(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の蓋付装置を具体的に説明する。
なお、上記の課題を解決するための手段の欄に記載した本発明の蓋付装置における「リンク要素」については、以下のように言い換える事ができる。
前記リンク要素は、
前記蓋体の前記開位置から前記閉位置への位置変化に伴って、前記第2係合体を前記解除位置から前記ロック位置へ位置変化させ、
前記蓋体の前記閉位置から前記開位置への位置変化に伴って、前記第2係合体を前記ロック位置から前記解除位置に位置変化させる。
【0012】
(実施例)
実施例の蓋付装置は、本発明の蓋付装置を車両に搭載するコンソールボックスの一部として具現化した例である。
【0013】
実施例の蓋付装置を模式的に表す斜視図を
図1および
図2に示す。なお、
図1は蓋体が開位置にあるときの蓋付装置を表し、
図2は蓋体が閉位置にあるときの蓋付装置を表す。
また、実施例の蓋付装置における蓋体、第2係合体およびリンク要素の動作を模式的に表す説明図を
図3〜
図6に示す。このうち
図3は蓋体が閉位置にあるときの蓋付装置を表し、
図4および
図5は蓋体が閉位置と開位置との間にあるときの蓋付装置を表し、
図6は蓋体が開位置にあるときの蓋付装置を表す。
さらに、実施例の蓋付装置における第1係合体の動作を模式的に表す説明図を
図7および
図8に示す。このうち
図7は第1係合体が係合位置にある様子を表し、
図8は第1係合体が非係合位置にある様子を表す。
以下、上、下、左、右、前、後とは、
図1に示す上、下、左、右、前、後を指す。上下方向は鉛直方向に一致し、左右方向は車幅方向に一致する。前後方向は車両進行方向における前後方向に一致する。以下、必要に応じて、「車両進行方向の先側」を単に前と呼び、「車室内側」、つまり、「車両進行方向の後側」を、単に後と呼ぶ場合がある。
【0014】
図1および
図2に示すように、実施例の蓋付装置は、ベース1と、蓋体3と、ロック要素5とを有する。ベース1は、コンソールボックスのケース100に取付けられ、後述するベース1の蓋対向面1fはケース100の上面に露出する。ケース100の開口つまりコンソールボックスの開口101はベース1の下側に露出し、この開口101は蓋体3によって開閉される。なお、実施例の蓋付装置におけるベース1は、コンソールボックスのケース100に取付けられる一部材であるが、ベース1がコンソールボックスのケース100自体を構成しても良い。つまり、本発明の蓋付装置は何らかの装置の一部を構成しても良いし、装置全体を構成しても良い。
【0015】
ベース1は、断面略L字の柱状をなす2つの柱状基部10で構成されている。
図1に示すように、各柱状基部10は、前後方向に離間しかつ長手方向を左右に向けている。各柱状基部10は、上側つまり蓋体3側に位置する頂部11と、頂部11に連続するとともに頂部11の端縁から下方に屈曲する側部12と、を有する。
各頂部11は、蓋体3を支持するベース側支持部19を一体に有する。ベース側支持部19はベース1の頂部11からさらに上方に向けて突出する。ベース側支持部19は、
図3に示すように、蓋体3の回動軸39を枢支する。頂部11は、さらに、貫通孔状の出入開口18を有する。出入開口18は、各頂部11における右端部に各々設けられている。
【0016】
各柱状基部10における側部12は、各々、ケース100に埋設される。したがって、実施例1の蓋付装置を有するコンソールボックスにおいては、ベース1の側部12はケース100の内部に隠れ、ベース1の頂部11およびベース側支持部19がケース100の上側に露出するだけである。各頂部11の上面、つまり、ベース1のなかで蓋体3に面する面を蓋対向面1fと呼ぶ。
【0017】
蓋体3は、中空の板状をなす蓋本体30と、蓋本体30に一体化されている蓋側支持部32と、を有する。
図3に示すように、蓋側支持部32の回動軸39はベース側支持部19に枢支される。したがって蓋体3はベース1に対して回動可能である。具体的には、蓋体3は、回動軸39を中心として回動し、蓋対向面1fに対向する閉位置(
図2)と、蓋対向面11fとの距離が閉位置に比べて大きい開位置(
図1)との間を位置変化する。
