特許第6372735号(P6372735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372735
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】自動車用ドアのドアトリム構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20180806BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20180806BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20180806BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B60J5/00 501A
   B60J5/04 F
   B60R13/02 B
   B60R7/04 T
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-244823(P2013-244823)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-101266(P2015-101266A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】田近 真吾
(72)【発明者】
【氏名】渥美 亮
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−255996(JP,A)
【文献】 特開2009−274667(JP,A)
【文献】 実開平02−093151(JP,U)
【文献】 実開昭60−157348(JP,U)
【文献】 実開平05−094010(JP,U)
【文献】 特開2000−016208(JP,A)
【文献】 特開平08−164739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
B60R 7/04
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアパネルの裏面に装着されるドアトリムの下端部に、室内側に突出する膨出部を形成するとともに、この膨出部のドアパネル側に収納用ポケット部を形成した自動車用ドアのドアトリム構造において、前記収納用ポケット部が形成された膨出部の前後方向の中間位置から収納用ポケット部の前後方向の少なくとも片側にかけて梁形状部を形成し、前記梁形状部は前記収納用ポケット部の長さ方向の中間位置を通って前記収納用ポケット部の下部側に達するように形成し、前記梁形状部の端部は、前記収納用ポケット部の前後方向の少なくとも片側の縁部を越えて延びるとともに前記梁形状部のうち、開口部の内側縁部から開口部の後側縁部又は前側縁部にかけて延びる部分は、内側縁部から上方に離れて配置されることを特徴とする自動車用ドアのドアトリム構造。
【請求項2】
前記梁形状部は前記収納用ポケット部の長さ方向の中間位置から前記収納用ポケット部の前後方向の少なくとも片側にかけて傾斜して設けられ、前記梁形状の両端部は高剛性部に接続するように形成したことを特徴とする請求項に記載の自動車用ドアのドアトリム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアトリムのサイドポケット部の剛性の向上を図り得る自動車用ドアのドアトリム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のドアパネルの室内側に取り付けたドアトリムには、車両の前後方向に収納用ポケットが形成されている(特許文献1参照)。このような収納用ポケットは、ペットボトルなどの容器を収納できるように容量の拡大を図るため室内側に突出するように膨出部を形成してポケット内部の拡大を図るようにしたものがある。このため、膨出部によって室内側に段差部が生じ、さらに剛性を確保するため、ポケット部の内部側壁にリブ形状を設けて剛性の向上を図るなどの対策を講じているものがある。
一方、特許文献1に示したような収納用ポケットの見栄えの向上を図るために、ドアトリムに形成したポケット凹部をネット部材で塞ぐようにした先行技術も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−355249号公報
【特許文献2】特開2010−12905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ネット部材で塞ぐようにした先行技術では、別部品のネットを使用するため、部品費および組み付け工数を必要とする。また、ネット部材の経年劣化によりポケットの収納性が低下する。ネットを設定することで、デザインの制約を生じ、見栄えが悪くなる不具合を生じる。
【0005】
本発明は、ドアトリムに形成した収納用ポケット部のデザイン性能の向上および剛性の向上を図り得る自動車用ドアのドアトリム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、自動車のドアパネルの裏面に装着されるドアトリムの下端部に、室内側に突出する膨出部を形成するとともに、この膨出部のドアパネル側に収納用ポケット部を形成した自動車用ドアのドアトリム構造において、前記収納用ポケット部が形成された膨出部の前後方向の中間位置から収納用ポケット部の前後方向の少なくとも片側にかけて梁形状部を形成し、前記梁形状部は前記収納用ポケット部の長さ方向の中間位置を通って前記収納用ポケット部の下部側に達するように形成し、前記梁形状部の端部は、前記収納用ポケット部の前後方向の少なくとも片側の縁部を越えて延びるとともに前記梁形状部のうち、開口部の内側縁部から開口部の後側縁部又は前側縁部にかけて延びる部分は、内側縁部から上方に離れて配置されることにある。
また、本発明は、前記梁形状部は前記収納用ポケット部の長さ方向の中間位置を通って前記収納用ポケット部の下部側に達するように形成したことにある。
さらに、本発明は、前記梁形状部は前記収納用ポケット部の長さ方向の中間位置から前記収納用ポケット部の前後方向の少なくとも片側にかけて傾斜して設けられ、前記梁形状の両端部は高剛性部に接続するように形成したことにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
