(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内蔵プラグ部が有する前記係合部位の係合する面の軸方向に対する角度は、前記プラグが有する前記係合部位の係合する面の軸方向に対する角度よりも直角に近いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のソケット。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧縮空気により駆動する釘打機へ圧縮空気を供給するためのエアコンプレッサの空気供給口にはソケットが設けられており、この空気供給口のソケットに接続されるホースの一端部にはプラグが設けられている。また、このホースの他端部にはソケットが設けられており、このホースの他端部のソケットに接続される釘打機等の圧縮空気により駆動する空気工具の部分にはプラグが設けられている。それぞれソケットにプラグを挿入し固定して接続することにより、エアコンプレッサの空気供給口からホース内へ圧縮空気を供給することができる。一般的なソケットやプラグは、例えば下記特許文献1に記載されている。
【0003】
また、ソケットとプラグとの離脱を容易にするために、手動の押下圧力により両者の離脱を可能とする継手が開発されている(特許文献2および特許文献3)。以下では、所定箇所を押下することで、ソケットとプラグとが離脱可能な管継手を、押下方式の管継手と称する。
【0004】
特許文献2の
図3および〔0016〕を参照して、雌要素7に機構18が内蔵されており、この機構18にはプラグ5を固定する作用を有している。具体的には、機構18に設けられたバネ19、ラッチ20および駆動部材21により、ハウジング9の内部で、プラグ5が所定位置で固定される。また、機構18を押下することで、この固定が解除されプラグ5とハウジング9の嵌合が解除される。
【0005】
特許文献3の
図1および〔0017〕、〔0018〕を参照すると、ハウジング部にロック4が滑動可能に内蔵されており、このロック4によりプラグがソケットに固定される。また、
図7および〔0033〕−〔0035〕を参照して、部材42が下方に移動することにより、プラグの引き抜きが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、本形態に係る管継手14の構成を説明する。
図1(A)はソケット10にプラグ12が挿入された状態の管継手14を示す斜視図であり、
図1(B)は管継手を分解して示す斜視図である。
【0014】
本形態の管継手14は、ソケット10と、ソケット10に挿入されるプラグ12とを備えており、ソケット10にプラグ12が挿入されることで管継手14が構成されている。また、本形態の管継手14は、被係合部42を下方に押下することでプラグ12とソケット10との嵌合が解除される押下方式の管継手である。
【0015】
管継手14の役割は、コンプレッサ等の圧縮空気発生装置と、釘打機等の圧縮空気使用装置とを接続するホースに介装され、着脱を可能とすることである。使用状況下では、圧縮空気はソケット10からプラグ12の方に流通する。ここで、プラグ12は雄型継手部材と称される場合があり、ソケット10は雌型継手部材と称される場合がある。
【0016】
以下の説明では、圧縮空気が管継手14に導入される側を先端側と称し、その逆方向を後端側という。また円周方向外側を外側と称し、円周方向内側を内側と称する。
【0017】
管継手14の状態としては、ソケット10にプラグ12が挿入されて気密状態となる挿入状態と、挿入された状態で非気密状態となる半挿入状態と、プラグ12がソケット10から引きぬかれる非挿入状態とがある。この図では、プラグ12がソケット10に挿入されて嵌合された状態である挿入状態を示している。
【0018】
管継手14を非挿入状態から挿入状態に移行させる方法は次のとおりである。プラグ12をソケット10に挿入させると、ソケット10に内蔵された後述する内蔵プラグ部22にその先端部が挿入されて嵌合する。同時に、内蔵プラグ部22の所定箇所が被係合部42に係合する。ここで、挿入状態とは、ソケット10がプラグ12に挿入されており、且つ、両者の気密が保持された状態である。この状態の詳細は
図2を参照して詳述する。
【0019】
挿入状態で使用者が被係合部42を押下してその押下状態を保持すると、半挿入状態となる。具体的には、ソケット10に内蔵された内蔵プラグ部22が後端側に移動した状態で係合する。また、この状態では、内蔵プラグ部22とプラグ12との嵌合は保持されている。ここで、半挿入状態とは、ソケット10がプラグ12に挿入状態で嵌合されており、且つ、両者の気密が保持されていない状態である。この状態の詳細は
図3を参照して詳述する。
