特許第6372452号(P6372452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372452
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】無停電電源装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20180806BHJP
   H02J 9/00 20060101ALI20180806BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   H02J9/06 120
   H02J9/00 120
   H02J7/34 B
   H02J7/34 G
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-173074(P2015-173074)
(22)【出願日】2015年9月2日
(65)【公開番号】特開2017-51002(P2017-51002A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2017年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113011
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100161827
【弁理士】
【氏名又は名称】竹田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100180046
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 徳之
(74)【代理人】
【識別番号】100183520
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 大
(72)【発明者】
【氏名】小山 さとる
【審査官】 古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−223423(JP,A)
【文献】 特開2013−027136(JP,A)
【文献】 特開2006−108797(JP,A)
【文献】 特開2015−070746(JP,A)
【文献】 特開2011−083089(JP,A)
【文献】 特開2013−121255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00− 7/12
H02J 7/34−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の運転モードと第2の運転モードとの間で運転モードが切り換えられる無停電電源装置であって、
第1の蓄電手段と、
第2の蓄電手段と、
前記第1の運転モードと前記第2の運転モードを切り換える運転モード切換手段と、
前記第1の運転モードで運転している場合、停電している時は、前記第2の蓄電手段を放電させずに、前記第1の蓄電手段を放電させて負荷に電力供給し、停電していない時は、前記第2の蓄電手段を充電するように制御を行う第1の制御手段と、
前記第2の運転モードで運転している場合、停電している時は、前記第2の蓄電手段を放電させて前記負荷に電力供給をするように制御を行う第2の制御手段と
を備えることを特徴とする無停電電源装置。
【請求項2】
前記第1の制御手段は、予め決められた充電電流以上で、前記第2の蓄電手段を充電すること
を特徴とする請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記第1の制御手段は、入力電流と前記入力電流の許容される最大値との差が予め決められた値以上になるように、前記第2の蓄電手段の充電電流を制御すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
入力される交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータから供給される直流電力を交流電力に変換するインバータとを備え、
前記第1の蓄電手段及び前記第2の蓄電手段は、前記コンバータから供給される直流電力により充電され、前記インバータに直流電力を供給すること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
【請求項5】
前記コンバータ及び前記インバータを介さずに、入力される交流電力を前記負荷に供給するバイパス回路
を備えることを特徴とする請求項4に記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記負荷のうち第1の負荷の接続又は切り離しをする開閉手段を備え、
