(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
左右一対のビード部と、該ビード部に連なるサイドウォール部と、該サイドウォール部を連結するトレッド部とを備え、左右のビード部間にカーカス層を装架した空気入りタイヤにおいて、
前記サイドウォール部におけるカーカス層の外側に発泡ゴム層、該発泡ゴム層の外側にサイドゴム層を配置するとともに、前記発泡ゴム層の密度が0.5〜0.9g/cm3、かつ20℃のtanδが0.17以下であり、前記サイドゴム層を形成するサイドウォール用ゴム組成物がジエン系ゴム100重量部に、ポリスチレン、ポリプロピレンから選ばれる熱可塑性樹脂1〜20重量部、カーボンブラック10〜65重量部を配合したことを特徴とする空気入りタイヤ。
前記サイドウォール用ゴム組成物が、ジエン系ゴム100重量%中、天然ゴムが30〜70重量%、ブタジエンゴムおよび/またはスチレンブタジエンゴムが70〜30重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の構成につき添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明において、サイドウォール部とは、JATMA自動車用タイヤ安全基準編に規定されている「トレッドとビードとの間の部分」をいう。
【0012】
図1において、本発明の空気入りタイヤ1は、左右一対のビード部2、2と、これらビード部2、2に連なるサイドウォール部3、3と、サイドウォール部3、3を連結するトレッド部4とを備え、左右のビード部2、2間にカーカス層5を装架している。
【0013】
本発明では、サイドウォール部3におけるカーカス層5の外側に発泡ゴム層6、この発泡ゴム層6の外側にサイドゴム層7を配置する。発泡ゴム層6は発泡性ゴム組成物により成形され、サイドゴム層7はサイドウォール用ゴム組成物で成形される。本発明の空気入りタイヤを構成する発泡ゴム層6は、密度が0.5〜0.9g/cm
3で、20℃のtanδが0.17以下である。またサイドウォール用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に、熱可塑性樹脂1〜20重量部、カーボンブラック10〜65重量部を配合している。
【0014】
サイドウォール用ゴム組成物は、そのゴム成分をジエン系ゴムにする。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、クロロプレンゴム等が例示される。なかでも天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムが好ましい。これらジエン系ゴムは、単独または複数を組み合わせることができる。
【0015】
サイドウォール用ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量%中、好ましくは天然ゴムが30〜70重量%、ブタジエンゴムおよび/またはスチレンブタジエンゴムが70〜30重量%であるとよい。天然ゴムの含有量が30重量%未満、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムの含有量が70重量%を超えると、耐外傷性が悪化する。また天然ゴムの含有量が70重量%を超え、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムの含有量が30重量%未満であると、屈曲疲労性が悪化する。天然ゴムの含有量はより好ましくは35〜60重量%、ブタジエンゴムおよび/またはスチレンブタジエンゴムの含有量はより好ましくは40〜65重量%であるとよい。
【0016】
本発明において、サイドウォール用ゴム組成物は、熱可塑性樹脂を配合することにより、剛性を高くし、耐外傷性を改良する。熱可塑性樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対し1〜20重量部、好ましくは2〜15重量部である。熱可塑性樹脂の配合量が1重量部未満であると、耐外傷性を改良する効果が得られない。また熱可塑性樹脂の配合量が20重量部を超えると、圧縮永久歪みやゴムの歪み変形のエネルギーロスが多くなる。すなわちサイドウォール用ゴム組成物が塑性的になり好ましくない。
【0017】
熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が例示される。これらの熱可塑性樹脂は、単独重合体(ホモ)であっても、ブロック共重合体又はランダム共重合体であってもよい。なかでもポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンが好ましく、ポリスチレン、ポリプロピレンがより好ましい。ポリプロピレンとして、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンのいずれでもよい。またランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンは、エチレンの他に、1−ブテンなどの炭素数4以上のα−オレフィンを含んでもよい。
【0018】