【0020】
その後に、使用者の被係合部42に対する押下が解除されると、非挿入状態となる。具体的には、ソケット10に内蔵された内蔵プラグ部22と被係合部42との係合が解除され、内蔵プラグ部22とプラグ12との嵌合が解除される。ここで、非挿入状態とは、ソケット10からプラグ12を引きぬくことが可能であり、且つ、両者の気密が保持されていない状態である。この状態の詳細は
図4を参照して詳述する。
【0021】
図1(B)を参照して、ソケット10は、先端側から第1基部16、第2基部18、第3基部19および第4基部36を組み合わせることで、内蔵プラグ部22等を収納する基部を有している。弁体30およびバネ28は、第1基部16および第2基部18の内部に収納される。
【0022】
第3基部19を上方に貫通した孔部34には、内蔵プラグ部22の位置を規定する被係合部42が収納される。被係合部42の内面には、第1被係合部位24および第2被係合部位26が配置されており、これらの部位は内蔵プラグ部の係合部位38と係合する。孔部34の底部に設けた凹部25にはバネ43が収納され、このバネ43が被係合部42に対して上方に付勢力を与えている。
【0023】
孔部34よりも後端側の第3基部19および第4基部36には、先端側からバネ32および内蔵プラグ部22が内蔵される。バネ32は内蔵プラグ部22に対して後端側に付勢力を与えている。
【0024】
内蔵プラグ部22は、上記した挿入状態または半挿入状態の際に、被係合部42の何れかの係合部位と係合して、プラグ12とソケット10との相対的な位置を規定する役割を有する。内蔵プラグ部22の後端側の端部付近には、その厚み部分を円形に貫通して設けた収納孔20が形成されており、この収納孔20には鋼球23が収納されている。鋼球23は、プラグ12と内蔵プラグ部22とを嵌合させる働きを有する。
【0025】
プラグ12は、先端部付近を拡経させた係合部位45を有し、プラグ12をソケット10に挿入すると、この係合部位45が鋼球23を介して内蔵プラグ部22に嵌合する。本形態では、プラグ12の係合部位45の両側面は、半径方向内側に向かって裾広がりな形状を呈している。
【0026】
また、管継手14を構成する各部位同士が接触する部分には、軟性の樹脂材料をリング状に成形したOリング(オーリング)が介装される。
【0027】
図2を参照して、挿入状態での管継手14の構成を説明する。
図2(A)はプラグ12がソケット10に挿入された状態の管継手14を示す平面図であり、
図2(B)は
図2(A)に示す管継手14をB−B’線で切断した場合の断面図である。
【0028】
図2(B)を参照して、各基部の関連構成を説明する。先端側に配置された第1基部16の後願部付近は第3基部19に挿入固定されている。この挿入固定は、ネジ構造を利用した締結、接着剤による接着またはこれらの組み合わせで実現される。この事項は、ソケット10を構成する他の部材に関しても同様である。第2基部18は、第3基部19の先端側に内蔵されており、その先端側の端部は第1基部16に当接している。第2基部18の内径は、先端側に於ける内蔵プラグ部22の外径と略一致している。第3基部19の後端側には第4基部36が内蔵されており、その内径は、後端側に於ける内蔵プラグ部22の外径と略同一である。これらの各基部は金属材料から成る。
【0029】
バネ28および弁体30は、第1基部16に内蔵されている。バネ28の先端側の端部は、第1基部16の内部に設けられた壁状部位に当接し、バネ28の後端側の端部は弁体30に当接している。使用時に於いて、バネ28は弁体30に対して後端側向きの付勢力を加えている。弁体30は、後端側に開放口を有する有底円筒形状を呈しており、その外面が第2基部18の内面に当接するように配置されている。この図に示す挿入状態では、弁体30は内蔵プラグ部22により先端側に押圧されており、弁体30の孔部44が第2基部18により塞がれず露出している。弁体30の側壁を貫通する複数の孔部44が円周方向に沿って等間隔に設けられており、この孔部44を経由して、ソケット10側の空気流路46と、プラグ12側の空気流路48とは連通している。
【0030】
内蔵プラグ部22は、第3基部19に内蔵されている。内蔵プラグ部22は、使用時にプラグ12と嵌合し、且つ、被係合部42と係合する機能を有する部材である。換言すると、内蔵プラグ部22は、プラグ12と被係合部42との間に介在して両者を中継する部材である。内蔵プラグ部22の具体的な形状は、後端側の端部が先端側よりも拡径された略円筒形状を呈しており、その周囲を円環状に拡大させた係合部位38を有している。係合部位38の先端側の側面は傾斜面であり、後端側の側面は軸方向に対して垂直な面である。
【0031】
