(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1係合部の前記一端部側の端部に設けられ、前記第2係合部と当接することにより前記連結解除位置から前記連結位置への前記駆動軸部材のスライド移動を規制して、前記駆動軸部材を前記連結解除位置に保持する規制部を更に備える請求項1から3の何れか一項に記載の搬送ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の全体構成について説明する。画像形成装置1は、本発明の画像形成装置の一例である。なお、説明の便宜上、画像形成装置1が使用可能な設置状態(
図1に示される状態)における鉛直方向を上下方向501と定義する。また、前記設置状態の画像形成装置1の正面を基準にして左右方向502を定義する。また、前記設置状態において不図示の操作表示部が設けられた側の面を正面(前面)として前後方向503を定義する。
【0016】
画像形成装置1は、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ機能、及びスキャン機能などの各機能を備える複合機である。なお、画像形成装置1は複合機に限られず、プリンターや複写機、ファクシミリ装置などの専用機であっても、本発明は適用可能である。
【0017】
画像形成装置1は、画像形成部2と、画像読取部3とを備える。なお、図示していないが、画像形成装置1は、画像形成装置1のユーザーによる各種の指示の入力のための操作を受け付けたり、ユーザーに対して各種の情報を表示したりする前記操作表示部を有する。
【0018】
画像形成部2は、後述する給紙部4の搬送ユニット100により搬送されるシート部材に対して画像を形成する。画像形成部2は、後述する画像読取部3で読み取られた画像データ、或いは外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から不図示の通信I/F部を通じて受信した画像データに基づいて、シート部材に画像を形成する。
【0019】
画像形成部2は、画像形成装置1の下部に設けられており、直方形状の装置本体2Aを有している。装置本体2Aの内部には、給紙部4、複数の搬送ローラー6、感光体ドラム9と、帯電部10と、LSU(Laser Scanning Unit)11と、現像部12と、転写ローラー13と、クリーニング部14と、定着部8を備える。本実施形態の画像形成部2は、一般的な電子写真方式で画像形成を行うものであるため、詳細な説明は省略する。また、画像形成部2が、インクジェット記録方式、或いはそれ以外の記録方式の画像形成部であることも他の実施形態として考えられる。
【0020】
給紙部4は、給紙カセット4Aと、搬送ユニット100(
図2参照)とを有する。給紙カセット4Aは、シート部材を収容する。搬送ユニット100は、給紙ローラー102を有し、給紙カセット4Aに収容されている前記シート部材を給紙ローラー102によって繰り出す。搬送ユニット100については、後述する。
【0021】
画像読取部3は、原稿P1の画像を読み取る画像読取処理を実行する。
図1に示されるように、画像読取部3は、筐体3Aを有する。そして、画像読取部3は、筐体3Aの内部に、コンタクトガラス40、読取ユニット41、ミラー42、43、光学レンズ44及び撮像素子45を備える。コンタクトガラス40の上側のガラス面は、原稿P1が載置可能な原稿載置面M1であり、画像読取部3の上面は、この原稿載置面M1を含んで構成されている。読取ユニット41は、LED光源46及びミラー47を備えており、コンタクトガラス40の下方で、ステッピングモーター等の駆動モーターを用いた移動機構(不図示)により左右方向502へ移動可能に構成されている。
【0022】
画像読取部3の上部には原稿カバー50が設けられている。原稿カバー50は、筐体3Aの上面の後側(背面側)の端部を回動中心として、原稿載置面M1を覆う閉姿勢と、原稿載置面M1から離間して原稿載置面M1を露出させる開姿勢との間で回動可能なように、筐体3Aに支持されている。原稿カバー50は、前記閉姿勢において、原稿載置面M1に載置された原稿P1をその下面が原稿載置面M1に沿う状態に押さえ、且つ、読取ユニット41へ向かう外光を遮る。
【0023】
原稿カバー50は、ADF(Auto Document Feeder)60を有する。また、ADF60は、原稿載置部65、排紙部66、及び搬送ローラー61〜64を備えている。原稿載置部65は、原稿カバー50のうち原稿載置面M1と対面する対向面301と反対側の位置に設けられている。原稿載置部65には、1又は複数枚の原稿P1が載置される原稿載置面N1が構成されている。
【0024】
