(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
本実施の形態の画像形成装置は、
図1を参照すると、異なる4色C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のカラー画像データにそれぞれ対応する4つの画像形成部10a、10b、10c及び10dが配設されたカラープリンター1である。中間転写ベルト20が4つの画像形成部10a、10b、10c及び10dの上部に隣接して設けられている。
【0010】
4つの画像形成部10a、10b、10c及び10dには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム11がそれぞれ配設されている。感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11を帯電させる帯電装置12が設けられている。帯電装置12は、感光体ドラム11に当接して配置された帯電ローラーを備えている。定電圧電源から帯電ローラーに供給される定電圧によって、感光体ドラム11の表面が均一に帯電される。
【0011】
また、画像形成部10a、10b、10c及び10dには、感光体ドラム11にそれぞれ画像情報を露光する露光ユニット13と、感光体ドラム11上にそれぞれトナー像を形成する現像装置14と、感光体ドラム11上のトナー像をそれぞれ中間転写ベルト20に転写させる一次転写ローラー15と、感光体ドラム11上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング装置16とがそれぞれ設けられている。
【0012】
画像形成部10a、10b、10c及び10dの感光体ドラム11上にそれぞれ形成されたトナー像は、各感光体ドラム11に当接しながら移動する中間転写ベルト20上に順次転写される。中間転写ベルト20上に順次転写されたトナー像は、二次転写ローラー17において記録紙P上に一度に転写される。記録紙Pは、下部に配置された用紙カセット21内に収容されており、給紙ローラー22及びレジストローラー23を介して二次転写ローラー17へと記録紙搬送路24を搬送される。記録紙P上に転写されたトナー像は、定着装置18において記録紙Pに定着され、印刷が施された記録紙Pは、記録紙搬送路24を通って排出ローラー25によって機外に排出される。
【0013】
カラープリンター1内には、温度センサー41と、湿度センサー42とが設けられている。温度センサー41は、例えば、熱による電気抵抗変化を利用して温度を測定するサーミスターや、2種類の異なる金属間に生じる起電力を利用した熱電対式温度センサーによって構成される。また、湿度センサー42は、例えば、電極間の電気抵抗値の変化によって湿度を検出する電気抵抗式湿度センサーや、電極間の静電容量の変化によって湿度を検出する静電容量式湿度センサーによって構成される。なお、本実施の形態において、温度センサー41及び湿度センサー42は、感光体ドラム11の周辺の温度及び湿度を検出する目的で設けられている。従って、温度センサー41及び湿度センサー42は、感光体ドラム11の近くに設けると良い。また、各感光体ドラム11のそれぞれに対応して複数の温度センサー41及び湿度センサー42を設けるようにしても良い。
【0014】
図2には、カラープリンター1の概略構成を示すブロック図が示されている。カラープリンター1内には、各構成要素(画像形成部10a、10b、10c及び10d、露光ユニット13、定着装置18、中間転写ベルト20等)を制御する制御部3が備えられている。制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピューター等の情報処理部である。ROMには画像形成装置の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部3は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、通信部50によって受信された印刷ジョブに応じて各構成要素(画像形成部10a、10b、10c及び10d、露光ユニット13、定着装置18、中間転写ベルト20等)を制御して一連の画像形成動作を実現する。
【0015】
また、制御部3には、帯電電流検出部70が接続されている。帯電電流検出部70は、帯電装置12から感光体ドラム11に流れる帯電電流をそれぞれ検出する検出回路である。帯電電流検出部70は、例えば、定電圧電源と帯電装置12との間に接続された抵抗を備え、この抵抗の両端子間の電圧降下によって帯電装置12から感光体ドラム11に流れる帯電電流をそれぞれ検出する。
【0016】