【0018】
なお、実施例においては、
図2に示す閉位置においては、蓋本体30がベース1に対向しかつベース1に当接する。また、
図1に示す開位置においては、蓋体3に設けられているリンク入力部60がベース1に設けられているベース側支持部19に当接して、蓋本体30がベース1に対して約90度開く。このように、実施例の蓋付装置においては、
図2に示す所定の位置が蓋体3の閉位置であり、
図1に示す所定の位置が蓋体3の開位置である。蓋付装置は当該所定の閉位置と開位置との間を回動する。なお、本発明の蓋付装置における開位置および閉位置はこれに限定されず、各種の位置をとり得る。
【0019】
実施例の蓋付装置における蓋体3は、
図2に示す閉位置においてケース100の開口101を閉じ、
図1に示す開位置においてケース100の開口101を開く。
図3に示すように、回動軸39には開付勢部材38が装着されており、当該開付勢部材38によって蓋体3は開位置に向けて付勢されている。実施例の蓋付部材における開付勢部材38はねじりバネである。
【0020】
ロック要素5は、2つの第1係合体50と、2つの第2係合体55と、2つのリンク要素6とを有する。後述するように、各第1係合体50は蓋体3に一体化され、係合位置と非係合位置との間を同期して位置変化する。
【0021】
各第2係合体55は、上下方向にスライドして頂部11の出入開口18を出入可能であるように、側部12に取付けられている。具体的には、各第2係合体55は略板状をなす。各第2係合体55は上下に延びる長孔状の係合ガイド孔56を有し、当該係合ガイド孔56には側部12に突設された2つの係合ガイドピン13が挿通されている。したがって各第2係合体55は、係合ガイド孔56に沿って上下方向にスライド可能である。各係合ガイドピン13は、それぞれ、頂部11に設けられた出入開口18の下方に配置されている。したがって、各第2係合体55が上動すると、各第2係合体55の上端部は、各々対応する出入開口18を経て、頂部11の上方つまり蓋対向面1fよりも上側に突出する。このときの第2係合体55の位置をロック位置と呼ぶ。蓋体が閉位置にあるときに、第2係合体55はロック位置にある。
【0022】
図3に示すように、各第2係合体55の上側部分には、貫通孔状の係合凹部57が設けられている。各第2係合体55がロック位置に配置されると、係合凹部57もまた蓋対向面1fよりも上側に露出する。なお、実施例の蓋付装置においては、第2係合体55がロック位置にあるときに、第2係合体55の上側部分つまり係合凹部57を有する部分のみが蓋対向面1fよりも上側に突出し、他の大部分は出入開口18内において蓋対向面1fよりも下側に隠れる。
【0023】
蓋体3が
図3に示す閉位置から
図6に示す開位置に向けて回動すると、上述したロック位置にある各第2係合体55が下動する。すると、
図6に示すように、各第2係合体55の全体が頂部11の蓋対向面1fよりも下側に配置される。このときの第2係合体55の位置を解除位置と呼ぶ。第2係合体55が解除位置にあると、当然乍ら、第2係合体55の係合凹部57もまた蓋対向面1fよりも下側にある。つまり、このとき第2係合体55はベース1における蓋対向面1fよりも内側にある。したがって、第2係合体55は、このときベース1側に引っ込み、蓋付装置の内側に隠される。
【0024】
図1に示すように、実施例の蓋付装置においては、解除位置にある第2係合体55は、ベース1の下側に露出するものの、当該ベースの下側においてベース1と他部材とで区画形成された図略の収容スペースに入り込む。なお、例えば、ベース1に第2係合体55用の収容スペースを設けて、解除位置における第2係合体55を当該収容スペースに収容しても良い。或いは、ベース1以外の他部材によって当該収容スペースを形成しても良い。何れの場合にも、このとき第2係合体55はベース1における蓋対向面1fよりも内側にあるため、ベース1の蓋対向面1f側つまりユーザー側からは視認され難い。
【0025】
ロック要素5は、その他、2つのリンク要素6を有する。2つのリンク要素6は同じものである。各々のリンク要素6は、リンク入力部60と、リンクベース7と、リンク付勢部材69と、を有する。