サイドウォール用ゴム組成物は、カーボンブラックをジエン系ゴム100重量部に対し10〜65重量部、好ましくは20〜60重量部配合する。カーボンブラックの配合量が10重量部未満であると、ゴム組成物の硬度および剛性が不足し耐外傷性を改良する効果が得られない。またカーボンブラックの配合量が65重量部を超えると、破断伸びが低下し、繰り返し変形による耐屈曲疲労性も悪化してしまう。
【0019】
サイドウォール用ゴム組成物は、20℃において、50×10×2の短冊状シートを引張りモードで10%変形させたときの引張り応力(以下、「10%の引張り応力」ということがある。)が、好ましくは4.5MPa以上、より好ましくは5〜15MPaにするとよい。サイドウォール用ゴム組成物の10%の引張り応力を4.5MPa以上にすることにより、耐外傷性を一層改良することができる。サイドウォール用ゴム組成物の引張り応力は、熱可塑性樹脂の種類や配合量、カーボンブラックの配合量等により調整することができる。本明細書において、サイドウォール用ゴム組成物の引張り応力は、JIS K7244−4に準拠して、予備歪み10%±10%、20Hz、20℃で振動させる条件で測定するものとする。
【0020】
サイドウォールを構成する発泡ゴム層6は、密度が0.5〜0.9g/cm
3、かつ20℃のtanδが0.17以下である。これにより、発泡ゴム層6の配置に伴うタイヤの軽量化と、タイヤ走行時に発生する熱を発泡ゴム層6で断熱・蓄熱することによりtanδが小さい温度になるようにして、転がり抵抗を低減させることができる。
【0021】
発泡ゴム層6の密度は0.5〜0.9g/cm
3、好ましくは0.6〜0.9g/cm
3である。発泡ゴム層6の密度が0.5g/cm
3未満であると、サイドウォール部3における耐クラック性を確保することが難しくなる。発泡ゴム層6の密度が0.9g/cm
3を超えると、発泡ゴム層6で断熱・蓄熱するのが難しくなって、転がり抵抗の低減効果が不足する。また発泡ゴム層を十分に軽量化することができない。発泡ゴム層6の密度は、JIS K6268に準拠し、20℃で測定するものとする。発泡ゴムの場合、比重が小さいため水に浮かばないように、適宜おもりをつけて測定する。発泡ゴム層6の密度は、発泡倍率により調整することができる。
【0022】
発泡ゴム層6の20℃のtanδは0.17以下、好ましくは0.15〜0.05である。発泡ゴム層6の20℃のtanδが0.17を超えると、転がり抵抗を小さくする効果が十分に得られない。発泡ゴム層6の20℃のtanδは、JIS K7244−6に準拠し、50×10×2の短冊状シートを引張りモードで20Hzで振動させる条件の引張り変形モードで、20℃で測定するものとする。発泡ゴム層6の20℃のtanδは、発泡剤の量および加硫時間により調整することができる。
【0023】
発泡ゴム層6は、熱伝導率が好ましくは0.05〜0.20W/mK、より好ましくは0.07〜0.18W/mKであるとよい。そして、発泡ゴム層6の熱伝導率を0.05W/mK未満にすると、発泡倍率を高くするのが必要になり、このためタイヤの軽量化の面では有利であるものの、サイドウォール部3における耐外傷性を確保することが難しくなる。熱伝導率を0.20W/mK超にすると、タイヤ走行時に発生する熱が伝導し易くなり、放熱効果により、発泡ゴム層の転がり抵抗を低減させることが難しくなる。本発明において、発泡ゴム層の熱伝導率は、ISO8301に基づき測定する。熱伝導率は、発泡ゴム層6を構成するゴム組成物におけるゴム成分及びこれに配合する発泡剤と発泡助剤の選定によって調整することができる。
【0024】
本発明において、発泡ゴム層の体積とサイドゴム層の体積の比(発泡ゴム層/サイドゴム層)が、好ましくは1/1〜10/1、より好ましくは2/1〜10/1であるとよい。体積比(発泡ゴム層/サイドゴム層)を1/1以上にすることにより、転がり抵抗を小さくするとともに、軽量化することができる。また体積比(発泡ゴム層/サイドゴム層)を10/1以下にすることにより、サイドウォール部の耐外傷性の確保を確実にすることができる。
【0025】
本発明の空気入りタイヤにおいて、発泡ゴム層およびサイドゴム層からなるサイドウォール部の比重は好ましくは0.55〜0.95g/cm
3、より好ましくは0.60〜0.90g/cm
3であるとよい。
【0026】
発泡ゴム層6は、発泡性ゴム組成物で構成する。発泡性ゴム組成物は、通常のタイヤサイドウォール用ゴム組成物に、発泡剤、発泡助剤等を配合して組成することができる。したがって、本発明で使用するサイドウォール用ゴム組成物において、熱可塑性樹脂の代わりに、発泡剤、発泡助剤等を配合するとよい。なお発泡性ゴム組成物の組成は、密度や20℃のtanδの値を考慮し、サイドウォール用ゴム組成物の基本組成と異ならせるように設計してもよい。
【0027】
発泡性ゴム組成物は、ゴム成分として、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム等のジエン系ゴム、エチレンプロピレンゴム等のオレフィンゴムが好ましく使用される。これらのゴム成分は単独又は任意のブレンドとして使用することができる。なかでも天然ゴム、ブタジエンゴムを含有することが好ましく、とりわけ天然ゴムが好ましい。天然ゴムは、ゴム成分100重量%中、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30〜100重量%含有するとよい。天然ゴムの含有量をこのような範囲にすることにより、発泡ゴム層のゴム強度を高くすることができる。
【0028】