前記第2の制御手段は、前記第2の蓄電手段の放電時に、前記開閉手段を開放すること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
【請求項7】
前記第1の制御手段は、前記第2の蓄電手段の充電時に、前記開閉手段を開放すること
を特徴とする請求項6に記載の無停電電源装置。
【請求項8】
第1の蓄電池及び第2の蓄電池を備え、運転モードとして第1の運転モード及び第2の運転モードを備える無停電電源装置の制御方法であって、
前記第1の運転モードと前記第2の運転モードとの間で運転モードを切り換え、
前記第1の運転モードで運転している場合、停電している時は、前記第2の蓄電池を放電させずに、前記第1の蓄電池を放電させて負荷に電力供給し、停電していない時は、前記第2の蓄電池を充電するように制御し、
前記第2の運転モードで運転している場合、停電している時は、前記第2の蓄電池を放電させて前記負荷に電力供給をするように制御すること
を含むことを特徴とする無停電電源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無停電電源装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、瞬間的な停電も許されない重要負荷(例えばコンピュータ等)に、安定した電源を供給するため無停電電源装置(UPS)が用いられている。
【0003】
例えば、無停電電源装置として、小容量で充電時間の短い蓄電池と、大容量で充電時間の長い蓄電池を併設し、入力電源停止の際に小容量の蓄電池を先に使用して復電後短時間で充電することにより、短時間の停電が短時間で繰り返したときでも大容量の蓄電池の放電を抑え、長時間の停電が発生したときに大容量の蓄電池が充電不足の状態にあることを回避することが開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、無停電電源装置を災害発生時等に実施される長時間計画停電に備えるシステムに適用する場合、蓄電池を増設してバックアップ時間を延長させることがある。この場合、充電時間が長くなるため、1つの計画停電が終了してから次回の計画停電までの間に、蓄電池を満充電出来ない可能性がある。したがって、複数の無停電電源装置を並列接続して構成するか、バックアップ時間が確保可能な負荷容量以上の大容量の無停電電源装置を使用することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−211860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のように、複数の無停電電源装置を並列接続したり、バックアップ時間が確保可能な大きな容量の無停電電源装置を適用したりすると、計画停電後の充電中に停電が発生した場合、バックアップ時間が不足して負荷を停止させたり、次回の計画停電までに蓄電池の満充電が間に合わなくなる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、予め決められた停電をバックアップすることのできる無停電電源装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の観点に従った無停電電源装置は、第1の運転モードと第2の運転モードとの間で運転モードが切り換えられるものである。前記無停電電源装置は、第1の蓄電手段と、第2の蓄電手段と、前記第1の運転モードと前記第2の運転モードを切り換える運転モード切換手段と、前記第1の運転モードで運転している場合、停電している時は、前記第2の蓄電手段を放電させずに、前記第1の蓄電手段を放電させて負荷に電力供給し、停電していない時は、前記第2の蓄電手段を充電するように制御を行う第1の制御手段と、前記第2の運転モードで運転している場合、停電している時は、前記第2の蓄電手段を放電させて前記負荷に電力供給をするように制御を行う第2の制御手段とを備える。
本発明の観点に従った無停電電源装置の制御方法は、第1の蓄電池及び第2の蓄電池を備え、運転モードとして第1の運転モード及び第2の運転モードを備えるものである。前記制御方法は、前記第1の運転モードと前記第2の運転モードとの間で運転モードを切り換え、前記第1の運転モードで運転している場合、停電している時は、前記第2の蓄電池を放電させずに、前記第1の蓄電池を放電させて負荷に電力供給し、停電していない時は、前記第2の蓄電池を充電するように制御し、前記第2の運転モードで運転している場合、停電している時は、前記第2の蓄電池を放電させて前記負荷に電力供給をするように制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、予め決められた停電をバックアップすることのできる無停電電源装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る無停電電源装置の構成を示す構成図。
