特許第6372675号(P6372675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6372675
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】カードエッジ接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/91 20110101AFI20180806BHJP
【FI】
   H01R12/91
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-239277(P2017-239277)
(22)【出願日】2017年12月14日
【審査請求日】2018年4月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悟
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光宏
(72)【発明者】
【氏名】上原 省吾
(72)【発明者】
【氏名】奥村 晋也
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−204983(JP,A)
【文献】 特開2016−212969(JP,A)
【文献】 特許第5454608(JP,B2)
【文献】 特開2015−228328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードエッジコネクタのインナーハウジングに設けた基板挿入口にカードエッジモジュールの接続基板を挿入して、前記インナーハウジングと一体の弾性コンタクトに前記接続基板の電極群を圧接して接続するようにしたカードエッジ接続装置において、
前記基板挿入口の開口幅は、前記接続基板の厚さより最小公差と等しいかやや小さく形成し、前記基板挿入口の開口縁部に前記接続基板の挿入を案内するテーパー面を形成し、
前記インナーハウジングは、弾性体を介在して前記カードエッジコネクタの外部ケース内に前記接続基板の板厚方向に進退自在に設け、前記基板挿入口に挿入される前記接続基板の板厚に応じて前記インナーハウジングを押し広げて前記弾性コンタクトの位置を調整するように構成したことを特徴とするカードエッジ接続装置。
【請求項2】
カードエッジコネクタのインナーハウジングに設けた基板挿入口にカードエッジモジュールの接続基板を挿入して、前記インナーハウジングと一体の弾性コンタクトに前記接続基板の電極群を圧接して接続するようにしたカードエッジ接続装置において、
前記インナーハウジングは、上下2枚重ねの上部インナーハウジングと下部インナーハウジングからなり、これらの上部インナーハウジングと下部インナーハウジングの対向面に前記基板挿入口を設け、この基板挿入口の内部の前記上部インナーハウジングと前記下部インナーハウジングにそれぞれ前記接続基板の両面の電極群に圧接する前記弾性コンタクトを対向して設け、
前記基板挿入口の開口幅は、前記接続基板の厚さより最小公差と等しいかやや小さく形成し、前記基板挿入口の開口縁部に前記接続基板の挿入を案内するテーパー面を形成し、
前記上部インナーハウジングと下部インナーハウジングは、それぞれ上部弾性体と下部弾性体を介在して前記カードエッジコネクタの外部ケース内に前記接続基板の板厚方向に進退自在に設け、前記基板挿入口に挿入される前記接続基板の板厚に応じて前記上部インナーハウジングと下部インナーハウジングを押し広げて前記対向する弾性コンタクトの位置を調整するように構成したことを特徴とするカードエッジ接続装置。
【請求項3】
前記弾性コンタクトは、前記上部インナーハウジングと前記下部インナーハウジングにそれぞれ固着した圧着端子に一体に取り付けたものからなることを特徴とする請求項2記載のカードエッジ接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードエッジコネクタにカードエッジモジュールの接続基板を挿入し接続するものにおいて、接続基板厚の公差を吸収して安定した接続を可能にしたカードエッジ接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、メモリカード2を電子機器1のコネクタ6に電気的接続する従来の装置である(特許文献1)。
この図において、メモリカード2を機器本体1の挿入開口1aに挿入すると、メモリカード2は、突起3の斜面3aにガイドされ、ストッパに当接する位置で装着される。この装着位置では、メモリカード2は、突起3により所定の高さに位置決めされる。そして、板ばね5の付勢力F2により回路基板4を介して導電ゴム製のコネクタ6は多少圧縮され、厚みT1となり、コネクタ6の導電接触面6a、導電接触面6bがメモリカード2の接点群2a及び回路基板4の接点群4aとそれぞれ圧接力F1で圧接され、電気的接続状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−22008号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すものは、突起3からコネクタ6までの間隔がメモリカード2の厚さよりやや狭く設定されるものと考えられる。しかし、このメモリカード2の厚さの公差が大きくなると、板ばね5の付勢力F2とコネクタ6の圧接力F1が強く働きすぎ、コネクタ6の導電接触面6aとメモリカード2の接点群2aとの摺動時にこれらの間に剥離などの破損が発生するおそれがある。