リンク入力部60は突起状をなし、蓋体3における回動軸39の径方向外側部分、実施例においては蓋本体30における左側かつ下側部分に一体化されている。
リンクベース7は板状をなし、ベース1における柱状基部10の側部12に取付けられている。
図3に示すように、各柱状基部10には、ピン状をなす2つののリンクガイドピン14a、リンクガイドピン14bが突設されている。リンクベース7には左右に延びる2つのリンクガイド孔70a、リンクガイド孔70bが設けられ、リンクガイド孔70aにはリンクガイドピン14aが挿通され、リンクガイド孔70bにはリンクガイドピン14bが挿通されている。したがって、リンクベース7は、リンクガイド孔70a、70bの延びる方向つまり左右方向に位置変化可能である。リンクベース7には、つる巻きバネ状のリンク付勢部材69の一端が取付けられている。リンク付勢部材69の他端はベース1の側部12に固定されている。このリンク付勢部材69によって、リンクベース7は右に付勢されている。
【0026】
リンクベース7の上部にはリンク入力受け部71が設けられている。リンク入力受け部71は、左右に延び、リンクベース7の上面に開口する。
図3に示すように、蓋体3が閉位置にあるときには、リンク入力受け部71には、リンク入力部60が入り込んでいる。また、
図5に示すように、蓋体3が閉位置から開位置に回動する途中の段階で、リンク入力部60はリンク入力受け部71から抜ける。
図6に示すように、蓋体3が開位置にまで回動すると、リンク入力部60は完全にリンク入力受け部71の外側に配置される。以下、
図5に示す蓋体3の位置、つまり、リンク入力部60がリンク入力受け部71から抜けた時点における蓋体3の位置を、中間位置と呼ぶ。
【0027】
蓋体3が
図5に示す中間位置と
図3に示す閉位置との間にあるときには、リンク入力部60がリンク入力受け部71に入り込み、リンク入力部60の左面60fはリンク入力受け部71の左壁面71fに対面している。リンク入力部60は、蓋体3に一体化されているため、蓋体3の回動に伴って位置変化する。具体的には、蓋体3が
図5に示す中間位置から
図3に示す閉位置に向けて位置変化すると、リンク入力部60は
図5中時計回りに回動する。リンク入力部60が
図5中時計回りに回動すると、リンク入力部60の左面60fがリンク入力受け部71の左壁面71fを左方に押圧する。上述したように、リンク付勢部材69はリンクベース7を右方に付勢しているが、リンク入力部60がリンク入力受け部71を左方に押圧することで、リンク入力受け部71を有するリンクベース7は、リンク付勢部材69の付勢力に抗して左方に位置変化し得る。
【0028】
図5に示すように、リンクベース7の右側部分、つまり、リンクベース7における第2係合体55側の部分には、長孔状のリンク孔73が設けられている。リンク孔73には、第2係合体55に突設されているリンク伝達受け部58が挿通されている。リンク孔73は、左方かつ下方から右方かつ上方に向けて延びる傾斜部73sを有する。傾斜部73sの延びる方向は、係合ガイド孔56の延びる方向つまり第2係合体55の位置変化方向と交差する方向である。このため、第2係合体55が位置変化する際に、傾斜部73sは第2係合体55に干渉する。換言すると、第2係合体55のリンク伝達受け部58と傾斜部73sとが干渉することで、第2係合体55が位置変化する。リンク要素6は、以上のように、リンク入力部60と、リンクベース7と、リンク付勢部材69と、を有し、蓋体3と第2係合体55とに接続されている。
【0029】
以下、実施例の蓋付装置の動作を説明する。
【0030】
上述したように、蓋体3は、開付勢部材38によって開方向に向けて付勢されている。したがって、ロック要素5によるロックが解除されていれば、蓋体3は、開付勢部材38によって付勢され、
図3〜
図6中反時計回りに回動して、
図6に示す開位置にある。このとき、蓋体3はケース100の開口101を開き、リンク入力部60はリンク入力受け部71から外れ、リンクベース7はリンク付勢部材69の付勢力によって右側にある。そして、このときリンク伝達受け部58はリンク孔73における傾斜部73sの左端部かつ下端部にあり、第2係合体55はベース1の蓋対向面1fよりも内側つまり蓋対向面1fの下方にある。つまりこのとき第2係合体55は解除位置にある。また、このとき第2係合体55が解除位置にあるため、リンク要素6は解除リンク状態にあるといえる。