内蔵プラグ部22の後端側の端部付近を貫通して収納孔20が形成されており、この収納孔20には鋼球23が収納されている。挿入状態では、第4基部36の内壁に接触することで内側に押し出された鋼球23が、プラグ12の係合部位45の後端側側面に係合している。これにより、内蔵プラグ部22とプラグ12との嵌合が実現される。
【0032】
ここで、被係合部42と内蔵プラグ部22との係合に関して説明する。被係合部42は、第3基部19を上方に円形に貫通して設けられた孔部34に収納されており、その外形形状は円筒形状を呈している。また、被係合部42は軸方向に貫通孔が設けられており、この貫通孔には内蔵プラグ部22が配置されている。被係合部42の内壁には、下面に第1被係合部位24が形成され、上面に第2被係合部位26が形成されている。第1被係合部位24は先端側に形成されており、第2被係合部位26が後端側に設けられている。
【0033】
第1被係合部位24は、被係合部42の内面を上方に突起させた部位である。第1被係合部位24の先端側の側面は、軸方向に対して垂直な面であり、使用状況下では、この先端側の側面に、内蔵プラグ部22が有する係合部位38の後端側の側面が当接する。また、被係合部42がバネ43で上方に付勢されることで、その第1被係合部位24が、内蔵プラグ部22の係合部位38と係合している。これにより、ソケット10の内部に於ける内蔵プラグ部22の位置が規定されている。一方、この状態では、被係合部42の第2被係合部位26は、内蔵プラグ部22には接触していない。
【0034】
本形態の管継手14は、上記した挿入状態で使用される。具体的には、外部に配置された圧縮空気発生装置で生成された圧縮空気が先端側から管継手14に導入され、空気流路46、弁体30の孔部44および空気流路48を経由して、釘打機等の圧縮空気使用装置に供給される。
【0035】
図3を参照して、半挿入状態に於ける管継手14の構成を説明する。
図3(A)はこの状態の管継手14を示す平面図であり、
図3(B)は
図3(A)のB−B’線での断面図である。
【0036】
図3(A)を参照して、上記した挿入状態でソケットの被係合部42を下方に押圧し、この押圧状態を保持すると、プラグ12はソケット10から後端側に数ミリ程度押し出され、その位置で保持される。この状態が、プラグ12とソケット10との嵌合が保持されつつ、両者の気密状態が解除された半挿入状態(パージ状態)である。
【0037】
図3(B)を参照して、半挿入状態に於ける管継手14の構成を詳述する。被係合部42を使用者が押下すると、バネ43が圧縮されつつ被係合部42が下方に移動する。この移動に伴い、第1被係合部位24から、内蔵プラグ部22の係合部位38が離脱する。この結果、バネ28およびバネ32の付勢力により内蔵プラグ部22は後端側に移動する。その後、被係合部42の第2被係合部位26の先端側の側面が、内蔵プラグ部22の係合部位38の後端側の側面に係合する。これにより、半挿入状態に於けるソケット10内部での内蔵プラグ部22の位置が固定される。
【0038】
内蔵プラグ部22の移動に伴い、バネ28により後端側に付勢されている弁体30も後端側に移動する。そして、弁体30の孔部44が第2基部18の内壁により塞がれる。これにより、ソケット10の内部で、空気流路46と空気流路48とが分断される。よって、第2基部18よりも後端側で気密が解除されても、ソケット10に接続されたコンプレッサから供給される圧縮空気は外部に漏出しない。
【0039】
更に、プラグ12も後端側に移動する。この時、鋼球23は第4基部36の内壁に接触することで、内側に押し出された状態が保持されるので、プラグ12の係合部位45は鋼球23と係合したままである。よって、半挿入状態であってもプラグ12と内蔵プラグ部22とは嵌合されたままであり、この状態で内部圧力によりプラグ12がソケット10から離脱することはない。
【0040】
図3(C)を参照して、本形態では、バネ43の
付勢力とバネ32の
付勢力とを所定の関係としている。これにより、パージ行程の途中段階で、使用者が被係合部42に対して与えている押圧力を解除したとしても、被係合部42の第2被係合部位26に、内蔵プラグ部22の係合部位38が係合している状態を保持することを可能としている。
【0041】
具体的には、バネ43が被係合部32を紙面上にて上方に付勢する力F1が大きいと、使用者が被係合部42に対して与えている押圧を解除した場合、被係合部42が紙面上にて上方に移動する。その結果、被係合部42の第2被係合部位26と、内蔵プラグ部22の係合部位38との係合が解除され、パージの途中段階でプラグ12がソケット10から離脱してしまう恐れがある。
【0042】
本形態では、バネ43が被係合部42に与える
付勢力F1を小さくする一方、バネ32が内蔵プラグ部22に対して紙面上にて左向きに与えている
