特許第6372657号(P6372657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社スリーボンドの特許一覧

<>
  • 特許6372657-硬化性樹脂組成物 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372657
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/87 20060101AFI20180806BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180806BHJP
   A61Q 3/02 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   A61K8/87
   A61K8/81
   A61Q3/02
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-146472(P2014-146472)
(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公開番号】特開2016-23144(P2016-23144A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132404
【氏名又は名称】株式会社スリーボンド
(72)【発明者】
【氏名】武元 孝一
【審査官】 田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−043853(JP,A)
【文献】 特開2011−020956(JP,A)
【文献】 特開2011−032259(JP,A)
【文献】 特開2010−037330(JP,A)
【文献】 特開平02−019313(JP,A)
【文献】 特開2006−312596(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/016531(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下(A)〜(E)成分を含んでなる、爪被覆用の硬化性樹脂組成物。
(A)分子内にウレタン構造を有し、分子鎖両末端にアクリル官能性基を含有する重合体
100質量部、
(B)以下の構造を有するアクリル官能性基含有化合物 3〜30質量部
【化1】
ここで、上記化学式中、x,y,zはそれぞれ独立に0〜10の整数でかつx+y+z≦
25を満たすものであり、Rは炭素数が1〜5のアルキル、アリール、ハロアルキル、ハ
ロアリール、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシハロアルキルから選ばれる官能基であり、
R’は水素原子または炭素数が1〜3のアルキル、ハロアルキルから選ばれるそれぞれ同
一でも異なっていても良い官能基であり、nは1〜4の整数である。
(C)シクロアルキル、水添ビスフェノール、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、アダマンチル、ノルボルニル、イソボルニル、およびトリシクロデカンから少なくとも1つ選ばれる構造体とアクリル官能性基を同一分子内に含有する化合物
15〜75質量部
(D)アクリル官能性基を1つもち、C6〜C20の脂肪族鎖状構造を有する化合物
1〜35質量部
(E)光重合開始剤 0.5〜13.5質量部
【請求項2】
前記 (A)成分がポリエステル骨格を有し、質量平均分子量が1000〜8000の範
囲にあるアクリル官能性基含有化合物を含んでなる、前記請求項1に記載の爪被覆用の硬
化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(C)成分が(c−1)脂肪族環状構造を有し、アクリル官能性基を2つ以上含有する化合物と(c−2)脂肪族環状構造を有し、アクリル官能性基を1つ含有する化合物を含んでなる、前記請求項1,2のいずれかに記載の爪被覆用の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記請求項1〜3のいずれかに記載の爪被覆用の硬化性樹脂組成物を爪上に塗布、硬化し
てなる、被覆コーティング層。
【請求項5】
前記請求項4に記載の被覆コーティング層が、予め爪上に形成されたベースコーティング