画像形成装置1は、二通りの読取方式の読取処理が実行可能である。第1の読取方式は、コンタクトガラス40上に載置された原稿P1の画像を画像読取部3によって読み取る読取方式である。第2の読取方式は、原稿載置部65に原稿P1が載置された原稿P1の画像を画像読取部3によって読み取る読取方式である。なお、これらの読取方式は、周知の読取方式であるため、詳細な説明は省略する。
【0025】
次に、
図2、
図3を参照して、搬送ユニット100の構成について説明する。
【0026】
搬送ユニット100は、装置本体2Aに対して着脱可能である。
図2に示されるように、搬送ユニット100は、フレーム101と、給紙ローラー102と、シャフト部材103と、駆動ギヤ104とを有する。フレーム101は、本発明の筐体の一例である。給紙ローラー102は、本発明のローラー部材の一例である。搬送ユニット100は、本発明の搬送ユニットの一例である。シャフト部材103は、本発明の駆動軸部材の一例である。
【0027】
フレーム101は、樹脂で作製されており、
図3(A)に示されるように、ベース部105と、前記ベース部105の一方端に設けられた第1側板106と、前記ベース部105の他方端に設けられた第2側板107とを有する。
【0028】
ベース部105は、前後方向503に長尺な形状に形成されている。第1側板106は、ベース部105の長手方向の一方の端部に設けられており、ベース部105の長手方向に対して垂直に交差する。第2側板107は、ベース部105の長手方向の他方の端部に設けられており、ベース部105の長手方向に対して垂直に交差する。第1側板106と第2側板107とは、互いに平行である。
【0029】
ベース部105は、給紙ローラー102及びシャフト部材103を覆う。
図3(A)に示されるように、ベース部105は、その長手方向の略中央部に、一対の隔壁部108,109を有する。一対の隔壁部108,109によって、本発明のローラー装着部が実現されている。隔壁部108と隔壁部109とは、ベース部105の長手方向に所定距離だけ隔てて互いに対向して設けられている。隔壁部108と隔壁部109とにより挟まれた空間は、ベース部105の長手方向における略中央部に位置し、給紙ローラー102が収容される収容空間S1である。隔壁部108及び隔壁部109によって給紙ローラー102が収容空間S1に収容された状態で装着される。
【0030】
隔壁部108には、短軸部110が設けられている。短軸部110は、隔壁部108を貫通し、隔壁部108により回転可能に支持されている。短軸部110は、収容空間S1に収容された給紙ローラー102の周面を挟む側部117、118(
図10参照)のうちの一方の側部117に設けられた不図示の凹部に嵌合し、給紙ローラー102を回転可能に支持する。
【0031】
隔壁部109には、貫通孔112が設けられている。貫通孔112には、シャフト部材103の他方端部139が挿通される。隔壁部109の貫通孔112は、第1側板106の後述の貫通孔115とともにシャフト部材103を回転可能に支持する。シャフト部材103の大部分は、隔壁部109よりも第1側板106側の領域に配設される。
【0032】
第1側板106は、ベース部105側に凹設された凹部113を有する。凹部113には駆動ギヤ104が収容される。凹部113の底面には、貫通孔115が設けられている。貫通孔115には、シャフト部材103の一方端部138(
図3(C)参照)が貫通される。駆動ギヤ104は、シャフト部材103の一方端部138に取り付けられる。このように、第1側板106は、貫通孔115を貫通するシャフト部材103を回転可能に支持し、且つ、シャフト部材103の一方端部138に取り付けられた駆動ギヤ104を凹部113に収容する。
【0033】
このように、シャフト部材103は、隔壁部109及び第1側板106により回転可能に支持される。よって、シャフト部材103は、フレーム101により回転可能に支持される。
【0034】
給紙ローラー102は、シート部材の搬送に用いられる。
図3(B)に示されるように、給紙ローラー102は、支持体120と、ゴムロール部121とを有する。ゴムロール部121は、NBR(ニトリルゴム)やシリコンなどの弾性素材によって構成された円筒形状のローラー部材である。支持体120は、ゴムロール部121の両端の開口それぞれに嵌め入れられるフランジであり、円盤形状に形成された樹脂製品である。ゴムロール部121の両端の開口に支持体120が嵌入されることにより、支持体120の外周縁がゴムロール部121に当接する。
【0035】
支持体120は、その中心を貫通する貫通孔122を有する。貫通孔122は、支持体120の中心に形成されている。なお、
図3(B)には、一方の貫通孔122のみ図示されている。一方の貫通孔122には、シャフト部材103に形成された後述する継ぎ手135(
