(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記電動駆動ユニットの上記チューブ保持部は、上記回転機構の移動方向と、上記1本の連結部材の上記電動駆動ユニット内部への引き出し方向とがほぼ同一方向となるようにチューブ部材の端部を保持する請求項4記載の操作装置。
上記電動駆動ユニットは、上記アーム部材の回転角度を、第1の回転角度と、上記第1の回転角度よりも小さい第2の回転角度とのいずれかの回転角度に切り替えることができ、連結部材の引き出し量を、大洗浄モードの排水弁の引き上げ量と、小洗浄モードの排水弁の引き上げ量との間で切り替えることができる請求項2乃至6の何れか1項に記載の操作装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
つぎに、添付図面により、本発明の第1実施形態による操作装置について説明する。
まず、
図1により、本発明の第1実施形態による操作装置を備えた洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による操作装置を備えた洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器において、便座、便蓋を取り外し、洗浄水タンク装置の蓋体を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0019】
図1に示すように、符号1は、サイホン作用を利用してボウル部内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路から一気に外部に排出する、いわゆる、サイホン式の水洗大便器であり、この水洗大便器1は、陶器製の便器本体2を備え、この便器本体2には、ボウル部4と、このボウル部4の下部と連通する排水トラップ管路6がそれぞれ形成されている。
便器本体2のボウル部4の上縁部には、内側にオーバーハングしたリム8と、便器本体2の後方側の内部に形成される導水路(図示せず)から供給される洗浄水を吐水する第1吐水口10が形成され、この第1吐水口10から吐水された洗浄水は、旋回しながら下降してボウル部4を洗浄するようになっている。
【0020】
ボウル部4の下方には、溜水面が鎖線W0で示された溜水部12が形成されている。この溜水部12の下方には、排水トラップ管路6の入口6aが開口し、この入口6aから後方の排水トラップ管路6は排水ソケット(図示せず)を介して床下の排出管(図示せず)に接続されている。
また、ボウル部4の溜水面W0の上方位置には、便器本体2の後方側の内部に形成される導水路(図示せず)から供給される洗浄水を吐水する第2吐水口14が形成され、この第2吐水口14から吐水される洗浄水が溜水部12の溜水を上下方向に旋回させる旋回流を生じさせるようになっている。
【0021】
便器本体2の後方側の上面には、便器本体2に供給する洗浄水を貯水する洗浄水タンク装置16が設けられている。
なお、本実施形態では、上述したサイホン式の水洗大便器に洗浄水タンク装置16を適用した例について説明するが、このようなサイホン式の水洗大便器に限定されず、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる、洗い落し式の水洗大便器等の他のタイプの水洗便器にも適用可能である。
【0022】
つぎに、
図2及び
図3により、洗浄水タンク装置16の内部構造について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による操作装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を前方から見た概略図であり、
図3は
図2の排水弁装置の中央断面図であり、本発明の第1実施形態による排水弁装置の大洗浄モード及び小洗浄モードにおける排水開始前の状態を示している。
図2に示すように、洗浄水タンク装置16は、水洗大便器1を洗浄する洗浄水を貯水する貯水タンク18を備え、この貯水タンク18の底部18dには、便器本体2の導水路(図示せず)と連通する排水口20が形成され、貯水タンク18内の洗浄水が便器本体2の導水路(図示せず)へと供給されるようになっている。また、貯水タンク18は、便器の種類に応じて、貯水する洗浄水の量が異なっている。また、貯水タンク18は、例えば、ローシルエットタイプの貯水タンクであるが、ローシルエットタイプ以外のものであってもよい。
【0023】
図2に示すように、洗浄水タンク装置16の貯水タンク18内には、この貯水タンク18内に洗浄水を供給する給水装置22と、貯水タンク18に貯えられた洗浄水について排水口20を開放して便器本体2の導水路(図示せず)に流出させる排水弁装置24とが設けられている。
【0024】
給水装置22は、外部の給水源(図示せず)に接続され貯水タンク18の底部18dから上方に延びる給水管26と、この給水管26の上端部に取り付けられ、給水管26から給水される洗浄水の貯水タンク18内への吐水と止水を切り替える給水バルブ28と、貯水タンク18内の水位の変動に応じて上下動して給水バルブ28による吐水と止水を切り替えるフロート30とを備えている。
給水管26の外周側下端部には、吐水口32が開口し、給水バルブ28からの洗浄水がこの吐水口32から貯水タンク18内に吐水されるようになっている。
【0025】
給水装置22においては、後述する排水弁装置24により、貯水タンク18内の洗浄水が便器に排水されると、洗浄水の水位が低下してフロート30が下降し、それにより給水バルブ28が開き、吐水口32からの吐水が開始し、洗浄水タンク装置16の外部の給水源(図示せず)から貯水タンク18内への吐水が開始されるようになっている。
さらに、吐水が継続されて貯水タンク18内の水位が上昇すると、フロート30が上昇し、それにより給水バルブ28が閉じ、吐水口32からの吐水が止水される。これにより、貯水タンク18内の洗浄水の水位が満水時の満水水位WLに維持されるようになっている。
【0026】
つぎに、
図3は、
