(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ダウンロード処理は、前記更新プログラムがダウンロード可能であることを通知する処理、前記更新プログラムのダウンロードを開始する処理、または前記更新プログラムのダウンロード速度を変更する処理である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の制御装置。
車両に搭載された対象機器を制御する車載制御装置の更新プログラムのダウンロードを制御する制御装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、
前記ダウンロードに用いる通信回線の混雑状況と関連する通信指標および前記混雑状況と相関する相関情報のうちの少なくとも1つである、判定用情報を取得する取得部、および、
取得した判定用情報に基づいて、前記更新プログラムのダウンロード処理を実行するタイミングを決定する処理部、として機能させ、
前記相関情報は、前記通信回線を逼迫させる通信アクセス数の原因となり得る原因事象であって、時間的および地理的に特定されるイベントの発生期間および影響範囲を含み、
前記処理部は、現在時刻が前記イベントの発生期間に含まれるか否か、および前記更新プログラムを必要とする前記車両が前記イベントの影響範囲に含まれるか否かにより前記タイミングを決定する、コンピュータプログラム。
車両に搭載された対象機器を制御する車載制御装置の更新プログラムのダウンロードを制御する制御装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、
前記ダウンロードに用いる通信回線の混雑状況と関連する通信指標および前記混雑状況と相関する相関情報のうちの少なくとも1つである、判定用情報を取得する取得部、および、
取得した判定用情報に基づいて、一定期間ごとに前記更新プログラムのダウンロード処理を実行するタイミングを決定する処理部、として機能させ、
前記処理部は、前記ダウンロード処理を実行するタイミングと決定しなかった場合であって、かつ、前記一定期間の後も前記ダウンロード処理を実行するタイミングと決定されないと予測される場合には、前記一定期間よりも長い期間の後に前記ダウンロード処理を実行するタイミングを決定する、コンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態の説明]
本実施の形態には、少なくとも以下のものが含まれる。
すなわち、本実施の形態に含まれる制御装置は、車両に搭載された対象機器を制御する車載制御装置の更新プログラムのダウンロードを制御する制御装置であって、ダウンロードに用いる通信回線の混雑状況と関連する通信指標および混雑状況と相関する相関情報のうちの少なくとも1つである、判定用情報を取得する取得部と、取得した判定用情報に基づいて、更新プログラムのダウンロード処理を実行するタイミングを決定する処理部と、を備える。
この構成によれば、更新プログラムのダウンロード処理が、ダウンロードに用いる回線の通信回線の混雑状況と関連する通信指標および混雑状況と相関する相関情報のうちの少なくとも1つに基づくタイミングで実行される。これにより、通信回線が混雑していることによってダウンロード時間が長くなったり、ダウンロードに失敗したりすることが回避される可能性を高めることができる。また、ダウンロードによる通信回線への影響も抑えられる。
【0014】
好ましくは、処理部は、通信指標の多寡に応じて更新プログラムのダウンロード処理を実行するタイミングを決定する。
これにより、前記決定に用いる条件を、通信回線が混雑しているとみなされる、予め規定された状態であるか否かを判定し得る条件とすることによって、ダウンロード処理が適切なタイミングに実行されることになる。
【0015】
好ましくは、相関情報は、通信回路を逼迫させる通信アクセス数の原因となり得る原因事象であって、時間的に特定されて地理的には特定されない第1イベントの発生期間を含み、処理部は、現在時刻が第1イベントの発生期間に含まれるか否かにより、タイミングを決定する。
これにより、更新プログラムのダウンロード処理が、ダウンロードに用いる回線の通信回線の混雑状況と相関する相関情報である第1イベントの発生期間に基づくタイミングで実行される。これにより、第1イベントの発生に伴って通信回線が混雑していることによってダウンロード時間が長くなったり、ダウンロードに失敗したりすることが回避される可能性を高めることができる。また、ダウンロードによる通信回線への影響も抑えられる。
【0016】
好ましくは、相関情報は、通信回線を逼迫させる通信アクセス数の原因となり得る原因事象であって、時間的および地理的に特定される第2イベントの発生期間および影響範囲を含み、処理部は、現在時刻が第2イベントの発生期間に含まれるか否か、および、更新プログラムを必要とする車両が第2イベントの影響範囲に含まれるか否かにより、タイミングを決定する。
これにより、更新プログラムのダウンロード処理が、ダウンロードに用いる回線の通信回線の混雑状況と相関する相関情報である第2イベントの発生期間および影響範囲に基づくタイミングで実行される。これにより、第2イベントの発生に伴って通信回線が混雑していることによってダウンロード時間が長くなったり、ダウンロードに失敗したりすることが回避される可能性を高めることができる。また、ダウンロードによる通信回線への影響も抑えられる。
【0017】