図3(C)参照)が嵌め込まれる。支持体120は、貫通孔122に嵌め込まれたシャフト部材103から支持体120に伝達される回転駆動力をゴムロール部121に伝達する。他方の貫通孔122には、隔壁部108に設けられた短軸部110が嵌め込まれる。
【0036】
シャフト部材103は、図示しないモーターなどの駆動源(不図示)からの回転駆動力が入力ギヤ124(
図2参照)を介して駆動ギヤ104に伝達される。これにより、シャフト部材103は、回転軸線L1周りに予め定められた回転方向へ回転し、前記回転駆動力を給紙ローラー102に伝達する。前記駆動源及び入力ギヤ124は、装置本体2Aの内部に設けられている。
図2及び
図3(C)に示されるように、駆動ギヤ104は、入力ギヤ124に噛み合わされてる。入力ギヤ124は、シャフト部材103の軸線方向と同じ方向へ長い形状に形成されている。このため、後述するように、シャフト部材103が軸線方向へスライド移動しても、駆動ギヤ104は入力ギヤ124に噛み合わされた状態を維持する。つまり、駆動ギヤ104と入力ギヤ124との連結が維持される。シャフト部材103は、給紙ローラー102とともにベース部105に収容される。
図3(C)に示されるように、シャフト部材103は、前後方向503に長尺の略円柱状の部材であり、第1軸部131と、第2軸部132と、第3軸部133と、第4軸部134と、継ぎ手135とを有する。
【0037】
第1軸部131は、所定の断面径を有する。第2軸部132は、第1軸部131と連続する部位であり、第1軸部131より小さい断面径を有する。第3軸部133は、第2軸部132と連続する部位であり、第1軸部131と略同一の断面径を有する。第4軸部134は、第3軸部133と連続する部位であり、第2軸部132と略同一の断面径を有する。
【0038】
継ぎ手135は、シャフト部材103において、第4軸部134側の一方端部138とは反対側(第1軸部131側)の他方端部139に設けられている。継ぎ手135は、他方端部139において第1軸部131に一体に形成されている。継ぎ手135は、例えば、第1軸部131の他方端部139の外周面に複数の縦溝が形成されたものである。支持体120の貫通孔122の内面には、前記縦溝に挿入可能な突起122A(
図3(B)参照)が形成されている。この貫通孔122に継ぎ手135が挿通されて、突起122Aが前記縦溝に挿入すると、貫通孔122と継ぎ手135とがシャフト部材103の周方向に連結する。つまり、突起122Aを有する貫通孔122は、継ぎ手135を周方向に連結する役割を担う。継ぎ手135が支持体120の貫通孔122に挿通されて連結された状態のとき、前記駆動源からの回転駆動力がシャフト部材103から給紙ローラー102に伝達される。一方、継ぎ手135が支持体120の貫通孔122から抜き出た状態のとき、前記回転駆動力が給紙ローラー102に伝達されなくなる。以下、継ぎ手135が支持体120の貫通孔122に連結され、前記駆動源からの回転駆動力が給紙ローラー102に伝達されるときのシャフト部材103の軸方向の位置を連結位置(
図7(A)参照)という。また、継ぎ手135が支持体120の貫通孔122から抜き出て連結が解除されて、前記回転駆動力が給紙ローラー102に伝達されなくなるときのシャフト部材103の軸方向の位置を連結解除位置(
図9(A)、(B)参照)という。
【0039】
第1側板106の貫通孔115に第1側板106の内側からシャフト部材103の一方端部138を挿通させることにより、第4軸部134が貫通孔115を貫通する。このとき、第4軸部134は、貫通孔115を貫通して、第1側板106の外側に延出する。本実施形態では、シャフト部材103が前記連結位置及び前記連結解除位置のいずれの位置に配置されていても、第4軸部134は貫通孔115を貫通した状態で貫通孔115に支持される。このため、シャフト部材103は、回転軸線L1(
図4参照)の周りに回転可能であり、かつ、回転軸線L1に沿う方向(軸線方向)へスライド移動可能である。
【0040】
上述したように、給紙ローラー102は、シャフト部材103及び短軸部110により回転可能に支持される。シャフト部材103及び短軸部110は、フレーム101に回転可能に支持される。よって、給紙ローラー102は、フレーム101に回転可能に支持される。
【0041】
本実施形態の搬送ユニット100は、ワンタッチ操作で、給紙ローラー102(支持体120)の貫通孔122に嵌まり込んだシャフト部材103を貫通孔122から抜いて、給紙ローラー102を収容空間S1から取り出し可能にする機構が設けられている。以下、この機構について説明する。
【0042】