層上に被覆されてなるものである、被覆コーティング層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪の被覆に適した硬化性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、爪を被覆してこれを装飾、保護、補強する目的で用いるに際し、接着性や硬化性が優れていながら、外観不良の発生や爪からの脱落が生じる可能性の少ない、爪被覆用の硬化性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、爪に装飾を施すという目的、若しくは爪上に人工爪を接着し、これに装飾を施すという目的、又は運動などの外力によって爪が割れたり剥がれたりすることを防止するという目的で、爪に樹脂組成物等を塗布して装飾し又は補強するという、いわゆるマニキュア、ペディキュア、スカルプチュアと呼ばれる材料に対する消費者の需要が高まりつつある。ここで、装飾又は補強のために使用される被覆用材料としては、ニトロセルロース系のラッカーを有機溶剤に溶解し、これに各種色調の顔料を加えたものが主流となっている。これ以外にも、アルキッド樹脂等の系に顔料及び可塑剤を加えたものなど、各種の被覆用材料が使用されている。これらの被覆用材料は、爪などの角質に塗布した後、有機溶剤を揮発させて、短時間で光沢に優れた被膜を与えるものである。一方、爪上に形成された被膜は、アセトン等の有機溶剤を用いて容易に拭き取ることができるものである。
【0003】
しかし、この種の被覆用材料は、天然の爪との接着性が高いものではなく、塗工後において擦過或いは水等の液体との接触により容易に剥離、脱落してしまうものであった。
【0004】
ラッカーを用いた場合のこの様な問題を解決するため、化学反応により硬化する材料を用いて爪上でマニキュアを硬化させる、という技術が近年用いられるようになってきた。
例えば、引用文献1には、質量平均分子量が5500または8000のポリエーテルウレタンアクリレート、脂環構造とエチレン性不飽和基を有する化合物、水酸基を有するアクリルモノマー、光ラジカル重合開始剤、ラジカル重合抑制剤などからなる爪装飾用硬化性組成物が開示されている。
【0005】
引用文献2には、ポリエステル骨格ウレタンアクリレート、水酸基含有アクリルモノマー、カルボン酸変性ポリエステルアクリレート、ポリオール化合物、光ラジカル重合開始剤などからなる光硬化性のマニキュア組成物が開示されている。
【0006】
特許文献3には、ポリオール骨格を有するアクリル官能性化合物、ウレタン骨格を有するアクリル官能性化合物、光ラジカル重合開始剤などからなる人工爪組成物が開示されている。
【0007】
特許文献4には、ウレタンアクリレート、三官能アクリルモノマー、光ラジカル重合開始剤などからなるマニキュア用組成物が開示されている。
【0008】
特許文献5には、ポリエステルウレタンアクリレート、グリコール骨格を有する二官能アクリルモノマー、エポキシアクリレートなどからなるネイルマニキュアのカラーポリッシュ剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特再公表WO2011/016531のパンフレット
【特許文献2】特開2011−020956号公報
【特許文献3】特開2010−037330号公報
【特許文献4】特開平2−019313号公報
【特許文献5】特開2006−312596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながらいずれの技術においても、爪に対する接着性や硬化性においては問題がないものの、硬化物の硬度が高くなりすぎてしまい、爪に外力が加わったときに割れ、ヒビなどが発生してしまい、爪から脱落してしまう可能性がある、という問題があり、さらに外観も優れたものではなかった。これに対して本発明は、接着性や硬化性が優れていながら、硬化物がある程度の柔軟性を備えており、従って爪に対する追従性が良好なため、外観の不良や爪からの脱落が生じる可能性が少ない、爪の被覆に適した硬化性樹脂組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、以下の構成の硬化性樹脂組成物を用いることでこれを達成できることを見いだした。すなわち、
(A)分子内にウレタン構造を有し、分子鎖両末端にアクリル官能性基を含有する重合体 100質量部に対し、
(B)以下の化学構造を有するアクリル官能性基含有化合物 1〜35質量部
/CH−O−((CHO)x−C(=O)−CR’=CH
R−C−CH−O−((CHO)y−C(=O)−CR’=CH
\CH−O−((CHO)z−C(=O)−CR’=CH
ここで、上記化学式中、x,y,zはそれぞれ独立に0〜10の整数でかつx+y+z≦25を満たすものであり、Rは炭素数が1〜5のアルキル、アリール、ハロアルキル、ハロアリール、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシハロアルキルから選ばれる官能基であり、R’は水素原子または炭素数が1〜3のアルキル、ハロアルキルから選ばれる官能基でありそれぞれ同一でも異なっていても良く、nは1〜4の整数である。