好ましくは、ダウンロード処理は、更新プログラムがダウンロード可能であることを通知する処理、更新プログラムのダウンロードを開始する処理、または更新プログラムのダウンロード速度を変更する処理である。
これにより、更新プログラムのダウンロードが、適したタイミングに開始、または適した速度で実行される。このため、通信回線が混雑していることによってダウンロード時間が長くなったり、ダウンロードに失敗したりすることが回避される可能性を高めることができる。また、ダウンロードによる通信回線への影響も抑えられる。
【0018】
好ましくは、処理部は、更新プログラムの種別が例外的な種別ではない場合に、ダウンロード処理を実行するタイミングを決定する。
これにより、通信回線が混雑しているときに更新プログラムが送信されることによって引き起こされる課題の回避と、更新プログラムのダウンロードの重要性や緊急性とを両立させることができる。
【0019】
好ましくは、例外的な種別は、更新プログラムの重要性や緊急性が高いことを示す種別である。
これにより、通信回線が混雑しているときに更新プログラムが送信されることによって引き起こされる課題の回避と、更新プログラムの重要性や緊急性とを両立させることができる。
【0020】
好ましくは、処理部は、一定期間ごとにダウンロード処理を実行するタイミングを決定し、ダウンロード処理を実行するタイミングと決定しなかった場合であって、かつ、一定期間の後もダウンロード処理を実行するタイミングと決定されないと予測される場合には、処理部は、上記一定期間よりも長い期間の後にダウンロード処理を実行する。
これにより、更新プログラムのダウンロード処理のタイミングが効率的に判定される。
【0021】
本実施の形態に含まれる配信方法は、車両に搭載された対象機器を制御する車載制御装置の更新プログラムの配信方法であって、ダウンロードに用いる通信回線の混雑状況と関連する通信指標および混雑状況と相関する相関情報のうちの少なくとも1つである、判定用情報を取得するステップと、取得した判定用情報に基づいて、更新プログラムのダウンロード処理を実行するタイミングを決定するステップと、を備える。
この構成によれば、更新プログラムのダウンロード処理が、ダウンロードに用いる回線の通信回線の混雑状況と関連する通信指標および混雑状況と相関する相関情報のうちの少なくとも1つに基づくタイミングで実行される。これにより、通信回線が混雑していることによってダウンロード時間が長くなったり、ダウンロードに失敗したりすることが回避される可能性を高めることができる。また、ダウンロードによる通信回線への影響も抑えられる。
【0022】
本実施の形態に含まれるコンピュータプログラムは、車両に搭載された対象機器を制御する車載制御装置の更新プログラムのダウンロードを制御する制御装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、ダウンロードに用いる通信回線の混雑状況と関連する通信指標および混雑状況と相関する相関情報のうちの少なくとも1つである、判定用情報を取得する取得部、および、取得した判定用情報に基づいて、更新プログラムのダウンロード処理を実行するタイミングを決定する処理部、として機能させる。
この構成によれば、更新プログラムのダウンロード処理が、ダウンロードに用いる回線の通信回線の混雑状況と関連する通信指標および混雑状況と相関する相関情報のうちの少なくとも1つに基づくタイミングで実行される。これにより、通信回線が混雑していることによってダウンロード時間が長くなったり、ダウンロードに失敗したりすることが回避される可能性を高めることができる。また、ダウンロードによる通信回線への影響も抑えられる。
【0023】
[実施の形態の詳細]
以下に、図面を参照しつつ、好ましい実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0024】
<第1の実施の形態>
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の実施形態にかかるプログラム更新システムの全体構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプログラム更新システムは、広域通信網2を介して通信可能な車両1、管理サーバ5およびDL(ダウンロード)サーバ6を含む。
管理サーバ5およびDLサーバ6は、たとえば、車両1のカーメーカーにより運営されており、予め会員登録されたユーザが所有する多数の車両1と通信可能である。
【0025】
車両1には、ゲートウェイ10と、無線通信部15と、複数のECU30と、各ECU30によりそれぞれ制御される各種の車載機器(図示せず)とが搭載されている。
車両1には、共通の車内通信線にバス接続された複数のECU30による通信グループが存在し、ゲートウェイ10は、通信グループ間の通信を中継している。このため、ゲートウェイ10には、複数の車内通信線が接続されている。
【0026】
無線通信部15は、携帯電話網などの広域通信網2に通信可能に接続され、車内通信線によりゲートウェイ10に接続されている。ゲートウェイ10は、広域通信網2を通じて管理サーバ5およびDLサーバ6などの車外装置から無線通信部15が受信した情報を、ECU30に送信する。
ゲートウェイ10は、ECU30から取得した情報を無線通信部15に送信し、無線通信部15は、その情報を管理サーバ5などの車外装置に送信する。
【0027】