搬送ユニット100は、フレーム101に形成された解除レバー141(
図3(A)参照)と、シャフト部材103に形成された被係合部142(
図3(C)参照)とを有する。また、搬送ユニット100は、規制部190(
図4参照)と、コイルスプリング170(
図7参照)とを備える。なお、
図6では、コイルスプリング170の図示が省略されている。
【0043】
図4に示されるように、被係合部142は、シャフト部材103の所定位置に形成されている。具体的には、被係合部142は、シャフト部材103の第3軸部133に形成されている。より詳細には、被係合部142は、第3軸部133における第1軸部131側の端部136に設けられている。被係合部142は、本発明の第1係合部の一例である。
【0044】
被係合部142は、端部136において第1軸部131側の側面136Aに形成された環状溝142A(
図4参照)を有する。環状溝142Aは、側面136Aから回転軸線L1に沿って第3軸部133の内部側に円環状に切り欠いた形状である。環状溝142Aは、第2軸部132が側面136Aから第3軸部133の内部側へ延出するように形成されており、その結果、環状溝142Aの中心に第2軸部132の一部が形成される。言い換えると、環状溝142Aが形成されることにより、第2軸部132が第3軸部133の内部側へ延出し、第2軸部132における一方端部138側の軸端が環状溝142Aの底部に達している。したがって、環状溝142Aの内周面のうち、回転軸線L1側の内面が第2軸部132の外周面162となっている。一方、環状溝142Aの内周面のうち、回転軸線L1とは反対側の内周面161は、第2軸部132の外周面162と対面している。
【0045】
環状溝142Aは、環状溝142Aの底部へ向けて先細り形状に形成されている。具体的には、内周面161が、環状溝142Aの底部へ向けて傾斜しており、より詳細には、内周面161が、環状溝142Aの底部へ向けて環状溝142Aの内部スペースS2が先細りするように傾斜している。言い換えると、環状溝142Aの内周面161は、円錐面である。したがって、
図4に示されるように、回転軸線L1でシャフト部材103を切断した断面図において、環状溝142Aは断面視で楔形状に形成されている。本実施形態では、環状溝142Aの内部スペースS2に、後述の係合部149が挿入される。
【0046】
図5に示されるように、解除レバー141は、フレーム101のベース部105における所定位置に形成されている。解除レバー141は、シャフト部材103と給紙ローラー102との連結を解除する際に操作される。具体的には、解除レバー141は、ベース部105のうち隔壁部109より第1側板106側の位置に形成されている。より詳細には、前記連結位置に位置するときのシャフト部材103の被係合部142の位置へ向かう方向Y1(
図5(B)参照)へ突出するように形成されている。
【0047】
図5に示されるように、ベース部105の前記所定位置に補強リブ144がベース部105に一体に形成されている。補強リブ144は、ベース部105の裏面から垂直に突出する板状のリブである。解除レバー141は、補強リブ144に連続するように形成されており、鉤状に突出した形状である。具体的には、解除レバー141は、アーム部145と、第1起立部146と、操作部147と、第2起立部148と、係合部149とを有する。係合部149は、本発明の第2係合部の一例である。
【0048】
アーム部145は、補強リブ144の先端からベース部105の長手方向へ延びている。アーム部145は、補強リブ144から給紙ローラー102側へ延在しており、板状の部位である。解除レバー141は、フレーム101と一体に形成されているため、フレーム101と同じ樹脂で構成されている。上述したように、アーム部145が板状に形成されているため、樹脂の可撓性によってアーム部145は弾性変形可能である。具体的には、アーム部145は、
図5(B)において上下方向へ弾性変形可能である。
【0049】
第1起立部146は、アーム部145の延出端から上方へ延びる板状の部位である。操作部147は、第1起立部146の延出端に設けられている。操作部147は、第1起立部146の延出端からベース部105の裏面から離れる方向へ延在する部位である。ベース部105は、その短手方向の一方端に設けられた外周壁143を有する。外周壁143はベース部105の裏面に垂直な方向へ突出している。操作部147は、ベース部105の外周壁143に対して所定距離を隔てて対向している。第2起立部148は、操作部147及び第1起立部146それぞれにおける隔壁部109側の側部に一体に設けられている。つまり、第2起立部148は、第1起立部146及び操作部147に連続した部位である。第2起立部148は、前記側部の下端からシャフト部材103へ向けて延出している。また、第2起立部148は、補強リブ144と略平行に設けられている。係合部149は、第2起立部148に設けられている。具体的には、係合部149は、第2起立部148の延出端部(下端部)から第1側板106側へ突出した部位である。