(C)脂肪族環状構造を有するアクリル官能性基を含有する化合物 15〜75質量部
(D)脂肪族鎖状構造を有するアクリル官能性基を含有する化合物 1〜35質量部
(E)光重合開始剤 0.5〜13.5質量部
それぞれを含んでなる、爪被覆用の硬化性樹脂組成物である。
【0012】
また本発明は、以下の実施形態も含む。
第2の実施形態は、前記 (A)成分がポリエステル骨格を有し、質量平均分子量が1000〜8000の範囲にあるアクリル官能性基含有化合物を含んでなる、爪被覆用の硬化性樹脂組成物に関する。
第3の実施形態は、前記(C)成分が(c−1)脂肪族環状構造を有し、アクリル官能性基を2つ以上含有する化合物と(c−2)脂肪族環状構造を有し、アクリル官能性基を1つ含有する化合物を含んでなる、爪被覆用の硬化性樹脂組成物に関する。
第4の実施形態は、前記の爪被覆用の硬化性樹脂組成物を爪上に塗布、硬化してなる、被覆コーティング層に関する。
第5の実施形態は、前記の被覆コーティング層が、予め爪上に形成されたベースコーティング層上に被覆されてなるものである、被覆コーティング層に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の、爪被覆用の硬化性樹脂組成物を用いることにより、爪に対する接着性や硬化性が良好でありながら、高い追従性を有した、信頼性並びに外観の良好な、爪の被覆コーティングを行うことができる。更には、ベースコート処理が施された爪上に塗布することで、トップコートまたは中間コートとしての被覆コーティングとして好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】重ね塗り性評価の様子を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下より本発明の構成要件について詳説する。
(A)分子内にウレタン構造を有し、分子鎖両末端にアクリル官能性基を含有する重合体について
本発明に用いる、分子内にウレタン構造を有し、分子鎖両末端にアクリル官能性基を含有する重合体としては、主鎖構造中にウレタン骨格を有し、該主鎖構造の両末端にアクリル官能性基を有するものであれば特段の制限はない。この様な化合物としては、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させた化合物構造に含まれる残存イソシアネート基に、水酸基含有のアクリル化合物を反応させて得られる化合物が好適に用いることができる。なお本発明でいうアクリル官能性基とは、アクリル基またはメタクリル基のことを言い、以後両者をまとめて「(メタ)アクリル基」、両官能基を有する化合物のことを「(メタ)アクリレート」ということもある。
【0016】
ここで前記ポリオール化合物としては、分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物のことを言い、ポリエステルポリオール(ポリカーボネートポリオールを含む)、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオールを用いることができる。中でも主鎖構造中にポリカーボネート骨格を有し、該主鎖構造の両末端にそれぞれ水酸基を有するポリエステルジオールが、硬化収縮や密着性、柔軟性の観点から特に好適に用いることができる。なおここでいうポリエステル骨格とは、二塩基酸類と二価アルコール類の縮重合体、または環状エステル化合物の開環重合体を指すものである。
【0017】
また前記ポリイソシアネート化合物としては、分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物のことを言い、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン、ジイソシアナトトルエン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の各種ジイソシアネート化合物を用いることができ、中でも脂環構造を有するジイソシアネート化合物が特に好適に用いることができる。
【0018】
前記水酸基含有のアクリル化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α、ω−アルキレンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の、公知の(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。
【0019】