【0031】
開位置にある蓋体3に対して、開付勢部材38の付勢力を超える下方への押圧力を加えることで、蓋体3を
図6に示す開位置から
図3に示す閉位置に回動させ得る。このとき蓋体3は、開付勢部材38の付勢力に抗して、回動軸39を中心として時計回りに回動する。蓋体3が
図5に示す中間位置を超えて回動すると、
図4に示すように、蓋体3に一体化されているリンク入力部60が、リンクベース7に設けられているリンク入力受け部71に入り込む。すると、リンク入力部60の左面60fがリンク入力受け部71の左壁面71fを左方に押圧する。このため、リンクベース7は左方に位置変化する。
【0032】
リンクベース7が左方に位置変化すると、リンクベース7のリンク孔73もまた左方に位置変化する。このため、リンク孔73に挿通されているリンク伝達受け部58は、リンク孔73に対して相対的に左方に位置変化する。
図6に示す開位置から
図5に示す中間位置に至るまで、リンク伝達受け部58はリンク孔73における傾斜部73sの左端部かつ下端部にある。そしてリンクベース7およびリンク孔73が左方に移動すると、リンク伝達受け部58はリンク孔73の傾斜部73s内を右方に向けて相対的に移動する。さらに、傾斜部73sは左側かつ下側から右側かつ上側に向けて傾斜しているため、このときリンク伝達受け部58は右方に向けて相対的に移動するだけではなく上方に向けても相対的に移動する。つまり、このときリンク伝達受け部58は第2係合体55とともに上方に位置変化する。したがって、このとき第2係合体55は出入開口18を経てベース1の蓋対向面1fの上方に突出し、第2係合体55の係合凹部57もまたベース1における蓋対向面1fの上方に露出する。つまり、蓋体3が開位置から閉位置にまで回動すると、それに伴って、第2係合体55が
図5に示す解除位置から
図3に示すロック位置にまで位置変化する。そして、このようにリンク要素6が
図6に示す解除リンク状態から
図3に示すロックリンク状態に状態変化することで、第2係合体55が
図6に示す解除位置から
図3に示すロック位置にまで位置変化する。
【0033】
図2および
図3に示すロック位置において、第2係合体55の係合凹部57には第1係合体50が係合する。
具体的には、実施例の蓋付装置においては、2つの第1係合体50は、ともに、蓋本体30の中空内部に配置されている。換言すると、2つの第1係合体50は、蓋体3におけるベース対向面3fの背面側に配置されている。ベース対向面3fとは、
図3に示す閉位置においてベース1の蓋対向面1fに対面する蓋体3の面であり、蓋体3の裏面ともいえる。
【0034】
図7に示すように、一方の第1係合体50aは蓋本体30の後側部分に配置され、他方の第1係合体50bは蓋本体30の前側部分に配置されている。第1係合体50aは、蓋本体30に突設されている2対のガイド突起37aによって、前後方向にスライド可能であるように支持されている。第1係合体50bもまた、蓋本体30に突設されている2対のガイド突起37bによって、前後方向にスライド可能であるように支持されている。
【0035】
第1係合体50aの前端部にはラック部80aが設けられ、第1係合体50bの後端部にはラック部80bが設けられている。ラック部80aおよびラック部80bにはピニオン81が噛合する。ピニオン81は蓋本体30の中空内部に配置され、蓋本体30に軸支されている。
【0036】
蓋本体30の下面つまりベース対向面3fには、蓋本体30の内外を連通する2つの係合開口33a、係合開口33bが設けられている。係合開口33aは蓋本体30のベース対向面3fにおける後側部分に開口し、係合開口33bはベース対向面3fにおける前側部分に開口している。第1係合体50aおよび第1係合体50bは、ピニオン81によって同期して、
図7に示す係合位置と
図8に示す非係合位置と、の間を前後方向にスライドする。
図7に示す係合位置においては、第1係合体50aの後端部が係合開口33aに露出するとともに第1係合体50bの前端部が係合開口33bに露出する。