車両1に搭載される無線通信部15としては、たとえば、ユーザが所有する携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、ノートPC(Personal Computer)等の装置が考えられる。
図1では、ゲートウェイ10が無線通信部15を介して車外装置と通信を行う場合が例示されているが、ゲートウェイ10が無線通信の機能を有する場合には、ゲートウェイ10自身が管理サーバ5などの車外装置と無線通信を行う構成としてもよい。
【0028】
また、
図1のプログラム更新システムでは、管理サーバ5とDLサーバ6とが別個のサーバで構成されているが、これらのサーバ5,6を1つのサーバ装置で構成してもよい。
【0029】
〔ゲートウェイの内部構成〕
図2は、ゲートウェイ10の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、ゲートウェイ10は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、記憶部13、および車内通信部14などを備える。ゲートウェイ10は、無線通信部15と車内通信線とを介して接続されているが、これらは一つの装置で構成してもよい。
【0030】
CPU11は、記憶部13に記憶された一または複数のプログラムをRAM12に読み出して実行することにより、ゲートウェイ10を各種情報の中継装置として機能させる。
CPU11は、たとえば時分割で複数のプログラムを切り替えて実行することにより、複数のプログラムを並列的に実行可能である。RAM12は、SRAM(Static RAM)またはDRAM(Dynamic RAM)等のメモリ素子で構成され、CPU11が実行するプログラムおよび実行に必要なデータ等が一時的に記憶される。
【0031】
記憶部13は、フラッシュメモリ若しくはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ素子などにより構成されている。
記憶部13は、CPU11が実行するプログラムおよび実行に必要なデータ等を記憶する記憶領域を有する。記憶部13は、DLサーバ6から受信した各ECU30の更新プログラムなども記憶する。
【0032】
車内通信部14には、車両1に配設された車内通信線を介して複数のECU30が接続されている。車内通信部14は、たとえばCAN(Controller Area Network)、CANFD(CAN with Flexible Data Rate)、LIN(Local Interconnect Network)、Ethernet(登録商標)、またはMOST(Media Oriented Systems Transport:MOSTは登録商標)等の規格に応じて、ECU30との通信を行う。
車内通信部14は、CPU11から与えられた情報を対象のECU30へ送信するとともに、ECU30から受信した情報をCPU11に与える。車内通信部14は、上記の通信規格だけでなく、車載ネットワークに用いる他の通信規格によって通信してもよい。
【0033】
無線通信部15は、アンテナと、アンテナからの無線信号の送受信を実行する通信回路とを含む無線通信機よりなる。無線通信部15は、携帯電話網等の広域通信網2に接続されることにより車外装置との通信が可能である。
無線通信部15は、図示しない基地局により形成される広域通信網2を介して、CPU11から与えられた情報を管理サーバ5等の車外装置に送信するとともに、車外装置から受信した情報をCPU11に与える。
【0034】
図2に示す無線通信部15に代えて、車両1内の中継装置として機能する有線通信部を採用してもよい。この有線通信部は、USB(Universal Serial Bus)またはRS232C等の規格に応じた通信ケーブルが接続されるコネクタを有し、通信ケーブルを介して接続された別の通信装置と有線通信を行う。
別の通信装置と管理サーバ5等の車外装置とが広域通信網2を通じた無線通信が可能である場合には、車外装置→別の通信装置→有線通信部→ゲートウェイ10の通信経路により、車外装置とゲートウェイ10とが通信可能になる。
【0035】
〔ECUの内部構成〕
図3は、ECU30の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、ECU30は、CPU31、RAM32、記憶部33、および通信部34などを備える。ECU30は、車両1に搭載された対象機器を個別に制御する車載制御装置である。ECU30の種類には、たとえば、エンジン制御ECU、ステアリング制御ECU、およびドアロック制御ECUなどがある。
【0036】
CPU31は、記憶部33に予め記憶された一または複数のプログラムをRAM32に読み出して実行することにより、自身が担当する対象機器の動作を制御する。
RAM32は、SRAMまたはDRAM等のメモリ素子で構成され、CPU31が実行するプログラムおよび実行に必要なデータ等が一時的に記憶される。
【0037】
記憶部33は、フラッシュメモリ若しくはEEPROM等の不揮発性のメモリ素子、或いは、ハードディスクなどの磁気記憶装置等により構成されている。
記憶部33が記憶する情報には、たとえば、車内の制御対象である対象機器を制御するための情報処理をCPU31に実行させるためのコンピュータプログラム(以下、「制御プログラム」という。)が含まれる。
【0038】
通信部34には、車両1に配設された車内通信線を介してゲートウェイ10が接続されている。第1通信部34は、たとえばCAN、Ethernet、またはMOST等の規格に応じて、ゲートウェイ10との通信を行う。
