(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
また、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の一実施形態によるデジタルカメラの概要
2.基本構成
3.動作処理
3−1.デジタルカメラの動作処理
3−2.制御システムの動作処理
4.他の実施の形態
5.まとめ
【0026】
<<1.本開示の一実施形態によるデジタルカメラの概要>>
まず、本開示の一実施形態によるデジタルカメラの概要について
図1を参照して説明する。
図1に示すデジタルカメラ10は、本開示による撮像装置の一例である。なお本開示による撮像装置はデジタルカメラ10に限定されず、例えばデジタルビデオカメラであってもよい。
【0027】
デジタルカメラ10の上面には、電源ボタン15およびシャッターボタン14が設けられている。さらに、電源ボタン15には電源ランプ12が一体化して設けられ、電源ランプ12が点灯することにより、デジタルカメラ10の電源がON状態であることをユーザに通知する。
【0028】
また、デジタルカメラ10には、NFC(Near Field Communication)通信を行うNFC通信部(NFCタグ)120が搭載され、近接する外部装置に搭載されたNFC通信部と非接触通信を行う。
図1に示す例では、スマートフォン等の通信端末20が近接された場合に、通信端末20に搭載されたNFC通信部22と、デジタルカメラ10のNFC通信部120により非接触通信が行われる。
【0029】
通信端末20に搭載されたNFC通信部22は、NFCアンテナと協働して近接するデジタルカメラ10とNFC通信を行う。具体的にはNFC通信部22は、NFCアンテナから略数cm〜10cm程度、または設計によっては略7mm程度の近距離に到達する電波を送信し、電波到達範囲内に含まれるデジタルカメラ10のNFCアンテナ121(
図4参照)を駆動させ、デジタルカメラ10とNFC通信を行う。
【0030】
電源OFF状態のデジタルカメラ10は、
図1上に示すように、通信端末20が近接されると、NFC通信に応じて電源が入り(電源ON)、起動する。そして、デジタルカメラ10は、通信端末20からの要求に応じてWi−Fi(Wireless Fidelity)等の無線通信接続を行い、通信端末20側では所定のアプリケーションが起動され、デジタルカメラ10と通信端末20の連携機能が実施される。
【0031】
(背景)
ここで、デジタルカメラ10の電源ONから連携機能の実施までの一連の動作の流れにおける問題点について、
図2、
図3を参照して説明する。
【0032】
図2は、比較例によるデジタルカメラ30と、通信端末20との一連の動作の流れについて説明するための状態遷移図である。
図2に示すように、電源OFF状態のデジタルカメラ30に、起動済みでロック解除された通信端末20を近接させると、NFC通信によってデジタルカメラ30の電源が入る(電源ON)。通常、電源がONになったタイミングで、デジタルカメラ30では、
図2に示すように、沈胴式レンズ310を突出させたり、電源ランプ320を点灯させたり等の撮像準備動作が行われる。
【0033】
次に、デジタルカメラ30に近接された通信端末20は、NFC通信により、Wi−Fi等の無線通信接続を行うための接続情報(IDやPassKey等の情報)や起動するアプリケーションの情報(パッケージ名等)をデジタルカメラ30から取得する。
【0034】
次いで、通信端末20は、デジタルカメラ30から取得したアプリケーション情報に基づいて所定のアプリケーションを起動し、表示部21には、アプリケーションの起動画面が表示される。
【0035】
続いて、通信端末20は、デジタルカメラ30から取得した接続情報に基づいてWi−Fi通信接続が完了すると、通信端末20がデジタルカメラ30から離されても、Wi−Fi通信により通信端末20とデジタルカメラ30の連携機能が実施される。連携機能の一例としては、デジタルカメラ30に対する遠隔撮影制御の機能や、デジタルカメラ30で取得されたスルー画像や撮像画像を通信端末20で表示する機能等が挙げられる。ユーザは、例えば離れた場所にデジタルカメラ30を自分に向けて置き、通信端末20の表示部21に表示でスルー画像を確認した上で、表示部21に表示される撮影ボタンをタップして撮影実行の指示を遠隔から行うことができる。
【0036】
このように、ユーザが通信端末20をデジタルカメラ30に近接させるだけで、デジタルカメラ30の電源ON制御、アプリケーションの起動、Wi−Fi通信の接続確立、および連携機能の実施といった一連の動作が自動的に行われる。
【0037】
しかしながら、このような一連の動作が行われる際に、NFC通信の途中で通信端末20をデジタルカメラ30から離してしまうと、接続が失敗するといった問題がある。以下、
図3を参照して説明する。
【0038】
図3は、接続処理の途中で通信端末20をデジタルカメラ30から離してしまった場合について説明するための状態遷移図である。
図3に示すように、通信端末20をデジタルカメラ30に近接させて、デジタルカメラ30の電源がONになると、沈胴式レンズ310が突出したり電源ランプ320が点灯したりするので、ユーザは接続処理が成功したと解し、通信端末20をデジタルカメラ30から離す恐れがある。通信端末20がデジタルカメラ30から離されると、NFC通信を行うことができず、通信端末20は、Wi−Fi通信接続に必要な接続情報や、起動するアプリケーションの情報を取得することができなくなってしまう。
【0039】
その結果、通信端末20は、アプリケーションを起動することができず、また、Wi−Fi接続にも至らず、連携機能を実施することができない。
【0040】
そこで、上記事情を鑑みて、本実施形態によるデジタルカメラ10は、
図1に示すように、通信端末20が近接されると、NFC通信に応じて電源ON制御を行うが、沈胴式レンズ13の突出や電源ランプ12の点灯等の撮像準備動作は行わない。本実施形態によるデジタルカメラ10は、
図1に示すように、電源ON制御後、Wi−Fi通信の接続確立に必要な接続情報等の送信が完了した後に、沈胴式レンズ13の突出や電源ランプ12の点灯等の撮像準備動作を行う。Wi−Fi接続情報等の送信が完了した後であれば、通信端末20をデジタルカメラ30から離しても、既にアプリケーションの起動やWi−Fi接続に必要な情報はデジタルカメラ30から取得できているので、通信端末20は、一連の動作を引き続き行うことができる。
【0041】