【0050】
上述したように、解除レバー141は、シャフト部材103の被係合部142へ向けてベース部105から延出している。解除レバー141は、シャフト部材103が前記連結位置に位置するとき、被係合部142よりも給紙ローラー102側を通って係合部149が被係合部142よりも回転軸線L1側に位置するように突出する。このとき、係合部149は、そのシャフト部材103の環状溝142Aの内部スペースS2に嵌まり込む(
図4参照)。
【0051】
係合部149は、傾斜面150を有する。傾斜面150は、被係合部142の環状溝142Aの内周面161と同じ傾斜度の傾斜面である。すなわち、傾斜面150は、第2起立部148から第1側板106側へ向けて、被係合部142の内周面161の傾斜方向と同じ方向へ同じ傾斜角度だけ傾斜している。これにより、係合部149が内部スペースS2に挿入された状態で、係合部149の傾斜面150における幅方向の端部全域が、内周面161に当接可能である。
【0052】
上述した構成の解除レバー141において、シャフト部材103から離間する方向X1(以下、離間方向X1という。)の外力(作業者の操作力)が操作部147に加えられると、解除レバー141は、主にアーム部145がシャフト部材103から前記離間方向X1へ弾性変形する。アーム部145が弾性変形すると、
図5(B)の二点鎖線で示されるように、第1起立部146、操作部147、第2起立部148は前記外力が加えられた方向、つまり前記離間方向X1へ変位する。これにより、係合部149は、内部スペースS2から脱出して被係合部142との係合が解除された後述の非係合位置(
図9参照)となる。一方、操作部147に加えられていた前記外力が無くなると、弾性変形されていたアーム部145が元の形状に戻り、これにともない、解除レバー141の第1起立部146、操作部147、第2起立部148は、シャフト部材103に近づく方向Y1(以下、戻り方向Y1という。)へ変位して、元の位置に戻される。これにより、係合部149は、内部スペースS2に進入して被係合部142と係合する係合位置(
図7参照)となる。つまり、解除レバー141が前記離間方向X1又は前記戻り方向Y1へ変位することによって、係合部149は前記係合位置(
図7参照)と後述の非係合位置(
図9参照)との間で変位可能である。
【0053】
図6に示されるように、コイルスプリング170は、その内部にシャフト部材103の第4軸部134が挿通された状態で、第3軸部133における第1側板106側の端部137と、第1側板106における内側面116との間に設けられている。
【0054】
コイルスプリング170は、第4軸部134に挿通された状態でシャフト部材103及び給紙ローラー102がフレーム101に装着された場合に収縮状態となり、シャフト部材103を給紙ローラー102側に押圧する。コイルスプリング170は、シャフト部材103を前記連結解除位置から前記連結位置へ向かう方向へ押圧する。コイルスプリング170は、本発明の押圧部材の一例である。
【0055】
図4に示されるように、規制部190は、被係合部142の外周面163側に形成されている。規制部190は、係合部149と当接することにより前記連結解除位置から前記連結位置へのシャフト部材103のスライド移動を規制して、シャフト部材103を前記連結解除位置に保持するものである。規制部190は、被係合部142の外周面163一周に亘って外周面163から外方に突出する鍔部164によって形成され、第1規制面165と第2規制面167とを有する。
【0056】
第1規制面165は、鍔部164のうち第3軸部133の外周面163に交差する面のうち給紙ローラー102側に位置する面である。第1規制面165は、被係合部142の先端部166よりも微小量だけ第1側板106側に位置する。第2規制面167は、第3軸部133の外周面163のうち鍔部164よりも給紙ローラー102側に位置する面である。第1規制面165及び第2規制面167による規制の態様については後述する。
【0057】
規制部190は、係合部149と被係合部142との係合が解除された場合において、作業者が操作部147から指を離しても、収縮状態のコイルスプリング170のバネ力及びアーム部145の復元力によって、シャフト部材103が前記連結位置にひとりでに変位したり、係合部149が前記係合位置にひとりでに変位したりしないよう、係合部149の変位を規制する。詳細には後述する。
【0058】