通信部34は、CPU31から与えられた情報をゲートウェイ10へ送信するとともに、ゲートウェイ10から受信した情報をCPU31に与える。第1通信部34は、上記の通信規格だけなく、車載ネットワークに用いる他の通信規格によって通信してもよい。
【0039】
ECU30のCPU31には、当該CPU31による制御モードを、「通常モード」または「リプログラミングモード」(以下、「リプロモード」ともいう。)のいずれかに切り替える起動部35が含まれる。
ここで、通常モードとは、ECU30のCPU31が、対象機器に対する本来的な制御(たとえば、燃料エンジンに対するエンジン制御や、ドアロックモータに対するドアロック制御など)を実行する制御モードのことである。
【0040】
リプログラミングモードとは、対象機器の制御に用いる制御プログラムを更新する制御モードである。
すなわち、リプログラミングモードは、CPU31が、記憶部33のROM領域に対して、制御プログラムの消去や書き換えを行う制御モードのことである。CPU31は、この制御モードのときにのみ、記憶部33のROM領域に格納された制御プログラムを新バージョンに更新することが可能となる。
【0041】
リプロモードにおいてCPU31が新バージョンの制御プログラムを記憶部33に書き込むと、起動部35は、ECU30をいったん再起動(リセット)させ、新バージョンの制御プログラムが書き込まれた記憶領域についてベリファイ処理を実行する。
起動部35は、上記のベリファイ処理の完了後に、CPU31を更新後の制御プログラムによって動作させる。
【0042】
〔管理サーバの内部構成〕
図4は、管理サーバ5の内部構成を示すブロック図である。
図4に示すように、管理サーバ5は、CPU51、ROM52、RAM53、記憶部54、および通信部55などを備える。
【0043】
CPU51は、ROM52に予め記憶された一または複数のプログラムをRAM53に読み出して実行することにより、各ハードウェアの動作を制御し、管理サーバ5をゲートウェイ10と通信可能な車外装置として機能させる。
RAM53は、SRAMまたはDRAM等のメモリ素子で構成され、CPU51が実行するプログラムおよび実行に必要なデータ等が一時的に記憶される。
【0044】
記憶部54は、フラッシュメモリ若しくはEEPROM等の不揮発性のメモリ素子、または、ハードディスクなどの磁気記憶装置等により構成されている。
通信部55は、所定の通信規格に則って通信処理を実行する通信装置よりなり、携帯電話網等の広域通信網2に接続されて当該通信処理を実行する。通信部55は、CPU51から与えられた情報を、広域通信網2を介して外部装置に送信するとともに、広域通信網2を介して受信した情報をCPU51に与える。
【0045】
〔制御プログラムの更新シーケンス〕
図5は、本実施形態のプログラム更新システムにおいて実行される、ECUに対する制御プログラムの更新の一例を示すシーケンス図である。一例として、管理サーバ5が、予め会員登録されたユーザが所有する車両1について、当該車両1のECUの制御プログラムを更新するタイミングを決定する。更新のタイミングは、たとえば、車両1のカーメーカーなどによって設定されてもよい。
【0046】
好ましくは、管理サーバ5は、制御プログラムを更新するタイミングより前に、更新プログラムが格納されているDLサーバ5から、更新プログラムに関する情報である更新情報を取得する(ステップS1)。更新情報は、たとえば、更新プログラムのデータサイズに関する情報や更新プログラムの種別情報などである。
【0047】
管理サーバ5は、タイミング判定処理を実行する(ステップS2)。タイミング判定処理は、更新プログラムの該当する車両1のゲートウェイ10へのダウンロード(送信)に関する処理であるダウンロード処理の実行のタイミングを、当該更新プログラムの送信に用いる通信回線の混雑状況に相関する情報等に基づいて判定する処理である。ダウンロード処理を実行するタイミングと判定された場合、管理サーバ5は、該当する車両1のゲートウェイ10にECU30の更新プログラムの存在を通知する(ステップS3)。ステップS3で管理サーバ5は、たとえば、更新プログラムの保存先URLとダウンロード要求とを該当する車両1のゲートウェイ10宛てに送信する。
これにより、ゲートウェイ10は、ECU30のための更新プログラムを要求し、DLサーバ6からダウンロードする(ステップS4)。
【0048】
更新プログラムがダウンロードされると、ゲートウェイ10では、ダウンロードしてメモリに保存した更新プログラムを用いて制御プログラムを更新させるべく、更新処理を実行する(ステップS5)。ステップS5の更新処理では、一例として、ゲートウェイ10は、該当するECU30に制御プログラムの更新を要求する。これにより、当該ECU30の制御モードが通常モードからリプロモードに切り替わり、当該ECUは制御プログラムの更新処理が可能な状態となる。ECU30は、ゲートウェイ10から受信した更新プログラムを展開して旧バージョンの制御プログラムに適用することにより、制御プログラムを旧バージョンから新バージョンに書き換える。
【0049】
[タイミング判定処理]
図6は、
図5のステップS2のタイミング判定処理の具体的な内容を表したフローチャートである。
図6のフローチャートに表された処理は、管理サーバ5のCPU51がROM52に記憶されたプログラムをRAM53上に読み出して実行することによって、主にCPU51により実現される。