図2の排水弁装置の中央断面図である。
図2及び
図3に示すように、排水弁装置24は、上下動することにより排水口20を開閉する排水弁本体34を内部に備えた直動式の排水弁装置である。この排水弁本体34の上端部34aには、詳細は後述するワイヤ部材50の排水弁側端部50aが連結されている。
このワイヤ部材の他端部は、詳細は後述するが、操作装置の電動駆動ユニットを介して手動操作ユニットに連結されている。よって、手動操作ユニット又は電動駆動ユニットにより、共通に使用される1本のワイヤ部材50が引き上げられるようになっている。そして、排水弁本体34が上昇し、排水口20が開放され、貯水タンク18内の洗浄水が便器本体2の導水路(図示せず)に流出し、便器洗浄が開始されるようになっている。
【0027】
さらに、
図2及び
図3に示すように、排水口20は、より具体的には、貯水タンク18の底部18dに取り付けられた排水口形成部材36のほぼ中央部から下方に延びるように形成された排水管路36a内の区間全体であり、この排水管路36aの上縁部には、その全周に亘って弁座42が形成されている。また、
図3に示すように、排水弁本体34の下端部には、弁体40が設けられており、排水弁本体34が下降して弁体40が弁座42に当接すると、排水口20が閉鎖されるようになっている。また、
図2及び
図3に示すように、排水口形成部材36には、排水弁装置24の外側の洗浄水を排水口20へ流入させるための複数の連通口44が形成されている。
なお、
図3に示すように、排水弁装置24の内部には、大洗浄モード及び小洗浄モードのそれぞれの場合において排水弁本体34の開弁動作を開始するタイミングを調整するための種々の関連部材等が設けられているが、これらの関連部材については、省略したとしても、ワイヤ部材による排水弁本体34の引き上げ機能は最低限確保することができるため、説明は省略する。
【0028】
ここで、
図3に示す排水弁装置24の排水弁本体34及び弁体40については、弁体40が弁座42に当接して閉弁位置P0にある状態を実線で示し、小洗浄モードにおいて弁体40が最高開弁位置P1まで上昇した状態と大洗浄モードにおいて弁体40が最高開弁位置P2まで上昇した状態をそれぞれ鎖線で示している。
図2及び
図3に示すように、排水弁装置24の大洗浄モードにおける開弁時の状態では、手動操作ユニット52又は電動駆動ユニット54の作動により、ワイヤ部材50が所定の最大量の引き上げ量で引き上げられると共に、排水弁本体34の弁体40が閉弁位置P0から最高開弁位置P2まで引き上げられて排水口20が開放されるようになっている。このとき、弁座42に対する弁体40の上昇高さ(ストローク)Hは、小洗浄モード時の引き上げ高さH2よりも高い最大高さ(最大ストローク)H1となり(H1>H2)、貯水タンク18内から比較的多い洗浄水量の洗浄水が水洗大便器1の便器本体2の導水路46に供給され、大洗浄モードによる便器洗浄が開始されるようになっている。
【0029】
一方、
図2及び
図3に示すように、排水弁装置24の小洗浄モードにおける開弁時の状態では、手動操作ユニット又は電動駆動ユニットの作動により、ワイヤ部材50が大洗浄モードの場合の最大引き上げ量よりも少ない引き上げ量で引き上げられる共に、排水弁本体34の弁体40が閉弁位置P0から大洗浄モードの最高開弁位置P2よりも低い小洗浄モードの開弁位置P1まで引き上げられて排水口20が開放されるようになっている。このとき、弁座42に対する弁体40の上昇高さ(ストローク)Hは、大洗浄モードの最大ストロークH1よりも低いH2となり、貯水タンク18内から大洗浄モードによる洗浄水量よりも少ない洗浄水量の洗浄水が水洗大便器1の便器本体2の導水路46に供給され、小洗浄モードによる便器洗浄が開始されるようになっている。
【0030】
また、
図3に示すように、排水弁装置24においては、弁体40が大洗浄モードと小洗浄モードのそれぞれの引き上げ量に応じて排水弁本体34と共にワイヤ部材により引き上げられた後、所定の動作をしながら、排水弁本体34が水位の低下と共にさらに下降するようになっている。そして、
図3に示すように、弁体40が弁座42に当接して、待機位置(開始位置)である閉弁位置P0に戻り、排水口20が閉止された状態となり、排水弁装置24の大洗浄モード又は小洗浄モードにおける排水が終了するようになっている。そして、貯水タンク18内の洗浄水は、給水装置22による給水によって、所定の満水水位WLまで貯水されるようになっている。
【0031】
万一、貯水タンク18の水位が満水水位WLを超えた場合でも、水位がオーバーフロー管38の上端開口部38bの高さ位置に相当する水位を上回ったときには、洗浄水がオーバーフローし、オーバーフロー管38の上端開口部38bから貯水タンク18の排水口20を経て便器本体2側に排水(供給)される。
【0032】
つぎに、
図2乃至
図6を参照して、本発明の第1実施形態による操作装置の詳細について説明する。
貯水タンク18内には、さらに排水弁装置24を作動させ便器本体2へ洗浄水の供給を開始させる洗浄水タンク装置16の操作装置48が設けられている。
この操作装置48は、一端が排水弁本体34に連結され、自身が物理的に引き上げられる引き上げ量に応じて、排水弁本体34及び弁体40を共に引き上げることができる1本のワイヤ部材50と、便器前方から見て貯水タンク18の左側外部側面18aに設けられてワイヤ部材50を手動操作により引き上げ操作可能な手動操作ユニット52と、貯水タンク18の右側内部側面18bに設けられてワイヤ部材50を外部からの電力による電動操作により引き上げ操作可能な電動駆動ユニット54と、手動操作ユニット52と電動駆動ユニット54との間に延びる第1チューブ部材64と、電動駆動ユニット54と排水弁装置24との間に延びる第2チューブ部材66と、を備えている。
この操作装置48においては、1本のワイヤ部材50が、手動操作ユニット52と排水弁本体34とを電動駆動ユニット54を通って連結するように配置されている。操作装置48は、手動操作ユニット52による手動操作洗浄装置であり、且つ電動駆動ユニット54による自動操作(電動操作)洗浄装置でもある。