次に、解除レバー141、被係合部142、規制部190、及びコイルスプリング170の作用について説明する。
【0059】
係合部149がシャフト部材103の環状溝142Aの内部スペースS2に嵌まり込んでいる状態(
図7(A)参照)で、作業者により操作部147に対し回転軸線L1から離間する前記離間方向X1の外力F1が加えられると、係合部149等が前記離間方向X1へ変位する(
図7(B)参照)。
【0060】
具体的には、前記離間方向X1の外力F1が加えられて、係合部149が前記離間方向X1へ移動すると、係合部149の傾斜面150が被係合部142の内周面161に当接する。そして、傾斜面150が内周面161に当接した状態で外力F1が継続して加えられると、
図8に示されるように、係合部149は、傾斜面150及び内周面161を通じて被係合部142に押圧力F2を及ぼす。押圧力F2は、傾斜面150及び内周面161の法線方向と同一の方向の力である。ここで、押圧力F2には、回転軸線L1方向の成分の分力F2xが含まれる。この分力F2xは、第1側板106側へ向かう方向の分力である。よって、シャフト部材103は、この分力F2xによって第1側板106側へ向かう方向X2へ押圧される。一方、コイルスプリング170は、前述したように収縮状態であるため、方向X2とは反対の方向、すなわち収容空間S1側へシャフト部材103を押圧するが、そのバネ力F3は分力F2xより小さい。そのため、シャフト部材103は、コイルスプリング170によるバネ力F3に抗して第1側板106側へスライド移動する(
図7(B)参照)。係合部149と被係合部142とが傾斜面150及び内周面161を通じて係合している間、つまり、傾斜面150と内周面161とが接触した状態で外力F1が加えられている間、シャフト部材103の第1側板106側へのスライド移動が続く。このように、被係合部142は、操作部147に対して前記離間方向X1の外力が付与されることにより、前記係合位置から前記非係合位置へ変位してシャフト部材103を前記連結位置から前記連結解除位置へ変位させる分力F2xを被係合部142に付与する。分力F2xは、本発明の第1押圧力の一例である。
【0061】
そして、作業者によって操作部147に外力F1(
図7参照)が加えられることによって、操作部147が前記離間方向X1へ移動し、前記離間方向X1における操作部147の変位量が予め定められた第1変位量に達すると、シャフト部材103の継ぎ手135が貫通孔122から抜ける位置までシャフト部材103がスライド移動する。これにより、シャフト部材103の継ぎ手135と給紙ローラー102の貫通孔122との嵌合が解除される。このとき、給紙ローラー102の交換が可能となる。
【0062】
さらに、操作部147に対する外力F1(
図7参照)の操作が継続されて、前記離間方向X1における操作部147の変位量が予め定められた第2変位量に達すると、傾斜面150及び内周面161を通じた係合部149と被係合部142との係合が解除され、係合部149の先端部151と被係合部142の先端部166とが対向する解除状態となる(
図9(A)参照)。このとき、被係合部142の内周面161に分力F2xが付与されなくなり、回転軸線L1方向における第1側板106側へのシャフト部材103の移動が止まる。このときの係合部149の位置が本発明の係合解除位置に相当する。また、この場合、シャフト部材103には収容空間S1側へのバネ力F4が付与されているので、先端部151が先端部166に対向している場合は、バネ力F4を受けて、先端部151に先端部166が当接する。
【0063】
前記離間方向X1における操作部147の変位量が更に大きくなると、それにともない、係合部149の先端部151が側面136Aを前記離間方向X1へ摺動し、
図9(B)に示されるように、係合部149の先端部151が、規制部190の第1規制面165に対向する位置まで移動する。先端部151が第1規制面165に対向する位置にあり、先端部151と第1規制面165とが当接している場合は、コイルスプリング170のバネ力F4によってシャフト部材103が給紙ローラー102側にスライド移動することが先端部151及び第1規制面165によって規制される。これにより、シャフト部材103が前記連結解除位置に保持される。
【0064】
ここで、第1規制面165の回転軸線L1における位置と被係合部142の先端部166の回転軸線L1における位置との位置ずれ量は、微小量である。すなわち、シャフト部材103が前記解除状態から前記規制状態に遷移する際に、前記位置ずれ量に起因してシャフト部材103が回転軸線L1に沿って収容空間S1側へ変位したとしても、その変位量は、シャフト部材103が給紙ローラー102の収容空間S1に進入しないような値に設計されている。