以上、本開示の一実施形態によるデジタルカメラ10の概要について説明した。続いて、本開示によるデジタルカメラ10の基本構成について、
図4を参照して具体的に説明する。
【0042】
<<2.基本構成>>
図4は、本実施形態によるデジタルカメラ10の基本構成の一例を示すブロック構成図である。
図4に示すように、デジタルカメラ10は、制御部100、操作入力部102、電源ランプ12、撮像部104、画像処理部106、記録/読み出し部107、記録メディア109、表示部110、スピーカ111、電源部113、時間管理部114、記憶部115、GPS測位部116、ジャイロセンサ117、NFC通信部120、およびWi−Fi通信部122を含む。
【0043】
(制御部)
制御部100は、デジタルカメラ10が有する各構成を制御する。例えば、制御部100は、
図4に示すように、操作入力部102から出力された操作信号に応じたコントロール信号を各構成に出力し、撮像制御、画像処理制御、記録制御および表示制御等を実行する。また、本実施形態による制御部100は、NFC通信部120、Wi−Fi通信部122を制御する通信制御部としても機能する。
【0044】
また、本実施形態による制御部100は、電源部113に対して電源コントロール信号を出力し、デジタルカメラ10の電源ON/OFFを切り替える。具体的には、制御部100は、NFC通信部120により、外部装置からのPolling Commandに相当するNFC帯域の無線信号を検知した際に、電源ON制御を行う。そして、電源をONにした後、外部装置(例えば通信端末20)と無線通信(例えばWi−Fi通信)の接続を行うための接続情報(IDやPassKey等)をNFC通信部120から外部装置に送信し、接続情報の送信が完了した場合に、撮像準備動作を行うよう制御する。
【0045】
本明細書において、撮像準備動作とは、デジタルカメラ10の外観の変化またはユーザへの起動通知を伴う動作を示す。具体的には、外観の変化を伴う撮像準備動作とは、例えば沈胴式レンズ13を突出させる駆動動作である。また、ユーザへの起動通知を伴う撮像準備動作とは、例えばスピーカ111からの起動音の再生動作や、電源ランプ12の発光動作である。これにより、接続情報の送信完了前に沈胴式レンズ13の突出等が行われないので、ユーザが接続成功と解してWi−Fi接続処理の途中で通信端末20をデジタルカメラ10から離してしまうことを防止することができる。
【0046】
また、制御部100は、上記接続情報と共に、外部装置で起動させるアプリケーションを指定する情報(例えばパッケージ名)をNFC通信部120から送信するよう制御する。
【0047】
制御部100は、デジタルカメラ10の電源をONにした後、所定時間内に上記接続情報の送信が完了しなかった場合、デジタルカメラ10の電源をOFFにする制御を行う。
【0048】
また、制御部100は、外部装置からのPolling Commandに相当する無線信号の検知ではなく、
図1に示す電源ボタン15がユーザに押下されたことを検知した場合、通常通り、デジタルカメラ10の電源ON制御を行うと共に撮像準備動作を行うよう制御する。
【0049】
(操作入力部)
操作入力部102は、ユーザによる操作入力を検出し、操作信号として制御部100に出力する。操作入力部102は、物理的な構成より成るボタン(シャッターボタン14、電源ボタン15、モードスイッチ、メニューボタンおよび操作レバー等)であってもよいし、操作画面へのタッチ操作を検出するタッチパネルであってもよい。
【0050】
(撮像部)
撮像部104は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの信号変換部であって、光学系により被写体像が形成される。光学系に含まれる撮像レンズは、
図1に示すような沈胴式レンズ13であってもよい。被写体像が信号変換部に形成されると、被写体像は信号変換部により電気的な画像信号に変換される。また、撮像部104により変換された画像信号(撮像画像)は、画像処理部106等を通して表示部110や記録メディア109に送られる。
【0051】
(画像処理部)
画像処理部106は、撮像部104から出力された画像信号(撮像画像)を処理する。画像処理部106は、必要に応じて、例えばノイズ除去、色調補正、エッジ検出等を行う。また、画像処理部106は、撮像部104から出力された画像信号(撮像画像)を表示制御部108および/または、記録/読み出し部107に出力する。
【0052】
(表示制御部)
表示制御部108は、表示部110に表示する画面の生成や、表示部110の表示を制御する。例えば、表示制御部108は、制御部100から出力されるコントロール信号に従って、表示画面の生成および表示制御を行う。また、表示制御部108は、画像処理部106から出力された撮像画像や、記録/読み出し部107から出力された撮像画像を表示部110に表示するよう制御する。
【0053】
(表示部)
表示部110は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置およびOLED(Organic Light Emitting Diode)装置などの表示装置である。
【0054】
(記録/読み出し部)
記録/読み出し部107は、例えばシャッターボタン14の押下のタイミングに応じて画像処理部106から出力される画像信号(撮像画像)を記録メディア109に記録したり、記録メディア109に記録されている撮像画像を読み出したりする。また、記録/読み出し部107は、撮像画像を圧縮した上で記録メディア109に記録してもよい。また、記録メディア109から圧縮データを読み出した場合、複合した上で表示制御部108に出力する。
【0055】
(記録メディア)
記録メディア109は、撮像画像が書き込まれるメモリカード等である。
【0056】
(電源部)
電源部113は、バッテリおよび電源回路を含み、制御部100から出力される電源コントロール信号に応じて電源ON/OFFを切り替える。また、電源部113は、デジタルカメラ10の各構成に電力供給を行う。
【0057】
(時間管理部)
時間管理部114は、時間情報を取得する取得部の一例であって、より具体的には、時計回路を含み、年月日および時分秒を管理する。時間管理部114により取得される時間情報は、撮像時刻の記録として撮像画像に付加される。
【0058】
(記憶部)
記憶部115は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などの記録媒体である。RAMは、例えば制御部100の作業領域として利用される。また、ROMには、例えば制御部100が、上述した電源ON/OFF制御、撮像準備動作制御、および通信制御等を実行するためのプログラムが書き込まれている。