本発明における前記(A)成分の役割としては、爪被覆用の硬化性樹脂組成物におけるベースバインダーであると共に、硬化物への適度な光沢を付与することによる美観性への寄与、また硬化物に適度な柔軟性を付与するためのものである。塗工時の作業性及び硬化物の柔軟性の観点から、本発明における好ましい(A)成分の質量平均分子量の範囲としては、1000〜8000、より好適には2000〜7000の範囲、さらに好適には3000〜6000である。2000未満である場合、分子鎖長が十分でなく硬化物に柔軟性を十分に付与することができない。7000を越えると組成物の粘度が高くなり過ぎて塗布時の作業性低下に繋がり、また反応性も低下するため、十分に硬化しなくなるという弊害が生じる。
【0020】
(B)特定構造のアクリル官能性基含有化合物について
本発明における(B)成分は、分子中に(メタ)アクリル基を3つ以上有し、主鎖骨格中にエチレングリコールの繰り返し構造を有する、以下の化学式(1)で示される化合物であれば特段の制限はない。この様な化合物の市販品としては、サートマーSR−351S、サートマーSR−415、サートマーSR−444、サートマーSR−454、サートマーSR−499、サートマーSR−502、サートマーCD−501、サートマーSR−9035、サートマー(以上、巴工業社製品)、ライトアクリレートTMP−A、ライトアクリレートPE−3A(以上、共栄社化学社製品)、A−TMM、A−TMPT(以上、新中村化学工業社製品)、アロニックスM−309、アロニックスM―321、アロニックスM−350(以上、東亞合成社製品)、ミラマーM300、ミラマーM3130、ミラマーM3160、ミラマーM3190、ミラマーM360(以上、東洋ケミカルズ社製品)、ファンクリルFA−137M(日立化成社製品)、ネオマーTA−401、ネオマーTA−505(以上、三洋化成社製品)などを例示することができる。
【0021】
本発明においては、以下の化学式(1)におけるx、y、zがそれぞれ独立に0〜10の整数でかつx+y+z≦25を満たすものを用いることができるが、望ましくはx、y、zの値がそれぞれ0〜5、さらに望ましくは1〜3のものを好適に用いることができる。Rには、炭素数が1〜5のアルキル、アリール、ハロアルキル、ハロアリール、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシハロアルキルから選ばれる官能基であるものを用いることができるが、望ましくは炭素数が1〜3のアルキル基であるものを好適に用いることができる。またR’には、水素原子または炭素数が1〜3のアルキル、ハロアルキルから選ばれるそれぞれ同一でも異なっていても良い官能基であるものを用いることができるが、望ましくは水素原子、メチル基であるものを好適に用いることができる。メチル基、エチル基のものが好ましい。nとしては1〜4の整数であるものを用いることができるが、望ましくは1〜3のものを特に好適に用いることができる。
【0022】
/CH−O−((CHO)x−C(=O)−CR’=CH
R−C−CH−O−((CHO)y−C(=O)−CR’=CH (1)
\CH−O−((CHO)z−C(=O)−CR’=CH
【0023】
本発明における(B)成分の役割としては、爪被覆用の硬化性樹脂組成物の被着体である爪、もしくは爪上に塗工されたベースコート塗膜に対する接着性の付与、ならびに適度な架橋サイトを有することによる光硬化反応性の向上、即ち酸素阻害を低減させることによる表面タックの低減を目的としたものである。本発明において(B)成分が適切に機能する添加量範囲としては、前記(A)成分100質量部に対して1〜35質量部であることが好ましく、硬化物の柔軟性、耐久性の観点からは3〜30質量部、より好ましくは5〜25質量部である。1質量部未満であると、光硬化反応性の向上への寄与が小さく表面タックが残る可能性があり、また下地への接着力が不十分となり、刺激により剥離してしまう虞がある。他方で35質量部以上であると、反応性が高くなり過ぎて発熱が大きくなり、爪上で硬化させる際に人体にかかる負荷が大きくなる。
【0024】
(C)脂肪族環状構造を有するアクリル官能性基を含有する化合物について
本発明における(C)成分は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基などのシクロアルキル基や、ジシクロペンタニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基などの縮合環からなる構造体と、アクリル官能性基を同一分子内に含有する化合物のことであり、好適には前記環状構造とアクリル官能性基は10原子より短い原子数の連結基で結合していることが望ましい。
【0025】