図2】第1の実施形態に係る蓄電回路の運転モードによる動作状態を示す図。
図3】第1の実施形態に係る制御部の制御による無停電電源装置の動作の流れを示す流れ図。
図4】本発明の第2の実施形態に係る無停電電源装置の構成を示す構成図。
図5】第2の実施形態に係る制御部の制御による無停電電源装置の動作の流れを示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無停電電源装置1の構成を示す構成図である。なお、図面における同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。
【0012】
無停電電源装置1は、交流入力遮断器2、コンバータ(順変換器)3、インバータ(逆変換器)4、昇圧変圧器5、バイパスリレー6、バイパスサイリスタ7、2つの蓄電回路8a,8b、制御部10、及び、入力電流検出器11を備える。無停電電源装置1の入力端子Tiには、交流電源(入力電源)21が接続される。例えば、交流電源21は、商用電源である。無停電電源装置1の出力端子Toには、負荷22が接続される。
【0013】
交流電源21は、無停電電源装置1に交流電力を供給する。無停電電源装置1は、交流電源21から供給された交流電力に基づいて、負荷22に交流電力を供給し、2つの蓄電回路8a,8bのそれぞれの蓄電池81a,81bを充電する。
【0014】
無停電電源装置1には、通常モードと計画停電モードの2つの運転モードがある。通常モードは、通常時(計画停電時以外)で運転するモードである。計画停電モードは、予め決められた長時間の停電(例えば、計画停電)が生じる時に運転するモードである。運転モードの切り換えは、手動で行う。なお、運転モードの切り換えは、自動で行ってもよい。例えば、自動で運転モードの切り換えを行う場合、予め設定された時刻になると切り換わるようにしてもよいし、計画停電が実施されることを示す信号を受信すると、通常モードから計画停電モードに切り換わるようにしてもよいし、計画停電の終了を検出すると、計画停電モードから通常モードに切り換わるようにしてもよい。
【0015】
コンバータ3は、交流電源21から供給される交流電力を直流電力に変換する。コンバータ3は、変換した直流電力をインバータ4に供給する。また、コンバータ3は、必要に応じて、変換した直流電力を2つの蓄電回路8a,8bに供給する。
【0016】
インバータ4は、コンバータ3から供給される直流電力を負荷22に供給するための交流電力に変換する。インバータ4は、昇圧変圧器5を介して、変換した交流電力を負荷22に供給する。
【0017】
昇圧変圧器5は、インバータ4の出力電圧を負荷22に供給するための電圧に昇圧する。
【0018】
バイパスリレー6及びバイパスサイリスタ7は、バイパス回路を構成する。バイパス回路は、点検又は故障などによりコンバータ3又はインバータ4が使用できない場合に、コンバータ3及びインバータ4を介さずに、負荷22に交流電力を供給する回路である。バイパスリレー6がメークされ、バイパスサイリスタ7がオンされることで、交流電源21から負荷22に交流電力が供給されるバイパスが形成される。バイパスサイリスタ7は、2つのサイリスタ71,72が互いに逆向きになるように並列に接続された構成である。バイパスサイリスタ7は、バイパスリレー6と直列に接続される。バイパスサイリスタ7により、インバータ4による電力供給からバイパス回路による電力供給に無瞬断で切り換わる。
【0019】
2つの蓄電回路8a,8bは、コンバータ3とインバータ4を接続する直流リンクLNに接続される。通常用蓄電回路8aは、通常モードで運転中に生じる停電時に負荷22に電力を供給するための電気エネルギーを蓄える回路である。計画停電用蓄電回路8bは、計画停電モードで運転中に生じる計画停電時に負荷22に電力を供給するための電気エネルギーを蓄える回路である。蓄電回路8a,8bは、交流電源21の停電時に、直流リンクLNを介してインバータ4に直流電力を供給する。無停電電源装置1は、蓄電回路8a,8bから供給される直流電力により、負荷22に電力を供給する(直流運転)。
【0020】
入力電流検出器11は、無停電電源装置1に入力される入力電流(交流電流)Iiを検出する。入力電流検出器11は、検出した入力電流Iiを検出信号として、制御部10に出力する。
【0021】
制御部10は、運転モード及び入力電流検出器11により検出される入力電流Iiなどに基づいて、無停電電源装置1を制御する。具体的には、制御部10は、交流入力遮断器2の開閉、コンバータ3の制御、インバータ4の制御、バイパスリレー6の動作、バイパスサイリスタ7のオン、及び、蓄電回路8a,8bの充放電などの制御を行う。制御部10は、入力電流検出器11により検出される入力電流Iiに基づいて、交流電源21の停電を検出する。なお、制御部10は、どのように交流電源21の停電を検出してもよい。