また、制御部3には、通信部50と、記憶部60とに接続されている。通信部50は、LAN等のネットワーク51を介して、パーソナルコンピュータ等の周辺機器52との間で各種データを送受信する機能を有し、カラー画像データ等の画像形成に用いられる印刷データを含む印刷ジョブを周辺機器52から受信する。
【0017】
記憶部60は、半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段であり、通信部50によって受信したカラー画像データ等の印刷データが蓄積される記憶手段である。また、記憶部60には、温度特性情報61と、湿度特性情報62と、帯電特性情報63とが記憶されている。温度特性情報61、湿度特性情報62及び帯電特性情報63は、感光体ドラム11のそれぞれの特性情報である。
【0018】
図3に示すように、印刷枚数が増えて感光体ドラム11が劣化すると、帯電電流検出部70によって検出される帯電電流が増加する。
図3は、基準温度(例えば20℃)及び基準湿度(例えば50%)における帯電電流・印刷枚数特性グラフである。感光体ドラム11が劣化すると、画像品質が低下してしまう。従って、感光体ドラム11の交換の目安となる寿命閾電流(例えば90μA)及び寿命印刷枚数(例えば、150,000枚)が設定されている。帯電特性情報63は、基準温度(例えば20℃)及び基準湿度(例えば50%)における帯電電流・印刷枚数特性グラフに基づいて、帯電電流を印刷枚数(推定値)に換算するための情報(換算式やテーブルデータ)と、寿命閾電流(例えば90μA)及び寿命印刷枚数(例えば、150,000枚)とからなる。
【0019】
また、
図4に示すように、帯電電流検出部70によって検出される帯電電流は、温度が高くなるほど大きくなる。
図4にXで示すラインは、基準温度(例えば20℃)で帯電電流が寿命閾電流(例えば90μA)となる感光体ドラム11における帯電電流の温度特性グラフである。温度特性情報61は、基準温度(例えば20℃)で寿命閾電流(例えば90μA)となる帯電電流の温度特性グラフに基づいて、ある温度で検出された帯電電流を基準温度(例えば20℃)における帯電電流に換算するための情報(換算式やテーブルデータ)からなる。
【0020】
さらに、
図5に示すように、帯電電流検出部70によって検出される帯電電流は、湿度が高くなるほど大きくなる。
図5にYで示すラインは、基準湿度(例えば50%)で帯電電流が寿命閾電流(例えば90μA)となる感光体ドラム11における帯電電流の湿度特性グラフである。湿度特性情報62は、基準湿度(例えば50%)で寿命閾電流(例えば90μA)となる帯電電流の湿度特性グラフに基づいて、ある湿度で検出された帯電電流を基準湿度(例えば50%)における帯電電流に換算するための情報(換算式やテーブルデータ)からなる。
【0021】
また、制御部3は、帯電電流補正部31、使用状況判定部32として機能する。
帯電電流補正部31は、帯電電流検出部70によって検出された帯電電流を、温度センサー41及び湿度センサー42でそれぞれ検出された温度及び湿度と、温度特性情報61及び湿度特性情報62とを用いて、基準温度(例えば20℃)及び基準湿度(例えば50%)の帯電電流に補正する。例えば、
図4にポイントAで示すように、温度30℃で検出された帯電電流を、帯電電流補正部31は、
図4にポイントBで示すように、基準温度(例えば20℃)での帯電電流に補正する。また、
図5にポイントCで示すように、湿度80℃で検出された帯電電流を、帯電電流補正部31は、
図5にポイントDで示すように、基準湿度(例えば50%)での帯電電流に補正する。
【0022】
使用状況判定部32は、帯電電流補正部31によって補正された帯電電流と、寿命閾電流(例えば90μA)とを比較判定し、判定結果を液晶ディスプレイ等の表示部2から出力する。使用状況判定部32は、補正された帯電電流が寿命閾電流(例えば90μA)以上である場合に、感光体ドラム11が寿命であると判定し、感光体ドラム11の交換を促すメッセージを出力する。また、使用状況判定部32は、帯電電流補正部31によって補正された帯電電流を、帯電特性情報63を用いて印刷枚数に換算する。例えば、補正された帯電電流が
図3にポイントEで示す40μAである場合には、印刷枚数として27,000枚に換算する。換算された印刷枚数は推定値である。そして、使用状況判定部32は、換算した印刷枚数(例えば、27,000枚)と寿命印刷枚数(例えば、150,000枚)とを表示部2から出力する。これにより、ユーザーは、感光体ドラム11の使用状況、すなわち劣化具合を簡単に把握することができる。
【0023】