【0050】
図6を参照して、管理サーバ5のCPU51はタイミング判定に用いるための情報である判定用情報を取得する(ステップS101)。ステップS101で取得する判定用情報は更新プログラムを送信するための、携帯電話網等の広域通信網2における混雑状況と関連する通信指標および混雑状況と相関する相関情報のうちの少なくとも1つである。
【0051】
CPU51は、判定用情報に基づいて更新プログラムのダウンロード処理の実行のタイミングを決定する(ステップS103)。CPU51は、ダウンロード処理を実行するタイミングと決定した場合(ステップS103でYES)、
図5のステップS3の通知、すなわち、該当する車両1のゲートウェイ10に対してダウンロードを要求する(ステップS105)。つまり、この場合、当該プログラム更新システムでは、更新プログラムのダウンロードが開始される。
【0052】
一方、広域通信網2の通信状態に基づいてダウンロード処理を実行するタイミングと決定しなかった場合(ステップS103でNO)、CPU51は
図5のステップS3の通知、すなわち、該当する車両1のゲートウェイ10に対するダウンロードの要求を行わない。つまり、この場合、当該プログラム更新システムでは、更新プログラムのダウンロードが開始されない。この場合、CPU51は、一定期間ごとに、上記ステップS101からの動作を周期的に繰り返す。
【0053】
具体的には、ステップS103でCPU51は、判定用情報が予め規定された判定条件を満たす場合には、ダウンロード処理を実行するタイミングと決定しない。そうでない場合には、ダウンロード処理を実行するタイミングと決定する。上記判定条件は、広域通信網2における通信が予め規定された程度(輻輳度合い)に混雑しているとみなす、予め規定された状態であるか否かを判定するための条件である。
【0054】
ステップS2のタイミング判定処理が実行されることによって、上記判定条件がみたされる場合には、該判定条件が満たされなくなるまで更新プログラムのダウンロードが開始されない。そして、当該判定条件が満たされない状態に復帰すると、更新プログラムのダウンロードが開始される。つまり、輻輳状態であるなど広域通信網2の通信状態が混雑しているとみなされる、予め規定された状態であると上記判定条件によって判定される場合には、当該状態が解消されるまで、すなわち通信状態の混雑が解消されたとみなされる状態となるまで、更新プログラムのダウンロードが開始されない。つまり、本プログラム更新システムでは、広域通信網2の混雑状況に関連する、または相関する情報に基づいて、更新プログラムのダウンロードのタイミングが決定される。
【0055】
[管理サーバの機能構成]
図7は、上記のタイミング判定処理を行うための、管理サーバ5の機能構成の具体例を示したブロック図である。
図7の各機能は、管理サーバ5のCPU51がROM51に記憶されているプログラムをRAM52上に読み出して実行することによって、主にCPU51によって実現される。
【0056】
詳しくは、
図7を参照して、管理サーバ5のCPU51は、判定用情報を取得するための取得部511と、判定用情報を用いてダウンロード処理の実行のタイミングを決定する処理部である判定部512と、ダウンロード処理を制御するためのDL制御部513とを含む。
【0057】
判定用情報は、更新プログラムを送信するための、携帯電話網等の広域通信網2における混雑状況と関連する通信指標および混雑状況と相関する相関情報のうちの少なくとも1つであって、後述する判定部512でのタイミングの決定方法に応じた情報である。判定部512は、タイミングの決定方法に応じた判定条件Cを予め記憶している。判定条件Cは、広域通信網2が混雑しているとみなされる、予め規定された状態であるかを判定するための閾値や条件を含む。判定部512は、取得された判定用情報が判定条件Cを満たすか否かを判定し、判定結果に基づいてダウンロード処理の実行のタイミングを決定する。判定部512は、判定用情報が判定条件Cを満たす場合、すなわち、広域通信網2がたとえば輻輳状態であるような混雑した状態であるとみなす状態と予め規定された状態であると判定された場合にはダウンロード処理を実行するタイミングと決定せず、判定条件Cを満たさない場合にはダウンロード処理を実行するタイミングと決定する。
【0058】
DL制御部513は、制御プログラムのダウンロード処理を実行する。ダウンロード処理は、たとえば、上記のように、ダウンロード可能な更新プログラムがあることをゲートウェイ10に通知する処理(ステップS3)である。また、先述のように管理サーバ5とDLサーバ6とが1つのサーバ装置で構成されている場合、ダウンロード処理は、ゲートウェイ10に更新プログラムの送信(ダウンロード)の開始であってもよい。
【0059】
(タイミングの決定方法1)
判定部512においてダウンロード処理を実行するタイミングを決定する第1の方法として、携帯電話網等の広域通信網2における混雑状況と関連する通信指標の多寡に応じて上記タイミングを決定する方法が挙げられる。
【0060】
この場合、取得部511は、判定用情報として、たとえば、広域通信網2にて伝送されるパケット数や通信量や通信速度などの測定値を取得する。これらの値は、たとえば、広域通信網2を管理する通信事業者によって測定され、ウェブサイトなどで提供されることが想定される。取得部511は、当該ウェブサイトのURLを予め記憶しておき、当該ウェブサイトから判定用情報としての測定値を取得することができる。
【0061】