【0065】
また、解除レバー141におけるアーム部145の復元力によって、係合部149がシャフト部材103に接近する前記戻り方向Y1(前記離間方向X1と反対の方向)へ変位しようとする。しかし、係合部149が第2規制面167に当接し、前記離間方向X1への係合部149の変位が第2規制面167によって規制される。
【0066】
このように、解除レバー141は、係合部149が第1規制面165と第2規制面167とによって規制される規制位置に保持される。したがって、作業者が指で解除レバー141を前記規制位置に保持することなく、給紙ローラー102をフレーム101から取り出すことが可能となる。
【0067】
前記離間方向X1における操作部147の変位量が更に大きくなると、
図10に示されるように、係合部149の先端部151と規制部190の第1規制面165及び第2規制面167との係合が解除される。このときの係合部149の位置を非係合位置という。これにより、シャフト部材103は、コイルスプリング170のバネ力F4によって収容空間S1側へ変位する。その結果、収容空間S1に給紙ローラー102が収容されている場合、シャフト部材103は、給紙ローラー102の貫通孔122に嵌合する。以上で給紙ローラー102の交換が完了する。コイルスプリング170の押圧力F4は、本発明の第2押圧力の一例である。
【0068】
以上のように、作業者は、解除レバー141の係合部149を前記離間方向X1へ変位させる操作を行うだけで、シャフト部材103が給紙ローラー102の貫通孔122から抜けてその状態が保持される。よって、作業者は、操作部147を操作する手指とは別の手指を使ってシャフト部材103をその位置に保持させる必要がなくなる。これにより、作業者は、簡単に給紙ローラー102を交換することができる。具体的には、作業者は、解除レバー141の操作部147を前記離間方向X1へ操作するだけで、収容空間S1から給紙ローラー102を容易に取り外すことができる。
【0069】
また、操作部147を保持した状態で、新たな給紙ローラー102を収容空間S1に収容させた後に、操作部147に付与している外力F1を解除することで、シャフト部材103がコイルスプリング170のバネ力F4によって収容空間S1側へスライド移動する。このとき、貫通孔122に継ぎ手135が挿入される。これにより、シャフト部材103が、収容空間S1に収容されている給紙ローラー102の貫通孔122に嵌合される。つまり、シャフト部材103が給紙ローラー102に連結されて、給紙ローラー102が収容空間Sに装着される。このため、作業者は、給紙ローラー102を収容空間S1に容易に装着することができる。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前述した内容のものに限られず、種々の変形例が適用可能である。
【0071】
前記実施形態においては、解除レバー141に設けられた係合部149とシャフト部材103に設けられた被係合部142とが、傾斜面150及び内周面161を通じて当接し係合する。しかし、係合部149と被係合部142との両方に傾斜面が設けられていなくてもよい。例えば、
図11(A)に示されるように、解除レバー141に設けられた係合部149の先端部181が球状に成型され、その先端部181とシャフト部材103に設けられた被係合部142とが当接し係合する構成も採用可能である。また、
図11(B)に示されるように、シャフト部材103に設けられた被係合部142の先端部182が球状に成型され、その先端部182と解除レバー141に設けられた係合部149とが当接し係合する構成も採用可能である。
【0072】
また、前記実施形態では、第3軸部133における第1軸部131側の端部136の側面136Aに環状溝142Aが形成された被係合部142を例示したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、シャフト部材103に第2軸部132を設けずに、これに代えて、周方向に連続する環状のフランジを外周面に設け、このフランジにおける他方端部139側の側面に環状溝142Aが形成された構成であってもよい。この場合、小径の第2軸部132を設ける必要がないため、シャフト部材103のねじりに対する剛性が低下せず、安定した回転駆動力を給紙ローラー102に伝達することができる。
【0073】
また、本発明の画像読取装置は、画像読取部3のみで構成されたスキャナー装置であってもよい。この場合、画像読取部3の搬送ローラー61〜64のうち原稿載置部65に載置された原稿を繰り出す搬送ローラー61を含む搬送ユニットが本発明の搬送ユニットの一例となり、画像読取部3は、前記搬送ユニットにより搬送されるシート部材に形成された画像を読み取る。