【0033】
ワイヤ部材50は、排水弁側端部50aが排水弁本体34の上端部34aに連結され、手動操作ユニット側端部50bが後述する手動操作ユニット52の回転巻取部材58に取付けられている。
【0034】
手動操作ユニット52は、手動操作ユニット52の回転機構ユニット56を構成するように内蔵され、ワイヤ部材50の手動操作ユニット側端部50bが連結されている回転巻取部材58と、回転巻取部材58に自身の回転操作による回転を伝達できるように、回転機構ユニット56から貯水タンク18の外側まで貫くように延びる回転軸部材60を介して、回転巻取部材58と接続される操作ハンドル62と、を備えている。
これにより、例えば、操作ハンドル62を回転軸部材60と共にその軸回りに所定の方向に回転操作すると、回転機構ユニット56の回転巻取部材58が所定方向に回転することによりワイヤ部材50が引き上げられるようになっている。回転機構ユニット56においては、回転巻取部材58が回転軸部材60に直接連結されていてもよく、また、回転巻取部材58がギヤを介して回転軸部材60に間接的に連結されていてもよい。
【0035】
手動操作ユニット52は、使用者が操作する操作ハンドル62の回転方向及び/又は回転量に応じて、回転巻取部材58の回転量(すなわち回転巻取部材58に取付けられたワイヤ部材50の引き上げ量)が比較的大きくなる場合には、大洗浄モードを実行させ、又は回転巻取部材58の回転量(すなわち回転巻取部材58に取付けられたワイヤ部材50の引き上げ量)が比較的小さくなる場合には、小洗浄モードを実行させることができる。
手動操作ユニット52は便器前方から見て貯水タンク18の左側外部側面18aに設けられているが、便器前方から見て貯水タンク18の右側外部側面18cに設けられていてもよく、この場合、操作ハンドル62は、貯水タンク18の右側側面に取付けられる右側操作ハンドルであってもよい。
【0036】
第1チューブ部材64は、可撓性の管形状部材である。第1チューブ部材64は、手動操作ユニット52の第1チューブ取付部52aに取付けられる第1チューブ部材第1端部64aと、後述する第1チューブ保持部86に保持される第1チューブ部材第2端部64bとを有している。第1チューブ部材64は、第1チューブ部材第1端部64aと、第1チューブ部材第2端部64bとの間の長さが長さL1に形成され、貯水タンク18内で湾曲して配置されることができる。よって、長さL1の第1チューブ部材64内には、長さL1の長さのワイヤ部材50が配置されることになる。
【0037】
第1チューブ部材64は、手動操作ユニット52と電動駆動ユニット54との間に配置され、内部においてワイヤ部材50を自らの形状にそって導くことができるように内部に通し、移動可能に配置できる通路を形成している。第1チューブ部材64がワイヤ部材50が移動する経路を形成するので、ワイヤ部材50を第1チューブ部材64の配置されている湾曲した経路形状に沿って引き上げることができる。従って、第1チューブ部材64を設けることにより電動駆動ユニット54を手動操作ユニット52に対して自由な位置関係で配置することができる。
本発明の第1実施形態とは異なり、第1チューブ部材64が設けられていない場合には、ワイヤ部材50が手動操作ユニット52と電動駆動ユニット54との間でたるみが生じないように直線的に張られた状態で配置される必要があり、貯水タンク18内の限られた空間の中で、手動操作ユニット52と電動駆動ユニット54との間をワイヤ部材50が直線的に結ぶ場合に、他の機器が干渉しないようにこれらの機器を直線的に並べて配置する必要が生じてしまう。本発明の第1実施形態によればこのような問題が生じないようにすることができる。
【0038】
第2チューブ部材66は、可撓性の管形状部材である。第2チューブ部材66は、第2チューブ部材保持部88に保持される第2チューブ部材第1端部66aと、排水弁装置24の頂部24aに取付けられる第2チューブ部材第2端部66bとを有している。第2チューブ部材66は、第2チューブ部材第1端部66aと、第2チューブ部材第2端部66bとの間の長さが長さL2に形成され、貯水タンク18内で湾曲して配置されることができる。よって、長さL2の第2チューブ部材66内には、長さL2の長さのワイヤ部材50が配置されることになる。
【0039】
第2チューブ部材66は、電動駆動ユニット54と排水弁装置24との間に配置され、内部においてワイヤ部材50を自らの形状にそって導くことができるように内部に通し、移動可能に配置できる通路を形成している。第2チューブ部材66がワイヤ部材50が移動する経路を形成するので、ワイヤ部材50を第2チューブ部材66の配置されている湾曲した経路形状に沿って引き上げることができる。従って、第2チューブ部材66を設けることにより電動駆動ユニット54を排水弁装置24に対して自由な位置関係で配置することができる。
本発明の第1実施形態とは異なり、第2チューブ部材66が設けられていない場合には、ワイヤ部材50が電動駆動ユニット54と排水弁装置24との間でたるみが生じないように直線的に張られた状態で配置される必要があり、貯水タンク18内の限られた空間の中で、電動駆動ユニット54と排水弁装置24との間をワイヤ部材50が直線的に結ぶ場合に、他の機器が干渉しないようにこれらの機器を直線的に並べて配置する必要が生じてしまう。本発明の第1実施形態によればこのような問題が生じないようにすることができる。
【0040】
本発明の第1実施形態におけるように、電動駆動ユニット54を、手動操作ユニット52と別体にすることができ、1つのワイヤ部材50に対して自在な位置に配置することができれば、配置スペースが限られているローシルエットタンク内においても、他の給水機器等との干渉もなく、配置を自在に行うことができ、手動と電動の両方を使うことができるようになる。
【0041】
次に、
図4乃至
図6を参照して、本発明の第1実施形態による操作装置の電動駆動ユニットについて詳細に説明する。
図4は本発明の第1実施形態による操作装置の正面図であり、
図5は本発明の第1実施形態による操作装置の側面図であり、
