【0018】
本発明の請求項2に係る発明は、
カードエッジコネクタのインナーハウジングに設けた基板挿入口にカードエッジモジュールの接続基板を挿入して、前記インナーハウジングと一体の弾性コンタクトに前記接続基板の電極群を圧接して接続するようにしたカードエッジ接続装置において、
前記インナーハウジングは、上下2枚重ねの上部インナーハウジングと下部インナーハウジングからなり、これらの上部インナーハウジングと下部インナーハウジングの対向面に前記基板挿入口を設け、この基板挿入口の内部の前記上部インナーハウジングと
前記下部インナーハウジングにそれぞれ前記接続基板の両面の電極群に圧接する
前記弾性コンタクトを対向して設け、
前記基板挿入口の開口幅は、前記接続基板の厚さより最小公差と等しいかやや小さく形成し、前記基板挿入口の開口縁部に前記接続基板の挿入を案内するテーパー面を形成し、
前記上部インナーハウジングと下部インナーハウジングは、それぞれ上部弾性体と下部弾性体を介在して前記カードエッジコネクタの外部ケース内に
前記接続基板の板厚方向に進退自在に設け、前記基板挿入口に挿入される前記接続基板の板厚に応じて前記上部インナーハウジングと下部インナーハウジングを
押し広げて前記対向する弾性コンタクトの位置を調整するように構成したものである。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例1を図面に基づき説明する。
図1〜
図4において、10はカードエッジコネクタで、11は、カードエッジモジュールで、これらのカードエッジコネクタ10とカードエッジモジュール11とで本発明のカードエッジ接続装置を構成している。
前記カードエッジモジュール11は、外部ケース14bで囲まれた内側中央部に所定厚さの接続基板12が突出し、この接続基板12の両面に、
図3に示すように電極群13が設けられている。
この接続基板12は、例えば1.6mmの厚さに設定され、±10%の公差が許容されているものとする。接続基板12にこのような公差が生じてもカードエッジコネクタ10との接続が安定して確実に接続することが望まれ、これを解決するのが本発明である。
【0023】
この目的を達成するための前記カードエッジコネクタ10は、以下のように構成される。
両端を開口した外部ケース14aの内部には、
図1及び
図2に示すように、硬質のプラスチックなどの材料からなる2個の上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16が互いに対向して設けられている。これら上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16は、前記外部ケース14aの内側面に形成した上部収納凹部21と下部収納凹部22にゴム板等からなる上部弾性体17と下部弾性体18を介在して前記接続基板12の板厚方向に進退動自在に設けられている。これらの上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16は、対向面の間に2つの基板挿入口23が切り欠かれて形成され、前記上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16が前記基板挿入口23の中央部分と両側部分で接離自在に密接している。
【0024】
前記上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16が対向面で密接して前記上部弾性体17と下部弾性体18を介在して収納されている状態では、上部インナーハウジング15と外部ケース14aの内面の間及び下部インナーハウジング16と外部ケース14aの内面の間には、それぞれ上部隙間19と下部隙間20を有している。
【0025】
前記基板挿入口23の両端の上下面縁部と側面縁部には、接続基板12の挿入を案内するテーパー面24が形成され、上下縁部のテーパー面24の内側の接触面33間の開口幅t1が前記接続基板12の厚さのマイナス側公差か又はそれよりやや狭く設定される。具体的には、接続基板12の設定厚さをTとし、公差を±10%としたとき、前記t1=T−10%か又はそれよりやや狭く設定される。
【0026】
前記上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16における前記基板挿入口23の内部には、互いに対向するように圧着端子収納溝32が前記接続基板12の電極群13の列に相当する数だけ形成され、これらの圧着端子収納溝32には、
図4に示す圧着端子25がそれぞれ固定的に取り付けられる。この上下一対の圧着端子25のコンタクト収納部28には、一端部に臨ませて弾性コンタクト26が互いに向き合い、かつ、これらの弾性コンタクト26のコンタクト接触部31は、間隔d1をもって収納されている。また、前記圧着端子25の他端部にリード線27が導線圧着部29と被覆圧着部30で接続固定される。