また本発明においては、このような化合物として(c−1)脂肪族環状構造を有し、アクリル官能性基を2つ以上含有する化合物と(c−2)脂肪族環状構造を有し、アクリル官能性基を1つ含有する化合物を組み合わせて用いることがさらに望ましい。前記(c−1)成分の例としては、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂変性ジ(メタ)アクリレートおよびこれらの誘導体化合物などが挙げられる。前記(c−2)成分の例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0026】
本発明における前記(c−1)成分と(c−2)成分の好適な組成比は、(c−1)100質量部に対し(c−2)0.1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。(c−1)成分と(c−2)成分を前記組成比で含むことにより、本発明は活性エネルギー光照射時の反応性と硬化物の硬度等の物性を好適なバランスで両立させることができる。(c−1)が0.1質量部未満であると、塗布時に適度な流動性を持たせることができないため作業性に好ましくない影響が生じる。他方20質量部を越えると、光硬化反応の反応性が低下する虞がある。
【0027】
本発明における(C)成分の役割としては、爪被覆用の硬化性樹脂組成物における硬さ、反応性を調整するためのものである。本発明における前記(C)成分が適切に機能する添加量範囲としては、前記(A)成分100質量部に対して15〜75質量部であることが好ましく、硬化物の柔軟性、反応性、塗布時の作業性の観点からは20〜65質量部、より好ましくは25〜60質量部である。15質量部未満であると、硬化物に適度な硬さを付与することができず、また組成物の反応性が大きくなり過ぎ、発熱による火傷の虞が生じる。他方で75質量部以上であると、硬化物の硬度が大きくなり過ぎ、また下地への接着性も低下するという弊害が生じる。
【0028】
(D)脂肪族鎖状構造を有するアクリル官能性基を含有する化合物について
本発明における前記(D)成分は、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基などの鎖状アルキル基とアクリル官能性基を同一分子内に含有する化合物のことであって、前記鎖状アルキル基には側鎖を有してもよい。ここで前記側鎖としては、炭素数が1〜5の炭化水素基、ハロゲン原子である。
【0029】
本発明における(D)成分の役割としては、爪被覆の硬化性樹脂組成物における流動性、反応性を調整するためのものである。当該(D)成分は、前記(B)成分と比して反応性は高いものでないため、反応時の発熱を低減し、また前記(C)成分と比して軟質な構造を有することにより、硬化物に適度な柔軟性を与えることができる。本発明における前記(D)成分が適切に機能する添加量範囲としては、前記(A)成分100質量部に対して1〜35質量部であることが好ましく、反応性、硬化物の柔軟性、塗布時の作業性の観点からは1.5〜25質量部、より好ましくは3〜20質量部である。1質量部未満であると、組成物に適度な柔軟性を付与することができず、また流動性も不十分となるため作業性が低下する。他方で35質量部以上であると、組成物の反応性が低下して、爪上で適切に硬化させることができず、また酸素阻害による表面タックが生じるという弊害が現れる。
【0030】
本発明においてが好ましく用いることができる前記(D)成分としては、組成物の反応性及び流動性の観点から、脂肪族鎖の長さはC6〜C20の範囲にあることが好ましく、より好適にはC8〜C15であり、またアクリル官能性基の数は1つ、即ち単官能であることが好ましい。具体的な化合物としては、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0031】
(E)光重合開始剤について
本発明における前記(E)成分は、可視光、紫外線、X線、ガンマ線、電子線等の活性エネルギー光により活性化され、前記(A)〜(D)成分の化合物中に含まれるアクリル官能性基を重合させることのできる化合物である。該化合物としては公知の市販品を用いることができる。例えば、イルガキュア184、イルガキュア819、イルガキュア651、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア127、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュアOXE01、イルガキュアOXE02、ルシリンTPO、ダロキュア1173(以上、BASF社製品)。エサキュア1001M、エサキュアKIP150(以上、LAMBERTI社製品)、スピードキュアBEM、スピードキュアMBF、スピードキュアPDO、スピードキュアBMS、スピードキュアPBZ(以上、LAMBSON社製品)、ベンゾフェノンなどを挙げることができる。これらの光重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、可視光及び紫外線それぞれの波長領域に吸収を有する化合物を組み合わせることで、用いることのできる活性エネルギー光源の選択肢を拡げられるため、より好ましい。