図6は本発明の第1実施形態による操作装置の第1チューブ保持部に第1チューブ部材第2端部が保持されている状態を示す部分拡大断面図である。
【0042】
電動駆動ユニット54は、1本のワイヤ部材50を自身の外周面に沿わせた状態で自由に回転できるプーリ68と、外部からの電力によりプーリ68自身を移動させる電動駆動部70と、第1チューブ部材64、第2チューブ部材66及び電動駆動部70を支持する支持部72と、電動駆動ユニット54を制御する電動駆動ユニット制御部74(
図1参照)とを備えている。
【0043】
プーリ68は、プーリ中心軸68aを中心に自由に回転可能な回転部材である。このプーリ68の外側の外周には、外周部68bが形成され、この外周部68bに沿って接するようにワイヤ部材50が配置される。この外周部68bはワイヤ部材50がスムーズに係合するような溝部を形成している。プーリ68は、ワイヤ部材50が排水弁側又は手動操作ユニット側に向かって移動するとき、ワイヤ部材50が自由に移動できるように、ワイヤ部材50の移動に伴ってプーリ68が自由に回転できるように構成されている。また、プーリ68は、プーリ68自身が後述するアーム部材により移動されることができる。このとき、プーリ68は、プーリ68のプーリ中心軸68aが移動され、支持部72に対して離間するように移動され、ワイヤ部材50に対しても相対的に移動されるようになっている。
【0044】
プーリ68のプーリ中心軸68aが移動するとき、電動駆動ユニット54内において、支持部72とプーリ中心軸68aとの距離が大きくなる。よって、電動駆動ユニット54内に存在するワイヤ部材50の長さが、すなわち、後述する第1導入口部と第2導入口部との間に在るワイヤ部材50の長さが、待機状態においてはL3の長さであるのに対し、大洗浄操作時においては、L4の長さとなり(大洗浄操作時における、プーリ68の外周部68bに沿った部分のワイヤ部材50の部分を仮想線R1により例示している)、小洗浄操作時においては、L5の長さとなる(小洗浄操作時における、プーリ68の外周部68bに沿った部分のワイヤ部材50の部分を仮想線R2により例示している)。電動駆動ユニット54内に存在するワイヤ部材50の長さの関係は、L3<L5<L4の関係を有している。
このように、ワイヤ部材50に対するプーリ68の相対的な移動に伴ってプーリ68が自由に回転し、排水弁装置24側のワイヤ部材50を徐々に巻き上げるようにしながら、プーリ68の移動に伴うワイヤ部材50の引き上げを行うことができる。
【0045】
電動駆動部70は、回転駆動軸76を回転駆動するモーター部78と、モーター側端部80aがモーター部78の回転駆動軸76に取付けられ、プーリ側端部80bがプーリ68のプーリ中心軸68aに取付けられたアーム部材80と、を有し、モーター部78の回転駆動軸76を回転駆動することにより、アーム部材80が回転駆動軸76を中心に回転してプーリ68を移動させる。
【0046】
モーター部78は、外部からの電力によりモーターを駆動してギヤユニット(図示せず)を介して回転駆動軸76を回転駆動するように形成されているが、モーター部78により回転駆動軸76を直接回転駆動するように形成されていてもよい。モーター部78は、電動駆動ユニット制御部74と接続され、電動駆動ユニット制御部74により回転の開始及び停止が制御されるようになっている。なお、モーター部78は、貯水タンク18の満水水位WLより上方に配置されている。
【0047】
アーム部材80は、回転駆動軸76とプーリ中心軸68aとを連結するようになっているコの字形のプレート部材であり、下部にコの字形の前側部分80cと後側部分80dの接合部80eが形成され、後側部分においてモーター部78の回転駆動軸76に取付けられている。モーター側端部80aが回転駆動軸76を中心とした回転可能に回転駆動軸76に取り付けられ、プーリ側端部80bがプーリ中心軸68aを回転可能に支持するようにプーリ中心軸68aに取付けられている。アーム部材80は、モーター側端部80aが回転駆動軸76を中心として回転されるとき、プーリ側端部80bが円弧を描くような軌道で横方向に移動される。
【0048】
支持部72には、モーター部78に固定される後壁部82と、後壁部82との間に、プーリ68及びアーム部材80を回転動作が可能となるように配置できるような空間を形成している前壁部84と、前壁部84と後壁部82との間の上部において、第1チューブ部材64の第1チューブ部材第2端部64bを保持する第1チューブ保持部86と、前壁部84と後壁部82との間の下部において、第2チューブ部材66の第2チューブ部材第1端部66aを保持する第2チューブ保持部88と、が形成されている。
【0049】
第1チューブ保持部86は、自身の内部に第1チューブ部材64と対向する裏面まで直線的に延び、ワイヤ部材50を電動駆動ユニット54内のプーリ68の外周に導くことができる第1導入口部86aを形成している。第1チューブ保持部86は、第1チューブ部材第2端部64bを保持した状態で、第1チューブ部材64内のワイヤ部材50を、第1導入口部86a内を通して、スムーズに移動及び通過させることができるようになっている。
第2チューブ保持部88は、自身の内部に第2チューブ部材66と対向する裏面まで直線的に延び、ワイヤ部材50を電動駆動ユニット54内のプーリ68の外周に導くことができる第2導入口部88aを形成している。第2チューブ保持部88は、第2チューブ部材第1端部66aを保持した状態で、第2チューブ部材66内のワイヤ部材50を、第2導入口部88a内を通して、スムーズに移動及び通過させることができるようになっている。
【0050】
第1チューブ保持部86は、第1チューブ部材64の第1チューブ部材第2端部64bの開口方向が、プーリ68の上部に向かう方向であり、プーリ68の移動方向B1とほぼ同一になるように第1チューブ部材第2端部64bを保持する。
第2チューブ保持部88は、第2チューブ部材66の第2チューブ部材第1端部66aの開口方向が、プーリ68の下部に向かう方向であり、プーリ68の移動方向B1とほぼ同一になるように第2チューブ部材第1端部66aを保持する。