【0022】
次に、2つの蓄電回路8a,8bのそれぞれの構成について説明する。
【0023】
通常用蓄電回路8aは、通常用蓄電池81a、通常用充電制御部82a、通常用放電制御部83a、通常用充電接触器84a、及び、通常用放電接触器85aを備える。
【0024】
通常用蓄電池81aは、10分程度の短時間で頻繁に生じない停電をバックアップすることを想定した蓄電池である。したがって、通常用蓄電池81aは、蓄電容量が少なく、充放電回数が少ないことを想定した蓄電池でよい。例えば、通常用蓄電池81aは、鉛蓄電池である。なお、通常用蓄電池81aは、蓄電容量が大きく、繰り返し充放電可能な蓄電池でもよい。通常用蓄電池81aは、複数の蓄電池で構成されていてもよい。
【0025】
通常用充電制御部82aは、制御部10からの指令に基づいて、通常用蓄電池81aの充電を制御する。通常用充電制御部82aは、直流リンクLNから供給される直流電力により、通常用蓄電池81aを充電する。
【0026】
通常用放電制御部83aは、制御部10からの指令に基づいて、通常用蓄電池81aの放電を制御する。通常用放電制御部83aは、通常用蓄電池81aを放電させることにより、直流リンクLNに直流電力を供給する。
【0027】
通常用充電接触器84aは、通常用充電制御部82aと直流リンクLNとの間の電気経路に設けられる。通常用充電接触器84aは、制御部10からの指令に基づいて、開閉する。通常用充電接触器84aは、通常用蓄電池81aの充電をするときは投入され、通常用蓄電池81aの充電をしないときは開放される。
【0028】
通常用放電接触器85aは、通常用放電制御部83aと直流リンクLNとの間の電気経路に設けられる。通常用放電接触器85aは、制御部10からの指令に基づいて、開閉する。通常用放電接触器85aは、通常用蓄電池81aの放電をするときは投入され、通常用蓄電池81aの放電をしないときは開放される。
【0029】
計画停電用蓄電回路8bは、計画停電用蓄電池81b、計画停電用充電制御部82b、計画停電用放電制御部83b、計画停電用充電接触器84b、及び、計画停電用放電接触器85bを備える。
【0030】
計画停電用蓄電池81bは、長時間で繰り返し実施される停電をバックアップすることを想定した蓄電池である。したがって、計画停電用蓄電池81bは、蓄電容量が大きく、充放電を繰り返し行うことができ、急速充電可能なものである。例えば、計画停電用蓄電池81bは、リチウム電池である。計画停電用蓄電池81bは、複数の蓄電池で構成されていてもよい。
【0031】
計画停電用充電制御部82bは、制御部10からの指令に基づいて、計画停電用蓄電池81bの充電を制御する。計画停電用充電制御部82bは、直流リンクLNから供給される直流電力により、計画停電用蓄電池81bを充電する。
【0032】
計画停電用放電制御部83bは、制御部10からの指令に基づいて、計画停電用蓄電池81bの放電を制御する。計画停電用放電制御部83bは、計画停電用蓄電池81bを放電させることにより、直流リンクLNに直流電力を供給する。
【0033】
計画停電用充電接触器84bは、計画停電用充電制御部82bと直流リンクLNとの間の電気経路に設けられる。計画停電用充電接触器84bは、制御部10からの指令に基づいて、開閉する。計画停電用充電接触器84bは、計画停電用蓄電池81bの充電をするときは投入され、計画停電用蓄電池81bの充電をしないときは開放される。
【0034】
計画停電用放電接触器85bは、計画停電用放電制御部83bと直流リンクLNとの間の電気経路に設けられる。計画停電用放電接触器85bは、制御部10からの指令に基づいて、開閉する。計画停電用放電接触器85bは、計画停電用蓄電池81bの放電をするときは投入され、計画停電用蓄電池81bの放電をしないときは開放される。
【0035】
次に、通常モードで運転中の動作について説明する。
【0036】
図2は、本実施形態に係る蓄電回路8a,8bの運転モードによる動作状態を示す図である。
【0037】
通常モードでは、通常用充電制御部82a、通常用放電制御部83a、及び、計画停電用充電制御部82bが動作し、計画停電用放電制御部83bが停止する。通常モードでは、計画停電用放電接触器85bは開放される。
【0038】
通常モードで運転中に交流電源21が停電した場合、通常用放電接触器85aが投入され、計画停電用充電接触器84bが開放される。通常用充電接触器84aは、投入又は開放のいずれでもよい。通常用放電制御部83aは、通常用蓄電池81aを放電させることにより、負荷22に電力を供給する。また、計画停電用放電接触器85bは開放されているため、計画停電用蓄電池81bから放電されることはない。
【0039】