逆に、メモリカード2の厚さの公差が小さすぎると、コネクタ6の導電接触面6aとメモリカード2の接点群2aとの接触圧が不十分で接触不良が発生する恐れがある。
【0005】
本発明は、接続基板厚の公差が大きくても、小さくても、接続基板の電極面とコネクタのコンタクトとの接触圧が一定になるように公差を吸収して安定した接続を可能にしたカードエッジ接続装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるカードエッジ接続装置は、
カードエッジコネクタのインナーハウジングに設けた基板挿入口にカードエッジモジュールの接続基板を挿入して、前記インナーハウジングと一体の弾性コンタクトに前記接続基板の電極群を圧接して接続するようにしたカードエッジ接続装置において、
前記基板挿入口の開口幅は、前記接続基板の厚さより最小公差と等しいかやや小さく形成し、前記基板挿入口の開口縁部に前記接続基板の挿入を案内するテーパー面を形成し、
前記インナーハウジングは、弾性体を介在して前記カードエッジコネクタの外部ケース内に前記接続基板の板厚方向に進退自在に設け、前記基板挿入口に挿入される前記接続基板の板厚に応じて前記インナーハウジングを押し広げて前記弾性コンタクトの位置を調整するように構成したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明によるカードエッジ接続装置は、
カードエッジコネクタのインナーハウジングに設けた基板挿入口にカードエッジモジュールの接続基板を挿入して、前記インナーハウジングと一体の弾性コンタクトに前記接続基板の電極群を圧接して接続するようにしたカードエッジ接続装置において、
前記インナーハウジングは、上下2枚重ねの上部インナーハウジングと下部インナーハウジングからなり、これらの上部インナーハウジングと下部インナーハウジングの対向面に前記基板挿入口を設け、この基板挿入口の内部の前記上部インナーハウジングと前記下部インナーハウジングにそれぞれ前記接続基板の両面の電極群に圧接する前記弾性コンタクトを対向して設け、
前記基板挿入口の開口幅は、前記接続基板の厚さより最小公差と等しいかやや小さく形成し、前記基板挿入口の開口縁部に前記接続基板の挿入を案内するテーパー面を形成し、
前記上部インナーハウジングと下部インナーハウジングは、それぞれ上部弾性体と下部弾性体を介在して前記カードエッジコネクタの外部ケース内に前記接続基板の板厚方向に進退自在に設け、前記基板挿入口に挿入される前記接続基板の板厚に応じて前記上部インナーハウジングと下部インナーハウジングを押し広げて前記対向する弾性コンタクトの位置を調整するように構成したことを特徴とする。
【0010】
弾性コンタクト26は、上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16にそれぞれ固着した圧着端子25に一体に取り付けたものからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、
カードエッジコネクタのインナーハウジングに設けた基板挿入口にカードエッジモジュールの接続基板を挿入して、前記インナーハウジングと一体の弾性コンタクトに前記接続基板の電極群を圧接して接続するようにしたカードエッジ接続装置において、
前記基板挿入口の開口幅は、前記接続基板の厚さより最小公差と等しいかやや小さく形成し、前記基板挿入口の開口縁部に前記接続基板の挿入を案内するテーパー面を形成し、
前記インナーハウジングは、弾性体を介在して前記カードエッジコネクタの外部ケース内に前記接続基板の板厚方向に進退自在に設け、前記基板挿入口に挿入される前記接続基板の板厚に応じて前記インナーハウジングを押し広げて前記弾性コンタクトの位置を調整するように構成したので、接続基板の板厚が公差の範囲内であれば、板厚の大小に拘わらず、接続基板の電極群との圧接力を一定に保持できる。そのため、接続基板が厚くてもコンタクトと電極群との摺動時に剥離などが発生する恐れがなく、また、接続基板が薄くてもコンタクトと電極群との接触不良を起こす恐れがなく、安定した接続を可能にしたカードエッジ接続装置を提供することができる。また、基板挿入口の開口幅は、接続基板の厚さより最小公差と等しいかやや小さく形成したので、接続基板の厚さが公差の範囲内で安定した接続を可能にできる。さらに、基板挿入口の開口縁部に接続基板の挿入を案内するテーパー面を形成したので、接続基板に厚さの違いがあっても弾性コンタクトの間隔を適切に調整することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、
カードエッジコネクタのインナーハウジングに設けた基板挿入口にカードエッジモジュールの接続基板を挿入して、前記インナーハウジングと一体の弾性コンタクトに前記接続基板の電極群を圧接して接続するようにしたカードエッジ接続装置において、