判定部512は、一例として、広域通信網2での、伝送可能な最大パケット数や通信量や通信速度を記憶しておき、混雑状況と関連する通信指標として広域通信網2の現在の使用率を算出する。使用率は、判定用情報に示されるパケット数などを伝送可能な最大パケット数などで除して得られる。または、当該使用率は、広域通信網2を管理する通信事業者によって算出され、混雑状況と関連する通信指標として提供されてもよい。この場合、取得部511は、判定用情報として上記ウェブサイトから使用率を取得する。
【0062】
判定部512は、上記判定条件Cとして、通信回線が混雑しているとみなされる、予め規定された状態であるか否かを判定するための使用率の閾値を予め記憶している。使用率の閾値は、たとえば85%などである。判定部512は、通信指標である現在の使用率と使用率の閾値とを比較する。
【0063】
判定部512は、上記の比較結果に基づいてダウンロード処理の実行のタイミングを決定する。つまり、この例の場合、使用率が85%未満であった場合にはダウンロード処理を実行するタイミングと決定する。そうでない場合には、ダウンロード処理を実行するタイミングと決定しない。
【0064】
または、判定部512は、判定用情報として、広域通信網2にて伝送されるパケット数や通信量や通信速度の以前の測定値を用いて現在の通信指標を予測し、通信指標の予測値に基づいてダウンロード処理の実行のタイミングを決定してもよい。
【0065】
この場合、取得部511は、判定用情報として、広域通信網2にて伝送されるパケット数や通信量や通信速度の以前の測定値を取得する。以前の測定値は、たとえば、現時点から所定期間(たとえば1週間)の測定値などである。判定部512は、一例として、現時点と同じ時間帯や曜日など測定値を、現時点のパケット数や通信量や通信速度の予想値とする。そして、判定部512は、上記のように予想値を用いて通信指標の予測値としての使用率を算出し、使用率と閾値とを比較することでダウンロード処理の実行のタイミングを決定する。
【0066】
(タイミングの決定方法2−1)
判定部512においてダウンロード処理を実行するタイミングを決定する第2の方法として携帯電話網等の広域通信網2における混雑状況と相関する相関情報に基づく判定方法が挙げられる。上記情報は、該通信回線を逼迫させる通信アクセス数の原因となり得る原因事象であるイベントに関する情報である。上記イベントは、一例として、時間的にのみ特定されるイベント、つまり、時間的に特定されて地理的には特定されない(第1イベント)である。第1イベントは、たとえば、年末年始、お盆休み、クリスマス、ゴールデンウィーク、ハロウィンなどの、一年のうちの予め規定された期間で特定されるイベントである。この場合、相関情報は、当該イベントの発生期間を含む。
【0067】
判定用情報である上記の相関情報は予め記憶部54に記憶されており、取得部511は記憶部54から読み出すことによって上記判定用情報を取得する。イベントごとの当該イベントの発生期間は、たとえばカーメーカーなどによって記憶部54に予め登録されている。または、取得部511は、上記の相関情報を提供する図示しないサーバにアクセスして判定用情報を取得してもよい。
【0068】
判定部512は、上記判定条件Cとして、通信回線が混雑しているとみなされる、予め規定された状態であるか否かを判定するための条件である、現在の日時が当該イベントの発生期間に含まれるか否かという条件を予め記憶している。判定部512は、現在の日時とイベントの発生期間とを比較することでダウンロード処理を実行するタイミングを決定する。すなわち、判定部512は、現在の日時がイベントの発生期間に含まれない場合にダウンロード処理を実行するタイミングと決定する。そうでない場合には、ダウンロード処理を実行するタイミングと決定しない。
【0069】
(タイミングの決定方法2−2)
上記原因事象であるイベントは、他の例として、時間的および地理的に特定されるイベント(第2イベント)である。上記イベントは、たとえば、スポーツイベント(試合、運動会等)、音楽イベント(コンサート等)、および祭事などの興行イベント、爆発事故、公共交通事故、およびテロ攻撃などの大規模人災、ならびに、異常気象(台風、局地的豪雨、洪水等)や自然災害(地震、津波等)などの自然現象である。この場合、相関情報は、当該イベントの発生期間および影響範囲を含む。
【0070】
判定用情報である上記の相関情報の少なくとも一部は予め記憶部54に記憶されており、取得部511は記憶部54から読み出すことによって上記判定用情報の少なくとも一部を取得する。または、取得部511は、上記の相関情報の少なくとも一部を提供する図示しないサーバにアクセスして判定用情報を取得してもよい。たとえば、イベントが地震等の自然災害の場合、取得部511は、気象庁のサイトにアクセスすることによって発生位置および発生日時を取得することができる。この場合、相関情報として、たとえば、発生期間が発生日時から1週間、影響範囲が発生位置を含む都道府県に隣接する都道府県、などとして記憶部54に登録されている。このような相関情報は、たとえばDLサーバ6の運用者やカーメーカーなどによって管理サーバ5に対して設定、変更可能であってもよい。取得部511は、この相関情報を記憶部54から読み出すことによって、地震等の自然災害のイベントについては、その発生期間および影響範囲を特定することができる。
【0071】