発泡性ゴム組成物は、ジエン系ゴム100重量部に、化学発泡剤を好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは1.0〜15重量部配合するとよい。化学発泡剤の配合量が0.1重量部未満であると、加硫時の発泡が不十分になり、発泡倍率を高くすることができない。また化学発泡剤の配合量が20重量部を超えると、コストが増えるにも拘らず発泡倍率の上昇の効果は頭打ちになる。
【0029】
化学発泡剤としては、例えばニトロソ系発泡剤、アゾ系発泡剤、カルボンジアミド系発泡剤、スルホニルヒドラジド系発泡剤、アジド系発泡剤等を例示することができる。なかでもニトロソ系発泡剤および/またはアゾ系発泡剤が好ましい。これらの化学発泡剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
ニトロソ系発泡剤としてはN,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド等が例示される。アゾ系発泡剤としてはアゾビスイソブチロニトリル(AZBN)、アゾビスシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等が例示される。カルボンジアミド系発泡剤としてはアゾジカルボンアミド(ADCA)等、スルホニルヒドラジド系発泡剤としては、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホニルヒドラジド等、アジド系発泡剤としてはカルシウムアジド、4,4′−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジド等が例示される。
【0031】
化学発泡剤の分解温度は、好ましくは130℃〜190℃、より好ましくは150℃〜170℃にするとよい。化学発泡剤の分解温度をこのような範囲内にすることにより、化学発泡及び加硫の制御が容易になる。本明細書において、化学発泡剤の分解温度は、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量測定(TGA)から選ばれる熱分析を使用して分解熱や重量減少を測定することにより求められる温度である。
【0032】
発泡性ゴム組成物は、化学発泡剤と共に尿素を含むとよい。尿素は発泡助剤として作用する。尿素系発泡助剤を配合することにより、化学発泡剤が熱分解する温度を低く調節し発泡剤を効率よく熱分解させることが可能になる。尿素系発泡助剤の配合量はジエン系ゴム100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部にするとよい。尿素系発泡助剤の配合量が0.1重量部未満であると、化学発泡剤の熱分解温度を十分に調節することができない。また、尿素系発泡助剤の配合量は、上述した化学発泡剤の配合量に対して、0.5〜1.5倍であることが好ましい。0.5倍より少ない場合は助剤としての効果が得られず、1.5倍より多い場合は、反応せず組成物の中で異物となってしまい機械的強度が低下する。
【0033】
本発明において、充填剤を配合することにより、発泡性ゴム組成物のゴム強度をより高くする。充填剤の配合量はジエン系ゴム100重量部に対し、好ましくは20〜100重量部、より好ましくは40〜80重量部にするとよい。充填剤の配合量が20重量部未満であると発泡性ゴム組成物のゴム強度を十分に高くすることができない。また充填剤の配合量が100重量部を超えると発泡性ゴム組成物の加工性が低下する。
【0034】
充填剤としては、例えばカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、珪藻土、タルク等を例示することができる。なかでもカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウムが好ましい。このような充填剤は、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
【0035】
発泡性ゴム組成物は、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、ゴム補強剤、軟化剤(可塑剤)、老化防止剤、加工助剤、発泡助剤、脱泡剤、活性剤、金型離型剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、増粘剤等の工業用ゴム組成物やゴム発泡体に通常用いられる配合剤を添加することができる。これらの配合剤は本発明の目的に反しない限り、通常用いられる配合量を適用することができ、また通常の調製方法で添加、混練又は混合することができる。
【0036】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
サイドウォール用ゴム組成物および発泡性ゴム組成物の調製及び評価
表1に示すゴム配合からなる5種類のサイドウォール用ゴム組成物(配合A〜E)および4種類の発泡性ゴム組成物(配合F〜I)について、それぞれ硫黄、加硫促進剤および化学発泡剤を除く配合成分を秤量し、1.7L密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、温度150℃でマスターバッチを放出し室温冷却した。その後このマスターバッチを加熱ロールに供し、硫黄、加硫促進剤および化学発泡剤を加えて混合し、サイドウォール用ゴム組成物および発泡性ゴム組成物を調製した。