【0059】
(GPS測位部)
GPS(Global Positioning System)測位部116は、GPS衛星からの電波を受信して、デジタルカメラ10が存在している位置(現在位置)を測位する。なお、GPS測位部116は、外部からの取得信号に基づいて現在位置情報を取得する位置情報取得部の一例であって、位置情報取得部の例はGPS測位部116に限定されない。例えば、位置情報取得部は、Wi−Fi、他の携帯電話・PHS・スマートフォン等との送受信、または近距離通信等により現在位置情報を取得するものであってもよい。
【0060】
(ジャイロセンサ)
ジャイロセンサ117は、デジタルカメラ10が旋回しているときのZ軸周りの回転角の変化する速度(角速度)やY軸周りの角速度を検出する機能を有する。また、デジタルカメラ10は、ジャイロセンサ117に加えて、X軸に沿った加速度、Y軸に沿った加速度、およびZ軸に沿った加速度をそれぞれ電圧値として検出する機能を有する3軸加速度センサを有していてもよい。
【0061】
(NFC通信部120)
NFC通信部120は、制御部100による制御に従い、NFCアンテナ121と協働して近接する外部装置(例えば通信端末20)と非接触通信を行うインターフェースである。NFC通信部120は、NFCアンテナ121から略3cm〜10cm程度、または設計によっては略7mm程度の近距離に到達する電波を送信し、電波到達範囲内に含まれる外部装置とNFC通信を行う。
【0062】
例えば、NFC通信部120は、Wi−Fiの自動接続を行うための接続情報(Wi-Fi Configuration)や、AAR(Android Application Record)を、外部装置からのチェックコマンド(Check Command)に応じて送信する。Wi−Fi Configurationには、Wi−Fi接続のためのSSID(Service Set Identifier)、PassKey(暗号化キー)等が含まれる。
【0063】
(Wi−Fi通信部)
Wi−Fi通信部122は、制御部100による制御に従い、Wi−Fiアンテナ123と協働して周囲の外部装置(例えば通信端末20)と無線通信を行うインターフェースである。
【0064】
例えば、Wi−Fi通信部122は、外部装置からのWi−Fi接続要求に応じて、Wi−Fi認証を行い、外部装置とのWi−Fi通信接続確立処理を行う。
【0065】
以上、本実施形態によるデジタルカメラ10の基本構成について具体的に説明した。続いて、本実施形態によるデジタルカメラ10と通信端末20の動作処理について
図5〜
図7を参照して説明する。
【0066】
<<3.動作処理>>
<3−1.デジタルカメラの動作処理>
まず、
図5を参照して本実施形態によるデジタルカメラ10の動作処理について説明する。
図5は、本実施形態によるデジタルカメラ10の動作処理を示すフローチャートである。
【0067】
図5に示すように、まず、ステップS103において、NFC通信部120は、外部からNFC帯域のRF(無線信号)を検出する。かかる無線信号は、通信端末20から発信されるPolling Commandに相当するが、当該無線信号の検出は、NFC通信部120が有するNFC帯域の無線信号の周波数検出器により実現されるので、この時点ではコマンドのデコードは行われない。NFC通信部120は、NFC帯域のRFを検出したことを認識する。
【0068】
次に、NFC帯域の無線信号を検出した場合(S103/Yes)、ステップS106において、制御部100は、電源OFF状態であるデジタルカメラ10の電源をONにするよう電源部113に電源コントロール信号を出力する。この際、制御部100は、沈胴式レンズ13を突出する等の撮像準備動作は行わない。
【0069】
次いで、ステップS109において、制御部100は、時間管理部114を利用して、NFC通信待ちのタイマを起動する。
【0070】
続いて、ステップS112において、制御部100は、外部からのCheck Commandに応じたNFC通信による応答データの送信が完了したか否かを判断する。Check Commandに応じてNFC通信により送信する応答データとは、上述したWi−Fi ConfigおよびAARである。
【0071】
次に、応答データの送信が完了した場合(S112/Yes)、ステップS115において、制御部100は、沈胴式レンズ13を突出する等の撮像準備動作を行う。
【0072】
次いで、ステップS118において、制御部100は、カメラ機能を開始する。例えば、制御部100は、沈胴式レンズ13を含む光学系により形成された被写体像を電気的な画像信号に変換したスルー画像を表示部110に表示する。また、制御部100は、外部装置とのWi−Fi接続を確立し、外部装置との連携機能を実施する。
【0073】
一方、応答データの送信が完了せずに(S112/No)、タイマ設定の時間(一定時間)が経過した場合(S121/Yes)、ステップS124において、制御部100は、デジタルカメラ10の電源をOFFにするよう電源部113に電源コントロール信号を出力する。これにより、連携機能を実装する所定の通信端末20以外の無線機器(自動改札、自動販売機、自動認証ゲート等)などから発信される、Polling Commandと同じ帯域の電波に反応して誤作動で電源ONになった場合でも、一定時間後に電源をOFFすることができる。また、無駄な電力消費を抑えることができる。さらに、電源がONになっても沈胴式レンズ13を突出する等の撮像準備動作は行われないので、通信端末20以外の無線機器からの電波に反応して電源がONになってもケース内で沈胴式レンズ13が突出してレンズが破壊されることを防止することができる。
【0074】
以上説明したデジタルカメラ10の一連の動作を、通信端末20の動作と対応付けて説明するための状態遷移図を
図6に示した。
図6に示したように、通信端末20が、電源OFF状態のデジタルカメラ10に近接されると、NFC通信によりデジタルカメラ10の電源がONになる。ただし、この時点では、沈胴式レンズ13を突出する等の撮像準備動作は行われない。これにより、ユーザがこの時点で接続処理が成功したと解して、通信端末20をデジタルカメラ10から離してしまうことを防止することができる。
【0075】
次いで、