通常モードで運転中に計画停電用蓄電池81bを充電する場合について説明する。ここでは、通常用蓄電池81aは、満充電になっているものとして説明するが、次回の計画停電までに、計画停電をバックアップできるだけのエネルギーが計画停電用蓄電池81bに蓄電されるのであれば、通常用蓄電池81aをどのように充電してもよい。また、以下に説明する内容については、実際の損失等を考慮して適宜変更してもよい。
【0040】
制御部10は、入力電流検出器11により検出される入力電流Iiに基づいて、計画停電用蓄電池81bを充電するための充電電流指令値を求める。制御部10は、演算した充電電流指令値を計画停電用充電制御部82bに出力する。計画停電用充電制御部82bは、制御部10から入力された充電電流指令値に従って、計画停電用蓄電池81bを充電する。充電電流指令値は、次式を満たすように求められる。
【0041】
入力定格電流−Ii ≧ 入力定格電流×α …式(1)
ここで、Iiは、現在の入力電流Iiであり、αは、余裕率である。入力定格電流とは、無停電電源装置1で許容される入力電流Iiの最大値である。
【0042】
入力電力Iiは、蓄電回路8a,8bに供給される電力と負荷22に供給される電力の総和となる。充電電流指令値が増加すると、充電電流が増加し、入力電流Iiも増加する。制御部10は、式(1)を満たす範囲で、充電電流指令値ができるだけ大きくなるように求める。即ち、制御部10は、式(1)の等号が成り立つように、充電電流指令値を決定する。計画停電用蓄電池81bにできるだけ大きい充電電流を流すことで、計画停電用蓄電池81bは、より早く充電される(急速充電)。
【0043】
余裕率αは、0<α<1を満たす予め決められた値である。余裕率αを予め設定することで、入力電流Iiと入力定格電流との差が常に一定以上あるように保たれる。即ち、入力電流Iiには、入力定格電流まで増加させる余裕を常に持たせることができる。これにより、負荷22に供給される負荷電流が急激に増加しても、入力電流Iiが入力定格電流を超えるのを防止する。なお、余裕率αの代わりに、予め決められた電流値を入力電流Iiの余裕分として持たせてもよい。
【0044】
上述のように求められた充電電流指令値は、次式を満たすように求められる。
【0045】
充電電流指令値 ≧ 基本充電電流値 …式(2)
基本充電電流値は、計画停電用蓄電池81bを充電するために、常に流す最低限の充電電流値である。基本充電電流値は、制御部10に予め設定される。通常モードで運転中で、計画停電用蓄電池81bが満充電でない間は、少なくとも基本充電電流により、計画停電用蓄電池81bが常時充電される。無停電電源装置1は、負荷22の負荷率が100%の時でも、式(1)を満たし、かつ、基本充電電流を計画停電用蓄電池81bに流せるように、入力定格電流などの仕様が決められる。
【0046】
基本充電電流値は、次回の計画停電までに計画停電用蓄電池81bを満充電にするために必要最低限の充電電流を求めることにより求まる。なお、次回の計画停電までに、計画停電をバックアップできるだけのエネルギーが蓄電されるのであれば、計画停電用蓄電池81bが満充電になるように基本充電電流値を決めなくてもよい。基本充電電流値を設定することにより、次の計画停電までに、計画停電をバックアップできるだけのエネルギーが計画停電用蓄電池81bに充電されることを確実にする。
【0047】
なお、充電電流指令値には、上限値が設定されてもよい。例えば、計画停電用蓄電池81bに流すことのできる最大の充電電流値を、充電電流指令値の上限値としてもよい。これにより、計画停電用蓄電池81bの過電流による保護が図られる。
【0048】
計画停電モードでは、図2に示すように、通常用充電制御部82a及び通常用放電制御部83aが停止し、計画停電用充電制御部82b及び計画停電用放電制御部83bが動作する。計画停電モードでは、通常用充電接触器84a及び通常用放電接触器85aは、開放される。
【0049】
計画停電モードで運転中で、交流電源21が停電していない場合、計画停電用充電接触器84bが投入され、計画停電用放電接触器85bが開放される。これにより、計画停電用蓄電池81bが満充電でない場合、計画停電用蓄電池81bは、充電される。一方、通常用充電接触器84aは開放されているため、通常用蓄電池81aは充電されない。これにより、計画停電用蓄電池81bにのみ充電電流を集中して流すことができ、より早く満充電にすることができる。なお、計画停電モードで運転中であっても、計画停電用蓄電池81bが計画停電をバックアップできるだけのエネルギーが充電されているのであれば、通常用充電接触器84aを投入して、通常用蓄電池81aを充電するようにしてもよい。
【0050】
計画停電モードで運転中に交流電源21が停電(計画停電)した場合、計画停電用充電接触器84bが開放され、計画停電用放電接触器85bが投入される。計画停電用放電制御部83bは、計画停電用蓄電池81bを放電させることにより、負荷22に電力を供給する。
【0051】
