワイヤ401〜418で接続される。
【0072】
監視IC150のテストモニタパッド304と電流検出パッド313とが、電流検出端子94に接続されている。また、監視IC150のパッド314と保護IC120のパッド124とが接続されている。パッド314は、電流検出端子94から電流検出パッド313に入力された信号を保護IC120の電流検出パッド124に対して出力するパッドCS_OUTである。
【0073】
図10は、マルチチップ140Cの構成の一例を示す図である。マルチチップ140Cは、上述のマルチチップ140の一例である。マルチチップ140Cの構成のうちマルチチップ140A,140Bと同様の構成については、マルチチップ140A,140Bについての上述の説明を援用する。
【0074】
監視IC150は、電流検出端子94に第1のボンディングワイヤ404を介して接続される第1のパッド304を有する。選択回路163は、アナログ回路1〜nの複数のノードの接続先をシーケンサ155の指令に従って選択回路166に選択的に切り替える第1の切り替え部の一例である。選択回路166は、選択回路163の接続先と保護IC120のパッド124の接続先とをシーケンサ155の指令に従って第1のパッド304に選択的に切り替える第2の切り替え部の一例である。
【0075】
選択回路163,166が設けられることにより、テストモード時に、任意のアナログ回路からの信号を電流検出端子94から出力することができる。一方、通常モード時、保護IC120は、電流検出端子94及び選択回路166を介して入力されるセンス電圧に基づいて、過電流を検出できる。したがって、パッケージ外部から監視IC150の内部ノードにアクセス可能な外部接続端子(この場合、電流検出端子94)を設けても、外部接続端子の総数を抑制できる。
【0076】
図11は、マルチチップ140Cのワイヤボンディング構成の一例をパッケージ145を取り除いた状態で平面視で示す図である。保護IC120は、6個のパッド122〜127を有し、監視IC150は、12個のパッド301〜312を有し、メモリIC170は、5個のパッド171〜175を有する。各パッドは、図示の通り、ボンディングワイヤ401〜418で接続される。
【0077】
電流検出端子94は、監視IC150のテストモニタパッド304に接続される。モニタ出力パッド314は、保護IC120の電流検出パッド124に接続される。
【0078】
以上、マルチチップ、電池保護装置及び電池パックを実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0079】
例えば、パッケージ外部から監視IC150の内部ノードにアクセス可能な外部接続端子は、上述の実施形態のように電流検出端子94に限られず、過電流検出端子95でもよい。例えば図5において、選択回路163は、アナログ回路1〜nの複数のノードの接続先をシーケンサ155の指令に従って過電流検出端子95に選択的に切り替えるものでもよい。
【符号の説明】
【0080】
15 通信端子
91 レギュレータ出力端子
98 通信端子
100 電池パック
110 電池保護装置
130 電子機器
140 マルチチップ
145 パッケージ
167 測定回路
180 充電器
200 二次電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11