前記弾性コンタクト26コンタクト接触部31は、
図1,
図4(a)及び
図5の例では、への字形としたが、これに限られるものではなく、
図4(b)に示すように、耳たぶのように楕円形の中央を押しつぶしたような形状としたものであってもよい。
前記上下一対のコンタクト接触部31の間隔d1は、接続基板12を挿入しだ時、弾性コンタクト26のコンタクト接触部31と接続基板12の電極群13との間で所定の圧接力が付加されて接続されるように設定される。
【0027】
以上のように構成されたカードエッジ接続装置の作用を説明する。
図5において、接続基板12の厚さの公差が最も薄い厚さt1の公差小の接続基板12aが基板挿入口23に挿入されたものとする。公差小の接続基板12aは、基板挿入口23のテーパー面24により中心に案内されて挿入され、前記公差小の接続基板12aの両面が上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16のそれぞれの接触面33間に導かれる。上下の接触面33の間隔は、接続基板12の厚さの公差が最も薄い厚さt1又はそれよりやや小さく設定されているので、上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16をほとんど押し広げることなく、カードエッジコネクタ10内に侵入する。
【0028】
公差が最も薄い厚さt1の公差小の接続基板12aが挿入された時点では、カードエッジコネクタ10の内部は、
図5の実線で示す状態になっている。接続基板12がさらに挿入され、その先端部が上下の弾性コンタクト26に接すると、これらの弾性コンタクト26を押し広げつつ、上下の上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16が上部弾性体17と下部弾性体18を圧縮して上下に移動しながら両面の電極群13に接触しつつストッパ34まで達する。
このように、公差が最も薄い厚さt1の公差小の接続基板12aが挿入されると、上下の弾性コンタクト26のコンタクト接触部31の間隔がd1の状態で公差小の接続基板12aの電極群13に予め設定された圧接力で接触するように位置調整される。
【0029】
つぎに、接続基板12の厚さの公差が最も厚い厚さt2の公差大の接続基板12bが基板挿入口23に挿入されたものとする。公差大の接続基板12bの厚さt2は、上下の接触面33の間隔t1よりも厚いので、公差大の接続基板12bの先端がテーパー面24に接して上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16を押し広げるようにして挿入される。上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16がそれぞれ上下に押し広げられると、上部インナーハウジング15によって上部弾性体17が、また、下部インナーハウジング16によって下部弾性体18がそれぞれ圧縮されて上部隙間19と下部隙間20の方向に移動して、
図5の2点鎖線で示す状態になる。これらの上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16が上下に移動することにより、一体に取り付けられている一対の弾性コンタクト26も上下に移動する。これら弾性コンタクト26が公差大の接続基板12bの厚さの公差分だけ広げられて上下の弾性コンタクト26のコンタクト接触部31の間隔は、d2に広げられる。
このように、公差が最も厚い厚さt2の公差大の接続基板12bが挿入されると、上下の弾性コンタクト26の間隔がd2の状態で公差大の接続基板12bの電極群13に予め設定された圧接力で接触するように位置調整される。
【0030】
このことは、接続基板12の厚さと上下の弾性コンタクト26間隔の関係は、次式の通りとなる。
t1−d1=t2−d2
したがって、接続基板12の厚さが公差の範囲内であれば、接続基板12の挿入時の弾性コンタクト26に接触する圧接力は略等しくなるように前記上下の弾性コンタクト26の位置が調整される。
【0031】
なお、上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16の上下の移動量による上部弾性体17と下部弾性体18の圧縮量は、接続基板12の厚さが公差の小さい場合と大きい場合とでは、完全に比例しないが、接続基板12の厚さの公差の範囲内の上部インナーハウジング15と下部インナーハウジング16の移動量は僅差であるから上記式は、略一致すると考えられる。