図6に示すように、通信端末20は、NFC通信によりデジタルカメラ10からWi−Fi接続情報等(Wi−Fi ConfigおよびAAR)を受信する。接続情報等の送信が完了すると、デジタルカメラ10は、沈胴式レンズ13を突出したり、電源ランプ12を発光したり等の撮像準備動作を行う。一方、通信端末20側では、AARに従って所定のアプリケーションを起動し、Wi−Fi Configを用いてデジタルカメラ10に対してWi−Fi接続要求を行う。そして、通信端末20とデジタルカメラ10の間でWi−Fi接続が完了すると、Wi−Fi通信を利用した連携機能が実施される。
【0076】
このように、本実施形態によるデジタルカメラ10は、接続情報等の送信が完了した後に沈胴式レンズ13の突出等を行うので、この時点でユーザが接続処理が成功したと解して通信端末20を離しても、通信端末20は連携機能実施までの一連の動作を行うことができる。
【0077】
なお接続情報等の送信が完了せずに一定時間経過した場合、
図6に示すように、デジタルカメラ10が電源OFF制御を行うことで、誤作動により起動してしまった場合の無駄な電力消費を抑えることができる。また、誤作動で電源がONになっても沈胴式レンズ13は突出しないので、ケース内に収納された状態でデジタルカメラ10の電源が入った際における沈胴式レンズ13の突出によるレンズの破壊を防止することができる。
【0078】
以上、NFC通信による電源ON制御について説明した。なお
図5に示すように、Polling Commandの検出ではなく(S103/No)、電源ボタン15の押下が検出された場合(S127/Yes)、ステップS130において、制御部100は、通常通り電源をONすると共に沈胴式レンズ13の突出等の撮像準備動作を行う。
【0079】
次いで、ステップS133において、制御部100は、カメラ機能を開始する。
【0080】
<3−2.制御システムの動作処理>
続いて、
図7を参照して本実施形態によるデジタルカメラ10と通信端末20から成る制御システムの動作処理について説明する。
図7は、本実施形態による制御システムの動作処理を示すシーケンス図である。
【0081】
図7に示すように、まず、ステップS203において、通信端末20は、NFC通信によりPolling Commandを発信する。
【0082】
次に、ステップS206において、通信端末20のNFCアンテナから所定の電波到達範囲内(例えば、略7mm)にデジタルカメラ10のNFCアンテナ121が含まれると、NFC通信部120は、Polling Commandを検知する。なおNFC通信部120は、上述したように、当該コマンドをNFC帯域の無線信号の周波数検出器により検知するので、検知した無線信号が何のコマンドであるかは認識できず、NFC帯域のRFを検知したことを認識する。
【0083】
次いで、ステップS209において、NFC通信部120は、NFC帯域のRFの検知に応じて駆動し、制御部100に検知通知を行う。
【0084】
次に、ステップS212において、制御部100は、NFC通信部120による検知通知に応じて電源部113に電源コントロール信号を出力して電源ONの制御を行う。
【0085】
次いで、ステップS215において、NFC通信部120は、NFC帯域のRFの検知に応じて、Command ResponseをNFC通信により発信する。
【0086】
続いて、ステップS218において、通信端末20は、デジタルカメラ10からのCommand Responseを検知することで、NFC通信相手を発見し、所定の情報を取得するために、Check Commandを発信する。
【0087】
次に、ステップS221において、デジタルカメラ10のNFC通信部120は、NFC通信により受信したCheck Commandを制御部100に出力する。
【0088】
次いで、ステップS224において、制御部100は、Check Commandに応じて、応答データをNFC通信部120に出力する。ここで、応答データには、Wi−Fi Config、AARが含まれる。
【0089】
次に、ステップS227において、NFC通信部120は、NFC通信により応答データを通信端末20に送信する。
【0090】
なお上記S218〜S227は、複数回行われ、応答データが複数回に分けて送信されてもよい。
【0091】
続いて、ステップS233において、通信端末20は、受信したAARに従って、所定のアプリケーションを起動する。
【0092】
次に、ステップS236において、通信端末20は、受信したWi−Fi Configを用いて、デジタルカメラ10に対してWi−Fi接続を要求する。
【0093】
次いで、ステップS239において、デジタルカメラのWi−Fi通信部122は、通信端末20から受信した接続要求を制御部100に出力する。
【0094】
次に、ステップS242において、制御部100は、Wi−Fi認証を行う。なおWi−Fi認証は、Wi−Fi通信部122で行われてもよい。
【0095】
次いで、ステップS245において、制御部100は、認証結果をWi−Fi通信部122に出力する。
【0096】
続いて、ステップS248において、Wi−Fi通信部122は、認証結果を通信端末20に送信する。
【0097】
そして、ステップS251において、認証が成功すると、Wi−Fi接続が完了する。
【0098】
その後、ステップS254において、通信端末20とデジタルカメラ10の間で、Wi−Fi通信を用いた連携機能が実施される。
【0099】
<<4.他の実施の形態>>
以上の実施の形態は、通信端末20と別体で使用するデジタルカメラ10を例に挙げたが、他の実施の形態として、通信端末20に装着して使用できるデジタルカメラを含む撮像ユニット1の例を説明する。
なお、以下の説明にあっては、撮影時において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、被写体側が前方となり、撮影者側が後方となる。
また以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0100】
図8,
図9に、撮像ユニット1が通信端末20に装着された状態を示し、
図10に撮像ユニット1を構成するデジタルカメラ2,アダプター3、及び通信端末20を斜視図で示す。また
図11はデジタルカメラ2の起動状態の斜視図である。
図12〜
図16はデジタルカメラ2の平面図、底面図、左側面図、右側面図である。
図16,
図17はアダプター3の斜視図である。以下、これらの図を参照して撮像ユニット1を説明する。
【0101】
撮像ユニット1はデジタルカメラ2とアダプター3から成る(
図8乃至
図10参照)。アダプター3はデジタルカメラ2の後面に着脱可能とされている。但し、撮像ユニット1はデジタルカメラ2の後端部にアダプター3が一体に形成された一体型の構成にされていてもよい。デジタルカメラ2は通信端末20との間で画像データ等の送受信が可能な通信機能を有している。