図8に示す非係合位置においては、第1係合体50aの後端部が係合開口33aよりも前側に配置されて第1係合体50aの全体が蓋本体30の内部に隠れるとともに、第1係合体50bの前端部が係合開口33bよりも後側に配置されて第1係合体50bの全体が蓋本体30の内部に隠れる。
【0037】
第1係合体50bにはつる巻きバネ状のロック付勢部82の一端が取付けられている。ロック付勢部82の他端は蓋本体30に固定され、ロック付勢部82によって第1係合体50bは前方向つまり第1係合体50bが係合開口33bに露出する方向に付勢されている。また、第1係合体50bと同期する第1係合体50aもまた、間接的に、ロック付勢部82によって係合開口33aに露出する方向に付勢されている。つまり、ロック付勢部82は第1係合体50aおよび第1係合体50bを
図7に示す係合位置に向けて付勢している。
【0038】
第1係合体50aには操作部83が接続されている。操作部83は、第1係合体50a、第1係合体50b、およびピニオン81とともに、蓋本体30の中空内部に配置されている。操作部83は、略柱状をなし、孔状の操作伝達部84を有する。第1係合体50aにはピン状の操作伝達受け部51が設けられ、当該操作伝達受け部51は操作部83の操作伝達部84に挿通されている。蓋本体30の後面には、内外を連通する操作開口34が設けられ、操作部83の後端部である操作端85は、当該操作開口34を経て蓋本体30の後側外部に露出し得る。操作部83には長孔状の2つの操作部ガイド孔86が設けられ、当該操作部ガイド孔86には、蓋本体30の中空内部に突設されたガイドピン85がそれぞれ挿通されている。操作部83は、操作部ガイド孔86に沿って前後方向にスライド可能である。また、操作部83にはつる巻きバネ状の操作付勢部87の一端が取付けられている。操作付勢部87の他端は蓋本体30に固定され、操作付勢部87によって操作部83は後方向、つまり、操作端85が操作開口34から露出する方向に付勢されている。
【0039】
図3に示すように蓋体3が閉位置にあり、第2係合体55がロック位置にあるときには、蓋対向面1fから突出した2つの第2係合体55は、各々対応する係合開口33a、係合開口33bの内部に入り込む。上記したように第1係合体50aおよび第1係合体55bはロック付勢部82によって係合位置に付勢されているため、このとき第1係合体50aおよび第1係合体50bもまた、各々係合開口33aおよび係合開口33bの内部に入り込む。このため、係合位置に配置された第1係合体50は、ロック位置に配置された第2係合体55と係合する。したがって、蓋体3は閉位置にロックされる。
【0040】
蓋体3を
図3に示す閉位置から
図6に示す開位置に向けて回動させる際には、第1係合体50と第2係合体55の係合を解除する必要がある。当該係合を解除するためには、先ず、ユーザーは、操作部83の操作端85を前方に向けて押圧操作する。すると、操作付勢部87の付勢力に抗して操作部83が前方に位置変化し、操作部83に設けられている操作伝達部84の孔壁が第1係合体50aの操作伝達受け部51を前方に押圧する。このため、第1係合体50aが前方に位置変化する。すると、第1係合体50aのラック部80aが前方に位置変化し、当該ラック部80aと噛合するピニオン81が時計回りに回転する。すると、当該ピニオン81と噛合するラック部80bを有する第1係合体50bは、ピニオン81の回転に伴って後方に位置変化する。したがって、第1係合体50aおよび第1係合体50bは、
図7に示す係合位置から
図8に示す非係合位置に向けて位置変化する。
【0041】
第1係合体50aおよび第1係合体50bが
図8に示す非係合位置にまで位置変化すると、第1係合体50が第2係合体55の係合凹部57から抜けるために、第1係合体50と第2係合体55との係合が解除される。つまり、このとき蓋体3のロックが解除される。蓋体3のロックが解除されると、蓋体3は開付勢部材38の付勢力によって開位置に回動する。このときリンクベース7はリンク付勢部材69の付勢力によって後方に位置変化し、リンク伝達受け部58はリンク孔73における傾斜部73sの左端かつ上端から右端かつ下端に向けて相対移動する。したがって、第2係合体55はロック位置から解除位置に位置変化して、ケース100における蓋対向面1fの内側に隠される。したがって、蓋体3が開位置に配置されると、第2係合体55はユーザーから視認され難くなり、第1係合体50もまたユーザーから視認され難くなる。つまり、実施例の蓋付装置は、蓋体3が開位置にあるときにも、第1係合体50および第2係合体55がユーザーから視認され難く、意匠性に優れる。