計画停電が終了後は、通常モードに切り換えることで、次回の計画停電までに、計画停電用蓄電池81bが充電される。
【0052】
図3は、本実施形態に係る制御部10の制御による無停電電源装置1の動作の流れを示す流れ図である。
【0053】
制御部10は、運転モードを計画停電モードに切り換える(ステップS110)と、通常用充電制御部82a及び通常用放電制御部83aを停止し、計画停電用充電制御部82b及び計画停電用放電制御部83bを動作させる(ステップS120)。
【0054】
無停電電源装置1は、計画停電が発生するまでは、交流電源21から供給される電力に基づいて、負荷22に電力供給する(ステップS130のNo)。
【0055】
制御部10は、計画停電を検出すると、計画停電用放電制御部83bを介して、計画停電用蓄電池81bを放電させて、バックアップ運転を開始する(ステップS130のYes、ステップS140)。
【0056】
計画停電が終了し、運転モードの切換操作が行われると、制御部10は、運転モードを通常モードに切り換える(ステップS150)。
【0057】
制御部10は、通常モードに切り換えると、通常用充電制御部82a、通常用放電制御部83a、及び、計画停電用充電制御部82bを動作し、計画停電用放電制御部83bを停止させる(ステップS160)。
【0058】
制御部10は、計画停電により放電した計画停電用蓄電池81bの急速充電を開始する(ステップS170)。このとき、制御部10は、通常用蓄電池81aの充電をしてもよいが、通常用蓄電池81aの充電をしないことにより、計画停電用蓄電池81bの充電をより早く完了することができる。
【0059】
制御部10は、通常モードで運転中に、停電を検出すると、通常用放電制御部83aを介して、通常用蓄電池81aを放電させて、バックアップ運転を開始する(ステップS180のYes、ステップS190)。停電復旧後、計画停電用蓄電池81bの充電が完了していなければ、制御部10は、計画停電用蓄電池81bの急速充電を再開する(ステップS170)。このようにして、制御部10は、次の計画停電までに充電が完了するように、計画停電用蓄電池81bの急速充電を継続する。
【0060】
次の計画停電の時刻が近づき、運転モードの切換操作が行われると(ステップS200のYes)、制御部10は、運転モードを計画停電モードに切り換え、計画停電に備える(ステップS210、ステップS120)。
【0061】
本実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
【0062】
例えば、次の条件の場合について考える。負荷22の負荷容量が10kVAであり、24時間のインターバルで60分の計画停電が実施されるものとする。無停電電源装置の定格負荷時のバックアップ時間は10分であり、放電終始後、満充電完了までに24時間必要であるものとする。
【0063】
上記の条件で計画停電をバックアップするには、従来の無停電電源装置では、定格が60kVA以上の容量のものを使用する必要がある。本実施形態に係る無停電電源装置1であれば、10kVAの無停電電源装置1に計画停電用蓄電池81bを60kVA相当分実装することで、計画停電に対応することができる。また、放電終了後に、計画停電用充電制御部82bにより充電電流が通常の6倍になるように急速充電を実施することで、充電時間はその逆の6分の1になり、24時間以内で満充電になる。
【0064】
このように、従来の無停電電源装置であれば、通常60kVAの容量が必要なところ、本実施形態に係る無停電電源装置1であれば、10kVAの容量を適用できる。このため、入力電源の容量が大幅に低減され、省エネルギーが実現可能となる。例えば、設置場所により、大容量の入力電源(例えば、商用電源)を確保できないような場合でも、無停電電源装置1を適用することができる。
【0065】
また、計画停電が終了し、通常モードに移行後、計画停電用蓄電回路8bにおいて、計画停電用充電制御部82bを動作状態とし、計画停電用放電制御部83bを停止状態とすることで、交流電源21が停電しても、計画停電用蓄電池81bが放電することはない。このため、計画停電の間隔が短い場合でも、無停電電源装置1は、次の計画停電までに、計画停電用蓄電池81bをバックアップ可能な容量まで計画的に充電させることができる。
【0066】
したがって、無停電電源装置1は、小容量化及び省エネルギー化を図り、計画停電をバックアップすることができる。
【0067】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る無停電電源装置1Aの構成を示す構成図である。
【0068】
無停電電源装置1Aは、図1に示す第1の実施形態に係る無停電電源装置1において、負荷分岐盤30を加え、制御部10を制御部10Aに代えたものである。その他の点については、第1の実施形態に係る無停電電源装置1と同様である。
【0069】