アダプター3は通信端末20に着脱可能とされている。
【0102】
デジタルカメラ2は外筒部7と外筒部7の内部に配置された複数のレンズ群とレンズ群の後方に位置された図示しない撮像素子とを有している(
図8乃至
図11参照)。デジタルカメラ2においてはレンズ群を介して取り込んだ光が撮像素子において光電変換される。従って、デジタルカメラ2は画像や映像の撮影が可能とされている。
外筒部7は前後に貫通する略円筒状に形成された周面部7aと周面部7aの前端部から内方へ張り出された張出部7bと周面部7aを後方から閉塞する後面部7cとを有している。
【0103】
外筒部7の内側には前後方向において移動可能とされた内筒部8、8が支持されている。従って、デジタルカメラ2は、内筒部8、8が外筒部7に対して前方へ繰り出されて撮影状態(
図11参照)とされ、前方へ繰り出されていた内筒部8、8が後方へ繰り込まれて外筒部7の内部に収納されることにより沈胴状態(
図9参照)とされる。
【0104】
最も内側の内筒部8の前面部には略矩形状の光透過孔8aが形成されている(
図11参照)。最も内側の内筒部8の前面部における後面側にはレンズバリアー9、9が開閉自在に支持されている。レンズバリアー9、9は図示しない開閉機構によって沈胴状態において閉じられ撮影状態において開かれる。従って、沈胴状態においてはレンズバリアー9、9によって内筒部8の光透過孔8aが閉塞され(
図9参照)、撮影状態においてはレンズバリアー9、9によって光透過孔8aが開放される(
図11参照)。
【0105】
デジタルカメラ2の内部には最も前側に位置された撮影レンズ30(
図11参照)を含む複数のレンズ群が光軸方向に離隔して配置されており、レンズバリアー9、9によって光透過孔8aが開放されると撮影レンズ30に外部から光が入射される。
【0106】
外筒部7の前端部には操作リング31が回転自在に支持されている(
図9参照)。操作リング31が操作されることにより、マニュアルフォーカスやズームが行われレンズ群が光軸方向へ移動される。
操作リング31が外筒部7の前端部に周回状に設けられていることで、ユーザが操作リング31の回転操作を行いやすいものとされる。操作リング31が表面が鋸歯状のグリップ部とされていることも回転操作の操作性向上に好適である。
なお操作リング31は、通信端末20からのユーザ操作に応じて、無線通信による制御により、操作内容をマニュアルフォーカス操作とズーム操作で切り換えることができる。従ってユーザの好みや状況に応じて操作リング31をフォーカス操作とズーム操作の操作子として使い分けることができる。
【0107】
外筒部7の後面部7cにおける外周部には後方へ突出された結合部32、32が180°反対側の位置に設けられている(
図10、
図12乃至
図15参照)。結合部32には周方向に離隔して外方へ突出された係止突部32a、32aが設けられている。これにより後述するアダプター3の結合凹部56a、56a、係止片53a、53aと係合する係合構造体が形成される。
後面部7cにおける結合部32の近傍にはロックピン33が前後方向へ移動自在に支持され、ロックピン33は図示しないバネによって後方へ付勢されている。
【0108】
外筒部7の周面部7aにおける後端部にはロック解除レバー2aが配置されている(
図15参照)。ロック解除レバー2aが操作されることによりロックピン33が外筒部7の内部に引き込まれる。
【0109】
外筒部7の後面部7cにおける結合部32、32間の部分にはバッテリー蓋2bが配置されている(
図10参照)。デジタルカメラ2にはバッテリー蓋2bの内側にバッテリーを収納するバッテリー装填部が形成されており、バッテリー蓋2bを開閉することにより収納部に対する図示しないバッテリーの装着及び取出を行うことが可能とされている。
ここで結合部32、32が後面部7cにおける外周部に形成されていることで、結合部32、32の間を、バッテリー蓋2b及びバッテリー装填部に配置に用いることができる。換言すれば結合部32、32が後面部7cにおける外周部に形成されることで、バッテリー収納空間の確保にとっての邪魔にならない。
【0110】
外筒部7の周面部7aにおける上端部にはマイクロフォン2c、2cと電源釦2dが前後に離隔して配置されている(
図9、
図10及び
図12参照)。マイクロフォン2c、2cは外部の音声を入力するための部分である。本実施の形態のようにレンズ筐体としての外筒部7が本体となる装置態様では、マイクロフォン配置が容易な位置のうちで外筒部7の周面部7aが最も外部音声を遮断されにくい。そのため、周面部7aにマイクロフォン2c,2cを配置することで外部音声の集音に適している。さらには、マイクロフォン2c、2cが周面部7aにおける上端部に設けられることで、ユーザが外筒部7を持ったときにマイクロフォン2c、2cがふさがれにくく、外部音声入力に適している。
なお図示するマイクロフォン2c,2cの部分は、外部からはマイクロフォン孔として視認される。マイクロフォン2c,2c自体は周面部7aの内方に配置されるが、少なくとも外部音声を入力する2つのマイクロホンへ外部音声を導くマイクロフォン孔(2c,2c)は、周面部7a上に左右対称位置に形成されている。左右対称位置であることで左右ステレオ音声の集音に適している。
電源釦2dは、その表面が周面部7aを形成する面より突出しないように配置されている。例えば図示のように周面部7aと面一となるようにされている。或いは電源釦2dの表面が周面部7aよりも落とし込まれた状態とされていてもよい。
電源釦2dが周面部7aより突出しないことで誤って電源釦2dが操作されることの防止に適している。
電源釦2dが操作されることにより、デジタルカメラ2における電源の投入又は電源の遮断が行われ、電源が投入されたときに内筒部8、8が外筒部7に対して前方へ繰り出されて撮影状態が設定され、電源が遮断されたときに前方へ繰り出されていた内筒部8、8が後方へ繰り込まれて外筒部7の内部に収納されることにより沈胴状態が設定される。
【0111】
外筒部7の周面部7aにおける下端部には三脚用穴2eが形成されている(
図13参照)。三脚用穴2eは撮影時等に図示しない三脚にデジタルカメラ2を結合するための穴である。本実施の形態のように外筒部7がデジタルカメラ2の本体を形成する形状の場合、周面部7aにおける下端部に三脚用穴2eを形成することで、三脚を取り付けた際のバランスをよくすることができる。
外筒部7の周面部7aにおける下端部には三脚用穴2eの左右に転がり防止突部2f、2fが設けられている(