前記インナーハウジングは、上下2枚重ねの上部インナーハウジングと下部インナーハウジングからなり、これらの上部インナーハウジングと下部インナーハウジングの対向面に前記基板挿入口を設け、この基板挿入口の内部の前記上部インナーハウジングと前記下部インナーハウジングにそれぞれ前記接続基板の両面の電極群に圧接する前記弾性コンタクトを対向して設け、
前記基板挿入口の開口幅は、前記接続基板の厚さより最小公差と等しいかやや小さく形成し、前記基板挿入口の開口縁部に前記接続基板の挿入を案内するテーパー面を形成し、
前記上部インナーハウジングと下部インナーハウジングは、それぞれ上部弾性体と下部弾性体を介在して前記カードエッジコネクタの外部ケース内に前記接続基板の板厚方向に進退自在に設け、前記基板挿入口に挿入される前記接続基板の板厚に応じて前記上部インナーハウジングと下部インナーハウジングを押し広げて前記対向する弾性コンタクトの位置を調整するように構成したので、接続基板の両面に電極群を有するものであっても安定した接続を可能にしたカードエッジ接続装置を提供することができる。また、基板挿入口の開口幅は、接続基板の厚さより最小公差と等しいかやや小さく形成したので、接続基板の厚さが公差の範囲内で安定した接続を可能にできる。さらに、基板挿入口の開口縁部に接続基板の挿入を案内するテーパー面を形成したので、接続基板に厚さの違いがあっても弾性コンタクトの間隔を適切に調整することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、
弾性コンタクトは、上部インナーハウジングと下部インナーハウジングにそれぞれ固着した圧着端子に一体に取り付けたものからなるので、接続基板に厚さの違いに拘わらずカードエッジコネクタを共通した構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるカードエッジ接続装置の実施例1を示すもので、カードエッジコネクタにカードエッジモジュールを挿入する前の断面図である。
図2図1におけるカードエッジコネクタの正面図である。
図3図1におけるカードエッジモジュールの接続基板の平面図である。
図4図1におけるカードエッジコネクタの圧着端子を示すもので、(a)は、弾性コンタクトのコンタクト接触部がへの字形の例を示す斜視図、(b)は、弾性コンタクトのコンタクト接触部が耳たぶ形の他の例を示す断面図である。
図5図1におけるカードエッジモジュールの接続基板の厚さの交差が大きい場合と小さい場合のカードエッジコネクタの説明のための断面図である。
図6】従来のメモリカード装着装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の請求項1に係る発明は、
カードエッジコネクタのインナーハウジングに設けた基板挿入口にカードエッジモジュールの接続基板を挿入して、前記インナーハウジングと一体の弾性コンタクトに前記接続基板の電極群を圧接して接続するようにしたカードエッジ接続装置において、
前記基板挿入口の開口幅は、前記接続基板の厚さより最小公差と等しいかやや小さく形成し、前記基板挿入口の開口縁部に前記接続基板の挿入を案内するテーパー面を形成し、
前記インナーハウジングは、弾性体を介在して前記カードエッジコネクタの外部ケース内に前記接続基板の板厚方向に進退自在に設け、前記基板挿入口に挿入される前記接続基板の板厚に応じて前記インナーハウジングを押し広げて前記弾性コンタクトの位置を調整するように構成したものである。
【0018】
本発明の請求項2に係る発明は、
カードエッジコネクタのインナーハウジングに設けた基板挿入口にカードエッジモジュールの接続基板を挿入して、前記インナーハウジングと一体の弾性コンタクトに前記接続基板の電極群を圧接して接続するようにしたカードエッジ接続装置において、
前記インナーハウジングは、上下2枚重ねの上部インナーハウジングと下部インナーハウジングからなり、これらの上部インナーハウジングと下部インナーハウジングの対向面に前記基板挿入口を設け、この基板挿入口の内部の前記上部インナーハウジングと前記下部インナーハウジングにそれぞれ前記接続基板の両面の電極群に圧接する前記弾性コンタクトを対向して設け、
前記基板挿入口の開口幅は、前記接続基板の厚さより最小公差と等しいかやや小さく形成し、前記基板挿入口の開口縁部に前記接続基板の挿入を案内するテーパー面を形成し、
前記上部インナーハウジングと下部インナーハウジングは、それぞれ上部弾性体と下部弾性体を介在して前記カードエッジコネクタの外部ケース内に前記接続基板の板厚方向に進退自在に設け、前記基板挿入口に挿入される前記接続基板の板厚に応じて前記上部インナーハウジングと下部インナーハウジングを押し広げて前記対向する弾性コンタクトの位置を調整するように構成したものである。
【0021】
本発明の請求項3に係る発明は、
弾性コンタクト26は、上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16にそれぞれ固着した圧着端子25に一体に取り付けたものである。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例1を図面に基づき説明する。