さらに、取得部511は、判定用情報として、車両1の現在位置を取得する。車両1の現在位置を示す位置情報は、たとえば、該当する車両1のゲートウェイ10と通信することによって取得される。ゲートウェイ10は、たとえば、図示しないナビゲーション装置と通信したり、GPS(Global Positioning System)と通信したりすることで車両1の位置情報を得ることができる。
【0072】
判定部512は、上記判定条件Cとして、通信回線が混雑しているとみなされる、予め規定された状態であるか否かを判定するための条件である、現在の日時が当該イベントの発生期間に含まれ、かつ、車両1の現在位置が当該イベントの影響範囲に含まれる、という条件を予め記憶している。判定部512は、現在の日時をイベントの発生期間と比較し、また、車両1の現在位置をイベントの影響範囲と比較することによって、ダウンロード処理を実行するタイミングを決定する。すなわち、判定部512は、現在の日時がイベントの発生期間に含まれない場合、または、車両1の現在位置が当該イベントの影響範囲に含まれない場合に、つまり、上記判定条件Cを満たさない場合にダウンロード処理を実行するタイミングと決定する。そうでない場合には、ダウンロード処理を実行するタイミングと決定しない。
【0073】
(タイミングの決定方法3)
なお、判定部512においてダウンロード処理を実行するタイミングを決定する第3の方法として、上記第1の方法と第2の方法との組み合わせであってもよい。すなわち、携帯電話網等の広域通信網2における混雑状況に関連する通信指標と混雑状況と相関する相関情報との両方に基づいてタイミングが決定されてもよい。
【0074】
[第1の実施の形態の効果]
第1の実施の形態にかかるプログラム更新システムによれば、ECUの更新プログラムのダウンロードが、広域通信網2の混雑状況に関連する通信指標、および/または相関する相関情報に基づいた、適したタイミングで開始される。すなわち、広域通信網2が混雑しているとみなされる、予め規定された状態を示す判定条件を満たす場合には更新プログラムのダウンロードが開始されず、そうでない場合にダウンロードが開始される。これにより、広域通信網2が混雑していることによって更新プログラムのダウンロード時間が長くなったり、ダウンロードに失敗したりすることが回避される可能性を高めることができる。また、更新プログラムのダウンロードによって広域通信網2がさらに混雑したり混雑の解消が遅れたりすることも回避される可能性を高めることができる。
【0075】
また、広域通信網2の混雑状況に相関する相関情報に基づいた判定条件Cを用いてダウンロード処理のタイミングが決定されることによって、広域通信網2にて伝送されるパケット数や通信量や通信速度の測定値(実測値)などの混雑状況と関連する通信指標が得られない場合であっても、高精度にダウンロード処理のタイミングを決定することができる。
【0076】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態にかかるプログラム更新システムでは、ダウンロード対象の更新プログラムの更新情報に例外的な種別であることを示す種別情報が含まれる場合に、タイミング判定処理を行うことなくダウンロード処理を実行するタイミングが決定される。例外的な種別は、更新プログラムの重要性や更新の緊急性などの種別を表わす情報であって、たとえば、重要フラグや緊急フラグなどのフラグ情報であってもよい。一例として、セキュリティホールへの対処などの情報セキュリティに関する更新プログラム、走行上の安全を確保するために必要な更新プログラム、自動運転モード用に用いられる地図情報などの更新の緊急性が高い更新プログラム、などである。更新プログラムの重要性や更新の緊急性などである上記例外的な種別は、当該更新プログラムを提供するカーメーカーなどによって設定されている。
【0077】
判定部512は、送信対象の更新プログラムについての更新情報に上記の例外的な種別を示す種別情報が含まれている場合には上記のタイミング判定処理を行なわずに、ダウンロード処理を実行するタイミングと決定する。この場合、当該更新プログラムは広域通信網2の混雑状況に関わらずに該当の車両1に送信される。つまり、重要性や緊急性の高い更新プログラムについては広域通信網2における通信が多少混雑している場合であっても送信されることになり、そうでない更新プログラムについては上記の判定条件Cを用いて判定されたタイミングに送信される。これにより、広域通信網2における通信が混雑しているときに更新プログラムが送信されることによって引き起こされる課題の回避と、更新プログラムの重要性や緊急性とを両立させることができる。
【0078】
例外的な種別は、他の例として、データサイズが規定サイズ以下であることであってもよい。更新プログラムのデータサイズは、たとえば、当該更新プログラムを提供するカーメーカーなどによって更新情報として更新プログラムに付加される。この場合、判定部512は、タイミング判定処理を必要としないデータサイズの閾値を予め記憶している。この閾値は、広域通信網2における通信に大きな影響を与えない程度のデータサイズである。判定部512は、更新プログラムのデータサイズが当該閾値より小さい場合にはタイミング判定処理を行なわずにダウンロード処理を実行するタイミングと決定し、そうでない場合にタイミング判定処理を実行する。これにより、データサイズの小さい更新プログラムについては広域通信網2における通信が多少混雑している場合であっても送信されることになり、そうでない更新プログラムについては上記の判定条件Cを用いて判定されたタイミングに送信される。これにより、広域通信網2における通信が混雑しているときに更新プログラムが送信されることによって引き起こされる課題をより効果的に回避することができる。