図10及び
図13参照)。転がり防止突部2f、2fは僅かに下方へ突出されている。転がり防止突部2f、2fによってデジタルカメラ2が机やテーブル等に載置されたときのデジタルカメラ2の転がりが防止され、デジタルカメラ2の落下等による破損や故障を防止することができる。
本実施の形態のように周面部7aの全体が曲面であったり、或いは少なくとも一部が曲面であり、そのような周面部7aが外筐を形成する装置の場合、転がり防止突部2fは有用となる。
【0112】
外筒部7の周面部7aにおける左端部にはズームスイッチ2gとシャッタ釦(撮影釦)2hが前後に並んで近接して配置されている(
図10及び
図14参照)。ズームスイッチ2gが操作されることにより望遠と広角の間でのズームが行われ、シャッター釦2hが操作されることにより被写体の撮影が行われる。ズームスイッチ2gとシャッタ釦2hが近接配置されていることで、ユーザにとってズーミングで画角調整してからシャッタ操作を行うという一連の撮影動作が行いやすいものとなる。なお、ズームスイッチ2gとシャッタ釦2hは前後に並ぶようにするだけでなく、上下や斜め方向にならぶ状態で近接配置されていてもよい。
シャッタ釦2hとズームスイッチ2gは同一の部材2k上に配置されている。この部材2kは外筒部7とともに周面部7aの一部を形成している。近接配置するズームスイッチ2gとシャッタ釦2hを部材2kに取り付け、この部材2kを外筒部7に取り付ける構造とすることで、撮像装置の製造上の組み立てを効率化できる。
なおシャッタ釦2hについては、例えば半押しでオートフォーカス、全押しで撮像を行う被写体の撮影を行う操作子とするとよい。例えばデジタルカメラ2を単体で使用する場合を想定すると、表示部(つまり通信端末20)がないためフォーカス操作が難しい。シャッタ釦2hの半押しによりオートフォーカスが行われるものとすれば、ユーザにとって直感的にわかりやすい操作を提供できる。また音出力部を設け、オートフォーカス動作時には電子音等を出力するようにすれば、ユーザの操作認識にも適している。
またズームスイッチ2gは図示のようにズームレバー形式で構成されている。レバー操作によりズーム操作が行われるようにしていることで操作性向上が図られる。なお、ズームスイッチ2gは、ワイド釦/テレ釦による押圧ボタン形式でもよい。またボタン形式とレバー形式の2つのズームスイッチが設けられていても良い。
【0113】
ズームスイッチ2gとシャッター釦2hが周面部7aにおける左端部に配置されていることにより、撮影時においてデジタルカメラ2を下方から把持したときに、操作する指が自然にズームスイッチ2gとシャッター釦2hの付近に位置されるため、操作性の向上によるデジタルカメラ2の使い勝手の向上を図ることができる。
またズームスイッチ2gとシャッター釦2hは周面部7aにおける左端部に配置されることで、周面部7aの上端部に設けられたマイクロフォン2c、2cとは離れた位置となっている。これによりユーザがシャッタ釦2hやズームスイッチ2gを操作したときの音を、マイクロフォン2c、2cがなるべく拾わないようにされている。
またズーム操作に関しては、ズームスイッチ2gと上述の操作リング31が用意されている。これによってユーザは状況や好みに応じてズーム操作手法を選択でき、操作性が向上される。
またシャッター釦2hと電源釦2dとが、周面部7a上で周方向に異なる位置として、周面部の上方と側方に離れて配置されていることで、電源操作と撮影操作の操作ミスを防ぎやすい。なお、シャッター釦2hと電源釦2dは周面部7aの右方と左方などに離れていてもよいが、上述のように電源釦2dが周面部7aの上方が適切であることを考えれば、シャッタ釦2hは周面部の側方(右方又は左方)とすることが適切である。
【0114】
外筒部7の周面部7aにおける左端部のシャッター釦2hの後側にはカバー体2iが配置されている。デジタルカメラ2にはカバー体2iの内側に図示しないUSB(Universal Serial Bus)等の外部接続端子及びメモリーカードスロットが設けられている。従って、カバー体2iを開放することにより、外部機器との接続及びメモリーカードの装着を行うことができる。また、外部機器との接続やメモリーカードの装着により、デジタルカメラ2によって撮影した画像や映像の外部機器又はメモリーカードへの記録を行うことができる。
【0115】
外筒部7の周面部7aにおける右端部には液晶パネル等によって形成された表示部2jが配置されている(
図15参照)。表示部2jにはバッテリーの残量やメモリーカードのメモリーカードスロットへの挿入の有無等が表示される。この表示部2jは撮像画像の表示に用いられるものではない。
表示部2jが配置されていることにより、デジタルカメラ2の外部からバッテリーの残量やメモリーカードのメモリーカードスロットへの挿入の有無等を確認することが可能であり、デジタルカメラ2の使い勝手の向上を図ることができる。
【0116】
デジタルカメラ2には無線通信機能が設けられている。無線通信を使用することにより、例えば、デジタルカメラ2によって撮影した画像や映像の通信端末20への表示や保存、通信端末20に対する操作によるデジタルカメラ2の撮影機能の実行、通信端末20に対する操作によるデジタルカメラ2のズーム機能の実行等の各種の操作を行うことが可能とされている。
【0117】
例えば具体的には、外筒部7内の、周面部7aの上端部に近い内方にはNFC通信部(NFCタグ)が搭載されており、通信端末20に搭載されたNFC通信部との間で非接触通信を行う。また撮像画像の送信等のために例えばWIFI通信部が設けられ、通信端末20に搭載されたWIFI通信部との間で無線通信を行う。
デジタルカメラ2は上述のように電源釦2dに対する操作によって電源オンとされる以外に、通信端末20側からのNFC通信によって電源オンとされてもよい。例えばNFC通信が確立されたらデジタルカメラ2は電源オンする。そして例えば周面部7aの上端部等、電源釦2dの近傍にNFC通信機能の表示を行うことで、ユーザは、電源オン操作に関して理解しやすいものとなる。
またNFC通信部を外筒部7内の上方側に配置することで、上述の三脚用穴2eに三脚を取り付けて使用する場合に、なるべくNFC通信部を通信端末20に対して近づけやすく、非接触通信に有利となる。
さらに机上等の載置面に置いた状態を考えると、ユーザは通信端末20を上方からデジタルカメラ2に近づけることが通常である。従ってNFC通信部を外筒部7内の上方側に配置することは、そのような使用態様でも近距離無線通信に適した配置となる。