【0051】
電動駆動ユニット制御部74は、使用者が便器洗浄操作(大洗浄モード開始操作、小洗浄モード開始操作)を指示する指示装置90又は使用者を検知する人体検知センサー(図示せず)から送信される便器洗浄開始信号を受信して電動駆動ユニット54を作動させるようになっている。
図1に示すように、電動駆動ユニット制御部74は貯水タンク18の右側外部側面に設けられている。さらに、水洗大便器1の側方の壁面には、使用者が便器本体2の大洗浄モード開始操作、小洗浄モード開始操作を指示するための複数の操作ボタン90aを含む指示装置90が取り付けられている。
【0052】
本発明の第1実施形態における、洗浄水タンク内に配置された排水弁を作動させ便器へ洗浄水の供給を開始させる洗浄水タンク装置の操作装置は、1本の連結部材と、手動操作ユニットと、電動駆動ユニットとを備えている操作装置を製造することによって得られるのみならず、本発明の第1実施形態の操作装置は、例えば、既に製造、設置及び/又は使用されている既存の洗浄水タンク装置の操作装置が、1本の連結部材と、手動操作ユニットとを備え、手動操作ユニットが1本の連結部材を引き上げて排水弁を動作させるようになっている場合に、既存の操作装置に対し、電動駆動ユニットを付加することにより比較的簡単に構成(製造)することもできる。
【0053】
つぎに、
図1〜
図7を参照して、本発明の第1実施形態による操作装置の動作(作用)を説明する。
図7は本発明の第1実施形態による操作装置において、待機状態と、大洗浄モードにおいてプーリが移動された状態と、小洗浄モードにおいてプーリが移動された状態とを示す正面図である。
先ず、
図1〜
図7により、本発明の第1実施形態による操作装置を備えた貯水タンク装置及びこの貯水タンク装置が適用された水洗大便器において、手動操作ユニット52により実行される大洗浄モードについて説明する。
【0054】
図2に示すように、使用者が操作ハンドル62の操作を開始する前の待機状態においては、操作ハンドル62は待機位置にあり、手動操作ユニット52においては、回転巻取部材58が待機位置(初期位置)にあり、ワイヤ部材50に連結された弁体40が排水口20を閉止している状態となっている。このとき貯水タンク18内の初期水位が満水水位WL(
図3)となっている。
【0055】
大洗浄モードにおいて、弁体40が排水口20を閉止している状態(待機状態)から、操作装置48の手動操作ユニット52を用いた手動操作により弁体40を開弁させる場合、
図2に手動操作の方向を矢印A1で示すように、使用者が手動用の操作ハンドル62を下方に引き下げるように比較的大きな角度まで回転させることにより、回転巻取部材58が回転軸部材60を中心に矢印A1の方向に回転する。これにより、回転巻取部材58に取付けられたワイヤ部材50の手動操作ユニット側端部50bが回転巻取部材58の回転に伴って回転巻取部材58の外周部に巻き付きながら移動し、矢印A2の方向に所定長さ引き上げられる。ワイヤ部材50は、第1チューブ部材64内を、第1チューブ部材64の直線部分及び曲り部分等を含む経路形状に沿った状態で、引き上げられる。
【0056】
ワイヤ部材50は、電動駆動ユニット54においては、第2導入口部88aからプーリ68の外周部68bに沿って第1導入口部86aに向かって引き上げられる。このとき、電動駆動ユニット54は作動しないので、プーリ68はプーリ中心軸68aが待機位置のまま維持され、外周部68bがワイヤ部材50の移動に合わせて自由に回転される。さらに、ワイヤ部材50は、第2チューブ部材66内を、第2チューブ部材66の直線部分及び曲り部分等を含む経路形状に沿った状態で、引き上げられる。このようにして、ワイヤ部材50の排水弁側端部50aが引き上げられることにより、排水弁本体34及び弁体40が引き上げられる。
ワイヤ部材50が、大洗浄モードに応じて比較的大きな所定長さまで引き上げられると、弁体40が比較的高い所定高さまで上昇して開弁した状態になる。これにより、貯水タンク18内の比較的大容量の洗浄水が排水口20から便器本体2の導水路(図示せず)に向けて排水され、大洗浄モードの便器洗浄が行われる。
【0057】
そして、ワイヤ部材50が引き上げられて弁体40が開弁した状態で使用者が操作ハンドル62から手を離すと、戻りばね(図示せず)により操作ハンドル62を元の待機状態の位置まで戻るように回転し、弁体40が下降して排水口20を閉止し、元の待機状態となる。
【0058】
次に、
図1〜
図7により、本発明の第1実施形態による操作装置を備えた貯水タンク装置及びこの貯水タンク装置が適用された水洗大便器において、手動操作ユニット52により実行される小洗浄モードについて説明する。
手動操作ユニット52により実行される小洗浄モードにおけるワイヤ部材50の動作は、その大洗浄モードにおけるワイヤ部材50の動作と比べて、ワイヤ部材50の引き上げ量が小さくなる他は、洗浄モードにおけるワイヤ部材50の動作とほぼ同様であるので、同様の説明部分については説明を省略している。
【0059】
小洗浄モードにおいて、使用者が手動用の操作ハンドル62を下方に引き下げるように比較的小さな角度まで回転させることにより、回転巻取部材58が回転軸部材60を中心に矢印A1の方向に回転する。これにより、回転巻取部材58に取付けられたワイヤ部材50の手動操作ユニット側端部50bが回転巻取部材58の回転に伴って回転巻取部材58の外周部に巻き付きながら移動し、矢印A2の方向に所定長さ引き上げられる。
【0060】
ワイヤ部材50は、電動駆動ユニット54においては、第2導入口部88aからプーリ68の外周部68bに沿って第1導入口部86aに向かって引き上げられる。小洗浄モードにおけるワイヤ部材50の引き上げ量は、大洗浄モードにおけるワイヤ部材50の引き上げ量よりも小さくなっている。電動駆動ユニット54は作動しないので、プーリ68はプーリ中心軸68aが待機位置のまま維持され、外周部68bがワイヤ部材50の移動に合わせて自由に回転される。このようにして、ワイヤ部材50の排水弁側端部50aが引き上げられることにより、排水弁本体34及び弁体40が引き上げられる。