【0079】
<第3の実施の形態>
図6に示されたタイミング判定処理においては、ダウンロード処理を実行するタイミングと決定されなかった場合(ステップS103でNO)には、たとえば一日後(24時間後)などの一定期間の後に、再度、タイミング判定処理が繰り返される。つまり、タイミング判定処理は周期的に行われる。このとき、第3の実施の形態にかかるプログラム更新システムでは、一定期間の後にもダウンロード処理を実行するタイミングと決定されないと予測される場合には、上記周期に従わず、上記一定期間よりも長い期間の後にタイミング判定処理を実行する。
【0080】
具体的に、判定用情報として上記第1イベントのイベント情報が用いられる場合(タイミングの決定方法2−1)、判定部512は、上記一定期間の後の日時もイベントの発生期間に含まれるか否かを、ダウンロード処理を実行するタイミングと決定しなかった時点において予測する。そして、判定部512は、この予測結果に応じて、次回のタイミング判定処理を実行するまでの期間を上記一定期間とするかそれよりも長い期間とするか、を決定する。たとえば、12月31日の朝9時にタイミング判定処理を行って、年末年始の期間(たとえば12月31日朝9時〜1月1日夜12時)に含まれることからダウンロード処理を実行するタイミングと決定しなかった場合であって、上記一定期間が1日(24時間)であった場合、1日後の1月1日の朝9時も依然として年末年始の期間に含まれることが12月31日の朝9時の時点において予測される。この場合、判定部512は、規定された一定期間(1日)よりも長い期間の後、たとえば1月2日などにタイミング判定処理を実行する。
【0081】
第3の実施の形態にかかるプログラム更新システムによれば、タイミング判定処理によって更新プログラムのダウンロード処理を実行するタイミングと決定されなかった場合に、再度、タイミング判定処理を繰り返す時期が適切な時期となる。すなわち、ダウンロード処理を実行するタイミングと決定されないと予め予測されるタイミングでタイミング判定処理を再度行うことがないため、更新プログラムのダウンロード処理の実行のタイミングを、効率的に決定することができる。
【0082】
<第4の実施の形態>
ダウンロード処理は、他の例として、更新用プログラムの通信速度を制御する処理が挙げられる。更新用プログラムの通信速度の制御は、たとえば、送信周期の制御や、送信速度(単位時間あたりの送信データ量)そのものの制御である。たとえば、
図5に示された例の場合、管理サーバ5は、ステップS3において、送信周期やダウンロード速度(通信速度)の指定と共にゲートウェイ10にダウンロードを要求する。この場合、DL制御部513は、広域通信網2の通信状態に基づいて更新用プログラムの送信周期や単位時間あたりの送信データ量などの送信速度を制御する。
【0083】
具体的には、判定部512において上記タイミング判定処理が実行されて上記判定条件Cが満たされた場合、つまり、広域通信網2が混雑しているとみなされる、予め規定された状態であると判定された場合には、DL制御部513は、更新用プログラムを、予め規定されている通常時の速度である第1の通信速度よりも遅い第2の通信速度にて送信するように制御する。そうでない場合には、DL制御部513は、更新用プログラムを、第1の通信速度にて送信するように制御する。
【0084】
第4の実施の形態にかかるプログラム更新システムによれば、広域通信網2が混雑していることによって更新プログラムのダウンロードに失敗することが回避される可能性を高めることができる。また、更新プログラムのダウンロードによる広域通信網2への影響も抑えることができる。
【0085】
<第5の実施の形態>
第1〜第4の実施の形態にかかるプログラム更新システムでは、更新プログラムのダウンロード処理を実行する制御装置である管理サーバ5においてタイミング判定処理が実行される。ここで、
図5に示された例では、ゲートウェイ10からの更新プログラムの要求に応じてDLサーバ6から更新プログラムがダウンロードされている。そのため、ゲートウェイ10も上記の制御装置であると言える。そこで、タイミング判定処理は、上記の制御装置の一例であるゲートウェイ10において行われてもよい。
【0086】
この場合、ゲートウェイ10のCPU11が記憶部13に記憶されているプログラムをRAM12上に読み出して実行することによって
図7の各機能が実現される。ゲートウェイ10は、上記ステップS3で管理サーバ5から更新プログラムが通知されると上記のタイミング判定処理を実行し、広域通信網2の通信状態に基づいて決定されたタイミングでDLサーバ6に更新プログラムを要求し、ダウンロードする。
【0087】
[補記1]
なお、本実施の形態には、以下のものがさらに含まれてもよい。
すなわち、本実施の形態に含まれる制御装置は、車両に搭載された対象機器を制御する車載制御装置の更新プログラムのダウンロードを制御する制御装置であって、ダウンロードに用いる通信回線の通信指標、および、通信回路を逼迫させる通信アクセス数の原因となり得る原因事象に関する情報のうちの少なくとも1つである、判定用情報を取得する取得部と、取得した判定用情報に基づいて、更新プログラムのダウンロード処理を実行するタイミングを決定する処理部と、を備える。
【0088】
[補記2]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。