【0032】
本発明における前記(E)成分が適切に機能する添加量範囲としては、前記(A)成分100質量部に対して0.5〜13.5質量部であることが好ましく、硬化物の保存性、着色性の観点からより好適には1.0〜12質量部、さらに好適には1.2〜11質量部である。0.5質量部未満であると、十分な光重合性を発現することができず、13.5質量部以上であると貯蔵時の安定性が低下し、また硬化物が着色しやすくなるという弊害が現れる。
【0033】
また本発明においては、上記(A)〜(E)の他に、必要に応じて硬化性樹脂組成物に適切な特性を付与するための成分をさらに添加しても良い。例えば、反応性または非反応性希釈剤、老化防止剤、増粘剤、界面活性剤、粘着性付与剤、難燃剤、安定剤、顔料などが好適に用いることができる。特に、ヒュームドシリカ等の増粘剤を添加することにより、好適な揺変性と粘度を付与して、塗布時の作業性を高めることができる。
【0034】
さらに本発明の爪被覆用の硬化性樹脂組成物は、予め爪上に形成されたベースコーティング層上に塗布、硬化させることで、トップコーティング層または中間コーティング層としての被覆コーティング用途に用いることができる。ここで前記ベースコーティング層を形成する組成物としては、ウレタンアクリレート等の柔軟性の高い反応性アクリルオリゴマーと、爪への密着性の高い水酸基含有アクリルモノマー、光ラジカル重合開始剤などからなる光ラジカル重合性の化合物が用いられている。この様な組成物は、その柔軟性と接着性から、爪に対する密着性が良好であり、また爪の変形等に対する追従性も良好なものであるが、反面その柔軟性のため外部からの刺激によって容易に削れ、剥がれが生じるという問題があった。
【0035】
このようなベースコーティング層を保護する目的、また着色等による装飾を行うことを目的として、本発明の爪被覆用の硬化性樹脂組成物を該ベースコーティング層上に塗布、硬化させることにより被覆を行い、トップコーティング層としての被覆コーティングに用いてもよい。また本発明の被覆コーティング層上にさらに、より硬質な被膜を形成する成分からなるトップコーティング層を塗布、硬化させることで、本発明の爪被覆用の硬化性樹脂組成物を中間コーティング層としての被覆コーティングに用いてもよい。この様な多層コーティングにすることで、爪に対する密着性、追従性と、外部からの刺激に対する耐久性をより高い次元で両立させることができる。
【0036】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
[評価方法]
本実施例における爪被覆用の硬化性樹脂組成物の特性は、以下の方法にてそれぞれ評価を行った。
【0038】
・硬さ
25℃、65RH%環境下にて、ショアー硬度計(ASKER社製、Type−D)を用い、厚さを1mmとした硬化性樹脂組成物の硬化物を3枚重ねたものを試験片として、硬度値を測定することで硬さの特性を評価した。ここで爪に被覆する組成物としての硬さの値は、D70〜D75の範囲を適正値と設定した。なお硬化物の試験片は、平坦なガラス面上に硬化性樹脂組成物を塗布し、搬送装置付き紫外線照射装置(ウシオ社製、UVC−02516S)を用いて、積算光量が3000mJ/cmとなるよう紫外線を照射し、作成した。
【0039】
・表面タック
前記硬さ測定にて作成したものと同じ方法で作成した硬化物の試験片を用い、硬化直後の試験片表面をエタノールで脱脂した指先による指触で評価した。指先に僅かでもタックを感じたものは不合格として「NG」と表記し、タックを感じなかったものは合格として「OK」と表記し評価した。
【0040】
・外観
前記硬さ測定にて作成したものと同じ方法で作成した硬化物の試験片を用い、硬化直後の試験片を目視により着色度合いについて評価した。評価の基準としては、試験片の色合いが無色透明乃至ごく薄い黄色のものは合格として「OK」と表記し、黄色乃至褐色であるものは不合格として「NG」と表記した。
【0041】
・発熱
エタノールで脱脂した被験者の爪表面の全面に、硬化性樹脂組成物を厚さ0.1mmとなるよう塗布し、スポットUV照射機(ムラキ社製品、スーペリアUVランプ)にて120秒間紫外線を照射した後、スポットLED照射機(ナチュラルフィールド社製品、パーソナルLEDライト)を用いて10秒間、405nmの波長の光を照射した。硬化性樹脂組成物を塗布した爪表面に前記照射を行った際の被塗布部から発生した熱について、被験者10人の体感による官能試験により評価を行った。僅かながらでも熱さを感じた被験者が10人中5人以上であったものは、不合格として「NG」と表記し、同0〜4人であったものは合格として「OK」と表記し評価した。