【0042】
また、蓋体3が開位置にあるときには第1係合体50および第2係合体55が突出していないため、ユーザーが第1係合体50および第2係合体55に着衣等を引っ掛けるおそれはない。
【0043】
なお、実施例の蓋付装置において、蓋体3が開位置に配置され第2係合体55が解除位置に配置されているときには、出入開口18の内部に配置される第2係合体55の表面55fと、蓋対向面1fと、は面一である。したがって、蓋体3が開位置に配置されているときには、第2係合体55は蓋対向面1fから突出せず、ユーザーは第2係合体55の表面55fおよびケース100の蓋対向面1fを連続性を持った意匠として認識する。したがって、実施例の蓋付装置は意匠性に優れる。さらに、実施例の蓋付装置においては、蓋体3が中間位置と開位置との間にある時、つまり蓋体3が完全に開位置に配置される前の段階、および、蓋体3が開位置から閉位置に回動する初期の段階においても、第2係合体55は解除位置に配置されている。つまりこのときにも、第2係合体55の表面55fおよびケース100の蓋対向面1fは連続性を持った意匠として視認される。このことによって、実施例の蓋付装置の意匠性は更に向上する。
【0044】
上記したように蓋体3が中間位置と開位置との間にある時に第2係合体55を解除位置に配置するために、実施例の蓋付装置においては、リンク入力部60が中間位置においてリンク入力受け部71から外れるようにしている。こうすることで、中間位置と開位置との間においてはリンク要素による蓋体3と第2係合体55との接続を解除し、第2係合体55の位置変化を停止しつつ蓋体3のみを回動させ得る。
【0045】
さらに、実施例の蓋付装置においては、蓋体3が
図3に示す閉位置と
図4に示す開初期位置との間を回動する間、第2係合体55がロック位置にある。このことで、第1係合体50と第2係合体55の係合がたやすく解除されないようにでき、蓋体3の意図せぬ開動作を抑制し得る。
【0046】
蓋体3が閉位置と開初期位置との間を回動する間、第2係合体55をロック位置に配置するために、実施例の蓋付装置においては、リンク孔73における傾斜部73sの右側に、左右方向つまりリンクベース7のスライド方向に延びるストレート部73stを設けている。リンク伝達受け部58が傾斜部73sの上端かつ右端に配置され第2係合体55がロック位置に配置された後に、さらに蓋体3を時計回りに回動させリンクベース7を左方に位置変化させると、リンク伝達受け部58はストレート部73stに入り込む。ストレート部73stはリンクベース7のスライド方向に延びるため、このときストレート部73stはリンク伝達受け部58に干渉せず、第2係合体55はロック位置から位置変化しない。
【0047】
実施例の蓋付装置においては、上記したように、第2係合体55が解除位置に配置されているときに第2係合体55の表面55fと、蓋対向面1fと、が面一であったが、本発明の蓋付装置はこれに限定されない。例えば、解除位置において第2係合体55が出入開口18の下側に潜り込んでいても良い。この場合にも、解除位置において、第2係合体55が蓋対向面1fよりも内側にあれば、第2係合体55が突出しているようには見えず、蓋付装置の意匠性が向上する。なお、ここで言う「第2係合体55がベース1の蓋対向面1fよりも内側にある」とは、第2係合体55がベース1の蓋対向面1fよりも外側つまり蓋体3側にはみ出さない状態を指す。実施例の蓋付装置であれば、当該「蓋対向面1fよりも内側」は「蓋対向面1fよりも下側」と言い換え得る。
【0048】