なおデジタルカメラ2内でのNFC通信部の配置位置は、外筒部7内の上方側とする以外の例も考えられるが、少なくとも外筒部7の背面側、つまり後面部7c側に近い位置には配置しないことが望ましい。背面側に近距離無線通信を行うNFC通信部を配置すると、
図8,
図9のようにデジタルカメラ2をアダプター3によって通信端末20に取り付けた際には、通信端末20側のNFC通信部と常時近接した状態となり、常時ポーリングを行ってしまう場合があるためである。このためNFC通信部は外筒部7の背面側以外に配置されることが望ましい。
【0118】
アダプター3は筐体50の内外に所要の各部が配置されて成る(
図16,
図17参照)。
筐体50は前側に位置されたベース体51と後側に位置されたカバー体52とが結合されて成る。
ベース体51は円板状に形成されたベース面部53とベース面部53から後方へ突出された突状部56,56を有している(
図23参照)。
突状部56,56はベース面部53の外周部において180°反対側の位置から突出され、ベース面部53の左右両端部において周方向に延びる形状に形成されている。突状部56は前方に開口され、突状部56の内部空間が結合凹部56aとして形成されている(
図16参照)。
【0119】
ベース面部53の外周部には結合凹部56aの一部を前方から覆う係止片53a、53a、・・・が設けられている。ベース面部53には結合凹部56aに連通する被ロック孔53bが形成されている。
【0120】
カバー体52は一部を除いて外形が円形状に形成されている。
カバー体52には、後方及び上方に開口された収納凹部52cと、後方及び下方に開口された収納凹部52dが形成されている(
図10参照)。
【0121】
このアダプター3には、通信端末20に装着するための第1の被取付体68、第2の被取付体63が設けられている。
第1の被取付体68は、収納凹部52cに収納されてベース体51に対して閉塞される収納位置(
図17参照)をとり得る。また第1の被取付体68は、ベース体51に対して開放される保持位置(
図10参照)をとり得る。第1の被取付体68は、この収納位置と保持位置との間で回動される。
第1の被取付体68は保持位置においてカバー体52から後方へ突出された状態にされる。
【0122】
第2の被取付体63は収納凹部52dに収納されてベース体51に対して閉塞される収納位置(
図17参照)とベース体51に対して開放される保持位置(
図10参照)との間で回動される。第2の被取付体63は保持位置においてカバー体52から後方へ突出された状態にされる。即ち第2の被取付体63は第1の被取付体68と同様に収納位置としてベース体51に対して収納される状態となり、保持位置としてカバー体52から後方へ突出された状態にされる。
【0123】
アダプター3は、以下のようにデジタルカメラ2に結合される。
先ず、アダプター3のベース体51に形成された結合凹部56a、56aにそれぞれデジタルカメラ2の結合部32,32が挿入される。
次に、アダプター3がデジタルカメラ2に対して回転される。アダプター3が回転されると、アダプター3の係止片53a、53aとデジタルカメラ2の係止突部32a、32aとがそれぞれ係合され、アダプター3のデジタルカメラ2に対する前後方向における移動が規制される。即ち係止突部32a、32aによりアダプター3の係止片53a、53aと係合した状態を形成する。
このとき同時に、ベース体51によってデジタルカメラ2のロックピン33が押圧されてロックピン33がバネの付勢力に反して外筒部7の内部に引き込まれ、アダプター3が所定の位置まで回転され被ロック孔53bがロックピン33に一致されたところでロックピン33がバネによって外筒部7から突出され被ロック孔53bに挿入される。
【0124】
ロックピン33が被ロック孔53bに挿入されることにより、アダプター3のデジタルカメラ2に対する回転が規制され、アダプター3がデジタルカメラ2に対してロックされた状態で結合される。
以上のように結合部32、32を介してデジタルカメラ2とアダプター3とを相対的に回転させることで、デジタルカメラ2とアダプター3を容易に結合させることができる。また結合状態がロックピン33により維持される。
【0125】
アダプター3のデジタルカメラ2に対する結合の解除は、ロック解除レバー2aが操作されてロックピン33が外筒部7の内部に引き込まれロックが解除された状態において、アダプター3がデジタルカメラ2に対して結合時とは反対方向へ回転されることにより行われる。アダプター3がデジタルカメラ2に対して結合時とは反対方向へ回転されると、係止片53a、53aとデジタルカメラ2の係止突部32a、32aとの係合状態が解除される。この状態でアダプター3をデジタルカメラ2に対して後方へ移動させて結合凹部56a、56aから結合部32、32を引き出すことによりアダプター3のデジタルカメラ2に対する結合が解除される。
【0126】
アダプター3の通信端末20に対する取付は次のように行われる。
まず第1の被取付体68と第2の被取付体63がそれぞれカバー体52の収納凹部52c、52dから引き出されて保持位置まで回動される。
そして第1の被取付体68が把持されて上方へ移動される。第1の被取付体68のアダプター3の内部の図示しないスライダーに取り付けられており、上方に移動可能に構成されている。またそのスライダーにはバネが取り付けられ、第1の被取付体68は、常に第2の被取付体63に近づく方向に付勢されている。
【0127】
第1の被取付体68が上方へ引き出されるように移動されると、第1の被取付体68と第2の被取付体63の間隔が大きくされていく。第1の被取付体68は取り付けられる通信端末20の大きさに応じた位置まで上方へ移動される。
【0128】
そして第1の被取付体68と第2の被取付体63によって通信端末20が挟持され、アダプター3が通信端末20に取り付けられる(
図8及び
図9参照)。このとき第1の被取付体68が第2の被取付体63に近付く方向へ付勢されていることにより、通信端末20に第1の被取付体68と第2の被取付体63のそれぞれに設けられている弾性体61(
図8,
図10参照)が密着される。
またアダプター3が通信端末20に取り付けられた状態においては、第1の被取付体68の保持突部60と第2の被取付体63の保持突部65とが通信端末20の背面側に回り込む状態にされている。従って、アダプター3の通信端末20からの前方への脱落が防止される。
【0129】
以上の動作のためにアダプター3は、第2の被取付体63は固定で第1の被取付体68側が伸びる構成となっている。上側である第1の被取付体68のみが伸縮されて第1の被取付体68と第2の被取付体63の間隔調整が行われることで、通信端末20の表示パネルの高さ方向(通信端末20の筐体の短辺方向)の中央点以下の位置にデジタルカメラ2の撮像光軸が位置するようになる。そして通信端末20のサイズに関わらず、デジタルカメラ2の底面位置と通信端末20の底面位置が略一致する。