【0042】
・重ね塗り性
本発明の爪被覆用の硬化性樹脂組成物を多層被覆の中間コート、またはトップコートとして用いるに際しての特性を見るための評価として、重ね塗り性の評価を行った。試験片は以下の方法により作成した。
1.200μmのPETフィルム上に、ウレタンアクリレート60%、水酸基含有の単官能アクリル官能性基含有化合物20%、紫外線及び可視光領域に吸収波長を持つ光ラジカル重合開始剤5%、その余の成分としてシランカップリング剤、疎水性ヒュームドシリカ、反応性希釈剤、赤色の着色料などからなるベースコート組成物を100μmの膜厚となるよう刷毛にて塗布し、搬送装置付き紫外線照射装置(ウシオ社製、UVC−02516S)を用いて、積算光量が3000mJ/cmとなるよう紫外線を照射し、ベースコーティング層を形成した。
2.前記ベースコーティング層上に、表1に記載した組成の爪被覆用の硬化性樹脂組成物を300μmの膜厚となるよう刷毛にて塗布し、上記と同条件で紫外線を照射し、本発明の中間コート層を形成した。
3.前記中間コーティング層上に、ウレタンアクリレート60%、三官能アクリル官能性基含有化合物15%、脂環性基含有の単官能アクリル官能性基を含有化合物20%、紫外線及び可視光領域に吸収波長を持つ光ラジカル重合開始剤4.5%、その余の成分としてヒュームドシリカ、可塑剤、青色の着色料などからなるトップコート組成物を、300μmの膜厚となるよう刷毛にて塗布し、上記と同条件で紫外線を照射し、トップコーティング層を形成した。なお、各層の塗布面積はそれぞれ50mm以上となるよう塗布してある。
4.図1に示すように、前記多層コーティング層を形成したPETフィルムの塗布面の略中心箇所よりPETフィルムを180度折り曲げる(1−B)。折り曲げた箇所を最初の位置に戻してから、同じ箇所を反対方向に180度折り曲げ(1−C)、再び最初の位置に戻す。この一連の動作を1セットとして、都合10セット繰り返す。
5.ここで、折り曲げた箇所を目視で確認し、剥離の有無を見ることで重ね塗り性について評価した。折り曲げ箇所において、中間コート層に少しでも剥がれが見られたものは、重ね塗り性が不合格として「NG」と表記し、剥がれの見られなかったものは合格として「OK」と表記し評価した。この際、中間コーティング層の剥がれは、各層の色の違いにより判定した。
【0043】
実施例、比較例に用いた各組成物の組成と併せ、上記測定方法によるそれぞれの評価結果を下表に記載する。なお表中の配合組成は、全て質量部での表記である。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に記載した品名
(A)成分
・UV3310B:商品名「UV3310B」、ポリカーボネート系ウレタンアクリレート、日本合成化学社製品、質量平均分子量約5,000
(B)成分:以下の一般式の化学構造を有する化合物
/CH−O−((CHO)x−C(=O)−CR’=CH
R−C−CH−O−((CHO)y−C(=O)−CR’=CH (化1)
\CH−O−((CHO)z−C(=O)−CR’=CH
(上記化学式中、x,y,zはそれぞれ独立に0〜10の整数でかつx+y+z≦25を満たすものであり、Rは炭素数が1〜5のアルキル、アリール、ハロアルキル、ハロアリール、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシハロアルキルから選ばれる官能基であり、R’は水素原子または炭素数が1〜3のアルキル、ハロアルキルから選ばれるそれぞれ同一でも異なっていても良い官能基であり、nは1〜4の整数である)
・SR−454:サートマーSR−454、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、上記化学式(化1)においてx=y=z=1、R=C、R’=H、n=2のもの、巴工業社製品
・SR−499:サートマーSR−499、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、上記化学式(化1)においてx=y=z=2、R=C、R’=H、n=2のもの、巴工業社製品
・SR−502:サートマーSR−502、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、上記化学式(化1)においてx=y=z=3、R=C、R’=H、n=2のもの、巴工業社製品
(B)の比較成分
・SR−247:サートマーSR−247、ネオペンチルグリコールジアクリレート、巴工業社製品
・SR−268:サートマーSR−268、テトラエチレングリコールジアクリレート、巴工業社製品
(c−1)成分