ワイヤ部材50が、小洗浄モードに応じて比較的小さな所定長さまで引き上げられると、弁体40が比較的低い所定高さまで上昇して開弁した状態になる。これにより、貯水タンク18内の比較的小容量の洗浄水が排水口20から便器本体2の導水路(図示せず)に向けて排水され、小洗浄モードの便器洗浄が行われる。
【0061】
次に、
図1〜
図7により、本発明の第1実施形態による操作装置を備えた貯水タンク装置及びこの貯水タンク装置が適用された水洗大便器において、電動駆動ユニット54により実行される大洗浄モードについて説明する。
ここで、
図7に示す電動駆動ユニット54のアーム部材80及びプーリ68については、アーム部材80及びプーリ68が作動前の待機位置Q0にある待機状態を実線で示し、
大洗浄モードにおいてアーム部材80及びプーリ68が最大移動位置Q1まで移動した状態、小洗浄モードにおいてアーム部材80及びプーリ68が最大移動位置Q2まで移動した状態をそれぞれ鎖線で示している。
【0062】
まず、弁体40が排水口20を閉止している状態(待機状態)から、電動駆動ユニット54を用いた電動操作により弁体40を開弁させる場合、使用者が外部の指示装置(図示せず)の所定の操作ボタン(図示せず)を押すことにより便器洗浄操作を指示するか、或いは、人感センサ(図示せず)が使用者を検知すると、これらの信号が電動駆動ユニット制御部74に送信され、電動駆動ユニット制御部74からの指令により電動駆動ユニット54のモーター部78が作動する。そして、回転駆動軸76が回転中心軸線D1を中心に
図7に矢印B1で示す回転方向に所定の回転角度(例えば約45度)まで回転する。よって、アーム部材80のプーリ側端部80bが待機位置Q0から矢印B1で示す回転方向に所定の回転角度(例えば約45度)まで回転し、プーリ中心軸68aが矢印C1に示すように円弧を描くように所定の移動量まで移動される。プーリ中心軸68aが第1導入口部86a及び第2導入口部88aから離れるように移動され、プーリ68が最も移動されると最大移動位置Q1まで移動した状態となる。
【0063】
プーリ中心軸68aの横方向への移動、すなわちプーリ68全体の移動に伴って、ワイヤ部材50が、電動駆動ユニット54内で引き上げられる。プーリ68全体の矢印B2の方向への移動の移動量に応じて、ワイヤ部材50が第2導入口部88aから電動駆動ユニット54内に巻き上げられる。待機状態のとき、電動駆動ユニット54内に存在するワイヤ部材50の長さはL3の長さであったのに対し、プーリ68全体の移動により、大洗浄モードにおいては、電動駆動ユニット54内に存在するワイヤ部材50の長さはL4の長さとなる。ワイヤ部材50の長さに対し、第1チューブ部材64の長さL1及び第2チューブ部材66の長さL2は一定であるので、電動駆動ユニット54内に存在するワイヤ部材50の長さがL3からL4に長くなった分だけ、ワイヤ部材50に連結された弁体40が引き上げられることになる。
【0064】
手動操作ユニット52が作動されていないので、ワイヤ部材50は、手動操作ユニット52と、電動駆動ユニット54との間においては移動されない。よって、ワイヤ部材50は、第1導入口部86aより手動操作ユニット52側においては停止した状態となっているので、第2導入口部88aから排水弁装置24側において引き上げられる。
従って、1本のワイヤ部材50の途中に設けられたプーリ68自身を移動させることによりワイヤ部材50を大洗浄モードに必要な所定の引き上げ量まで引き上げることができる。
【0065】
ワイヤ部材50は、電動駆動ユニット54においては、矢印B2に示すように、第2導入口部88aからプーリ68の外周部68bに向かって引き上げられる。従って、ワイヤ部材50は、第2チューブ部材66内を、第2チューブ部材66の直線部分及び曲り部分等を含む経路形状に沿った状態で、引き上げられる。このようにして、ワイヤ部材50の排水弁側端部50aが引き上げられることにより、排水弁本体34及び弁体40が引き上げられる。
ワイヤ部材50が、大洗浄モードに応じて比較的大きな所定長さまで引き上げられると、弁体40が比較的高い所定高さまで上昇して開弁した状態になる。これにより、貯水タンク18内の比較的大容量の洗浄水が排水口20から便器本体2の導水路(図示せず)に向けて排水され、大洗浄モードの便器洗浄が行われる。
【0066】
そして、ワイヤ部材50が引き上げられて弁体40が開弁した状態で大洗浄モードに応じた所定時間が経過すると、電動駆動ユニット制御部74からの指令によりモーター部78が逆回転し、回転駆動軸76が待機状態に戻るように回転される。よって、アーム部材80のプーリ側端部80b及びプーリ68が、最大移動位置Q1から待機位置Q0まで回転されて戻る。従って、引き上げられていたワイヤ部材50が排水弁本体34側に向かって再び引き出され、電動駆動ユニット54内に存在するワイヤ部材50の長さがL3の長さに戻り、弁体40が下降して排水口20を閉止し、元の待機状態となる。
【0067】
次に、
図1〜
図7により、本発明の第1実施形態による操作装置を備えた貯水タンク装置及びこの貯水タンク装置が適用された水洗大便器において、電動駆動ユニット54により実行される小洗浄モードについて説明する。
まず、弁体40が排水口20を閉止している状態(待機状態)から、電動駆動ユニット54を用いた電動操作により弁体40を開弁させる場合、使用者の操作等に基づいた電動駆動ユニット制御部74からの指令により電動駆動ユニット54のモーター部78が作動する。そして、回転駆動軸76が回転中心軸線D1を中心に、
図7に矢印B1で示す回転方向に所定の回転角度(例えば約30度)まで回転する。よって、アーム部材80のプーリ側端部80bが待機位置Q0から矢印B1で示す回転方向に所定の回転角度(例えば約30度)まで回転し、プーリ中心軸68aが矢印C2に示すように、円弧を描くように所定の移動量まで移動される。よって、小洗浄モードにおけるプーリ中心軸68aの移動量C2は、大洗浄モードにおけるプーリ中心軸68aの移動量C1よりも小さくなっている。プーリ中心軸68aが第1導入口部86a及び第2導入口部88aから離れるように移動され、プーリ68が最も移動されると最大移動位置Q2まで移動した状態となる。