付勢力F2を大きくしている。一例として、バネ43の線径を0.6mm、巻き数を6、自由長を7mm、外径直径を6mmとしており、一般的なものと比較して自由長を短くしている。また、バネ32は、線径が1.1mm、巻き数が3.5、自由長が20mm、外径直径が15mmである。
【0043】
これにより、パージ行程の途中段階にて使用者が被係合部42に与えている押圧力を解除したとしても、プラグ12よりも下流側のパイプに充填された空気が管継手14を経由して外部に放出されている間は、内蔵プラグ部22の係合部位38と被係合部42の第2被係合部位26との係合は保持されている。よって、空気圧によりパージ行程の途中でプラグ12が外部に引き抜けてしまうことが抑止される。
【0044】
この理由は、バネ32の
付勢力で、係合部位38が第2被係合部位26に押しつけられることで発生する摩擦力が、バネ43により与えられる付勢力F1に対抗する抗力として作用するからである。更に、パージ行程にて外部に放出される空気により発生する圧力F3も、バネ43により与えられる付勢力F1に対抗する抗力として作用している。ここで、圧力F3が作用する方向としては、
図3(C)に示すように、紙面上にて左方向のみでも良いし、紙面上にて下方向のみでも良いし、これらの両方向に作用しても良い。パージ行程にてパイプ内部の空気が外部に放出された後は、空気による上記圧力F3が無くなり、被係合部42はバネ43の
付勢力F1により上方に移動し、係合部位38と第2被係合部位26との係合は解除される。即ち、プラグ12がソケット10から離脱される。
【0045】
図4を参照して次に、ソケット10からプラグ12が引き抜かれる非接続状態を説明する。
図4(A)は非接続状態の管継手14を示す平面図であり、
図4(B)は
図4(A)のB−B’線での断面図である。
【0046】
図4(A)を参照して、上記した半挿入状態の後に被係合部42に与えていた押圧力を解除すると、プラグ12とソケット10との嵌合が解除され、プラグ12が離脱する。
【0047】
図4(B)を参照して、具体的には、被係合部42に印加されていた押圧力を解除すると、バネ43の付勢力により被係合部42は上方に移動する。その結果、内蔵プラグ部22の係合部位38と第2被係合部位26との係合が解除される。その後、バネ32の付勢力により、内蔵プラグ部22は後端側に移動する。移動後は、内蔵プラグ部22の係合部位38の上面(外側端部)は、被係合部42の第2被係合部位26の下面(内側端部)に当接している。
【0048】
内蔵プラグ部22の移動に伴い、収納孔20に収納された鋼球23は、第4基部36の凹状部50に収納される。これにより、鋼球23が半径方向の外側に移動するので、プラグの係合部位45と鋼球23との係合が解除され、プラグ12をソケット10から引きぬくことが可能となる。また、凹状部50に鋼球23が収納されて係合することで、内蔵プラグ部22の後端側への移動がストップする。
【0049】
以上が、挿入状態、半挿入状態および非挿入状態に於ける管継手14の構造および動作である。
【0050】
本発明の特徴は、プラグの代替としてソケット10の内部で係合する内蔵プラグ部22を設けたことに有る。具体的には、
図2を参照して、内蔵プラグ部22の係合部位38が、被係合部42の第1被係合部位24に係合することで、挿入状態が実現する。また、
図3を参照して、内蔵プラグ部22の係合部位38が、被係合部42の第2被係合部位26に係合することで半挿入状態が実現する。そして、鋼球23を用いた係合構造で、内蔵プラグ部22とプラグ12とを嵌合させている。これにより、例えば、使用されるプラグ12が被係合部42と嵌合し難い形状であっても、押下方式の管継手14に採用できる。
【0051】
更なる本発明の特徴は、
図2を参照して、内蔵プラグ部22に設けられる係合部位38の係合する側面(後端側を向く側面)を軸方向に対して垂直にしたことに有る。このようにすることで、被係合部42の内面に設けられた第1被係合部位24および第2被係合部位26の側面と良好に当接し、これらの部位とより確実に係合させることが可能となる。
【0052】
更に本発明では、ソケット10に内蔵される内蔵プラグ部22とプラグ12とを、鋼球23を用いて嵌合させている。これにより、プラグ12に設けられる係合部位45が裾広がりに突出する形状であっても、プラグ12と内蔵プラグ部22とを良好に嵌合出来る。
【0053】
上記した本形態は、例えば次のように変更することが出来る。
【0054】
図2を参照して、内蔵プラグ部22に設けられる係合部位38の係合する側面は、軸方向に対する角度は直角とされているが、この角度を直角以外の角度にしても良い。具体的には、この角度は、プラグ12が有する係合面の軸方向に対する角度よりも直角に近い角度とされる。