収納用ポケット部が形成された膨出部の前後方向の中間位置から収納用ポケット部の前後方向の少なくとも片側にかけて梁形状部を形成し、前記梁形状部は前記収納用ポケット部の長さ方向の中間位置を通って前記収納用ポケット部の下部側に達するように形成し、前記梁形状部の端部は、前記収納用ポケット部の前後方向の少なくとも片側の縁部を越えて延びるとともに前記梁形状部のうち、開口部の内側縁部から開口部の後側縁部又は前側縁部にかけて延びる部分は、内側縁部から上方に離れて配置されることにより、収納用ポケット部の剛性が向上し、かつ、デザインの向上を図ることができる。
梁形状部は前記収納用ポケット部の長さ方向の中間位置を通って前記収納用ポケット部の下部側に達するように形成することで、収納用ポケット部の剛性を図ることができる。
梁形状部は前記収納用ポケット部の長さ方向の中間位置から前記収納用ポケット部の前後方向の少なくとも片側にかけて傾斜して設けられ、前記梁形状部の両端部は高剛性部に接続することにより、剛性の向上およびデザイン性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態による自動車用ドアのドアトリム構造を示す自動車のドアを車室内側から見た正面図である。
図2図1のドアトリムを示す斜視図である。
図3図2のドアトリムを示す正面図である。
図4図1の矢視X方向から見た斜視図である。
図5図1のA−A線断面図である。
図6図5のドアパネルとドアトリムを示す端面図である。
図7図3のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図1図7に示す図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1ないし図6において、1は車体の前部側面を開閉する自動車用サイドドアである。この自動車用サイドドア1は、上部側に窓枠2aが設けられたドアパネル2で構成されている。ドアパネル2は、ドアアウタパネル21とドアインナパネル22で構成され、内部に補強用のリーンフォースメント23,24が配設されている。
窓枠2aには、昇降自在の窓ガラス3が配設され、窓枠2aのベルトライン下部側には、前記ドアインナパネル22の室内側に、意匠面を構成するドアトリム4が設けられている。
【0011】
このドアトリム4は、ドアパネル2の上下方向では窓枠2aのベルトラインから前記ドアインナパネル22の下端部にかけて、車体の前後方向ではドアパネル2の前端から後端にかけて、前記ドアインナパネル22を覆うように設けられている。ドアトリム4の下端部には、室内側に突出する膨出部41が車体の前後方向に設けられており、この膨出部41の上部側に開口部42が設けられて、収納用ポケット部43を構成している。この収納用ポケット部43の上方位置には、室内側に突出したドアトリム4の凸状部44によって構成されるアームレスト部45が設けられている。
このアームレスト部45は、収納用ポケット部43の前端部43aを囲むようにドアトリム4の前端位置4Aから室内側に突出する凸状部44が一定の高さまで延出し、その後、後方に湾曲して収納用ポケット部43の上方位置を後方に向けて通るようにドアトリム4の後端位置4Bまでアーチ状に延出して構成されている。
【0012】
このアームレスト部45には、ドアのロックまたは解除、あるいは窓ガラス3の昇降を操作する操作スイッチ5などが設けられている。図7に示すように、前記収納用ポケット部43の車体前後方向の中間位置43Aからドアパネル2の後方側に向けて前記アームレスト部45の後端位置の下部側に達する梁形状のビード部(梁形状部)46が円弧状をなすように設けられている。このビード部46は前記収納用ポケット部43の中間位置43Aを超えてドアトリム4の下端位置まで延出されている。
【0013】
上記構成によると、ドアトリム4に設けられた収納用ポケット部43には、収納用ポケット部43の車体前後方向の中間位置43Aからアームレスト部45の後端位置の下部側に達する梁形状のビード部46が設けられているので、収納用ポケット部43の剛性の向上が図れ、従来のようなリブなどを設ける必要がない。梁形状のビード部46はドアトリム4に一体成形することができるので、部品点数の増大を招くこともなく、かつ経済的である。
【0014】
ドアトリム4には収納用ポケット部43が形成された膨出部41の前後方向の中間位置43Aからポケット部43の前後方向の少なくとも片側にかけて梁形状のビード部46が円弧状をなすように設けられているので、収納用ポケット部43の剛性が向上し、かつ、デザインの向上を図ることができる。
梁形状のビード部46は前記収納用ポケット部43の長さ方向の中間位置43Aを通って前記収納用ポケット部43の下部側に達するように形成することで、収納用ポケット部の剛性を図ることができる。
梁形状のビード部46は前記収納用ポケット部43の長さ方向の中間位置43Aから前記収納用ポケット部43の前後方向の少なくとも片側にかけて円弧状をなすように傾斜して設けられ、梁形状のビード部46の両端部は、収納用ポケット部43の車体前後方向の中間位置43Aからドアトリム4の下端位置までと、アームレスト部45の後端位置の下部側までとの高剛性部に接続されているので、剛性の向上およびデザイン性能の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、梁形状のビード部46の太さは、デザインに応じて任意に変更してもよく、また、梁形状のビード部46の両端部は、アームレスト部45の後端位置の下部側に限らず、ドアトリム4の前端側に伸ばしてもよい。さらに、梁形状のビード部46は円弧状をなすように傾斜して設けたが、直線的に斜めに伸ばしてもよいなど、収納用ポケット部43のデザインに合わせて任意に設定することができる。その他、本発明の技術的範囲を変更しない範囲内で適宜変更して実施しうることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0016】
1 自動車用サイドドア
2 ドアパネル
3 窓ガラス
4 ドアトリム
41 膨出部
42 開口部
43 収納用ポケット部
43a 収納用ポケット部の前端部
43A 収納用ポケット部の中間位置
44 凸状部
45 アームレスト部
46 梁形状のビード部(梁形状部)
4A ドアトリムの前端位置
4B ドアトリムの後端位置
5 操作スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7