2つの負荷22a,22bは、第1の実施形態に係る負荷22を、計画停電時に電力供給する負荷22aと計画停電時に電力供給しない負荷22bに分けたものである。2つの負荷22a,22bは、例えば、重要度又は負荷の性質などにより分けられるが、どのように分けてもよい。
【0070】
負荷分岐盤30は、無停電電源装置1Aの出力側に取り付けられる。負荷分岐盤30は、無停電電源装置1Aの出力を2つに分岐する。負荷分岐盤30の2つの出力端子Ta,Tbは、無停電電源装置1Aの出力端子Ta,Tbとなる。出力端子Taには、計画停電時に電力供給する負荷22aが接続される。出力端子Tbには、計画停電時に電力供給しない負荷22bが接続される。
【0071】
負荷分岐盤30は、2つの分岐開閉器31a,31bを備える。2つの分岐開閉器31a,31bは、無停電電源装置1Aの出力分岐点と2つの出力端子Ta,Tbとの間にそれぞれ設けられる。分岐開閉器31aが開放されると、出力端子Taからの交流出力が止まる。分岐開閉器31bが開放されると、出力端子Tbからの交流出力が止まる。
【0072】
制御部10Aは、2つの分岐開閉器31a,31bのそれぞれの開閉制御を行う。その他の点は、第1の実施形態に係る制御部10と同様である。
【0073】
図5は、本実施形態に係る制御部10Aの制御による無停電電源装置1Aの動作の流れを示す流れ図である。なお、ここでは、図3に示す第1の実施形態に係る制御部10の制御による無停電電源装置1の動作の流れと異なる部分について主に説明し、その他の部分については同様に動作するものとして、説明を省略する。
【0074】
まず、無停電電源装置1Aは、計画停電モードで運転中であるものとする。
【0075】
無停電電源装置1Aは、計画停電が発生するまでは、交流電源21から供給される電力に基づいて、負荷22に電力供給する(ステップS210のNo)。
【0076】
制御部10Aは、計画停電を検出すると、計画停電用放電制御部83bを介して、計画停電用蓄電池81bを放電させて、バックアップ運転を開始する(ステップS210のYes、ステップS220)。
【0077】
計画停電が発生してから一定時間経過後、制御部10Aは、負荷分岐盤30の分岐開閉器31bを開放する。これにより、計画停電時に電力供給しない負荷22bが無停電電源装置1Aから切り離される(ステップS230)。
【0078】
計画停電が終了し、運転モードの切換操作が行われると、制御部10Aは、運転モードを通常モードに切り換える(ステップS240)。このとき、負荷22bは、無停電電源装置1Aから切り離されたままである。
【0079】
制御部10Aは、負荷22bが切り離されたままの状態で、計画停電用蓄電池81bの急速充電を開始する(ステップS250)。制御部10Aは、計画停電用蓄電池81bの充電が完了するまで(例えば、満充電になるまで)、急速充電を継続する(ステップS260のNo)。したがって、負荷22bが切り離されているため、その分の負荷電流を計画停電用蓄電池81bの充電に使うことができ、短時間急速充電が可能となる。
【0080】
計画停電用蓄電池81bの充電が完了すると、制御部10Aは、負荷分岐盤30の分岐開閉器31bを投入する(ステップS260のYes、ステップS270)。これにより、切り離されていた負荷22bが無停電電源装置1Aに接続される。よって、無停電電源装置1Aは、全ての負荷22a,22bに電力供給して、運転を継続する(ステップS280)。
【0081】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0082】
計画停電の発生後、一部の負荷22bを切り離し、計画停電の終了後、計画停電用蓄電池81bの充電が完了した後に、切り離した負荷22bを再接続することで、計画停電用蓄電池81bの放電時間を長くし、充電時間を短くすることができる。なお、計画停電の終了後に、切り離した負荷22bを再接続するのは、計画停電用蓄電池81bの充電前に行ってもよい。この場合でも、計画停電用蓄電池81bの放電エネルギーを少なくすることができるため、より長い時間、バックアップ運転することができ、計画停電用蓄電池81bの充電時間も短くすることができる。
【0083】
なお、各実施形態では、無停電電源装置1の入力電流Iiを検出して、無停電電源装置1の制御を行ったが、これに限らない。無停電電源装置1の出力電流又は蓄電回路8a,8bに流れる電流を検出してもよいし、任意の箇所で測定された電流を組合せてもよい。
【0084】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…無停電電源装置、2…交流入力遮断器、3…コンバータ、4…インバータ、5…昇圧変圧器、6…バイパスリレー、7…バイパスサイリスタ、8a,8b…蓄電回路、10…制御部、11…入力電流検出器、21…交流電源、22…負荷。
図1
図2
図3
図4
図5