【0068】
プーリ中心軸68aの横方向への移動、すなわちプーリ68全体の移動に伴って、ワイヤ部材50が、電動駆動ユニット54内で引き上げられる。プーリ68全体の矢印B1の方向への移動の移動量C2に応じて、ワイヤ部材50が第2導入口部88aから電動駆動ユニット54内に巻き上げられる。待機状態のとき、電動駆動ユニット54内に存在するワイヤ部材50の長さはL3の長さであったのに対し、プーリ68全体の移動により、小洗浄モードにおいては、電動駆動ユニット54内に存在するワイヤ部材50の長さはL5の長さとなる。ワイヤ部材50の長さに対し、第1チューブ部材64の長さL1及び第2チューブ部材66の長さL2は一定であるので、電動駆動ユニット54内に存在するワイヤ部材50の長さがL3からL5に長くなった分だけ、ワイヤ部材50に連結された弁体40が引き上げられることになる。
【0069】
手動操作ユニット52が作動されていないので、ワイヤ部材50は、手動操作ユニット52と、電動駆動ユニット54との間においては移動されない。よって、ワイヤ部材50は、第1導入口部86aより手動操作ユニット52側においては停止した状態となっているので、第2導入口部88aから排水弁装置24側において引き上げられる。
従って、1本のワイヤ部材50の途中に設けられたプーリ68自身を移動させることによりワイヤ部材50を小洗浄モードに必要な所定の引き上げ量まで引き上げることができる。
【0070】
ワイヤ部材50は、電動駆動ユニット54においては、矢印B2に示すように、第2導入口部88aからプーリ68の外周部68bに向かって引き上げられる。このようにして、ワイヤ部材50の排水弁側端部50aが引き上げられることにより、排水弁本体34及び弁体40が引き上げられる。
ワイヤ部材50が、小洗浄モードに応じて比較的小さな所定長さまで引き上げられると、弁体40が比較的低い所定高さまで上昇して開弁した状態になる。これにより、貯水タンク18内の比較的小容量の洗浄水が排水口20から便器本体2の導水路(図示せず)に向けて排水され、小洗浄モードの便器洗浄が行われる。
【0071】
そして、ワイヤ部材50が引き上げられて弁体40が開弁した状態で小洗浄モードに応じた所定時間が経過すると、電動駆動ユニット制御部74からの指令によりモーター部78が逆回転し、回転駆動軸76が待機状態に戻るように回転される。よって、アーム部材80のプーリ側端部80b及びプーリ68が、最大移動位置Q2から待機位置Q0まで回転されて戻る。従って、引き上げられていたワイヤ部材50が排水弁本体34側に向かって再び引き出され、電動駆動ユニット54内に存在するワイヤ部材50の長さがL3の長さに戻り、弁体40が下降して排水口20を閉止し、元の待機状態となる。
【0072】
上述した本発明の第1実施形態による操作装置48によれば、手動操作ユニット52及び電動駆動ユニット54のそれぞれが(すなわち、手動操作ユニット52又は電動駆動ユニット54のどちらによっても)1本のワイヤ部材50を介して弁体40を作動させることができる。よって、1本のワイヤ部材50で弁体40を動作させる洗浄水タンク装置16の操作装置48において、使用者が手動の回転操作を行うことにより排水弁を動作させることができるのみならず、外部からの電力により電動で弁体40を動作させることができる。従って、使用者の洗浄水タンク装置16の操作装置48の使い勝手が向上する。
【0073】
上述した本発明の第1実施形態による操作装置48によれば、手動操作ユニット52が、使用者が手動の回転操作を行うことにより1本のワイヤ部材50を引き上げて弁体40を動作させることができる。また、電動駆動ユニット54が、電動駆動部70が外部からの電力によりプーリ68を移動させることができ、1本のワイヤ部材50を引き上げて弁体40を動作させることができる。
従って、手動操作ユニット52及び電動駆動ユニット54のそれぞれが1本のワイヤ部材50を介して弁体40を作動させることができる。よって、1本のワイヤ部材50で弁体40を動作させる洗浄水タンク装置16の操作装置48において、使用者が手動の回転操作を行うことにより弁体40を動作させることができるのみならず、外部からの電力により電動で弁体40を動作させることができる。従って、使用者の洗浄水タンク装置16の操作装置48の使い勝手が向上する。
【0074】
上述した本発明の第1実施形態による操作装置48によれば、電動駆動ユニット54の電動駆動部70が、比較的簡易な構造でプーリ68を移動させることが可能となる。
【0075】
上述した本発明の第1実施形態による操作装置48によれば、電動駆動ユニット54、手動操作ユニット52及び弁体40の間において、ワイヤ部材50を、第1チューブ部材64及び第2チューブ部材66の形状に沿った状態で引き上げることができ、チューブ部材が設けられない場合のように電動駆動ユニット、手動操作ユニット及び排水弁の間において常に張った状態でワイヤ部材を配置する必要をなくすことができる。従って、第1チューブ部材64及び第2チューブ部材66が設けられない場合と比べて電動駆動ユニット54を貯水タンク18内の自由な位置に配置することができる。
【0076】
上述した本発明の第1実施形態による操作装置48によれば、第1チューブ保持部86が第1チューブ部材第2端部64bを保持し、第2チューブ保持部88が第2チューブ部材第1端部66aを保持することにより、プーリ68が移動するときに、ワイヤ部材50を第2チューブ部材66の内部から電動駆動ユニット54内部へ適切に引き出すことができ、ワイヤ部材50の引き出し量をプーリ68の移動量に応じた既定の引き出し量に制御できる。したがって、弁体40の引き上げ量を比較的正確に制御することができ、弁体40の引き上げ量のバラつきを抑制することができる。
【0077】
上述した本発明の第1実施形態による操作装置48によれば、プーリ68の移動量に対するワイヤ部材50の引き出し量をほぼ最大にすることができ、プーリ68が移動するときに、ワイヤ部材50を、効果的に第2チューブ部材66の内部から電動駆動ユニット54内部へ引き出すことができる。