さらに、ケース100に出入開口18を設けず、第2係合体55をケース100の側面に配置しても良い。この場合には、第2係合体55のさらに外側が他部材で覆われれば、少なくとも第2係合体55がケース100の内側にあるとき、つまり、第2係合体55が解除位置にあるときには、第2係合体55はユーザーに視認されず、蓋付装置の意匠性は損なわれない。
【0049】
実施例の蓋付装置においては、第2係合体55はロック位置と解除位置との間を直線的に位置変化するが、第2係合体55はロック位置と解除位置との間を位置変化すれば良く、例えば揺動等しても良い。何れの場合にも、リンク要素6によりリンクされることで、蓋体3が開位置と閉位置との間を回動するのに従動して第2係合体55が解除位置とロック位置との間を位置変化すれば良い。
【0050】
なお、実施例の蓋付装置においては2つの第1係合体50をラックアンドピニオン機構で同期させスライドさせたが、本発明の蓋付装置における第1係合体50は、これに限定されない。例えば、本発明の蓋付装置は、係合位置と非係合位置との間を揺動する1つの第1係合体50を有するとともに、当該1つの第1係合体50に1つの第2係合体55が係合しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の蓋付装置は、実施例に挙げたコンソールボックスのように蓋体3とベース1とを有する各種の装置として具現化でき、車室内等の狭い空間に搭載される蓋付装置として特に好ましく使用できる。また、本発明の蓋付装置における蓋体は、必ずしも、開口を開閉する必要は無く、例えば、ナビゲーションシステムのモニタや操作パネル等に対して回動しこれらを開閉するものであっても良い。この場合、モニタや操作パネル等はベースの内部に配置されても良いし、或いは、モニタや操作パネルの一部がベースを構成しても良い。
また、2以上の蓋付装置で1つの装置を構成しても良い。例えば、観音開き状に開く2つの蓋体を有する2蓋付装置で1つのコンソールボックスを構成しても良い。この場合、2つの蓋体は同期して開閉しても良いし各々独立に開閉しても良い。
【0052】
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【0053】
本発明の蓋付装置は、以下のように表現できる。
【0054】
(1)蓋対向面1fを有するベース1と、
前記ベース1に枢支され、前記蓋対向面1fに対向する所定の閉位置と、前記蓋対向面1fとの距離が前記閉位置に比べて大きい所定の開位置と、の間を回動する蓋体3と、
前記閉位置にある前記蓋体3を解除可能にロックし得るロック要素5と、を有し、
前記ロック要素5は、
前記蓋体3に一体化されている第1係合体50と、
前記ベース1に一体化され、前記蓋対向面1fから突出して前記第1係合体50に係合し得るロック位置と、前記ロック位置から前記ベース1側に引っ込む解除位置と、の間を位置変化可能な第2係合体55と、
前記蓋体3と前記第2係合体55とに接続されているリンク要素6と、を有し、
前記リンク要素6は、
前記第2係合体55を前記解除位置に配置する解除リンク状態と、前記第2係合体55を前記ロック位置に配置するロックリンク状態と、の間を状態変化可能であり、
前記蓋体3の前記開位置から前記閉位置への位置変化に伴って前記解除リンク状態から前記ロックリンク状態に状態変化し、
前記蓋体3の前記閉位置から前記開位置への位置変化に伴って前記ロックリンク状態から前記解除リンク状態に状態変化する、蓋付装置。
(2)前記蓋体3は、前記閉位置において前記蓋対向面1fに対面するベース対向面3fと、前記ベース対向面3fに開口する係合開口33と、を有し、
前記第1係合体50は、前記蓋体3における前記蓋対向面1fの背面側に配置され、少なくとも一部が前記係合開口33に露出する係合位置と、前記係合位置にあるときよりも前記係合開口33への露出量が小さい非係合位置と、の間を位置変化可能であり、
前記ロック位置において、前記蓋対向面1fから突出した前記第2係合体55は、前記係合開口33の内部に入り込んで前記第1係合体50に係合する、(1)に記載の蓋付装置。
(3)前記ベース1は、前記第2係合体55が出入する出入開口18を有し、
前記解除位置において、前記出入開口18に引っ込んだ前記第2係合体55の表面55fと、前記蓋対向面1fと、は面一である、(1)または(2)に記載の蓋付装置。