・DCP−A:ライトアクリレートDCP−A、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、共栄社化学社製品
(c−2)成分
・IB−X:ライトエステルIB−X、イソボルニルメタクリレート、共栄社化学社製品
(D)成分
・INAA:イソノニルアクリレート、大阪有機化学工業社製品
(E)成分
・TPO:スピードキュアTPO、2, 4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、LAMBSON社製品
・Suncure84:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、Chemark社製品
(その他)成分
・Aerosil200:比表面積200±25m/gの親水性ヒュームドシリカ、Evonik社製品
【0046】
実施例1〜4は、本発明において適正な構成成分を適正な組成比で組み合わせた処方の組成物により、特性の評価を行ったものである。該実施例において、各組成物を硬化させた硬化物はいずれも硬さの値はD70〜D75の範囲にあり、また表面タック、外観、発熱、重ね塗り性それぞれの評価において良好な結果となった。
【0047】
一方で比較例1〜6は、本発明において適正でない構成成分を用いた処方、または適正な構成成分を適正でない組成比で組み合わせた処方の組成物などにより、特性の評価を行ったものである。比較例1は本発明の必須構成である(B)成分を含まず、その分を(c−1)で補った組成としたものである。当該組成物による特性評価結果においては、表面タック、外観、発熱の各特性は問題ないものであったが、硬さの値は適正範囲よりも大幅に超過したものであり、また重ね塗り性評価においては、本発明の中間コート層とベースコーティング層との間で剥離が生じていた。これは、当該組成物が、柔軟な骨格構造と多数の架橋部位を有した構造体である前記(B)成分を欠き、なおかつ剛直な骨格構造の(c−1)が増量したことにより、ベースコーティング層であるウレタンアクリレートを主としたアクリル樹脂層に対する硬化物の追従性が低下すると同時に、硬化物の硬度が上昇したためであると推測される。他方で増量した(c−1)成分はその官能基数は(B)よりは少ないものの、反応性が高いために酸素阻害は受けにくく、表面タックは低下しなかったものと思われる。
【0048】
比較例2は(E)成分を適正範囲量以上処方した組成である。硬さ、表面タック、発熱、重ね塗り性いずれの特性も問題ないものであったが、着色度合が大きく、外観の良好さが損なわれたものであった。
比較例3(D)成分を含まず、その分を(B)で補った組成としたものである。当該組成物による物性評価結果においては、表面タック、外観、重ね塗り性いずれの特性も問題ないものであったが、発熱が大きく、硬さの値も適正範囲より超過するものであった。これは、当該組成物中より単官能アクリルモノマーである前記(D)成分を欠いたことにより、系全体としての官能基数が増加することで架橋度が高まり、従って反応性が上昇することにより発熱が増え、同時に硬化物の硬度も上昇したものであると推測される。
【0049】
比較例4は(B)成分を含まず、その分を(D)で補った組成としたものである。当該組成物による特性評価結果においては、硬さ、外観、発熱、重ね塗り性いずれの特性も問題ないものであったが、表面タックが劣るものとなった。これは前記(B)成分を欠き、なおかつ単官能アクリルモノマーである前記(D)成分が増量することにより、系全体としての官能基数が減少することで反応性が低下し、その結果酸素阻害の影響を受け表面硬化性が低下してしまい表面タックが悪化してしまうものと推測される。
【0050】
比較例5,6はいずれも(B)成分として適正でない成分を用いて処方した組成である。比較例5は前記(B)成分に替えて脂肪族鎖骨格の両末端アクリル官能性化合物であるSR−247を用いた処方であり、比較例6は同じく柔軟なポリエーテル骨格の両末端アクリル官能性化合物であるSR−268を用いた処方の組成物である。いずれの場合においても、硬さ、外観、発熱、重ね塗り性いずれの特性も問題ものであったが、表明タックが劣る結果であった。前記(B)と比較的類似した、柔軟な構造のアクリル官能性化合物で置換しても、適正な官能基数でないと所望の特性を発現できないことが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0051】
爪被覆用の組成物に求められる、硬さ、外観、表面タック(表面硬化性)、発熱、重ね塗り性といった特性を全て満たすことは容易ではなく、これらを全て満たした本発明の爪被覆用の硬化性樹脂組成物は、爪の保護、装飾、補強等の目的で被覆する上で、極めて有用なものである。
【符号の説明】
【0052】
a:PETフィルム
b:多層コーティング層
c:折り曲げ位置
図1