図1図4において、10はカードエッジコネクタで、11は、カードエッジモジュールで、これらのカードエッジコネクタ10とカードエッジモジュール11とで本発明のカードエッジ接続装置を構成している。
前記カードエッジモジュール11は、外部ケース14bで囲まれた内側中央部に所定厚さの接続基板12が突出し、この接続基板12の両面に、図3に示すように電極群13が設けられている。
この接続基板12は、例えば1.6mmの厚さに設定され、±10%の公差が許容されているものとする。接続基板12にこのような公差が生じてもカードエッジコネクタ10との接続が安定して確実に接続することが望まれ、これを解決するのが本発明である。
【0023】
この目的を達成するための前記カードエッジコネクタ10は、以下のように構成される。
両端を開口した外部ケース14aの内部には、図1及び図2に示すように、硬質のプラスチックなどの材料からなる2個の上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16が互いに対向して設けられている。これら上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16は、前記外部ケース14aの内側面に形成した上部収納凹部21と下部収納凹部22にゴム板等からなる上部弾性体17と下部弾性体18を介在して前記接続基板12の板厚方向に進退動自在に設けられている。これらの上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16は、対向面の間に2つの基板挿入口23が切り欠かれて形成され、前記上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16が前記基板挿入口23の中央部分と両側部分で接離自在に密接している。
【0024】
前記上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16が対向面で密接して前記上部弾性体17と下部弾性体18を介在して収納されている状態では、上部インナーハウジング15と外部ケース14aの内面の間及び下部インナーハウジング16と外部ケース14aの内面の間には、それぞれ上部隙間19と下部隙間20を有している。
【0025】
前記基板挿入口23の両端の上下面縁部と側面縁部には、接続基板12の挿入を案内するテーパー面24が形成され、上下縁部のテーパー面24の内側の接触面33間の開口幅t1が前記接続基板12の厚さのマイナス側公差か又はそれよりやや狭く設定される。具体的には、接続基板12の設定厚さをTとし、公差を±10%としたとき、前記t1=T−10%か又はそれよりやや狭く設定される。
【0026】
前記上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16における前記基板挿入口23の内部には、互いに対向するように圧着端子収納溝32が前記接続基板12の電極群13の列に相当する数だけ形成され、これらの圧着端子収納溝32には、図4に示す圧着端子25がそれぞれ固定的に取り付けられる。この上下一対の圧着端子25のコンタクト収納部28には、一端部に臨ませて弾性コンタクト26が互いに向き合い、かつ、これらの弾性コンタクト26のコンタクト接触部31は、間隔d1をもって収納されている。また、前記圧着端子25の他端部にリード線27が導線圧着部29と被覆圧着部30で接続固定される。
前記弾性コンタクト26コンタクト接触部31は、図1,図4(a)及び図5の例では、への字形としたが、これに限られるものではなく、図4(b)に示すように、耳たぶのように楕円形の中央を押しつぶしたような形状としたものであってもよい。
前記上下一対のコンタクト接触部31の間隔d1は、接続基板12を挿入しだ時、弾性コンタクト26のコンタクト接触部31と接続基板12の電極群13との間で所定の圧接力が付加されて接続されるように設定される。
【0027】
以上のように構成されたカードエッジ接続装置の作用を説明する。
図5において、接続基板12の厚さの公差が最も薄い厚さt1の公差小の接続基板12aが基板挿入口23に挿入されたものとする。公差小の接続基板12aは、基板挿入口23のテーパー面24により中心に案内されて挿入され、前記公差小の接続基板12aの両面が上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16のそれぞれの接触面33間に導かれる。上下の接触面33の間隔は、接続基板12の厚さの公差が最も薄い厚さt1又はそれよりやや小さく設定されているので、上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16をほとんど押し広げることなく、カードエッジコネクタ10内に侵入する。
【0028】
公差が最も薄い厚さt1の公差小の接続基板12aが挿入された時点では、カードエッジコネクタ10の内部は、図5の実線で示す状態になっている。接続基板12がさらに挿入され、その先端部が上下の弾性コンタクト26に接すると、これらの弾性コンタクト26を押し広げつつ、上下の上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16が上部弾性体17と下部弾性体18を圧縮して上下に移動しながら両面の電極群13に接触しつつストッパ34まで達する。