【0038】
得られた5種類のサイドウォール用ゴム組成物(配合A〜E)を所定形状(縦100mm、横100mm)の金型に充填し、温度180で、15分間加熱しプレス加硫し、加硫試験片を成形した。得られた加硫試験片を用いて、10%の引張り応力を以下の方法で測定した。
【0039】
10%の引張り応力
得られた加硫試験片をJIS K7244−4に準拠して、スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)にかけて、歪み10%±10%、周波数20Hzおよび20℃の測定条件で、10%変形時の引張り応力を測定した。得られた結果を表1の「10%の引張り応力」の欄に記載する。
【0040】
得られた4種類の発泡性ゴム組成物(配合F〜I)を所定形状(縦100mm、横100mm)の金型に充填し、温度180で、15分間加熱しプレス加硫した。加硫と発泡が同時に進行し、厚さが約15mmの発泡ゴム成形体を成形した。得られた発泡ゴム成形体を用いて、密度、20℃のtanδおよび熱伝導率を以下の方法で測定した。
【0041】
密度
発泡ゴム成形体の密度を、JIS K−6268に準拠して20℃で測定した。発泡ゴムの場合、予め体積を測定しておいた鉄のおもりを2gつるして測定し、その値を引く事によって体積と重さを算出し、密度を計算した。得られた結果を表1の「密度」の欄に記載する。また空気入りタイヤの発泡ゴム層およびサイドゴム層からなるサイドウォール部の比重も同様にして測定し、得られた結果を表2の「サイドウォール部の比重」の欄に記載する。
【0042】
20℃のtanδ
発泡ゴム成形体のtanδを、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、歪み10%±2%、周波数20Hz、雰囲気温度20℃で測定した。得られた結果を表1の「tanδ(20℃)」の欄に記載する。
【0043】
熱伝導率
発泡ゴム成形体の熱伝導率をISO8301に準拠し、迅速熱伝導率計(京都電子工業社製QTM−500)を使用して、細線加熱法(ホットワイヤ法)で測定した。得られた結果を表1の「熱伝導率」の欄に記載する。
【0044】
【表1】
【0045】
なお、表1で使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、TSR20
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1220
・カーボンブラック:FEF級カーボンブラック、中部カーボン社製HTC−100
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸YR
・老化防止剤:FLEXSYS社製SANTOFLEX 6PPD
・ワックス:パラフィンワックス
・オイル:アロマ系オイル、三共油化工業社製A−OMIX
・PP:ポリプロピレン、プライムポリマー社製E−333GV
・PS:ポリスチレン、東洋スチレン社製MW1C
・硫黄: 鶴見化学社製金華印微粉硫黄150mesh
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーNS−P
・化学発泡剤:ニトロソ系発泡剤、永和化成工業社製セルラーCK#54
【0046】
空気入りタイヤの作製及び評価
タイヤサイズを195/65R15、タイヤの基本構造を
図1、サイドウォール部3を上記で得られたサイドウォール用ゴム組成物および発泡性ゴム組成物を積層して構成し、その平均厚さを表2のように異ならせるようにして、12種類の空気入りタイヤ(実施例1〜5、比較例1〜5、標準例1,2)をそれぞれ作製した。得られた12種類のタイヤについて、以下に記載する試験方法により、転がり抵抗及び耐外傷性の評価を行い、その結果を表2に示した。
【0047】
〔転がり抵抗〕
各タイヤをリム(サイズ:15×6J)に組み込み、空気圧230kPaを充填して、室内のドラム試験機(ドラム径:1707mm)を使用し、JIS D4234に準拠し荷重4.5kN、速度80km/時の条件における転がり抵抗値を測定した。その結果を標準例1の転がり抵抗値の逆数を100とする指数として、表2の「転がり抵抗」の欄にに記載した。この指数が大きいほど転がり抵抗が低いことを意味する。
【0048】
〔耐外傷性〕
各タイヤをリム(サイズ:15×6J)に組み込み、排気量1800ccの車両に装着し、前輪タイヤを、高さ20cmのコンクリート製縁石に5°の侵入角度で衝突させたとき、サイドウォール部が傷つく最低速度を計測した。その結果を標準例1の値を100とする指数として、表2の「耐外傷性」の欄に記載した。この指数が大きいほど耐外傷性が優れていることを意味する。
【0049】
【表2】
【0050】
表2より、本発明タイヤ(実施例1〜5)は、耐外傷性を維持、向上しながら、転がり抵抗が向上していることがわかる。
【0051】
比較例1〜3の空気入りタイヤは、サイドウォール用ゴム組成物が、熱可塑性樹脂を配合していないので耐外傷性が劣る。
【0052】
比較例4の空気入りタイヤは、発泡ゴム層の密度が0.5g/cm
3未満であるので、破断しやすく耐外傷性が劣る。
【0053】
比較例5の空気入りタイヤは、発泡ゴム層の20℃のtanδが0.17を超えるので、転がり抵抗が悪化する。