【0078】
上述した本発明の第1実施形態による操作装置48によれば、電動駆動部70が浸水することによる故障を防止することができる。したがって、適切に電動駆動ユニット54がワイヤ部材50を引き上げて弁体40を動作させることができる。
【0079】
上述した本発明の第1実施形態による操作装置48によれば、電動駆動ユニット54が、アーム部材80の回転角度を第1の回転角度と、第1の回転角度よりも小さい第2の回転角度とのいずれかの回転角度に切り替えることにより、プーリ68の移動量及びワイヤ部材50の引き出し量を変更することができる。よって、ワイヤ部材50の引き出し量を、大洗浄モードの弁体40の引き上げ量と、小洗浄モードの弁体40の引き上げ量との間で切り替えることができる。従って、電動駆動ユニット54により、大洗浄モードと、小洗浄モードとの切り替えを行うことができる。
【0080】
また、本発明は、上記操作装置48を備えたことを特徴とする洗浄水タンク装置16である。
このように構成された本発明においては、手動操作ユニット52及び電動駆動ユニット54のそれぞれが1本のワイヤ部材50を介して弁体40を作動させることができる洗浄水タンク装置16を提供することができる。
【0081】
また、本発明は、上記洗浄水タンク装置16を備えたことを特徴とする水洗大便器1である。
このように構成された本発明においては、操作装置48を備えた洗浄水タンク装置16を備えている水洗大便器1を提供することができる。
【0082】
つぎに、本発明の第2実施形態による操作装置について説明する。
本発明の第2実施形態による操作装置においては、第1実施形態における電動駆動ユニット54を手動の手動ユニットに変更し、第1実施形態における手動操作ユニット52を電動の電動ユニットに変更した点のみ、本発明の第1実施形態による操作装置と異なっている。
以下、本発明の第2実施形態による操作装置が、上述した本発明の第1実施形態による操作装置と異なる部分を説明し、上述した本発明の第1実施形態による操作装置の部分と同一部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。本発明の第2実施形態による操作装置を備えた洗浄水タンク装置及びその洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器については、本発明の第1実施形態による操作装置を備えた洗浄水タンク装置及びその洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器と同一であるので、これらの説明は省略する。
【0083】
本発明の第2実施形態においては、第1実施形態とは異なり、操作装置48は、ワイヤ部材50を外部からの電力による電動操作により引き上げ操作可能な電動ユニットと、ワイヤ部材50を使用者による手動操作により引き上げ操作可能な手動ユニットとを備えている。この操作装置48においては、1本のワイヤ部材50が、電動ユニットと排水弁本体34とを手動ユニットを通って連結するように配置されている。
【0084】
電動ユニットは、回転巻取部材58を外部からの電力によりモーター及びギヤユニット等で駆動させて回転させるように構成されている。電動により、回転巻取部材58が所定方向に回転され、ワイヤ部材50を引き上げられるようになっている。電動ユニットは、回転巻取部材58の回転方向及び/又は回転量に応じて、回転巻取部材58の回転量(すなわち回転巻取部材58に取付けられたワイヤ部材50の引き上げ量)が比較的大きくなる場合には、大洗浄モードを実行させ、又は回転巻取部材58の回転量(すなわち回転巻取部材58に取付けられたワイヤ部材50の引き上げ量)が比較的小さくなる場合には、小洗浄モードを実行させることができる。
【0085】
手動ユニットは、1本のワイヤ部材50を自身の外周面に沿わせた状態で自由に回転できるプーリ68と、使用者の操作によりプーリ68自身を移動させる駆動部と、第1チューブ部材64、第2チューブ部材66及び駆動部を支持する支持部72と、を備えている。このように、ワイヤ部材50に対するプーリ68の相対的な移動に伴ってプーリ68が自由に回転し、排水弁装置24側のワイヤ部材50を徐々に巻き上げるようにしながら、プーリ68の移動に伴うワイヤ部材50の引き上げを行うことができる。
【0086】
駆動部は、貯水タンク18の外側まで貫くように延び、駆動部を回転駆動させる操作ハンドルと、操作ハンドルの回転駆動軸に取付けられ、プーリ側端部80bがプーリ68のプーリ中心軸68aに取付けられたアーム部材80と、を有し、操作ハンドルの回転駆動軸を回転駆動することにより、アーム部材80が回転駆動軸を中心に回転してプーリ68を移動させる。操作ハンドルは、使用者の回転操作により回転駆動軸76を回転駆動するように形成されている。
【0087】
アーム部材80は、後側部分において回転駆動軸に取付けられている。アーム部材80は、モーター側端部80aが回転駆動軸を中心として回転されるとき、プーリ側端部80bが円弧を描くような軌道で移動される。支持部72には、駆動部に固定される後壁部82が形成されている。
【0088】
電動駆動ユニット制御部は、使用者が便器洗浄操作(大洗浄モード開始操作、小洗浄モード開始操作)を指示する指示装置90又は使用者を検知する人体検知センサー(図示せず)から送信される便器洗浄開始信号を受信して上述の電動ユニットを作動させるようになっている。
【0089】
上述した本発明の第2実施形態による操作装置によれば、手動操作ユニット及び電動駆動ユニットのそれぞれが1本のワイヤ部材50を介して弁体40を作動させることができる。よって、1本のワイヤ部材50で弁体40を動作させる洗浄水タンク装置の操作装置において、使用者が手動の回転操作を行うことにより弁体40を動作させることができるのみならず、外部からの電力により電動で弁体40を動作させることができる。従って、使用者の洗浄水タンク装置の操作装置の使い勝手が向上する。