このため通信端末20のサイズに関わらず、ユーザは撮像ユニット1を取り付けた通信端末20を安定して持ちやすい状態となる。また撮像ユニット1を取り付けた通信端末20を、そのまま机上等に置く場合も姿勢が安定し、置いたままの撮像にも適している。
また第2の被取付体63が固定であることで通信端末20に対するアダプター3の取付状態が安定するという利点もある。
なおアダプター3には、
図10に示すように、第1の被取付体68側が上方に伸びる構成であることを提示するマーク68が設けられている。このマーク68により第1の被取付体68の位置が上方へ伸長することをユーザが認識でき、通信端末20への取付の際に、取付方を容易に理解でき、もって使用性を向上させることができる。
【0130】
アダプター3の通信端末20からの取り外しは、第1の被取付体68が把持されて上方へ移動され、通信端末20が第1の被取付体68と第2の被取付体63の間から引き出されることにより行われる。その後に、第1の被取付体68に付与されていた上方への力が解除されると、付勢力により第1の被取付体68が下方へ移動され、通信端末20への取付前の状態に戻る。
【0131】
ここまでデジタルカメラ2とアダプター3による撮像ユニット1の構造を説明してきたが、このように通信端末20に取り付けて使用できる撮像ユニット1の構造は各種考えられる。デジタルカメラ2は略円筒形状のものを示したが、デジタルカメラ2の形状はそれに限定されず、例えば
図18に示すように外筐形状が略直方体形状であってもよい。もちろん略楕円筒、一部切欠き円による円筒形状なども想定される。
またデジタルカメラ2の内部構成は概略
図4と同様と考えることができる。但しその場合、表示部110は、周面部7aに設けられている表示部2jとなり、撮像画像を表示するものではない。
【0132】
以上説明した撮像ユニット1の一連の動作を、通信端末20の動作と対応付けて説明するための状態遷移図を
図19に示した。
図示するように、電源OFF状態の撮像ユニット1に、起動済みでロック解除された通信端末20を近接させると、NFC通信によってデジタルカメラ2の電源が入る(電源ON)。なおNFC通信は、通信端末20を単に撮像ユニット1に接近させた場合だけでなく、上述のようにアダプター3を用いてデジタルカメラ2を通信端末20に装着した場合も行われる。
ただし、このように近接又は装着された時点では、内筒部8を突出する等の撮像準備動作は行われない。
【0133】
次いで、通信端末20は、NFC通信によりデジタルカメラ2からWi−Fi接続情報等(Wi−Fi ConfigおよびAAR)を受信する。接続情報等の送信が完了すると、デジタルカメラ2は内筒部8を突出する等の撮像準備動作を行う。一方、通信端末20側では、AARに従って所定のアプリケーションを起動し、Wi−Fi Configを用いてデジタルカメラ2に対してWi−Fi接続要求を行う。そして、通信端末20とデジタルカメラ2の間でWi−Fi接続が完了すると、Wi−Fi通信を利用した連携機能が実施される。
【0134】
なお接続情報等の送信が完了せずに一定時間経過した場合、
図19に示すように、デジタルカメラ2が電源OFF制御を行うことで、誤作動により起動してしまった場合の無駄な電力消費を抑えることができる。また、誤作動で電源がONになっても内筒部8は突出しないので、突出によるレンズの破損を防止することができる。
従ってデジタルカメラ2は、アダプター3によって通信端末20に正しく取り付けられた場合は、電源オン、NFC通信による接続情報等の送信、撮像準備動作、Wi−Fi接続による連携という動作が行われるが、単に一瞬通信端末20が近づいただけのような場合に無駄な動作が行われない。
なお、この
図19の動作のためには、デジタルカメラ2と通信端末20は、
図5,
図7で説明した処理を行えば良い。
【0135】
<<5.まとめ>>
上述したように、本開示の実施形態によるデジタルカメラ10、2は、通信端末20が近接されると電源ON制御を行い、NFC通信によるWi−Fi接続情報等の送信が完了した後に、沈胴式レンズ13の突出や電源ランプ12の点灯等の撮像準備動作を行う。これにより、Wi−Fi接続情報等の送信完了前にユーザが通信端末20をデジタルカメラ10から離してしまうことを防止し、Wi−Fi接続処理が失敗することを回避することができる。通信端末20に装着して使用できるデジタルカメラ2の場合は、ユーザが装着の意思なく一瞬、デジタルカメラ2と通信端末20を近づけたような場合に、無駄な撮像準備動作等が行われないという利点が得られる。
【0136】
また、誤作動により電源がONになってしまった場合でも、NFC通信によるWi−Fi接続情報等の送信が完了しない場合は電源をOFFすることにより、無駄な電力消費を抑えることができる。また、電源がONになった時点では沈胴式レンズ13の突出は行われないので、誤作動により電源はONになってケース内で沈胴式レンズ13が突出して破壊されることを防止することができる。
【0137】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0138】
例えば、デジタルカメラ10または通信端末20に内蔵されるCPU(Central Processing Unit)、ROM、およびRAM等のハードウェアに、デジタルカメラ10または通信端末20の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供される。
【0139】
また、本明細書のデジタルカメラ10、通信端末20の処理における各ステップは、必ずしも添付したフローチャート、シーケンス図において開示された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、デジタルカメラ10、通信端末20の処理における各ステップは、フローチャート、シーケンス図として記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。具体的には、例えば
図7に示すステップS209とS215は並列的に処理されてもよいし、逆の順序で処理されてもよい。また、
図7に示すステップS233とS236〜S251は、並列的に処理されてもよいし、逆の順序で処理されてもよい。
【0140】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。