なお、帯電電流補正部31によって補正された帯電電流が、寿命閾電流(例えば90μA)未満であっても、帯電電流検出部70によって検出された帯電電流が、寿命閾電流(例えば90μA)以上である場合には、検出時の環境下(温度及び湿度)での感光体ドラム11の使用は好ましくない。従って、使用状況判定部32は、帯電電流検出部70によって検出された帯電電流が、寿命閾電流(例えば90μA)以上である場合には、感光体ドラム11が寿命であると判定するようにしても良い。
【0024】
また、帯電電流補正部31によって補正された帯電電流が、寿命閾電流(例えば90μA)以上であっても、帯電電流検出部70によって検出された帯電電流が、寿命閾電流(例えば90μA)未満である場合には、検出時の環境下(温度及び湿度)での感光体ドラム11の使用は問題ない。従って、使用状況判定部32は、帯電電流検出部70によって検出された帯電電流が、寿命閾電流(例えば90μA)未満である場合には、すぐに感光体ドラム11が寿命であると判定することなく、温度及び湿度の推移を見守り、環境が悪化した場合に、感光体ドラム11が寿命であると判定するようにしても良い。例えば、温度及び湿度のいずれか若しくは両方が基準温度(例えば20℃)及び基準湿度(例えば50%)に到達すると、環境の悪化と判断することができる。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態によれば、感光体ドラム11と、感光体ドラム11に当接し、感光体ドラム11の表面を均一に帯電する帯電装置12とを備えた画像形成装置であって、帯電装置12から感光体ドラム11に流れる帯電電流を検出する帯電電流検出部70と、感光体ドラム11の特性情報を記憶する記憶部60と、機内の温度を検出する温度センサー41と、機内の湿度を検出する湿度センサー42と、温度センサー41及び湿度センサー42によってそれぞれ検出された温度及び湿度と特性情報とを用いて、帯電電流検出部70によって検出された帯電電流を予め設定された基準温度及び基準湿度での帯電電流に補正する帯電電流補正部31と、帯電電流補正部31によって補正された帯電電流に基づいて使用状況を判定する使用状況判定部32とを備えている。
この構成により、環境条件である温度及び湿度による変動を考慮した帯電電流によって、感光体ドラム11の使用状況を正確に判定することができる。
【0026】
さらに、本実施の形態によれば、特性情報は、基準温度及び基準湿度における帯電電流・印刷枚数特性に基づいて、帯電電流を印刷枚数に換算する帯電特性情報63を有し、使用状況判定部32は、帯電電流補正部31によって補正された帯電電流を、帯電特性情報63を用いて印刷枚数に換算して出力する。
この構成により、ユーザーは、感光体ドラム11の使用状況、すなわち劣化具合を簡単に把握することができる。
【0027】
さらに、本実施の形態によれば、感光体ドラム11の寿命を判定する寿命閾電流が設定されており、特性情報は、基準温度で寿命閾電流となる帯電電流の温度特性に基づいて、ある温度で検出された帯電電流を基準温度における帯電電流に換算する温度特性情報61と、基準湿度で寿命閾電流となる帯電電流の湿度特性に基づいて、ある湿度で検出された帯電電流を基準湿度における帯電電流に換算する湿度特性情報62とを有する。
この構成により、環境条件である温度及び湿度による変動を考慮した帯電電流によって、感光体ドラム11の寿命を正確に判定することができる。すなわち、基準温度で寿命閾電流となる帯電電流の温度特性及び湿度特性に基づいて、帯電電流を補正しているため、感光体ドラム11が寿命に近づくほど、帯電電流を正確に補正することができる。
【0028】
さらに、本実施の形態によれば、使用状況判定部32は、帯電電流補正部31によって補正された帯電電流が、寿命閾電流未満であっても、帯電電流検出部70によって検出された帯電電流が、寿命閾電流以上である場合には、感光体ドラム11が寿命であると判定する。
この構成により、補正された帯電電流が寿命閾電流未満であっても、好ましくない環境下での感光体ドラム11の使用継続を防止することができる。
【0029】
さらに、本実施の形態によれば、使用状況判定部32は、帯電電流補正部31によって補正された帯電電流が、寿命閾電流以上であっても、帯電電流検出部70によって検出された帯電電流が、寿命閾電流未満である場合には、すぐに感光体ドラム11が寿命であると判定することなく、温度センサー41及び湿度センサー42によってそれぞれ検出された温度及び湿度のいずれか若しくは両方が基準温度及び基準湿度に到達すると、感光体ドラム11が寿命であると判定する。
この構成により、補正された帯電電流が寿命閾電流以上であっても、問題のない環境下では、感光体ドラム11の使用を継続することができる。
【0030】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。