このように、公差が最も薄い厚さt1の公差小の接続基板12aが挿入されると、上下の弾性コンタクト26のコンタクト接触部31の間隔がd1の状態で公差小の接続基板12aの電極群13に予め設定された圧接力で接触するように位置調整される。
【0029】
つぎに、接続基板12の厚さの公差が最も厚い厚さt2の公差大の接続基板12bが基板挿入口23に挿入されたものとする。公差大の接続基板12bの厚さt2は、上下の接触面33の間隔t1よりも厚いので、公差大の接続基板12bの先端がテーパー面24に接して上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16を押し広げるようにして挿入される。上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16がそれぞれ上下に押し広げられると、上部インナーハウジング15によって上部弾性体17が、また、下部インナーハウジング16によって下部弾性体18がそれぞれ圧縮されて上部隙間19と下部隙間20の方向に移動して、図5の2点鎖線で示す状態になる。これらの上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16が上下に移動することにより、一体に取り付けられている一対の弾性コンタクト26も上下に移動する。これら弾性コンタクト26が公差大の接続基板12bの厚さの公差分だけ広げられて上下の弾性コンタクト26のコンタクト接触部31の間隔は、d2に広げられる。
このように、公差が最も厚い厚さt2の公差大の接続基板12bが挿入されると、上下の弾性コンタクト26の間隔がd2の状態で公差大の接続基板12bの電極群13に予め設定された圧接力で接触するように位置調整される。
【0030】
このことは、接続基板12の厚さと上下の弾性コンタクト26間隔の関係は、次式の通りとなる。
t1−d1=t2−d2
したがって、接続基板12の厚さが公差の範囲内であれば、接続基板12の挿入時の弾性コンタクト26に接触する圧接力は略等しくなるように前記上下の弾性コンタクト26の位置が調整される。
【0031】
なお、上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16の上下の移動量による上部弾性体17と下部弾性体18の圧縮量は、接続基板12の厚さが公差の小さい場合と大きい場合とでは、完全に比例しないが、接続基板12の厚さの公差の範囲内の上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16の移動量は僅差であるから上記式は、略一致すると考えられる。
【実施例2】
【0032】
前記実施例では、接続基板12の両面に電極群13を有する場合について説明したので、カードエッジコネクタ10は、この両面の電極群13に接する一対の弾性コンタクト26を有するものを例示した。
しかし、これに限られるものではなく、接続基板12の片面に電極群13を有する場合、カードエッジコネクタ10は、この片面の電極群13に接する弾性コンタクト26を有するものであってもよい。例えば、下部インナーハウジング16側にのみ弾性コンタクト26を有する場合には、下部インナーハウジング16と外部ケース14aの間に下部弾性体18を介在して取り付けるが、上部インナーハウジング15側には、弾性コンタクト26と上部弾性体17を設けずに、接続基板12の挿入によっても進退しない構成とするものであってもよい。
【0033】
前記実施例では、前記上部インナーハウジング15と上部弾性体17及び前記下部インナーハウジング16と下部弾性体18は、それぞれ別体に形成したが、一体に形成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
10…カードエッジコネクタ、11…カードエッジモジュール、12…接続基板、13…電極群、14a、14b…外部ケース、15…上部インナーハウジング、16…下部インナーハウジング、17…上部弾性体、18…下部弾性体、19…上部隙間、20…下部隙間、21…上部収納凹部、22…下部収納凹部、23…基板挿入口、24…テーパー面、25…圧着端子、26…弾性コンタクト、27…リード線、28…コンタクト収納部、29…導線圧着部、30…被覆圧着部、31…コンタクト接触部、32…圧着端子収納溝、33…接触面。
【要約】
【課題】接続基板厚に大きな公差があっても、接続基板とコンタクトとの接触圧が一定になるように公差を吸収して安定した接続を可能にする。
【解決手段】インナーハウジング15と一体の弾性コンタクト26に接続基板12の電極群13を圧接して接続する装置において、前記インナーハウジング15は、弾性体17を介在してカードエッジコネクタ10の外部ケース14a内に、前記接続基板12の板厚方向に進退自在に設け、基板挿入口23に挿入される前記接続基板12の板厚に応じて前記インナーハウジング15を進退して前記弾性コンタクト26の位置を調整し、前記接続基板12の板厚の大小に拘わらず前記弾性コンタクト26との圧接力が略等しくする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6